アザルトリリィ Mechanized Heart 作:渚のグレイズ
翌朝────
防音素材で出来た衝立で区切られた、畳一畳分のスペースから出る。こういう狭い場所の方が寝る時とか落ち着くのよね~。まぁ、それだけが理由って訳じゃないのだけどね。
「ごきげんよう、紋瑪さん」
「ごきげんよう、楓さん。昨日はごめんなさいね、突然ルームメイトになりたいと言ったりして」
「ま、仕方ありませんわ。本当は梨璃さんとルームメイトになりたかったのですが・・・・貴女からの申し出を断って、梨璃さんに嫌われる訳にもいきませんですし」
「打算的~、おかげで助かったから文句はありませんけど」
今更だが、私は楓さんとルームメイトになった。彼女の部屋は寮の部屋三つをぶち抜いて一部屋にしている。彼女の実家が学院に多額の寄付金を支払ったらしく、それ故に許されているのだとか・・・・・少し横暴じゃね?
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朝食を済ませ、組分け表の確認をしに行こうとしたその時、私の第六感が梨璃ちゃんの(貞操の)危機を訴えた。
「キュピーンと来ましたわ!梨璃ちゃん今行きます!!」
梨璃ちゃんの匂いをかぎ分けて、たどり着いた先は化粧室。そこには楓さんと・・・・・誰だっけ?あら何とかさんが梨璃ちゃんを巡って静かに争っていた。やあねぇ、不毛な争いをしちゃって。
「梨璃ちゃん梨璃ちゃん」
「あ、紋瑪ちゃん」
「今のうちに、こっちへ」
「「そこ!!抜け駆けは
「ちっ・・・・・」
バレてしまっては仕方ない・・・・梨璃ちゃんを守る為、やぁぁぁってやるわ!!
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三つ巴の大乱闘は、騒ぎを聞き付けてやって来た教官によって止められた。三人共々こってり絞られ、現在。
逃げた梨璃ちゃんの捜索をしつつ、本来の目的である組分け表の確認をしに移動する。
「あ!緋坏さーん!」
「あら、二川さん。ごきげんよう」
「ご・・・・ごきげんよう!!」
頬を紅潮させて、二川さんが挨拶を返してくれる。この娘が相当なリリィオタクなのは昨日確認済みなのだけど、私、こんなに緊張される程の有名人って訳でもないような気がするんだけどなぁ・・・・
「緋坏さんも、組分けの確認ですか?」
「それもあるけど、梨璃ちゃん知らない?はぐれちゃって・・・・」
「梨璃さんですか?私は見かけておりませんが・・・・・あ、居ましたよ!向こうです!」
二川さんが指差した先、ちょっとしょんぼりした様子の梨璃ちゃんが歩いて来くのが確認できた。
「梨~璃ちゃ~ん!」
「・・・・・あ、紋瑪ちゃんと二水ちゃん」
「梨璃さん、ごきげんよう」
「ご・・・ごきげんよう」
慣れない
「組分け表はもう見ましたか?私達、同じクラスですよ!」
「ほんとに!?やった~♪」
「そ~んなに喜んで戴けるなんて、嬉しいですわ~♪」
げっ、出たわね楓さん。
「そこ、口に出てますわよ」
「あらやだいっけない。ま、これからしばらく、宜しくお願いしますね」
「「え?」」
・・・・ん?何、その反応?
「えっと・・・・非常に、申し辛いのですが・・・・・・」
「なぁに?」
「緋坏さん、クラス違いますよ・・・・?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?
「ま・・・・またまた~。そんなご冗談を」
「あら本当ですわ」
「えマジで?」
楓さんに指摘され、慌てて組分け表を確認する。
梨璃ちゃんは───────一年椿組。隣には楓さんの名前と二川さんの名前がある。五十音順だから当然ね。悔しいけど、こればっかりは仕方ない事だわ。
で、私の名前だけど・・・・・・・・・
「・・・・・・・・無い」
「・・・・無いね」
「はい、無いです」
「無いですわねえ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・う
「嘘だそんな事ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・」
晴天の空に、私の嘆きの声が、響き渡った……
緋坏紋瑪─その4─
クラスは李組となった。
クラス名なんて読むのかな、これ。樹木の名前らしいけど・・・(無知)