喪失少年はこのセカイのキャラとの絆を結ぶ   作:エム3

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11話目。長すぎるか・・・?


最悪の結末。

運命の演劇当日を迎えた。いつも通りの食事を終えて、ワンダーステージに向かう。特に天気が曇る訳もなく、むしろ快晴だった。

 

霊斗「今日は快晴か・・・演劇やるにはちょうど良いよな」

 

ワンダーステージに到着し、衣装に着替え、みんなを待つ。すると、やはりというべきか、最初に現れたのはえむと・・・司?はやくね?

 

霊斗「おはようさん、2人とも。やけに早いな?」

 

司「霊斗、お前には言われたくないぞ!今日に限らず、練習の日にも必ず俺達より前に来ているだろう!」

 

霊斗「そりゃそうだろ?機材の調整とか任されてるしな。まあ、類の奴は流石に扱えないけどな。スピーカーとかマイクとか、照明とか、着ぐるみの人と一緒にやってたんだよ。」

 

最初にあったあの着ぐるみの人には、色々と世話になってるんだよな。こっそりと。照明の位置とか、どれがどのスイッチだとか。

 

霊斗「それより、司、えむ、ステージ前の客席、見ろよ」

 

司 えむ「「??」」

 

司とえむは、ステージの幕を少し捲る。そこで目にしたのは、客席が全て埋まり、立ちながらでもこのステージを見ようと集まったお客さんの姿だった。

 

霊斗「宣伝のおかげなのか、満員御礼だな。」

 

司「おお!俺達のショーを見にこれだけのお客さんが・・・!!」

 

えむ「わぁ〜♪お客さんい〜っぱい!」

 

司とえむが感動していると、類と寧々も合流する。

 

霊斗「おはようさん、類、寧々。」

 

類「おはよう、霊斗くん」

 

寧々『お、おはよう・・・」

 

霊斗「類、さっそくだけどよ。俺の方で機材チェックは終わらした。類が作った方のやつのチェック、頼めるか?」

 

類「わかったよ。」

 

類は俺がしなかった分の機材チェックをしだす。どう頑張っても類が作った奴はどうにも出来ないんだよな。

 

司「おお!類達も来ていたのか!」

 

霊斗「いや、気づくの遅いだろ。どんだけ感動してんだよ。こっちの機材チェックは類の分で終わりだ。他に以上は無し。オールOKだ。」

 

司「流石霊斗だな!・・・それはそれとして、ロボが大人しいな?」

 

司の指摘に俺とえむは視線を寧々・・・いや、ネネロボに向ける。たしかに今日は司に対しての毒舌も無かった。

 

霊斗「寧々、もしかして緊張してるか?」

 

寧々『そ、そんなこと・・・無い・・・と思う』

 

司「大丈夫だ!客は全員、最高に目立つ俺を見る!妙なロボットなぞ誰も注目しないだろう!緊張するだけ損だぞ!!ハッハッハッ!」

 

高笑いしながら、俺たちから離れていく司。ほんとらあいつには緊張の2文字は無いのかねぇ。

 

類「司くんなりの激励・・・かな?霊斗くん?」

 

霊斗「まあ、言い方はあれだけどな・・・」

 

寧々『あんなの、どう見ても天然で言ってるでしょ・・・』

 

霊斗「けど、司の言い分も一理ある。緊張をするなってのは無理あるけど、楽しむ事も大事だと思う。だから・・・まあ、適度に緊張して、適度に楽しむ。これに限る・・・司とえむは例外として」

 

類「二人には緊張の2文字はないみたいだからね」

 

霊斗「まあ、俺達がサポートするからな?寧々も楽しんでな」

 

寧々『・・・うん』

 

えむ「じゃあみんな、今日もやろう!」

 

霊斗「やるのか?あれ。」

 

寧々『・・・みたい』

 

類「そうだね。」

 

司を除く俺達は、えむの周りに集まる。そして。

 

えむ「せーの・・・みんながんばろ、わんだほ〜いっ☆」

 

霊斗 寧々 類

 

『わんだほーい!』

 

練習の時からもそうだったが、えむがこの掛け声をあげ、俺達がそれに応える。これをすると、気合いが入る・・・らしい。

 

司「だーっ!逆に気が抜けるわ!」

 

霊斗「まあ、良いんじゃね?これもワンダーランズ✖️ショウタイムの特徴だろ?」

 

司「・・・はぁ、仕方ないか。」

 

霊斗「んじゃ、最後は司に締めてもらいますか。頼むぜ?」

 

 

 

 

司「え!?あ、ああ!!ワンダーランズ✖️ショウタイム、公演スタートだっ!!」

 

 

そして、俺達の初演劇がスタートした。練習の成果が発揮されたのか、順調に事が進んでいく。カイトのヒントのおかげで、司の演技は格段にうまくなっている。寧々やえむの歌声、類の演出などもあり、演劇は盛り上がっていく。

 

司『悪の魔王を倒すため〜♪私は旅立つのだ〜♪』

 

司『おや?あれはロビット族のネ・ネーではないか!もしや力を貸してくれるのか?』

 

寧々『オウジ、アナタがモンスターをタオシテクレタので、ムラがヘイワにナリマシタ。コレはオレイの、ゲンキにナル、ハイパードリンクデス』

 

司『ほほう、ドロっとしていてなかなか体に効きそうだ。んぐ、んぐ・・・ぐええ〜!なんだこの味は!あ、そうか。ロビット族は油しか飲まないんだった・・・』

 

その瞬間、客席から笑い声が出る。この一連の流れは好評で、笑顔が溢れる客席がその場にはあった。

 

えむ「類くん!霊斗くん!みんな笑ってるよ!」

 

類「いいね。順調な滑り出しだよ」

 

霊斗「んだな。お、えむ、そろそろ出番だぞ。ドラゴン役の先輩も準備お願いしまーす」

 

次の場面では、えむと着ぐるみの人達が、勇者役の司を魔王の配下役と、ドラゴンの着ぐるみを着て、動いてだけなのだが、ドラゴンは着ぐるみの人達の連携が取れているため、本当の生き物のように動いている。

 

類「獅子舞の要領で作った簡単なものだったけど、連携が取れている彼らがやると、生き物みたいだね」

 

霊斗「流石だよな。こういう事は、あの人たちに任せるに限る。」

 

類「よしよし。良い調子だね。この後は・・・」

 

霊斗「俺と寧々のデュオパート・・・か。」

 

この後は、本来は寧々のソロのはずだったが、急遽変更して、ロビット族の友人として俺も出る事になってしまった。裏方だけのはずだったが・・・まあ、しょうがねぇか。

 

類「霊斗くん、寧々との二人のパート・・・楽しみにしてるよ」

 

霊斗「ま、頼まれたからには全力だな。行ってくるさ。寧々、頑張ろうな」

 

寧々『う、うん』

 

そして、物語の中盤。勇者ペガサスがドラゴンの弱点である歌で眠りにつくという弱点を見抜き、ネ・ネーと俺の役が眠りにつかせるというものだが。

 

司『そうか!あのドラゴンは、歌で眠りにつくのか!何か、歌を歌って・・・」

 

寧々『ココは、ワタシにマカセテクダサイ。ウタを、ウタイマショウ」

 

司『ネ・ネー!だが、君一人だけでは・・・!』

 

寧々『ダイジョウブデス。ココロヅヨイ味方がイマス』

 

司『味方・・・?』

 

『たあああーーっ!!』

 

俺は、ドラゴンに当たらないように、アクロバットを駆使し、蹴りを入れる振りをする。その動きに合わせて、先輩方も、攻撃にあたり怯む振りをしてくれる。

 

司『き、君は・・・?』

 

霊斗『俺はロビット族の戦士型、リ・ユー。勇者様、ネ・ネーから話は聞いております。ここは、俺達に任せて魔王を倒してください。』

 

ちなみに、演劇に合うように、顔はロボットで体に、パーツをつけたスーツで俺は、演劇に出ている。類には感謝しないとな。

 

霊斗『ネ・ネー。護衛します。あなたは歌に集中を』

 

寧々『ハイ。〜〜〜♪』

 

「わぁ!綺麗な歌ー!!」「戦ってる人も頑張れー!」

 

どうやら好評らしい。

 

司『良いぞ!ドラゴンがうとうとしている!』

 

霊斗『このまま行けば・・・!』

 

だが、その瞬間だった。

 

寧々『〜〜〜♪・・・・・・』

 

突如として、ネネロボから発せられていた歌声が消えた。その出来事に、俺は少し驚いたが。

 

霊斗(なんだ?ネネロボが止まった・・・?電池切れか?)

 

司「な・・・!」

 

やはりと言うべきか、司は驚愕の表情をしている。チラッと見たが、類やえむも驚いているようだ。という事は、この状況は想定外だったらしい。

 

「あれー?」「どうしたのかしら?」

 

突然止まってしまった寧々の歌。進まない演劇。時間だけが過ぎていき、観客達も異変に気付いたのかざわついている。

 

霊斗(まずいな・・・観客もこの事に感づいてるな。とりあえず・・・)

 

霊斗『ネ・ネー!あなたが眠ってしまってどうするのですか!』

 

司「!?」

 

霊斗『見てください!もう少しでドラゴンが眠りそうではないですか!』

 

司(霊斗・・・!?そんなセリフは脚本には・・・!?っ!!そうか!)

 

司『そうだぞ!ネ・ネー!もう少しだぞ!よし!みんな!勇者とリ・ユーと一緒にネ・ネーを応援しようじゃないか!!』

 

俺達ができる事はステージ上での時間稼ぎ。それしか今俺達には出来ることがない。

 

司(時間を稼ぐ・・・!俺と霊斗の二人で・・・寧々、類、頼む・・・!なんとかステージを続けられるように・・・!)

 

「ネ・ネー!頑張れー!」

 

観客も乗ってくれて必死に声援を送ってくれている。だがそれも、ただの時間稼ぎだ。どれだけ持つかわかったものじゃない。

さて、どうするか・・・

 

 

類side

 

類「ネネロボが動かなくなった・・・!?充電切れ?いや、そんなはずは・・・!」

 

僕は今この状況に困惑している。昨日、確かにネネロボは充電をしていたはず。こんな事起こるはずがなかった。

 

類「いや、それよりもどうやってネネロボを動かせばいいんだ・・!?」

 

 

『ネ・ネー!あなたが眠ってしまってどうするのですか!』

 

今、ステージ上では霊斗くん達が、必死に場を繋いでくれている。ネネロボが動かなくなった事を悟られないようにしてくれているんだ。

 

類「ここから充電・・・いや、あまりにも不自然だ・・・どうすれば・・・!」

 

僕は必死に思考する。どうすれば最善なのかを・・・!

 

類side off

 

 

霊斗side

 

「がんばれー!がんばれー!」

 

俺達は観客と応援する事で、時間を稼いでいると、

 

えむ『うわぁ〜!お、応援がすごくってドラゴンさんがびっくりしちゃってるよ〜!』

 

えむの突然のアドリブが出た。だが、それはナイスアドリブだ。こうする事で、歌が無くても、ドラゴンを倒すことができる。という流れができたのだ。

 

司 霊斗

 

(ナイスだ・・・!えむ・・・!)

 

司『よーし!みんなの応援のおかげで、ドラゴンが怯んでいるぞ!これなら倒す事ができる!リ・ユー!一緒にドラゴンを倒すぞ!』

 

霊斗『わかりました!勇者様!俺達の力を合わせましょう!』

 

俺達はその流れで、ドラゴンを倒す演技をしようとするが、動かなくなったネネロボに司がぶつかってしまう。

 

司「なっ・・・!ぐええ・・・!」

 

霊斗『・・・っ!』

 

その弾みにネネロボの下敷きになってしまう司。その出来事に俺は立ち止まってしまう。

 

えむ「わわわーっ!?た、助けなくちゃ!みんなー!司くんを助けて!」

 

司「ま、まだだ・・・っ!俺はまだ・・・戦えるぞ・・・!まだ・・・!ドラゴンを倒していない・・・っ!子供達の応援を受けた今のオレは・・・ドラゴンにも負けない・・・っ!」

 

類「司くん・・・残念だけど、ここまでだ・・・」

 

俺は類の方を見ると、首を横に振る類の姿が・・・仕方ない。こうなっちまったら、もうどうしようもない・・・俺は類に頷き返す。

 

類『こうして、ロビット族との共闘と子供達の応援を受けた勇者は魔法のペットであるドラゴンと仲良くなったのでした。しかし、王子の旅はまだ始まったばかり。新たな仲間に、果てしない旅路。王子が魔王を倒すまで、旅は続いていくのでした・・・おしまい』

 

類のセリフによって、俺達のステージは終了した。

 

「えーっ?もう終わっちゃったのー?つまんなーい!!」

 

「最初は良かったけど、急につまらなくなったよなぁ」

 

次々に発せられるのは厳しい評価。急なアクシデントではあったが、俺ではこの評価も仕方ないだろう。だが、司だけは、拳を強く握りしめ、下唇を噛んでいた。そして、観客が終わった後、俺達はステージ上に集まった。そこにはネネロボの姿はなく、あの時の少女・・・草薙寧々がそこに立っていた。

 

司「お前が・・・あのロボットを操作していた寧々か。」

 

寧々「・・・」

 

えむ「寧々ちゃん、あんまりしょんぼりしないで・・・ね?」

 

重苦しい雰囲気の中、俺と類はネネロボを整備している。

 

霊斗「・・・やっぱり、ネネロボが動かなくなった原因は・・・」

 

類「・・・うん。充電切れだね。今、確認したよ。これで問題なく動くはずだ。」

 

司「・・・っ!充電を忘れただなんて・・・、そんな単純な事で、俺達のショーは・・・っ!!」

 

司は悔しそうに言葉を紡ぐ・・・当たり前のことだろう。司はこのショーを人一倍、意気込んでいた。それがこんな結果で終わる。納得がいくはずもない。

 

寧々「ごめん、なさい・・・」

 

司「謝ってもどうにもならん!」

 

霊斗「司、寧々も悪気があったわけじゃねぇ。多分だが、俺達がいなくなった後も練習してたんだ。充電が切れる寸前まで。それに、これは俺達の原因でもある」

 

司「何?」

 

霊斗「ネネロボの管理は確かに寧々と類の担当のはずだ。だが、俺達だって任せっきりだった場面もある。悪いのは寧々だけじゃない。だから、次は必ず成功させる。それで良いだろ?」

 

司「・・・次?次だと!?じゃあ今日のショーを楽しみにしてくれていた客はどうなる!?」

 

司は俺の胸ぐらを掴んで、壁に叩きつける・・・ぶっちゃけすごく痛い。だが、今の司の気持ちに比べたら、なんて事はない。

 

えむ「つ、司くん!喧嘩は駄目だよ〜っ!」

 

司「ショーは毎日毎日変わる!その時の一回一回が勝負だ!だからオレ達はいつだって成功し続けなきゃならない!ここにいる全員が、今日、このショーを成功させたかったんだろう!?なぁ!そうじゃないのか!?」

 

類「・・・・・・」

 

寧々「全部・・・私のせいだ・・・!わたしが・・・私がロボットなんて使わなくても・・・人前に立ててれば・・・!」

 

類「・・・寧々」

 

えむ「寧々ちゃん・・・」

 

・・・全部の責任が自分にある・・・寧々はそう思ったんだろうな。

 

司「・・・ああ。そうだな!その通りだ!」

 

そして、司の怒りの矛先が寧々に向けられた。

 

司「そもそも、ずっとこそこそ隠れて、ロボットなんかで話している時点でおかしかったんだ!人見知り?人前に出られない!?ふざけるな!!客と向き合わないで、最高のショーができるわけないだろうが!!」

 

霊斗「おい、やめろ。司。寧々だって、頑張ったんだよ。それ以上、責めんな」

 

寧々「・・・なさい・・・!ごめんなさい・・・!!」

 

寧々は涙をこぼしながら、駆け出していった。この場から逃げるように。

 

類「寧々!」 えむ「寧々ちゃん!」 司「・・・・・・」

 

霊斗「・・・言い過ぎだろ。司。お前の言う事は尤もだ。けどな、司、お前は肝心な事を忘れてるぞ」

 

司「・・・?」

 

霊斗「お前は・・・一人で、最高のショーを作るつもりかよ?」

 

司「・・・っ!」

 

霊斗「同じ気持ちのやつが集まってやれば、ショーはどこまでも面白くなるはずなんだ。けどな、それを司、お前自身がそれを捨てようとして、なんかあるのか?がっかりだぜ。司。お前のショーに対する想いはそんなもんだったわけか?」

 

・・・追い詰めてんのは俺も同じだよな。だけど、こればかりな言っといた方がいい。司のためにも。

 

司「っ!違う!オレはずっと、このショーを最高のショーにするために、本気で頑張ってきた!今回だけじゃない!いつか、スターになるために、オレはずっと・・・!」

 

霊斗「・・・ああ。そうか。そう言う事か。カイトやミクが言っていた意味が、わかったような気がする。」

 

司「何・・・?霊斗、それはどう言う意味だ・・・?」

 

霊斗「司、お前・・・自分がスターになりさえすればそれでいいのか?」

 

司「何だと・・・?」

 

類「そう言う事・・・か。司くん、君はショーをスターになるための手段としか考えていないんだね。それならもう、僕はここには来ないよ。」

 

司「なっ・・・!?」

 

類「それと、君は絶対スターにはなれない。」

 

司「っ!ど、どう言う意味だ!俺がスターになれないだと!?」

 

そう言った後、類は立ち去って行った。

 

えむ「類くん・・・!」

 

霊斗「・・・どうする?司、お前も今日は帰るのか?」

 

司「・・・っ」

 

俺は司に聞くが、司は何も答えず、ワンダーステージから立ち去って行った。

 

えむ「司くん!」

 

霊斗「・・・最悪のスタートだな。1回目からボロボロ・・・って、類のやつ、ネネロボを置いてったのかよ・・・」

 

えむ「・・・ねぇ、霊斗くん。」

 

霊斗「なんだ?」

 

えむ「みんなの笑顔・・・なくなっちゃった・・・どうすればいいのかな・・・?」

 

霊斗「俺にもわかんねぇよ・・・けど、俺は自分にできる事をやる。なぁ、えむ、少し頼みがあるんだが・・・」

 

えむ「・・・?」

 

 

 

司side

 

「クソッ・・・!なんでこんな・・・!俺はただショーを・・・っ!」

 

たった一人の夜道。いつもは俺の親友が隣にいてくれた。俺の夢を笑わずに、肯定してくれた一人の親友。霊斗は隣にはいない。今の俺では、霊斗の隣には立てない。そう思ってしまったんだ。

と、その時、ポケットが微かに光った。

 

司「・・・?今、何かが光って・・・スマホか?『untitled』・・・?どうして今・・・」

 

俺はすぐさま閉じようとしたが・・・あの時カイトが言っていた言葉が脳裏に浮かぶ。

 

「また困った時が有れば、いつでもきて欲しいな」

 

そして俺は、閉じようとしていた手を動かし、untitledを再生していた。

セカイに来たのはいいが今はやけに静かだった。ミクやカイトの姿もない。

 

司「・・・静かだな・・・誰もいないのか?」

 

『・・・グス・・・』

 

司「・・・泣き声・・・?こっちか・・・?」

 

俺は泣き声の聞こえた方へ足を運ぶ。すると、そこにいたのは。

 

「ウェーン・・・」

 

司「あの時のぬいぐるみ・・・?お、おい、どうした?何かあったのか?

って、ぬいぐるみ相手に俺は一体何を聞いて・・・」

 

「ウ、ウウ・・・ビェー!」

 

司「あー、泣き止め泣き止め!・・・そうだ!見るがいい!俺の華麗なダンスを!」

 

俺は、軽くステップを取り、踊る。どうだ!このダンスを見れば、こいつも泣き止んで・・・

 

「ビェー!!」

 

司「こ、こいつ・・・!余計に泣くとは・・・!もうこんなもの放って・・・!!いや、もしかするとあれならいけるか・・・?」

 

「ウェーン!!」

 

司「えぇい!やるしかないか!わわ・・・わんだほ〜い!ここはみーんな笑顔のわんだーすてーじだぞっ♪」

 

「ビェ・・・?」

 

司「こ、今度は一緒にやるぞ〜?みんなで〜・・・わんだほ〜い☆」

 

「パンダホーイ?」

 

司「惜しいぞ!ぱ、じゃなくて、わ!両手をこう、わわーっと広げるんだ!」

 

「ワンダホーイ!」

 

司「ハッハッハッ!いいぞいいぞ!わんだほいができたから、王子の仲間にしてやろう!」

 

「オウジ?」

 

司「そうとも!そしてお前は王子である俺の仲間だ!」

 

「・・・!ナカマ!ソレジャア、オウジサマ!イッショに、ボウケンシヨウ!」

 

司「冒険・・・?わっ!引っ張るな引っ張るな!」

 

その後、俺はぬいぐるみに引っ張られながらも冒険を体験した。船に乗り、荒波を越え、強いモンスターが現れ、それを倒し、さまざまな冒険をした。どこか懐かしい冒険だ。

 

司「なんだか懐かしい気分だな・・・」

 

「ワタシモダヨ!ツカサクン!」

 

司「・・・?お前、足に何か書いてあるぞ?さ・・・き・・・さき?そういえば、昔、咲希はうさぎのぬいぐるみを持ってたような・・・まさか、お前は咲希のぬいぐるみ・・・なのか?いや、それだけじゃない・・・!ここにあるもの全ては・・・俺の知っているものばかりだ・・・」

 

「うん♪ここは司くんの想いで出来たセカイだからね!」

 

声の聞こえた方へ顔を向けると、そこにはミクとカイトがいた。

 

司「ミク、カイト!もしかしてずっと見ていたのか?」

 

カイト「うん。とてもキラキラしていたよ。あれこそまさにスターだよね」

 

司「スター?あんな、ただの遊びが?」

 

ミク「そうだよ〜?だって、泣いてた子が、あ〜んなに笑ってくれたんだよ?」

 

司「・・・笑って・・・あ・・・」

 

その時、俺は思い出したんだ。咲希が病院に入院してた時、咲希は幼馴染の子達と遊びたいと曇った表情をしていた時、俺があの時みたショーの真似事をしたんだ。ただ咲希を笑わせたかったから。

 

司「そうだ・・・オレはただ、咲希のことを笑わせたかったんだ・・・あの日先と一緒に見たショーの、スターのように。スターになりたいと思ったのも・・・俺も、咲希も、最高の笑顔をもらったからだ・・・!」

 

司「それなのに俺は・・・スターになる事をこだわって・・・俺は・・・」

 

『みんな、喜んでくれるといいな』

 

『一緒にみんなが笑顔になれるショーを作ろう、天馬くん』

 

『あたし、このステージにショーを見に来てくれる人が、みーんなニコニコ笑顔になってくれる事が夢だったの』

 

『ここにいる5人とワンダーステージに関連してる全員で、えむの願いを叶えるのさ』

 

司「俺よりも・・・あいつらの方が、よっぽどスターじゃないか・・・!」

 

カイト「司くん、そんな事はないよ」

 

司「・・・え?」

 

ミク「うん!さっきの司くん、とってもキラキラしてた☆きっと、大切な事を思い出したからだね☆だからきっとみんなの事を笑顔にできるよ☆」

 

司「あいつらを・・・笑顔に・・・」

 

カイト「きっとできるよ。だって君は、みんなに笑顔をあげる未来のスターなんだろう?」

 

司「・・・ははっ!ああ、そうさ。その通りさ!ありがとう!二人とも!」

 

俺は、二人には感謝しないといけない。俺がスターを目指す理由を思い出したさせてくれた二人には。よし!そうと決まれば、明日、もう一度、ワンダーステージに行こう!そして・・・みんなに謝らなければ!!

 

 

 

 

 




ご愛読ありがとうございます。

オリ主を絡ませる次のグループは?

  • Leo/need
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