ナザリックらいふ!~愛され上司のすゝめ〜   作:失望されないルプスレギナ

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今後の展望

「うーらーぎーりーもーのー」

 

「あははははは!!」

 

 圧倒的愉悦っ! いられない! 笑わずには!

 

 我ながらどうかとも思うけど、やっぱりこうじゃないとな、調子出てきた。

 

「何ですか何ですか? そんなに俺を苦しめるのが楽しいですか? ええ、楽しいんですよね知ってます。わかってました、わかっていましたともロコモコさんが居たらこうなるって事くらい」

 

「いやぁ照れるっす」

 

「あー……無いはずの胃が痛い」

 

 かつてもこういうことはよくあった、調整という範疇を超えての決定というものをモモンガさんに強いる事。

 今回の様に、いわば爆発。

 感情的な意味合いを含めて、一歩引いた場所から意見を委ねようとするメンバーの意を発露させまとまりそうだった話をややこしくすることは。

 

「懐かしいっすね?」

 

「……はぁ、やっぱりロコモコさんはずるいですよ。かつても今も、絶対良い結果になるってわかってたからでしょう? 何も言えないですよ」

 

「買いかぶりパートツーっす。俺はこうしてモモンガさんにジト目を向けてもらいたかっただけですよ、骸骨だから眼球は無いんでしょけど」

 

 正直こうなれば良いな程度だった。

 表情って言うのは思っているより多くの情報を示すわけで、それがわかり難いではなく表れないコキュートスと言った人外キャラはなかなかに難しい。

 性格にしても設定として把握しているだけで、理解しているとは言い難いだけにある種綱渡りの先にあったんだろうこの今だ。

 

「異世界に来てまでも俺をいじめたいんですね?」

 

「ええ、その通りっす」

 

「もうちょっとこう否定して下さい!? ……く、鎮静化した」

 

 いやいやモモンガさん、分かっているでしょう? 

 俺より早くこっちに来ていて、今まさに精神鎮静化が発動したように。

 

「……残滓、ですか」

 

「はい。こうしてかつてを演じてるって面はあるっす。なんとなく、こうしないと消えてしまうんじゃないかって怖いんすよ」

 

 あのリアルで生きた俺とはもう違うってのは嫌って程にわかった。

 今の俺ってやつをみてかつての俺は自分だと思わないだろうことも。

 

 だけど昔の俺が今の俺を完全に否定してしまうということは、ユグドラシルでのことすらをも否定する事になってしまいそうで。

 

「モモンガさん」

 

「はい」

 

 だからこそ。

 そう、だからこそだ。

 

「俺たち二人だけの時は、あの頃に戻りましょう。空虚な事なのかもしれません、けどやっぱり忘れたくもないんです」

 

 俺だけなのかもしれない。

 モモンガさんが決別という覚悟を決めかけたように、時間や出来事が解決する事なのかもしれない。

 

「ええ。そうですよ、俺をモモンガに留まらせたのはロコモコさんなんですから。しっかり責任とってもらいますからね?」

 

「――ははっ。了解っす、万事お任せあれっすよ」

 

 本当に、モモンガさんが言った通りギリギリだったんだろう遅刻に違いはないけれど。

 

 アインズ・ウール・ゴウンを背負う……いや、自身をギルドとする。

 

 嬉しいと……思うんだろうか、メンバー達は。

 真っ二つに割れそうな気もする。いつまで過去に囚われているのかと言うメンバーもいれば、自分とのつながりを大事にしてくれたんだと喜ぶメンバーもいるだろう。

 

 少なくとも俺は、嬉しいと思う。

 モモンガさんの妄執ともいえるだろうギルドへの想い。リアルに生きていたころの自分であれば恐怖に近い思いを抱いたのかもしれないけど。

 今となってはそういった気持ちにならないのだから考えるに値しない……いや、考えるだけ無駄だろう。

 

「んじゃ、これからのお話をするっすよ。コキュートスに蜥蜴人を支配してもらうってのは決定として、これからの展望とかってありますか?」

 

「そうですね……この前話した通り俺はこのアインズ・ウール・ゴウンって名前をこの世界に轟かせたいと思っています」

 

 聞いた話だ。

 ギルメンが現れない以上、いたころの栄華をこの世界でも示すって目的。

 

「それはもしもこの世界にギルメンが訪れた時、ギルドの存在が伝わりやすくするって意味あいも?」

 

「はい。ロコモコさんが来たんです、やっぱり他のメンバーもって期待はしてしまいますし、可能性の高い低いは気にしないでも備えたいって気持ちは大きいです」

 

 可能性、ね。

 

「現状この世界に来ることが出来る条件は二つっす」

 

「二つ、ですか」

 

「ユグドラシルプレイヤーが死んだ時。そして最終日にログインしていた場合」

 

 モモンガさんは生きたままログイン最終日、強制ログアウトをナザリックで待ったって話だから詳細を言うなら日付変更をユグドラシルで待った場合になるだろう。

 対しての俺だが、どちらのケースにも当てはまる。

 ログインが結局できないまま死んだのなら前者の条件に当てはまるだろう。

 

 後者に照らし合わせるのならば、ログインしてログアウトしないまま日付変更を迎えたってことになるのだろうか。

 ログイン中にプレイヤー自身が死んだ場合の処理ってどうなるんだろ? やっぱ強制ログアウト処理になるんだろうけど、現にここへ来ることが出来てるし。

 やっぱり俺の場合はユグドラシルプレイヤーが死んだ場合、その魂の行方としてこの世界が選ばれるって線が濃厚か。

 

「どちらにしてもこれからプレイヤーが現れる可能性はあるでしょう。要するにナザリックが脅かされる可能性があるっていう事っす。それでも尚アインズ・ウール・ゴウンの名前を轟かせたいですか?」

 

「……はい。それが、それこそが俺がこの世界を生きる意味だと思いますから」

 

 ふぅ、まぁ適当にナザリックで楽しく過ごしながら未知を拓いてたーのしーする道もあるわけだけど。

 我らがマスターがそう望むのなら叶えよう。

 

「わかりました。なら絶対目標、最大目標はそれで」

 

 元よりモモンガさんを支えると決めたんだ、改めて覚悟を決めよう。

 覚悟が伝わったのかモモンガさんは感謝も何も言わず頷いてくれた。

 

「手段として手っ取り早いのが世界征服っす」

 

「せ、世界征服、ですか」

 

 ナザリックに対抗しえる戦力が在るのかどうか未知数ではあるけれど、瞬間的に名前が轟くと言えばそうだろう。

 幸いと言うべきかモモンガさんはアンデッドだし、見た目としてのインパクトは十分だ。

 

「世界を敵に回せば否応なしに名前は轟きますからね。確実にプレイヤーはアインズ・ウール・ゴウンの存在に気づきます」

 

 有名DQNギルドだったわけだし、ギルメンじゃないプレイヤーも気づくだろう。

 リスクは高いが、目的だけを考えるのならば早期合流も出来るし確認できていない敵になりえる存在をあぶり出すことも出来る。

 

「ただ言うまでもないっすけど、戦う前に勝利が決まっている状態を作るっていう俺たちの誰でも楽々PK術(基本戦術)に基づくならそれなりに時間がかかるっす。気にしないで進めるのならばすぐにでもできますけど」

 

 何も考えず世界征服だヒャッハーしても、征服が叶う叶わない関係なく十分な効果あるけれど、正直何処かで綻びが生じるだろう。

 ナザリック原理主義というか、究極的な排他主義であるうちとしてはそれこそ良いって考えるヤツがいるかもしれないが。

 

「世界の、支配者……う、うーん」

 

「モモンガさんの気質がどうのって部分に対してはまぁ、はい。ただギルドの名前を背負って、その名を轟かせたいってなるとそれ相応の立場につくことにはなるっすよ」

 

 いわば旗そのものなんだし。

 どういう形にしても表舞台にはでてもらうことになる。

 

「とりあえず短絡的に進めるのはダメでしょう、皆を制御できるとも思えませんし。じっくりやる事は決定として、当面何を目標にするべきでしょう?」

 

「賛成っす。そうですね……何をするにでも情報が足りないっすから、情報収集に力を入れつつ当面は国を作る事を目標としましょうか」

 

「国っ!?」

 

「そうっす。アインズ・ウール・ゴウン王、ばんざーいっす」

 

 驚いて固まってるモモンガさんに万歳してみるテスト。うん、なかなか悪くない……あ、沈静化した。

 

「何処をどうしたらその考えに?」

 

「真っ当に勢力としてのナザリックを表舞台に作るってことっすよ。もちろんどっかの国や勢力で影の支配者的なポジションでもいいっすけど、より効果的にと考えれば国を興す方がいいかと」

 

 モモンとして作った冒険者としての立場、既にセバス達が潜り込んでる場所を考えればまぁリ・エスティーゼ王国が良いだろうか。

 俺としても次は懸念だったセバスへ会いに行こうと思っていたところだ、丁度いい。

 

「わかりました。いや、まだ考えが追い付きませんけどとりあえずその方向で考えましょうか」

 

「了解っす。都度修正はしていくとして……お願いがあるっす」

 

「……すごーく聞きたくないですけど、なんでしょう?」

 

「パンドラ――」

 

「うあああああ!?」

 

 おー流石の黒歴史。いや、俺はかっこいいと思うんですけどね? あ、二回沈静化した、それほどですか。

 

「理解して欲しいっす。外に出せるNPCが限られている上に、手が足りないんですよ。単純に考えてもモモンガさんがナザリックにいる間、モモンを任せることが出来るパンドラズ・アクターが必要なんです」

 

「うぐぐ……」

 

「わかりました。じゃあ俺の創ったNPCも稼動させますから」

 

「え? 浅井さんですか?」

 

 正しくはアサイーだけど、通称浅井さんである。

 別に黒歴史を詰め込んだわけじゃないけど、メコさんの性癖詰め込んだNPCだから俺に対してどう反応するのかちょっと怖い。

 ともあれ俺と同じくどころか俺から完全に戦闘能力を取っ払った情報収集特化型のNPCだ、封印しっぱなしにしておけはいないだろう。

 

「交換条件ってわけじゃないですけどね。こういう時必要な存在をもったいぶるわけにもいかないっす」

 

「うー、わかりました。じゃあパンドラズ・アクターを表に出します……」

 

 よし、これで何とかなるか。

 

「ありがとうございます。じゃ、世界征服第一歩として――」

 

 ――人事異動、しましょっか。

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