申し訳ない。
休みが明け、忙しくなったのと、なろうでまた新しい作品を出すために執筆中なのです…。
しかし、その間も感想をたくさんの人に貰えて、めちゃくちゃ嬉しく思っております!!
リアルは頑張る。なろうも頑張る。この作品も頑張る。
どれもやらなくっちゃあならないのが幹部(なんのだよ?笑)の辛い所です…!!
空条譲信は、ようやく意識を取り戻し、全てを思い出した。
そして、譲信は叫び声を上げた。
譲信「いででででででーーー!?」
譲信は全身を駆け巡る激痛に、目に薄らと涙を浮かべた。
咲夜「譲信さん!?」
そこへ咲夜が慌てた様子で部屋の中へ入ってくる。
譲信「あが……が………ひ……ひでぇー目に合ったぜ…」
一先ず一命は取り留め、命に別状は無い譲信の様子を見て咲夜はホッ…と胸を撫で下ろした。
咲夜「ホッ………手当が間に合って本当に良かったです……。譲信さん、何があったか覚えていますか?」
譲信「覚えてるも何も……今さっき全部思い出したぜ………痛つつ………で、フラン。いつまでそこに隠れてんだよ?」
譲信がそう言うと、フランが少し震えながら隠れていた咲夜の後ろから出て来た。
譲信は自力では起き上がれない為、スタンドの力を借りて、体を無理矢理起こし、フランと目を合わせようとする。
しかし、フランは俯いたまま譲信と目を合わせようとはしなかった。
譲信「……フラン?」
フラン「……………ッ!!」
フランの足元に水滴が落ちる。
フランが顔を上げると、その瞳からは大粒の涙が溢れ出ていた。
フラン「ごめんなさい!!ごめんなさい!!フランのせいで…フランのせいで大怪我させて……本当にごめんなさい!!……うわぁぁぁん……!!」
咲夜「妹様……!!……譲信さん…お願いします。どうか妹様の事を許しては頂けないでしょうか……?」
フランと咲夜は、必死に譲信に頭を下げる。
特にフランに限っては、もう見てもられないくらいに、震え、泣きながら頭を下げていた。
そんな二人の様子を見て、譲信はしばらく呆気に取られていたが、やがて短くため息を漏らすとベッドから静かに降りた。
………そう、降りたのである。
譲信「おいおいおいおい……お二人さんよぉ。大怪我ぁ?そりゃあ一体何の事だぁ?訳が分かんね~な~」
咲夜「で……ですから、妹様のせいで………て、え!?」
フラン「……………ッ!?え!?」
咲夜とフランは同時に驚く。
何と、全身傷まみれ、包帯まみれ、複雑骨折で動ける筈が無かった譲信が元のピンピンした姿で目の前に立っていたからだ。
二人は目を見開いてしばらくそこに固まってしまう。
譲信「良いか~?俺は怪我なんてしてねぇ…それが今の“真実”だ。…それにだフラン。お前は泣くより少しは喜んだらどうなんだ?」
フラン「……え?」
譲信が一体何を言ってるのか理解出来ない……。
そんなフランの頭を譲信は優しく撫でた。
譲信「考えてみろよ~。お前は幻想郷に来て、数々の強敵達とやりあって未だ無敗のこの空条譲信様に初めて勝つことが出来た存在って訳だぜ?だから笑っとけ♪その方が俺も張り合いが出るってもんだ!!」
そう言うと譲信は愉快そうにカッカッ♪と笑った。
微塵も怒ってるような素振りも気にしてるような素振りも無かった。
フラン「お兄様………」
その時フランは静な声で呟いた。
譲信「………アン?」
そして譲信は辺りをキョロキョロと見回す。
譲信「フラン、お前には兄貴もいたのか?そのお兄様って奴は何処にいるんだよ?異変の時には見掛けなかったから挨拶ぐらいしとかねーとな」
咲夜「あ……あのー…譲信さん。その……妹様がお呼びになっているのは……」
咲夜が何かを言い終わる前に、フランは譲信に飛びついた。
ただし、今度は譲信は吹き飛ぶことなく、ちゃんと力加減も調整されていた。
譲信「………!!?」
フラン「お兄様ーーー!!」
譲信「………。……えぇぇぇぇーーーーー!?」
フランは譲信に飛び付き、お腹辺りに顔を埋め、すりすりしてくる。
流石に譲信にも分かった。
譲信「俺の事かよぉぉッ!?」
フラン「そうだよ?…エヘヘー…お兄様~♪」
譲信「何で……!?何で……!?」
助けを求めに咲夜の方を見るも、咲夜に視線を逸らされ、譲信は軽く絶望した。
フラン「だってお兄様はフランとお姉様の事を助けてくれたし、今もフランの事を笑って許してくれたし、強いし、カッコイイし……だからお兄様はフランのお兄様なんだよ♪」
譲信「お………う……(いやいや理解不能!!理解不能!!何だよこの状況は!?マズイぞ……これじゃあロリコンって勘違いされる率が高いぞ!?何とかして…フランを引き剥がさねば…!!)」
譲信「フ…フラン……落ち着こうな!!」
譲信はフランの両肩を掴んで、引き離そうとする。
ところが
フラン「え………?嫌なの………!?」
フランは今にも泣きそうな顔で譲信の事を見上げた。
譲信「ア……スイマセン……ツヅケテクダサイ……(無理……流石にこれ以上は泣かせられねぇ……落ち着け…落ち着くのはお前だ譲信……たかが子供じゃあないか!!…そう、普段通りやましい心の無い俺でいれば、何も問題は無いのだ!!)」
譲信は必死に自分に言い訳を言い聞かせるが、そんな事で状況は変わりはしない。
フランを引き剥がそうとした結果、更にフランにホールドされてしまう形となった……。
そんな時だ。
譲信の頭の中で、中々の年層のとある男の顔が浮かび上がってきた。
え……誰だ……?
と、譲信が戸惑う中…頭の中に現れた男は、譲信に言葉を送る。
『何?フランが離してくれない…?それは無理矢理引き剥がそうとするからだよ………逆に考えるんだ。抱きつかれても別に良いさと………』
譲信(え…………マジで言ってんの?)
それだけ言い残して、譲信の頭の中から男は消えていった……。
譲信はフランを見下ろす。
……相変わらず抱きついたままだ。
譲信(………やるしかない……)
普通の人間ならば、いきなり幼女に抱きつかれ、周りに勘違いを生みかねない状況ならば、すぐさま全力でその幼女を引き剥がそうとするだろう。
しかし!!この空条譲信は違った!!
なんと、この空条譲信は逆にフランをさらに引き寄せたのだ!!
頭の中に出てきた男の言葉を信じたのだ!!
フラン「え…え…?お兄様…?」
するとどうだろう…フランの顔はみるみる赤くなり、譲信をがっちりホールドしていたその力は一瞬、完全に抜けて譲信は自由が効くようになった。
その一瞬をこの空条譲信は見逃さない!!
譲信「“
ドォーーーーーーーーーン!!
譲信は“世界”の能力を使い、瞬時に時を止めた。
そして、無事にフランの拘束から抜け出し、止まったこの世界を認識出来ている咲夜の隣まで移動する。
譲信「………よくも見捨ててくれたな。ド~モアリガト~スバラシイココロガケデスネ~…」
と、言いながら譲信は明らかに恨みの感情が籠もった目で咲夜を見つめた。
咲夜「申し訳ありません……私めの立場上、嫌がる妹様を無理矢理引き剥がす事は出来ませんので……」
咲夜は本当に申し訳なさそうに譲信に頭を下げていた。
そんな咲夜の謝罪を受けて、譲信は少し拗ねたように咲夜に声をかける。
譲信「別にもう良いですよーだ。…あと8秒しかない。俺は今から遠くに逃げるから、時が動き始めたらフランのお世話はよろしく頼んだぜ~」
言うなり譲信は駆け出して部屋から出て行く。
咲夜「え!?待ってください!!そんな事したら妹様がぁーー!!」
咲夜は譲信を呼び止めるべく、必死に叫ぶが譲信は知らんぷりをしたまま走り続けた。
何せ時間が短いのだ。
相手はフランだ。
下手に中途半端な距離ではすぐに追いついてきて、今度こそ絶対に離してはくれないだろう。
譲信も譲信で命懸けの逃走だったのだ。
譲信「うおぉぉぉぉぉぉ!!後2秒!!どうするぅぅぅぅぅ!!」
その時、角を曲がった所で扉が見えた。
時間ももう無い。
譲信はそこの部屋に隠れて何とかやり過ごそう…と考え、その部屋の中に飛び込んだ。
譲信「ハァー…ハァー…時は…時は動き出す……!!」
それと同時に時は動き出した。
譲信「へ……へへへ……逃げおおせてやったぞ……!!」
レミリア「うー……うぅーん……ムニャムニャ……しゃくやぁ…?」
譲信「ッ!?」
譲信はその場に固まった。
今、聞こえた声は……聞き間違いでなければレミリア・スカーレットだ。
しかし……何だ?
やけにムニャムニャしたような眠たくなる声は。
譲信は部屋の様子をゆっくり観察する。
カーテンが閉まっており、薄暗い部屋。
机や椅子……等があり、それと………大きなベッドがあった……。
そして、そのベッドの上で半身をムクリと起こしたレミリアと譲信は、しっかりと目が合ってしまった……。
譲信「…………」
レミリア「…………」パチクリ…
譲信「…………」
レミリア「…………」オメメパチパチ……
譲信「…………」
レミリア「…………」ジー…
譲信「…お……お邪魔してまぁ~……す……」
レミリア「さ…………」
譲信「さ…?」
レミリア「さくやぁぁ!!さ…ムグ!?ムググー…!?」
大声で咲夜を呼ぼうとしたレミリアの口を、譲信はすぐさま手で塞いだ。
今現在、譲信は非常に焦っており、冷や汗が出ていた…。
譲信「シーッ!!やめろ!!やめてくれ!!今は誰も呼ばないでくれ…!!あんたの妹に見つかったらヤベーんだよぉ……………」
レミリア「ムググ…モゴモゴ……ウー☆!!」
少し苦しいのか、レミリアは譲信の手をペチペチと叩きだす。
譲信「ア……悪ィ。じゃあ手を離すけど……叫ばねーな?」
レミリア「ウー!!ウー!!」
レミリアはコクコクと頷いた。
譲信はならよし!とレミリアの口を塞いでいた手を離した。
レミリア「プハッ…!!一体何があったのよ…!?…というか貴方…大怪我してベッドに運ばれていたんじゃ……?」
譲信「手短に説明するッ!!」
いきなり部屋に現れ、いきなり口を塞いできた、不審すぎる譲信に向かって怒るレミリアを、譲信は宥める事もせずに理由を説明し始めた。
(譲信説明中……長いぞッ!!キングクリムゾン!!)
レミリア「……つまりはフランが貴方に、相当迷惑を掛けている…という事ね……はぁ……」
譲信「EXACTLY!!」
一連のフランとのやり取りを聞いて、レミリアはため息をついた。
自分が寝ていた…たった数時間の間に、よくもまぁややこしい状況になったもんだと呆れていたのだ。
レミリア「色々とフランが迷惑を掛けたようで…悪かったわね。私からフランにはきつく言っておくわ。それより、本当に怪我は大丈夫なのよね?」
譲信「勿論!!このとぉ~りピンピンしてるぜ~!!」
譲信は両手を大袈裟に広げて無傷を主張してみせた。
レミリア「どうやら本当に治っているようね……流石に驚いたわ」
あれだけの怪我を一瞬で治せてしまう能力にも驚きだったが、レミリアが何より最も驚いていたのは、全身の骨がほぼ砕け、内蔵もいくらか破裂した状態でも生きていた、譲信の人間とは思えぬ底知れない生命力だった。
レミリア「そうね……貴方、しばらくここから出られないのでしょう?」
譲信「ん?まぁな。次フランに見つかったら…ちょっと怖ぇし…」
レミリア「それなら少し私と話でもして、時間を潰すのはどうかしら?紅魔館の主との1対1の対談よ?調査をする貴方にとっては絶好の機会だと思うのだけれど?」
レミリアは椅子に腰掛けた。
椅子はもう一つ、レミリアの正面にある。
互いに腰掛けてゆっくり話そう…という訳だ。
譲信「良いぜ。その提案…乗った!!」
そして譲信はその椅子に腰掛けた。
レミリア「予め言っておくわね。ここでの会話は二人だけの秘密よ。誰に何かを聞かれても、決して口外しないこと…互いにね……良いわね?」
譲信「オフレコってやつだなぁ?別に構いはしね~が…一体何の話をするつもりだぁ?」
レミリア「貴方…外来人よね?幻想郷に来てからどのくらいが経っているのかしら?」
譲信「ん~…そうだなぁ……一週間は経ってんじゃあないか?」
レミリア「へえ……そう……まだ1週間なのね」
レミリアは何かに納得したように、頷きながら呟いた。
譲信が外来人というのは、異変時の口振りや振る舞い、そして幻想郷の住人とは違う戦闘方法から、レミリアは予測がついていた。
というより、ほぼ確信していた。
譲信はあまりにも異質すぎたからだ。
譲信「それを聞いて何か意味あんの?」
レミリア「あら…?貴方は少し、自分の立場を客観的に見て、何か疑問に思ったりはしないのかしら?」
譲信「疑問~~?」
レミリアにそう言われて譲信は数秒考える。
そして答えがすぐに出て来た。
譲信「そうだ…言われりゃあかなり不思議な事じゃあないか…!!」
レミリア「分かったようね。そうよ…貴方は日も浅いのに…「何故か幼女に懐かれる!!」………は?」
譲信「何故か幼女に懐かれるんだよな!!」
譲信は大真面目に答えていた。
真面目な顔で答える譲信を見て、レミリアは呆れて口をポカーン…と開いていた。
譲信「こいしにフラン…特に何かしてやってる訳じゃあないのによぉ、やたら俺に付いて回りやがるからなぁ~……ホ~ント疑問で仕方がねーよ。それに俺はロリコンじゃあねぇ……どっちかと言うと年上の、大人びた雰囲気の人が好みだ!!ただし、熟女も好みじゃあねぇ…。あくまでお姉さん系じゃなきゃあ俺は認めねぇ!!良いか…?男ってのはなぁ~格好つけたがる生き物だ。けどよ、だからこそ何処かで癒される場所を求めているんだよ。それが俺の場合はだな、」
レミリア「違うわよッ!!」
絶対長くなる。
興味も無い事を延々と語り出そうとする譲信に向かって、レミリアは叫んだ。
譲信「違うのかよぉ!?」
レミリア「どう考えても違うでしょ!?」
譲信「あぁ~?じゃあなんだってんだよ?」
レミリアは短くはぁ…と、ため息をついた。
レミリア「幻想郷に来て僅か数週間程度の外来人が何故、幻想郷の賢者八雲紫から異変解決に携わる仕事を直々に任されているのか………疑問にはならないかしら?」
譲信「……」ギクリ…
レミリアの言葉を聞いた譲信は固まってしまった。
しかしレミリアは構わずに言葉を続ける。
レミリア「そして何故、系統の違う複数の能力を有しているのか……何故、ただの能力持ちの人間であるのにかも関わらず、妖怪相手に“弾幕勝負”ではなく“真剣勝負”で挑むのか……ね」
普通の人間であるなら、例えどんなに優れた能力を持っていようとも大物妖怪相手に“真剣勝負”なんて挑みはしない。
あくまで“弾幕勝負”、命の危険を脅かすことの無い範疇に収める筈だ。
それが幻想郷というものだ。
しかし、この空条譲信という男は違った。
妖怪だろうが何だろうが、相手が何者であれ“真剣真剣”を挑んでいたのだ。
そしてその戦い方も、幻想郷の住人とはまた違った異質さがあり、例えるなら…幻想郷の住人は“あくまで勝敗を平和的に”決めるための戦いに対し、譲信のは“生き残る為の手段を選ばない”…本当の殺し合いに近い物だと…、レミリアにはそう見えていた。
レミリア「……貴方。一時は八雲紫に殺されそうになったのでしょう?」
譲信「ッ!?」
譲信は口には出さなかったが、表情は分かりやすく、何故その事を知っている!?と、言ってるのが見てとれた。
レミリア「……やはりね。という事は………成る程ね、確信に変わったわ。貴方のその奇妙な能力は……“程度”の能力とは全くの別物の能力……そうでしょう?」
どうだ?と言わんばかりにレミリアは譲信の目を見つめた。
丁度部屋が薄暗かったので、譲信にはレミリアの深紅の瞳が妖しく光って見えていた。
譲信「………全く…やれやれだぜ。ポンコツな奴だと思ってたら、実は結構勘の良い奴だったんだなぁ。……理解したぜ。トボけた所で無駄だってのが今、ハッキリとな」
譲信は降参だと言わんばかりに、わざとらしく両手を上げてから頭の後ろに組んだ。
レミリア「思ったより随分潔い良いのね?てっきりもう少し追い詰めないと認めないとばかり思っていたわよ」
譲信「無駄な事は嫌いなタチなんでな。それに、諄いのは男のする事じゃあねぇ。何より今更、バレても特に問題はねぇよ。…こんくらいの事はあの人…紫さんなら折り込み済みだろうよ。だからこそ俺をこの立場に立たせたんだ。……俺の意見は聞かずにな♪」
レミリア「という事は、いくつかは質問に答えてくれる……と受け取って良いのかしら?その能力は一体、どういった物なのか…ね。“程度”の能力とはまた異なった異能……実に興味深いわ」
レミリアは少しだけ身を乗り出す。
譲信は相変わらず、砕けた態度のままレミリアの目を見つめた。
そして口を開いた。
譲信「良いぜ」
譲信「ただし、タイマン張って俺に勝てるなら…だ。」
レミリア「…………へぇ?」
瞬間、部屋の空気が変わった。
レミリアからピリピリした気配が漂う。
しかし、強者からの威圧にはすっかり耐性がついてしまっていた譲信は、今更それにビビるような事は無かった。
譲信「俺も学んだのよ。ベラベラと人に手札を教えるのは賢い者のする事じゃあないってな。それに紫さんも仕方無い事とは言え、あまり幻想郷に俺の能力についての情報は広げたく無いだろうよ。…つーわけで、俺は俺に勝てる恐ぇ奴にしか秘密は話さねー事にしたぜ」
また雰囲気が変わる。
更にレミリアの機嫌が悪くなったようにも見えた。
レミリア「つまり貴方は………私じゃ貴方には勝てないと……そう言いたいのかしら……?」
レミリアは睨みを効かせてそう言った。
それでも譲信は微塵も動じたりはしない。
明らかにレミリアの事を自分よりは強くないだろうと、余裕を持っている態度だった。
しかし、レミリアに言われて次に譲信が放った言葉は意外な物だった。
譲信「そうは言いたくねーな。奴に勝てるとか、勝てないとか、それを決めるのは敵じゃあねぇ。自分自身だ。闘争心がある限りは牙ってのはいくらでも磨きようはあるだろうよ。レミさんよ、あんたはどう思ってんだ?あんたの本心はまだ、俺に勝てる…と言ってくれちゃあいるのか?」
レミリア「……」
レミリアは威圧を解き、少しだけ考える。
そしてすぐに口を開いた。
レミリア「…いずれは貴方を越えてやるわよ…貴方がまだこの世にいる内にね」
譲信「ならなんとかなるかもな。ただし的外れな努力はするなよ?」
レミリア「?」
譲信「単純にパワーを鍛える。能力を更にコントロールしたり、覚醒させたりする……なんて事をしてる内はロクな成長なんて出来ねーぜ?俺達は戦闘の天才じゃあ無い。恵まれた身体だとか、頭だとか、そんなモノ持っちゃあいない“ただの強い奴”なだけだ。そういう奴は一度負けたらマンガの主人公のするような努力なんかじゃあ絶対に強くはなれねぇ。インフレだとかで負けが付き纏うだけだ」
譲信「じゃあどういった努力をすれば良いのか?簡単だ。まずは自分が嫌となる程、ネガティブになっちまう程、負けた姿を思い出せ。そして考えろ。敵の何が強かったのかを。敵の何が一番マシだったのかを。その二つが分かったら次はその中間辺りのそこそこ厄介だった箇所を思い出せ。……そここそが、敵が一番不得意とする部分だ」
譲信「一番強ぇ箇所は相変わらず強ぇままだし、一番弱ぇ箇所は何かしらの対策は絶対にしやがるし、克服だってするもんだ。だが、真ん中の箇所ってのはどうやっても鍛えようがねぇ。ほらここに咲夜ってメイドがいるよな?あいつは時を止めるって一番強ぇ長所がある。だが素手の攻撃がめっちゃ弱ぇ…そういう短所があるが、そこはナイフって便利な武器でカバーしてる訳だ。その中間に位置するのは、咲夜本体が同じく止まった時の中を動けるような敵と行う体術戦だ。咲夜は身体が人間だからどれだけ足搔こうと吸血鬼であるあんたら姉妹や妖怪門番には遠く及ばねぇ。ある程度達すれば鍛えようがねーのよ。つまり、そこを突かれちまったらめっぽう弱いって訳だ」
譲信「同様に、これと同じ三パターンを持ってる奴は、強ければ強いほどに多い。そしてその箇所だけを狙うなら別に強くなんてならなくても、ある程度の策略や、知恵や、手札を増やしたりすれば、すぐに優位に立つことが出来るぜ。ガチに強ぇ奴ってのはそれを理解して、いかに自分のそれを隠し、いかに敵の本質を見抜いてそこを突けるような機転を効かせられるか……それが実戦で出来てしまう奴だ」
レミリア「……えと……な、成る程ね!!」
長い説明に少し理解が遅れたレミリアだったが、身内の従者を例にあげた分かりやすい説明の箇所から、譲信の言ってることを大体理解していた。
レミリアは改めて思う。
譲信は戦闘慣れし過ぎじゃないのかと。
言うのは簡単。
理解も簡単。
とても理屈が通っているやり方だ。
しかし行うには中々に難度が高い。
だが、これまでの譲信戦を振り返ると…成る程。確かに、相手の微妙な箇所を突き、ある程度の機転も効かせている。
一体、何をどれだけ経験すれば僅か数十年のキャリアでここまでの域に達することが出来るのか…レミリアは今度は譲信自身に興味が湧き始めていた。
譲信「さーて、理解はして貰った所で…今度は俺から話を始めるとするか」
一つ話に区切りがついた所で、唐突に今度は譲信が切り出した。
レミリア「そうね。良いわよ。答えられる範囲でならなんでも答えてあげるわ」
レミリアは少々慌てて姿勢を戻し、余裕ある威厳に満ちた態度で構えた。
譲信「すっごく単純な疑問だ。しかし、考えれば考える程に分からなくなって来る……俺は、俺という人間の想像力の限界に、ちょっとした敗北感まで感じたぜ…」
レミリア「へぇ?…一体何が疑問なのかしら?貴方がそれ程に悩む何か……逆にこっちが不思議になってくるわね……」
譲信「これは…あんたら吸血鬼でしか答えられないような……そんな物だと判断した。教えて欲しい…気になって夜も眠れやしねぇからな」
レミリア「言ってみなさい」
譲信のあまりの真剣な眼差しに、レミリアもまた真剣な気持ちで向き合った…。
譲信「服着る時、そのデカイ翼邪魔だよな?どうやってその問題解決してんの?」
レミリア「………………は」
譲信「………は?」
レミリア「はぁぁぁぁぁぁ!?」
レミリアの呆れから来る叫び声が響いた。
譲信「ちょ…!?うるせぇーー!!フランに見つかったらどうすんだぁ!?」
レミリア「知らないわよッ!!それより何よそのくっだらない疑問は!?真面目に構えて損したじゃない!?このバカ!!」
一瞬でも真剣になった自分が馬鹿らしく思え、レミリアは少しだけ不機嫌になってしまっていた。
というか段々腹が立ち始めている。
実は弄ばれているんじゃないかと……。
譲信「誰がバカだと!?つーかくだらないだと!?うるせー!!こういう微妙な疑問が案外頭にはこびり付くモンなんだよ間抜けがッ!!」
レミリア「間抜けですってッ!?誰に向かって口を聞いてるつもりよ!!」
譲信「お前だよレミべえ!!このアンポンタン!!ポンコツ姉ちゃん!!」
レミリアにバカと言われて、想像以上に腹が立っているのが今の譲信だった。
レミリア「レミべえ!?気安く巫山戯た呼び方してんじゃないわよ!!この………ロリコン!!」
譲信「ロリコンじゃあねーって言ってんだろうが!!このシスコン野郎ーッ!!」
レミリア「言ったわね!?じゃあこっちも最終手段よ!!」
譲信「何だぁ?タイマンでも張ろうってかぁ?」
譲信は拳を構えた。
が、レミリアは譲信に向かう事はせずに、部屋のドアに近付いた。
そして…
レミリア「フラーーーン!!譲信なら私の部屋にいるわよーーッ!!」
そう叫んだ。
瞬間、譲信の顔が真っ青になった。
譲信「バ……バカ!!お前…!!それはヒキョーだぞ!?」
レミリア「卑怯……?フフフフフ…実に人間臭い考え方をするのね……つくづく愚かだわ……」
譲信「何ィ!?」
レミリア「課程や方法なんてどうでも良いのよ……最終的に……勝てば良いのよッ!!」
譲信「や……野郎ッ!!」
レミリア「フフフフフ!!さぁフラン、ここへいらっしゃい!!貴女が探している男はここよッ!!」
譲信「やめろぉぉぉぉ!!」
譲信はレミリアを止めるべく、レミリアに向かって走り出す。
しかしレミリアは勝ち誇った笑みを浮かべていた。
レミリア「もう手遅れよ!!フランはすぐにここへ来るッ!!そして惨めな姿を晒すが良いわ譲信!!あなたの負__バァァン!!ぶっ!?」
譲信「ッ!?」
レミリアが煽り終わる前に、レミリアの背後にあったドアが恐ろしい速さで、物凄い音を立てて開き、ドアに直撃したレミリアは壁にめり込むようにして吹き飛ばされた。
そして………
あは…♪
ゾクゥ…………ッ!!
今一番、譲信が聞きたくなかった声が聞こえてしまった…。
譲信「…………フ……フランさん……?」ガクガク……
譲信はマズイ状況に、震えが止まらなかった。
フラン「あはは♪…お兄~様ぁ~…や~っと見つけたヨ」
譲信「お……おう……あ……あははは……」
フラン「ナンデニゲタノ?フランノコト嫌イジャナイッテ言ッタヨネ?」
フランの目から…光が消えていた………。
なんとまぁー……恐ろしい光景だった。
譲信「ゆ……許して……」
フラン「許ス…?アハハ♪別ニフランハ怒ッテイナイヨ?ナンデニゲタノッテ聞イテルダケダヨォ…?」
譲信「ひ………ひぃぃぃ………!!」
今すぐにでも逃げ出したいが、恐怖で譲信は体が動かない。
心なしか…今幻想郷で唯一、譲信を恐怖で追い詰められる存在がフランとなっていた……。
フラン「あ……そっか!!そういう事だったんだね!!」
譲信「……え?」
フラン「お兄様は照れてたんだね♪恥ずかしがり屋さんだったんだぁ♪」
譲信「いや……そういう訳でも……」
フラン「違ウノ!?」
譲信「…………その通りです……」
フラン「あはは♪やっぱりそうなんだね♪」
下手な返事なんて出来ない。
ここでフランのご機嫌を損ねたらマズイ事になる。
……あそこでくたばってる奴みたいになる……と、譲信は視線を、壁に埋まって動かなくなったレミリアに向けた。
譲信(この役立たずぅ……姉なら妹くらい制御しやがれ……自分で呼んどいて秒殺されてんじゃあないぞ…!!このポンコツレミべえ!!)
フラン「お兄様!!」
譲信「は、はいぃ!?」
フラン「大丈夫だよ♪恥ずかしがらなくても良いんだよ♪……震えてるの………?大丈夫……すぐに落ち着くからね♪」
フランはゆっくり……ジリジリと譲信の方へ近付いて行く……。
譲信は後ずさりし、すぐに壁際まで追い詰められた。
譲信「あ……あ………あ………」
譲信の足は情け無いくらいにガクガクと震えている。
フラン「お兄様………モウ逃ガサナイヨ!?」
フランは、譲信に満面の笑みでそう言った…………。
ア
ハ
ハ
ハ
ハ
ハ
譲信「い…嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!誰か…誰か助けてくれぇぇぇぇぇぇッ!!誰かぁぁぁぁぁ……………!!」
譲信の悲痛な叫び声と、フランの笑い声が紅魔館に響き渡った……………。
TO BE CONTINUE………
オリジナルスタンド…そろそろ出してみようかな?
なんて思っております。
もし感想欄に、何かオリジナルスタンドの案を載せて貰えたりするなら、どんどん採用していこうかな?とかも思っております…!!(いや頑張れよ自分で《笑》)