ノリの良いスタンド使いの奇妙な幻想入り   作:仁堂六華

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今回はちょいと解釈が複雑な話になるかな…?と思います。
何か疑問に思う事があれば答えられる範囲でお答えしますよ!!
それでは今回の話もお楽しみください!!
(誤字は多分無い……多分……ね)


GREAT DAYS
⑱ようやく始まる物語り…


紅霧異変。

そう呼ばれる事となった、レミリア・スカーレット首謀の今回の異変は、博麗霊夢、霧雨魔理沙、空条譲信、3人の活躍により、無事に解決された。

 

幻想郷に、いつもと変わりない今日がやってくる。

そんな中、譲信は不思議な体験をしていた………。

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信「………ぬぅんん?」

 

 

譲信は目を覚ます。

何も無い真っ暗闇な空間。

と、思いきやすぐに空間は揺れ、気付けば一瞬で遥か上空へと移動した。

 

 

譲信「おう…!」

 

 

不思議と、宙に浮いてるのに足の裏には硬い感触があって、落下する事は無い。

普段なら恐怖を感じる状況だが、そんな物は一切感じていなかった。

 

……成る程これは夢だ。

そう一瞬で譲信は理解した。

こういうのを明晰夢…と言ったかな?等とのんびり考えてみる。

 

 

???「やぁ。やっとココへ来てくれたね譲信くん。君がここへ来るのを僕達はずっと…待っていたよ」

 

 

譲信「ッ!?」バッ!!

 

 

そんな時、突如背後から何者かに名を呼ばれ、驚いた譲信はすぐに振り返る。

 

 

譲信「は……?え…………嘘……!!」

 

 

譲信はそこにいた者を見て、何者なのかを一瞬で理解し、驚愕で固まってしまった。

そう、そこにいたのは……

 

 

 

 

 

 

ジョナサン「初めまして…僕の名前はジョナサン・ジョースター…と言っても…僕も君も、互いの事は互いによく知ってるよね」

 

 

 

 

ジョナサン・ジョースター。

ジョジョの全てはここから始まった…第一部、ファントムブラッドの主人公。

ジョジョ好きなら知らないなんて有り得ない…そんな人物が、そこにはいた。

 

 

 

譲信「ゆゆ………ゆ……夢だよな?うん…夢だ。夢だから驚く程でもねーかぁ…。しかし、明晰夢で見るジョナサンはすげーガタイが良いもんだぜぇ……」

 

 

譲信はジョナサンに近付いて、まじまじと観察する。

そんな譲信をジョナサンは見下ろすようにして笑って見ていた。

 

 

ジョナサン「ハハハ…ありがとう。だけど、ここは夢であって夢では無いんだよ。…ここは、君の精神の深層にある場所……そして僕は、本来なら君の世界には存在しない筈の、本物のジョナサン・ジョースターなんだよ」

 

 

譲信「んえ!?」

 

 

言われて譲信は気付く。

確かにここは夢とは違う。

自分に意識を向けてみれば、それはハッキリと分かった。

実に不思議な事だが、ジョナサンの言ってる事が何もかも真実なのだと……ハッキリと理解できるし、確信できる。

何より、ここではデスサーティンが発動出来ないのだ。

決して夢なんかじゃあない。

 

 

譲信「ま……まじで……本物のジョナサン!?」

 

 

 

ジョナサン「うん!分かってくれたようだね。じゃあ早速君が今疑問に思ってる事を軽く説明させて貰うよ」

 

 

ジョナサンは軽く咳払いをしてから、語り出した。

 

 

ジョナサン「ここは君の精神の深層部。分かりやすく言うなら、君の能力の源…となる場所であり、誰にも侵害される事の無い唯一の場所でもあるんだ。そして、ここでは僕達のこれまでの数々の足跡…“黄金の記憶”が現実の物となる場所なんだよ」

 

 

譲信「黄金の……記憶?」

 

 

ジョナサン「そう。今ここにいる僕や、君が扱うスタンド能力なんかもそう。全ては君に宿る不思議な精神の力が、本来なら存在しえない僕達を存在させているんだ。でも本物とは少し違う。僕達の存在は君を仲介してるからこそあるのであって、つまりは本物であって本物では無いんだ」

 

 

 

譲信「………?あー…よく分かんね」

 

 

 

ジョナサン「ハハ…複雑で何かゴメンね?でも大丈夫、肝心なのはそこじゃあない。肝心なのは、君がここへようやく来ることが出来た…という事なんだ」

 

 

 

譲信「ふぅん?」

 

 

 

ジョナサン「君は一つ、自身に課せられた試練を乗り越える事で、気付いてないだろうけど大幅に成長したんだよ。君の精神はより強く、ハッキリとした物となり、この場所を見つけ、たどり着く事が可能となったんだ」

 

 

譲信「…俺の全ての源となる場所か!」

 

 

ジョナサン「そう!僕は…僕達はここでずっと君を待っていたんだ。君に直接会って、君に託したい物があったんだよ!」

 

 

譲信「僕達………?」

 

 

譲信はジョナサンの言った“僕達”という言葉に疑問を覚えた。

まるで、ジョナサン以外にも複数の誰かがいるような…そんな物言いに、突っかかざるを得なかった。

 

 

???「フン……ジョナサン。そういうのは、最初に言っておくべきだぞ……」

 

 

譲信「ッ!!?」

 

 

 

 

その時また何者かの声が聞こえてきた。

ジョナサンのすぐ隣で、モヤモヤと浮いていた雲が晴れていくと同時にそこから、声の主が現れた。

 

 

その者の姿を見て、譲信はまたもや固まってしまう。

 

 

ジョナサン「あ、いけない…!ゴメン、ゴメン、すっかり忘れてたよ………」

 

 

 

譲信「おいおいおいおいおい………マジで!?マジで!?こんなアツい展開あるのかぁッ!?……だって……アンタは間違いねぇ…………」

 

 

 

ジョナサン&譲信「DIO(ディオ)!!

 

 

 

見間違う筈も無い。

ハートをあしらった装飾…黒い全身タイツ…黄色い服装……。

間違いようもない。

ディオ・ブランドー!!またの名をDIO!!

悪のカリスマと呼ばれし男がそこにいた!!

 

 

 

DIO「フン……貴様が空条譲信か……チィ…忌々しい。あの承太郎と同じ名を持つ者が、このDIOの“世界”を扱うとは……全くもって忌々しいぞ……!!」

 

 

 

ジョナサン「全く…いい加減、僕の子孫の事を悪く言うのは止してくれないか?ディオ…確かに良い思い出が無かったのかもしれないけど、今は住む世界も事情も全く違うじゃあないか。いつまでも引き摺ってちゃあ先に進まないよ?」

 

 

 

DIO「ム!!お前に言われずともそれくらいは分かっているジョナサン!!いくらお前といえどもこのDIOに説教するなんて事は許さんぞぉッ!!」

 

 

 

譲信「ほえー……………」

 

 

 

譲信はジョナサンに怒鳴りつけるDIOをジーッと眺めていた。

 

 

 

DIO「ムゥ…?何を見ているのだ…譲信。何故このDIOをそんな間抜けなツラでずっと見ている…?」

 

 

 

そんな譲信にDIOは腕を組みながら声を掛ける。

 

 

 

譲信「スゲェー…本物のDIO様だ…!!」

 

 

 

DIO「…!!………ほほう……………」

 

 

 

本物のDIOに会えたことに実はかなり感激していた譲信。

自分よりDIOの登場で喜ばれてると気付いたジョナサンは少しがっかりし、自分の登場で喜んでいると気付いたDIOは少し機嫌を良くしながら譲信に近付く。

 

 

 

DIO「どれ……譲信……ひつとこのDIOに忠誠を誓ってみないか…?お前はこのDIO程では無いが…“世界”やその他のスタンドの扱いは充分に優れている。どうだね?…君のその才能を…このDIOの為に使ってみる気は無いか…?」

 

 

 

譲信「お……おぉ……!!」

 

 

 

本物のカリスマ。

それを身近で感じる事が出来た譲信はさらに感激する。

一人のジョジョラーが味わうには余りにも素晴らしすぎる、サービスに人生最大に近い喜びを感じていた。

しかし、ジョナサンはあまり良い気にはなっていなかった。

 

 

 

ジョナサン「譲信くん。ディオはね、君が来るまでは上半身裸でその辺に寝そべってグータラしていたよ。君が思うほどのカリスマじゃあないんだよ」

 

 

 

DIO「WRYYYYYYYYYY!?ジョナサーーーン!!」

 

 

 

DIOは顔を真っ赤にして怒りながらジョナサンに詰め寄る。

 

 

 

DIO「おいジョナサン!!お前はこのDIOに一体何の恨みがあると言うのだッ!?何故このDIOの印象を悪くするような事を言うッ!?」

 

 

 

ジョナサン「心当たりならたくさんあるだろう?それに、今の君がいつまでもそんなカリスマ続けられる訳が無いじゃあないか……素直になりなよ」

 

 

 

ジョナサンはニッコリと笑いながらDIOの肩をポンポン…と叩いた。

DIOは………さらに不機嫌になった。

 

 

 

DIO「WRYYYYYYYYYYYYYYY!!もう怒ったぞッ!!もうどうなっても知らないからなッ!!」

 

 

ジョナサン「どうなるんだい?」

 

 

DIO「ハッ!!しばらく再起不能になってもらうぞォ!!世界(ザ・ワールド)時よ止まれぃッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シィィィーーーーーン……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

DIO「…………ハッ!?」

 

 

ジョナサン「やっぱり忘れてたんだ……ここじゃあ君のスタンド“世界”は使えないんだよ………対して“波紋”は技術だから僕は“波紋”を使う事ができる……」

 

 

 

ジョナサンは波紋エネルギーはバチバチと鳴らせながら、分かりやすくDIOに拳を突き出した。

 

 

 

DIO「WRYYYYYYYYYY!?よ…よせ!!ジョナサン!!このDIOが…このDIOが消滅してしまっても良いと言うのかーッ!?」

 

 

ジョナサン「君が素直に謝るなら考えてあげなくもないけど?」

 

 

 

DIO「何だとッ!?このDIOが謝るだとぉッ!?何故このDIOが謝らなければ……!!」

 

 

ジョナサン「じゃあ……残念だけど………波紋疾走(はもんオーバードライブ)!!

 

 

 

DIO「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!?巫山戯るんじゃあ無いぞッ!!」

 

 

DIOは波紋なんてくらったら一溜まりも無いとばかりに、全力で走って逃げ出す。

しかし、何かのスイッチが入ったジョナサンは逃がすまい…とそのDIOを追う。

 

 

 

譲信「ど………どーなってやがんだ………?……ジョナサンに……DIOだと………?」

 

 

 

譲信は追いかけっこみたいな事をしているジョナサンとDIOを、目をパチクリさせながら見ていた。

 

 

 

ジョナサン「ディオォォォォォォ!!君に追いつくまでッ!!追いかけるのを辞めないッ!!」

 

 

 

DIO「ジョナサン!!こっちに来るんじゃあないぞぉぉぉぉッ!!………ム!待てィジョナサン!!本題を忘れているぞッ!!」

 

 

 

ジョナサン「あ!…そうだったね」

 

 

 

DIOが譲信の方を指差すと、思い出したようにジョナサンは立ち止まり、譲信の元まで駆け足で戻る。

 

 

 

 

譲信「原作崩壊……原作崩壊……原作崩壊……原作崩壊……因縁……血統……運命……宿命……」

 

 

 

ジョナサン&DIO(うわぁ……)

 

 

 

すっかり頭がパンクしてしまい、何やら呪文のように唱えている譲信を見て、ジョナサンもDIOも立ち止まってしまっていた。

 

が、DIOに無理矢理背中を押され譲信の前に飛び出てしまったジョナサンは、意を決して譲信に語り掛ける。

 

 

 

ジョナサン「あーえと……ゴホン!譲信くん。それで…さっき僕が言ってた“君に託したい物”についてなんだけどね……?」

 

 

 

譲信「うぉぉ!?え?……あ……うん。何だ?」

 

 

 

ジョナサンに話し掛けられて、ようやく我に返った譲信。

無事に話しが続けられると分かったジョナサンは、ホッ…とため息をついてから話し出す。

 

何やら、とても大事な事を言われそうな雰囲気なので譲信も気を引き締める。

 

 

 

ジョナサン「大切な事だからよく聞くんだよ……今から僕達は君に、“魂の権利”と“力の記憶”を託そうと思う」

 

 

 

譲信「魂の…権利?…力の記憶……?」

 

 

 

ジョナサン「そう。“魂の権利”とは、僕とDIO、僕達二人の魂の所有権を完全に君の物とする事だ。そして“力の記憶”とは、僕達二人と、ここに来れなかった者達全員の力を君一人分の力に換える事だ。つまり、分かりやすく言うと、僕達の目的は君をパワーアップさせる事なんだよ」

 

 

 

譲信「はぁ!?なんで俺にわざわざそんな事を?…何か得でもあるのか?」

 

 

 

DIO「得ならあるさ」

 

 

 

譲信「え!?」

 

 

 

DIO「お前が強くなれば強くなるほど、それだけ私達の存在もこの世界での本物に近付いて行く。本物に到達する事が出来たなら、私達は晴れて自由な存在へと成れるのだ。精神体から実体へとな……一先ずお前に“魂の権利”をくれてやるのは、その方がより自由に動けるから…ただそれだけだ」

 

 

 

ジョナサン「まぁ僕としては、君にもう全て託して消えてしまっても良いんだけれど…流石に今の君のままじゃ負担がすごく大きいからね…取り敢えずはしばらくの間、守護霊みたいに君を見守ったり、手助けしたりしようと思ってるよ」

 

 

 

譲信「あぁ…成る程ね」

 

 

 

ジョナサン「さぁ最後に選ぶのは君だ。君の答えを聞かせてくれないかい?」

 

 

 

ジョナサンとDIOに見つめられ、譲信は決めなければならなかった。

面倒事は多分増えるかもしれない。

しかし、譲信はそう長く悩む事は無かった。

 

 

 

譲信「良いぜ。有難く受け取るわ。迷った時には取り敢えず…YESな方を選んどけば、まぁまぁ良いことがあるもんだしな」

 

 

 

堂々と、胸を張って、実に爽やかな笑みを浮かべて譲信は言い切った。

その心には一切の迷い無く、青天の青空のように澄み渡っていた。

 

 

 

DIO「ハン……もう少し時間をかけると思っていたが……面白い奴め………フム。気に入ったぞ…!!このDIOの力全て、持っていくが良いッ!!」

 

 

 

ジョナサン「ありがとう!!僕達の全て…受け取ってくれ…!!譲信くん…今度は君が、物語を紡ぐ番だよ!!」

 

 

 

ジョナサンとDIOと譲信の手が重なり、そこから光が溢れ出す。

それは一気に空間全体を覆うほど眩しくなり、光の中にジョナサンとDIOも飲まれていく。

 

 

 

譲信「俺もいよいよ奇妙な主人公か……面白れぇ!!生涯現役、全うしてやらぁ!!」

 

 

 

最後に、譲信の気合いにたっぷり満ちた咆哮が、空間に広がった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信「………………がっ!?」

 

 

 

譲信は目を覚ます。

しかしそこは、自宅兼事務所でもある部屋の天井とは全く違う場所だった。

目が痛くなるくらいの真っ赤な内装。

お世辞にも趣味が良いとは言えない。

 

 

そして、体が何故か重く、鈍い痛みが走っている。

自分の体に目を向けると、何故か全身包帯グルグル巻きだった。

 

 

譲信「え………………!?」

 

 

 

一体何があったのか……確か異変の時には傷は全て再生していたし、こんなボロボロになってる筈が無い……。

取り敢えず譲信は記憶を漁ってみる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……………今朝……………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信「ふぁ~………明け方帰りだったから全然眠れなかったぜぇ………」

 

 

今朝の8:00。

今日は休業ということで、少し遅めに起きるが、異変解決でのゴタゴタがあり結局眠れたのは今朝の4:50分頃だったのでかなりの寝不足だった。

 

 

本当はもっと寝ていたかったが、譲信にはまだやらねばならない仕事があった。

そう…霊夢達は異変解決だけが仕事だったが、譲信はその後の、異変を起こした側の調査を行い、紫に報告書を作成して渡さなければならない…という面倒臭い仕事が残っていたのだ。

 

 

譲信「誰かいるかぁー?こいし助手ー?藍しゃまー?」

 

 

譲信は能力を使い、一瞬で着替えを済ませ、下の階に降りる。

誰かいないか…と声をかけるものの、誰も居ない。

こいしは休業日は何処ぞへと消え、藍は今日は来ない…そういう感じだった。

 

 

譲信「……誰もいねぇーな。やれやれ…何を食うか…」

 

 

吸血鬼化は既に解除され、普通の人間に戻っている為、人並みに腹は空く。

家中を漁った結果、見つかったのはリンゴ一個だけだった。

 

 

譲信「リンゴ♪リンゴォ♪ロードアゲイン♪男の世界へよ~うっこそ♪」

 

 

譲信はリンゴにむしゃぶりつきながら、変な歌を歌って外へ出る。

鍵をしっかり掛けて、いざ出発!!

目指すは紅魔館だ!!

 

 

 

 

………ここまでは普通だった。

特に人里の中でなんて、何の問題も起こる筈が無いのだ。

譲信は記憶を少し“キングクリムゾン”して飛ばしてみる。

 

 

 

 

 

 

~~~~キングクリムゾン!!~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信「雨のようなエメラルド砂漠に降れば~♪愚者名乗る勇者♪見せる蜃気楼♪闇の~気配を~波紋の茨~♪復活の為~♪選ばぬ手段~♪無垢な生き血を~求め彷徨う~♪歴史に打つ楔スタープラチナ~~~ム♪」

 

 

 

 

 

今日も上々に歌なんかを歌って、譲信は人里の外を呑気に歩いていた。

この時間帯は妖怪が少ないのか、夕方ほど襲われる事は無かった。

 

 

譲信「しっかし、また紅魔館に行かなきゃいけね~のか~………全員の傷と壊した物全部、綺麗に直したとは言え……やっぱりこう間もなくまた訪れるってのは……なーんか気が引けるぜ……訪ねて来て、嫌な顔された瞬間俺は多分一生外に出れねーぞ………」

 

 

何より、今更になって笑いながら襲い掛かって来たフランの顔が頭から離れなくなり、しっかりと譲信の脳裏に焼き付いた恐怖映像みたいになっていた。

なんか夢でもフランにレーヴァティン振り回しながら追いかけられてたような………そんな気がしてならない。

 

 

譲信「よーく考えりゃあオバケ屋敷よりもたちが悪い場所じゃあねぇか……おっかねぇロリ吸血鬼二名…90%DIO様メイド…カンフー中国製門番…むきゅむきゅヴォルデモート…戦力外ミニデビル…その他モブ枠……オバケよりも怖ぇーよ」

 

 

譲信は重くなっちゃった足を引き摺るようにして、だらだらと紅魔館に向かう。

しかし、時は残酷。

なんとまぁ呆気なく…アッという間に紅魔館すぐ前の湖まで来てしまっていた。

 

 

この湖はたしか、氷の妖精…チルノとかいう奴の縄張りだった…という事を譲信は思い出した。

そこで譲信は考えた。

 

 

譲信(ワンチャンここでよ……縄張りに勝手に入られてブチ切れたチルノって奴に本気で戦ったふりして…わざと負けて大袈裟に重傷負っとけば……サボれるんじゃね?俺天才かよ…!!)

 

 

そうと分かれば話が早い。

譲信はデン!!と構えてわざわざ目立つような場所に立った!!

 

 

譲信「さぁ来いッ!!この俺を倒しに来いッ!!」

 

 

 

 

5分後………

 

 

 

 

 

 

15分後………

 

 

 

 

 

 

30分後………

 

 

 

 

 

 

 

 

来ないッ!!

圧倒的来ないッ!!

いくら待っても泣いても怒っても、チルノなんて奴は現れる事が無かった!!

 

 

譲信「何故だ!?何故なんだ!?」

 

 

それもその筈だ…この時チルノは友達の大妖精達と共に、人里の寺子屋で授業を受けていたのだから………。

しかし…そんな事を譲信は知るはずも無い。

あと少し待てば出てくるだろう……なんて淡い期待を込めながら来るはずの内容チルノを待ち続ける。

 

 

 

……やがて、譲信を呼び止める存在が現れた。

しかし、それはチルノなんかじゃあ無かった。

 

 

 

 

 

咲夜「あら?……貴方は確か空条譲信さん…でしたか?」

 

 

譲信「……え?」

 

 

 

現れてしまった。

ついに現れてしまったのだ。

紅魔館メンバーの一人、十六夜咲夜に。

 

紅魔館のメイド長、十六夜咲夜。

異変では油断した所を譲信に瞬殺され、紅魔館メンバーでは最も軽症で済んだ人物である。

ちなみに重傷1位は紅美鈴である。ハッキリわかんだね。

そして2位は意外にもパチュリー・ノーレッジである。

と言ってもほとんどが持病の悪化…による物だったが。

 

 

咲夜「こんな所で何を…?もしや、紅魔館に何か忘れ物ですか?」

 

 

譲信「あー…えっとですね」

 

 

譲信は咄嗟に適当に誤魔化してしまおう…と考えたが、どうせ無駄だろう…とすぐに諦める事にした。

見つかってしまったからには覚悟を決めなければならない。

譲信は意を決して事情を話すことにした。

 

 

譲信「実は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(説明中…キングクリムゾン!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「成る程…賢者からの依頼で私達紅魔館の住人の調査……ですか」

 

 

咲夜は納得したように顎に手を当てて頷く。

 

 

譲信「ほんと異変直後に押しかける形になってすまねぇ…断れるなら俺も断ったんだが……俺も立場的にヤバくてよ……マジですまねぇ!!」

 

 

譲信は申し訳なさそうに頭を深々と下げた。

そんな譲信の行動に、思わず咲夜は慌てる。

 

 

咲夜「え!?ちょ、ちょっと!!頭を上げてください!!譲信さんが謝る事ではありませんよ!!異変を起こしたのは私達なんですから…これも仕方ない事です。それに…あの後、お嬢様も妹様ももう一度、貴方に会いたかった…と仰られていましたから、きっと歓迎なされる筈ですよ」

 

 

譲信「あー……嫌じゃないんすか?俺が来るの」

 

 

心配そうに訪ねる譲信に咲夜は微笑んで答えた。

 

 

咲夜「そんな事ありませんよ……誰も嫌だとは言わないと思いますよ」

 

 

譲信(……………ホッ……)

 

 

その言葉を聞いて、譲信はようやく安心した。

嫌がられさえしなければ、後は適当に上手くやれば簡単な仕事だ。

思ったより無難に行けそうだ…と。

 

 

咲夜「では行きましょうか。お嬢様から許可を頂だかなければいけないので、少し門前で待って貰う事にはなりますが……」

 

 

譲信「あーOKOK。全然大丈夫だぜ。適当に待たせて貰うわ」

 

 

譲信は咲夜と共に、紅魔館の門前まで向かった。

 

 

 

 

 

美鈴「Zzzz………」

 

 

 

そこでは、美鈴がとても気持ち良さそうに眠っていた。

異変の時とは違い…どうやらガチ寝だった。

 

 

 

譲信「……すげー……職務怠慢だ……」

 

 

咲夜「……ふぅ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜は無言で、寝ている美鈴の頭にナイフを突き刺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美鈴「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?さ……咲夜さんッ!?と……譲信さんッ!?」

 

 

譲信「ど……ども……(え?この人仲間にナイフ刺したよ!?うーわ……怖………)」

 

 

譲信と咲夜は同時に怯えた目で咲夜の事を見る。

どちらも似たような恐怖を咲夜に抱いていた。

 

 

咲夜「それでは……少々お待ちください。譲信さん」

 

 

譲信「ア………ハイ」

 

 

笑顔で話し掛けてきた咲夜に、ぎこちない返事を譲信は返す。

すると、咲夜は時を止め紅魔館の中へと入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信(あれ?ここまで別に怪我するような事起こって無くね?……なんか記憶ももうちょいで終わりそうな気がするし………あれぇ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信はちょっとだけ時を進めてみた。

レミリアから許可出たようで、咲夜に紅魔館の中へと通して貰う。

痛みに涙する美鈴の顔が地味に忘れられない。

 

記憶ももうすぐで終わりそうだった……。

 

 

 

 

 

 

咲夜「ようこそ紅魔館へお越しくださいました……それではどうぞ中へ……」

 

 

譲信「お邪魔しまーす……」

 

 

咲夜によって紅魔館の扉が開かれていく……。

そんな時、扉の向こう側から何やらドタドタドタ…という、何かがこちらに向かって来るような足音が聞こえた。

 

 

譲信(ん?)

 

 

そして扉が開かれると同時に………飛び出たのは…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラン「お兄様ーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランだった…。そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドッゴォォォ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信「ぐぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランの全力タックルを腹に真面に受けてしまった。

繰り返すが、今の譲信は普通の人間だ。

そんな奴が子供といえども、吸血鬼の全力タックルをくらえばどうなるのか………お分かりだろう…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドグァァァァァン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信は派手にぶっ飛び、紅魔館の門まで吹っ飛ばされ、門をぶち抜く。

距離にして80~200m…それくらいの距離まで吹っとんだ。

 

もはや意識は無い。

全身複雑骨折。

命なんてあったら奇跡。

 

 

咲夜「い…妹様!?じょ……じょじょじょ…譲信さん!?」

 

 

美鈴「譲信さぁぁぁぁん!?」

 

 

フラン「い………いやぁぁ………お兄様ぁぁぁ!?」

 

 

譲信(うそぉん………フラン………お前……)

 

 

最後に薄れ行く意識の中、三人の悲鳴のような声を聞きながら、譲信は瞳を閉じた。

そして冒頭での精神世界へ行き着き、目を覚まして、今に至る……。

ここは…紅魔館の何処ぞの一室だった……。

 

 

 

 

 

譲信は全て…思い出した………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!もうお家に帰りたぁぁぁい!!ラスサバやっていたぁぁぁいぃぃぃ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信の叫び声が紅魔館に大変よく響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……………ここは人里から少し離れた外の何処か)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖怪1「ハァ…ハァ…ハァ…有り得ねぇ…!!有り得ねぇ…!!なんなんだよぉぉ……あの人間はなんなんだよぉぉ!!」

 

 

1匹の妖怪が何者からか逃げていた。

その何者かの正体は、妖怪の台詞からして人間のようだった。

 

 

 

妖怪1「おかしいと思ったんだよぉぉ…人間が一人で人里の外を歩き回るなんて……普通ならおかしい事だったのによぉぉぉ………ちくしょぉぉぉ…!!」

 

 

 

数分前、この妖怪は人里の外を出歩く人間を見つけた。

久しぶりのご馳走だ!!

と、大喜びで飛びかかった。

しかし……突如男の背後から現れた何者かに殴られ、酷い怪我を負ったが、何とか体が動き、命からがらその場から逃げ出した。

 

しかし、その人間かなり執念深いのか、背後の何者かと共に何処までも、何処までも、妖怪を追いかけてきた。

そして誰の目も届かないような森の中まで来てようやく、妖怪は逃げ切れたと…一息ついていた……。

しかし………

 

 

 

 

 

 

 

 

???「やっと見つけたよ……ふぅー……随分と手間をかけさせてくれたじゃあないか……」

 

 

 

妖怪1「ひ……ひぃぃ……!?何なんだよ……何でそんなに俺のことを追いかけてくるんだよぉぉ!?」

 

 

 

妖怪は怯えて、男から距離を取ろうとするが、恐怖で体が思うように動かない。

 

 

 

???「何で?……決まっているだろ?…君は私を殺そうとした……一度自分を殺そうとした相手を……みすみす見逃すような善人がそうそう居るだろうか……?いいや、居ないね……」

 

 

男はゆっくりと妖怪の回りを歩き出す。

 

 

???「この幻想郷に生まれて数十年…私は常に心の平穏を願い、勝ち負けにこだわったり、頭をかかえるようなトラブルには関わらないようにしてきた……激しい喜びもなければ、その代わり深い絶望もいらない……植物のように平穏に生活する事が私の唯一の願いなのだよ…分かるかね?」

 

 

妖怪1「あ……あ…………」

 

 

???「つまり一度私を殺そうとした君の存在は私にとって大きな“トラブル”という訳だ…。また襲われるかもしれない…という恐怖に怯えながら過ごすのは…平穏な暮らしとは程遠い事なのだよ……」

 

 

妖怪の周りを一周してから、男は再び妖怪の少し離れた正面の場所に立った。

 

 

???「だから今から君を始末させて貰う…。今夜も安心して布団の中でグッスリと眠れるように……ね」

 

 

 

 

ドドドドドドド……

 

 

 

 

 

妖怪1「よ、寄るなぁぁぁ!!来るなぁぁぁぁ!!俺に近寄んじゃねぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 

妖怪は必死に大声で叫んだ。

しかし、男は特に表情を変えたりする事は無かった……。

 

 

 

???「近付く……?そんな事言われなくてもしないさ……君は既に始末されているのだから…」

 

 

 

妖怪1「……え?」

 

 

 

そう言い残すと男は背を向けて元来た道を引き返し始めた。

呆気に取られる妖怪……しかし次の瞬間…

 

 

 

 

カチッ…ドッグォォォン!!

 

 

 

 

???「私がわざわざここまで来たのは……この目で直接君の死を確認する為…ただそれだけさ…」

 

 

 

 

妖怪の体は木っ端微塵に消し飛んでしまった。

断末魔の悲鳴を上げるような暇も無いほどの、一瞬の出来事だった……。

 

 

 

 

 

???「尤も……この幻想郷に生まれた時点で……平穏な暮らしとは随分と程遠いんだがね………お陰で毎日……深い絶望を抱くハメになっているよ……だが私は諦めないぞ……必ず平穏に暮らしてみせる……必ず……ね………」

 

 

 

男は片手に持っていた矢を握りしめ、そう呟いた……。

 

 

 

 

TO BE CONTINUE………

 

 

 

 

 

 

 




うちの近所のTSUTAYA…何故かジョジョの漫画、6部だけ置かれてないんですよね……。
予約しないと購入出来ないんですよ(笑)
かなり面倒臭いです(笑)
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