アザルトリリィ Mechanized Heart 作:渚のグレイズ
生徒共有の大浴場は、学年毎に使用時間が決められている。今は、私達一年生が使用できる時間帯である。
「梨璃さん、どこか気になるところはありませんか?どこであろうとお流しいたしますよ・・・・ぐふふ♪」
「何処触ろうって魂胆ですかー?ぶん殴りますわよー?」
「なんて野蛮な・・・・!?別に疚しい事などございませんわ!」
「本当ですか?ずっと気になってましたけど、楓さんが梨璃さんを見る目、なんか邪です」
そうだそうだー。二水ちゃんはもっと言ってやれー
「まさか!こんな純粋な眼差しの私が!?」
「どの口が宣うか」
「手が滑りましたわー、なんて言って変なとこ触ろうとしてませんか?」
「くっ・・・余計なことを・・・!梨璃さんに変なところなどございません!どこでもOKですわ!!」
「それを決めるのは梨璃ちゃんでしょうが。つーか今余計なことって言いましたよね?」
「大げさだなぁ。大丈夫だよ、女の子同士なんだし」
「えっ!?よろしいんですの!」
「良かァねーですよ!頭ン中お花畑か!!」
「まったくじゃな」
おしゃべりしながら身体を洗っていると、後ろからミリアムちゃんが話しかけてきた。
「よいか梨璃、世の中にはいろんな奴がおる。どんな性癖も認められて然るべきなのは言うまでもないが、己の欲望を駄々漏れにするのは戒むべきことじゃ。紋瑪とそこのちびっこがのたまったのはそういうことじゃな」
「がびん!ちびっこにちびっこって言われたぁ!!」
まぁ二水ちゃんちっちゃいからね。さて、それじゃ
「梨璃ちゃん向こう向いてくださいな。背中流してあげます」
「ありがとう、紋瑪ちゃん」
「どさくさ紛れになにしてやがりますの!!!」
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人によっては長時間入浴する者もいるだろうけど、私はなるべく短く済ませたい人だ。別にお風呂が嫌いってワケじゃない。
ここのお湯には、リリィのマギを回復する効能がある。が、私は体内のコアのおかげで常人よりマギの回復が早いのだ。だからなのかはわからないけれど・・・・このお湯に浸かっていると、マギが過剰に回復してしまい、それが原因で酩酊状態になってしまう。
つまり簡単にいうと、逆上せやすい、ということだ。
「きゅう・・・・」
「まったくもう・・・・この程度で逆上せてしまうとは・・・・」
「ごめんね紋瑪ちゃん。つい、おしゃべりに夢中になって・・・」
「梨璃が気にすることではないぞ。自己管理ができぬ此奴が悪い」
ミリアムちゃんの言う通りなのだけど、ミリアムちゃんに言われるのはすごく納得がいかない・・・・
「と・・・・とりあえず、お部屋へ運びましょう!私も手伝います」
「お気持ちだけで結構ですわ二水さん。これも同室のよしみです、私が責任をもって部屋まで運びますわ」
「なんてカッコつけているけれど、梨璃ちゃんに良いとこ見せたいだけですよね?」
「貴女実は平気なのでは?」
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自室に戻る頃には、体調もだいぶ回復してきた。
「はい、お水ですわ」
「ゴクッ・・・ゴクッ・・・ゴクッ・・・ぷはー!ありがとうございますー。おかげで蘇りましたー」
「“生き返りました”の間違いでは?」
「細かいことは抜きでお願いしまーす」
ふぅ・・・・
「それにしても・・・・よもや私がぢごくのフルメンテを受けている間に、夢結様と契っちゃうとは・・・・梨璃ちゃんは行動力の化身ですねー」
「紋瑪さん、それは本気で仰っているんですの?」
「憧れの夢結様と添い遂げることができたんですよ?喜ぶべき事柄でしょう」
でも、気になる事はある。
『孤高のエース』と呼ばれてきたあの夢結様が、何故梨璃ちゃんとのシュッツエンゲルを受けたのか。
楓さんにひっぱたかれただけで、あっさりOKするなんて・・・・これは何かあるはず。
「調べてみる価値、あるかもね」
「何かおっしゃって?」
「いいえなにもー」
楓さんを軽くあしらって、マイスペースに入る。
「・・・・そういえば、その中ってどうなってますの?」
「え?あー、まぁ、別に良いか話しても」
楓さんを呼び寄せて、衝立の中を見せる。
「これは・・・・・カプセル?」
「はい。私のコアを定期的にメンテする為のマシンですー」
「・・・・本当に、体内に」
「ありますよー。おかげで今日も元気です。お風呂、逆上せやすくなっちゃいましたけどー」
「この衝立は、これを隠すためでしたのね」
「それもありますけどー・・・・本来の目的は、防音です」
「防音?」
「まぁちょっと・・・・」
カプセルの中に入ってマシンを起動させる。
ぎゅいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!
「煩っ!?ええい!やかましいですわ!!」
「そうなんですよー・・・・このマシン、騒音がひどくて・・・・」
マシンのスイッチを落とし、カプセルから出る。
「なるほど・・・・・確かに衝立が必要ですわね・・・・これは」
「ここまで小型化できたのは、良かったんですけどねー。ここまで騒音がひどくなるとは・・・・」
その分いろんな事ができるから、まぁ、コラテラルって事で・・・・
さて、じゃ・・・・ハッキングタ~~イム♪
この後、私は、衝撃的な事実を、知ることとなる・・・・
緋坏紋瑪─その8─
寮に置いた紋瑪のメンテマシンには、紋瑪のコアをメンテナンスする機能だけでなく、百合ヶ丘のデータサーバーへハッキングする機能も備わっている。
工廠科の工房にも同じものがある。というか、工房のものを小さくしたものがこれ。