地上を夢見て地下世界から飛び出したカミナとシモンの前にあったのは、空がどこまでも続く
獣人に支配された地上を奪還するべく、ガンメンを鹵獲して戦力の拡充に走るグレン団。
その最中で出会ったのは、かつてグレンラガンによって撃退したヴィラルと、ヴィラル操る獣人軍と抗戦していた少女、ヒビキだった。
ヒビキは歌うことで、生身でありながら自身の何倍もの質量を誇るガンメンと渡り合うことができる不思議な力を持っていた。
戦いの後に倒れた彼女を介抱した後、リーロンはその力の
そうして時は過ぎて夜、カミナとシモンは少女ヒビキと語る。
大事ってこと!?
眠れない。
今朝は
日が暮れたらすぐに寝る獣人の生活様式に合わせて早めに寝床についたこともそうだが、夕方まで寝ていたことも、その後にリーロンさんの話を聞いたことも相まって、下手な怪談を聞いた時よりも眠れない夜になってしまった。
胸にミクを抱いてもなお眠れなかった私は、夜風にあたって気を静めることにした。
「おうっ、話はもう終わったか?」
「あっ、こんばんわヒビキ」
辺りを歩き回ること数分、揺らめく明かりとパチパチ薪が割れる音。部屋が割り当てられているはずのカミナさんとシモンが焚き火していた。
「……何してんの?」
「メシだよ。お前も食うか?」
焚き火にくべられているのは、リディアンでも日々加工しているゲテモノ動物。もっとも私は形がよくわかる丸焼きでは食べたことはない。
「いいえ、私は……」
「遠慮すんな、うまいぞ」
「ここ、こいつはこのもも肉が美味しいんだよ。ヒビキにあげる」
シモンが謎生物の軟骨と
「旨味はある……むしろおいしい」
「だろ? で、ヒビキは何してんだ?」
「眠れなかったから散歩してた。おかげさまで私昼から夕方まで寝てたからね」
「すごい熱だったもんね。あ、途中で抜け出したオレたちが言うことじゃないけど、リーロンの話どうだった?」
「関係ないでしょ、あなた達には」
「関係ある!」
カミナさんが天を指差し、そう
「おまえはグレン団に入る! そんなお前の身体のことを気にしないわけにはいかねぇ!」
「なんで入ること前提なんですか」
「オレが決めた!」
「アニキはこういう人だから……」
こんなに押しが強い人初めて見た。 だけど、カミナさんの思っていることは頭の悪い私でも察しはつく。 だから、ため息をつきながらその提案を否定する。
「私の歌が、この力がほしいから仲間にしたいんでしょ? だとしたら残念でした。 私リーロンさんから『戦うな、逃げろ』って言われてるんです」
「あれは気合い入れすぎて熱が出ただけだろ。 考えすぎなんだよリーロンは」
「いやいやいや、たとえアニキでもあそこまで熱くなるのはありえないから」
リーロンさんも言っていたけど、あのとき近くで戦っていたシモンにはよくわかるみたいだ。
「そうだ、歌の方は? ヒビキが歌ったときにあの衣装になるのは何かわかった?」
「そっちは全然。 今日の検査じゃわかんなかったけど、明日また精密検査してくれるんだって」
「なぁなぁ、ちょっと歌って見せてくれよ」
「駄目だって言ってるでしょ」
カミナさんは私に歌わせたいみたいだけど、こちとら命がかかっているんだ。
そう簡単に歌ってたまるものか。
「でもオレ、ヒビキの声とか歌、好きだけどなぁ」
「……そういうのいいから。 シモンもあんまり恥ずかしいこと言わないで」
「ご、ごめん。 ヒビキの歌を聞くとグレンラガンの調子が上がるとか関係なくて、ただヒビキの歌がキレイだからって」
「殴るよ?」
「それは勘弁……」
「ハッハッハ、シモンも隅に置けねぇなぁ」
音楽系の高校に入ったわけでもない。私の最終学歴は中卒だ。
合唱コンクールで一生懸命歌ったのが最後、ボイストレーニングをしたこともない私の声が特別だとは思えない。
「だいたい、あのとき私が何を歌ったのかも全然覚えてないの。 あの時と同じ歌を歌ってほしくても無理だよ」
「なんだ、アドリブか? いいセンスだな」
「アドリブじゃありません。 変身するときも変身している間も、胸の中から湧き出てくる歌をただ声に出していただけ。 今は歌が思い浮かぶこともないし、夜中に野外ライブをする趣味はないよ」
「じゃあ、ヒビキの歌はヒビキの心の中そのままなんだ」
え?
「『繋ぐ手と手 戸惑う私のため 受け取った優しさ きっと忘れない』ってあのミクって子と仲良かったし、あれって「わぁーやめて止めてやめて止めてやめて止めてぇ!?」」うゎっ、いきなり何!?」
「だぁっはっはっはっ!」
シモンは変なこと言い出すし、カミナさんに至っては膝を叩きながら笑い転げているし。
私ってばやっぱり呪われてる。
「はっはっはっ……おぅヒビキぃ、おまえいつものシケたツラより今の顔のほうが似合ってんぜ?」
「余計なお世話! ったく、シモンもなんでそんなこと言い始めるのよ」
「な、なんで?」
「わかんなくていい!」
たとえ無意識だろうと、女心を
「やっぱヒビキはグレン団にいるのが似合ってんぜ」
「だいたい、そのグレン団は何をするための集まりなんですか」
「てめぇもわかんだろ? 今、この地上はあの獣人どもに牛耳られてる。 俺たち人類が奴らに
革命軍、というよりゲリラってやつかな。
学校に行っていたのも1年前だし、ほとんど覚えてないけど。
「そのグレン団? に入れって言うの?」
「おうよ。 おまえも獣人と戦う理由があんだろ? なら一緒に戦おうぜ」
「私はリディアンにいるみんなが、ミクがいるこの場所を守りたいだけ。 あなた達みたいに獣人を殲滅したいわけじゃない」
「てめぇの城守ってばっかじゃいつか攻め滅ぼされんぞ! 数は圧倒的に奴らが上なんだ、勝って奪って勝ちまくるしかねぇだろ……!」
「あ、アニキ落ち着いて」
「もったいねぇ。
「……私が、捨て駒ってこと?」
「戦いってのはいつだって命がけだ。 それでいて、てめぇの命賭けたところで
「命より勝利が大事ってこと!?」
「そういう話をしてんじゃねぇ!」
「もういい」
眠れないからって夜中に歩き回るんじゃなかった。
明日にも奴らが襲いかかってくるかもしれない、気が立ったままだが無理矢理にでも寝ることにする。
「リーロンさんは私達に任せろって言っていたけど。 団長のあなたがそんな気持ちで戦わせようって言うなら、私がやってやる。 文字通り、命をかけてね!」
「待ってよ、ヒビキ! アニキはそういう意味で言ってるんじゃ」
最悪な気持ちのまま、家路を急ぐことにした。
「なぁ、シモン。 俺は間違っていたか?」
「……アニキはヒビキの手を見た?」
「……それが、何だってんだ?」
戦いに生きる者の手は、すべからく固く、汚い。 年がら年中銃を握っているヨーコも例外ではない。
だがヒビキの手はこの戦いの世に生きる者には考えられないほど、あの年まで赤子のようなきめ細やかな肌を保っていた。先の戦場において大立ち回りした人間と同じと思えないほどに。
「ヒビキは、きっと怖いんだよ。 かつてのオレみたいに。 でも、たぶんオレとはちょっと違う」
「……」
「戦って死ぬことじゃない。 戦いの果てに相手を傷つけること、きっとそれが怖いんだ」
ヒビキが自身の力の出どころを知らない事から、彼女は本当にただ突如降って湧いた力に踊らされているだけの一般人なのだろう。
だが、グレンラガンは降って湧いた力ではない。少なくともグレンラガンの体のガンメン、グレンはカミナが獣人から命からがら勝ち取った力だ。だから、カミナは力に踊らされる女の子の気持ちがわからない。理解できない。
「わかんねぇ。 さっぱりわかんねぇよ、オレには」
生身だろうと、ガンメンに乗ろうと、不可思議な力を持っていようと。自分が相手より弱ければ負け、負ければ死ぬ。
使ったらいつか死ぬ
「……シモン、おまえにはわかるのか?」
「全部は、わからない。 わかることしか、わからないよ」
わかるとすれば、それはヒビキと同じく
「……オレはヒビキをグレン団に入れたいって言ったよな」
「うん」
「シモン、
「なんで? アニキがやるんじゃ駄目なの?」
「オレじゃまだ火のついてねぇ
命令ではない、頼み。
普段カミナはシモンに頭ごなしにやらせるだけだが、こうして
「でも、オレにできるかな? ヒビキは体調悪そうだったし、正直目がちょっと怖いんだよね……」
「できるか、じゃねぇ。オレはお前にやって欲しいんだ。オレを信じる、お前を信じてぇんだ」
頼みに加えて、憧れのアニキに期待されているとまで言われれば、シモンも俄然やる気が出る。
「うん、他でもないアニキの頼みならオレ、頑張ってみるよ!」
「こんなちょっとしたことだってのに、オレにできなくてシモンにできることもある。 わかんねぇもんだ、世の中ってのは」
実際のところ、ヒビキをグレン団に入れることは必須でもなんでもない、ただのカミナの思いつきである。
カミナには彼女の気持ちがまるで理解できなかった以上、シモンが駄目だ、無理だと言うなら
だがシモンには少しでもわかるというのだ。 その望みを捨て去るにはまだ早い。
「まぁ、
だから、ここは一つその夢の果てをシモンに預けてみることにしたのだ。
己の小さなプライドが、己を輝いた目で見つめる小さなヤツが、それを正直に言うことを許さなかったが。
「あいつはオレをカッコいいアニキと思ってくれる。
あいつがオレをカッコいいアニキにさせてくれる。
あいつが思うカッコいいオレじゃなきゃなんねぇ」
それでもシモンは
自分ではできなかったことを押し付けただけなのに。
ならば、カッコいいアニキになるしかねぇと今一度自分を奮い立たせる。
「頼むぜ相棒。 お前が頼りだ」
朝。カミナさんとは喧嘩別れした以上、約束していたリーロンさんの精密検査もおじゃんになるかと思ったが、『男と女が喧嘩したなら、いつだって女を泣かせた男が悪いのよ♡』って何も気にせず検査を続けてくれた。
「これかしら、あなたが変身できるようになった原因」
「これは……」
グレンラガンをはじめとしたほぼすべてのガンメンに搭載されている、搭乗者の身体状態を可視化するCTスキャンのような装置。
そこに写っていたのは、私の心臓に刺さった金属片のようなもの。
「非破壊検査の条件下で出来る限りをしたけど、クリティカルなのは特定波長の音波に対しこれが一瞬
「ちょちょちょっと、言ってること全然わかりません」
「要するにこいつはあなたの声、それもあなたの実体験に基づけば間違いなく歌に反応して起動し、それとは別の音を返す装置なのよ」
「カラオケみたいなもんですね」
実際、昨日の戦いでは私の歌はアカペラではなく伴奏付きで聞こえてきたらしい。
ボイスパーカッションのように口から出たものでなければ、あの鎧から音が出ていたのだろうか。いや何のためよ?
「カラオケじゃ、この装置の名前にふさわしくないでしょ?」
「そういう意味で言ったわけじゃないですけど」
「歌、音楽、鎧……そうね、”シンフォギア”なんてどうかしら?」
「まぁ、いいですけど」
ガンメンといい、私のいた世界では考えられない代物がまた増えた。
「それで、そのシンフォギアは私の身体から取り除けるんですか?」
「無理ね。 あいにく私は医者じゃないけど、ここまで心臓に深く刺さった状態の異物を無事に摘出できるとはとても思えないわ」
検査装置の画面を見る限りでは、シンフォギアは刺さっているどころか完全に一体化しているようにも思えた。
私のいた世界でもこんな心臓の異物を無傷で除去する技術は聞いたことがない。
「女の子に一生モノの傷つけちゃった
「急に歌えって言われても……」
つまりリーロンさんは私が歌うことでシンフォギアを起動させ、そのときの状態を確認したいみたいだけど、こんな興奮した人に任せて大丈夫だろうかと一抹の不安を覚える。
しょうがないと思いながら声を整えようとすれば。
ドオォォォォン
「あら、もうこんな時間」
「朝にガンメンが空から落ちてくる音……いつもより多いし大きい」
グレン団というゲリラ部隊と、私という未知数の反乱因子。
両者が一箇所に留まっていることを考えれば、大部隊を編成し早期に潰しに来たことは明白か。
「ヒビキ! よかった、ここにいた!」
「シモン! それにヨーコさん! ミクは、リディアンのみんなは大丈夫ですか!?」
「落ち着きなさいヒビキ。 私がみんなを室内に避難させるわ」
「俺たちでガンメンを撃退する! ヒビキも手伝ってくれる?」
「任された!」
「ヒビキちゃんのバイタルはこちらでモニターしてるわ。 危険水域に入ったらすぐに離脱なさい」
ガンメンの落ちてきた方向へ向かうと、そこには昨日より数を増したガンメンと白銀のガンメン、そして巨大な黄土色のガンメンがいた。
「ヴィラルよ、この施設の管理はキサマに一任していたはずだが……反逆者をむざむざ許すとは何たるザマよ」
「申し訳ありません、グアーム様」
昨日の戦いで大将だった白銀のガンメンが黄土色のガンメンと話しているが……どうやらあれが上司らしい。
「でけぇツラがうろちょろと……
「己のプライドよりも優先しなければならないことなどいくらでもある。 勝ってから吠えることだな、カミナ!」
「
もともとグレンラガンと白銀のガンメンの実力は互角。
なら私の役目は、雑魚の片付けと大将の足止め!
「見せてもらおうか、螺旋王様が欲しがるその力を」
幸いにも大将はまず様子見してくれるみたいだ。
ならそのスキに出来る限り雑魚を蹴散らす!
♪ 「一番槍のコブシ 一直線のコブシ Gan×2(進め) Gan×2(歌え) 撃槍ジャスティス」
数で負ける私達は時間をかけるほど不利。
小さくすばしっこい私は巨大なガンメンでは捉えきれないだろうから、あえて集団の中に突っ込み乱戦で短期決戦を挑む!
「コイツ、足元ニ! 潰セ、踏ミ潰セ!」
♪ 「私が選ぶ正義 固め掴んだ正義 離さないこと此処に誓う」
「ドコニイッタ!?」
開けた場所ならまだしも、ガンメンが固まっている状況ではそのでかい身体が邪魔で私の姿を見失う。
これ幸いと目の前のガンメンの脚を殴りぬき、最小限の労力で相手の戦力を奪っていく。
「やっぱりだ、やっぱり調子がいい! なんでかわかんねーけどよ、あいつの声が、歌が! 俺たちに力をくれる!」
「何故だッ! オレとキサマの実力はここまで開いていないはず!?」
♪ 「突っ走れ 例え声が枯れても」
「いける、いけるよアニキ!」
『まずいわね』
グレンラガンも白銀のガンメンを圧倒しているみたいだ。
このままいけば大将戦の前に露払いは完了する。
♪ 「突っ走れ この胸の歌だけは絶対……ッ」
「なんだぁ!? 急に体が重くなったみてぇに」
「舐めるなぁッ!」
「うわあぁぁああ!?」
目の前が霞がかったようにぼやけている。
少しの間立ったまま気を失っていたか。
『シンフォギアが超活性化、心臓を侵食しているわ! ヒビキちゃん、はやく離脱しなさい!』
「どうしたどうしたぁ! キサマらはあの女の支援がなければこの程度の実力なのかぁ!?」
『耐えなさい、カミナ、シモン! あんたらが頑張んなきゃこの村の住民も全員巻き込まれちゃうのよ!?』
体が熱い。風邪を引いたみたいにだるく、ベッドで横になりたい。
だけど、そんな衝動に塗りつぶされてなるものか。
私が負ければその時は私の命だけじゃない。ミクが、リディアンのみんなの命までも危機に晒すことになる。
だからこの力は、この歌だけは絶対。
♪ 「絶対……ッ 絶やさない! 」
『バイタル臨界点で安定! いいわよヒビキちゃん、気合い入ってる!』
「そうだシモン、オレたちも気合い入れ直せ! この前勝ったからって今日はちょっと油断しちまったけどよ、俺たちのドリルはヴィラルのヤローを貫けんだよ!」
「うん、ちょっとヒビキの歌がキレイだと思ってただけ。 だからもう手加減しない!」
グレンラガンの握る拳からドリルが伸びて、ヴィラルの操るガンメンの刀と打ち合う。
ヴィラルは刀を砕かれぬよううまく力を受け流すけど、それでもグレンラガンの力がヴィラルの技術を圧倒している。
「認めよう、今はキサマのほうがオレより強いということを。 だが今度は逃げないことを誓おう。 オレには今や逃げ出した先に後はないからな」
「何をゴチャゴチャ言ってやがる! だいたい、勝負をすっぽかすようなヤツは男じゃねぇし、そんなヤツにオレたちが負ける道理はねぇんだよ!」
「今度こそ決着をつけるぞ、ヴィラル!」
グレンラガンも好調のようだ。なら私もさっさと雑魚を倒す!
どうやら、腕のパーツはエネルギーを貯めて一気に放つための装備らしい。それなら、レバーを限界まで引き絞って、この衝撃を地面に解き放つ!
♪ 「熱き(ハート) 翔ける(ハート) ジャッジした空をぶっとべぇぇぇええ! 」
「「「グワァァアアア!!」」」
地面を思いっきり殴って起こった衝撃が瓦礫と振動になって周囲のガンメンを吹き飛ばす。
これでだいぶ片付いたと思うけど……
「……ッ! あの黄土色のガンメンは!?」
雑魚のせいで見えなかった相手の大将の姿がどこにもない。
逃げた、なんてことはあまり考えられない。何か、嫌な予感がする。
「これで終わりだ、ヴィラル!」
グレンラガンの身体部分のサングラスをブーメランのように2枚投げ、ヴィラルのガンメンの手足に刺して拘束する。
「ギガァ……」
「ここまでか……」
グレンラガンが掲げた拳が巨大なドリルになり、ひねりを加えて飛び込むことで、グレンラガン自身が巨大なドリルとなって拘束されたヴィラルに突進する!
「ドリルゥゥゥウウ!」
『いいやこれまでだとも、グレンラガン』
突如、中空に映像が映し出される。
「グアーム様!?」
「なんだぁこいつ!?」
「アルマジロの……獣人!?」
これは、あの黄土色のガンメンの中にいる獣人によるライブ中継?
なら一体どこから……まさか!?
『人員不足は致命的よのぉ~。 これを見ると良い』
『大人シクシテロ!』
『ヒビキ、ごめん……』
「ミクっ!」
映像が切り替わると、獣人がミクを拘束し、ナイフを突きつけていた。
つまりこれは……人質!?
「んなもんオレたちには関係ねぇだろ! いくぞシモン!」
「待ってアニキ! リディアンの人が囚われているってことは!?」
「やめてっ!」
そう叫べば、グレンラガンはドリルを止めた。
『察しが良いな。 つまりはそういうことよ、わかっておろうな
「なんでだシモン!? どうして止める!?」
「あの人はヒビキにとって大切な人のはず! だから!」
『まあワシもこいつがグレンラガンへの盾になるとは思っておらん。だが元からここの住人だった者にとってはどうかな?』
そう、これはグレン団ではなく、私にとっての人質。
ならあの獣人は私になにかをやらせたいはず。
「要求は何? どうしたらミクを解放してくれる?」
『なぁに簡単なことよ』
グアームはニヤァと嗤い、私に語りかける。
あの性格の悪そうな獣人の言うことだ、おおよそ言いたいことは想像できる。
『グレンラガンと戦え。 そうすれば奴を解放してやらんでもないぞ?』
グレン団には昨日助けてもらい、私の症状を診断してくれた借りはあるが、団長カミナとは昨夜喧嘩別れしたこともあり、恩を感じているわけでもない。
だが私が獣人に反撃の狼煙を上げたのは、ミクにこれ以上悲しみを裏に隠した笑顔をさせたくないから。 今獣人に味方すれば、その願いは無かったことになる。
『負けることが心配か? カカカ、こっぴどく負けたからとて人質を殺すなどという無粋な真似はせん。 こいつもキサマもこのワシの大事な人材だからな。 だがな』
中継はミクとグアームをアップにすると、グアームはミクの胸元の服に爪を引っ掛けて裂け目を作り、長い舌を舐めるようにゆらす。
『手加減なぞしてみろ。その時はこやつを
「う、ヴァァァアアアアア!」
天秤は容易に闇へと傾いた。
使用楽曲は戦姫絶唱シンフォギアAXZより立花響の曲「負けない愛が拳にある」ですが、JASRAC楽曲から見つかりませんでした。
個人的にクロスオーバーは能力の干渉もそうだけど、価値観の相違こそ描かれるべきと思ってます
読者様のグレンラガンとシンフォギアの原作知識は?
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両方知ってる
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グレンラガンは知ってる
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シンフォギアは知ってる
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両方知らない