ノリの良いスタンド使いの奇妙な幻想入り   作:仁堂六華

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そろそろ異変も終わりを迎えます。


⑯THE WONDER OF U~星が導く奇跡の愛~後編

譲信「俺がさっき殺した」

 

 

 

レミリア「……………え?」

 

 

理解できなかった。

する訳にはいかなかった。

聞き間違いであって欲しかった。

この世でたった一人の血の繋がった妹。

レミリアは、フランの死を信じたくなかった。

 

 

レミリア「嘘よ…………嘘よ嘘よ嘘よ嘘よ!!あの子がそう簡単に死ぬ訳がないっ!!」

 

 

しかし、譲信は取り乱すレミリアに向かって無情に言い放つ。

 

 

譲信「それがそんな訳あるんだよ。見ての通り俺はお前と戦って、結構スマートに勝てるぐらいの実力者だぜ?それにお前の妹自身、自ら死を望んだんだ…簡単に殺せたよ……」

 

 

レミリア「そ……そんなこと………そんなこと…!!」

 

 

これ以上何も聞きたくない…と耳を塞ぎたくてもレミリアには片腕しかないので、嫌でも譲信の声が聞こえてくる。

 

 

譲信「それもこれも全部お前のせいだぜ。お前が妹さんの心を限界まで追い詰めたんだ。そこんとこについては……心当たりあるんじゃあないのか?」

 

 

レミリア「……ッ!!」

 

 

心当たりは……ある。

レミリアの瞳から、涙が溢れ出した。

ずっと目をそらし続けていた事だった。

フランの為…フランの為…そう自分に言い聞かせても、心の何処かではいつも“自分の為”…という気持ちが一番強かった。

 

結局の所、レミリアはただフランの事が恐ろしかったのだ。

その恐怖が本来なら見える筈の物を見えなくさせ、しなくても良いような、苦しくて辛い思いをフランには500年近くさせてきてしまったのだ。

 

その間、レミリアは何もしてこなかった。

やっと行動を起こそうとしたのが、今回の異変だった。

何もしてこなかった…と言っても本当に何もしてなかった訳ではない。

しかし、ただ形だけの…何の成果も得られる筈も無いような…そんな明らかに的外れな努力など、何もしてなかったのと同等なのだ。

 

おまけに、レミリアにはその自覚があった。

あった上で、散々何もかもを後回しにした結果………手遅れになった。

もう、レミリアがどれだけ手を伸ばそうとも届かない所にフランはいる。

レミリアはこれまでの全てを、自身の全ての罪を、妹を失ってようやく…理解する事が出来た。

ようやく、真実と向き合うことが出来た。

 

 

譲信「図星だな。やれやれ…」

 

 

レミリア「………だからと言って……………」

 

 

レミリアが、何かを呟いた。

譲信はその僅かな声量を耳に捉えた。

 

 

譲信「………ん?」

 

 

レミリア「だからと言ってッ!!何故お前だ!!何故無関係なお前が……!!何故、フランをッ!!………なんで……なんで……そう簡単に……フランのことを……!!」

 

 

少なくとも、譲信が言う内容からだとフランの最後には狂気に取り憑かれた様子は無かった。

狂気さえ無ければフランは心の優しい子だ。

そんなフランを頼まれたからといって、そう簡単に殺せてしまうよな…譲信の行為をレミリアは理解できなかった。

 

その時、この男は何を考えていたのか…レミリアはそれだけは聞いておきたかったのだ。

今にもはち切れんばかりの怒りと、憎しみと、悲しみを、何とか抑えつけていた。

 

レミリアに訪ねられた譲信はゆっくりと、レミリアの方へと近付いていく。

そして淡々と語り出した。

 

 

 

譲信「………蚊っているよなぁ?鬱陶しく飛び回って…生き物の血を吸っていくだけしか能の無い虫ケラだ……」

 

 

レミリア「……………?」

 

 

譲信「あの虫ケラが側に寄ってきたとき、別に何もされてなくても、皆何も考えずに殺すだろ?」

 

 

レミリア「……お………お前ぇ………!?」

 

 

譲信の言っている言葉が、段々と分かってきた。

……レミリアの片腕が、わなわな…と震え出す。

 

 

譲信「ならば、同じく血を吸って空を飛び回るような…蚊と同類の吸血鬼の一匹殺す程度…わざわざ何かを考えてやる必要があるだろうか?おまけに頼まれたから殺すんだ………もはや何かを考える必要も無いだろ?」

 

 

譲信「ま、それでも最後には泣き喚いていたさ…全く……。夜の支配者だとか…高潔なる種族だとか…自称するくせに、それらの誇りもヘッタクレも無い……実に憐れでマヌケな最期だったぞ……お前もお前の妹も……己が試練に負けた…只の“負け犬”だ」

 

 

レミリア「ッ!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

瞬間、レミリアの中で何かが爆発した。

動けなかったボロボロの体が、まるで自然に反応するかのように動き出し、レミリアの一瞬の意識が追いついた頃には、レミリアは譲信の横っ面に拳をめり込ませていた。

 

 

譲信「ぶぐっ!?」

 

 

ボッグォォォォォン!!

 

 

譲信の数本の歯が砕け散り、譲信は壁数十枚先の部屋まで吹き飛ばされてしまった。

レミリアの譲信を殴った腕は、限界越えの威力を出してしまった為、骨が折れてしまっていた。

 

 

レミリア「ハァー…ハァー…ハァー…ハァー………ッう………許さない………絶対にお前だけは許さないッ!!」

 

 

レミリアの千切れた片腕は、小さな数匹の蝙蝠に姿を変えるとレミリアの切断された腕の断面に集まり、再び腕を元の形に戻して再生させた。

 

折れた骨も瞬時に治し、アドレナリン全快の溢れ出す妖力で大気を震わせながら、譲信の吹き飛んだ部屋までズンズン進んでいく。

 

 

譲信「ゴッフ…………マジか………今のは見えなかったぞ……URYYY……痛みに強くなっててもこりゃあ…死ぬほど痛ぇなぁ…!!」

 

 

譲信はぐちゃぐちゃになった顎の部分を再生させながら、立ち上がる。

体中の骨もバキバキに折れてるらしく、吸血鬼の体中を持ってしても耐え難い激痛が走っていた。

少し体に力を入れるだけでも、吐血してしまう。

 

 

ズン……!!

 

 

 

譲信「ッ!?」

 

 

気が付くと、譲信の眼前にレミリアが立っていた。

グングニルを片手に恐ろしいほどの殺気が溢れかえっていた。

 

 

レミリア「確かに私はフランを苦しめてきた……しかし!!お前のようなクズに…我が妹の命を奪わる事だけは絶対に許されて良い筈がない!!……フランへのせめてもの…報いとして……お前を殺すッ!!」

 

 

譲信「三流が!!そういうのはな、行動が終わってから言うんだよ間抜けがッ!!…しかし、随分と勝手な物言いじゃあないか?今のテメーがあいつの事を…“妹”なんて呼び方をする資格はあんのかよ?エェ!?」

 

 

ドスッ!!

 

 

譲信「ぐぁっ!?」

 

 

譲信の喉に、レミリアのグングニルが突き刺さった。

 

 

レミリア「黙れ…!!そんな事は言われなくても分かっている…!!誰から見ても私は…あの子の姉は失格だ……それでも!!私はあの子の事を心から…世界中の誰よりも愛している!!失ってからしか気付けないような…こんな最低な姉でも…それだけは変わらぬ真実よっ!!」

 

 

譲信は、レミリアの言葉を青筋を浮かべながら聞いていた。

レミリアの言葉を聞いた譲信は怒り爆発寸前だった。

 

 

譲信「…………おい……」

 

 

レミリア「お前……喋るなと……ッ!!」

 

 

バギィィッ!!

 

 

グングニルを一閃して譲信の首を刎ねようとしたレミリアだったが、それよりも早く譲信は世界(ザ・ワールド)を発現させ、その驚異的な握力でグングニルの真ん中辺りをにぎりつぶした。

 

 

譲信「勝手な事言ってんじゃあねーぞアァッ!?愛してるだと!?真実だと!?たった一人の妹を傷つけた野郎がそんな綺麗な言葉使ってんじゃあねーよ!!今までにも後ろめたく思ってたなら何で“ごめんなさい”の一言くらい言えねーんだ!?何で妹にばかり責任押しつけて謝らせてんだ!?クソッタレ外道が!!それを今更になって綺麗なお言葉で誤魔化そうたって誰も納得しねーよボケッ!!阿呆なガキでも口ではなんとも言えるんだよ!!テメーは阿呆なガキなのか!?エェッ!?」

 

 

レミリア「………お前が……部外者が口を挟むな!!これは…赤の他人が出しゃばるなぁッ!!」

 

 

レミリアはグングニルを投げ捨てて、パンチを繰り出す。

ガードを取った譲信だが、それでも腕を吹っ飛ばされ腹を貫かれる。

それでも、勢いは止まらない。

 

 

譲信「その赤の他人にとやかく言われなきゃあ向き合えなかった間抜けが、一丁前なセリフ使ってんじゃあねーぜ!!レミリア・スカーレット!!テメーが今すべきは言葉のお飾りじゃあねーだろ!!テメーの言う愛ってのが本当に真実なら…行動で示せ!!…俺の“星の白金(スタープラチナ)”に勝ってみろや!!」

 

 

言うなり、譲信は“星の白金(スタープラチナ)”を出してレミリアにパンチを放つ。

 

 

スタプラ「オラッ!!」

 

 

バキィッ!!

 

 

レミリア「くぁッ!?」

 

 

レミリアはガードの上からでも重い一撃により、数メートル飛ばされるが、何とか踏みとどまった。

今ので、確実にスタープラチナとやらは自分より高いパワーとスピードを持っている……そうレミリアは分かっていても依然、その目には闘志が宿っていた。

 

 

レミリア「言われなくても…お前はこの私の手で絶対に殺す!!お前がどう足搔こうともその運命だけはこのレミリア・スカーレットが変えさせない!!」

 

 

レミリアは再びグングニルを構えると、限界をとっくに越えている体からでは信じられない程のスピードで譲信に迫る。

 

 

譲信「良い覇気じゃあねぇか………かかって来な!!

 

 

譲信もスタープラチナを構え、レミリアに迫る!!

 

 

レミリア「貫けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

譲信&スタプラ「オラァァァッ!!」

 

 

スタープラチナの拳と、グングニルがぶつかり合う。

凄まじいパワー同士のぶつかり合いに、大気はビリビリと震えて止まない。

 

 

レミリア「負けるかぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

レミリアは更に、力を限界まで込める。

譲信の腕の骨がへし折れるか、レミリアのグングニルがへし折れるか…それが勝敗の分かれ目だった…。

そして、数秒もしない内に決着が着いた…。

 

 

 

 

バッキィィィ…ンッ!!

 

 

 

 

勝ったのは…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信「悲しいかな……足搔いても足搔いても能力には限界があり…一時の感情じゃあ壁は越えられねぇ…そーいうドラマは漫画だけだぜ………」

 

 

 

レミリア「う…………ぐっ………!!」

 

 

 

折れたのは…レミリアのグングニルだった。

レミリアは、埋まらなかったスタープラチナとの圧倒的なパワーの差に、生まれて始めて屈辱で涙を見せ、奥歯を噛み締めた。

 

 

 

譲信「それでも現実は糞じゃあねぇ…本物の覚悟ってのは…必ずそれらを越えた先に道を照らし出してくれる…レミリア…テメーの覚悟は……本物だった…!!」

 

 

だが…!!と、譲信はレミリアの眼前にまで一気に踏み込む。

 

 

 

レミリア「ッ!?」

 

 

 

譲信「勝負は勝負…そこはキッチリしなきゃあならねぇな……!!」

 

 

 

 

 

譲信&スタプラ「オラオラオラオラオラッ!!」

 

 

譲信はレミリアに向けて、スタープラチナのラッシュを叩き込もうとした!!

 

……しかし!!その時だった…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???待って!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、二人の間に何者かがレミリアを庇うように割って入ったのだ。

その者の姿を見てレミリアは目を丸くして固まり、譲信は少し呆気に取られてから…優しく微笑んだ。

 

 

 

 

譲信「やれやれ…………もう充分…伝わってるみてぇだな……………フラン!!」

 

 

 

そこへ現れたのは、譲信が殺したと言ってた筈のフランドール・スカーレットだった!!

 

 

 

レミリア「フ……フラン………!?フランなの…!?何が………どうなって……!?」

 

 

 

驚きでアワアワ…としているレミリアにフランは振り返る。

 

 

 

フラン「お姉様………ご免なさい……騙してしまって……フランね、お姉様の事が信じられなくて…だからこの人の提案でお姉様を試すような事してしまって………こんなに酷い怪我を負わせるような事をしてしまって………本当にごめ……!!」

 

 

 

謝ろうとしたフランだったが、レミリアは咄嗟にそんなフランを抱きしめた。

 

 

 

 

フラン「え?……お姉様!?」

 

 

 

レミリア「謝るのは私の方よ……!!今更…許して貰えるなんて思ってない……けど…フラン!…今まで…本当に…本当に………独り苦しい思いをさせて…ごめんなさい!!」

 

 

 

フラン「そ…そんなことないよ!!フランが…フランが悪い子だったから…だからお姉様は何も悪くない…!!悪くないもん!!」

 

 

 

レミリア「違うわフラン…!!私よ…あなたと向き合おうとしなかった私が……!!」

 

 

 

レミリアとフランは、大粒の涙を互いにこぼし合いながら、抱きしめ合った。

数百年もつもりに積もった想いとすれ違いは…この瞬間、ようやく…本当にようやく…解かれたのだ。

 

レミリアもフランも二人の今の姿を見た者は吸血鬼なんて思えないほど、子供のように泣いていた。

喜び、悲しみ、…複雑な感情の中一つだけ確実だったのは、確かに分かり合えた…という事だった。

 

 

 

そんな二人の様子を少し離れた場所に腰を降ろしながら譲信は、優しく微笑みながら眺めていた。

傷はなんとか治癒でき、色々とボロボロだったが今だけはそんな事…微塵も気にしてなんていなかったのだ。

 

 

 

譲信「やれやれ……“愛”だな。なんて素晴らしい姉妹愛なんだろぉなぁ…………ハハ…(一時は感情任せでどうなるかと思ったが……なんとかなって良かった良かった……本当に…良かったな…フラン…!!)」

 

 

譲信は煙草を吸おうと胸ポケットから箱を取り出すが、自身の血のせいで湿気っており、使い物にはならなかった。

譲信は軽くため息をついて、へっ…!と笑ってから再び箱を胸ポケットに戻した。

 

 

譲信(愛…………か。)

 

 

そして再びレミリアとフランを見た事で、譲信の脳裏にある光景が突如浮かんできた。

 

 

 

(譲信回想)

 

 

『おい…お前……いつになったら譲信に本当の事を話すんだ?もう譲信は15だぞ?来年は高校生だ…いい加減伝えるべきじゃないか?』

 

 

『そうね…分かっているわ。……でも、やっぱりあの子をいざ前にすると…どうしても言い出せなくって……あの子の笑顔が消えるかもしれないのが……怖いの……』

 

 

二人が1階の居間で父と母が何やら話し合っている。

水を取りに2階から降りてきた譲信だったが、いつもと雰囲気が違う二人の会話に、思わず階段で立ち止まり聴き耳を立てていた。

 

 

譲信(なんの話だぁ……?まさか……小遣い減らされるとかじゃあないっスよねぇ……!?)

 

 

 

父『何を言ってるんだ…あの時二人で決めたじゃないか…!譲信が高校生になってから真実を語ろうって……!』

 

 

母『分かってる…!けど、けど…言い出しづらいじゃない……私達が…あの子の“本当の親”じゃないなんて…!』

 

 

 

 

譲信(…………)

 

 

あぁ…そのことかよ……と譲信は階段で座り込んだ。

 

 

 

譲信(無理すんなよな…ったく。……んなこたぁ保育所ん頃に知ったってんだよ………)

 

 

 

譲信はたまたま偶然、親戚の集まりの時に祖父と父が立ち話してるのを聞いていてしまっていた。

 

なんでも、譲信の実の父親は譲信の生まれる前に他界…母親はギャンブル依存症で譲信の面倒なんて全く見ておらず、譲信の世話をしていたのはいつも、当時14才の姉だった。

 

譲信が3才になる頃に、母親は急性アルコール中毒で死亡。

それから姉は祖父と祖母の家へ預けられ、譲信の面倒までは見きれなかった祖父と祖母は、最初は断ろうとしてた家へ謝礼1000万と共に譲信をその家の養子にさせたのだ。

 

それが今、譲信が住んでいるこの家だった。

最初は両親とも、1000万の為に仕方なく面倒を見てるだけだったが、小学校高学年になってようやく義母は実の母親のように愛してくれるようになった。

 

結局、義父は未だに愛してくれてなんていないがそれでも、色々な物は買ってくれたりするし、学費も払ってくれる為、譲信は気付いてないフリをして生きていた。

 

真実を知ったその時は、譲信は戸惑い、傷つき、自殺さえしようと考えていた。

流石に思い止まりはしたものの、しばらくの人生は何もかもがつまらなく、ただ空っぽの笑顔を振りまくだけの機械だった。

 

……そんな時に出会ったのが“ジョジョの奇妙な冒険”だった。

自分と同じ“空条”という名の主人公が、どんな敵があいてでも、たくましく道を切り開く姿……そして、いくつもの心に残る“言葉達”に衝撃を受け、同時に真っ暗だった人生に僅かな光が差し込むのを感じた。

 

……譲信は不良のままではあったが、オタクというステータスが追加されてからは、大人しくなった。

以前の譲信は荒れにあれていた。

町のちょっとした裏世界では、知らぬ者がいない程のヤバイ不良だった。

だが!!

ジョジョに出会えたお陰で譲信は今の譲信である事が出来たのだ。

 

皆のように愛や優しさは注がれた事の無かった譲信だったが、ジョジョから大切な事を全て学び、人の痛みを人一倍理解できる心を持つことが出来た。

言わば、譲信にとってジョジョとは、親代わり…の一部みたいな物だったのだ。

 

 

だから、譲信は少しだけレミリアとフランが羨ましく見えた。

自分にも姉はいたが、あまり大事にされていたようには思えなかった。

だから、血の繋がってる存在一人にでも愛されている者は羨ましくて仕方なく、どれ程満たされる物だろうか…と興味もあった。

 

 

だがそれは叶わない夢。

無駄じゃあないか…と譲信は珍しく過去を思い出していた自分を嘲笑うかのように首をふった。

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信「………お?」

 

 

ふと気が付けば、譲信の前にフランとフランに支えられてレミリアが立っていた。

まさか二人がかりで攻撃してくる系じゃないか?……と譲信は少しだけ身構えた。

が、そんな心配は杞憂に終わった。

 

 

 

フラン「あの………ありがとう………!!フランのお願い……叶えてくれて………」

 

 

 

レミリア「…………気に食わないけど………感謝するわ……事実…あなたのお陰で……フランとこうして分かり合える事ができた…………有り難う……」

 

 

 

譲信は礼を言った二人を見て、また優しく微笑んだ。

 

 

 

 

譲信「別に俺はなんもしちゃいねーよ。ただ暴れ回ってただけだぜ?……ま、そんでも感謝してくれるってんだから…素直に受け取らせて貰うぜ!それと……レミリア」

 

 

 

レミリア「何よ……?」

 

 

 

譲信はレミリアの額にそっと触れた。

 

 

 

 

 

譲信「“クレイジーダイヤモンド”

 

 

 

レミリア「!!?」

 

 

 

譲信がそう呟くと、レミリアの体中の傷はすぐに塞がり回復した。

 

 

 

譲信「ここに来て数回思ったが、女の子をボコるってのはマジで罪悪感がぱねぇんだわ……その、ごめんな?…でさ、出来ればもうあんまし悪さしないでくれねーか?流石にもう戦いたくねーぜ…俺の心がもたねぇ」

 

 

 

レミリア「言われなくてもそのつもりよ。今回異変を起こしたのはフランの為だった…。けど、それはもう必要無くなったわ…だから心配しないで頂戴」

 

 

フラン「大丈夫だよ!フランももう大丈夫!!」

 

 

レミリアはそっぽ向いて、フランはニパッ!と笑って答えた。

こりゃあ姉妹で対照的かね…と譲信は思いつつ笑った。

 

 

譲信「そっか…そいつは良かった。やれやれ…どうやらお節介を焼いた価値はあったぜ!」

 

 

譲信はそう言って二人の頭をポンポン…する。

フランは嬉しそうに、レミリアは不服そうだったが、特に嫌がる事もなかった。

 

 

譲信「さて!!万事解決した所で!!最後の一仕事だぜ!!」

 

 

 

譲信は空いた壁の穴の先を指差した。

 

 

 

譲信「お外で待ってる巫女と魔法使いとの決着がまだだろ?よく分からんが、とりあえず幻想郷じゃあ異変を起こした奴ぁ巫女さんとドンパチやり合やぁ良いらしいな?……てことで……だ。ほれほれ行ってきな!!」

 

 

譲信はレミリアの背中を軽く押した。

 

 

レミリア「そうだったわね……フ……。じゃあ軽く捻り潰してくるわ…」

 

 

フラン「ま…待って!!」

 

 

外で待つ霊夢と魔理沙の元へと向かおうとするレミリアを、フランが止めた。

 

 

フラン「お姉様……フランも…フランもお姉様と一緒に戦いたい!!」

 

 

力強い目で、フランはそう叫んだ。

 

 

譲信「…………と、御自慢の妹さんは言ってるが?」

 

 

 

 

少し不安そうなフラン。

そんなフランを見てレミリアは、フフ…と笑って答えた。

 

 

レミリア「えぇ。一緒に生きましょうフラン!!私達が揃えば敵なしよ!!」

 

 

フラン「お姉様!!」

 

 

 

 

 

譲信「やれやれ…こりゃあ二人には悪いことしたなぁ~…敵戦力アップしちまったぜ…おまけにボスを回復までさせちまった……へへへ♪…紫さんにバレたら説教されちまうかもな~」

 

 

 

フラン「……え?……怒られちゃうの……?」

 

 

 

そんな譲信の呟きを聞いて、フランは心配そうに譲信の方を見る。

そんなフランに対し、譲信は笑って答えた。

 

 

 

譲信「な~に問題ねーって!!フランは姉ちゃんと一緒に心ゆくまで暴れてきな!!俺は俺で言い訳通るぐらいの働きはしとくからよ!!」

 

 

 

フラン「うん♪」

 

 

レミリア「行くわよっフラン!」

 

 

フラン「は~い!!お姉様!!」

 

 

レミリアとフランは共に飛び上がり、外へと向かう。

その後をゆっくりと譲信も付いていった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「出て来たわね………」

 

 

魔理沙「お~?ようやくかぁ…!!まぁまぁ待たされたんだぜ………て、あれ?増えてる?」

 

 

霊夢「…………あの譲信……何してくれてんのよ…敵が増えてるじゃない………」

 

 

 

 

霊夢と魔理沙の元まで、館から出て来たレミリアとフランは浮かび上がった。

 

 

 

 

レミリア「改めて名乗らせて貰うわ……紅魔館当主…レミリア・スカーレット…」

 

 

フラン「私はお姉様の妹のフランドール・スカーレットだよ!!」

 

 

レミリアとフランは赤い目をギラリ…と光らせて、それぞれの手に武器を出す。

レミリアのグングニル。

フランのレーヴァティン。

二人は妖しく微笑みながら、武器を構えた。

 

 

 

レミリア「私達の力の前にひれ伏すが良いッ!!」

 

 

フラン「絶対に負けないんだからね!!」

 

 

 

 

 

霊夢「上等よ!!二人纏めて仲良くピチュッてあげるわよ!!」

 

 

魔理沙「面白くなってきたぜ!!」

 

 

レミリアとフランチーム。

そして霊夢と魔理沙チームの戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを下から眺める者が数名いた。

 

 

???「あ…あれは……妹様!?何故お外に…!?」

 

 

美鈴「…おや?咲夜さんもやられちゃったんですね!」

 

 

咲夜「美鈴…私の時よりかは優しい敵に相手して貰ったようね?」

 

 

美鈴「アハハ…やっぱり分かりますか~…。初めてですよー…本気出したのに気遣われるなんて…」

 

 

???「あんた達なんかまだマシな方よ……」

 

 

美鈴「え!?パチュリー様!?ここまで出てくるなんて珍しいですね?」

 

 

パチェ「フランとレミィの気配を感じてね…何事かと思って出てみたら……一体どうなってるのよ?」

 

 

咲夜「私めも今さっきここに来たばかりでして…何とも…」

 

 

霊夢、魔理沙、譲信。

各侵入者と戦った紅魔館メンバーが最後の戦いを見届けに集結していた。

いずれも相当な実力者達だった。

 

 

 

 

譲信「…それについては俺がお節介を焼いたせいだな」

 

 

 

美鈴、咲夜、パチェ「!?」

 

 

そんな三人にようやくこの場においついた譲信が呑気に話し掛けた。

 

 

美鈴「じょ、譲信さん!?」

 

 

咲夜「美鈴と戦ったのは…コイツね」 

 

 

パチュリー「最後の侵入者ね…」

 

 

三人それぞれ、違った反応を見せた。

 

 

譲信「さーて…俺の場合はツレが…あんたらの場合は親分達が戦ってるから…ボーッとしてるのは何とまぁ…後ろめたくはないかぁ?」

 

 

譲信「ま、答えはどーでも良いわ。諸事情により俺は戦わないと後が無くてなぁ…」

 

 

譲信が構えると、美鈴、咲夜、パチュリーもそれぞれ戦闘態勢に入った。

これ以上暴れられたら迷惑だと、譲信がその気なら三人で同時に叩き潰す気でいた。

しかし、譲信は逆に嬉しそうに叫ぶのだった…。

 

 

 

譲信「……良いぜ!!今夜はお祭りだ!!3人纏めてかかって来なッ!!遊ぼーぜ!!」

 

 

 

それぞれの最終決戦が始まった。

 

 

TO BE CONTINUE…………

 

 




次回で異変は終わるのかな?
多分終わります。
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