では、どうぞ。
場所は、基地北西部。
そこには、真っ平らな平地に一人の少年がポツンと座っていた。
「おいおい。真っ平じゃんか、天羽」
「迅さん・・・」
そこに駆けつけた迅は、苦笑いで話しかけた。
「お前な〜・・・。もうちょっと加減しろよ」
「嫌だよ、面倒臭い・・・。どいつもこいつもつまんない
「うんうん。余裕があっていいことだ」
「どうせなら、迅さんの知り合いの
「彼?」
「綾瀬って言う人。今まで見た事のない色をしていた。
天羽は、紘太を遠目で見ていた時、今まで見たことの無い色を見て、目を見開いた記憶がある。
「あー・・・。機会があったらな」
と、軽口をやっている時だった。
突如、迅の
「迅さん?」
「・・・天羽、俺が担当している西側頼める?」
「何で?」
「・・・敵さんが動くから、俺も動く。
それに、下手したら綾瀬と会えずじまいになるぞ」
「・・・分かったよ」
「(頼んだぞ・・・。紘太・・・)」
そして、迅の所に一つの通信が入った。
紘太は、新型トリオン兵・ラービットを撃破しつつトリオン兵を駆除していた。
「・・・クソッ。一体一体は大した事ないがキリがないな」
紘太は、倒しても倒しても出てくるトリオン兵にうんざりしていた。
どうにかして突破口を開かないといけない。
トリオン体に換装している紘太なら簡単ではないのかと思うが戦闘体に換装すると運動能力も大幅に強化される。
紘太の場合、全集中の呼吸と元の身体能力の高さ故に力のコントロールがやりづらいのだ。
仮入隊から約1ヶ月程、トリオン体で戦闘訓練を行なっているが命の安全面が考慮されただけで全力で力を発揮できないのだ。
その失敗例が、入隊初日や玉狛で起きた頭突き事件だ。
普通のトリガーでは、匙加減が難しいと言うことで思うように力を出せないでいた。
「とにかく、倒すか!!」
紘太は、フルスピードで周囲のトリオン兵を蹴散らした。
しかし、周囲の建物を破壊している為、いかがなものかと思った。
とにかく、今いるこの場は戦場。切り替えていくしかないと感じた。
「三雲、聞こえるか?」
『綾瀬か?』
「そこにレプリカはいるか?」
『アヤセ、呼んだか?』
「トリオン兵ってトリオンを使っているんだよな?」
『そうだ』
「もしかして、ラービットってかなりのトリオンを使ってるか?」
『アヤセの推測通りだ。私もさっきのラービットを解析してみたが、相当の量のトリオンが使われていた。
こちらの世界にこれほどのトリオンを注ぎ込めば、本国の備えが手薄になる』
「そして、分散してトリオン兵を使っている・・・。
B級以上の奴らを捕まえるために新型を投入した。だが・・・」
『ボーダーには
捕えられる前に
ラッドの調査を経て満を持して攻めてきた敵がそんな簡単なことを見落とすだろうか?』
「四方へのトリオン兵の分散進攻、ラービットによる隊員の捕獲、本部基地への爆撃、それらの陰に・・・敵の真の目的が隠されている気がする」
『真の目的って・・・』
「(炙り出しをする。ラッドを使って一体何を・・・)」
紘太は、仮入隊の時に嵐山にトリガーについてレクチャーされていた事を思い出していた。
【訓練と戦闘用に違いがあるんですか?】
【訓練用では、武器は、1つしか使えない事。
B級以上になると最大8種類まで使うことが出来る】
【へぇ・・・。でも、負けた時ってどうなるんですか?
流石にその場で戦闘体が解かれて終わりって事はないですよね?】
【その点は心配ない。戦闘用には
この時、紘太は、
流石に、迅さんから教えてもらいましたとは言えないからだ・・・。
「(そうか・・・!そう言う事だったんだ!!)」
紘太は、急いで本部に連絡をしようとしたその時だった。
突如、背後に何かが来る気配を感じた。
振り返ると
「・・・チッ。よりによってガキ相手かよ」
「しかし、油断は禁物ですぞ、エネドラ殿。相手は、ラービットを一瞬で倒せるほどの実力者ですぞ」
「ヴィザ翁の言う通りですな。隊長が玄界の中で最強と言っていい剣士だ。
心してかかった方がいい」
「・・・こちら、綾瀬。人型
敵は、
俺は、これより人型3人と戦闘を開始します。他の隊員達に、C級援護に向かわせて下さい」
『待つんだ紘太君!1人で3人の人型と戦うのはむc・・・』
紘太は、強引に通信を切り人型に視線を向けた。
「ほう?オレ達3人に1人で挑む気か?」
「いやはや、何と勇ましい少年。あの若さでその意気込みはよし」
「しかし、身の程を弁えさせなければなりませんな」
ランバネイン、ヴィザ、エネドラの3人を同時に相手にする紘太。
今、戦いの折り返し地点に入ろうとしていた。
一方、本部は、大慌てでいた。
「忍田本部長!!」
「分かっている!!全部隊に通達!!」
普段から冷静でいるはずの忍田本部長がここまで焦るのは初めて見たと沢村は、そう思っていた。
「敵は、アフトクラトルと判明!ブラックトリガー使いも参戦している!
南地区を担当している隊員は、トリオン兵殲滅後、綾瀬隊員の援護に迎え!!
他の地区を担当している隊員達は、トリオン兵を迎撃後、C級の支援に向かえ!!」
忍田の鬼気迫る声に正隊員も戸惑いながら返事をする。
「・・・あの大馬鹿者!!」
「本部長!迅君が本部に到着しました!」
「迅に
「了解!」
そんな中、城戸司令は、忍田に声を掛ける。
「・・・忍田君。今の指揮官は、君だ。それを忘れるな」
「・・・分かっています」
しかし、それでも本部長は握り拳を作っていた。
本部長が焦る中、三雲と木虎も紘太の無茶に頭を抱えていた。
「あのバカ!!」
「何て無茶してるのよ!!」
C級隊員に追い付く所に忍田本部長の通信を聞き、内容を聞いた2人は、目を見開き驚愕の表情をしていた。
『しかし、アヤセのお陰でどの国が攻めてきてるのか、そして、目的が何なのかがハッキリした。
オサム、キトラ。アヤセが全力で敵を食い止めている。それを無駄にしてはいけない』
「分かっている!!」
そして、C級隊員を発見し、トリオン兵とラービットの戦闘を開始する。
場所は、南地区。
そこでは、那須隊のメンバーがトリオン兵と戦闘を行なっていた。
「紘太君・・・!」
「綾瀬、一体何考えてるのよ!?」
ビルの所から狙撃している日浦が那須に通信をする。
『那須先輩!急いで綾瀬君の所に行かないと!!』
「分かっているけど、このトリオン兵の多さじゃ・・・!」
紘太が人型
年下の後輩が命懸けで闘っているのに自分は、目の前の敵に悪戦苦闘している。
どうにかして、突破口を開かないと思ったその時、高速で移動する何かにトリオン兵が倒された。
彼女達の前に立ったのは迅だった。
「迅さん!」
「助かりました。けど、どうしてここに?」
「那須ちゃん達にお願いがあってね。大急ぎで来たんだ」
「お願い?」
迅は、1つの小さなアタッシュケースを取り出した。
「これは?」
「本部のエンジニアが開発していた
「「「!?」」」
思いがけない言葉に那須隊の面々は驚きの表情をしていた。
「本当は、俺が届けたいんだけど、メガネ君や千佳ちゃんが生き残る分岐点に差し掛かっていてかなり重要な所なんだ。
俺は、そっちの加勢に向かう。だから、那須ちゃん達に任せたい」
その言葉を聞いた那須隊達は、メンバー全員の表情を見て頷いた。
「分かりました。引き受けます」
那須は、アタッシュケースを受け取り紘太のいる南西地区に向けて移動を開始した。
「・・・頼んだぞ。みんな」
その表情は、普段の姿から想像出来ないほど真剣な表情だった。
今回は、ここまでとなります。
誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。
月の呼吸は、出しますか? 4/9 0:00まで
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出さない