ノリの良いスタンド使いの奇妙な幻想入り   作:仁堂六華

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最初に、誤字報告有難う御座いました!!


スタンドクイズ④


ヒント①新月の時を待つ

ヒント②緑色の赤ちゃん

ヒント③パンチは必ず一発だけだ








⑧追跡!!ムーディーブルース!!

日の差し込まない、暗い地下のような部屋。

畳の上で何かが擦れる音と、壁に何かが打ち付けられる音がする。

唯一の光源は蝋燭の明かりだけであり、その僅かな明かりは一人の男と、縄で拘束され猿ぐつわで声も出せない、一人の少年を照らし出していた。

 

 

???「まだだ……まだ完全では無い………あと少し…あと少しなのだ……それまでは誰にも知られるなんてあってはならなかった筈なのだ……」

 

 

謎の男は、拳を壁に打ち付けながら身動きが取れず、怯えている少年を睨みつける。

 

 

少年「ゥー!?ウゥーー!?」

 

 

???「なのに…お前は見てしまった……!だからこうしてここへ連れてきたのだ………決して俺のことは誰にも、悟られてはならないからだ…!」

 

 

少年「ウウウウウウウウ!!」

 

 

少年は必死に拘束を解こうと力を込めるが、全くビクともしない。

 

 

???「可哀想だが……直にお前は殺さなければならない……尤も俺の夢のためだ…同情なんてのは…これっぽちも無いがな……」

 

 

少年は怯え、涙目で男を見る。

その目は子供が必死で許しを乞うときのそれだった。

謎の男は、そんな少年の許しを乞う心の声を否定するかのように、首を横に振る。

 

 

???「全ては夢の為だ……我が夢は人間の夢……下克上………幻想郷の“人間社会化”計画……人間以外の知的生命は……絶やさねばならない………!!お前の死はその為の礎となるだろう……」

 

 

そう言い終えると男は、蝋燭の火をフッと息を吐いて消した。

部屋には完全なる静寂と暗闇が訪れた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信「失礼、落ち着いてもう一度……今何と?」

 

 

慧音「あぁ…私の教え子が昨日から一人、行方不明となっているのだ…年は7歳になる丸刈りの男の子だ」

 

 

“JOJOの何でも屋”では現在、依頼人である里の寺子屋の教師、上白沢慧音から譲信は事情を伺っていた。

慧音は最初「入り口で話すから良い」、と言っていたが譲信が「座って落ち着いて、分かりやすく話してくれ」と言ったので現在はソファに向かい合って座っている。

 

一つのソファには左からこいし、譲信、藍の順に座り、もう片方に慧音が座っている形になる。

 

 

藍「昨日から行方不明…?もしやうっかり里の外に出てしまい、運悪く妖怪に食べられた…とは考えられないか?」

 

 

慧音「何故八雲紫の式がここにいるかは気になるが……そについては、既に調べがついている」

 

 

譲信「……と、言うと?」

 

 

慧音「あらゆる関係者から話しを聞いたが、誰一人としてその子が外に出る瞬間を目撃していなければ、人里の端の方に近付いたという証言すら出てこなかった。それに、あの子は良く出来た子で私達の言いつけを破って外に出る…なんて事は決してしないと断言できる」

 

 

譲信「ふむふむ……」

 

 

常に人通りの多い人里では、誰が何処で何をしていたか…というのは簡単に証言が取れる。

そんな中で何一つとして目撃証言が無かったという事は、その子供はまだ人里内にいる可能性が高いという事だ。

しかし、人里内で迷子であるとしても一日経っても迷ったままというのは考え辛い。

ましてや慧音曰く、自警団や数十人の大人が全力で捜している状況で見つからない…等と言うのは実に奇妙な事だ。

 

 

譲信「…となると、考えられるのは誘拐…か」

 

 

慧音「あぁ。私もその線で考えている」

 

 

藍「なっ…誘拐だと…!?」

 

 

藍は信じられん…と言った顔つきになる。

これまで人里で誘拐事件など起こった試しが無い。

そもそも、人間が人間を誘拐とは考えにくいし、妖怪が人里内で人間を誘拐する…というのも、とても考えられない。

 

 

譲信「誘拐された瞬間は誰も見てないんだよな?」

 

 

慧音「あぁ…誰も見てないと言っている」

 

 

譲信「……と、すると犯人は何かしらの能力持ちだの、その手のプロ…である可能性があるな。じゃなきゃあ目撃ゼロの完璧な犯行なんて出来ねーよ」

 

 

慧音「むぅ……やはりそう思うか」

 

 

藍「ちょっと待ってくれないか?能力持ちとなると…やはり犯人は妖怪である可能性が高いという事になるが……」

 

 

この幻想郷で能力持ちの人間など、ほんの一握りしかいないし、誰がどの能力なのか…と八雲側は全て把握している。

つまり、このような事態を引き起こせるのは妖怪以外に有り得ないのだ。

…というのが藍の考えであった。

 

 

慧音「そうたな…考えたくはないが、人里内で妖怪が動いているのかもしれない…事態はかなり深刻になるな」

 

 

本来人里内で事を起こすような妖怪はいない。

何故なら、ペナルティの巫女や賢者及び多数勢力による粛清を恐れているからだ。

それでも犯行に及ぶということは、正体を探られないという自信がある…もしくは、知られても問題ない程の強者か…いずれにしろ、かなりマズい状況に変わりはない。

 

 

譲信「とまぁ…事情は分かりました。それでつまりは人手が足りないので、うちに依頼しに来た…という事ですね?」

 

 

慧音「あぁ。博麗の巫女にも応援を頼むつもりだが、生憎今は博麗神社まで向かえる人員がいなくてだな…そんな時に“JOJOの何でも屋(ココ)”を紹介されて来た訳だ。」

 

 

譲信「なるほど。では改めて確認しますが…今回の依頼の内容は“行方不明の少年の発見”…で良いですね?」

 

 

慧音「そうだ。引き受けて貰えるか?」

 

 

譲信「勿論です。ただうちは後払い制で、依頼達成までにかかった労力分に見合うだけの金額を頂戴しますが…よろしいですか?」

 

 

慧音「無事に見つけ出してくれるのであれば…幾らでも払うと、事情があってここまで来れない親御さんがそう言っている。そして私も、それを望んでいる。」

 

 

慧音は迷うことなく、真っ直ぐとした目で譲信を見つめそう言った。

ただ少年を助けたい…という、思いがひしひしと伝わって来た。

 

 

譲信「良いでしょう!“JOJOの何でも屋”…その依頼、引き受けました!必ず成し遂げてみせましょう!」

 

 

譲信は、慧音や親御さんの気持ちに応えようと、立ち上がる。

やると言ったからにはやる…譲信は必ず達成してみせると、覚悟を決めた。

 

 

譲信「では慧音さんは引き続き、自警団の方々と連携を取って捜索を続行してください。我々は我々で独自に動かせて貰います。それと、追加で何か分かったらこちらから連絡しますが、そちらでも何か見つかればその時はお願いしますよ?」

 

 

慧音「あぁ分かった。じゃあ私は先に戻るが…どうか、くれぐれもよろしく頼む…!!」

 

 

慧音は、事務所から出て行くとき再度、譲信達に向かって頭を下げる。

 

 

譲信「任せてください!」

 

 

譲信は、胸をドン!と叩いてそう応えた。

 

慧音がいなくなった後、譲信は大きく深呼吸をする。

 

 

譲信「さて、という訳だ。こいし、藍さん。デカイ仕事になるんで、気を引き締めて行こう!」

 

 

こいし「頑張るよ!」

 

 

藍「仕事まで手伝えとは言われてないが…事が事だ…良いだろう協力しよう」

 

 

本来藍の役目は、あくまで私生活と、経営についてのアドバイザー及び仕事の監視であって、依頼事態に力を貸すことは範囲外だ。

しかし事が事で、もしかしたら幻想郷全体に関わる問題なのかもしれないので、今回ばかりは全面的に譲信に協力する事にしたのである。

 

こいしはようやく面白そうな事が起こったと、やる気満々になっていた。

 

 

譲信「まず俺達は、人里の内側を徹底的に調べていこうと思う。」

 

 

譲信は、店の扉に“仕事中につき只今不在”と書かれた看板を下げながら言う。

 

 

こいし「どうして?まずは人里の外じゃないの?」

 

 

譲信「普通に考えりゃそうなるだろうが、今回は聞いた限り色々と奇妙だ。なんせ、目撃証言が一定の範囲でプッツリと途切れてしまってるからな…そこは俺も慧音さん達と同様に、人里内で起きた失踪と判断するぜ」

 

 

こいし「へぇ~」

 

 

藍「しかし…調べると言っても既に聴き取り調査は、入念に行われているようだが…?」

 

 

譲信「いいや、聴き取り調査はしないぜ。俺が調べてーのは造りだ。」

 

 

藍「造り?」

 

 

譲信「そう。何処にどの様な建物が建ち、どの様に道が作られているのか…それを知りたい。」

 

 

こいし「えー?どうしてそんなこと知りたいの?」

 

 

譲信は歩きながら、二人に説明しだす。

 

 

譲信「ぶっちゃけ行方不明の少年を見つける算段は既に出来上がっているんだよ…ただ問題は、犯人の誘拐時に使ったルートを把握しておかないと不利になる点だ。」

 

 

こいし「?、?、?えーと…?」

 

 

こいしは何がどういうとことか、分からない…と言った顔だったが、藍は何かに気付いた様子だった。

 

 

藍「なるほど…もし万が一、犯人が子供を人質に逃走を図った場合、そのルートを把握しておかないと追うに追えなくなるということか…誰にも見つからずに連れ去る事が出来るルートなら、もしかすると逃走時にもそこを通る可能性があると…そういう事だな?」

 

 

譲信「EXACTLY♪流石理解が早い!それに、他にも使われそうなルートを見つけられるかもしれないからな。勿論、一番は逃げられずにその場で全てを完了させる事だが、何せ相手は能力者なんだ…万が一を想定しておいて損はねーぜ?」

 

 

こいし「なるほど!流石お兄さん♪そこに痺れる憧れる~♪」

 

 

譲信「お?俺に対してジョジョネタを使ってくるとは…やるじゃあねーか!!こいし!!」

 

 

譲信はニカッと笑ってこいしの頭を軽く撫でる。

譲信に撫でられて、こいしは嬉しそうな笑顔を浮かべていた。

 

 

藍「やれやれ…巫山戯てる場合じゃ無いだろう……さて、調べるなら三手に分かれて作業を行った方が早いが…どうする?」

 

 

譲信「そうっすね。そうしましょうか。一応地図を参考にしながらも、細かい事は書き込んでいってくれよな。そんじゃ、作業開始!終わった奴からここで待機しててくれ!」

 

 

こいし「はーい♪」

 

 

藍「分かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「やはり…探られ始めている…か」

 

 

暗闇で、謎の男が扉をうっすらと開け外の様子を伺う。

 

 

???「急がねばな…小僧を殺すのは……まだ早い。こいつは、いざという時の切り札だ……この俺の準備が整うまでは………まだ耐えねばならん……!」

 

 

少年「……………。」

 

 

部屋に横たわる少年は、絶望に染まった生気を失った瞳で虚空を眺めている。

何もかも諦めた…そのような目だった。

 

 

???「八雲紫や…博麗霊夢はまだ動いていない……状況はまだこの俺に味方してくれている…」

 

 

謎の男は、何かの本をペラペラと捲り始める。

 

 

???「俺が“程度”の能力に目覚めてから既に1ヵ月…だいぶと馴染んできたし…成長もしている。そして、何処へ向かうべきなのかも…ハッキリと分かる……後もう少しだ…」

 

 

謎の男の本を捲る仕草が、幻想郷の地図が描かれているページでピタリと止まった。

 

 

???「思ったよりも広かったな幻想郷……お陰で…予定よりも遥かに時間が掛かってしまった……しかし…もはや時間はどうでも良いのだ……最終段階に入ってる現在…問題は別にある…」

 

 

謎の男は部屋の隅に置いてあった物を取る。

それは、変わったデザインの矢だった。

 

 

???「この矢だ…謎のパワーを秘めたこの矢……八雲紫ですら存在さえしらないこの矢………これについて俺は知る必要がある……どこの文献にも載っていないが…一つだけ俺が理解したこと……それは………この矢は、貫いた者を“程度”の能力に目覚めさせる力を持つということ……」

 

 

謎の男は矢を再び元の位置に置き直すと、扉を閉める。

 

 

???「これから俺は…王になるのだ……この矢を完全に支配して……な」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信「ふむふむ…探せばこんだけあったかぁ…」

 

 

一方その頃、譲信達はさっさと付近の地理を調べ終え、合流し寺子屋を借りて情報整理を行っていた。

 

 

藍「改めて人里を調べてみると…以外にも今まで気付いて無かった場所もあるのだな…」

 

 

譲信「こんだけまとまりゃあ充分だぜ」

 

 

藍はいつも訪れて理解していたと思っていただけに、人里についての理解がまだ足りなかったと密かに反省していた。

妖怪の感覚ではあっという間でも、人間にとってはそれなりの年月になる時間の流れは、常に人里の造りを少しずつだが、変えていっている。

そこは、妖怪ならではの盲点だったという訳だ。

 

 

こいし「でも、どうやってその子を見つける訳?」

 

 

次はいよいよ、子供の捜索に入るわけだが、一体どうやって見つけようというのか…譲信は何を考えているのかこいしは気になっていた。

 

 

譲信「今回はかなり楽な捜索だ。写真もあれば、日時もハッキリしているし、とても助かる」

 

 

そう言って譲信は自身の傍らにスタンドを出現させた。

こいしは「わー!」と喜びに近い声を上げ、藍は初めて見るスタンドを興味深そうに眺めていた。

 

 

譲信「“ムーディーブルース”リプレイならお手の物だぜ!」

 

 

そう言って譲信は早速、ムーディーブルースの能力を発動させる。

すると、ムーディーブルースの額にあるメモリーが遡り初め、ムーディーブルースの姿が段々と写真に写っている行方不明の子供の姿に変わっていく。

 

 

藍「な!?変身した!?」

 

 

譲信「ただ変身しただけじゃあねぇぜ…コイツはリプレイするスタンドだ。昨日、このガキんちょに何があったのか…それを今からムーディーブルースが実際にリプレイで見せてくれるぜ」

 

 

こいし「そっか!それを辿っていけば見つけられるんだね!」

 

 

譲信「そういう事だ♪」

 

 

藍「す…すごいな……!紫様が戦ったスタンドもそうだが…これもまた非常に優秀な能力を持っているな」

 

 

譲信「まぁな!とはいえ、弱点もある。リプレイ中は、リプレイしか出来ねーから戦う事が出来ねーし、そもそも戦闘向けのスタンドじゃあねーから結構、扱い辛ぇんだぜ」

 

 

シュゴォーーーーーーーー

 

 

譲信が説明している内に、ムーディーブルースは指定の時間帯にまで到達した。

 

 

譲信「よし、じゃあ始めるぜ…昨日の授業が終わった所からスタートだ。」

 

 

ムーディーブルースが変身している少年は、授業が終わると、誰かと話してからすぐに、何処かへ向かって小走りで去って行く。

 

 

こいし「どっか行っちゃうよ!?」

 

 

譲信「追いかけるぜッ!!」

 

 

譲信、こいし、藍の三人組は小走りでムーディーブルースの後を追う。

 

 

藍「何処かへ急いで向かってるようだぞ?」

 

 

譲信「漏れそうなんじゃあねぇのか?」

 

 

こいし「お兄さん下品だよ?」

 

 

譲信「冗談じゃよ冗談!というかこいしくん…そろそろお兄さんの事は社長と呼んでくれても良いんじゃあないのかね?」

 

 

こいし「お兄さんの方が絶対に良いよ♪」

 

 

譲信「俺は社長って呼ばれたいんだがなぁ……」

 

 

藍「そんなことは今どうでも良いだろう………全く、もっと気を引き締めてだな…」

 

 

譲信「ム!待ったッ!!ガキんちょが止まったぞ!」

 

 

笑顔を向け喋るこいしと、何やら小言を言おうとした藍。

二人を止めて、譲信はムーディーブルースを観察し始める。

 

 

譲信「何かを見つけたようだ…裏道に入っていくぜ」

 

 

藍「おや…一体どうしたのだろうか?」

 

 

こいし「追っちゃえー♪」

 

 

こいしが楽しそうに小走りで、ムーディーブルースの後を追っていく。

譲信と藍も遅れるものか、と小走りでそれを追う。

 

 

譲信「待ちなッ!俺が先頭だろ!」

 

 

やがて、再びムーディーブルースの動きは止まった。

しかし、少年の様子が可笑しい。

何かに目が釘付けになり、怯えた表情になっている。

これは…明らかに何か異常な事が起こっている。

 

 

こいし「ねぇ、一体この子どうしたのかな?」

 

 

譲信「さぁなー…ムーディーブルースが再生出来るのはあくまで、対象となった一人だけだ。それ以外は再生できねぇなぁ…」

 

 

藍「予測しかできないという事か…」

 

 

その時、ムーディーブルースが今度は元来た道を全速力で駆け出し始めた。

 

 

藍「む!今度は何だ…!?何かから…逃げている?」

 

 

譲信「おいおい…マジか…!!」

 

 

ところが、突如ムーディーブルースの身体が宙に浮き、そのまま動かなくなる。

 

 

こいし「あれ?浮いてるよ?もしかして故障かな?」

 

 

譲信「いいや…違うな…よく見ろ」

 

 

譲信はすぐに何かに気付き、ムーディーブルースの手首と足首を指差す。

こいしと藍はムーディーブルースの手首と足首をじっくりと見る。

すると

 

 

藍「これは!何かに締め付けられているのか!!」

 

 

ムーディーブルースの手首と足首には、何かに締め付けられているような跡がくっきりと浮かんでいた。

 

 

譲信「あぁ…何かに押さえつけられてんだぜ。おそらく…犯人の仕業…そしてここからだ………ッ!!」

 

 

おそらく少年が連れ去られたのはこのタイミング。

そう睨んだ譲信は更に注意深くムーディーブルースを観察し始める。

しかし実に不思議な事が次の瞬間、起こった。

 

 

ズブン………!

 

 

譲信&藍「何ッ!?」

 

 

何と、突如ムーディーブルースの身体が地面に沈んで消えてしまったのだ。

一体何が…誰も全く理解出来ずにいた。

 

 

藍「何なんだこれは!!何があったというんだ!?」

 

 

譲信「分かんねぇ…分かんねぇがこれでハッキリした。ここで犯行は起こった…そして犯人は能力者…これで間違いない!後は…謎を解きてぇが…そこまで悠長してる時間はねぇ…このまま追うぜッ!!」

 

 

こいし「お兄さん、位置が分かるの?」

 

 

譲信「勿論!俺のスタンドだからな…ムーディーブルースは今そこを真っ直ぐ北に移動している。しっかりと俺に付いて来なッ!!」

 

 

譲信達は、譲信を先頭に追跡を再開する。

ムーディーブルースの位置が分かるのは、譲信だけなので今は譲信だけが頼りだ。

 

 

藍「相当厄介な事になってそうだな!場合によっては…八雲側(こちら)で対処する案件になるぞ?」

 

 

譲信「俺の仕事はあくまで、ガキんちょの救出!犯人退治やりたきゃあ…お好きにどうぞッ!!」

 

 

藍が念の為に一応の確認を取るが、譲信は迷うことなくスッパリと答える。

譲信に仕事の迷いなどは無い。

 

 

譲信「おっと……どうやら目的の場所はあそこだな…よしッ!!」

 

 

こいし「見つけたの?」

 

 

譲信「おう!気を引き締めろよ?こっからだぜッ!!」

 

 

藍「うむ!分かった!」

 

 

こいしの表情は特に変わることはなかったが、譲信と藍の表情は、僅かに引き締まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコンコン…………

 

 

「ごめんくださーい回覧板でーす」という声が、扉の向こうからノックと共に聞こえてくる。

 

 

???「はい。今行きます。」

 

 

謎の男は、玄関先まで向かう。

しかし、扉を開ける寸前でその動きはピタリと止まった。

 

 

???(おかしい……回覧板……?確かついこの前に来たばかりだぞ……それに…いつものババァの声では無いな………これはまさか……!!)

 

 

「御留守番ですかー?」という声が続けて玄関先から聞こえてくる。

謎の男は、嫌な汗を掻き始めていた。

 

何やら意を決した謎の男は、地面に手をつける。

そして

 

 

???「追跡者共よ……先手必勝……死ねッ!!」

 

 

地面を変形させ、大量の尖った突起物を玄関先にいる者目がけて放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

譲信「いませんかー?」

 

 

譲信は玄関先で声を上げていた。

突撃するよりも、普通を装って油断して出て来た所をねらえば、穏便に済ませられると思った譲信は、既に作戦を実行していた。

そしてムーディーブルースはとっくに解除されている。

 

しかし、何やら様子がおかしい。

中から人の動く気配はするが、これといって動きがないのだ。

もしや、いきなり勘づかれたか?と少し不安になってくる。

 

 

こいし「留守なのかな?」

 

 

譲信「おかしいなぁ~…」

 

 

藍「待て………中から何か…聞こえないか?」

 

 

譲信&こいし「え?」

 

 

何かの音に気付く藍。

藍に言われて耳を澄ませる譲信とこいし。

すると、何やら地響きに似たような音が聞こえてくる。

 

 

こいし「何だろう~?」

 

 

気になったこいしが、扉を開けようと近付こうとしたその時

 

 

ドドドドドォォォォ!!!!

 

 

尖った幾層もの岩盤が、ドアを突き破り地面から生えるかのように突き出て、譲信達目掛けて襲い掛かってきた。

 

 

譲信&こいし&藍「!!?」

 

 

突然の出来事、三人とも気付いた時には既に手遅れ…どう動いたとしても躱せない所まで、岩盤は迫って来ていた。

 

 

藍(か、躱せない…!!間に合わない……!!譲信くん達が危ない……!!)

 

 

せめて譲信にあたる一撃だけは何とかして防がなければと、藍は咄嗟に残された時間で譲信をはねのけようとした。

妖怪である自分とこいしなら、まともにくらってもこの程度なら死にはしない。

そう判断しての事だった。

しかし!その時、譲信は短く叫んだ。

 

 

 

譲信「スタープラチナ・ザ・ワールド!!

 

 

 

ドォーーーーーーーーーーーン!!

 

 

 

瞬間、世界から色が消え…譲信以外の全てが静止した。

 

 

譲信「やれやれ…ギリッギリだが間に合ったぜ…!!“時は止まった”…5秒前!!」

 

 

譲信はスタープラチナを操り、眼前まで迫っている岩盤をラッシュで砕く。

 

 

スタプラ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァッ!!」

 

 

その間に譲信は急いで、こいしと藍を抱えて安全地帯まで移動する。

そこで譲信はやれやれ…と短くため息を吐いた。

 

 

譲信「時は動き出す……」

 

 

丁度5秒が経過し、世界の時は再び動き出す。

 

 

こいし「あれぇ!?」

 

 

藍「なっ…!?」

 

 

いきなり移動している自分達を見て、こいしと藍は何が起こったのか…まるで訳が分からないといった顔になっていた。

藍に関してはまるで、狐につままれたような顔である。

九尾だけに…。

 

 

譲信「ちゃんと社長に感謝しろよー!!ギリッギリだったがなぁ…!!」

 

 

藍(何をされたんだ…?気付けば一瞬で?……瞬間移動だとか、超スピードだとか、そんなチャチな物じゃない……何かもっとこう…恐ろしい物の片鱗を感じたぞ……!)

 

 

こいし「わー!お兄さんすごーい♪」

 

 

譲信「それよりも…中に入るぜ!!」

 

 

驚き考えに浸っていた藍と、笑顔で譲信の事を褒めているこいしに声をかけると、譲信はスタープラチナで家の壁をぶち壊し、中へと入っていく。

 

 

譲信「出て来やがれ!!」

 

 

しかし中には既に誰の気配も無く、ただ裏口側の壁にも穴が開いていた。

 

 

藍「く…っ逃げられたか!!」

 

 

譲信「ちぃ…!!」

 

 

慌てて譲信達が外に出てみると、子供を脇に抱えて地面を物凄いスピードで滑りながら逃げていく男の姿が目に入る。

かなりの速度だ。

目測でも時速70kmはあるんじゃあないか…と想えるくらいだった。

 

 

こいし「逃げちゃうよ!?」

 

 

こいしは少し慌てて、譲信の方を見る。

 

 

譲信「野郎……しかし!逃がす訳にはいかんな…!!当然ここは追うぜッ!!」

 

 

譲信は、すぐさま最近使い慣れてきた“程度”の能力を発動させる。

すると、譲信達の目の前に一台のバイクが現れたのだ!!

何処かで見慣れたこのバイク。

そう!!このバイクはジョジョ第四部にて、岸部露伴が乗っていたバイクなのである!!

譲信の能力はジョジョ関連の物ならなんでも生み出せるのだ!!それが例え、バイクであろうと!!

 

 

ドルン…ドルン…ドルン…ドルン…!!

 

 

譲信「乗りなッ!!ぶっ飛ばすからしっかり掴んでなよ!!」

 

 

こいし「うん♪」

 

 

藍「わ、分かったッ!!」

 

 

こいしと藍の二人が後ろに乗ったと同時に、譲信はエンジン全開で走り出す。

 

 

ドォォォォォォォォォォォォォォン!!

 

 

こいし「わぁぁぁぁぁ!!♪」

 

 

藍「こ、これは速い…!!これなら見失わない!!」

 

 

譲信「待ちやがれぇッ!!」

 

 

譲信は真横にTHE WORLD(ザ・ワールド)を携えて謎の男に迫る!!

 

 

 

???「なんだあれは……!?くそっ……何者だあいつは…?予定が狂った……マズいぞ…非常にマズい……」

 

 

 

少年「ンー!?ンーー!!ンーー!!」

 

 

???「仕方あるまい……奴等は直接今…始末しなければいけない…!!追って来るなら来い……“飛んで火に入る夏の虫”だ……貴様らは虫だということを教えてやる…ッ!!」

 

 

逃げる謎の男と、それを追う空条譲信。

直線上にいる二人の視線は、互いの意思で殴り合うかのようにぶつかり合った…!!

 

 

 

TO BE CONTINUE……………




正解 C-MOON

第六部の代表的なスタンドでした。
第六部もしかしたらアニメ化か!?
噂されていますね。ホントーにアニメ化なると良いなぁ…

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