ナザリックらいふ!~愛され上司のすゝめ〜   作:失望されないルプスレギナ

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人事配置決定、そして首脳会議

 目標と目的の共有。

 それは組織であればどの様なものでも大切なことだ。

 

 たとえば企業。

 形骸化していると言うか、お飾りとなってしまっていることも多くあるが基本的に理念というものが存在している。

 社会福祉に尽力するだとか、生活質の向上だとかそういった会社が掲げるスローガンみたいなもの。

 

 そういったふんわりとしてでも設定されている目的を達成するために目標がある。

 この間俺とモモンガさんですり合わせを行ったのもここにすれ違いを産まないためだ。

 

 まぁナザリックにおいてはモモンガさんの発言や意図をデミウルゴスやアルベドが深読みして、結果がより良いものになったりと言った勘違いは存在しているみたいだけど。

 アドリブの中にこそ生まれる良いものとはあるもんで、それはそれで最大目的へ繋がるようフォローしつつ上手く利用していきたい。

 

 ともあれ、だ。

 

「なるほど、国を作る、ですか」

 

 顎へ指を運びながら俺が言った言葉を反芻しているのだろうデミウルゴスが考える。

 

「確かに利が多く思えます。しかしながら、そう回りくどい事をせずとも一気呵成に人間たちを支配することも可能なのではないでしょうか?」

 

「もちろんモモンガさんに提言はしたさ。事実やろうと思えばある程度までは確信を持って出来ると言える。が、短絡的にことを進めるのは止めようって話になってな。理由としては暴力や恐怖による支配は維持するのが難しいということと、それなりに被害を与えた上でしか実施出来ない。つまり生産性をある程度削ってしまうことになるから効率的に見えてその実無駄が多いんだ」

 

「んなぁるほど! 流石はアインズ様が頼りとする叡智溢れる御方!!」

 

 アルベドの質問に答えて、パンドラズ・アクターのリアクションにちょっと驚いて。

 

 パンドラズ・アクターはともかく、アルベドは内心たかが人間如きといった思いはあるだろう。

 そこら辺の解決もしておくべき、か?

 

「ナザリックというか、モモンガさんと俺が根幹に持っている戦術は戦う前に勝つってことだ。短絡的にという言葉は悪かったが、平たく言えば事前準備を入念に行うってことで。モモンガさんがそれを欠いたことで出るかも知れないナザリックの損害を嫌った面も強い」

 

「まぁ……! アインズ様が私の傷つくところを見たくないと……! く、くふー! ロコモコ様、申し訳ありません。愚案でした、取り下げます」

 

 やんやんぐりんぐりんとアルベドさん。

 若干それをデミウルゴス、パンドラズ・アクターと一緒に引きながら見届けて。

 

 俺もアルベドの扱いを熟知してきたよね。あ、デミウルゴスさん? お見事ですって? ありがとう。

 

 一部不安はあるけれど、俺を含んだこの四人がこれからも続くナザリックにおける首脳陣。

 モモンガさんがこの場にいないのは組織としての確立を目指すための一環だ、ちょっと寂しそうにしてたけどごめんなさい。

 

「当面の目標は国を作るということ。それを見据えた上でまずはモモンガさんが作った偽造身分(アンダーカバー)。その拡大を図りつつ、情報収集を継続して行おうと思う」

 

「恐れながらロコモコ様。情報収集をするにあたり、御自ら部隊を率いると伺いました。それは私達の力量が足りないだろうと危惧されてのことでしょうか?」

 

 おっと、プライドを刺激してしまったかな? いや、どちらかと言えば俺に動いてもらうってのに抵抗感があるって感じか。

 流石のデミウルゴス、同格として扱って欲しいという言葉を上手く処理しつつ隙あらば慮ってくるね。

 

「デミウルゴス、重大な役目を俺如きに預けようとすることに抵抗はあるかも知れないが、これも役割分担、適材適所の一環なんだよ」

 

「そ、そのようなことは! 申し訳ありません、愚考でございました。よろしければその考え、お聞かせ頂ければ感謝に絶えません」

 

 このやり取りも若干テンプレ化してきたかもしれないな。ある程度お互いわかっているからこそ出来ることではあるが。

 

 それにアルベド達もやっぱり気になってはいるみたいだ。んじゃ、説明していきますか。

 

「よし、じゃあ聞いてくれ。今回の人事異動、その狙いは表と裏における組織の確立を目的としている」

 

「表と、裏、ですか?」

 

「表が直近目標である作るだろう国、裏がナザリックという認識でしょうか」

 

 頷く。

 基本的にナザリックの者はナザリックでしか働けないというかその適性がない。

 能力だけの問題だけじゃなく、見た目に関する問題もあるだろう。

 

「国を作った場合、どうしても人間を使える存在が必要になってくる。モモンガさんの国を作ったからと言ってここをほったらかしにするわけにもいかないし、ナザリックの存在をまるっとその国に収めるわけにもいかないからな」

 

「御言葉ですが、ナザリックそのものを表に出す不都合とは? 人間如き、あらゆるものが足りない者を使わずとも、大手を振ってナザリックの進出を示すべきなのではないかと愚考致します」

 

 ふむ、やっぱりナザリックの人間を下等とみなす思想は中々に根深い。

 いやまぁギルメンのせいとも言えるからなんともだけど。

 仕方ない、説明をっと。

 

「それは――っと、デミウルゴス。理由がわかったみたいだな?」

 

「恐れながらも。アルベド、つまりはこういうことなのだよ。我々はこの世界における強者だろう、しかしそんな強者が集い他と一線を画すナザリックの存在そのものを知らしめてしまえば、周辺の国に緊張感をもたらし、排除すべしと包囲網を築かれてしまう可能性がある。圧倒的に情報が不足していると考えられる現状、そうされてしまえばシャルティアの件然り想像し得ない何かを持ち出され不覚をとってしまいかねない」

 

 はーやっぱ優秀なんだなー……わかってたけどさ。

 まさに一を聞いて十を知るってやつか、心の中で拍手を贈っておこう。

 

「我々であれば包囲網ごと食い破ることも可能かも知れません。しかぁし! モモン……失礼。アインズ様はそれを嫌っておられる。ならば取るべき手段とは言えませんな!」

 

 おーパンドラズ・アクターまで。

 これは素晴らしい誤算だな、安心して任せられる。

 

「なるほど……かしこまりました。疑問に答えて頂き、感謝致します」

 

「よしてくれ、全然良いんだ。その調子で小さくても大きくても疑問は口にするべきだ。俺たちは高度な情報、理念、目的のすり合わせを行わなくてはならない。疑問は齟齬を生む、デミウルゴスもパンドラズ・アクターももちろん俺もこれから互いの考えへ疑問を遠慮せず口にしていこう」

 

 そう言ってみれば了解を示すように頭を下げてくれる。

 いい調子だ、元が優秀なんだしっかりと実践に結びつけてくれるだろう。

 

「話を戻すが、組織としての確立。その内約としてナザリックの中で教育を行い外で働ける人材を排出するという体制を作ること。そして表に出た際ナザリックを匂わせず活動できる体制を作ることがある」

 

「外での体制を作るためにロコモコ様が諜報部隊をお作りになられるということも含めてですね? このデミウルゴス、ロコモコ様の先見性へ感服致しました」

 

 いやだから隙あらばそういうのは止めよう? 照れるから。俺ってば多分君たちよりも随分頭不出来だからね?

 あーモモンガさんの苦労が身に染みる……。

 

「そういうこと。加えてモモンガさんが既に作っているアンダーカバー、冒険者モモンとしての活動はパンドラズ・アクターに担ってもらう。ナザリック活動資金収集と情報収集を兼ねる仕事だ、出来るか?」

 

我が神のお望みとあらば(Wenn es meines Gottes Wille)!」

 

 おっとー……いや、ノーコメントで。

 しかしあれだな、一定の尊敬……いや、これは配慮か。パンドラズ・アクターは俺を通してモモンガさんを見ている面が強いな。今のセリフにしても、あくまでもモモンガさんがそう望んでいるのならば了解するって意味合いが強いだろう。

 

 うん、ある意味一番良好な関係が築けそうな気はする。

 

「デミウルゴスに関しては今してもらっている世界情勢的な情報収集は俺が引き継ぐ。その代わりでは無いけれど、牧場を利用して人間の心理を把握するという仕事をして欲しい」

 

「ナザリック内での教育のために、いわば教科書作りということですね。かしこまりました、巻物作りと並行して行えるでしょう素晴らしい采配かと」

 

 うひぃ! くすぐったい!

 

 何気にデミウルゴスの仕事量がパンク気味ではあったんだよな、身を粉して尽くすことこそ喜びとあたってくれているが牧場に集中することで仕事のクオリティは高まるだろう。思っているより早くナザリック教育機関の体制を作り上げる事ができるかも知れない。

 

「アルベドに関しては現状のまま、送られてくる情報の統括をして欲しい。モモンガさんの隣は任せた」

 

「く、くふっ。か、かしこまりました! ロコモコ様のご期待に応えます!」

 

 あ、デミウルゴスさんパンドラさん、なんですかその目は。

 うまくなったなーですか? やめて下さいモモンガさんに悪いのです。

 

「っと、申し訳ありません。疑問を口にせよとのことですし、他の守護者に関してお聞きしても?」

 

「あぁ、もちろん。伝えるつもりでもあった」

 

 あーうん、アルベドとしては主にシャルティアを親衛隊長としたあたり気になるよな? わかってるともステイステーイ。

 

「シャルティアに関しては主にモモンガさんが表舞台に姿を表した時の立場って話だよ。ナザリックにおける第一から三階層に至るまでの守護者としての役目はそのままに。同様にアルベドは王となったモモンガさんの宰相的なポジションに収まることになるだろう。個人の武、その証明としてのシャルティアであり、モモンガさんを支える女房的な立ち位置にアルベド。この二枚看板を考えている」

 

「――くっふー!!」

 

 あ、倒れた。

 

 ……やりすぎた?

 

「しゅ、守護者統括殿はさておき。なるほど、その論で言うならコキュートスを表舞台での将軍としての位置に据えるということですね?」

 

「あ、あぁ。あくまでも予定ではあるけどな」

 

 蜥蜴人の統治はいい経験になるだろう、将としての自覚が育つだろうコキュートスはまさにその位置こそ相応しい。

 

「アウラ、マーレに関しては俺の諜報部隊補佐に回ってもらいつつ、今持っている仕事の継続もしてもらう。二人で上手く連携してやってみせると答えてくれたよ。浅井さんもつけたしな」

 

 何気に相性が良かったのか良好な関係を作っているらしい。

 アウラ曰く、何この子おもしろーいだそうだ。

 

「その他の守護者に関しては据え置きといえば言葉が悪いが特に新たな仕事を任せるつもりはない。今の役目こそ最大限集中して行ってもらいたいことだしな」

 

「かしこまりました。ありがとうございます」

 

 こんなところ、だろうか。

 あと他に話さなきゃならないことは、っと。

 

「そう言えばロコモコ様。諜報部隊副官をプレアデスから選出なさるとか」

 

「ん? あぁ、そうだ。その事も触れておかないとな」

 

 予想通りとはいやらしいか。

 ともあれルプスレギナとソリュシャンが候補として最後まで残ったが。

 

「選ばれるのはお一人と聞いております。どちらを選ばれるので?」

 

「この会議終了を持って適性を実践で測ろうと思ってるんだ。具体的には王都へ潜入する。そこでの働きを見て決定するよ」

 

 ある程度セバスとソリュシャンによって情報が集まりつつあったからな、うってつけではある。

 既に上がっている情報を見るにしても王国はまぁ初心者向けというか、やりやすい印象を受けたし。

 

「はっ! 委細了解致しました」

 

 よし、それじゃ動いていきますか。




タイミング的にセバスはツアレを保護していません。
つまりまぁなんだ、ツアレどんまい。助けないとは言っていないです。

追伸
日間ランキングで本作の名前を見ることになるとは思わずコーヒー吹きました、応援、感想、ご評価等ありがとうございます。
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