ノリの良いスタンド使いの奇妙な幻想入り   作:仁堂六華

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吉良吉影とは何者か…?

違う世界線、性格も背負う性も運命もまるで違うが、皆が知るあの吉良吉影と同一の人物で間違いない…。

故にキラークイーンを引き出す事が出来たのだ。

何かも変わっても“平穏な生活”を求める執念だけは変わることが無かった。そこに痺れる憧れるぅ!!


22人里バトルロワイヤル…その②UNDER PRESSURE

人里内にある建物と建物の間の人気の無い狭い通路。

そこでは、二人の男が殺気全開で対峙していた。

 

 

吉良「君を始末させて貰う………」

 

 

鈴久「甘く見ないで貰おうか…!」

 

 

吉良吉影と緑山鈴久。

スタンドのような“程度”の能力を扱う二人は、互いにスタンドのような“能力”を発現させ、睨み合っていた。

 

近くにいた少年は、死んだ飼い犬を抱きかかえて、その場から逃げ出していた。

……今、この場にいるのは完全に吉良と鈴久だけだった。

 

 

 

 

 

鈴久「ふっ!!」

 

 

バッ…!!

 

 

先に動いたのは鈴久だった。

スピリッツの能力を使い、自身の左手にデザートイーグルを発現させると、銃口を吉良に構え躊躇なく引き金を引いた。

 

 

 

ガァーーーーーン!!

 

 

 

 

吉良「ッ!」

 

 

バシッ!!

 

 

 

吉良は飛んできたデザートイーグルの弾丸を、キラークイーンの拳で弾き飛ばした。

 

 

吉良「中々面白い能力を使うじゃあないか…」

 

 

吉良は別に焦る事も、攻撃に出ることも無く、かといって余裕のドヤ顔でもなく、勤務中と変わらない、至って自然な態度のままだった。

 

 

鈴久「やはり拳銃じゃあ大した効果は無かったな……しかし、お前が近距離パワー型だというのは分かった……充分だ。そうと分かればやり方は決まっている」

 

 

吉良「近距離……パワー型…?……ふむ」

 

 

 

鈴久はデザートイーグルを地面に投げ捨てた。

そしてすぐに、スピリッツに別の武器を生成させる。

 

 

 

鈴久「お前のスタンドは中々に素早くパワーもありそうだ…!!しかし、やはり俺の能力の前では限界があるものよ…!!クククク……」

 

 

吉良「……ム!!」

 

 

スピリッツの両肩に、巨大な機関銃が生成された。

そして、その銃口はしっかりと吉良の方へ向けられている。

鈴久はニヤリと笑った。

 

 

鈴久「ブァカ者がァァァァァァ!!スピリッツの能力は世界一ィィィィィィ!!俺の能力は有りと有らゆる武器を無制限に生成する事が出来るのだぁぁぁ!!」

 

 

 

鈴久「くらえッ!!吉良吉影!!1分間に600発の鉄甲弾を発射可能!!厚さ30mmの鉄板を貫通できる銃機関砲だ!!一発一発の弾丸がお前を削り取るぞ!!」

 

 

 

 

ドバババババババババッ!!

 

 

 

 

スピリッツの両肩に装着された機関銃から、とんでもない量の弾が雨のように発射される。

流石のこの状況に、吉良も慌てた。

 

 

吉良「防げッ!!キラークイーン!!

 

 

キラークイーン「ウリィィィヤァァァァ!!」

 

 

 

ガガガッガガガガガガガッ!!

 

 

 

負けじとキラークイーンも脅威のラッシュのスピードで弾を弾いていく。

しかし、流石に全部の弾を弾ききるにはこの狭く暗い通路では、難易度が高かった。

 

 

 

吉良「ぐうぅぅッ!?」

 

 

 

跳弾が数十発、吉良の肩や足に穴を空けてしまった。

そこから、血が噴き出す。

 

 

 

鈴久「ハハハハハハッ!!やはりお前の負けに変わりは無いようだなぁッ!!ハハハハハハッ!!」

 

 

 

鈴久は銃激を一旦やめ、吉良の状態を確認する。

キラークイーンこそ、被弾によるダメージは無かったが、その背後に立つ吉良には、跳弾によるダメージがいくつも見られ、左腕はまるで蜂の巣のようになっていた…。

 

 

 

吉良「ぐっ………痛い……な……何て痛さだ……!!」

 

 

 

鈴久「トドメだくらえッ!!スピリッツ!!

 

 

 

スピリッツ「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

 

 

鈴久はトドメに、吉良に向かってスピリッツのラッシュを仕掛けようとした。

しかし、その時吉良は静かに呟いた……。

 

 

 

吉良「キラークイーン…“第四の爆弾 アンダープレッシャー”!!

 

 

 

カチッ……ドッグォォォン!!

 

 

 

ギュドォーーーーーーン!!

 

 

 

 

 

 

 

鈴久「な、何ィーー!?」

 

 

 

キラークイーンがスイッチを入れた瞬間、吉良が爆発し、その爆風で世界が歪んだかと思ったら、何と吉良が無傷の状態で立っていた。

 

この一瞬の間に起こった奇妙な現象に、理解が追いつかなかった鈴久は思わず、スピリッツの攻撃の手を止めてしまった。

 

そして、その隙を吉良が見逃す筈も無かった。

 

 

吉良「キラークイーン…“第二の爆弾 シアーハートアタック”!!

 

 

バシュッ!!

 

 

シアハ「コッチヲミロォ~~~!!」

 

 

キラークイーンの右の手甲から発射された小型の爆弾戦車“シアーハートアタック”。

発射されたシアーハートアタックは、真っ直ぐに鈴久とスピリッツの方へと飛ばされてくる。

 

 

鈴久「なんだこれはぁぁ!?スピリッツ!!」

 

 

スピリッツ「WHOOO!!」

 

 

 

スピリッツは迫ってくるシアーハートを、剣で切り裂いてやろうと自身の剣を振り下ろした。

次の瞬間…

 

 

 

バッキィィィィィン!!

 

 

 

凄まじい音を立てて、スピリッツの剣はポッキリと折れてしまった。

シアーハートアタックはというと、全くの無傷なままだった。

 

 

鈴久「はぁぁぁぁ!?なんだこりゃ!!硬すぎるだろッ!!ええぃ……クソったれ!!」

 

 

鈴久は今度はスピリッツに、ビームサーベルのような高熱のエネルギーブレードを創造させると、シアーハートアタックをそれで斬りつけた。

 

 

バチバチバチバチ…!!

 

 

激しい火花を散らし、シアーハートアタックを削ろうとするが、それでもシアーハートアタックには傷一つ付いていない。

しかし、これでシアーハートアタックのこれ以上の接近は防げる。

一安心した鈴久だったが、次の瞬間……

 

 

 

カチッ……ドッグォォォン!!

 

 

 

鈴久「ぐぶぅぅ!?」

 

 

突如シアーハートアタックが爆発し、ダメージこそは軽症なものの、鈴久とスピリッツは後方へと吹き飛ばされた。

 

 

 

鈴久「また爆発か!?コイツの能力は…爆発系の能力か!!」

 

 

キラークイーンの能力についての考察をしながら、鈴久は素早く次の攻撃へと行動を移す。

 

 

シアハ「今ノ爆発ハ人間ジャネェ…!!」

 

 

 

鈴久「うるさいぞッ!!」

 

 

スピリッツ「ウオォォォォォォォォォォォ!!」

 

 

ガンガンガンガンガン!!

 

 

迫り来るシアーハートアタックをスピリッツのラッシュで殴り飛ばし、鈴久は吉良の方へと向かっていく。

異常な頑丈さを誇るシアーハートアタックを相手にするより、吉良本体を叩くのが懸命だと鈴久は考えた。

 

 

吉良「来るか…賢明だな。私も同じ状況ならそうする。それが最善だからだ」

 

 

鈴久「少し違うね…」ニヤリ

 

 

吉良「!」

 

 

鈴久は吉良にそれほど近付かず、微妙な距離の所で立ち止まった。

そして

 

 

鈴久「スピリッツ!!対軍艦用のハズーカ砲をぶち込め!!」

 

 

吉良「何だとッ!」

 

 

鈴久はスピリッツにバズーカ砲を創造させ、吉良の方へと向けた…。

吉良を見る鈴久の目に、躊躇いの文字など無かった。

 

 

ドオォォォォォッ!!

 

 

バズーカが発射された!

 

 

 

吉良「……ッ!!」

 

 

 

 

ドグァァァァァァァン!!

 

 

 

 

 

ど派手な爆発音と、それに比例する爆発の衝撃が一気に広がる。

両側の建物の壁を吹き飛ばし、狭かった通路が一気に広ける。

大通りからは怯える人々の悲鳴が聞こた。

 

 

鈴久「…………」

 

 

 

鈴久は吉良がさっきまで立っていた場所に積み重なっている瓦礫を黙って見ていた。

スピリッツだけを近付けて、スタンドを介して観察していたのだ。

 

 

 

鈴久「確かに着弾はした……と思う。確実にな。……しかし、なんかこう……手応えが無かったな。もしかすると……生きているのかもしれない…!!」

 

 

 

スタンドの嗅覚を使い、辺りの臭いを嗅ぎ分ける。

焦げ臭いにおいはするが、肉の焼けるような臭いはしない。

瓦礫を観察してても、肉片だとか飛び血だとか、それらしい物も見られない。

 

もっと用心深く観察しようとした鈴久だったが、その時遠くから人の近付く気配がした。

 

 

 

鈴久「ちっ……もう誰か来たのか。流石に派手にやりすぎたなぁ……博麗の巫女にバレる前にズラかるとしよう……」

 

 

見つかれば面倒なのは間違いない。

鈴久はまだ立ちこめる砂埃の中へと消えていった。

 

 

 

 

男性A「何だ!?これは…何が起きてんだ!?」

 

 

男性B「おいこっちに来てくれ!!爆発事故だ!!怪我人がいるかもしれない!!」

 

 

 

すぐに数人の住民が現場に駆けつけたが、そこには既に鈴久と吉良の姿は無かった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴久「何とか撒けたようだな。あぁーくそっ!折角矢を見つけたというのに…予想外の邪魔が入って苦労したぞ……!!」

 

 

通路を通って別の大通りへと出た鈴久は、すぐさま人混みの中へと紛れ込んだ。

 

 

鈴久「だが…お陰で矢が手に入った…!!」

 

 

鈴久は右手に持つ矢に視線を移した。

戦闘中、吉良の隙を突いて鈴久は矢を奪いとることに成功していたのだ。

 

吉良が本当に死んだかどうかは確認してないので定かでは無いが、当初の目的は矢を手に入れることであり、それさえ達成出来た今、鈴久にとってその他の事などどうでも良かったのだ。

 

と、そんな時鈴久の肩と通行人の一人の男の肩がぶつかった。

ドン!という軽い音がして、通行人の男は僅かによろけた。

 

 

通行人A「おいてめー!!何処見て歩いてやがんだ!!ちゃんと前見ろボケッ!!」

 

 

鈴久「…………」

 

 

通行人の男は、無視して立ち去ろうとする鈴久の肩を掴んで、引き止めた。

 

 

通行人A「無視してんじゃねぇ!!てめーのせいで危うく怪我しちまう所だったんだぞ!!」

 

 

肩を掴む手に力を込めた男の方へ、鈴久はようやく振り向いた。

 

 

鈴久「アホゥがぁぁぁぁぁぁーーッ!!」

 

 

ゴキィィッ!!

 

 

通行人A「ぶべぇぇぇッ!!?」

 

 

鈴久は男のアゴへ、瞬間的にスピリッツの肘をぶつけエルボーをくらわせる。

真面にその一撃を受けた男は、派手に血を吹き、歯を何本か吹っ飛ばされて、地面に倒れた。

 

 

鈴久「これから俺は帰宅するんだよ。家へ帰ろうとする人間の邪魔をするんじゃあないッ!何より今日の俺は少しイラついてるんだよ!そうなったのはお前が無駄にイキってる阿呆だからだ!!」

 

 

通行人A「ひ…ひぃぃ……あんまりだ……!!」

 

 

鈴久はそう言い残すと、口を抑えてうずくまる男を放ってさっさと歩き出した。

すぐに角を曲がり、鈴久の姿はアッという間に見えなくなった。

 

 

 

 

 

鈴久「ったく…今日はやたらとムカつく事が多いな。いてて……犬に噛まれた傷が痛む!」

 

 

傷口を消毒する為に、鈴久は一旦帰宅する。

角を曲がったつきあたりが鈴久の家であり、鈴久はすぐさま自室へと向かった。

 

 

鈴久「よかった……それ程酷い傷では無いみたいだ。とりあえずガーゼを……」

 

 

消毒液とガーゼを探すため、鈴久は窓側にあるタンスを開ける。

タンスの中を見ると、丁度矢を一本仕舞う事が出来るようなスペースが空いていた為、鈴久はそこへ矢を置こうと、ポケットに入れていた矢を左手に持った。

その時

 

 

 

 

 

 

 

吉良「ここが君の家か」

 

 

鈴久「!?」

 

 

突如聞こえてきた吉良の声に反応して、鈴久はスピリッツを出すと窓の方へ振り返る。

そこには吉良が窓際に腰掛けて、静かに鈴久の事を見つめていた。

 

 

鈴久「そんなバカな…!!」

 

 

鈴久は驚いていた。

吉良が生きていた事にも充分驚きではあったが、何より鈴久が驚いたのは、吉良が全くの無傷だったという点だった。

 

 

吉良「ふぅー……いや本当に恐れ入ったよ。君の能力はただの武器創造で大した脅威では無いと思っていたが…違った。スタンドのガードだけでは防ぎきれない火力を無限に放つ事が出来るとはね」

 

吉良「一度腕は蜂の巣にされたし、一度両足も吹き飛んだ…おまけにサイフまで何処かに落として来てしまった……初めてだよ…ここまで追い詰められたのは。まったく……大した奴だ」

 

 

鈴久「一度は……だと?」

 

 

鈴久は吉良の意味ありげな台詞を復唱した。

確かに、吉良は鈴久の攻撃を真面に受けてはいた。

しかし、吉良の謎の能力によってその怪我は一瞬で消えた…。

爆発がヒントだとは睨んでいても、鈴久は未だ吉良の能力を完全には理解出来ずにいた。

 

 

吉良「ところで……その矢。君の左手に持っている矢をとりあえず私の方に返してくれないかね?……それは君が持っていると非常にマズイことになるんだ……」

 

 

吉良は返せ…と言わんばかりに片手を差し出した。

が、鈴久が吉良の言うことを素直に聞く訳が無かった。

 

 

鈴久「ほざけッ!!ファンネル!!」

 

 

 

ドドドドドドォォ!!

 

 

 

スピリッツの能力で生み出した複数のファンネルを、鈴久は吉良に向けて一斉に放つ。

 

 

吉良「今度は自動追尾弾かね?」

 

 

キラークイーン「しばっ!!」

 

 

 

が、そもそも狭い室内というのもあって、複数のファンネルは一瞬でキラークイーンのラッシュによって叩き落とされる。

しかし、鈴久は別にそれでも構わなかった。

 

 

 

スピリッツ「UUOOOOOOO!!」

 

 

 

吉良「ム!!」

 

 

ファンネルに気を取られていた吉良とキラークイーンに向かって、スピリッツは剣を突き刺そうとした。

 

 

ガッ!!

 

 

間一髪、キラークイーンで突きを止める事は出来たが、それでも剣先が浅く吉良の首に刺さっていた。

吉良の首から静かに、少し血が流れ出てくる。

 

 

鈴久「ハ…ハハハ…動くなよ。動くとブスリ……だぜ?家まで追ってこられた事に関しては冷や汗を掻いたが…しかしお前はバカだな。背後から黙って襲いかかっていれば勝機は充分にあったというのになぁ~!!」

 

 

刃を掴むキラークイーンの手にダメージがあるのか、少し吉良の手のひらからも血が出てきていた。

 

 

吉良「フム…僅かに霊力を込められている剣……か。君の能力は“あらゆる武器を生み出し扱う”……か。成る程、ようやく正しく理解出来たよ。それに関しては私はすごく満足だ」

 

 

しかしそんな状況でも吉良は微塵も、慌てたり焦ったりせず、心から平常心でいるように見えた。

 

 

鈴久(こいつ……なんだ?この不気味なまでの余裕は……?)

 

 

吉良「所で…私はさっき『君がその矢を持っていると非常にマズイ事になる』と言ったがね、少し言葉が足りなかったと思うんだ。だから訂正させて貰うよ…正しくは『君がその矢を持っていると“君が”非常にマズイ事になる』んだ…」

 

 

鈴久「何を…言っている…?」

 

 

鈴久は左手に持つ矢に視線を向ける。

しかし、別に何か変わった事が起こってる訳でも無く、鈴久には吉良の言っている言葉の意味がイマイチ理解出来ていなかった。

 

 

吉良「私のキラークイーンにもちょっとした特殊能力があるという事を説明しているのだよ。君の考察通り、私のキラークイーンの主な能力は爆弾とその爆発だ……だが、その爆弾や爆発にも幾つか種類があってね、全部説明するのは少し面倒だから省くが…」

 

吉良「何種類かある内の爆弾の一つに、“第一の爆弾”という物がある。…第一の爆弾…それはキラークイーンが触れた物は何でも爆弾に変える事が出来るという能力だ…」

 

 

鈴久「………は?」

 

 

吉良「本当に何だって爆弾に変えられるのさ…なんであろうと…そう…例えそれが“矢”だとしてもね……」

 

 

キラークイーンが空いている片方の手で、何かのスイッチを入れるような動作をする。

……鈴久はようやく理解した。

 

 

 

鈴久「ス…スピリッツゥゥゥッ!!俺の……俺の左腕を切り落とせぇぇぇぇぇッ!!

 

 

 

スピリッツ「ウオァッ!!」

 

 

 

ズバァァンッ!!

 

 

 

鈴久はスピリッツに自分の左腕を矢を握ったまま、手刀で切断させた。

その次の瞬間!

 

 

 

カチッ……ドッグォォン!!

 

 

 

何と、鈴久の切断された左腕が爆発したのだ!!

 

 

 

鈴久「ぐぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!痛ぇぇぇぇぇぇッ!!く…くっそぉぉッ!!こ、こんな…こんな事があって堪るかぁぁぁ…ッ!!」

 

 

切断面にガーゼを当て、痛みに耐えながら鈴久は吉良を睨んだ。

吉良は相変わらず焦りもしなければ、優越に浸った余裕の表情でも無い、普通の顔だった。

 

 

吉良「……咄嗟に腕を切り飛ばして爆発から逃れたか…。つくづく大した奴だ…」

 

 

鈴久「お前ぇぇ……吉良吉影ぇぇ!!本気で俺を怒らせたなッ!!」

 

 

吉良「そんな事はどうでも良い。私はさっさと君を始末出来ればそれで充分なのだ」

 

 

鈴久「そうはならねぇって言ってんだよ!!」

 

 

鈴久はありったけのスタンドパワーを全開にして、スピリッツの能力を発動させる。

 

 

鈴久「ビームマグナム!!メガキャノン!!サテライトレーザー!!ヒートホーク!!ビームジャベリン!!ミニチュアローズ!!」

 

鈴久「人類最高峰の火力による一斉砲火だッ!!もう堅気や巫女などどうでも良い!!ここまでコケにされて…遠慮なんてする訳がねぇだろぉぉぉッ!!」

 

 

鈴久はスピリッツと自分が一度に出せるだけ…放てるだけのありったけの高火力の武器を創造した。

 

 

吉良「これは……!!正気じゃあないな!!」

 

 

流石の吉良も、驚きを隠しきれないほどの激情に駆られた鈴久の狂行、もはやブレーキは効かない。

 

 

鈴久「人里くらいは軽く吹き飛ぶ広範囲の破壊力だ!!防げるものなら防いでみるが良いッ!!スピリッツ!!

 

 

スピリッツ「ウゥオォォォォォォォォォォォ!!」

 

 

 

 

ドッギュオォォォォォォッ!!

 

 

 

全ての兵器が一斉に火を噴く!!

吉良目掛けて、人里を完全に崩壊させる天災級の破壊エネルギーが放たれた!!

キラークイーンがいくらパワータイプのスタンドとはいえ、この威力の攻撃を物理的に防ぐ事は不可能だ。

勝った………鈴久はそう確信していた……。

 

 

 

吉良「キラークイーン“第四の爆弾 アンダープレッシャー”!!

 

 

ドッグギュオォーーーーーーン!!

 

 

 

吉良は第四の爆弾を点火した。

世界が揺れ動くような感覚…。

その次の瞬間、何と吉良に迫っていた破壊のエネルギーは何処かへと消え去り、スピリッツによって創造されていた武器も何処かへと消え去っていた。

 

 

鈴久「な………な…何が………起こったぁぁッ!?」

 

 

またもや起こった奇妙な現象に、鈴久は驚愕していた。

完全に着いたと思った一撃は、吉良の謎の能力によって消し去られた。

何が起こったのか……理解出来なかった。

 

 

吉良「キラークイーン“第四の爆弾 アンダープレッシャー”は……一定の時間を爆破して消し去る能力…」

 

 

鈴久「ッ!!」

 

 

吉良「私のキラークイーンは既に、“第三の爆弾”で時間に干渉済み…第四の爆弾は時間に“触れる”事によって発動する能力だ」

 

吉良「消し去られた時間内で起こった事は最初から無かった事になり、消え去った事象が要因で起こった時間外の全ての事象さえも、綺麗さっぱり消えて無くなるそれが…キラークイーン“第四の爆弾”だよ」

 

 

鈴久「バ……カな……!!」

 

 

吉良の口から語られた真実は、鈴久を一気に絶望に突き落とした。

どれだけ、パワーのある攻撃でさえも、消し去られてしまう事実。

それは鈴久の今まで気付き上げてきた“自信”を大きく崩してしまった……。

 

その瞬間、スピリッツから感じられた圧倒的パワーは消え去り、スピリッツの下半身は透けるようにして消え、上半身しか発現しない状態となった。

 

 

鈴久「な…何ィーー!?スピリッツ!?どうしたッ!?」

 

 

突然のスピリッツの弱体化に、原因の分からない鈴久はさらに取り乱す。

だが、よく考えてみれば分かることだ。

いくら“程度”の能力とは言えベースはスタンド…であるならば、当然そのパワーの源は精神力から来ている。

 

スピリッツは強力なスタンド故に、圧倒的精神力の強さによってその強さは保たれているのだ。

しかし、今の鈴久の精神状態は吉良に最高の一撃を無条件に消し去られるという事実に直面して、ズタボロ状態。

弱りきった精神はモロにスタンドに影響を与えるのだ。

 

そうとは知らない鈴久は、先程から続く訳の分からない現象に頭がおかしくなりかけていた。

 

 

吉良「どうやら……勝敗がハッキリ見えてきたじゃあないか。あと少しで私は目的を達成出来そうだ」

 

 

鈴久「う……ぐぐ……!!」

 

 

鈴久(能力…能力だ…!!この場で奴を凌ぐ事の出来る兵器を生み出せ……!!何か無いのか…!!)

 

 

鈴久は吉良のアンダープレッシャーを上回る事の出来る兵器を必死で考える。

何か手は残されているはずだ。

武器なら何だって生み出すことの出来る能力を持つ自分なら、まだ何かあると鈴久はまだ諦めていなかった。

 

 

吉良「ところで……君と戦闘を始めてから既に数分は経っている……業務開始までもう4分しか残っていない」

 

 

鈴久「……?」

 

 

吉良「帰りに掛かる時間を入れると、あと1分半以内に君を始末しなくては…私は遅刻してしまうのだよ」

 

吉良「遅刻する事は社会人として、とてもだらしのない事だ。決められたルールや時間も守れないような人間は、仕事もまともに出来ないと周りから判断され、肩身は狭くなり、仕事も減り、稼ぎも少なくなる」

 

吉良「それはつまり…私の求める“平穏な生活”からは遠ざかるという事を意味する……。それではいけないのだよ。分かるかね?」

 

 

鈴久「何が言いてぇんだ……ブツブツとよぉ~…!!」

 

 

 

 

その時、吉良の隣に立っていたキラークイーンが、鈴久の方へとゆっくり歩き出した。

 

 

 

 

吉良「私が言いたい事はとても簡単だよ。“平穏な生活”を送れるようにするため、今から君を1分半以内に始末する……という事さ」

 

 

鈴久「俺を始末するだと……!?…やれるものなら……やってみやがれぇぇ!!」

 

 

鈴久も弱ったスピリッツを前に出し、応戦する。

 

 

スピリッツ「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

フォトンブレード。

ブレードに触れた物質は問答無用で全て破壊するという、切り札を鈴久は生み出した。

一触れさえ…一触れさえ出来れば勝てる!

鈴久はそれに全ての望みを掛けた。

 

 

キラークイーン「URYYYYY!!」

 

 

スピリッツ「フンッ!!」

 

 

キラークイーンの右ストレートを躱し、スピリッツはキラークイーンに向けてフォトンブレードを突き刺す。

が、キラークイーンもまたスピリッツの一撃を回避した。

 

 

鈴久(いけるッ!!)

 

 

吉良「チッ…」

 

 

スピリッツの連続突きを、キラークイーンは躱しながらパンチを繰り出す。

一発だけ肩にくらわせ、鈴久の肩の骨が砕ける音が聞こえたが、それ以降攻撃を当てることは出来なかった。

 

 

吉良(当てる攻撃では無く…こちらの動きを確実に制限する為の攻撃か……手間取らせてくれるじゃあないか)

 

 

しかし、現時点でのスペックではやはり、キラークイーンが圧倒している。

スピリッツはアッという間に壁際まで追い詰められた。

 

 

鈴久「く……!!」

 

 

吉良「これで最後だ。木っ端微塵に消し飛べッ!!」

 

 

キラークイーン「ウリィィィィヤァァァァァァ!!」

 

 

キラークイーンはトドメの一撃を、スピリッツにくらわせようとした。

だがその時、鈴久はニヤリと笑った。

 

 

鈴久「かかったなッ!!バカめッ!!」

 

 

吉良「ッ!?」

 

 

不意にキラークイーンの動きがピタリ…と止まった。

吉良がよく目を凝らすと、部屋中の至る所から伸ばされている透明なワイヤーがキラークイーンをいつの間にかグルグル巻きにしていた。

 

 

吉良「しまッ…!!」

 

 

鈴久「くたばれぇぇぇぇぇッ!!」

 

 

 

ゴゥアァッ!!

 

 

 

スピリッツがその隙をついて、キラークイーンの胴にフォトンブレードを突き刺した!!

するとどうだろう。

突き刺された部分からキラークイーンの体全体にヒビが入り、体がどんどん砕け散っていく。

 

 

吉良「バ……バ……カな……こんな所で…!!?」

 

 

アンダープレッシャーのスイッチを押し、時壊しを発動させようとした吉良だったが、その前にキラークイーンの両腕が崩壊し、能力は発動出来なくなった……。

 

 

吉良「ぬぅがぁぁぁぁぁぁぁ……………ッ!!」

 

 

 

バッギャァァァァァァン!!

 

 

 

そして、吉良の体は完全に砕け散り、原子レベルにまで粉微塵となって消えた………。

そしてこれ以上、何の爆発も起きることなく、吉良の反撃も無い。

その場に静寂が訪れる…。

 

 

鈴久「フ………フフ……フハハ……」

 

 

鈴久「フハハハハハハハハハハハッ!!

 

 

最後に立っていた鈴久は、笑い声を上げ、静寂を切り裂いた。

すると、どんどんスピリッツに再び、パワーが漲り始める!!

 

 

鈴久「勝った!!勝ったぞッ!!俺の勝利だ!!ざまぁみやがれぇぇぇッ!!」

 

 

吉良に勝利した。

その事実が再び、鈴久のスピリッツにパワーを取り戻させたのだ!!

 

 

鈴久「これで矢は完全に俺の物だ…!!俺が支配者なのだ!!」

 

 

鈴久「…ん?」

 

 

鈴久は切り落とされ床に転がっている自分の左腕を見るが、その手に矢は握られていなかった。

 

 

 

鈴久「落ちた衝撃で何処かへと滑っていったか……?」

 

 

 

あまり広くは無い部屋なので、探すのにそう時間は掛からないだろう。

さっさと見つけて怪我の治療をしようと、鈴久は矢を探すために、部屋の中を歩き出した。

瞬間…

 

 

 

カチッ……ボゴッボゴォッ!!

 

 

鈴久「あばぎゃ!?」

 

 

鈴久の体がボコボコに膨らみ始める。

そして何が起きたか、鈴久が理解も出来ない内に…

 

 

ドッグォォォォン!!

 

 

鈴久の体は爆発し、木っ端微塵となって消えた………。

 

 

 

シュウゥゥゥゥ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《午後13:30分》

 

 

 

 

店長「えーみなさん!!それでは午後の営業も頑張って行きましょう!!」

 

 

 

一同「はい!!」

 

 

 

店長「ではそれぞれ持ち場へ戻って仕事を開始してください」

 

 

 

休憩が終わり、“縁”の従業員達は、それぞれの持ち場につき、仕事を始める。

人気店なだけあって午後も客足は多く、店は繁盛していた。

店長も接客に出ているが、それでも中々に忙しくなっていた。

 

 

 

店長「おっとそうだ…この書類を今からいつもの相手に届けて来てくれないか?丁度今、頼めるのが君だけなんだ…頼まれてくれるか?吉良くん

 

 

店長に声をかけられた吉良は、ゆっくりと振り向いた。

 

 

吉良「えぇ。分かりました。いつもの場所ですね。それでは……早速向かいます」

 

 

店長「うん。頼んだよ!」

 

 

吉良「はい。お任せを…店長」

 

 

 

 

 

 

書類を受け取った吉良は、届け先へ向かって、歩き始める。

途中で、緑山鈴久の家の前を通り過ぎる時、吉良は誰にも聞こえない声で、呟いた。

 

 

 

 

 

吉良「中々に手強い相手だったが…君は最後の最後で求めてしまった……それが敗北なのだよ……緑山鈴久。……まぁお陰で、こうして矢は無事に私の元へと帰ってきてくれたのだ……だから別に構わないのだがね……」

 

 

 

 

吉良の胸ポケットには、元通り矢が入っていた……。

 

 

緑山鈴久……キラークイーンによる物かも不明な謎の爆発により死亡…。

程度のスタンド、スピリッツと共にリタイア…!!

 

 

 

 

TO BE CONTINUE………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キラークイーン(吉良使用時)

公開可能となった能力説明!!

1,触れた物はなんでも爆弾に変える第一の爆弾。

2,無敵の自動追尾爆弾戦車シアーハートアタック。数は12機まで出せる。1機だけ射程が50m以内となるが、熱感知ではなく、確実に対象を狙って爆発する。
そして硬い。この世の何よりも。
譲信が操った場合のスタープラチナの八割以上本気のパンチでも破壊は出来ない。
つまり、超新星爆発にすら耐えうる耐久力を持つと言っても過言では無いが、正直そこまで硬くても強みはあんまりないだろう。

3,キラークイーンを一般人にとりつかせ、吉良の正体を調べたり攻撃しようとしたり、不利に立つような行為を行う者を、問答無用で必ず爆破させ、時を一時間程巻き戻す。(バイツァダスト)正直無敵。防ぐ術無し。ただし、取り憑かれた一般人の前で無ければ吉良に攻撃可能。
一般人が瞳を閉じてても可能。かなり使い勝手は悪い無敵の爆弾。

4,時を爆破して破壊…消し去り、その間にあった事象やそれが要因で引き起こされる全ての事象は始めから無かった事になる。例:怪我をしても、その原因となった攻撃が行われるタイミングの時間を爆破すれば、怪我も無かったように消え去る。(アンダープレッシャー)

5,???…まだ不明。判明しているのは、死んだ筈の吉良が生きており、吉良を殺した者を爆破し逆に殺している。

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