アザルトリリィ Mechanized Heart 作:渚のグレイズ
そういうこと、あると思います。
校舎に戻った私達は、それぞれメディカルチェックを受ける事になった。
特に梨璃ちゃんと夢結様はヒュージの体液を被ったのだし、念入りにして貰わないと・・・・
「でもあやっちがバリアで守ったんでしょう?」
「確かにそうですが、念には念念念!ですわ!!些事を見過ごして大事になっては目も当てられませんもの!!!」
「そうねー」
ちなみに私はというと、さっき後回しにしたメディカルチェックを今やってもらっている最中である。
「よし!問題ナシ!!もー良いよー」
「ありがとうございますー」
百由様からOKサインが出たので、診察台から起きて着替える。
「あやっちも行くでしょ?夢結と一緒にヒュージを討伐してくれた子達のところ」
「勿論です。百由様が行かなくとも、私は行きました」
「ナチュラルに置いていく気だったかー・・・・」
―――――――――――†――――――――――
検疫室の前に到着した私達が見つけたものは、膝を抱えて踞る一人のリリィの姿だった。その髪の色には見劣りがある。
「・・・・楓さん?そんなところでなにしていらっしゃいますの?」
「──────────紋瑪さん」
「おっ、検疫終わってるじゃない~♪んじゃ、お先~」
「あ、はーい。ごきげんよう」
百由様が検疫室に入っていくのを見送り、私は楓さんの隣に立つ。
「─────────────」
「・・・・・・・・・・・・・」
はぁ・・・・梨璃ちゃん、大丈夫かなぁ?
あのあと、左腕を怪我していたことを知った時は、心臓が止まるような想いだったわ・・・・・
「───────紋瑪さんは」
「はい?」
梨璃ちゃんの心配をしていると、楓さんが話しかけてきた。
「紋瑪さんは、梨璃さんとは仲がよろしいので?」
「ええ、そりゃあもう!とは言っても二年前に出会ったばかりで、後は遠距離でしたけど」
「ふぅん・・・・・そうでしたか」
んー?なんだろう・・・・・楓さんからイヤ~な気配が────
と、その時、検疫室から梨璃ちゃんと夢結様が出てきた。百由様はいない。大方、検疫結果をまとめている最中だろう。
そんな事より梨璃ちゃんよ!!
「梨璃ちゃ─────」
しかし───────
「え?」
私が梨璃ちゃんに抱きつくよりも速く、
「え・・・・あの・・・・私、梨璃だよ?」
「存じておりますわ」
突然の事過ぎて頭の処理が追い付かない。これは一体どういうこのなの?
「信じて欲しいのですが、私、それほどはしたない女ではございませんのよ・・・・?」
あの女は何を言っている?というか、何をしている・・・・?
理解の追い付かない私に、見せつけるかの如く言い放たれた楓さんの次の一言が、私を漸く現実に引き戻した。
「申し訳ありません夢結様・・・・私、運命のお相手を見つけてしまいましたの」
う ん め い の お あ い て・・・・?
「楓さん・・・・・・・?どういうつもりですか・・・・・?」
「どうもこうもありませんわ。梨璃さんこそが、私の運命のお相手だった、というだけの事」
「夢結様の事をお慕いしていたのでは?」
「私、過去は振り返らない主義ですの」
「いっぺん、己の行いを省みてはいかが?」
「残念ですが、私に反省すべき点など、どこにもありませんわ」
「大した自信ですね────────
「まぁ怖~い。さ、梨璃さん♪あんな脳筋女は放っておいて、私達はまいりましょうか」
「え?え?えぇ???」
「ええい!!こンの尻軽女ァ!!!その汚い手を梨璃ちゃんから離せってんです!!!!」
こうなったら実力行使あるのみ!物理的にひっぺがす!!
「尻軽とは聞き捨てなりませんわ─────ちょっと何をなさるの!?」
「梨璃ちゃんから離れろ、と申しておるのです!!」
「はぁ!?そっちこそお退きなさいなモブ顔!!梨璃さんと私は、運命の赤い糸で繋がっているのですから!!!」
「モブ……!?ぽっと出のクセに言うに事欠いてェェ!!!」
「やりますの!?」
「やらいでかァ!!!」
「ふ・・・・二人とも、やめてぇ~~~~~!!」
私と楓さんに挟まれた梨璃ちゃんの悲鳴が、廊下中に響き渡った。
――――――――――♣♧♣―――――――――
「──────入学式、もう終わっちゃってるよね」
私を挟んでケンカする二人を仲裁した後、私達は入学式の会場である講堂の入口まで来ていた。
あれからだいぶ時間が経っちゃってるし、みんなもう居ないよね・・・・
そう思いながらも、扉を開けようとして──────
「・・・・楓さん、梨璃ちゃんの為に扉を開けてあげてください」
「貴女の指図は受けたくありませんが、梨璃さんの為なら、仕方ありませんわね」
右腕を楓さんが、左腕を紋瑪ちゃんが、それぞれ腕を組んでいるから、今私は歩くくらいしかできないでいる。まぁ、これで二人が仲良くしてくれるなら・・・・
「───────────え?」
楓さんが開けてくれた講堂の扉、その奥には──────
「居たぁーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?!?」
みんなが、居た。
多分新入生だけだろうけど、それでも、私達を待っててくれていた。
「梨璃さん!入学式はこれからですよ!」
「二水ちゃん!」
私達に気付いた二水ちゃんが、こちらに歩み寄ってくる。他にもたくさんの人が。
「今日一番の功労者のためにって、理事長代行が時間をずらしてくれたんくれたんです!」
そうだったんだぁ・・・・・
「おおー♪有名人ども!」
「あ、ミリアムちゃん」
「初陣でCHARMと契約してヒュージを倒したり、半裸でかっ飛び回ったりとは、やらかしおるわい!」
「わ、私は足を引っ張っただけですよ!」
「半裸でかっ飛ぶ?何の話?」
「ふむ?これには、そう書いてあるがのう?」
紋瑪ちゃんがミリアムちゃんと呼んだ人が、一枚の紙を取り出して見せてくれる。
「なんですの?それ?」
三人でそれを覗いてみると、こんな事が書かれていた
『新人リリィ、脱走したヒュージを見事撃退!!』
「わぁお♪梨璃ちゃん有名人~♪」
「私が刷りました!週刊リリィ新聞の号外です!!」
「わ・・・・私、別にそんな大したことできてないし、ヒュージを倒したのは夢結様で・・・・」
「そんな事ありませんわ!梨璃さんは立派でした!!」
萎縮する私に、楓さんが頬擦りしてくる。
「ああああああああああああああ!!!!!!まだあんだわァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
「まったくやかまぐぇ!?いい加減あったま来ましたわァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
そして始まる取っ組み合いの大喧嘩。
「ああ、また・・・・」
「え?何ですかこれ?どういう状況なんです?」
「私にもわかんない・・・・」
「良いぞ良いぞ~♪やれやれ~なのじゃ♪」
何はともあれ、私の新しい生活は、こうして幕を開けたのです。
そういえば、夢結様は・・・・?
「それで、どうしてあのお二人は喧嘩なさってるんですか?」
「ぽっと出のドロボウ猫のクセにぃぃぃぃ!!!」
「二年もありながら進展しなかった癖に!!!!」
「よくわかんないけど、私がどうとか・・・・」
「梨璃さんが!?まさか梨璃さんを巡っての三角関係!?」
「「貴女なんかに梨璃
「あ、次回は梨璃さんがシュッツエンゲルの契りを結びます!」
「「なんですって!?!?」」