ノリの良いスタンド使いの奇妙な幻想入り   作:仁堂六華

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三名の方から早速スタンド案を頂き、マジ感謝の気持ちで一杯です!!
頂いた案は物語に登場させていこうと思っています!!
そして今回の話では早速、頂いたオリジナルスタンドの内の一つが登場します!!
それでは……どうぞッ!!


⑳人里バトルロワイヤル…その①吉良吉影

人里でつい最近話題沸騰中の“JOJOの何でも屋”。

今日は休業中で、社長である空条譲信は関係者以外には内密に、紅魔館調査の依頼を遂行中。

 

そんな“JOJOの何でも屋”の事務所である一軒家の近くに、そこそこの大きさで、そこそこの知名度のお店が建っていた。

 

その店は“縁”という名の工芸品店で、色々な職人の焼いた皿や壺などを売っている。

売れ行きはそれなりに良く、質の良い品である事から、人間は勿論、妖怪からも贔屓にされている店だ。

 

現在人里は昼の13:00。

他店と同じように、この店も昼休憩の時間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女性A「ねぇ吉良くん、私達とお昼…一緒にどう?」

 

 

“縁”で働く従業員の女性達。

主に接客を担当するのが彼女達だ。

今は昼休憩なので彼女達は何処かの店で昼食を取るつもりなのだろう。

その内の一人が、“吉良”という名の後輩を自分達の昼食に誘っていた。

 

“吉良”と呼ばれた青年はゆっくりと振り返る。

177~184くらいの高身長で、落ち着きのある大人びた雰囲気を放っている。

そこそこ彫りの深い顔つきで、青っぽい瞳に金髪。

最近人里で流行りの『すぅつ』と呼ばれる服装で、外来人から見れば一般のサラリーマンとほぼ見分けがつかない。

 

とても「美しい手」をしていて、女性から持てる顔つきをしている。

だが何処か平凡…そんな青年だった。

 

 

吉良「すみませんAさん…折角のお誘いは有難いのですが……この後、大切な友人との約束がありまして…申し訳ないのですがまた次の機会にお願いします」

 

 

女性A「そ、そう…それなら仕方ないね…!!また今度ね吉良くん!!」

 

 

吉良「はい…それでは失礼します」

 

 

静かに話す声と態度の吉良に、少し戸惑いながらも返事を返す女性A。

そんな女性Aに対し、吉良は用は済んだと分かると、さっさと何処かへと歩いて行ってしまう。

 

 

女性A「…………」

 

 

女性Aは静かに去って行く吉良の背中をボーッと見ていた。

 

 

店長「やめとけ!やめとけ!あいつは付き合いが悪いんだ」

 

 

女性陣「あ、店長さん!!」

 

 

そこへ“縁”の店長が、店の奥側から現れ、女性陣達に向かって話し出した。

 

 

店長「どこかに行こうぜっ…て誘っても楽しいんだか楽しくないんだか…」

 

店長「吉良吉影(きらよしかげ) 18歳独身仕事はまじめでそつなくこなす新入りだが、今ひとつ情熱の無い男…」

 

店長「なんかエリートっぽい気品漂う顔と物腰をしているため、女性従業員にはモテるが、店側からは書類の配達とか使いっ走りばかりさせられているんだぜ」

 

店長「悪いやつじゃあないんだが…これといって特徴のない……影のうすい男さ」

 

店長「……そう言えばあいつ…なんか最近雰囲気がちょっと変わったよな……休日に骨董市で古くさい観賞用の矢を買った時期くらいから……だったかな……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザワ ザワ ザワ ザワ ワイ ワイ

ガヤ ガヤ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時間帯は人里のどこも結構人通りが多くなる。

特にいくつもの定食屋が並ぶ大通りは、大変混雑するのだ。

 

吉良は事前に家で、サンドイッチや弁当を作っている為、そんな人混みに混じってストレスを感じる事も無く、人気の少なく眺めの非常に良いお気に入りの場所に、静かに腰を降ろした。

 

先輩Aに友人との約束で断った吉良だったが、あれは誘いを断る為のその場しのぎの大嘘だ。

そもそも吉良吉影はなるべく孤独を好む男であり、友人はいない。

他人とは友情など芽生えない適度な距離を心掛けて、吉良は常日頃から接しているのだ。

 

 

吉良「ふぅー……全く鬱陶しい連中だ…。あんな騒がしくて品の欠いた連中らと休憩時間も同じ空間にいると、溜める必要も無い疲労とストレスを溜める事になるじゃあないか………全く……ただでさえ私は疲れているというのに」

 

 

吉良は本当に疲れているようで、短くも深いため息を一つ吐いた。

それから持参した、魚のフライを挟んだサンドイッチを取り出し、それを頬張りながら美しい景色を眺める。

そして時々、自分の美しい手も眺める。

この時間が吉良にとっては仕事中一番の至福だった。

 

 

吉良「美しい地だ…幻想郷。こんな素晴らしい地が他にあるかな………まるでピクニックに来てる気分だ……」

 

 

それから吉良は何を思ったのか、おもむろに胸ポケットから尖った物を取り出す。

よく見ると、それは矢の矢じり…みたいな物だった。

 

 

吉良「それにしてもまた随分と奇妙な物を手に入れてしまったな………まぁこの矢のお陰で、多少は理想的な平穏に近付けたような気はしなくも無いが………何か変なトラブルに巻き込まれそうな…嫌な予感もするな……コイツの存在はなるべく……いや…絶対に他人には知られてはいけない…」

 

 

吉良は静かに矢を見つめていた。

それから視線はすぐに、自身の美しい手に移る。

吉良は、今度は自身の美しい手をじっと静かに眺め出す。

 

 

吉良「………美しい……また一つスケッチでもするかな」

 

 

そう呟くと吉良は一旦矢じりを地面に置き、胸ポケットからまた新たに鉛筆とメモ帳を取り出し、早速自身の左手のスケッチを始める。

 

このように吉良は週に五回は自身の手のスケッチを行う、自身の手に酔いしれる極度な手フェチだった。

吉良が最も美しく思う究極形の手の形が、自身の手であるため、吉良は他人の手には全く目もくれない。

しかし、そのせいで吉良は他人には全く興味を示さなくなってしまっていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吉良「ふぅ~……今日もまた、一段と美しく書けたぞ。フフフ…今度また新たに、スケッチを持って行って、模型でも作って貰うとしようかな……」

 

 

 

数分後、無事に手のスケッチを終えた吉良は満足そうに呟くと、メモ帳と鉛筆を胸ポケットに戻す。

それから矢じりも仕舞おうと思って、矢じりを拾うため、さっき置いた場所に視線を向けた。

しかし

 

 

 

吉良「……何ッ!?無いッ!?確かにここに置いたはず………何故……無くなっているんだッ!?」

 

 

 

確かに置いておいた筈のその場所から、矢じりは消えていた。

焦った吉良は慌てて辺りを見回す。

何か何処かに落ちてないか…と必死に探し回る。

そして

 

 

吉良「あれは……………ッ!!」

 

 

吉良は見つけた。

遠くの方に、野良犬が矢じりを咥えて走って行く姿を。

野良犬と吉良は一瞬目が合ったが、野良犬は別に吉良を気に留める事もなく、何処ぞへと走り去っていく。

 

 

吉良「しまった………夢中になりすぎて……クソ犬の接近に気付かなかったとは…………!!」

 

 

吉良は自身の痛恨のミスに少しだけむかっ腹が立ったが、すぐに気持ちを切り替える。

怒ったり後悔するのは後回しだ。

今は、何とかして野良犬から矢じりを取り戻さなくてはならない。

それが今、第一に優先させるべき事だった。

 

 

吉良「くっ………追わなくては……!!犬は足が速いからな……一度見失ったらもうどうしようもなくなる…!!」

 

 

吉良は逃がすまい、見失うまい、と全速力で犬を追いかける。

途中、すれ違う人からは犬を追いかける変な奴…みたいな目で見られるが、今はそんなことに構ってはいられない。

 

 

吉良(クソッタレが……こんな赤っ恥のこきっ恥を掻かされるとは……!!しかし、今はそれ所じゃあない……何せ、あの矢はマズイ……もし、どこかのどいつかが、あの矢に貫かれたのなら……マズイことになる…!!あの矢の存在を知られ過ぎると……私の平穏な生活は脅かされてしまう…!!)

 

 

吉良は時計を確認する。

休憩時間終了まで残り10分。

今から10分以内に、犬に追いつき矢を取り戻さなくてはならない。

かなりハードな状況だった。

 

 

吉良(最悪…可愛そうだが、クソ犬を殺す事も視野に入れておかなければならないな。全く……何故ただ“平穏な生活”を望む私が、こんな苦労をしなければならないのだ……!!)

 

 

女性A「あれ?吉良くん?…どうしたの?そんなに汗だくになって走って……」

 

 

吉良「!!」

 

 

そんな時、吉良が心の中で愚痴を溢しながら曲がり角から飛び出した先で、先程吉良を昼食に誘った女性従業員のAがいた。

 

 

吉良「何でも…無いですよ。………ちょっと…食後に走りたくなっただけですので………」

 

 

面倒なタイミングでAと会った事を忌々しく感じながらも、吉良は何とか平常を装って答えていく。

 

 

女性A「ふぅん……。まぁ別に良いんだけどね」

 

 

吉良「……では私はこれで……。失礼します…」

 

 

さっさと話を済ませ、吉良は再び野良犬を追いかけに走り出す。

……しかし、ここで問題が発生した。

 

 

吉良「し……しまった……!!見失った……………クソッタレが……あの女……いつも私の邪魔ばかり……!!」

 

 

だが絶望するにはまだ早い。

吉良は注意深く辺りを観察し始める。

ここは大通りで人通りも少しは空いてきた時間帯だ。

 

いくら走る野良犬といえど、数秒で見失うには逃げる場所は限られる。

数秒で吉良の視界から消えるには、狭い店も店の間の通路を通っていくしかないのだ。

 

 

吉良(通路の入り口近くの何処かに、クソ犬の足跡といった、僅かな痕跡でもあるならまだ何とかなるが……)

 

 

すると吉良は見つけた。

通路の入り口側の壁に、鋭い刃物のような物で一直線に真横に続く傷跡を。

 

 

吉良(これは……そうか。あのクソ犬…ここを曲がる時に少しだけ矢を壁に引っ掛けたのか……ということはこの先に逃げたようだな…!!)

 

 

やはり注意深く行動をすれば、チャンスはある…と、吉良は自分を奮い立たせながら、通路の奥に向かって走っていく。

中々に狭く、通るのはキツいが通れない事もなく、吉良はどんどん進んでいく。

 

 

鬱陶しい蜘蛛の巣を払い、落ちているガラス片やゴミに注意しながら進んでいくと、何やら人の声が聞こえてきた。

 

 

吉良(何だ……?)

 

 

よく耳を澄ますと、それは子供の声だった。

そして、近くで一瞬犬の鳴き声も聞こえたような…そんな気がした。

吉良はその場所へ、足音を立てないように気を付けながら、近付いていく。

 

 

 

 

少年「よしよし、エライぞペロ!!まさか矢なんて拾ってくるとは思ってなかったけど……これは結構高値で売れそうだね!!」

 

 

ボロボロで貧しい身なりをした少年がそう言うと、近くにいる吉良が追いかけていた野良犬がワン!!と一声吠えた。

そして、その少年の手にはしっかりと矢が握られていた。

 

 

吉良(何て事だ……野良犬かと思いきやあのクソ犬……あの小僧の所有物だったのか。……しかも、あの小僧…犬を使ってひったくりに近いことをやっているとは……)

 

 

吉良は考える。

もし、このまま少年の前まで出て行って、「その矢は私の物だ。返してくれ」と言った場合、どうなるかを。

 

 

吉良(そう簡単には返してくれそうにもないな……金銭の要求はされそうだし、無理矢理取ろうとすれば逃げられる可能性が高い………それなら多少の高額の出費を覚悟しなければならないか………まぁ別にそれは構わないのだが………)

 

 

吉良にとって問題は、取り返す際に必要になりそうな金額の問題とかでは無かった。

吉良にとって最も問題だった事は…

 

 

吉良(いずれにせよ…あの小僧に顔を見せなくてはならなくなる……あの小僧に、その矢の所有者が私であることを知られてしまうじゃあないか……)

 

 

そう…吉良にとって最も問題だった事は、その矢の所有者が、例え一人の子供だったとしても他人に自分だとバレてしまう事だった。

何せ、あの矢は色々と厄介な存在なのだ。

所有しているだけで、面倒事に巻き込まれてもおかしくない程に。

平穏を望む吉良にとって、面倒事とはどうしても避けたい物だった。

 

 

吉良(………作戦変更だ……。あの小僧とクソ犬にバレないように接近し…あの矢を奪い返す…!!)

 

 

吉良は物陰に隠れて、そのチャンスを窺うことにした。

 

 

 

 

少年「さぁペロ、家へ帰ろ!!」

 

 

ペロ「ワン!!」

 

 

そんなすぐ近くにいる吉良の存在に気付く事無く、少年はペロという名の犬と共に、家へ帰ろうとする。

 

 

 

吉良(良い気になりやがって……それは私の物だというのに…!!…………………………ん?)

 

 

 

吉良がイライラし始めたその時、吉良は少年と犬の傍へ、何者かが近付いて来ている事に気付く。

吉良に遅れて、少年も犬もその存在に気付いた。

その者に向かって警戒をする犬を見て、吉良は近付いて来る者は少なくともこの二人の知る者では無い…という事を推測していた。

 

 

 

???「こんにちは。ワンちゃんと少年」

 

 

姿を表したのは男だった。

見た目からして年齢は20代後半…そしてその男は、不気味な程、落ち着いた様子で少年に向かって挨拶してきた。

 

 

少年「だ、誰ですかあなたは!!」

 

 

いきなりこんな場所に現れて、話し掛けてきた男に少年も警戒心を露わにする。

 

 

???「おいおい…そんなに警戒しないでくれないか?挨拶ぐらい返してくれたって良いじゃあないか………おじさんの名前はね、緑山(みどりやま) 鈴久(りんく)と言うんだ……ま、君とは初対面の初めましてさんだよ」

 

 

少年「…………?」

 

 

少年は緑山と名乗った男の真意を掴めずに、訳の分からないといった顔をしていた。

隣では更に警戒心を高めた犬が唸っている。

 

 

緑山「おいおいおいおいおい……名乗り返してもくれないのか……。まぁ別に良いんだが……それよりもひとつお願いがあるんだよ」

 

 

吉良(………何だあの男は………)

 

 

少年「お願い……?」

 

 

吉良もまた緑山の事を警戒して用心深く観察していた。

 

 

緑山「そう……。おじさんはね、君の持ってるその矢が欲しくてたまらないんだ……譲ってくれないかなぁ?」

 

 

緑山は少年が持っている矢を指差しながらそう言った。

 

 

少年「え!?」

 

 

吉良(な……何だとぉ!?緑山鈴久という男…奴は一体何者だ!?何故あの矢を欲しがるッ!?)

 

 

予期しなかった状況に、吉良は焦り出す。

もしここで、少年が緑山に矢を譲ってしまった場合、取り返すのに更に難易度が上がってしまう。

そもそも、あの矢を欲しがるなんてどう考えてもおかしい…緑山の手に矢が渡るのはマズイ事になると、吉良は直感でそう思った。

 

 

緑山「さぁ譲ってくれよ…それは元々君の物じゃあないだろう?分かったならおじさんに譲ってくれよ……」

 

 

緑山は手のひらを向けながら、ゆっくりと少年に近付いていく。

 

 

吉良(やめろ……!!絶対に渡すんじゃあないぞ小僧ッ!!その矢は私の物だッ!!)

 

 

少年の背後の物陰に吉良、少年の前方に不気味な緑山…今この状況で、少年は二人から矢を巡って狙われていたのだ。

 

 

 

 

 

 

少年「こ…お断りします!!これは……僕とペロの物だ!!これ以上近付かないでください!!どうなっても……知りませんよッ!?」

 

 

少年は、緑山に矢を渡そうとはしなかった。

 

 

吉良(お前とクソ犬の物じゃあ無いッ!!私の物だと言っているだろ!!……しかし、それで良い……今はな……!!)

 

 

緑山「ほう……?渡す気は無いのか………で?……これ以上近付いたら……どうなるって……?」

 

 

緑山はそれでも止まること無くゆっくりと、少年に近付いて来る。

少年は僅かに後ずさりした。

 

 

少年「ッ…………あなたが悪いんですよ………ペロッ!!」

 

 

ペロ「グルルルルルァ!!」

 

 

 

 

ガリィィッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年に名を呼ばれて、ペロは緑山の右腕に思いっきり噛みついた!!

 

 

 

緑山「うぐぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

 

余りの痛みに、緑山は顔をしかめた。

ペロは僅かに妖怪の血も混じっている雑種の大型犬なので、振りほどこうとしても、手を振り回す事も出来ない。

 

 

少年「やれぇぇ!!ペロ!!」

 

 

緑山「こ……こいつぅぅッ!!離せぇッ!!」

 

 

緑山はペロを引き離そうと拳を数発打ちこむ。

が、しかしペロは妖怪の血が混じった雑種である為、体も実はそれなりに頑丈…緑山の拳では大してダメージなどは無かった。

そして、さらに噛む力を強めた。

 

 

吉良(あのクソ犬……あの男の腕を噛み千切るつもりか……!)

 

 

緑山「マ……マズィィ!!コイツ……本気で俺の腕を!?おいガキィ!!今すぐやめさせろぉぉッ!!」

 

 

緑山は、少年に向かって怒鳴りつけた。

だが少年は動じない。

 

 

少年「嫌だ!!今ペロが離したらあんたは僕に襲いかかってくる!!あんたはそういう悪い人間なんだ!!僕には分かる!!だから…あんたには痛い目にあってもらうからなッ!!」

 

 

ペロが噛みつく緑山の右腕が、ミキミキ…と嫌な音を立て始めていた。

 

 

緑山「巫山戯るなぁ………!!てめぇらぁ!!もう許さないぞぉッ!!皆殺しにしてから矢は手に入れてやるッ!!まずは犬から死ねぇッ!!」

 

 

 

 

ボグァァッ!!

 

 

 

緑山がそう叫んだ瞬間、ペロは真上に吹っ飛んだ。

顎の形が砕け、変形し、胸部から骨をはみ出させながら宙を舞った。

 

 

吉良(ッ!?)

 

 

少年「ペ…………ペロォォォ!!!?」

 

 

地面に叩きつけられたペロだったが、まだ辛うじて息はあった。

妖怪の血が混じっているだけあって、生命力がとても高かったのだ。

その間に吉良は、何が起こったのかと、緑山の方を見る。

すると、緑山の傍には何やら、人型の何かがいつの間にか立っていた。

 

 

吉良(あ……れは……まさか…!!)

 

 

フードを被って緑色の服を着ており、腰には剣が携えられている。

そして、何かパワーのような物を感じさせるオーラがあった。

吉良はその人型の何かについて、思い当たる心当たりがあった……。

 

 

緑山「“スピリッツ”!!俺はコイツをそう名付けて呼んでいる…!!コイツは俺の意思で自由に現れ、そして俺の指示通りに動いてくれるッ!!」

 

 

緑山がそう言うと、“スピリッツ”は腰から剣を抜き、ペロの脳天に剣を突き刺した!!

 

 

 

ザグゥッ!!

 

 

 

少年「ペロォォォォォォ!!!!」

 

 

少年の悲痛な叫び声が響く。

ペロは脳組織を貫かれ、即死だった。

 

 

緑山「ハァ…ハァ…右腕のお返しだ……。さてクソガキ君……次はお前の番だよ」

 

 

言うなり緑山は少年に向かって歩み出す。

 

 

少年「ひ…ひぃぃ!?嫌だ…矢なら…矢ならあげますから!!許してください!!」

 

 

少年はこのままだと殺される…と思い必死に命乞いをした。

だが

 

 

緑山「おいおいおいおい…それは都合が良すぎないか?おじさんはちゃんとさっき言っただろう…?もう許さないと……皆殺しにしてから矢は奪うと……なぁ!!」

 

 

バキッ!!

 

 

少年「あぐっ!?」

 

 

言うなり、緑山は自分の足で少年の顎を蹴り飛ばした。

少年は血を吹きながら仰向けに倒れる。

 

 

吉良(………………)

 

 

そして緑山はスピリッツに少年の腹部を踏みつけさせ、少年を逃げられないようにした。

 

 

緑山「あの矢は特別なんだ……貫かれた者は、死ぬ奴もいるが…選ばれた者なら“程度の能力”に目覚める事が出来る…。矢に貫かれた者は傍に何かしらの守護霊…みたいな存在を出現させる、“程度の能力”を扱う。守護霊は個人個人で持つ能力は異なるし、強さも様々だよ」

 

緑山「だが、いずれも力は絶大だ。その気になればこの幻想郷なんて支配出来てしまうかもしれない!!俺は考えた…なら矢を支配し、最強の軍団を創ってしまえば良いと……俺は矢をずっと……ずっと探し回っていたんだ……そして見つけた……ようやくな……しかし……困ったことに矢を持っていたクソガキは、俺に譲ってはくれなかった……それどころか犬をけしかけ、俺の腕を引きちぎろうとした…!!」

 

 

ガスッ!!ガスッ!!ゴスッ!!

 

 

緑山は少年の顔を複数回踏みつけた。

 

 

少年「う…………が………」

 

 

前歯が折れ、鼻の骨も折れ、鼻血が止まらなくなっていた。

そして少年の手から滑り落ちた矢は、物陰に潜む吉良の足元まで滑って来ていた。

 

 

吉良(………………)

 

 

緑山は今、激情し少年にしか目がいっていない。

このまま吉良が黙って矢を拾い、この場から去って行けば元通りの平穏な生活は訪れるのだ。

 

しかし、吉良は矢を拾ってもその場を去ることはせず、ただ無言で立ち尽くしていた……。

 

 

 

緑山「………ふぅ…。少し大人気なかったかな……まぁ良いか。スッキリした。満足だ。よし、じゃあクソガキ君。宣言通り今からお前を殺す」

 

 

少年「ひぃ………!?」

 

 

緑山の操るスピリッツは、片手に何やら火を噴く大きな物体を出現させた。

そして緑山は狂った笑みを浮かべた……。

 

 

緑山「この火炎放射器で全身をローストしてなぁぁぁぁッ!!」

 

 

少年「い………いやだぁぁぁぁぁぁ………!!」

 

 

少年は泣き叫ぶ。

全力で手足を動かして、逃げだそうとするも、スピリッツの足に押さえつけられ動けない。

今にも…少年は火炎放射器で焼き殺されそうであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カラン……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑山「誰だッ!?」

 

 

突如聞こえた物音に緑山は即座に反応し、また新たにスピリッツの片手にアサルトライフルを出現させ、その方向に銃口を向けた。

 

……その先にいたのは……吉良吉影だった。

 

 

 

 

 

 

吉良「その辺にしておいたらどうかね……?相手はまだ子供じゃあないか……大人が情け無いだろう?」

 

 

 

緑山「何だとぉッ!!」

 

 

 

その間も、吉良は緑山と少年の傍へとゆっくり近付いて来る。

緑山はそんな吉良を見て、不気味に思い、近くの壁を射撃で撃ち抜いてから叫んだ。

 

 

 

緑山「止まれぇッ!!それ以上少しでも動いたら今度はお前のドタマにぶち込むぞッ!!お前…異常に不気味な奴だ…それ以上寄るなよ……得体の知れない……けがらわしい気分がする……絶対に動くんじゃあねぇぞッ!!」

 

 

 

吉良「…………」ピタリ…

 

 

 

緑山は突如現れた謎の男に警戒心全開だった。

わざわざこんな場所で、こんな状況に姿を現し、しかも片手には矢が握られている。

普通の人間…とは到底思えなかった。

緑山に怒鳴られ、吉良は静かに語り始めた。

 

 

 

吉良「私の名は“吉良吉影”年齢18歳。自宅は人里北東部の離れの一軒家で…結婚はしていない……」

 

吉良「仕事は工芸品店“縁”の従業員で毎日遅くとも夜8時までには帰宅する」

 

 

緑山「?…?」

 

 

少年「?……?……?」

 

 

吉良「煙草は吸わない…酒は嗜む程度」

 

吉良「夜11時には床につき必ず8時間は睡眠をとるようにしている……」

 

吉良「寝る前にあたたかいミルクを飲み、20分程の軽いストレッチで体をほぐしてから床につくとほとんど朝まで熟睡さ……」

 

吉良「赤ん坊のように疲労やストレスを残さずに朝目を覚ませるんだ……健康診断でも異常無しと言われたよ」

 

 

 

いきなり意味不明な事を淡々と話し出す吉良に言いようのない不気味さを感じた緑山は、声を荒げる。

 

 

緑山「お……おお…お…お前何言ってんだ!?いきなり……何の話をしてんだ!?」

 

 

しかし、吉良は止めることは無かった。

 

 

 

吉良「私は常に心の平穏を願って生きている人間ということを説明しているのだよ……」

 

吉良「勝ち負けにこだわったり頭をかかえるようなトラブルとか夜も眠れないといったをつくらない…」

 

吉良「……というのが私の社会に対する姿勢であり、それが自分の幸福だということを知っている……」

 

吉良「もっとも……戦ったとしても私は誰にも負けんがね」

 

 

緑山「………ッ!!」

 

 

吉良の後ろに…うっすらと徐々に…人型の影が現れ始める……。

 

 

吉良「つまり緑山鈴久…私の矢を狙う君は、私の睡眠を妨げるトラブルでありという訳さ……これ以上、厄介な事になる前に…君を始末させてもらう……」

 

 

そして、黒い影を描いていた吉良の背後に立つ人型の輪郭が、ハッキリと見え始めた…。

緑山はそいつを睨む。

 

 

緑山「まさか…お前も俺と同じ……ッ!!」

 

 

吉良「KILLER(キラー) QUEEN(クイーン)……と私はこいつを名付けて呼んでいる」

 

 

 

  

 

 

              

 

   

 

            

 

 

 

 

 

吉良と緑山の二人の間に、凄まじ殺気のぶつかり合いが起こり、まるで空間が歪んでいるように見えた…。

 

 

緑山「俺の“スピリッツ”を舐めるなよ……クソガキ君は後回しだ……まずは……お前からだ……!!」

 

 

吉良「悪いがこの世界から消えてくれ……私が今夜も安心してグッスリと眠れるようにね……」

 

 

 

 

見る者が震え上がる…そんな狂気的な二人がそこにはいた………。

 

 

TO BE CONTINUE………

 

 

 

 

 

 




程度型スタンドパラメータ

キラークイーン (吉良吉影使用時)

能力:現在は非公開。


パワー:A
スピード:A
精密動作性:B
成長性:A
持続力:A
射程距離:B


ついに現れた待望のあの男…の生まれ変わり。
その能力は未だ謎に包まれている。




~そして~
今回登場したのは風見フウさんから頂いたオリジナルスタンド案でした。
ありがとうございます!!

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