ノリの良いスタンド使いの奇妙な幻想入り   作:仁堂六華

11 / 29
今日はクイズはお休み。
考えるのが面倒だからとかじゃあ無いんですッ!!
決して!!そう、決して!!
サボってなどいませんともッ!!


⑩空条譲信の酷ぇ一日

“JOJOの何でも屋”。

一連の騒動の後日、その活躍ぶりから一気に人里中にその名は知れ渡り、今や知らぬ者はいないと言うほどに有名になった。

 

超巨大な岩の巨人をたった一人で倒し、子供を無傷で救出した凄腕の社長、空条譲信。

スタンドという不思議な力を操り、人間でありながら妖怪を軽く凌ぐほどの力を持つこの男は、本人の真っ直ぐな性格も相まって人々からは憧れの対象とまでなっている。

そして、一連の騒動は人里内にとある影響を与えていた……

 

 

 

 

 

 

♢♢♢♢♢♢《人里寺子屋》♢♢♢♢♢♢

 

 

少女A「け、慧音先生!!大変です!!またA君とB君が喧嘩してます!!」

 

 

慧音「何?また喧嘩してるのか?全く…AとBは何処だ?」

 

 

少女A「こっちです!!先生早く!!」

 

 

少女に手を引かれ、慧音はやれやれとため息を吐きながら現場へ向かう。

そこでは、確かに二人の少年が殴り合いの喧嘩をしていた。

………しかし、何処かいつもと違っておかしかった。

 

 

 

少年A「おいB!!いつもいつも俺の邪魔ばかりして!!もういい加減許さねーからなぁ!!WRYYYYYYYYYYYYYY!!」

 

 

少年B「それは僕の台詞だ!!このスカタン野郎がぁーッ!!

 

 

互いに罵り合いながら、遠慮無く殴り合う。

 

 

少年B「なんだなんだぁ?そんな欠伸が出ちまいそうなスットロイパンチは!!そんなんで喧嘩が続くかぁ?続・くぅ・かぁ?貧弱貧弱ゥ!!」

 

 

少年A「つべこべ言わずにかかって来なッ!!俺はやるといったらやる男だぜ!!お前のようなゲロ以下の臭いがプンプンする奴は!!ぶちのめす!!オラオラァ!!」

 

 

そんな一部始終を見てしまっては慧音は黙っていられない。

 

 

慧音「何をしてる!!いい加減にしないかーッ!!」

 

 

慌てて慧音は二人を引き離す。

これ以上喧嘩が続くと大怪我しかねなかったからだ。

 

 

少年A「こ、このぉB!!お前は絶対許さねーぞ!!ぶっ殺してやる!!」

 

 

慧音「友達に向かって何てことを言うんだ!!馬鹿者!!」

 

 

少年B「ぶっ殺すぅ?だから君はマンモーニなんだよぉ!!ぶっ壊すと心の中で思ったなら!!その時スデに行動は終わっているんだ!!」

 

 

慧音「マン……モーニ?なんだそれは!?そんな言葉何処で覚えた!?」

 

 

少年A「やかましい!!お前が言えた台詞かぁ!!自分を棚に上げるとは!!こいつはめちゃ許せんよなぁ!!」

 

 

慧音「お前たち…いい加減に………しろぉぉ!!」

 

 

慧音の頭突きが二人に奇麗に入り、あまりの痛さに二人は悶絶してしまう。

……そう、“JOJOの何でも屋”は良くも悪くも人里に影響を与えていたのだ……。

 

 

そんな空条譲信の経営する何でも屋は祝日…土日は休みなのである。

そう、一連の騒動があったのは水曜日。

それから3日が経って、騒ぎも落ち着くこととなった土曜の今日は、“JOJOの何でも屋”は休みなのである。

 

一応は助手であるこいしは、依頼の無い休日はとても暇になるので、無意識のまま何処かへと、面白い事を探しに姿を消してしまった。

おそらく月曜までは就寝時に戻ってくるか来ないか…である。

 

一方、社長である譲信は優雅に休日を満喫している………訳でも無く譲信は現在、八雲紫に呼び出されマヨヒガまで八雲藍に連れて来られていた。

 

 

譲信「こうなるんじゃあ無いかと思ってましたハイ」

 

 

人里内でスタンドを使って暴れて、さらにはスタンド能力の全てが描かれている漫画の没収。

勝手に何でも屋を開いただけでなく、異変レベルの騒ぎにまで関わってしまったのだ。

スタンド能力について、なるべく伏せておこうと考えてる八雲紫にとって、今の状況はまさによろしくない…というのが譲信の考えであり、こうして呼び出されるのも予測していた。

 

最悪ぶっ殺される、良くて説教、監禁、半殺し。

そんなことを冷や汗を掻きながら考えていると、譲信はとうとう紫の待つ部屋の前まで来ていた。

目の前にある襖一枚の向こう側に紫はいる。

一体どんな恐ろしい表情をして自分を待ち構えているのか…開けるなり弾幕でも飛んでくるのでは無いか…。

 

 

藍「紫様、連れてきました。」

 

 

紫「入っていいわよ」

 

 

藍「失礼します……」

 

 

譲信「………………ゴクリッ」

 

 

今日の譲信の服装は、すかしたブランド物のスーツに、センスの良いネクタイ。

そして、ポケットの中には何故かダサい爪切りが入っている。

そう、ジョジョ第四部、吉良吉影の通勤時の服装である。

自分の中で一番常識的で偉い人の家に行くときに着るようなジョジョの服装…となるとこれしか出てこなかったのだ。

突然の呼び出しだったので、服を買う時間もなく致し方無かった…。

 

 

ススゥーーー…

 

 

藍によって襖が静かに開けられる。

譲信は覚悟を決めた。

 

 

譲信「こ、この度は!!ゆ、紫さん…様の!!ご意志に背くような勝手な行動をし、多大なるご迷惑をお掛けしてしまいッ!!誠に申し訳ございませんでしたッ!!」

 

 

襖が開くなり、譲信はその場で高速土下座。

紫がどんな顔をしてるかなんて恐ろしくて見ることすら出来ない。

ゴンッ!!と頭を床に打ち付ける音が響く。

 

譲信の必殺、いきなり土下座!!

この必殺技はかつて、校長室にあったツボを割ってしまった時の謝罪時に生み出され、それ以降追い詰められた時、ここぞという時に譲信が繰り出す、洗練された必殺なのであるッ!!

 

そんな必殺技が繰り出され、この場は一気にシン…と静まりかえる。

いきなりの譲信の全力土下座に、譲信の隣にいた藍は目を丸くして床に頭を打ち付けたままの譲信を見ていた。

 

 

譲信「………………………?」

 

 

しかし、それ以上は誰の、何の反応も無い。

おかしい…何故何も言われないのか…されないのか…すごく不気味な感覚に譲信は襲われる。

もしかしたら、これ自分が思ってるよりもかなりヤバイ状況になってるんじゃあないか…と思わず息が止まりそうになる。

 

 

ドキッ…ドキッ…ドキッ…ドキッ…ドキッ…

 

 

だがやがてその静寂は破られた。

 

 

 

紫「…………フフフフフフ…」

 

 

 

意外ッ!!

何とそれは八雲紫の笑い声だったッ!!

あまりの予想外な展開に思わず譲信は、岩のように固まってしまうッ!!

そして、続く藍も紫に釣られてクスクスと笑っていた。

 

 

譲信「え………?」

 

 

俺は夢を見ているのか?と状況を現実のものと理解できていない譲信に、藍はやれやれ…と軽く頭を振る。

 

 

藍「ハハハ…何してるんだ譲信…紫様は別に怒ってなどいない。そんなことでお前を呼んだ訳じゃないぞ?」

 

 

譲信「へぇ……?」

 

 

紫「フフ♪藍の言う通りよ。私はちっとも怒ってないし、説教をするつもりもありませんわ…」

 

 

譲信「???????」

 

 

余計に理解が出来なくなり、ぽかーんとした顔で硬直している譲信。

 

 

紫「フフ…あー面白い。譲信、良く来たわね…まぁ、まずはこっちに来て座りなさいな。」

 

 

譲信「は…はぁ…」

 

 

そんな譲信に、紫は笑いながら手招きする。

譲信は頭の中にハテナを浮かべながらも紫と対面する形で座布団に座った。

 

 

紫「藍~。お茶を入れてきて頂戴~。」

 

 

藍「分かりました。少々お待ちくださいませ紫様。」

 

 

譲信「………」

 

 

お茶を入れに藍が去った事で、部屋の中には譲信と紫の二人だけが残った。

何だか気まずい。

譲信からしてみれば、紫は一度ぶん殴った相手でもあり現在進行形で怒らせてるかもしれない相手でもある。

どちらにしろ、あまり良い印象を与えているとは思えず、このように歓迎されては逆に来る恐ろしさという物があった。

 

 

譲信「えーと……あのぉ……紫さん?本当に怒ってないんですか………?」

 

 

紫「あらどうして疑うのかしら?私が怒ってるように見える?」

 

 

譲信「…………いえ、見えないですね……」

 

 

紫「フフ…そうねぇ…どうして怒ってないのか不思議で仕方ないようだから教えてあげるわ」

 

 

譲信「……まさか怒りを通り越して笑っちまうから…怒る必要が無いとかそういう系ですか…?」

 

 

紫「何よそれ?私が危ない奴みたいじゃない…全く酷いわぁ…あなたの中でゆかりんはどんなイメージなのかしら…失礼しちゃうわね!」

 

 

譲信(いきなり殺しに掛かってきて俺の腹をぶち破った危ねぇ奴です…)

 

 

ぷんすかと怒った風に言う紫に対し、心の中で口には出せないような返しを譲信は叫んでいた。

ヤンキー要素を除けば、かなり痛いオタク要素しか残っていない譲信は元々、休日に出掛けたりとか目上の人と話したりするのは苦手だ。

不得意では無いが苦手な譲信にとって今の状況はかな~り辛い。

叶うなら今すぐ家に帰って、一日中EOHをしたいくらいだった。

 

 

紫「簡単な事よ。あなたを受け入れると決めた以上、幻想郷であなたの力の事をいつまでも隠し通すのは不可能よ。いずれ近い内には知れ渡る事も承知の上…今回の件でその時期が早まっただけに過ぎないわ…。それに人里内で暴れたと言っても、藍から被害を最小限に抑える為に能力を行使していたと、報告を受けているわ。それにちゃんと子供を無傷で救出したし、人里の外でちゃんと犯人を無力化した……つまり怒る必要が無い所か、むしろ褒め称えられる事をあなたは成し遂げたのよ。」

 

 

譲信「はぁ…そりゃあどうも有り難う御座います……てことは今日は褒める為に俺を呼んだんですか?」

 

 

紫「それもそうだけど…それだけで呼んだわけじゃないわ」

 

 

と、そこへ藍がお茶を二人分運んできた。

紫の前と譲信の前にお茶の入った湯呑みを置く。

譲信はその時に軽く頭を下げ、短く「どうも」と礼を告げる。

そしてそのまま藍は退室していき、どうやら話しは紫と譲信の二人だけで行われるようだった。

 

 

譲信「あー…それで俺をわざわざ呼んだ目的って何すか?」

 

 

譲信は軽くお茶を啜ってから紫に尋ねる。

紫はお茶を少し飲んでひと息吐いてから喋り出した。

 

 

紫「譲信、あなたについて聞いておきたい事と、これからのあなたについての話し合いをするために呼んだのよ。何せあなたはこれまでの外来人とは比較にならない程の特例だもの」

 

 

譲信「なるほど…そりゃ確かに大事な話しですね~」

 

 

そう言ってからまた譲信はお茶を啜る。

 

 

譲信「じゃあ早速だけど始めちゃいますよ。俺に聞きたいことってのは何すか?」

 

 

早く済ませてさっさと帰りたい譲信は早速本題へと入った。

 

 

紫「せっかちねぇ…まぁ良いわ。まず聞きたいことはあなたの能力について…コレだけじゃちょっと信用しきれないのよ」

 

 

そう言って紫は一冊の本を取り出した。

それは先日、譲信と幽香から回収した漫画“ジョジョの奇妙な冒険”だった。

 

 

譲信「はぁ…それで一体何が分からないので?」

 

 

紫「まずはこの漫画に描かれている“キングクリムゾン”の能力について…同様にあなたの持つキングクリムゾンの能力で時間が消し飛んだと思われる現象時、消し飛んだ時間分を計算してみた結果…あなたは約15~22秒間もの時間を消し飛ばしてるわ。しかし、原作ではそこまでの時間は消し飛ばせない…つまりあなたが能力を使うと原作とは僅かな差があるという事なんだけど…どうかしら?まずはそこを確認したいのよ」

 

 

譲信「あ~…」

 

 

確かにそれについては言い忘れていたなぁ…と譲信は思い出すように声を漏らした。

 

 

譲信「スタンドとは精神力に大きく影響を受けるんすよ。で、俺はどうやら思い当たる節多く、精神力がバカに強いんすよね。だから俺がスタンドを使うとステータスも能力も大幅に上方修正が入ってるんすよ。変わらないのは射程距離くらいじゃあないかなぁ~…」

 

 

紫「精神力……なる程ねぇ…私達に例えると妖力の大小による違い…という訳ね。」

 

 

まず第一に、どうして二次元の能力が現実に現れる事となっているのかという疑問はあるが、譲信に聞いた所でそれは分からないので、それについては尋ねる事はしない。

ちなみに、譲信のショボい脳みそで出されている考察は、元々スタンドとかはガチに存在している能力だった…という物だ。

実はジョジョの作者、荒木飛呂彦は年齢の割には見た目に大した変化なく、ファンの間では究極生命体だからだの、波紋使いだからだの、スタンド使ってだからだの言われている。

譲信の考察ではそれらが全てガチの話しで、何かの理由があって自分に奇跡的に能力が発現した…という考えだ。

 

 

紫「じゃあ質問は次で最後になるけど…これが重要よ。あなたはジョジョに関連する道具以外にも、無関係なソファ、本棚、額縁、机を生成してるわよね?でも作中にはそんな事の出来るスタンドは登場していない…つまり、作中には描かれていない…スタンド能力が別に存在している…と、私は考えているんだけど……どうかしら?」

 

 

紫がそう言った瞬間、譲信の纏う雰囲気が一気に変化する。

まさか、僅かな情報でそこまでの考察を立てられてしまうとは思ってもみなかったからだ。

そして、こうなってはもはや隠し通すのはほぼ不可能だということも譲信は気付いてる。

しかし、そう簡単に言う訳にもいかない。

 

原作には登場しないその能力…。

下手をすれば自分の待遇が180度変わってしまう程に危険なスタンドなのだ。

可能ならば、ここでしらばっくれてやり過ごしたい…と、譲信は緊張で嫌な汗を掻き始める。

そんな譲信の様子を見て紫はやはり、といった表情をしながらも、優しい声色で話し掛ける。

 

 

紫「良い?譲信。その能力についてあなたが語りたくないのは、その危険性故に私がそれを知ればあなたを殺すかも知れない……と、そう考えてるから……そうでしょう?」

 

 

譲信「さ、さぁ?どうでしょうね!?」

 

 

紫「フフ…分かりやすい反応をどうも有り難う♪…安心なさい。例えあなたがどんな能力を持っていようとも…私はあなたに危害を加えるつもりなんて無いわ。良く聞きなさい譲信。私は既にあなたの事を信用しているのよ…あなたが気付いていないだけで…あなたは既に私の信用を勝ち取っているの。だからこうして、あなたに直接聞いているの…あなたの口からその答えを聞きたいのよ。譲信この幻想郷にいる間は、あなたも幻想郷の一員…私はあなたの味方よ。」

 

 

譲信「………………」

 

 

譲信は驚いて目を大きくしていた。

まさか、そんな言葉が紫から出てくるとは思っていなかったからである。

てっきりガチガチの敵対視をされているとばかりに思っていただけにかなり意外であった。

 

 

譲信「へっ…♪分かりましたよ。こんなオタクには勿体なすぎる言葉…今、心で理解できたぜ…!!俺も紫さんを信用してこの能力を教えるよ…ザ・ワールド・オーバーヘブン!!

 

 

譲信が名前を呼ぶと、そのスタンドは現れた。

現れるだけで、とてつもない威圧感を放つそのスタンドは他のスタンドとは比べ物にもならない程の、パワーを感じさせる。

 

 

紫「オーバー……ヘブン?」

 

 

譲信「第六部でプッチ神父が天国の力で自身のスタンド能力を完成させたのは…読んでますよね?」

 

 

紫「ざっくりとだけれど、内容は覚えているわ…でもそれは確か、メイド・イン・ヘブンだったんじゃなくて?」

 

 

譲信「その通りです。プッチ神父はDIOの残した言葉を元に天国へ辿り着いた……ならば、DIO自身が天国へ行くとどうなるのか……」

 

 

紫「あら?…でもそれって…」

 

 

譲信「そう。原作では既にDIOは敗北して死亡している。しかし、荒木飛呂彦が監修したゲーム…アイズオブヘブンではDIOは天国へ到達し、自身のスタンドを生まれ変わらせて…ザ・ワールド・オーバーヘブンの力を獲得したんですよ。」

 

 

紫は、目の前に佇むザ・ワールド・オーバーヘブンをまじまじと眺める。

 

 

紫「これがそうだと言うのね。ボディの色が逆…一度世界を捨て去り、新たな世界へと生まれ変わったと言うことね……」

 

 

譲信「ええ。そして全く別の能力を手に入れた。絶対的な能力を…ね。」

 

 

紫「どんな能力なのかしら?」

 

 

譲信「真実の上書きですよ。DIOと…今の所有者である俺の望む真実を上書きして手に入れるそういう能力です。何者もその真実の力からは逃れられません。」

 

 

紫「し、真実の上書きぃ!!?」

 

 

紫は驚きのあまり大きな声を上げてしまった。

てっきり万物創造とか、そういう能力だと思っていただけに、驚きは大きい。

真実の上書きなんて、この強者達の集う幻想郷の中でも間違いなく断トツで危険な能力だ。

予想外な事態の大きさに流石の紫も言葉が出てこない。

 

 

紫「ちょっと!?譲信!?あなたそんな力を今までホイホイ使ってたの!?何考えてるのよっ!!自重しなさいッ!!」

 

 

そして次に出て来たのは怒りの感情だった。

そんな何でもありな能力をホイホイ使われては堪ったモンじゃない

 

 

譲信「えぇ!?はぁ…ま、そうっすね…ハイスンマセンでした。以後気を付けます…」

 

 

紫「絶っ対に無闇矢鱈とその能力だけは使わないで頂戴!!良いわね!?」

 

 

譲信「あー元からそのつもりっすよ。よほどの事が無い限りは使いませんよ。私生活の不便をちょっと楽にするぐらいにしか……」

 

 

紫「それも禁止よ!!欲しい物があるならちゃんとお金を稼いで手に入れなさい!!あの霊夢でもそうしてるわよ?」

 

 

譲信「は…はぁ…ごもっともで…」

 

 

紫「全く……あなたがおバカなのが唯一の救いよ……………………!?」

 

 

と、その時妖怪の賢者とまで呼ばれる頭脳がとんでもない閃きを紫に与えた!!

その閃きは紫にとって、何よりも大事な事なのである。

それはもう物凄い眼力で譲信の事を見るほどに。

 

 

紫「譲信!!あなたのその力、確かに望む真実が手に入るのよね!?」

 

 

机をバン!と叩いて紫は譲信に詰め寄る。

 

 

譲信「えぇ…そうですが…?」

 

 

それを聞くや、紫は少し頬を赤らめながら事情を語り出した。

 

 

紫「実はねぇ…?最近、ちょっと甘い物を食べ過ぎちゃって…ちょっと体重が増えちゃったのよ……みんなのアイドルであるゆかりんの体重が増えた事を皆が知ったら、皆とても悲しんじゃうのよ…?」

 

 

譲信「はぁ……」

 

 

紫「だからその真実を上書きする力でね?サクッと元通りのナイスバディにしちゃって欲しいな~って♪…良いでしょう?出来るわよね?」

 

 

譲信「え?でも無闇矢鱈と使うなってさっき…」

 

 

紫「あらぁ?私がこうしてわざわざ頼んでる事が…無闇矢鱈な事だとでも言いたいのかしら?……拒否権があると思ってるのしらぁ~?」

 

 

それはそれは物凄く怖い笑顔で紫は詰め寄ってくる。

殺気だとか闘気だとかそんな次元の恐怖では無い。

若さと美貌に執着する一種女の狂気さがそこにはあった。

正直、今まで出会ってきた何者よりも恐ろしい。

 

 

譲信「あわわわ……(やっぱり話すんじゃなかったぁーッ!!)えーと…こういう時は………助けて藍しゃまー!!

 

 

紫「ちょっ!?」

 

 

瞬間、部屋の襖がバーン!と開き、そこから藍が現れる。

藍は紫を冷たい目で見ていた。

 

 

バァァァァァァァァァンッ!!

 

 

紫「ら…藍~?どうしたのかし…ら…?」

 

 

藍「話しは全て聞かせて貰ってました……譲信、紫様の言葉を聞かなくても良いぞ………そして…紫様……」

 

 

紫「…………………ゴクリッ」

 

 

ドドドドドドドドドドド…

 

 

藍「今日から晩御飯はサラダだけです。あと昼間はゴロゴロしてないで10kmは走ってもらいます。拒否権は……ありませんよ?」

 

 

紫「ら、藍ンンンンンンンンンン!?」

 

 

譲信(良かった……すげーまともなこと言ってくれてるよ藍しゃま!!まじサンキュ!!今度油揚げ買えるだけ買ってきます!!)

 

 

しかし、ただではこの八雲紫、折れることは決して無い。

落ち込んだのも束の間、物凄い勢いで譲信の方をふりむくと、思いっきり飛びかかる。

これは執念の成せる技であった。

 

 

紫「何としても上書きしてもらうわよッ!!こればかりは譲れないのよッ!!」

 

 

藍「紫様ッ!?逃げろ譲信!!御乱心だぁーッ!!」

 

 

威厳だって捨てよう。

プライドだって捨てよう。

ただし、美貌だけは自分の物としなければならないッ!!

目の前にその可能性があるのだ。滅多に見られない八雲紫の本気の姿がこの場にはあった。

譲信は、仕方ないと言った感じで短く言葉を発した。

それは………魔法の言葉となった。

 

 

譲信「スタープラ……

 

 

紫「スミマセンでした!それだけは勘弁してください!スタープラチナだけは嫌なんです」

 

 

アッというまにさっきまでの勢いは消え去り、それはもう立派な土下座が出来上がっていた。

紫は、一度スタープラチナのラッシュを受けて以来、実はトラウマになっていたのだ。

世にも珍しいスタープラチナ恐怖症である。

 

 

藍「譲信………」

 

 

譲信「………………はい。」

 

 

藍「すまないが………今日はもう帰ってくれると助かる………今からオハナシしなくちゃいけないんだ……」

 

 

譲信「………了解です。お邪魔しました………」

 

 

紫「またいつでもいらっしゃいな。歓迎するわよ」

 

 

藍「紫様ぁ~?それ以上何か言うと…私がどうなるか知りませんよぉ?」

 

 

紫「ら、藍ッ!?ねぇ?やめて…?怖いわ………ちょっ!!…まっ…!!」

 

 

それ以上は聞き取れない。

閉じた襖の向こうで時々、紫の悲鳴が上がるが、藍の怒鳴り声でほとんど聞き取れなかった。

ここにいるのはマズいと悟った譲信はその場を静かに去って行く。

 

 

譲信「空条 譲信はクールに去るぜ………」

 

 

あまり格好は付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢《人里》♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信「………な~んて事があってだなぁ…ったく、今日はえれぇ目にあったぜ…!」

 

 

ミスティア「アハハ…それは災難でしたね」

 

 

日も暮れかける頃、譲信はここ最近見つけた店で、店主のミスティアに愚痴りながら酒を飲んでいた。

ミスティアと仲良くなったのは異変を解決した日だった。

解決祝いと犯人不在で宴会出来ないという事で、ミスティアの経営する店で小規模な酒盛りをした際に、譲信の十八番の語り上手とノリですっかりと仲良くなった。

 

そして今日も譲信は時々燃料(酒)を補給しながら、八雲邸であった事を面白おかしく愚痴っていた。

これが結構面白いので、ミスティアはクスクスと笑いながら聞いていた。

 

 

ガラガラガラ…

 

 

と、そこへ一人の来客があった。

 

 

ミスティア「いらっしゃいませー!…って、慧音先生じゃないですか!ご無沙汰してます!」

 

 

慧音「お邪魔するよミスティア。……む!君は…………ようやく見つけたぞ!」

 

 

慧音は少し酒に酔っている譲信の元へとズンズン寄っていく。

譲信は酔っているので、ぶっきらぼうに返事を返す。

 

 

譲信「あ~?なーんですかぁ~?今日は定休日なんで依頼は平日に……」

 

 

慧音「安心しろ譲信。一瞬で済ませてやる」

 

 

慧音は、貼り付けたような無理矢理な笑顔を譲信に向けた。

 

 

譲信「………え?」

 

 

慧音「ふんっ…!!」

 

 

 

ゴッツゥーーーン!!

 

 

 

慧音の渾身の頭突きが、譲信に奇麗に入った。

 

 

ミスティア「………まぁ」

 

 

譲信「あっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

あまりの痛さに譲信は椅子から転げ落ち、床を転がり回る。

 

 

慧音「異変解決に関しては感謝するが…同時に君のお陰で里中の子供達に過去に見ないほどの悪影響が及んでいる。これに懲りたらもう少し自重するんだなッ」

 

 

そう言い残して、慧音はミスティアに軽く一礼した後、店を出て行った。

 

 

譲信「なんで…俺ばかりこんな目に……今日はなんて日だ……!!」

 

 

譲信は誰にも気付かれずひっそりと、ホロリ…と涙を流したのだった。

 

 

TO BE CONTINUE………

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。