アザルトリリィ Mechanized Heart 作:渚のグレイズ
「本気ですか?」
「はい」
紋瑪は、理事長代行と史房に対して、ある提案をしていた。
「G.E.H.E.N.A.からの依頼・・・・こんなものに答えようだなんて・・・・正気とは思えません」
「正気でいられないようなことだからこそ、受けるんですよ」
「・・・・“上の連中”から、何か言われたのかね?」
少し、言い淀んだあと、紋瑪は口を開いた
「G.E.H.E.N.A.は、この実験で“リジェネレーター”持ちを使い潰すつもりです」
「なんですって!?」
「理事長代行、行かせてください。私には、
「むぅ・・・・」
悩みつつも、理事長代行が下した決断は────
この手紙を読んでいるってことは、私がG.E.H.E.N.A.からの実験参加依頼を受けたってことで、それを理事長代行が許可してくれたってことね。
本来なら貴女がこの実験に参加する予定だったんだけど、私が無理矢理横取りしちゃいました♪
これは、私なりの罪滅ぼし。
彼女の全てを奪い、貴女を殺そうとした、私なりの・・・・
別にあの時の事を、こんな程度で許してもらおうとは思ってなんかいないし、私の事は一生恨み続けてくれても構わない。
こんなものは、結局只の自己満足でしかないのだから。
うーん・・・・いざ、こういうのを書こうと思うと、なかなかむつかしいわね・・・・
とにかく私が言いたいのは、鶴紗ちゃんは気にしないで!ってこと。
私のことが心配だからって、追っかけてきちゃ、ダメだよ?
それじゃあ、さよなら。元気でね。
追伸.
もし、私が帰ってこなかったら、鶴紗ちゃん私の代わりに梨璃ちゃんのレギオンに入ってあげてください。
勝手とは思うけど、よろしくね。
「そんな・・・・こんなのって・・・・っ!」
「あ!?梨璃さん!」
手紙を読んだ私は、鶴紗さんを追いかける。
「鶴紗さん!」
「────────一柳」
校門から出て行こうとしている鶴紗さんは、見知らぬ赤い上着を着ていた。
「・・・・・・何か用?私、急いでいるんだけど」
「鶴紗さん、私も連れて行ってください!」
「・・・・・止めた方が良い。自分から死にに行くようなものだから」
「それでもっ!!」
「あら、シュッツエンゲルである私にすら、挨拶もしないで何処へ行くというの?」
「お姉様・・・・」
背後からお姉様と、その後ろから二水ちゃんもやって来た。たぶん二水ちゃんがお姉様を呼んできたんだろう。
「二水さんから話は聞いたわ・・・・紋瑪さんの手紙も」
「ならっ!」
「だからこそ、よ」
「・・・・え?」
「紋瑪さんは、貴女を巻き込みたくなかったから、黙って出て行ったはずよ」
「それは・・・・」
「鶴紗さんも、よ。貴女にこの手紙を遺したのは、貴女に来て欲しくないから。それくらい、貴女だって分かっているはずよ」
「──────────」
お姉様の正論に、私も鶴紗さんも押し黙る。
「───────────白井様の言うことは、分かります」
「鶴紗さん・・・?」
決意を込めた瞳で、鶴紗さんはお姉様を見据える。
「それでも私は、“彩芽”との約束を果たさなくちゃいけないんです」
「紋瑪ちゃんとの・・・・?」
と、その時。校門前にリムジンが停車し、中から白衣の男性が現れた。
「安藤の娘だな?」
「ああ・・・・あんたが迎えか?」
「そうだ・・・・後ろの連中は?」
「関係無い」
「そうか。ならば乗れ」
男性に促され、鶴紗さんはリムジンに乗る。
「一柳。悪いけど、あんたのレギオンには参加できそうにない。他の人を探すべきだと思う」
それだけ告げて、鶴紗さんを乗せたリムジンは行ってしまったのだった。
「梨璃・・・・」
「梨璃さん・・・」
私の肩にお姉様が手を乗せ、二水ちゃんが隣から心配そうに覗きこんでくる。
「───────────だからって」
「梨璃?」
「だからって、諦めきれないよ・・・・!紋瑪ちゃんのことも、鶴紗さんのことも!!」
だから、私──────
「私、二人を連れ戻しに行きます!!!」
─
■■月■■日
今日、新しい
なんでも先天性色素欠乏症である為、こっちに回されたのだとか・・・・連中は良いよな、贅沢に税金を使えるんだから。
しかし文句を言った処で金が増えるわけでもなければ、目の前の結果が覆るわけでもない。
端的に言えば、“コレ”は欠陥品だ。
今行っている適合検査の結果は“0%”
クソの役にも立たない生ゴミ、ということだ。
しかしこのまま“コレ”を生かしておけるほど、我々も裕福ではない。
可哀想だが、“コレ”には明日、適合手術を受けてもらう。
しかしこれだけ低い数値ならば、発狂することなく即死できるだろう。“コレ”にとっては、それが唯一の救いだな。此方としても、発狂してぶちまけた汚物の消毒をしなくて済む。
何はともあれ、全ては明日だ。
あーあ、”G.E.H.E.N.A.に入社できれば勝ち組“って噂は、ありゃウソだったみたいだなぁ・・・・・