ノリの良いスタンド使いの奇妙な幻想入り   作:仁堂六華

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最近、感想を貰えるようになって大変嬉しく思っております。
モチベーションが、希望とやる気が、ムンムン湧いてきております!!
相変わらず誤字が多いですが…(笑)温かい目で応援して貰えると幸いです!!(なるべく気を付ける!!)



⑮THE WONDER OF U~星が導く奇跡の愛~中編

 

レミリア『明日、私達は異変を起こすわ』

 

 

幻想郷を赤い霧が覆う前日の夜。

レミリアはフランに会いに、紅魔館地下の一室に訪れていた。

何年ぶりかの対面だというのに、顔を合わせて開口一番の言葉がそれだった。

…それでもフランは、久しぶりに姉に会いに来て貰えて、それだけで嬉しかったのだ。

例え、愛されてなかったとしてもフランは今だけは構いはしなかった。

 

 

フラン『お姉様!!』

 

 

側に駆け寄ろうとするフランを、レミリアは片手を前に出して“これ以上来るな”と制した。

 

 

レミリア『だからフラン。あなたは大人しくここにいて頂戴…絶対にここから外へは出て来ないで。…話は以上よ…それじゃ…』

 

 

そう言ってからレミリアは部屋を出て行こうとする。

フランは慌てた。

 

 

フラン『待って!?お姉様!?どうして!?異変を起こすならフランも手伝うよ!?ねぇ、待ってよお姉様!!』

 

 

すると、レミリアは動きを止めゆっくりとフランの方へ振り返る。

 

 

レミリア『駄目よ…あなたは駄目なのよフラン』

 

 

フラン『どうして!?どうしていつもフランだけ駄目なの!?』

 

 

大声でまくし立てるフランを、レミリアは少しだけキッ…!!と睨んで威圧してみせた。

 

 

レミリア『フランあなた…私がどうしてこんな事を言うのか…本気で分からないと言ってるの…?』

 

 

フラン『…………ッ』

 

 

分かっていた。

フランは分かっていたのだ。

自分の中に宿る狂気…実の両親を手にかけてしまった恐ろしい能力。

自分はそのどちらもコントロールする事が出来ない。

爆弾でも扱うかのような皆の自分への扱いをフランはよく理解していた。

 

…それでも認めたくはなかった。

だが、こうもハッキリと面と向かって言い切られてしまえばどうしようもない。

突きつけられた事実に、何も言い返す事も出来ずフランは黙って俯いた。

 

 

レミリア『……分かったら大人しくしてなさい…後で咲夜には食事を運ばせるわ……余計な事を言って咲夜を困らせないように…良いわね』

 

 

フラン『ま、待ってお姉様!!もう少しだけ…ガチャンッ!!……あ……』

 

 

フランが何かを言い終わる前に、レミリアは扉を閉めて出て行ってしまった…。

 

 

フラン『……………お姉様…』

 

 

取り残されたフランはそう呟きながら、クマの縫いぐるみを抱きしめる。

その縫いぐるみは、すぐに弾け飛び中身の綿やらが一面に飛びちった………。

 

 

 

 

 

 

 

フランの部屋から出て行ったレミリアは一人、静かに階段を上っていく。

 

 

レミリア(あの子は私を恨むんでしょうね……けれどフラン…これは全てあなたの為にやってる事なのよ…。幻想郷を支配すればようやく、あなたを…自由にさせてあげられる……フラン…待っていて頂戴)

 

 

レミリアは覚悟を決め、そして次の日に宣言通りに異変を起こした。

赤い霧で幻想郷を覆い、まずは自分達吸血鬼の弱点である日光を遮断しようと考えた。

だがその影響は予想よりも大きく、幻想郷の外の世界にまで及ぼうとさえしていた。

 

その為博麗の巫女、博麗霊夢が動くことになった。

しかしそうなる事くらいレミリアはちゃんと折り込み済みだった。

霊夢が一筋縄ではいかない敵になるであろう事も理解した上で、覚悟を決めてレミリアは異変を引き起こしていたのだ。

 

予想外だった事といえば、今まさに自分と1対1で対峙している全くのイレギュラーな存在がいた事だ。

特徴的な個性的な芸術的なネタ的なファッション。

そして、その男の側には守護霊のような何かがいる。

博麗の巫女は当然厄介だが、この男もまたそれと近いくらいに厄介な存在であると、レミリアは予感していた。

 

だが、だからといってここで引き下がる程レミリアの覚悟は安くない。

何が出て来ようが、全て倒すと決めたのだ。

ならば、どんな奴が出て来た所でやることは変わらない。

とても単純…戦って倒す!勝利して支配する!

レミリアが今求めるのはそれだけだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信「ちょいとこの空条譲信と遊んでくれよ」

 

 

譲信は両手を上着のポケットに突っ込み、ニヤついて言葉を発した。

 

 

レミリア「生憎だけど、お前なんかと遊んでやる程…暇な時間は持て余してないのよ……忠告よ。死にたくなかったらそこを……どけ…」

 

 

レミリアは譲信に向けて、グングニルを構える。

断れば…殺す…と、レミリアの目はそう言っていた。

 

 

譲信「……レミリア・スカーレット……」

 

 

レミリア「!!」

 

 

譲信は呟くように言ったが、レミリアはその言葉を聞き逃さなかった。

 

 

譲信「まさか親玉が、見た目ロリな吸血鬼だったのは心底、驚いてるぜ…。スタンドも月までぶっ飛ぶ衝撃だよマジで…。ま!中身は何百年も生きてるオバハンなんだろ?ケケッ♪」

 

 

譲信は小バカにしたように笑った。

瞬間、レミリアからは恐ろしいくらいに殺気が溢れ出し、譲信の頬を高速の弾幕が一つ掠っていった…。

 

 

譲信「どれ…やる気にはなったか?見え透いた挑発だってのは分かっていても、何処ぞの主ともなりゃあ…聞き捨てにする訳にはいかねぇよなぁ~?いやぁ大変だねぇ当主を務めんのも一苦労ってやつだ」

 

 

レミリア「随分と舐めた口をきいてくれるわね…。お前が何者なのかはもうどうでもよくなった………今、私の気持ちは一つだけよ……」

 

 

譲信「………へぇ?……で、何だよ?」

 

 

 

 

 

 

 

ドドドドドドドドド…

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「殺す…蹂躙よ…!!」

 

 

譲信「…………グッド♪OK…OPEN THE GAME!!」

 

 

レミリアと譲信は、ほぼ同じタイミングで同じスピードで互いに駆けだした。

そして1秒もせずに、互いに近接攻撃の射程距離内に入る。

 

 

ザンッ!!

 

 

レミリアは槍の一突きを、譲信はスタンドの手刀を上手い具合に振り下ろして、槍の軌道を逸らす。

そして、譲信自らパンチを一発繰り出すもレミリアの片手に受け止められてしまう。

 

 

譲信(ふぅ…コイツの能力…攻撃パターン…弾幕の種類…そして各弾幕の特徴…大体の情報は頭に叩き込んであるからやりやすいが……やっぱメンドクセーなぁ…けどまぁ、やるしかねぇか)

 

 

 

ギリギリギリ……

 

 

 

互いに力を込めることで、軋む音が聞こえてくる。

 

 

レミリア「チッ……言うだけあって実力はそれなりにあるようね…!!」

 

 

譲信「やれやれ…そりゃ今の俺は本気ではないが手加減もしてねーからな。時間も少ねぇからいつものお約束…お遊びのサービス時間は今回は端折らせて貰うぜ…」

 

 

譲信は空いていたもう一つの腕で、レミリアに向かって拳を突き出す。

敏感にその動きを察知したレミリアはすぐさま、後方へと下がり、譲信に向けて無数の弾幕を放った。

 

 

ゴォッ…!!

 

 

譲信「ほう…これはまた綺麗なモンだな!…でも見蕩れてたら俺が怪我しちまうんだよなぁ~…綺麗なバラには棘があるとか言うやつだぜ…!!」

 

 

譲信は迫る弾幕に対し、呑気に構えていた。

弾幕が近付くと譲信は左腕にブロックのようなものを出現させる。

 

 

レミリア「!!」

 

 

すると、譲信とレミリアの足元に何やら網目のような物が一瞬で張り巡らされた。

 

 

譲信「“チョコレート・ディスコ”!!…お楽しみの時間だぜ」

 

 

譲信は左腕についたブロックを操作して、組み合わせる。

すると譲信に迫っていたレミリアの弾幕は突如、レミリアの背後に瞬間移動した。

 

 

レミリア「何っ!?」

 

 

驚いたものの、レミリアはすぐに反応しグングニルで迫る弾幕を弾いたり、動き回って回避したりする。

 

 

レミリア(この網目…この能力は………奴のフィールド内にある物の位置を自由に瞬間移動させる能力か!?)

 

 

譲信「“チョコレート・ディスコ”…俺のエリア内にある物を自由に瞬間移動させる能力。それしか言わないぜ」

 

 

レミリア「それがどうした!!」

 

 

ならばとレミリアはグングニルを構え譲信に迫る。

遠距離攻撃が無駄になるなら近接攻撃で仕留めれば良いだけの事…レミリアにとっては別に迷う事の程でも無かったのだ。

 

 

譲信(…よし!)

 

 

だが、それこそが譲信の狙いだった。

スタンド能力は基本的に、射程距離という物が存在し、強いスタンドになればなるほど、射程距離は基本的に短くなる。

 

つまり、接近戦でないとあまり強みを生かせないのだ。

その点、チョコレート・ディスコは相手の遠距離攻撃封殺には持って来いの能力だった。

 

この方法なら相手は嫌でも近接戦闘に切り替えなければならなくなる。

そして、近接戦闘はまさに全てのスタンドを操れる譲信にとっての独壇場だったのだ。

 

 

レミリア「くらえっ!!スピア・ザ・グングニル!!

 

 

ゴウ…ッ

 

 

譲信「ザ・ハンド!!空間ごと削り取るぜ!!」

 

 

譲信は発現させていたもう一体のスタンド…ザ・ハンドの右手で迫るグングニルに振りかぶる。

 

 

ガオンッ!!

 

 

すると、グングニルの先端部分が綺麗に削り取られ何処かへと消えていってしまった。

 

 

レミリア「グ…グングニルがッ!?マズイ…!!近づきすぎた!!この距離は…!!」

 

 

レミリアは咄嗟に蹴りを繰り出す。

譲信は腕でしっかりガードしてその一撃を防いだが、その反動によってレミリアは再び距離を取られてしまった。

しかし、譲信は焦ることは無い。

 

 

譲信「逃がす訳にはいかんな!!ザ・ハンド!!

 

 

ガオンッ!!

 

 

譲信は再び空間を削り取った。

すると…

 

 

レミリア「…え?」

 

 

レミリアは突然、譲信の目の前に移動したのだ。

 

 

譲信「空間を削り取って瞬間移動!!そしてぇ…!!」

 

 

レミリア「ッ!!」

 

 

パシィィッ…!!

 

 

譲信はレミリアに向けてパンチを放つも、レミリアにその一撃を受け止められてしまい、更には腕を掴まれてしまった。

 

 

レミリア「ふ…!!吸血鬼の身体能力を舐めない事ね!!このままこの腕をへし折ってやろう…!!」

 

 

譲信「かかったなアホゥがッ!!“気化冷凍法”!!

 

 

パッキィィィーーーン………

 

 

譲信の腕をへし折ろうとしたレミリア。

しかし、譲信は即時に気化冷凍法によってレミリアの腕を逆に凍結させた。

 

 

レミリア「なっ!?しまった…!!」

 

 

譲信「貧弱貧弱ゥ…吸血鬼を舐めてたのはお前の方だったなぁ~間抜けがぁッ!!WRYYYYYYYYYYY!!」

 

 

譲信はザ・ハンドを引っ込め、すぐに別のスタンドを発現させる。

そのスタンドは…

 

 

譲信「世界(ザ・ワールド)”!!

 

 

世界(ザ・ワールド)「無駄ァッ!!」

 

 

バキィィッ!!

 

 

レミリア「くあっ!?」

 

 

世界(ザ・ワールド)”の拳の一撃をまともにくらって、レミリアは大きく後方へと吹っ飛ばされる。

 

 

ドゴォォーン……

 

 

そのまま部屋の壁を突き抜けて、隣の部屋へと吹き飛んでしまった。

 

 

レミリア「う……うぅー……」

 

 

どうやら“世界(ザ・ワールド)”のパンチが相当痛かったようで、レミリアは殴られた頭の部分を抑えてうずくまっていた。

 

 

譲信「ふぅ…やっぱりすげ~パワーだな。(もう少し抑えねぇとマズイか…)」

 

 

譲信は空いた壁の穴をまたいで通る。

 

 

レミリア「やって……くれたわね……!!殺してやる……!!」

 

 

グラッ……

 

 

レミリア「……は?」

 

 

立ち上がろうとしたレミリアだったが、足に力が入らず再び倒れ込んでしまう。

そしてすぐにレミリアに異変が襲いかかった。

 

 

レミリア「あ…足に力が入らない……!!ず…頭痛がする…は…吐き気も……!?バカな……この私が……たった一撃だけで…ここまで気分が悪いなんて………ッ!!」

 

 

譲信「へぇ?そりゃあ…なんとまぁお気の毒に。けどな、どうせ数秒もありゃあ治るんだろ?だから悪いがよ、俺は待ってやらねぇ事にしたぜ……」

 

 

レミリア「…………?」

 

 

瞬間に譲信はレミリアの視界からパッ…と消えた。

一瞬驚いたレミリアだったが、すぐに自身に大きな影が被さり、瞬間上を見上げる。

 

すると、いつの間にか天井に大きく穴が空いており、そこから何かが落下してきていた。

やがて、重力に従いそれは近付いて来ることによってハッキリと見えてきた。

レミリアは思わず目を見開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信「ロードローラーだッ!!」

 

 

驚愕!!

なんと譲信が時を止めて、レミリアに喰らわせようとしたのはロードローラーによるプレスだった。

 

 

レミリア「う…うぁぁぁぁッ!!」

 

 

譲信「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」

 

 

ズシンッ……!!

 

 

ロードローラーがレミリアに落ちてくるも、レミリアはグングニルに力を流し込み、突き刺すことで上手く受け止めた。

だが何故か思ったようにロードローラーには深く突き刺さらなかった。

 

 

レミリア「ぐっ………何故壊れない…!?」

 

 

譲信「妖力的なアレを大量に流し込んで創造してあるからだ!!やれやれ…世界一頑丈なロードローラーをくらいなッ!!」

 

 

レミリア(はやく…脱出しなければ…!!)

 

 

レミリアは急いでロードローラーから這い出ようとするが、譲信は上からロードローラーを拳で叩き、さらに圧をかけることでその動きを制限させた。

 

 

譲信「もう遅いッ!!脱出不可能よッ!!」

 

 

レミリア「ぐっ…う……!!」

 

 

譲信はまたロードローラーに拳を叩き込み、遠慮無く圧を掛けていく。

レミリアもそうはさせまいと、凍結から力尽くで解放させたもう一つの手で、突き上げるようにパンチをロードローラーに叩き込んだ。

 

 

譲信「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」

 

 

譲信は肘でラッシュをロードローラーに叩き込む。

相当頑丈なロードローラーも表面がどんどん変形し始めていた。

 

 

レミリア「舐めるなぁぁぁぁぁ!!はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」

 

 

レミリアも負けじとラッシュを叩き込む。

レミリアの方もロードローラーの表面が変形し始めていた。

 

 

譲信「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」

 

 

ドコッドコッドコッドコッドコッドコッ!!

 

 

だがやはり上の方が圧倒的に有利で、レミリアの奮闘虚しくロードローラーはどんどん沈んでいく。

 

 

レミリア「ぐっ………うぅぅッ!!」

 

 

譲信「WRYYYYYYYYYYY!!ぶっ潰れよぉぉッ!!」

 

 

バゴォォン!!

 

 

譲信は強烈なパンチを最後に叩き込む。

レミリアも全力近い一撃を叩き込み、ロードローラーは上と下からの強烈な圧により、どんどん形が歪んでいく…。

 

部品が弾け、ヒビが入り、あちこちから軋む音が聞こえてくる。

そして…

 

 

譲信&レミリア「ッ!?

 

 

 

ドガァァァァァァン!!

 

 

 

ついにロードローラーは爆発し、凄まじい爆風が一面に吹き渡る。

強烈な爆炎は辺り一帯何もかもを飲み込んだ。

 

 

 

ゴゴゴォォォォ………

 

 

 

 

 

 

シュタッ………

 

 

 

僅かに服を焦がしながらも、大した怪我も無かった譲信は爆煙が立ちこめる中、静かに降り立った。

 

 

譲信(驚いたモンだぜ……俺が誰かの為にわざわざここまでやるなんて…思いもしなかった……。ちょっと前までの俺は…極力喧嘩は避けて、休日は引きこもって、ゲーム三昧な、どうしよーもねぇクソッタレなヤンキーで…オタクだった…)

 

 

そんな譲信の頭の中にこびり付いて離れなかったのは、あの時のフランの、本音を吐き出した時の泣き顔だった。

 

 

譲信(………やれやれだぜ。あそこで逃げ出して異変を解決した所で…胸糞悪ィだけだ…。俺は胸糞悪ィのは死んでも嫌なんだよ。……そうだな。今俺がこうして戦ってるのは…道化を演じてるのは…自分の為だ。格好いいと思える自分を演じる為…ただのそれだけだ。だから…俺は善人でもお人好しでもねぇ……決して、あの嬢ちゃんの為だとか…そんなんじゃあねぇんだ…。俺は人のために自分を傷つけてまで頑張れるような…そんな人間じゃあねぇ…。それだけは…認めねぇ…!!)

 

 

譲信(やれやれ……柄にもなく、くだらねぇ事を考えちまったなぁ俺。………でもなんか嫌だな。)

 

 

譲信(俺は…スタンド能力なんて持ってなかったら…果たしてここまで堂々としていられただろうか……?………結局能力のお陰で…。能力が無いと自分の胸すら張れねぇのかも……いや、確実にそうなってたな……。……くそっ!!嫌になってくるぜ!!)

 

 

譲信(……所詮、俺の使うスタンド能力も俺自身の力じゃあねぇ…。ただのパチもんだ。………だから素直に俺は喜べねぇのかもな。元の自分が…クソすぎてよぉ……!!)

 

 

譲信(だからこそ俺は…これは試練だと!!そう受け取った!!試練は克服して…必ず…俺の中の畜生な俺を殺すッ!!)

 

 

ゴウッ…!!

 

 

譲信「!!」

 

 

その時、譲信の目の前に突然グングニルが突きつけられた。

煙が晴れていくと、そこにはレミリアが所々、ボロボロになりながらも立っていた。

 

 

レミリア「ハァ…ハァ……流石に焦ったわよ…!」

 

 

譲信「おいおい…タフだなぁ…。流石にもう決着付いたとは思ったんだけどよぉ………」

 

 

レミリア「この程度でこの私がやられるとでも?多少はダメージを負ったけれど…でもただそれだけよ…!!」

 

 

それより…とレミリアは続ける。

 

 

レミリア「この距離で私の次の攻撃をお前は躱せるかしら?……無理ね。お前は今、追い詰められてしまっている」

 

 

譲信「はたしてそうかな?実は追い詰められてるのはお嬢ちゃん…お前の方かもしれねーぜ?」

 

 

譲信は笑みを浮かべながら、レミリアを軽く挑発した。

謎に溢れる譲信の自信が気に入らなかったレミリアは、譲信が言い終わると同時に、右の胸にグングニルを突き刺した!!

 

 

グサッ…!!

 

 

譲信「……っ!!……ゴフッ!?」

 

 

防ぐ間もなかった譲信はまともにその一突きを受け、わずかに吐血する。

 

 

レミリア「確かにお前には手を焼かされたが…その程度の実力者ならこの幻想郷にはいくらでもいる……そしてそのどれもがこのレミリア・スカーレットの足元には及ばない……所詮お前も半端者の一部に過ぎないというわけだ。お陰で余計な時間を食わされた…だから今度はこちらが楽しませて貰う番よ」

 

 

譲信「バ~カ♪依然として楽しいのは俺だけだ!!」

 

 

譲信はレミリアのグングニルを片手で掴んだ。

そして上着を引き裂くようにして脱ぐと、レミリアに向かって投げつける。

そのせいで、レミリアの視界は遮られてしまった。

 

 

譲信「どうだこの目眩ましはッ!!WRYYYYYYYYYYYYY!!」

 

 

チャンスとばかりに、譲信はレミリアに向かって手刀を振りかざした。

しかし

 

 

ボゴォォンッ!!

 

 

レミリアはグングニルの先に力を集中させ、譲信の上半身を粉々に吹き飛ばしてしまった。

 

 

レミリア「確かにそうね…。あまりにもくだらなさすぎて……全く楽しめなかったわ。お前の敗北はただ一つ。浮かれて身の丈に合わない事をしてしまった……それだけだ」

 

 

レミリアは自身に被さった上着を床に放り捨てると、静かに言い放った。

脳組織ごと吹き飛ばされてしまった譲信の体はもはや、再生する事はできない。

残った下半身だけが無惨にも横たわり、譲信は完全に死亡していた……。

 

 

レミリア「終わったわね。とんだ茶番だったわ……さて次は…あの巫女と魔法使いを倒して…私の勝利ね」

 

 

惨めな敗者になど何の興味もない。

レミリアはグングニルにこびり付いていた譲信の血を、一振りして払うと外に向かって歩き出す。

そこそこ体力は消耗したが、そこまで問題では無かった。

 

紅魔館の主、レミリア・スカーレットとの一戦。

空条譲信は敗北した。

そして、死亡したのだ…。

紫からの依頼、フランとの約束、外の世界で帰りを待つ家族。

何もかもを残して、譲信の命はつきた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバァァッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………筈だった。

 

 

レミリア「え!?」

 

 

不意にレミリアはグングニルを持っていた右腕に激痛を感じ、そこへ目を向ける。

するとレミリアの右腕は肩の部分から先が無くなっており、切り離された右腕は血を吹き出しながら宙を舞っていた…。

 

 

レミリア「な…何故!?いきなり…!?」

 

 

 

 

 

 

譲信「Dirty deeds done dirt cheep(いともたやすく行われるえげつない行為)

 

 

混乱するレミリアの背後から静かに語りかけてきたのは、他ならぬさっきトドメを刺した筈の譲信だった。

 

 

レミリア「…………ッ!?」

 

 

驚いてレミリアが振り返ると、譲信はレミリアが投げ捨てた上着の下から這い出てきていた。

 

 

譲信「“D4C”…同じ場所に隣の世界を存在させられるスタンド能力だ。お前が今、トドメを刺した“俺”はさっきすり替わっておいた平行世界の俺だぜ」

 

 

レミリア「何を…言っている……!?」

 

 

いきなりスタンド能力だとか言われてもレミリアには、譲信が何を言っているのか、さっぱり理解できなかった。

 

 

譲信「理解しなくて結構。それより何だったか……そうそう!!俺最初に言ったよな?今回はお約束のお遊びのサービスタイムは無しだ…ってな」

 

 

譲信「だから俺はこれから遠慮なくお前に攻撃を仕掛ける…と、宣言させて貰う」

 

 

譲信は片手を失っているレミリアにゆっくりと近付いていく。

弾幕は無駄、片手を失った。グングニルも落とした。逃げ切れる筈もない。

レミリアは王手をかけられていた。

 

 

レミリア「……勝ち誇るのはまだ早いわよ……例え弾幕や武器が無くとも、吸血鬼は最強の存在なのよッ!!」

 

 

レミリアはそう叫ぶと、自身を奮い立たせて譲信に向かって迫っていく。

音すらも置き去りにしたかのような、圧倒的な速度で一気に距離を詰めた。

 

 

譲信「じゃあやっぱりお前の負けじゃねーか。あと数時間は俺もその吸血鬼なんだからよ」

 

 

譲信はレミリアの攻撃を、D4Cに全て捌かせていた。

打撃戦闘になるとやはりスタンドの方が圧倒的に有利なのだ。

 

 

譲信「魔術師の赤(マジシャンズ・レッド)…これにて決着だ」

 

 

譲信は別のスタンドを発現させた。

 

 

レミリア(マ……ズイ………)

 

 

譲信「くらいなッ!!クロスファイヤーハリケーン!!

 

 

 

ボブシュゥゥゥゥゥゥゥ!!

 

 

 

レミリアに灼熱の業火が遅いかかった!!

 

 

レミリア「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!?」

 

 

先程のロードローラーの爆発なんかと比べ物にならない程の衝撃がレミリアを襲った。

 

 

譲信「死にはしないから安心しな。隣の世界で練習済みだからよ」

 

 

 

 

 

強烈な一撃をくらってしまったレミリアは、大きな火傷を負い、ダメージが重く動けなくなっていた。

 

 

 

 

 

レミリア「あ………う……うぅー………あ……」

 

 

ようやく戦闘が終わり、譲信は軽くため息をついた。

 

 

譲信「やれやれ…まさか一日に“二人”も吸血鬼の相手をしなきゃあならんとは…くたびれたぜ」

 

 

レミリア「な………なん……だと……!?」

 

 

レミリアは譲信の放った言葉の中で、“二人”という部分を聞き逃しはしなかった。

 

 

レミリア「ど…ういう……事だ!?……まさか……フランと……あの子と戦ったと言うのか……!?」

 

 

譲信「聞こえてたのか?」

 

 

譲信は倒れて動けないでいるレミリアと目を合わした。

 

 

譲信「そうだぜ。中々におっかねぇ妹さんをお持ちじゃあねぇか。死ぬかと思ったぜ?実質死んだようなモンだがよぉ」

 

 

シャレにはならねぇシャレだとばかりに、譲信はニヤッと笑って答えた。

 

 

レミリア「あり…えない…!!あの子と戦ったのにどうして………無傷でここにいる!?……フランは……あの子を一体どうしたんだ!?」

 

 

フランと戦ったというのに、何故無傷でここまで再び上がってこれたのか…そして、あの狂気に取り憑かれたフランが何故姿を見せないのか…レミリアは疑問で仕方がなかった。

 

 

譲信「……ほう。意外にも妹さんが心配なのか?……で、それを聞いて何か得でもあるのか?」

 

 

レミリア「答えろッ!!私の妹に何をした!!」

 

 

その時、譲信の顔に突然影が差し、赤い瞳が不気味に光った。

レミリアは嫌な汗を掻き始めた。

とても嫌な予感がしていたのだ。

そして、譲信はゆっくりと口を開いた。

 

 

譲信「………さっき殺した。お前のせいだよ…お前のせいで…あいつがそれを望んだんだ」

 

 

レミリア「………………………え………?」

 

 

レミリアは譲信が言ったことをしばらく、理解できずにいた………

 

 

 

 

TO BE CONTINUE………

 

 

 

 

 




番外編。
何か作ってみようかと思ってはいるのですが、これといって中々アイデアが出て来ませんね。
ジョジョらしい奇妙な短編ストーリーでも書こうかとは考えております。
閃き次第、投稿する予定です!!
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