ユーリア議員。
ユーリア議員は彼女を使いに出すと、隊長と弟さんを連れラハマへ
向かった。
ユーリア議員がラハマを目指した理由とは……。
遠ざかる52型を遠目に、ハルカは疑念を抱いていた。
いくら陸攻が全機落とされたとはいえ、あっさり引き下がった。
ユーリア議員を狙うにしては、桜花の数が少なかった。
ただ、一応襲撃しておくか、くらい軽いものに彼女は見えた。
あの技術者が言っていた通り、自由博愛連合の残党であろうことは確定だろう。
そんな連中が、かつて自分達が属していた自由博愛連合を瓦解させた1人であるユーリア議員を前にしながらみすみす引き上げるなど、どうも違和感がある。
もしくは、もう目的を達成したのか。
もっとも、彼らが引いた今となってはそれを知るすべはもうないが。
これでイヅルマに被害を出さずに済んだし、拠点を破壊した今、彼らはもう襲撃を仕掛けてくることはない。
ユーリア議員を引き渡す必要もない。
とりあえず、今はそのことに安堵しよう。
ハルカは隊長たちを追いかけ、イヅルマへ進路をとった。
後日、飛行船の武装強化が無事終わり、イヅルマからガドールへユーリア議員は帰還した。そして、自室でユーリアは、ハルカに1通の封筒を渡した。
「これを、ナガヤの市長に渡して欲しいの」
「数日かかりますけど……」
「構わないわ。あなたの故郷なんだから、少しはゆっくりしてから帰ってきなさい」
そういって、彼女はハルカを送り出した。
彼女の零戦が、ナガヤへ向かって飛び立っていくのを見送ったユーリアは、隊長と弟さんへ振り向く。
「……隊長、一〇〇式輸送機の準備を。ラハマへ向かうわ」
「え?ですが、彼女はさっき」
ユーリアは、隊長に視線を送る。
「……彼女に聞かれてはまずい内容、ですか」
その後、ユーリアは電話でどこかに連絡をし、護衛隊を引き連れてガドールを出発。ラハマへと急ぎ向かった。
今の彼女には、何より確認しなければならないことがあった。
ラハマに到着すると、ユーリアは隊長に弟さんをつれ、滑走路近くに係留されている羽衣丸へ向かった。
羽衣丸の中にある一室、社長室の扉を彼女は3回ノックする。
「どうぞ」
優美で、余裕のありそうな聞きなれた声を確認。彼女はドアを開けた。
「いらっしゃい、ユーリア」
愛用のキセルを吸いながら、この羽衣丸の所有者、マダム・ルゥルゥが社長用の椅子に腰かけて待っていた。
「突然悪かったわね、ルゥルゥ」
「あなたが悪かった、なんていうのは珍しいわね」
ユーリアは室内を見渡す。
室内にはルゥルゥ以外に、3人の人間がいた。
コトブキ飛行隊の1人、銀色の髪を二つに分けている、滅多に変化しない表情から感情が読み取りにくい女性、ケイト。
彼女の兄で、同じ髪の色をしている車椅子に座っている男性、アレン。
そして、すごくラフな格好をしていて、おっとりした表情をしている女性、タミル。
「みんな、急に呼び出して悪かったわね」
「ケイトは問題ない。今日は休み」
「僕も問題ないよ」
「私もですわ。もっとも、ユーリア議員からの呼び出しというのは、少々驚きましたけど」
ガドールを出発する前に、ユーリアはルゥルゥに連絡し、必要な人間に連絡をとってもらっていた。
「……周囲に人は?」
「人払いはしてあるわ。随分厳重なのね」
「今回の用事は、……ちょっとね」
「そう。……ところで」
ルゥルゥはユーリアの背後を眺める。
「いつも連れているあの子はどうしたの?今はあなたのもとにいるはずでしょう?」
「ナガヤへ使いに出したわ」
「……彼女に聞かれてはまずい内容、ということ?」
ユーリアは黙った。それをマダム・ルゥルゥは肯定と受け取った。
「それで、彼女に知られてはまずい、今回の用事っていうのは?」
「……隊長」
ユーリアの背後に立っていた隊長は、大きなトランクを取り出す。それをルゥルゥの机の上におくと、トランクを開ける。
中から出てきたのは、大きなレコード盤と機械。
「おお、これは録音用のレコードだね」
アレンが驚きの声をあげる。
ユーハングが過去に持ち込んだもので、一部の都市で製造がおこなわれている。だが、非常に高価で手が出るのは富裕層に限られている。
「先に断っておくけど、これから聞く音声の内容は、他言無用でお願いね」
「……わかったわ」
全員が頷くのを確認すると、彼女は隊長に視線をおくった。
隊長が機械を操作すると、レコード盤が回り始めた。
少し雑音交じりの音が流れ始め、間もなく人の声らしきものが流れ始めた。
『あの~、何か言ってもらえませんか?』
一同は首を傾げた。
『ああ、こっちの言葉は通じるんですね』
「……聞いたことない言葉ね、何て言っているのかしら?」
ルゥルゥは首を傾げる。
「でも、声はハルカで間違いない」
「ハルカ、さん?」
「マダムたちが雇った新しい用心棒の名前」
ケイトが簡潔に応えると、彼らは音声記録の続きに耳を傾ける。
『嬢ちゃん、何者だ?』
「男性の声よ?」
「今回行ったイヅルマで、ちょっとね」
『私はイジツ生まれのイジツの人間ですよ』
マダムは会話の内容が理解できないのか、首をひねっている。
『あなたはかつて、パロット社で働いていた。ですが、一度イケスカに戻っている。それは、恐らくイケスカがあなたの技術を求めてきたから。ですが、その後再びパロット社に保護を求めて帰ってきた』
「……イケスカ、パロット社という単語が出てきましたわね」
『技術者をかき集め、イケスカはどの都市よりも飛行機の研究で先を行った。それによって肥大化したイケスカが、もっといえばイサオ氏が何をしたのかは、周知の事実。従わない都市を焼き払い、リノウチ空戦ほどではないにせよ、イケスカ動乱を引き起こし、ユーハングの遺産でこのイジツがあれることになった。あなたは、イケスカを肥大させるのに加担した。結果として、そのことを後悔している。違いますか?』
「イケスカ、イサオ……、ユーハング」
『……ああ。その後継者が現れたことで、イケスカは内戦状態から徐々に脱しつつある。イサオ氏が残した地盤を引き継ぎ、再びイジツの覇権を狙って戦力の再編を行っている』
『それで、ショウトやナガヤを攻撃したわけですか……』
「ショウト、ナガヤ……」
『イケスカで、タカヒトという名を聞きませんでしたか?』
『タカヒト?……一緒にイケスカで技術者として働いていた』
「タカヒト?」
「彼女の祖父の名前ね」
その後会話が少し続き、音声記録は終わった。
「……どう?」
「……普通のイジツの言葉とは、違いますわね」
タミルは、口元に手を当て、何かを思い出そうとしている。
「ケイトも聞いたことない」
「僕もないね」
「……そう」
「もしかして、この言葉が何なのかを知るために?」
ルゥルゥの問いにユーリアは頷く。
「そんなの、彼女に直接聞けばいいじゃない?」
「それができたら苦労しないわよ……」
そもそも、今回のイヅルマでの一件。あの技術者から情報を聞き出したのは、カナリア自警団のアコ団長ということになっていたが、実際は録音の通りハルカが全て聞き出していたのだ。
それを団長の功績にしてまで知られたくなかったのには、何か理由があるはず。
そもそも、この件についてハルカは何もユーリアに言わなかった。
それは、雇い主にも知られたくないという彼女の意向。
迂闊に踏み込むことはためらわれた。
「どうやら、知りたいけど知ってはいけないものを聞いてしまった、みたいな感じね」
「……そうね」
「何を言っているかはわからないけど、思い当たる可能性はあるよ」
ユーリアはアレンに視線を向ける。
車いすに座りながら、彼は腕組をしている。
「会話の内容はわからないけど、聞き覚えのある単語はいくつかある。このイジツには方言はいくつかあっても、言語は共通なのは知っているね」
イジツの言語は、基本共通だ。
広い荒野にいくつか都市があり、成り立ちも文化も違うが、交易や交流を行っていて言語は皆同じだ。
「そんなイジツに、他の言語が入ってくる機会なんて、1度しかなかった」
皆が顔をひきつらせた。
このイジツに、異なる文化や技術、そして言語を持ち込んだ異邦人がかつていた。
この閉ざされた世界で他の言語が入ってくる機会など、その1度切りだ。
「……もしかして」
タミルもその可能性に行きついたのか、口元が少し震えている。
「ああ」
アレンは、笑みを浮かべながらいつもの調子で言った。
「ユーハングの言葉だね」
室内が静まり返った。
かつて、このイジツに空を飛ぶ技術をもたらした異邦人たち、ユーハング。
そして、70年以上前に穴の向こうに去っていった。
「いやあ、こんなに流暢なユーハング語を聞くのは初めてだね」
「私も初めてですわ」
ユーハングの言葉は、今でもイジツに残っている。ただし、あくまで短い単語が残っているだけで、会話ができるほどの人間はもういない。
ユーハングと交流があり、かつてその言葉を話せた人々も、もうこの世界には残っていないだろう。
「ユーハングの言葉……。そんな……」
ユーリアは、驚きを隠せない。
「そのハルカ、さん、でしたか?年はおいくつなのですか?」
「ケイトたちと変わらない」
「あら、お若いのですね。でもそうなら、彼女はこの言葉をどこで覚えたのでしょう?」
ユーハングが去って70年以上。ハルカはせいぜい20歳。
明らかに彼女が彼らの言葉を知っているのはおかしい。
「なんにしても、凄いですわね。私、ユーハングの文献や資料を読むことはできても、話すことはできませんもの」
タミルは古生物学者として、イジツの過去やユーハングの痕跡を調べている。
なので、ユーハングの言葉を理解し、文献もある程度読むことができる。
アレンも個人的にユーハングや彼らが通ってきた穴を研究しており、ケイトも手伝いをしている。
そんな彼らでさえ、ユーハングの言葉を話すことはできない。
だが、ハルカはできた。
それが何を意味するのか、明白だった。
「やはり、ハルカはユーハングの関係者である可能性が高い」
全員が目を見開く。
「彼女の零戦に描かれているマーク。あれはユーハングのものと酷似している。それに彼らの言語を理解している。これで関係ないなんて言う方が不自然。今すぐ呼んで、問いただすべき」
「個人的に研究を手伝ってもらいたいなあ。まだ解読できていないユーハングの資料が紐解ければ、大きく前進するよ」
「そうですわね。そのお方に会ってみたいですわ」
「ダメよ!!」
突如叫ぶように言ったユーリアに、皆が驚いた。
「そんな目的で、彼女を使わせる気はないわ。それに言ったでしょ?この部屋でのことは内密にって……」
「ですがユーリア議員、彼女がユーハングに詳しいのなら、遺産の解析が進みます。そうすれば、今をよりよくする物が手に入ります」
「いい物ばかりとは限らない。ユーハングの遺産を巡って、遺産を悪用して、このイジツがどれほど荒れたか、知らないわけじゃないでしょう」
ユーハングの遺産を巡って、リノウチ空戦がおき、今でも遺産の奪い合いで争いがおき、その遺産を悪用していくつもの町が焼野原に替えられた。
ユーリア議員もマダム・ルゥルゥも、そんな出来事があって法整備を急ぐ大人たちの背中を見てきた。
ユーハングの遺産を巡っては、確かにいい物も手に入ることだろう。
だが、その力を悪用する人々の手に渡ったら?
イヅルマで元パロット社の社長ウタカ氏は、どんな遺産も解釈して活かせる人間がいなければガラクタだと言っていた。
今イジツには、多くのユーハングが残した遺産や資料がある。だがそれらの多くは眠ったままだ。
もし彼女がそれらを解析できるとわかれば、彼女を手に入れようと動く勢力が出るのは想像に難くない。
用心棒としてそばにいつもおいているハルカが面倒ごとに巻き込まれるのは、ユーリアも望むところではない。
「わかったわ。あなたの要求通り、この部屋でのことは内密にするし、用心棒の用事以外で彼女を使わないと約束するわ」
「……ありがとう」
「でもね、ユーリア。このことが未来永劫ばれないとも限らないわ。どうしても隠し通せなくなったら、その時は仕方がないと思ってちょうだいね」
「そうね……。でも、そうなっても彼女を守れるように、私たちが雇い主になっているんでしょう?」
「ええ。でも、私たちもできないことがある。それだけは覚えておいて」
「そうね……。集まってもらって悪かったわ」
ユーリアは弟さんが持っていたトランクを開け、口止め料を含めた報酬を渡し、羽衣丸をあとにした。
帰りの輸送機の中、ユーリアは窓から見える風景をぼうっと眺める。
ふと、上着の内ポケットから手帳を取り出す。
表紙をめくると、1枚の写真が挟んである。
ハルカがガドールに来てすぐ、事務所のある建物のそばで撮った彼女との写真だった。
最初は、ただ腕のいい用心棒が欲しいだけだった。おまけに彼女は可愛いから、つい傍に置きたくなってしまった。
だが彼女のことを知るたびに、少しずつだが印象が変化してきた。
ラハマで彼女を雇うと決めた後に、彼女はハリマ評議会ホナミ議員の姪に当たるとわかり、アレシマでの件の後はハリマ評議会議長カスガ氏、市長のシズネ氏の孫とわかり、ハリマを味方にする上では、この上ない交渉材料になると感じた。
おまけに、ナガヤに行った際は彼女の故郷と知り、今の住人は誰もが彼女を知っていてナガヤを味方にする上で都合がよかった。
だがイヅルマの件で、彼女はユーハングの言葉を話した。
そばにいるユーリアも知らなかった彼女のことが、次々明らかになってくる。
いつも浮かべる笑みの裏に、一体何を秘めているのか。ユーリアは一瞬、彼女のことが怖くなった。
「ハルカ……、あなた、一体何者なの?」
ユーリアはつぶやく。
だが、思い当たる節がないわけではない。
それは、ナガヤでクラマ市長が言っていた言葉だ。
ハルカは、祖父から全てを教えられた子だと。
彼女の祖父のタカヒト氏は、ナガヤの危機を救った技術者だったと、市長は言っていた。
ハルカに飛行機の飛び方や修理、色んなことを教えたと。
もしかすると、彼女の祖父も、ユーハングとかかわりがあったのではないか。
その祖父から教わったことの中に、ユーハングの言葉があったのではないか。
ハルカがユーハングの言葉を話せたのがその証拠だ。
だとすると、今回イヅルマの地下牢にいた技術者同様、そんな技術者はどこも手に入れようとするに違いない。
ユーハングの言葉を知っていて、遺産の解析ができる。なら特にイケスカ、イサオたちは是が非でも彼を手に入れようと動いたに違いない。
それが、彼女の祖父であるタカヒト氏の行方不明の原因になっているのではないか……。
推測でしかないが、その可能性は高い。
そして、ハルカが何者であるか、それを知る人間は、意外に身近にいるかもしれない。
クラマ市長は言っていた。
ナガヤの人間は、ハルカを生まれた時から知っていると。
それが本当なら、ナガヤのクラマ市長やナガヤ飛行機製作所の社長に工場長たちは、何かを知っている可能性が高い。
何より、彼女の血縁者であるホナミにカスガ氏、シズネ氏が知らないはずがない。
彼らは、ユーリアが知らないハルカの情報を知っている可能性が高い。
同時に、それをユーリアに話していないということは、まだ話せない、という彼らなりの意志表示と言えなくもない。
ユーハングの言葉を話せ、ユーハングの言葉を名前に与えられ、祖父がイジツとユーハングはつながっていたんだという意味を込めた塗装を施した機体を持つ、幼い頃から腕が良かったパイロット。
そしてコトブキ飛行隊のケイトが言っていた、彼女の機体に描かれたユーハングのものと酷似したマーク。
彼女の素性を黙っているホナミや市長たち。
これらの状況証拠から導き出される答えなど、1つしかない。
「……とりあえず、慎重に探る必要があるわね」
ハルカにばれないように。
ユーリアはそんなことを考えると、重くなったまぶたを閉じる。
こういう時、ハルカが隣にいれば膝枕でゆっくり眠れるのに。そんなことを思いながら、彼女の乗る輸送機は護衛隊に守られ、ガドールへの進路をとった。
「はい。例のものは手に入りました。桜花の試験も上々。傍目にはイヅルマの自警団が町を守り切ったように見えますが、目標を達成したのはこちら側。いい気なものです」
イケスカに向かう輸送機の中、丸眼鏡をかけたオカッパ頭の男性、ヒデアキは主人と連絡をしている。
「はい。次はこれの試験を行います。お任せください」
ヒデアキは通信を切った。
「あの、ヒデアキ様」
部下の1人が問いかける。
「なんでしょう?」
「あのイヅルマの資産家から譲り受けたもの、なんなのですか?」
「ああ、あれですか」
彼は輸送機の客室内後方に固定されているものに視線を向ける。円筒形の筒状のものだが、入り口付近には扇風機の羽のようなものが見える。
「ネ式エンジン。この状況を打開する力になってくれるものです。今度こそ、このイジツの覇権を握るのは、我々ですよ。……ムフッ」
ふと、機内に設置されている電話が呼び出しのベルを鳴らした。
「もしもし?」
『ユーリアは仕留めたのか?』
電話の主に、ヒデアキは淡々と答えた。
「いえ、しとめ損ねました」
『何がしとめ損ねた、だ!こちらから情報を提供したのに、失敗しましたとは何事だ!』
めんどくさそうにヒデアキは言う。
「報酬もなしに情報だけ渡されて、そんなことができるとお思いで?」
『桜花開発に資金提供をしただろう?』
「あんな雀の涙の額で、強力な護衛隊の護衛を突破して議員を殺せと申すのですか?」
『私は議員だ。まして、自由博愛連合への風当たりの強い今、提供できる資金にも限界がある。あまりに巨額を渡せば、ガドール評議会でつるし上げられるのは目に見えている』
「それはあなたの事情でしょう?あなたが評議会でつるし上げをくらっても、我々に協力できるかどうかの問題です」
『無茶をいう……』
「それはお互い様でしょう?それに、ユーリアにはあの番犬がいる。彼女がいるうちは、迂闊に手出しができないのが現状です」
『あんな小娘1人になに手を焼いている!?』
「地上では小娘でも、空では悪魔の名に恥じない強さ。我々の仲間を、数多葬り去ってきた難敵です。あのお方が、放っておけというほどにね」
『彼女を何とかできれば、まだ確率はあがるということか?』
「ええ。ですが、あなた方が手を下すまでもなく、あのお方がいずれは手を下します。その方が確実でしょう」
『わかった。それまでユーリアの件はまつ。ただし、確実にな』
「勿論です。それと資金提供の件、お忘れなく」
『……ああ』
電話が切れると、受話器を戻した。
今ユーリア議員を殺してもいいが、ヒデアキはそれでは満足できない。
かつて、自由博愛連合の権威を叩き落してくれたユーリア議員。
そのお礼参りには、もっと屈辱を与えるときでなければならない。
「今は精々生を謳歌してください、ユーリア。いずれは、お礼参りに行きますからね。ムフッ」
目に見えない水面下で、この世界の今後を決める駆け引きはもうこのとき、すでに始まっていた。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
第5章はここまでとなります。
カナリア自警団の登場や新兵器の登場等色々変化が生じた
話でしたが、カナリア自警団の描写が難しいです……。
次の章がいつになるかはわかりませんが、次章が始まり
ましたらよろしくお願いいたします。