アザルトリリィ Mechanized Heart 作:渚のグレイズ
鶴紗ちゃんの誕生日メモリアストーリーの神琳と鶴紗ちゃんのやり取り、良いよね・・・・そしてそれを眺めてほっこりしてる雨嘉ちゃんェ・・・・(笑)
百合ヶ丘女学院工廠科の一角。そこには、私がお世話になっているアーセナルの方の
「ごきげんよう百由様。お久しぶりですわ」
真島百由
アーセナルでありながら、ヒュージ研究も行って降り、この一年間で提出したマギに関する論文は51本にもなるという超の着く天才。
私の身体はとある事情により、
大方今回は入学式前に済ませておきたいとか、そんな感じの要件なのだろう。
「はーいごきげんよう、ごめんねえ今ちょっと立て込んでて」
「聞きましたわ。標本にする予定だったヒュージを逃がしてしまったのだとか」
なんでも、周囲の環境に擬態し溶け込む能力があるそうな。カメレオンか何かかな?
「夢結様と、彼女の近くにいた新入生、あともう一人が討伐に出たとも聞いてます」
「らしいわねー」
会話しながらも衣服を手際よく脱いでいく。
そういえば、梨璃ちゃんは一人でちゃんと百合ヶ丘の制服を着られるのかな・・・・?
もし無理そうなら、明日からは私が朝イチで梨璃ちゃんのお部屋まで行って着替えを手伝ってあげても─────
「えーっと、楓・J・ヌーベルさんと・・・・一柳梨璃さんって子が、夢結と一緒に討伐に出たそうよ」
「へぇ、楓さんと梨璃ちゃんが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんですって?」
「楓さんって言ったら、グランギニョルの総帥の娘さんよねー。もう一人の子は・・・・聞いたことない名前ね?あやっち、知ってる?」
「百由様」
ずすいっと、百由様に詰め寄る。
「わぁおガチ恋距離。どしたのー?てか、相変わらず下着着けてないのね、あやっち」
「今、なんとおっしゃいましたか?」
「ガチ恋距離?」
「その前!!」
「楓さんって言ったらー」
「その前っ!!!」
「えーっと、楓・J・ヌーベルさんと、一柳梨璃さんって子が────ってちょっとちょっと!?上すっぽんぽんで何処行こうとしてるのよ!?!?」
「こんな事してる場合じゃねーのですわ!!!梨璃ちゃんの命の危険が危ないのですわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
夢結様に羽交い締めにされ、身動きが取れないぃぃぃ・・・・!
こんな事をしている間にも梨璃ちゃんが・・・・梨璃ちゃんがががが!!!!!!
「百由様おるかー・・・って紋瑪お主なんちゅー格好しとるんじゃ!?」
「ぐろっぴ良いところに!あやっちを止めて!!でなければ上着を着せて!!!」
「いやいや!?どっちもわしには難しいんじゃが!?」
「HA・NA・SE!」(ATM感)
「ええい!落ち着かんか紋瑪!!いったい何があったのじゃ?」
百由様と一緒に私を押さえつけるミリアムちゃんの一言を受け、状況を簡単に説明する。
「梨璃ちゃんが夢結様と楓さんと一緒に逃げたヒュージ追っかけてったのよ!」
「なんじゃ、そんな事かい。心配なぞ必要なかろうて」
「必要だから焦っているのよぉぉぉぉ!!!!!!」
「なぜじゃ?ヒュージ討伐に名乗り出るくらいじゃし、それなりに腕に覚えが────」
「梨璃ちゃんがCHARMとの契約すらしてない超が付く程のド素人だからよ!!!!!!」
「「・・・・・・・・へ?」」
二人が私を押さえる力が弱まった!今がチャンス!!
「待ってて梨璃ちゃん今参りますッッッ!!!!!!」
「あ、ちょっとあやっち!せめて制服を持ってってよ~!」
「そんな場合じゃないぞ百由様!!紋瑪の言う事が本当ならば、かなり危機的状況じゃぞ!?」
「いやまぁそうなんだけど・・・・あやっちが行くなら、大丈夫じゃない?」
「まじかぁ・・・・?」
百由様が投げ渡してくれた私の制服を小脇に抱えて、私は梨璃ちゃんのもとへと急ぐ。
―――――――――――†――――――――――
あー、もう!!なんで私のスキルは"鷹の目"じゃないのよ!!!こういう時こそ"鷹の目"が役に立つってのにぃ・・・・
今、私は切り通しと呼ばれる崖の辺りにいる。
ヒュージ脱走の報告から今現在までの経過時間を考えると、たぶんこの辺りにいるはず──────
「居た!ヒュージ!───────って、梨璃ちゃんが!?」
近くの縦穴からヒュージが現れ、梨璃ちゃんに襲い掛かろうとしている。梨璃ちゃんはまだヒュージに気付いていない。
とか言ってる間にヒュージの接近に気付いた他の二人が、CHARMを構えて梨璃ちゃんに警告してくれるが、時既に遅し。
「だったら私が間に合わせるっ!!!」
自分のCHARM"シャルルマーニュ"を構え、梨璃ちゃんとヒュージの間に障壁を展開。一先ずの危機は去った!
「梨璃ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」
「ふぇ・・・?紋瑪ちゃ・・・・ってなんて格好してるの!?」
「貴女!人目が無いからといって、軽率にトップレス姿を晒すものではありませんわ!!」
「梨璃ちゃんが救えるのであれば、恥も外聞もくずかごにダンクシューッッッ!ですわ!!」
「言ってる意味がわかりませんわ!!!!!!」
「とにかく、今のうちに一度引いて、態勢を建て直します」
私と楓さんがぎゃーぎゃー言い合っている間に、夢結様がご自分の制服のボタンをちぎり、地面に投げた。瞬間、周囲が目映い光に包まれる。何の光ぃ!?──────いや知ってるけど。
熟練のリリィは身に付けている物にマギを通す事で、武器にする事ができると聞いたことがある。
流石は百合ヶ丘のエースたる夢結様、といったところか。
さて、私も撤退撤退~。
―――――――――――†――――――――――
「貴女、CHARMも使えない癖に、いったい何をなさるおつもりでしたの!?」
近場の隠れられそうな場所まで引いた私達。とりあえず私は腰に巻き付けていた制服を着るとして、その間に楓さんが梨璃ちゃんに壁ドンして詰め寄っていた。──────良いなぁ、私も梨璃ちゃんに壁ドンしたいなぁ。
「ご・・・・ごめんなさい・・・・」
「いいえ、一柳さんをそこまでの初心者と見抜けなかった私の責任です」
「夢結様それは・・・!だからって、自重すべきでしょう」
二人の言葉にしゅんとしてる梨璃ちゃん。ああ、可哀想可愛いなぁ・・・・
「今回ばかりは、私もお二人に同意見です」
「紋瑪ちゃん・・・・」
「・・・・心配、したんだよ?」
「ごめんなさい・・・・本当に」
制服を着た私は梨璃ちゃんの頭を撫でる。反省してくれたなら、何より。
「二人共、少しの間周囲の警戒を頼みます」
「はーい。了承しましたわー」
「それはよろしいのですが、夢結様は?」
「略式ですが、今此処でCHARMとの契約を行います」
なるほどそういう・・・・・それ、私がやってあげたかったなー。
「ところで貴女、さっきの、なかなか良いCHARM裁きでしたわよ」
「あらあら、グランギニョルの総帥令嬢様に褒められるなんて・・・・光栄ですわね」
「その調子で、私の引き立て役もお願いしますわ」
「どうせ私、攻撃よりも防御の方が得意ですし、お邪魔にならない程度にサポートしてあげます」
等と話している間に、件のヒュージが現れた。
今回は真上から。逃げも隠れもせずに堂々と襲撃してくるとは・・・・!
「舐められたものっねぇ!!」
小さな障壁を展開し、ヒュージの攻撃を最小限のマギで弾いていく。
これこそ、私が提唱するタンク役の新たな戦術。その名も『
相手の攻撃を先読みし、そこに必要最小限のマギで造った障壁を展開、タンク役の持久力を高める画期的な戦術である。
しかしこの戦術、本来想定している多対一の戦場では『ファンタズム』もしくは『この世の理』が無ければ役に立たない等と批評され、現状、あんまり見向きもされていない。二川さんは知ってたみたいだけど・・・・
「さあ!フィニッシュでっ!?急に視界が・・・・!?」
私の防護の合間を縫って楓さんが攻撃を仕掛け続ける。そしてトドメの一撃を与えようとした瞬間、ヒュージが煙幕を張った。
「ただの目眩ましかな・・・?それとも・・・・」
「どっちにしても、これじゃ私のカッコいいところを、夢結様にお見せできませんわ!!」
「楓さんは私の後ろに立ってて!!下手に動くと同士討ちする!!」
「くぅ・・・・おっしゃる通りで!」
目が見えないなら、気配を辿るだけ──────
「陰が見えたっ!10時の方角!!」
「決めますわ!」
私の指示に楓さんが飛び出す。
だけど、ちょっと待って。確か、そっちの方角って──────
「待ってください!」
「え?」
「不味い!?間に合え!!」
楓さんの進路を妨害するように、障壁を展開。それで楓さんの動きは止まった。
煙幕が晴れた時、障壁の向こうにいたのは
「ま・・・・間に合ってた・・・・良かった~~」
「ゆ・・・夢結様!?申し訳ありません・・・・」
「ごめんなさい楓さん・・・大丈夫でしたか?」
「はい、私は・・・・」
「あのヒュージ、私達の相討ちを狙ってた・・・・」
「まさか!?ヒュージがそんな知恵を・・・・」
夢結様の意見に同意する。あの動き方は間違いなく、同士討ちを狙ってのもの。まさか、煙幕はそのための?だとしたらあのカメレオン、相当小賢しいわね・・・
「一柳さんとそこの彼女にお礼を言うべきね。彼女達がいなければ、今頃貴女、私に真っ二つにされていたわよ」
自分の心配はしないのか・・・・
「くっ・・・!貴女、眼は良いのね」
「あはは、田舎育ちなもので・・・・」
「それと紋瑪さんも・・・・」
「私は、自分に出来る事をやったまでですんでー。ところで梨璃ちゃん、契約の方は──────」
聞こうとした瞬間、再び煙幕が立ち込める。
梨璃ちゃんと夢結様を巻き込んでの煙幕。ならば、ヒュージの狙いは─────
「ッ!」
私が障壁を張るよりも先に、夢結様が自身のCHARMでヒュージを切り払っていた。
そこから先は夢結様の
不意に、ガチャン!という音が隣から聞こえてきた。梨璃ちゃんのCHARMが起動した音だ。
楓さんにも聞こえていたらしく、梨璃ちゃんの隣を陣取った。うらやましい・・・・
「一撃でしてよ!それくらい、合わせられて?」
「っ!はい!!」
「なら、私が援護します!!」
二人の突撃を察知した夢結様が身を引く。
私の役割はただ一つ。
「梨璃ちゃんの初戦闘なんたから・・・・大人しくしやれァ!!!」
迎撃しようと展開していた触手のような物を、障壁でもって押さえ付ける。コースは開いた。
「「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」」
見事、二人の一撃はヒュージに致命的な打撃を与えた!
「やった・・・・倒したぁ~~!」
「いいえ、まだよ!」
しかしヒュージはしぶとかった。唯一残った一本の足を使い、梨璃ちゃん(あと楓さん)に飛び掛かってきた!
「はぁ!」
のだが、手負いのヒュージ如き、夢結様の敵ではない。あっさり両断され、ヒュージは漸く撃退された。
「楓さん!」
「ふぇ?」
梨璃ちゃんの叫びにそちらを見ると、楓さんの上方、崖が崩れ岩雪崩が起きていた。
それに気付いた梨璃ちゃんが近くの縦穴へ楓さんを突き飛ばしたのだ。
更にその上からヒュージの体液が!?
「梨璃さん!」
「梨璃ちゃん!」
夢結様が梨璃ちゃんに覆い被さり、私はその上に障壁を張る。今回私、障壁張ってばっかりじゃね?
とにかく、これにて脱走ヒュージの撃退任務は成功した。
梨璃ちゃんに怪我もなさそうだし、一件落着ね!
お疲れ様でした~♪
緋坏紋瑪─その3─
この戦いの後、しばらく百合ヶ丘にて『半裸の女』が怪異として噂されることになるが、それが自分の事で広めたのが二水であることを、紋瑪は知らない。