アザルトリリィ Mechanized Heart 作:渚のグレイズ
ここは横浜港のコンテナ置き場。
私達は新型CHARMの実証実験の為、現在ヒュージと交戦中だ─────私以外が。
「はぁ・・・・めんどくさ・・・・」
私はこうして、後方で
正直言って、こんなポンコツで戦おうとするのは自殺行為だと思う。
渡された試作品は、攻撃力こそ高いが、防御力は紙っペラも良いとこのロクでもない代物。そして相手はラージ級が複数体。
こんなん持たされてアレと戦えとか、死刑宣告もいいところじゃん。かったる・・・・・百合ヶ丘帰って鋼傑ビークの続きが視たい。
・・・・・・今更、どの面下げて帰るってのよ。
G.E.H.E.N.A.は私が、私だけが扱える
でも、フルに
そうなるって分かってて、それでも、私はここに来た。それなのに、試験放って帰れるわけがない。
「─────────仕方ないわね」
気付けば戦況はヒュージ側有利な状況に。今も一人のリリィが倒れ、そこへ向かってヒュージが攻撃を仕掛けようとしている。
私は与えられた試作CHARMを、そのヒュージへと投擲し、迎撃してみせれと、倒れたリリィの傍まで来る。
「あ・・・・あなた、今更何を─────」
「うっさい邪魔」
「あっ!?」
へばってるリリィを蹴り飛ばして選手交代。
さて・・・やってやろーじゃないのよ、クソッタレ。
「一体に付き、一撃。それ以上は不要よ」
そう宣言し、私は迫り来るヒュージの群れと相対する。
――――――――――♣♧♣―――――――――
私は今、何を見せられているのだろうか・・・・
今回の実証実験に同行してきた彼女は、同じリリィなのか疑いたくなる程やる気を感じられなかった。
実際、先程まで彼女は後方で何もせず、ただ見ていただけだった。
なのに───────
「なに・・・・なんなの、これ・・・・?本当に、私達と同じリリィなの・・・・?」
あの時と同じ言葉を、あの時とは真逆の意味を以て、呟いた。それほどまでに彼女の動きは、常軌を逸していた。
「大丈夫!?」
「あ・・・・先輩」
そこに、先輩がやってきて私を引っ張り起こしてくれた。
「先輩、あのリリィは・・・」
「───────ハウンド・グリント」
「!?それって・・・・」
ハウンド・グリント
かつてG.E.H.E.N.A.にあったと言われている、狂化リリィ専門の懲罰部隊。
狂化リリィが完全にヒュージ化する前に処理できるだけの技量を持った、強化リリィの集団だったのだが、数年前に部隊長が消息を絶った為に解散したと聞いていたけれど・・・・
「彼女、が・・・・」
「中でも、“ムニン”というコードネームを持ったリリィは、その異様な迄に白い肌と髪から別名『神の使い』とも、呼ばれたそうよ」
「異様な迄に白い肌と髪・・・・まさか」
彼女の方向を見た時、既にラージ級ヒュージは全滅していた。
山と積まれたヒュージの死骸の頂上で、彼女は少し眠そうにあくびをしている。
表情一つ変えてない彼女に、背筋が凍りついた・・・・・
─
■■月■■日
あの欠陥品・・・・適合手術に成功しやがった!
しかもここに来た当初よりも知識レベルが格段に上がってやがる・・・・まさか、主任の探してた“適合者”って奴か?
今だって、どんどん知識を会得していってる。その内追い付かれかねんぞ・・・・
だが、精神の方はまだまだガキだ。いや、だからこその成長速度なのか?
どちらにしても、こいつのお陰で俺は職を失わずに済んだっつーワケだな。
一時はどうなることかと思ったが・・・・こいつに感謝だな