ノリの良いスタンド使いの奇妙な幻想入り   作:仁堂六華

15 / 29
スタンドパラメータ(譲信使用時)

クレイジー・ダイヤモンド

能力 触れた物はなんでも元通りに直す(治す)事のできる能力

パワー A(譲信が怒るとAを越える)
スピード A(譲信が怒るとAを越える)
成長性 C
持続力 A
精密動作性 B
射程距離 E



⑭THE WONDER OF U~星が導く奇跡の愛~前編

 

空条譲信には、悪いクセがある。

譲信は誰かと戦う時、必ず手加減してしまうのだ。

しかし、それは決して相手を侮辱しているからするのではない。

譲信が手加減をする理由…それは必要以上に相手を傷つけないようにする為だ。

 

紫や魔理沙に美鈴。

これまでに戦ってきた三名には苦戦していたのに、人里での異変での対・誘拐犯戦で一切の苦戦をしていなかったのは、遠慮する必要のない悪だったからだ。

確かに、上に挙げた三名と比較すると実力が劣っていたのもあるだろう。

しかし、手段を選ばなくなった譲信でなければ秒殺なんてまず有り得ないのだ。

 

ここまで言えばもうお分かりだろう…。

手段を選ばなくなった譲信…つまりマジになった譲信を相手にするという意味が、一体どれ程恐ろしい事なのかと。

対峙した者に待つのは、想像を絶する苦痛なのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そして今が、その時なのである………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館の地下で繰り広げられる吸血鬼同士の闘争。

ただし、一方は12時間限定のなんちゃって吸血鬼なのである。

そのなんちゃって吸血鬼である譲信は、一度死にかけた事で既にマジになっていた。

そのせいで、今まで演じていたDIO様風のロールはすっかりと無くなっていた…。

 

 

 

 

 

 

譲信「………ワンダー・オブ・ユー…………

 

 

フラン「アハハハ!!今度ハナァニ!?」

 

 

譲信の隣に現れたスタンドは、黒いスーツに帽子を被った、紳士のような見た目のスタンドだった。

杖を突いており、細身の体型からは一切のパワーを感じさせない。

 

 

譲信「……一つ忠告しておくと…それ以上はもう何もしない事だな…」

 

 

フラン「アハハハハハハハハハ!!ナニシテモ無駄ダヨ!!」

 

 

狂気に満ちたフランは、譲信の忠告を無視してどんどん譲信に向かって近付いてくる。

…しかし、依然として譲信はWOUを発現させてからは、ずっとそこに立っているだけだった。

 

 

フラン「アハハハ!!今度ハ燃エチャエ!!」

 

 

フランは譲信に向かって、そう叫ぶと切り裂く為にレーヴァティンを振り上げた。

 

 

譲信「あーあ…。俺は忠告はしたからな?…そりゃあ……お前の自己責任だ……」

 

 

フラン「………!?」

 

 

ブシャアッ!!

 

 

突如聞こえてきた何かが潰れたような音。

フランはその音が聞こえてきた足元へ目をやる。

 

そこではなんと、フランの両足が瓦礫にぶつかってぐちゃぐちゃに潰れてしまっていた。

…そしてそれだけでは無い。

レーヴァティンを握るフランの片手は焼けただれ、激しく出血しながら骨を露出させていたのだ。

 

 

フラン「痛イ!?痛イヨ!?ナンデ!?」

 

 

たかが、瓦礫。

ただ自分で創り出しただけの武器。

それだけの物で何故、ここまで重傷を負ってしまったのか、フランは訳が分からなかった。

 

 

譲信「へぇ~…そうなったか~!!何か起こるのは分かってるんだが、何が起こるかはやっぱ…分かんね~もんだぜ」

 

 

その一部始終を譲信はそこそこ興味深く観察していた。

フランは足が使い物にならなくなったので、地面に倒れこんでしまう。

同時にフランの落としたレーヴァティンは、地面に浅く突き刺さった。

 

 

譲信「ワンダー・オブ・ユー…俺の姿を見ようとしたり、俺を追いかけたり、俺に攻撃を仕掛けようとした全ての者は…この世の有りと有らゆる厄災に見舞われる。そして、じわじわと死に至らしめる…もう一度だけ忠告する…これ以上は一切何もするなよ」

 

 

譲信はもう一度だけフランに忠告するも、フランは全く譲信の言葉を聞いていなかった。

ただの壊れ行くだけの玩具にここまでされて、さらにフランの心は狂ってしまっていた。

 

 

フラン「壊レロ!!壊レロ!!壊レチャエ!!」

 

 

フランはまだ動かせる手のひらを譲信に向け、先程と同じように譲信を“破壊”しようとする。

フランの持つ能力は“ありとあらゆる物を破壊する程度”の能力であり、その破壊方法は全ての者が持つ“目”と呼ばれる弱点みたいな物を手のひらに移動させて握りつぶす…といったものだ。

そして、今のフランの手の中には譲信の“目”が既に移動されていた。

 

 

フラン「キュットシテドカーン!!」

 

 

フランは“目”を握りつぶそうとした。

…ところがその時、地面に浅く突き刺さっていたレーヴァティンが倒れ、“目”を握りつぶそうとしたフランの片腕を切断してしまった…。

 

 

ザグゥゥッ!!

 

 

フラン「痛イ!?痛イ!!痛イ!!痛イ!!痛イ!!痛イ!!!!」

 

 

譲信「やれやれ…言ったそばから…」

 

 

痛みに叫ぶフランに、天井から小さな破片がパラパラと降ってくる。

そして

 

 

ドスッドスッドスッドスッ…!!

 

 

それらの破片は、フランの背中に幾つもの穴を空けた。

 

 

フラン「ァ…………!!ガッ………!!」

 

 

フランの体から一気に力が抜け、痛みに叫ぶ声すらなくなり、辺りは僅かなフランの呻き声しか聞こえなくなってしまった。

譲信はそんなフランを静かに見下ろしていた。

 

 

譲信「俺は2回も忠告したんだ…こうなったらもう自業自得…仕方ないじゃあないか…エ?どうなんだ?」

 

 

フラン「……………………ゥゥ…」

 

 

譲信はWOUを解除した。

だからといってフランのダメージが消えるわけでもなく、フランは倒れたままだった。

僅か数秒。

決着はあっという間についてしまった。

 

 

譲信「吸血鬼ならそれでもまだ…“その程度の傷”なんだろ?やれやれ…治癒するまでに何秒掛かるのかは見物だが…生憎と俺も殺されかけた身だ。そうなると…だ。やれる内にやらなきゃあならんよなぁ?」

 

 

譲信はキラークイーンを出すとゆっくりフランに近付いていく。

 

 

譲信「お前の能力は確か、なんでもかんでも破壊する…で良かったか?…そう言ってたもんなぁ?…実は俺のキラークイーンも似たような能力でな…俺のキラークイーンは指先で触れたモノは何であろうと爆弾に変える事ができる。そして、爆弾に変えたモノは好きな時に爆破する事が出来る。……分かるか?」

 

 

フラン「ァ…………ァ…………」

 

 

フランにはイマイチ、譲信の言おうとしている事が理解できていなかった。

そんなフランに対し、譲信は分かりやすいように語り続ける。

 

 

譲信「つまり、キラークイーンに触れられてしまったらもうどうしようも無いという事なんだよ…どれくらいどうしようも無いかと言うと…借金で首が回らないヤツが“闇金融”から金借りちゃったのと同じくらい…もうどうしようも無いって事だ…。で、俺が今どうして…キラークイーンを出してお前に近付いてるかと言うとだなぁ………ま、俺が言わずとももう分かるだろ?」

 

 

そして刻一刻と迫る死に気付いたフランは、必死に逃れる術を模索するも、譲信の言うようにもはやどうしようも無かった。

生まれて初めて、狩られる側に立たされたフランはついに耐えきれなくなってしまった。

 

 

フラン「やだやだやだやだやだ!!やめて!!来ないで!!フラン死にたくないよ!!」

 

 

譲信「………ぁぁ?」

 

 

フランはついには泣きだしてしまった…。

見た目相応な反応を見せるフランにもはや、先程までの狂気さはなく、これまた明らかな変化に譲信は思わず面食らってしまった。

逆に譲信の中には軽く罪悪感まで湧いてきてしまっていた。

 

 

フラン「うゎぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!やだ!!やだ!!やだ!!」

 

 

動かせる羽の部分だけ必死にバタバタとさせながら号泣するフラン。

予想外の反応に譲信は戸惑っていた…。

 

 

譲信「お、おい…!!てめ…ッ!!…あーーー!!くっそ!!分かったから落ち着け!!泣き止め!!素数でも数えて落ち着けぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

 

そして譲信の叫び声が地下に響き渡った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《キング・クリムゾン!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラン「グスッ…グスッ………」

 

 

数分後、クレイジーダイヤモンドでフランの傷を治して何とか落ち着かせる事に譲信は成功していた。

 

 

譲信「あー…落ち着いたようだな?」

 

 

フラン「………」コクリ。

 

 

フランはただ無言で頷く。

もはや譲信にはフランをこれ以上どうこうしようという気持ちはすっかり無くなっていた。

 

 

譲信「ふぅー…さて、何から話せば良いもんかねぇ…」

 

 

譲信は困った苦笑いを浮かべて頭を掻いた。

そんな譲信をフランはまだ涙目のまま恐る恐る見ている。

何とも言えない空気だった。

 

 

譲信「謝罪とかはまぁ~いらねぇわ……てことで、とりあえず事情でも聞かせてくれや…何か訳アリなんだろ?」

 

 

譲信は適当な大きさの瓦礫に腰掛け、煙草を一本吹かしはじめた。

 

 

フラン「…ウン……分かった………。フランはね、さっきも言ったけどなんでも壊しちゃう“ありとあらゆる物を破壊する程度”の能力を持っているの」

 

 

譲信「おう。それで?」

 

 

フラン「そしてあなたも気付いてると思うけど、フランには狂気が宿っていてね、発作のように出て来てしまうの。…それで、狂気に飲まれてしまったらフラン…何もかも区別が付かなくなって…みーんな壊しちゃうの。………そのせいでフランのお父様とお母様は……」

 

 

譲信「ゴホッ!?ゴホッ!?………えっ!?(は?え?殺しちゃったの!?)」

 

 

譲信は驚愕した。

予想だにしない衝撃的なカミングアウトに、のんびりと煙草を吹かしながら構えてなんていられなかった。

フランは実の父親と母親を手に掛けた……それも自分の意思じゃ無かったのに自分の手で殺してしまったのだ。

一体どれ程の罪悪感と悲しみがあるのだろうか。

譲信には全く見当が付かない。

 

 

フラン「そのせいでお姉様はフランの事を恐れて、私を地下に閉じ込めた。495年前からずっとフランはここで…独りで生きてきたの……」

 

 

フランはとても悲しそうに、呟くように言った…。

 

 

譲信「………ッ!!(重すぎるぜ……そんな話しされてよぉ…俺にどうしろってんだよ…!!)」

 

 

フラン「……あなたももう分かったでしょう?フランがどれだけ危険なのか……分かったらフランがフランで居られる内にここから出て行った方が良いよ…」

 

 

譲信「……………」

 

 

フラン「もし、この事がお姉様にバレても大丈夫だよ…どうせフランの事なんて…どうでも良いのよ皆……血の繋がりがあるから直接手を掛けたくないってだけで…心の中では皆、フランの事なんて居なくなった方が良いって…思ってるに違いないもの…。だからフランをこんな場所にずっと……」

 

 

譲信「……………」

 

 

フラン「…………ねぇ?どうしてさっきから黙ってるの?……言っておくけど同情なんかいらないからね?」

 

 

…途中から譲信はただ、フランの言葉をずっと黙って聞いていた。

一言一句決して聞き漏らさないように。

そして、静かに拳を握り締めていた…。

 

 

 

譲信「………だあーーーーもうッ!!辛気臭ぇな!!」

 

 

そして突如、譲信は何かが吹っ切れたかのように叫んだ。

 

 

フラン「……え?」

 

 

突然叫んだ譲信に驚いて、フランはヒョイと顔を上げた。

 

 

譲信「同情すんなだとッ?さっさと帰れだとッ?…ざけんな!!ンな話しをよぉ!そんな泣きそうな目ぇしながら聞かされて…同情せずにほっといて帰れる奴なんかいねぇよッ!!」

 

 

譲信はさらに言葉を続けた。

 

 

譲信「大体なぁ!!そんな重たい話しなんて話せと言われてそう簡単に話す奴はいねぇんだよ!!良いか?そういう話をする時ってのはなぁ…そいつに助けて欲しいからするんだ!!……そうだろ?フラン…お前、助けて欲しいんだろ!?」

 

 

譲信はフランの目を真っ直ぐ見つめた。

そのフランの目からは涙が静かに零れてくる…。

 

 

フラン「……ッ癖に……どうせ出来ない癖に適当な事言わないでよッ!!あなたに何が分かるって言うの!?何が出来るって言うの!?適当な言葉でフランの事を慰めようって思ってるだけなんでしょ!?そうなんでしょ!?」

 

 

下を向いて、大声で叫ぶフラン。

しかし、そんなフランの頬を譲信は両手で掴んで、顔を持ち上げ強引に、フランと自分の目を合わさせた。

 

 

譲信「やかましいッ!!質問を質問で返すんじゃあないぞッ!!疑問文には疑問文で答えたら0点な事くらい分かるだろッ!!エェッ!?フラン、俺はな!!“助けて欲しい”のか“助けて欲しくない”のどっちなのかを聞いてんだぜッ!!さっさと言いなッ!!」

 

 

フラン「…………ッ!!…………シイヨ……」

 

 

譲信「あン?聞こえねーよ。ハッキリ言え!!」

 

 

フラン「ッー!!助けて欲しいよッ!!うぅっ………助けて………助けてよッ!!」

 

 

フランは両目から大粒の涙を流してそう叫んだ。

それは……フランの495年もの間、閉じていた…心からの本音だった。

ずっと孤独で絶えず自身に宿る狂気に怯えるそんな毎日から、フランはずっと誰かに救い出して貰いたかったのだ。

 

 

譲信「…………ヘッ………!!グレート…ちゃんと言えたじゃあねぇかよ…!!なぁフラン!!」

 

 

譲信はニヤリと笑って、フランの頭を優しく撫でた。

譲信はフランの心からの本音の言葉をしっかりと心で受け止めていた。

 

 

譲信(実の親を手に掛けた奴の気持ちってのは…フランの言うとおり…俺には死んでも分からねぇよ。…しかしな!!だからといってそれが助けようとしない理由にはならねぇんだよ…!!俺は誰だ?…そう!!空条譲信様だ!!スタンド使いの空条譲信様だ!!やれば出来る…!!なんだってな…!!)

 

 

だからこそ、譲信は力強く言葉を発した。

 

 

譲信「助けてやるよッ!!頼まれたからにはもう断れねーぜ!!俺はやると言ったらやる男だぜ…任しときな!!」

 

 

フラン「……本当に?……フランのこと…助けてくれるの……?」

 

 

譲信「当然だ!!だからなぁ~フラン…泣いてんじゃあねぇよ。笑え笑え!!とりあえず笑っとけば悪いモンはどっか行っちまうからよ!!ヘッ♪」

 

 

譲信はニカッとはにかんで見せた。

 

 

フラン「うん……っ!!うん……っ!!……分かった……!!」

 

 

フランは、涙で濡れた目をゴシゴシと拭う。

もう泣かないようにと、歯を食いしばった。

 

 

譲信「だ~から…ホレホレホレ!!今は笑えッ!!」

 

 

そんなフランのほっぺたを譲信は引っ張って無理矢理笑顔を作らせる。

 

 

フラン「んにゃあ!?くすぐったいよ!?分かったからひゃめてー!!」

 

 

フランはジタバタと暴れて、譲信の手から逃れる。

そして、少し拗ねたような目で譲信の事を睨んでいたがやがて、譲信に釣られて自然と笑顔になった。

 

 

譲信「ハッハッハ♪少しは気持ちが楽になったろ?」

 

 

フラン「あ…れ?…うん!!本当だ!!」

 

 

譲信「そういうことだ…んじゃ行くぜ!!そのお姉様とやらに会いに…な!!」

 

 

フラン「う……うん!!」

 

 

譲信は歩き出し、フランも慌てて譲信に付いていく。

自然と気持ちが楽になっていたフランは、今は狂気の事をすこしだけ恐れなくなっていた。

 

 

譲信(……フランを見ていて、一つだけ分かるのはお姉様とやらは適切な対応が出来ていなかったという事だ。フランが狂気だと言うのは、その能力に対する恐れから来る感情が引き起こす…一種のパニック症みたいな物で間違いねぇな……だから笑えば気が紛れちまう…。だがお姉様とやらは、フランの狂気が生まれつきの物だとでも勘違いしたのか、誤ってフランを独り閉じ込めてしまった…それが致命的なミスだな。お陰で散々こじれにこじれて、本物の狂気が出来上がっちまった……やれやれ……こりゃ一筋縄じゃあいかねぇな……フランは助ける…霊夢達も助けて異変解決に貢献する……両方やらなくっちゃあいけないのが…出来る男の辛い所だぜ…)

 

 

譲信「なぁフラン」

 

 

フラン「………なぁに?」

 

 

譲信「これだけは言っておく。俺が出来ることは精々、お前を導いてやる事くらいだ。結局、一番最後はフラン…お前が決めなくっちゃあいけない。成長しなくては栄光は掴めないんだ…分かるか?」

 

 

フラン「……………うん」

 

 

譲信「勇気を持ちな。俺がいるじゃあねぇか。背中ならいくらでも押してやるよ…だからドンと構えてな!!」

 

 

フラン「うん!!」

 

 

譲信とフランは互いに顔を合わせて、力強く頷き合った。

ここに二人の確かな絆が生まれた。

その時、ふと譲信は何かに気付いて立ち止まった。

フランも譲信の異変に気付き、譲信の顔を見上げる。

 

 

フラン「どうしたの?」

 

 

譲信「………そういや俺、迷子だったわ…先頭行ってくんね?」

 

 

フラン「………………え?」

 

 

フランはなんだか不安になってきてしまった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、紅魔館敷地内での空中では激しい戦いが繰り広げられていた。

誰もが近付く隙も無いほどの攻防。

そのうちの一人は博麗霊夢。

そしてもう一人がこの異変の首謀者であり、この紅魔館の主でもある、レミリア・スカーレットだった。

 

絶えず弾幕が飛び交い、両者とも一歩も譲らない。

戦いが始まってはや数十分。未だ互いにダメージを受けてはいなかった。

 

 

レミリア「中々やるわね。美鈴と咲夜を倒して来ただけあって、随分と楽しませてくれるじゃない!」

 

 

レミリアは片手に槍を持ち弾幕の間をかいくぐり、霊夢に一気に接近する。

 

 

霊夢「博麗の巫女を随分と舐めてくれるわね。あんたのようなお子ちゃまにやられるほどヤワじゃないのよ!」

 

 

霊夢は難なくレミリアの槍の一閃を上へ上がって躱すと同時に、そう言い放つ。

レミリアは深紅の瞳を妖しく光らせて、霊夢の方を見上げた。

 

 

レミリア「あんたなんかより私の方が何百歳も年上よ!その身にしっかりと刻みこんであげるわ…紅魔館の主…レミリア・スカーレットの恐ろしさをね……!!」

 

 

霊夢「慢心もここまで来れば大したもんね…知るのはあんたの方よ!幻想郷支配なんてくだらない野望は…すぐに打ち砕いてあげるわ!!」

 

 

レミリア「フフ…………やってみろッ!!」

 

 

夜の王に相応しい程の圧を放ちながら、レミリアは再び霊夢へと迫る。

 

 

 

“マスター・スパーク”!!

 

 

 

レミリア「ッ!?」

 

 

その時、何者かの手によって横からレミリアに向けて凄まじいエネルギーを持った光線が放たれた。

 

 

レミリア「……これくらいッ!!」

 

 

レミリアは手に持っていた槍を凄まじい速度で投げる。

とてつもない破壊力を持ったその一投は、迫っていた光線を相殺してみせた。

 

レミリアはすぐさま霊夢から距離をとり、突如戦いに乱入してきた者へと視線を向けた。

 

 

 

魔理沙「へぇ!私のマスパを相殺するなんて面白い奴だな!!」

 

 

霊夢「あんたねぇ…余計な手出しはいらないんだけど?」

 

 

現れたのは“普通の魔法使い”や“白黒の魔法使い”こと霧雨魔理沙だった。

 

 

魔理沙「そうツレないこと言うなって!!こんな面白そうな戦いを黙って見てろって言う方が無理な話なんだぜ!!私も混ぜてくれよ!!」

 

 

魔理沙は霊夢の隣まで来てから、ニヤッと笑った。

何処かで誰かと戦っていたのか、多少服がボロついていた。

 

 

霊夢「……はぁ。どうせ何言ってもやるんだから…もう勝手にしなさいよ。けれど、私の足引っ張ったら承知しないわよ!!」

 

 

魔理沙の事を良く知る霊夢は、何を言っても意味なしと仕方なくため息をついた。

 

 

魔理沙「おいおい誰に物を言ってるんだ?逆だぜ。霊夢が私の足引っ張らないようにするんだぜ!!」

 

 

霊夢「……へぇ。言うじゃないの……じゃあ、そこまで言うからには遠慮なんていらないわね…行くわよ魔理沙!!」

 

 

魔理沙「おう!!」

 

 

霊夢と魔理沙はほぼ同時に、弾幕を発射した。

 

 

レミリア「たかが一人増えた程度で調子に乗らないことね…!!二人まとめて潰してあげるわ!!」

 

 

対するレミリアもついに本気を出したのか、先程よりも多く、密度も濃い弾幕を一気に放つ。

 

 

ゴオォォッ!!

 

 

辺り一面に激しい轟音が響き渡った。

地上でも凄まじ風圧が起きており、激しく砂埃が巻き起こる。

 

 

 

レミリア「“スカーレットシュート”!!

 

 

魔理沙「“スターダストレヴァリエ”!!

 

 

霊夢「“二重結界”!!

 

 

 

ドォォォォォーーン!!

 

 

三人の攻撃がぶつかり合う事で、紅魔館内にも激しい揺れが走った。

常人が見ただけでちびるような激しい攻防が繰り広げられる。

 

 

魔理沙「うぉぉぉぉりゃ!!」

 

 

レミリア「甘いッ!!神槍・グングニル!!

 

 

レミリアは片手に再び槍を出現させると、その槍を一閃し魔理沙の弾幕を弾き飛ばす。

 

 

魔理沙「うぉッ!?」

 

 

レミリア「はぁッ!!」

 

 

レミリアは槍を構えると、霊夢に向かって先程よりもさらに速い速度で突進攻撃を仕掛ける。

 

 

霊夢「くっ!!」

 

 

霊夢はレミリアの槍の突進攻撃を上手く躱して、横へと飛び退く。

そのままレミリアは勢い止まらず直線に進んでいき、槍の先端が時計台に突き刺さった。

 

 

ビシィィッ!!

 

 

すると時計台に一気に亀裂が走り、槍の刺さった場所から上の部分が、音を立てて崩れ落ちる。

一体どれ程の破壊力が秘められているのか、霊夢と魔理沙は目視で理解できた。

 

 

魔理沙「あれだけはまともにくらえないんだぜ…!!」

 

 

霊夢「そうね…魔理沙、気を付けなさい!」

 

 

レミリアは塔が崩れた事で現れた赤い月を背後に、翼を広げ深紅の瞳をギラつかせる。

そして、不気味な笑みを浮かべていた…。

 

 

レミリア「見える……運命が見える……ハッキリとね…。貴方達二人は私に敗れ、無様に地面に這いつくばるという結果が見えるわ………楽しみね。すぐに…そうしてあげるわよッ!!」

 

 

レミリアはさらに凄まじ圧を周囲に放つ。

紅魔館周辺の生物は全て、レミリアを恐れ遠くへと逃げ散っていく…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺のキング・クリムゾンのエピタフで見た十数秒先の未来では…お前が下だ…ッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「ッ!!?」

 

 

突如背後から声が聞こえ、レミリアはすぐさま振り向く。

……そこには、深紅の体に白い網目模様の入った恐ろしさを感じさせる、亜人のような者がいた。

 

 

ボギィッ!!

 

 

そしてその亜人はレミリアが振り向くと同時に、レミリアの脳天に拳を振り下ろし、レミリアを地面へと叩きつけた。

 

 

ドゴオッ…!!

 

 

 

レミリア「カハッ…!?(……何故?背後に立たれていたのに……気づけなかった……!?)」

 

 

地面へと倒れ込んでいるレミリアは、思考を回転させながら立ち上がろうとするも、頭へのダメージが思ったより大きかったらしく、もう少し再生が進むまでは動けそうになかった。

 

 

 

魔理沙「な…何だぜ!?いきなりなんだ!?」

 

 

霊夢「……………追いついて来たわけね……」

 

 

霊夢が睨む先にいるのはレミリアを叩き落とした亜人…。

そして、その空中に佇む亜人の背後から現れたのは他でもない…空条譲信だった。

 

 

 

譲信「キング・クリムゾン…約5秒程度、時を消し飛ばした。そして未来を予知し、確実なる一撃を叩き込ませて貰ったぜ…」

 

 

いつの間にか着替えを済ませていた譲信の服装は、第六部の空条承太郎の衣装だった。

 

 

魔理沙「譲信!?いつの間にそこにいたんだぜ!?気付かったんだぜ……」

 

 

霊夢「ハァ…まさかあんたまで参加する…とか言わないでしょうね?…流石に3対1は、今下で転がっているアイツが可哀想に思えてくるんだけど…?」

 

 

そう言って霊夢は地面に這いつくばっているレミリアを指差した。

譲信も霊夢の見る方向に合わせて、レミリアを見下ろす。

 

 

譲信「……なぁ、お二人さんよ。悪いんだが…数分だけあそこの嬢ちゃんを俺に貸してくれや……ちょいと野暮用が出来ちまっていてなぁ……どうしてもなんだよ…」

 

 

そう言いながら譲信は、レミリアの隣へと降り立った。

 

 

霊夢「はぁ?何言ってんのよ…?私はさっさと終わらせて帰りたいんだけど……?」

 

 

魔理沙「そうだぜ!!せっかく盛り上がってた所なのにわざわざ止める必要もないだろ?後にしてくれよ」

 

 

譲信はレミリアをキング・クリムゾンに持ち上げさせながら霊夢と魔理沙の方を見上げる。

そして、ゆっくりと口を開いた。

 

 

譲信「駄目だね…悪いが…断るッ!!」

 

 

言い終わると同時に、譲信はレミリアを館の中へ向かってキング・クリムゾンに投げさせる。

 

 

魔理沙「あぁー!?…………あれ?」

 

 

そして時を消し飛ばし、二人の目の前から何処かへと消えていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「くっ…………なんの真似だ……?お前は一体……何者だ…?」

 

 

時が消し飛ばされた後、レミリアは壁を突き破って紅魔館内のとある一室にまで移動しており、その目の前には譲信が立っていて、二人は視線をぶつけ合いながら対峙していた。

やがて、譲信は別のスタンドを出しながら妖しい笑みで口を開いた。

 

 

譲信「ちょっとこの空条譲信さんと遊ぼうか…?」

 

 

 

 

TO BE CONTINUE…………

 




スタンドパラメータ(譲信使用時)

ザ・ハンド

能力 右手で触れた物はなんであれ空間ごと削り取る一撃必殺の能力

パワー A
スピード B
成長性 E
持続力 A
精密動作性 C
射程距離 E
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。