アザルトリリィ Mechanized Heart 作:渚のグレイズ
天葉様実装おめでとう!!!!!!
で、楠美ちゃんはまだですかー?
『雨嘉さんのレギオン加入試験に立ち会ってください!!』
そんな連絡がシルトである梨璃から届いたのが、つい先程。
どうやら、梨璃のレギオンメンバー集めはかなり順調に進んでいるようだ。
なんというか・・・・シュッツエンゲルとして喜ばしいような・・・・当初の予定と外れて残念なような・・・・
とにかく、頼まれたのだから務めを果たすべきね。
・・・・で、何処に行けば良いのかしら?
―――――――――――†――――――――――
二水さんと連絡を取り、どうにか場所を聞き出した私は、試験会場である屋外訓練場までやって来た。
「雨嘉さん、こちらがわかる?」
指定の場所には一人のリリィがいた。確か・・・郭神琳さん・・・だったかしら?二水さんの話によると、彼女も梨璃のレギオンのメンバーとなったらしいけど・・・・
「そこから私をお撃ちなさい」
なるほど、それがこの試験の内容なのね。
目を凝らして対岸の廃ビルを見れば、その屋上に三人の人影が見える。恐らく、あの中の一人が件の雨嘉さんなのだろう。
「訓練弾なら大丈夫よ。総弾数10発、きちんと狙えたら、私からはもう何も申しません」
それだけ告げて、神琳さんは電話を切ってしまった。
「大丈夫、貴女ならできるわ」
「・・・直に言ってあげたら如何?」
通話を切った後の携帯に向かって喋る彼女を見て、思わず話しかけてしまった。が、特に気にする様子もなく、神琳さんは私に返事を返した。
「お立ち会い御苦労様です、夢結様」
「お構い無く、梨璃に頼まれましたから」
必要最低限の挨拶を済ませ、私達は押し黙る。
長く続くかの如き沈黙。それを破ったのは、神琳さんの独り言だった。
「撃ちなさい雨嘉さん。撃って、貴女が一流のリリィであることを証明なさい」
それに応えるように、向こうから訓練弾が飛来してきた。直撃コースだ。
正確に、神琳さんを狙って放たれた弾丸は──────
「ふっ・・・・!」
神琳さんの振るったCHARMに弾かれ、彼女に命中することはなかった。
「雨嘉さんとの距離は約1㎞。アステリオンの弾丸の初速は毎秒1,800mだから、瞬きするくらいの時間はあります。狙いが正確なら、かわせます」
「なるほど、正確ね・・・・いつものCHARMは使わないのね」
今更だが、彼女は普段使用している自身のCHARM“
「対等の条件にしておきたいので」
・・・・対等、ね。そう想っているということは、神琳さんは今の雨嘉さんを下に見ている、という風に思えるわね。
なんて考えている間に、六発目の弾丸が弾かれた。
あと、四発。
と、その時だった。
「・・・!風が───」
海から強風が吹く。これでは弾が逸れてしまう。
私なら、ここは一度やり過ごして機会を伺うだろう。
しかし、雨嘉さんは撃った。
風速と方向を計算し、先の六発とまったく同じ場所に、見事七発目を命中させてみせた。
続けて八発目・・・・命中。九発目・・・・命中。
いよいよ最後の十発目となった。
ここで更に風向きが変わる。
それでも彼女は、諦めることも、やり過ごすこともなく、撃った。
瞬間、神琳さんが徐にアステリオンから媽祖聖札へと持ち替え、訓練弾を弾き返した。
まるで巻き戻しされるかのように、訓練弾は雨嘉さんのもとへと飛んで行き・・・・雨嘉さんは自身のCHARMで、それを防いでみせたのだった。
想定外の事態は起きたが・・・ともかく、彼女は見事、十発の訓練弾を当ててみせた。
「お見事でした、雨嘉さん。貴女が優秀なリリィであることは、これで誰の目にも明らかだわ」
雨嘉さんへ電話する神琳さん。その表情は、どこか憑き物でも落ちたかのように、すっきりしていた。
「ありがとうございました、夢結様」
「いえ。貴女も見事だったわ」
お礼を言う彼女に、世辞ではなく、心からの称賛を贈る。
「・・・・私、雨嘉さんが妬ましかったんです。エリートの家に産まれ、才能にも恵まれて・・・・・なのに本人は自信を持てなくて悩んでいるなんて・・・・何なのよこの子はって、腹も立ちませんか?」
「・・・・ずっと、腹を立てていたの?」
「はい。でもこれでスッキリしました」
・・・・・なんと、言うか
「私が言うのもなんだけど・・・・貴女もなかなか面倒な人ね」
「よく言われます♪」
そう言って、神琳さんはにこやかに笑ってみせたのだった。