ワールドトリガー 〜鬼殺の剣士〜   作:シナプス・フィン

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今回は、かなり長くなります。


では、どうぞ。


第28話 修、鍛える!

ランク戦が終了し総評となった。

まずは、各隊隊長の対決から見る事になった。

 

〔戦い方という点で見れば、一番意外だったのは、那須だな〕

〔スコーピオンは、ブレードの出し入れが自由で重さがほぼゼロ、

手以外から出すことも可能で、トリオンの調節で変形可能といった特徴がある反面、

耐久力が低く受け太刀等の防御には適していません。

恐らく、那須隊長が高機動で近寄られる時に対応する時に思いついたのでしょう〕

〔ですが、思いついたとしても実行に移すものでしょうか?

那須隊長は、射手(シューター)でスコーピオン無しでも点を取れる実力と思われますが・・・〕

〔恐らく、村上対策で入れたんだろう。

剣として使うのではなく手裏剣のような使い方をベースにしているのなら目眩し程度になるが対して意味無いだろう。

どんな使い方を想定しているかは、分からないが那須自身も新しい試みをしているんだろうよ〕

〔なるほど・・・〕

「(正直、紘太と連携で滅茶苦茶無双する未来が見えたなんて言えないよな・・・)」

 

迅は、そう遠くない未来。

紘太と那須の2人が一緒に人型近界民(ネイバー)を倒す未来が見えた。

その鍵となるのがスコーピオンとは、到底信じられないだろう・・・。

因みに、那須本人曰く・・・。

 

「太刀川さんのいう通り新しい戦い方を模索している時に紘太君のスコーピオンを見て思い付いた」

 

と話していた。実際の所、上手くいっているのかは、実況・解説にいる太刀川、三上の2人でも分からない。

紘太が話した通り、不要と感じたら外した方がいいという事は、伝えている。

しかしこの先、これを利用して新たな戦略を立てる事になるとは、まだ本人もわからないでいた。

 

 

 

 

 

場所は、変わり観戦室。

そこには、出水とB級射手(シューター)No.1 二宮がランク戦を見ていた。

 

「どうですか?玉狛第二。凄いでしょ」

「白いチビは、兎も角、あの2人は、正直眼中にない。

俺が気になったのは、那須の方だ」

「確かにスコーピオンをあんな使い方をするなんて思っても見ませんでしたけど」

「全く、何処の馬の骨も分からん奴が訳の分からん知恵を吹き込みやがって・・・。

三上の言う通り、奴のトリオン量も技術も射撃で攻めればいいだけの事だ」

「う〜ん、そうせざるを得ないキッカケができたのかどうか・・・」

「それは個人のことだからこの際どうでもいい。

しかし、玉狛に関して一つ気になった事を言うのならメガネだな。所々、妙に鋭いところがあった。

明らかに剣を使う奴の動きだ。お前なら何か知っているんじゃないのか?」

「多分だけど、綾瀬が関係しているんじゃないですかね?」

「綾瀬?頭突きで訓練用のバムスターを倒したB級か?」

「アイツ、何度か玉狛に遊びに行ってるみたいですよ。

一応、太刀川さんや俺も倒したし、双葉ちゃんの師匠やってるみたいですし」

「・・・何?」

 

二宮が今聞いた話は、耳を疑った。

A級隊員がB級隊員に教えて貰うのは普通だったらまずない。

逆のだったら納得は行く。だが、実際は違った。

 

「いくらお前でも冗談が過ぎるぞ。黒江が、A級がB級に教えて貰うなど・・・」

「その師匠、ちょっと前に話していたアンノウンですよ」

「何だと?」

「更に言うと、そのバムスターを頭突きで倒したのも綾瀬本人ですよ」

 

二宮は、その話を聞いて耳を疑うと同時に合点が入った。元チームメイトの加古から黒江の話は耳にタコが出来るほど聞いている。

だがここ最近、メキメキと力をつけてきたことも知っている。ただでさえ無愛想な二宮も感心するほどだ。

しかし、その正体が名の知らないB級隊員ならどう言う神経をしているのかと思ったがアンノウンだと分かれば話は別だ。

 

「ソイツの戦闘ログは、あるか?」

「ありますけど、あまり数はありませんよ」

 

出水がそういうと用意して貰ったログを見る。

そして二宮は、思わず目を見開いた。

 

「・・・コイツ、トリオン体でありながら力を制限しながら戦っている」

「は?」

 

出水は、言われた言葉に思わず聞き返してしまった。

そして、そのログを見て「あぁ〜」と言う納得の声を上げた。

 

「出水。お前、舐められてないだろうな」

「それはないですね・・・」

「・・・根拠は?」

「以前、本人と話す事があったんですけど・・・」

 

 

 

 

 

事は、大規模侵攻が終了し数日が経った頃、紘太、米屋、出水の3人で昼食を取っていた時だった。

 

【そういやお前、バムスターを頭突きで倒したんだってな】

【何で知ってるんですか?】

【噂になってたぜ。C級隊員に人外現る!ってな】

【・・・失礼な奴ですね。そんなこと言ってる奴いたらトラウマ植え付けますよ】

【・・・怖ぇこと言うなよ】

【んで、実際の所、どうなのよ。そもそも何でそんな事になったんだ?】

【元からですよ。遊真と一緒にボーダーのトリガーに慣れるように練習した時に踏み込む力をミスってそのまま頭突きしただけです】

【・・・お前、そんなに石頭なの?】

【どうでしょう?一応、鉄板凹ませた事はありますけど】

 

因みに、その話を聞いた2人は、これ以上の追及はやめた。

 

 

 

 

 

「・・・ソイツは、人間か?」

「それ、本人の前で言わないで下さいね?結構気にしてましたから」

 

二宮は、紘太のぶっ飛びエピソードを聞いた時、柄にも無く引き攣った顔になった。

因みに、出水は、二宮に力加減を間違えてこうなったと言う事を弁明した事を記載しておく。

 

 

 

 

 

紘太の人外話は、全く耳に入っていない本人はと言うとRound3での試合の反省会をしていた。

 

「・・・してやられたわね。三雲君に」

「・・・まさか、雨取ちゃんに狙撃だけさせて後は、隠れていたなんてね」

「うぅ・・・。私が空閑君を落とせていれば」

 

今、那須達と共にログで見直していた。

紘太は、苦笑いを浮かべながら日浦にドンマイと言っていた。

 

「俺のトータルとしては、迅さんと同じく問題ないでした。

けど玲さん、流石にスコーピオンを晒すのは、不味かったのでは?」

「でも、ダメージを負っている中で通常弾(アステロイド)を生成するよりすぐに対応出来るスコーピオンを選んだの。

正直、変化炸裂弾(トマホーク)を避けられるとは思わなかったの」

「あぁ〜・・・。アレは、驚きました。修の奴、幾らか様になってきましたし」

「綾瀬、もしかして、アンタがやった訓練をやらせてるんじゃないの?」

「やらせてますけど、流石に俺ペースでは、やらせてませんよ。

第一、やらせたら三途の川に行きますからね?」

 

「「「それもそうだね・・・」」」

 

那須隊戦闘員は、全員揃って納得した声を上げた。

 

「ただ、この鍛錬を続けていけばアイツは、もっと強くなりますよ」

「・・・その時が楽しみだね」

 

那須は、紘太の言葉に不敵な笑みを浮かべたのだった。

 

 

 

 

 

那須隊の反省会の終了後、玉狛に向かい修の様子を見に行った。

 

「(一人だけ点を取っていなかったから思い詰めていなければ良いけど・・・)」

 

などと考えていた時、遠目でバムスターが現れたのを確認した。

 

「全く。今日は、厄介日か?」

 

トリガーを起動させ、バムスターのいる場所に向かったのだが、何者が既に倒してしまった。

紘太は、それが気になり念の為、現場に向かった。

 

 

 

 

 

「綾瀬現着ってもう終わったのか?」

「紘太!?」

「綾瀬君!?」

 

現場に到着すると修の他に木虎がいた。

 

「もう終わっているみたいだけど、どう言う状況?」

「三雲君〜!」

「あ、嵐山さん」

「撮影よ。今、私達、広報任務でバムスターを出現させたの」

「あぁ、なるほど。んで、修は、何でここに?」

「いや、その・・・。ちょっと、外の空気を吸いに」

「外の空気を吸いにで、私達の仕事を邪魔しないで・・・」

「ご、ごめん」

 

木虎のジト目に思わずたじろぐ修。

すると修は、すぐに真剣な表情をする。

 

「ところで、木虎って強いよな・・・」

「な、何よ急に!?」

 

紘太は、修の悩みを木虎に押し付けようと考えたが・・・。

 

「(信用できねぇ・・・)」

 

一先ず、事の成行を見守る事にした。

 

 

 

 

 

「忌憚なく言わせて貰うと、空閑遊真に頼りすぎじゃ無いかしら。

エースを起点に作戦立てるのは、定石だけど彼だって絶対に落とされないとは、限らないわ」

 

修は、Round3でのランク戦について意見を聞いていた。

 

「というか、綾瀬君に頼めば良いんじゃないの?」

「綾瀬は、飽くまで戦い方と立ち回りを教えて貰っているだけだ」

「戦い方を教えるのを条件にランク戦の作戦等のアドバイスは、一切関与しない。

教える事の条件を提示した」

「・・・これも条件に含まれてるって事?」

「大規模侵攻みたいな事でなければな」

 

日常の訓練では、紘太の意見は出さない。

しかし、大規模侵攻やトリオン兵といった実戦になってくると話は変わる。

 

「それ、大丈夫なの?」

「風間さん、太刀川さん、その他諸々の人達がレクチャーしてくれてる」

「ネームの強さ・・・」

「ついでに嵐山さんからアドバイスを纏めたノートも貰って時間がある時に読んでいる」

 

一体どこから取り出したのか分からないがそのノートには、付箋といった物がたくさん貼られていた。

 

「・・・話を戻すけど、木虎。

君はどうやって強くなれたんだ?」

「え?どうって・・・。才能があったからかしら」

「嫌な女」

「そこ、黙りなさい!!」

 

紘太の躊躇いも無い言葉に声を荒げる木虎だった。

 

「じゃあ、僕はどうやったら強くなれる?」

「さぁ?そう言った事になった事が無いから分からないわ。

というか、それこそ綾瀬君に聞くべきじゃないの?」

「いや、それは・・・」

「今の修じゃあ、体を壊しかねない」

「どう言うことよ?」

「俺が使う剣術は、そもそも攻撃手(アタッカー)に特化している。

大きい一撃を狙うレイガストだと、相性が悪い」

「ふーん。一応、考えてるのね。それで、話を逸らしたけど、三雲君が体を壊しかねないってどう言うこと?」

「読んで字の如く、俺がやっている剣術の応用を教えようにも基礎体力が重要になる。

その基礎体力ができてないで技を教えたら最悪、吐血する」

「・・・ちょっと待って?生身で訓練してるの?」

「俺は、そうだが?」

「貴方基準で考えたら意味無いでしょ!?三雲君のメイン武器は、レイガストでしょうが!!」

「だから立ち回りを教えている。無理無く負担がかからない動き方を教える為にな。

だから生身で覚えさせている」

「・・・だからって、吐血させる程まで鍛える?」

「甘いぞ、木虎。人間、臨死体験を5回近くやらないと限界は、越えないぞ」

「下手したら死んでるじゃない!誰よ、そんな物騒な事した人は!?」

「実行は、俺。教えたのは、俺の爺ちゃん」

「もう、お腹いっぱいなんですけど・・・」

 

木虎は、紘太のぶっ飛んだ鍛え方に思わず頭を抱えてしまった。

 

「・・・三雲君に教えるのを躊躇った理由が分かったわ」

「・・・ま、まあ、限界は見極めてくれているから」

「頭で考えても強く慣れるとは限らないんじゃない?」

 

すると、ここで傍観していた時枝が話に加わってきた。

 

「・・・頭で考えても」

「そ、そうよ。頭でっかちにならないで、こう、体でね」

 

すると修は、何か閃いたようだ。

 

「木虎!一緒に来てくれ!!」

 

修は、木虎の手を引っ張り本部の方に走っていった。

 

「流石ですね。時枝さん」

「木虎も似たような悩みを持っていたからね」

「同年代には、嫌味ったらしいですけどね」

「けど、君の事は、認めていたみたい。

それでも、大規模侵攻でやった事に対しては怒っていたけど」

「そうですか。それは、本部長に怒られましたから大目に見て欲しいですけど」

 

そう言い紘太も、本部に向かって歩く。

 

「三雲君を追いかけるのかい?」

「はい。多分、人手がいると思いますから。

嵐山さんによろしく伝えておいて下さい」

 

紘太は、時枝に挨拶し本部に向かった。

 

 

 

 

 

そして、本部に到着しランク戦にはいないみたいでどこにいるか探している時だった。

 

「羽織先輩!」

「あ、夏目さん」

 

紘太に声を掛けたのは、雨取の友人、夏目だった。

 

「こんなところで何してるんすか?」

「修が本部に向かって行ったみたいでな。どこにいるか分からなくてな」

「メガネ先輩なら訓練室に向かいましたよ」

「何で知ってるんだ?」

「C級で噂になってましたよ。

メガネ先輩がA級隊員と模擬戦をしているって」

「なるほど・・・。お前も行くか?」

「はいっす!」

 

そして、夏目と共に訓練室に向かう紘太。

 

 

 

 

 

訓練室に到着するとそこには、米屋、緑川、荒船、歌川と言った様々な攻撃手(アタッカー)達が来ていた。

夏目は、観戦席で様子を見ていた。そして、模擬戦相手の中には・・・。

 

「双葉」

「紘太先輩。お疲れ様です」

「お前も来たのか」

「はい。先輩もやるんですか?」

「傍観するつもりだったけど、修って意外と頑固だからな」

 

ポリポリと頭を掻きながらトリガーを出す。

 

「友達が必死に足掻いているんだ。

手助けするのが道理だろ?」

「ですね」

 

その後、双葉と紘太も混ざり修の模擬戦に付き合った。

そして最終的には、修は、力尽き倒れてしまったのだった。

後日、烏丸から聞いた話では、幾らかスッキリした表情をしていた修がいたとか。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
次回から、エルガテス編に突入します。
そして、紘太が大暴れします。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。

月の呼吸は、出しますか? 4/9 0:00まで

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