ノリの良いスタンド使いの奇妙な幻想入り   作:仁堂六華

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まず始めに、誤字報告ありがとうございました。
気を付けなければ…!




④空条 譲信は成長する

譲信&スタープラチナ「オラァッ!!

 

 

そろそろ夕方に差し掛かろうとしていた頃、譲信は森の中を再び彷徨っていた。

博麗神社で色々あった後、霊夢と魔理沙に別れを告げ、再度紫から手短に説明を受けて解散となったのだ。

 

現在譲信は幽香の家がある“太陽の花畑”を目指し、襲いかかってくる妖怪達を片っ端から星の白金(スタープラチナ)で殴り飛ばしていた。

 

 

譲信「ふぅ…行きよりは少なくて良かったぜ。……にしても幽香が実はヤベー妖怪として連中からビビられてるなんてなぁ…予想だにしなかったぜ」

 

 

神経質すぎじゃあねぇのか?と疑問にも思うのだが、全員が口を揃えて幽香は「ヤベー奴」だの、「あそこに泊まるなんて正気か!?」だの言うモンだから譲信は、段々と不安になってきていた。

 

確かにいきなりギラついた目をしながら、襲いかかってくるような奴…だとは思っていたりもしなくは無い。

が、譲信はそれでも幽香が別に言うほどヤベー奴には思えなかった。

 

 

譲信「怒らせなきゃあ良いだけだろぉ…?簡単!簡単!」

 

 

話を聞くに幽香が怒る時は、花を傷つけたりした場合らしい。

だったら花を傷つけたり粗末に扱ったりしなければ何の問題も無いという事だ。

…と気楽に譲信はそう考えていた。

 

 

譲信「それはそうと…今何時だ?」

 

 

譲信は左腕に巻いてある腕時計を見る。

時刻は既に午後16:30を指していた。

 

 

譲信「もうこんな時間か!急いだ方が良いなこりゃ…」

 

 

もたもたしていると日が暮れる。

霊夢曰く、日が暮れると妖怪達が活発に動き出すと言うもんだから譲信は急ぐことにした。

 

 

譲信「とは言ったけどもよ…!」

 

 

しかしそう簡単にはいかない。

さっきから何故か大量の妖怪達から襲われたり、落石や倒木や巨大な岩石の行き止まりだとか、様々なトラブルに巻き込まれている。

そして今も、ざっと10体近くの妖怪達に追いかけ回されているのだ。

 

 

譲信「なんでだ!?なんでこんなにトラブルにモテるんだ俺は!?くそぅ!!」

 

 

譲信&スタプラ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」

 

 

飛びかかってくる妖怪達を纏めて、スタープラチナのラッシュでぶっ飛ばす。

一応威力は抑えめだがそれでも圧倒的なパワーの為、一発くらうだけで拳を受けた箇所は原型をとどめなくなる。

それを何十発もくらってしまえば、もはや生きてる方が奇跡だった。

 

 

譲信「気ン持ちィ~スカッとするぜぇぇぇ!!…けど、今は勘弁してくれぇ!!日が暮れちまう!!」

 

 

譲信はスタープラチナだけは完全にパワーの制御が出来ない。

いくら威力を控えめにしたとしても、それでも一発一発が殺人級の威力を誇る。

故にこういった相手にぐらいしか、スタープラチナは出せないのだ。

念願だったスタープラチナのオラオラのラッシュ。

しかし今は呑気に楽しんでいるヒマは無い。

急いで幽香の家に向かわなければ最悪、森の中で遭難してしまう可能性さえ有り得た。

そしてそんな譲信に、さらに追い打ちが掛かる。

 

 

譲信「おいおいおいおいおいおいおい…巫山戯んじゃあ無いぞッ!?」

 

 

なんと目の前に超巨大な岩石が置かれ、譲信の行く手を阻んでいた。

 

 

譲信「これで何度目だぁ?何で帰りにこんな目に遭わなきゃあならんのだ!……仕方ねぇ戻れ!スタープラチナ!」

 

 

イライラしながら、譲信は別のスタンドを出すために一旦スタープラチナを戻す。

そして

 

 

譲信「キラークイーン!!

 

 

譲信に呼ばれて、キラークイーンが現れる。

 

 

譲信「このクソッタレな岩石を爆弾に変えろッ!!」

 

 

キラークイーンは指先でそっと、目の前にある巨大な岩石に触れる。

 

 

譲信「木っ端微塵に消え去れ!第一の爆弾!!点火ァ!!」

 

 

カチッ………ボゴォォン!!

 

 

譲信が第一の爆弾のスイッチを入れると、激しい爆発音と共に岩石は木っ端微塵に消し飛ぶ。

ラッシュで破壊するよりも速く、綺麗に終わるのでこういう邪魔な障害物はキラークイーン“第一の爆弾”で消し去るのだ。

 

 

譲信「はい一丁上がり!しかしだな…これでこういう障害物に行く手を阻まれちまうのは何度目だぁ?」

 

 

そう、譲信はさっきからもう数え切れないくらいにありとあらゆる障害物に邪魔されたりしているのだ。

行き道は何とも無かったのに、いざ帰りともなるとこれだ。

心なしか襲ってくる妖怪達の頻度も増しているような気がしてならない。

 

 

譲信「とか言ってると……早速来たな…」

 

 

妖怪達「キエェェェェェ!!」

 

 

近くの茂みからまた、数台の妖怪達が譲信目掛けて突っ込んでくる。

 

 

譲信「よーしよし…良いところに来たな…いい加減邪魔するだけの奴等には働いてもらうぜ……スケアリーモンスターズ!!

 

 

キラークイーンを引っ込めてから、譲信は行きにも使用し、魔理沙とトラブルの原因にもなったスタンド能力を発現させる。

 

 

譲信「ウシャァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

半恐竜化した体で譲信は次々と妖怪達を切り裂く。

スケアリーモンスターズは自身の体を恐竜に変化させ、圧倒的な身体能力を得る強力な能力だ。

しかし、スケアリーモンスターズの本領発揮はここからだったのだ。

 

 

譲信「さぁ暴れ回って来い恐竜共!!」

 

 

恐竜達「ギャァァァァァァァス!!」

 

 

譲信に切り裂かれた妖怪達は、何と恐竜に姿を変えると譲信の命令を受けて走り出したのだ。

 

そう!スケアリーモンスターズの真の強さとは!何と攻撃し、傷をつけた相手を強制的に恐竜に変異させ、完全に支配下に置くことが出来るという点にあるのだ!

 

 

譲信「ニョホホホホ!これで少なくとも妖怪達の襲撃は心配しなくて済むぜ!俺の恐竜共が自動的に片付けてくれるからなぁ!」

 

 

そしてそのまま、譲信は半恐竜化状態で森の中を駆ける。

このまま順調に行けば、数十分で幽香の元に辿り着けるだろう。

しかしその時だった!

 

 

譲信「…何ッ!?俺の恐竜が…何者かにやられただと?」

 

 

突如として自分の支配下にあった恐竜が一体、何者かに殺された感覚が譲信に伝わる。

そして…

 

 

譲信「ム!?またやられた!!?」

 

 

続けて二体目も殺される。

そしてまた一体…また一体…と、どんどん数が減らされていく。

何か異常な事態が起こっている…少しマズい…と思った譲信はその場に立ち止まる。

 

 

譲信「フゥー…また何かのトラブルに巻き込まれているって訳か……俺の恐竜達をこのスピードで始末していってる辺り、結構な手練れっぽいぜ…!!」

 

 

その間もどんどん恐竜達は減らされていき、ついには譲信一人だけが残ってしまった。

 

 

譲信(さぁて……次は俺かぁ?…へ!来るなら来やがれ…返り討ちだ!!)

 

 

どこから敵が飛び出てきても良いよう、譲信は恐竜の感覚を極限まで研ぎ澄ませていた。

 

 

すると、どうだろう。

突如として、譲信の前方距離にして8mくらい前の場所で、空間がパックリと開く。

 

その開いた隙間からは、もはや見慣れた…目玉だらけの空間が見えた。

そしてそこから現れたのは…

 

 

譲信「え…紫さん!?何してんスか!?」

 

 

八雲 紫が、譲信の支配下だった恐竜の生首を持って現れたのだ。

紫は、その恐竜の生首を譲信の足元へと放り捨てる。

ドチャリ…と嫌な音が響く。

 

 

譲信「まさか…俺の恐竜をやったのって……紫さんが…?」

 

 

紫「恐竜?…ホホホ…笑わせるわね。ただの珍しいトカゲかと思ったわ…あら、失礼…フフフフ」

 

 

開いた扇子で口元を隠しながら、紫は不気味な静けさで静かに笑う。

 

 

譲信「トカゲだとぉ~?そりゃサイズはあれだけど…」

 

 

まぁ確かにスケアリーモンスターズは恐竜化とは言え、サイズは本物の恐竜とは程遠い。

なぜならベースとなる生き物の大きさに影響を受けるからだ。

 

 

譲信「って…んなことより、いきなりどうしたんすか?いきなりこんな酷いことを…俺、何か紫さんを怒らせることしちゃいました……?」

 

 

紫「心配しなくて良いわよ?私は別に怒ってる訳じゃ無いの。至って普通よ。」

 

 

譲信「はぁ…なるほどぉ?」

 

 

怒ってはいない。

まぁそれなら良かった…と一瞬ホッとする譲信。

しかし、何やら言いようの無い不気味さが残る。

 

 

紫「ただ悪いのだけど……死んでくれないかしら?」

 

 

譲信「……ッ!!」

 

 

瞬間、譲信に今まで感じたことも無かった何とも言えない寒気が襲いかかる。

 

その寒気の正体は殺気!

譲信は本能で紫から発せられる殺気を感じ取ったのだ。

 

間違いない、紫は本気だ!今の言葉は本気なのだ!

一瞬で理解した譲信は、このすこぶるヤバイ状況から切り抜ける為の一手を考える。

 

そして、一つの策が突如として譲信に舞い降りてきた。

これしかない!と、譲信はすぐさま実行に移す。

 

 

譲信「あ!!幽香さんだ!!」

 

 

紫「え?」

 

 

譲信は紫の後ろを指さしながらそう叫んだ。

思わず、紫は後ろを振り向く。

紫の注意は譲信から上手くそれた。

そして、その一瞬を譲信は逃さなかった!

 

 

譲信「逃げるんだよーーー!!」

 

 

全速力!!

恐竜の身体能力でその場から全速力で譲信は逃げ出した。

 

 

紫「…あ!!待ちなさいッ!!」

 

 

譲信「待てと言われて待つ奴はいませーん!!」

 

 

何で幻想郷のお偉いさんから命を狙われなけりゃあいかんのだ!

冗談じゃあねぇ!!

捕まったら厄介だとばかりに譲信は振り返りもせずただ走る。

 

 

紫「何処までいくのかしら?」

 

 

譲信「え?」

 

 

しかし、いつの間にか紫に横に並ばれてしまっていた。

いつの間に!?と驚き紫をよく見ると、何と近くに紫の空間…スキマが開き、ワープの要領で追いつかれていたのだ。

 

 

譲信「そんなのありかよ!?チィ…!ウシャァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

譲信は紫をはねのけようとしたが、それよりも早く体に衝撃と痛みが走る。

 

 

譲信「ぐぼぉあ!?」

 

 

見ると、真横からもスキマが開きそこから大量の弾幕が放たれていた。

 

 

譲信(くそぅ………)

 

 

回避はもう間に合わない。

スタンドの切り替えなんてしている暇は無かった。

 

 

ドドドドドドドドドン!!

 

 

譲信「ぐぅあぁぁぁぁぁぁぁ!!」 

 

 

攻撃を受けた譲信は、森の中の少し開けた場所まで吹っ飛ばされてしまう。

砂埃を上げて、腕から少し血を流す。

 

 

譲信「がっは………致命傷は免れたが………痛ってぇなぁ……」

 

 

譲信は恐竜の身体能力のお陰で間一髪、後ろに飛んだ事で致命傷を避ける事が出来たのだった。

 

 

紫「大した身体能力ね…間一髪で躱すなんて思わなかったわ」

 

 

そこへ、紫が開いたスキマから現れる。

 

 

紫「何がなんだか分からないって顔ね?せめてもの情けに…何故こんな目に合うのか…教えてあげましょうか?」

 

 

譲信「……へ!…納得できりゃあ良いがな………」

 

 

譲信は鈍い痛みが響き、まだ上手く立ち上がる事が出来なかった。

 

 

紫「空条 譲信、あなたは気付いていたかしら?…襲ってくる妖怪の数が尋常では無かった事…いくつもの障害物が行く手を妨害していた事…おかしいとは思わなくて?」

 

 

譲信「………そうかい。全部紫さんのイタズラだったってか…?笑えねーぜ……ったくよぉ~」

 

 

紫「イタズラでは無いわ…これは一種の試験よ。あなたが1年間、この幻想郷で暮らしていくに値するかどうか…のね」

 

 

片膝を突きながら、意地の悪い笑みを浮かべつつ譲信は口を開く。

 

 

譲信「あぁ成る程…様子を見る限りじゃあ…俺は不合格っぽいなぁ?……どーいう採点基準なんだ?こん畜生……!」

 

 

紫「恐竜化…無差別爆破…鬼と並ぶかそれ以上と思えるパワー……等を持った“見えない守護霊”…スタンド。人間の身でありながら、人知を越えた力を持つあなたは…この幻想郷にとって危険な存在でしかないのよ。人里の人間に悪影響を与え、仕舞いにはこの幻想郷のパワーバランスを崩しかねない…分かるわね?」

 

 

成る程そう来るか…と譲信は冷や汗を流す。

確かに譲信の持つスタンドの能力は他人からすればかなり危険だ。

幻想郷だけで無く外の世界であっても、人に知られてしまえば最悪、消されるか実験場送りになるだろう。

 

 

譲信「だからと言ってよぉ……一応あんたのミスでもあるんだろーが?」

 

 

紫「えぇ…だから責任をとって…情けをかけて…この私の手で直接、死なせてあげると言ってるのよ?」

 

 

譲信「おいおいおい…そりゃあお情けになってねぇわ……」

 

 

紫「それは残念ね?あなたには救いが無くて…まぁ恨むなら勝手になさい…」

 

 

紫は、冷たく譲信に言い放つ。

譲信を始末する。紫のその考えに譲信は迷いが無いように見えた。

 

 

譲信「OK……じゃあもうちょっとワンランク上の勝手をさせて貰うぜ!!覚悟しなッ…キラークイーン!!

 

 

譲信はキラークイーンを発現させ、紫に攻撃を仕掛ける。

 

 

キラークイーン「しばっ!!」

 

 

顔面に拳を叩き込む!と、キラークイーンの右拳でストレートを放つ。

綺麗にヒットする!…筈だったのだが、紫が動いてしまった為、キラークイーンの右ストレートは空振りに終わる。

 

 

譲信(ならば…キックをお見舞いしてやれ!!)

 

 

キラークイーン「しばっ!!」

 

 

次にキラークイーンは、体制を立て直す時の動きを利用して、紫に向かって蹴りを放つ。

しかし、それも当たらない。

まるで、キラークイーンが見えているかのように、紫はその攻撃を躱してしまったのだ。

 

 

譲信「何ィィ!?まさか……見えているのか!?スタンドが!?」

 

 

有り得ない!!っと言った表情で譲信は紫に向かって叫んだ。

 

 

紫「そのスタンドと言うのが…猫のような亜人の姿をしているそれなら……答はYESよ!」

 

 

譲信「何故見える!?何故俺の…キラークイーンを見ることができるんだ!?」

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドド…

 

 

紫「それが私の能力…“境界を操る程度”の能力よ」

 

 

譲信「境界……だとッ!?」

 

 

紫は、静かに自身の能力を譲信に教える。

 

 

紫「物事には必ず境界がある…生と死…夢と現実…私の能力はその境界を自由に操る事が出来る能力よ。あなたのスタンドに干渉できるか出来ないか…その境界をいじらせて貰ったわ…もうあなたのそのスタンドは…誰でも見ることが出来るし、触れる事も出来わよ」

 

 

譲信「な…何ィィィィィィィィィィィィ!?」

 

 

いきなり告げられた、能力の弱体化。

スタンド使いのアドバンテージを無くされてしまったのだ。

譲信は完全に舐めていた…油断していた。

相手がスタンド使いで無ければ、特に何の問題も無いのだと。

その考えが命取りだったのだ。

 

 

譲信「WRYYYYYYYYYYYYY!?巫山戯んじゃあ無いぞッ!!いきなり人の能力を弱体化させやがって!!覚悟は出来てんだろうなぁ?あぁッ!?」

 

 

譲信の怒りは結構なくらいまで来ていた。

弱体化された…それもあるが、一番の理由はスタンドという芸術の一部を汚されてしまったからだ。

譲信はスタンド使いである以前に、一人のジョジョ好きだ。

当然、並々ならぬ拘りを持つのだ。

スタンドルールの勝手な改変。それは、一人のジョジョ好きの怒りに触れるのには充分だった。

 

 

紫「知らないわねぇ…私は幻想郷を守る為に一番と思った事をしてるまで…空条 譲信、あなたは幻想郷にとってで、私は幻想郷にとっての正義なのよ!」

 

 

だが紫にとってそんな事はどうでも良いこと。

一番大切なのは、いかにして幻想郷のバランスを保つかなのだ。

 

 

譲信「勝手な事を言いやがって!!キラークイーンッ!!」

 

 

紫から放たれる大量の弾幕。

それを、譲信はキラークイーンのラッシュで弾いていく。

 

 

キラークイーン「しばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばッ!!」

 

 

紫「成る程…そうやって弾いていた訳ね…ならこれはどうかしら?結界・客観結界!!

 

 

譲信「何ッ!?」

 

 

キラークイーンのラッシュを見ながらスタンドの使用方法を少し理解した紫は、これならどうだ…ただの弾幕とは全く違う、技を発動させる。

 

見るからに威力も速さも、結構ありそうな衝撃波が譲信目掛けて放たれる。

 

 

譲信「防げるか……!?…キラークイーンッ!!」

 

 

キラークイーン「しばばばっ!!」

 

 

さっきよりも速く!強く!意識したキラークイーンのラッシュで衝撃を相殺する。

 

 

譲信「!?キラークイーンッ!!後ろだぁ!!」

 

 

その時、譲信は紫の側にスキマが開いており、さらにキラークイーンの背後にスキマが開くのを確認し、慌てて命令を下す。

しかし、譲信のそれは一手遅れてしまっていた。

 

 

ドドォ!!

 

 

不意を突かれたキラークイーンの腹部と頭部にに数発、被弾してしまう。

そして、スタンドの受けたダメージは本体にもフィードバックされる…!

 

 

譲信「がっはぁっ!!?」

 

 

スタンドのボディとはいえ、弾幕ごっこ時とは違い今は、威力は殺人級にある紫の一撃。

真面に受け、譲信とキラークイーンは紫のすぐ側にある岩に叩きつけられるように、吹き飛ばされる。

 

 

ドゴッ!!

 

 

譲信「……………!!!!っぁ……!!」

 

 

キラークイーンを前方にやり何とか激突の衝撃は防げたが、すぐに紫の攻撃で受けたダメージが全身に回り、声にならない声を上げて、譲信は倒れ込む。

そして、キラークイーンもスゥ…と譲信の中に消えていく。

 

 

譲信「ゆ…油断しちまった……く……そ……動けねぇ……ぞ……」

 

 

譲信にはもはや、パワーのあるスタンドを動かす力は残っていなかった。

 

 

紫「いいえ…良くやった方よ。人間の身でありながら…この私に技を使わせたのだから…誇りなさい」

 

 

虫の息となった譲信に、紫はゆっくりと近付いていく。

 

 

譲信「……へ!…負けたのに…何を誇れって……?……畜生ォ……」

 

 

紫は本心から譲信の事は大した者だと評価していた。

脆弱な人間で、その若さで自分にここまでさせたのだから…と。

久しく見た勇ましい者に敬意を表して、紫は直接自分の手で譲信を終わらせようと思っていた。

そして、すぐ手を伸ばせば譲信に届く距離まで近付く。

それでも、譲信からはスタンドが出てくる気配は無かった。

 

 

紫「終わりよ空条 譲信。最後まで闘志の消えないその目は……悪くなかったわよ……さような……」

 

 

紫が言い終わる前に、譲信は紫の足首をガッ!!と掴む。

 

 

譲信「……………ゴホッ………」

 

 

紫「…………最後まで足搔くつもりなのね……でもそんなに弱っていて何ができるのかしら?」

 

 

紫は譲信の首を掴み持ち上げ、自分と同じ目線の高さまで持っていく。

 

 

譲信「……やれよ……だが俺はまだ負けてねぇからな………ゴホッ…!」

 

 

紫「勿体ないわね。身に余る力さえ持っていなければ、この幻想郷は歓迎してあげられたというのに。最後に言い残すことはあるかしら?」

 

 

譲信「……我が心と行動に一点の曇り無し…全てが正義だ…!」

 

 

譲信はこれが言いたかったぜ!と言わんばかりにニヤリと笑って答えた。

 

 

紫「さようなら」

 

 

譲信の言葉を聞き届けた紫は、短く別れを告げると、片手で譲信の腹を突き破った。

 

 

譲信「ぐはぁ……ッ!!?」

 

 

譲信は仰向けに地面に倒れ、その瞳には真っ赤な夕方の空が映った。

紫は腕を一振りし、譲信の血を払うと背を向けて、その場から立ち去っていく。

 

 

譲信(………痛ぇ……これが死ぬ痛みかぁ……やれやれ……ひでぇ一日だぜ……)

 

 

最後に譲信は左腕に巻いてある時計と立ち去る紫の背中をジッと見ていた。

 

 

紫(少し時間はかかったけど…後の事は藍に任せておけば良いわね…さて、帰ろうかしら)

 

 

そして紫は帰るために、スキマを()()た。

それを倒れている譲信はニヤリとして見ており、そして時計のツマミに触れながら擦れた声で呟いた。

 

 

譲信「……()()たな………バ~……カ…」

 

 

 

ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…

 

 

 

紫「…………え?」

 

 

紫は信じられない物を見た…というような顔をしていた。

何故なら、自身が帰るために開いた…絶対に誰もいるはずが無いスキマの中で、バイクに乗った謎のライダーがエンジンを吹かせていたのだから。

 

 

紫「な……何者ッ!?」

 

 

紫は驚愕し、すぐに身構えた。

そして、そんな紫の背後から声をかける者がいた。

 

 

譲信「人と言うのは…追い詰められてこそ初めて、成長する生き物ってのは本当なんだな…」

 

 

紫「空条…譲信……!?有り得ない……傷が…塞がって……!?」

 

 

何と紫の一撃をくらい、穴の空いていた腹部は元通り綺麗な状態に戻り、飛び散った血も綺麗に消え去っていた。

 

 

譲信「そう…俺はちょっぴり成長したぜ。ホワイトスネイクのディスクで他のスタンド能力を埋め込めば、同時に二体のスタンドを使役する事ができる………新たな発見だぜ」

 

 

譲信は腹をさすりながら、言葉を続ける。

そして、その譲信をよく見ると、何やら管のような物が巻き付いていた。

 

 

譲信「“マンダム”原作とは違い俺は…10秒…それよりも長くなければ短くもなく…キッカリ10秒だけ時を巻き戻せる…そういう能力だ。」

 

 

紫「時を…巻き戻した……?」

 

 

紫は自分の手を見る。

すると、さっきまでこびり付いていた譲信の血が綺麗に消え去り、自身の移動した距離も大きく変わっていた。

言われなければ気付けない、変化が起こっていたのだ。

目を見開き、驚きを隠せないでいる紫に、譲信は言葉を続ける。

 

 

譲信「オイオイ…余所見してて良いのかぁ?紫さんよぉ…俺の“ボーン・ディス・ウェイ”は既にロックオンしているんだぜ?」

 

 

紫「…はっ!?」

 

 

言われて気付いた紫は、しまった!!と攻撃を仕掛けにすぐに後ろを振り向く。

 

 

ドォン…ドォン…ドォォォォォォォン!!

 

 

しかし紫のその一手は遅れてしまっていた。

既にボーン・ディス・ウェイに急接近されていたのだ。

そして

 

 

紫「うぅ!?目…目に血が…凍って……開かない!?」

 

 

突如吹いた冷たい風に乗って、紫の目に付いた譲信の血。

その血は瞬間的に凍り、紫の閉じた瞼は開かなくなる。

そして目の見えなくなった紫を、ボーン・ディス・ウェイはバイクの突進で弾き飛ばした。

 

 

紫「きゃぁぁ!?」

 

 

弾き飛ばされ、完全に何処まで移動したのか分からなくなる紫。

すぐに目を擦って、血を払いボーン・ディス・ウェイのいる方向を確認する。

しかし、そこには既にボーン・ディス・ウェイはおらず、音も消え去り、完全にボーン・ディス・ウェイの気配は消え去っていた。

 

 

紫(危なかった……あのまま追撃されていたら確実にダメージを………!?)

 

 

安心したのも束の間、紫は背後に別の…更に嫌な気配を感じ、振り向く。

するとそこには…

 

 

譲信「やれやれ…わざわざここまで吹っ飛んで来てくれるたぁ…親切で痛み入るぜ………」

 

 

星の白金(スタープラチナ)を構え、鋭い目つきで見下す譲信が静かに立っていた。

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………

 

 

 

紫「空条………譲信……!!」

 

 

譲信「出しな…どれか1発だけ…てめーの一番自信のある技をな………出そうとしたと同時に…スタープラチナをてめーに叩き込む……西部劇のガンマン風に言うなら……抜きな!!どっちが早いか試そうぜ………って奴だぜ……」

 

 

紫「………………っ!!」

 

 

これが17歳の人間の子供が出せる気迫なのか!?と紫は思わず息を呑んだ。

 

…二人の間に一瞬の…沈黙の間が空く………。

 

そして……動く!!

 

 

 

紫「廃線・ぶらり「オラァッ!!」…っ!?」

 

 

 

技を発動させようとした紫の頬に、スタープラチナの拳がクリーンヒットする…!!

 

 

 

譲信&スタプラ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ…オォーラァァーッ!!!!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァァァァーッ!!」

 

 

 

スタープラチナの超怒涛のラッシュが炸裂した!!

完全に意識を失った紫は遠方へとぶっ飛ばされる!!

 

 

譲信「俺はコケにされたり…理不尽に殺されちまいそうになりゃあ…女だろーが容赦しねぇーんだよ……やれやれだぜ………だが今回は手加減しておいてやったぜ……!」

 

 

 

僅か数分にしか満たなかった攻防。

それを制した勝者は、勝利の拳を上げる代わりに、静かに帽子のツバをつまみ、やれやれとため息をついた。

 

 

 

TO BE CONTINUE……………

 

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