①東方家
②毎日が夏休み
③ジョジョリオン
男はこの幻想郷の人里で生まれた。
特に裕福でも無ければ、貧しくも無く、平凡な父母家庭で、平凡な少年時代を送った。
成人になってからは、大工として働き、父と母が死んでからも真面目に働いていた。
しかし男は決して友人を作らず、職場でも必要最低限の会話だけし、飲みに誘われても全て断っていた。
男は孤独だった。
だがそれは男自らが望んだ事であり、微塵も悲しいとは思ってもいなかった。
しかし、男は物心付いた時からずっと不満を感じていた。
何故、世界は…幻想郷は広いのに自分達人間は人里という狭い範囲でしか暮らしていけないのか。
何故、妖怪にあれやこれや勝手に決められて、支配された奴隷のような立場で一生を終えなければならないのか…と。
男は悔しかった。
幼い頃から怒りを覚えていた。
同じ人間でありながら、力もあるというのに博麗の巫女は現状を打開するでもなく、人間の不自由さ…立場の弱さを何とも思っていない。
博麗の巫女…それは男には八雲紫に良いように奉られてるだけの存在にしか見えてなかった。
それにも怒りを感じるが、何より怒りを感じていたのは力の無い不甲斐ない自分自身にだった。
そんな不満を抱えながら男が30歳を越えた頃、男は運命に導かれるように、ある日謎のパワーを持った矢に貫かれたのだ。
骨董市で安く買い、戸棚に飾ってあった矢が落下し、偶然その時戸棚の下で本を読んでいた男の脳天に突き刺さった。
普通に考えれば死ぬ。
男も、この時ばかりは自分は死んだもの…とばかりに思っていた。
しかし…男は死ななかった。
気が付けば、傷はすっかり塞がっていた。
そして、男は気付く…自身の中に漲るパワーが宿っているという事に。
男は一瞬で理解した。
それが“程度”の能力である事…矢に貫かれたからこそ、手に入った力である事を。
自分の中にもっと意識を傾ければ、一体何が出来る能力なのか…すぐに分かった。
“大地と同化できる程度”の能力…男が手に入れた力はそれだった。
そして男は決意した。
この力を使って自分は革命を起こし、勝利して幻想郷を人間だけの、自由な世界に作り変えてやると…。
矢に選ばれた自分は特別…王にだってなれて当然…と男はそう迷い無く認識していた。
それから男は考えた。
どうすれば、人外達を相手に勝利を掴む事が出来るのか…と。
そして男は一つの計画を思いつく。
能力を使い、自分自身が幻想郷の大地その物になってしまえば良いのだと。
どれだけ力をもった強者だろうと、所詮はこの大地からの恩恵を受けなければ生きていけない。
ならば、その大地を支配してしまえば自分は神に等しい存在になる…と男は考えた。
しかし、それには相当な時間が掛かる。
少なくとも、10年は覚悟しなければならない。
だが構わない。
男には自由の為なら全てを捧げる覚悟がとっくにあった。
自分は王となる…男は今まで過ごしてきた日々を捨て去るかのように名前を捨て、代わりに自身を“改”と名乗ることにした。
そしてその日から男の計画の歯車は回り始める…。
それから9年と少しが経過した。
全てが順調だった。
しかし、あと少しの所で事件は起きた。
改『だいぶとこの大地に馴染んできたな…あと少しで完全に支配できるぞ…』
改は半身だけ大地と同化させ、感覚を確認していた。
誰も通りがからない、人気の無い裏路地…ところが
少年『ひぃ!?お…おっちゃん何してるんだ……!?』
改『!!?』
何と見ず知らずの子供に、その姿を見られてしまった。
何ということだ…改は冷や汗を掻き始める。
どうすれば良いのかと。
改『これ……は……だな……ッ!!』
少年『お…俺!何も見てないから!見てないから!!』
改『ま…待てッ!!』
何か見てはいけない物を見てしまった…そう思った生年は全速力で元きた道を引き返す。
改の静止の声を無視して…。
改は更に焦った。
改(マズい……このまま逃がせば…俺の事を言いふらされる危険性が…いや…子供の事だ…絶対に言いふらす……!!そうなれば…全てが台無しになる……!!どうする……!?どうする……!?)
その間も少年は走り続ける。
人通りに出られてしまえば、もう取り返しが付かなくなる。
やるしかない…!!
改は意を決して少年に向かって、能力を使用する。
改『うおぉぉぉぉぉぉ!!』
すると地面がうねり、そこから手の形をした岩が四本飛び出る。
少年『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?』
その岩は、少年の手首と足首をガッチリと掴んで拘束し、少年の身体は宙に貼り付けのような状態になる。
そして次の瞬間、少年は地中深くに引きずり込まれていったのだ…。
少年『助けてッ!!誰かッ!!慧音せん……せ……』
改『殺しはしない……まだな………全てが整うまでは………小僧……お前には生きててもらうぞ……!』
そして、改もそのまま地中の中深くへと潜って消えたいった…。
これが昨日に起こった誘拐事件の真相だった…………。
♢♢♢♢♢♢《そして現在》♢♢♢♢♢♢♢
譲信「待ちやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」
地面を操り、滑りながら猛スピードで逃走を図る改と、それを岸部露伴のバイクで追いかける譲信。
そして、譲信の後ろにはこいしと藍が乗っている。
藍「あの男…子供を人質に……ッ!!」
藍は強く拳を握る。
弾幕で改を攻撃できるならそうしたいが、改はそれを防ぐために少年を人質に脇に抱えて移動している。
その為、下手に改を攻撃してしまえば、少年まで傷つくことになるのだ。
譲信「焦っちゃあいけねぇ…チャンスは絶対に来るぜ…!!それまでは見失わねぇように追うしかねぇッ!!」
譲信は更にアクセルを全開にする。
こいしはバイクから落ちてしまわないように、譲信の服に思いっきりしがみつく。
改「く……っ!!何だあの乗り物は……!?この速度に付いてこれるなんて……奴は一体……!?……くそっ!!それよりも何とかして逃げ切らなければ…!!」
逃げるだけでは、追いつかれる。
そう思った改は後ろから迫る譲信達に、能力を使って攻撃を仕掛ける。
改「プレゼントだ…!!岩ニードルの礫でもくらって死ねッ!!」
ヒュゴォォッ!!
改は地面から鋭く尖ったニードルを複数、瞬時に生成しそれを譲信達に向かって散弾銃のように発射する。
ここは人里。
下手に弾幕を打って相殺を図れば、周りに確実に被害が及び、下手をすれば死人が出る。
かといって、まともに躱せるほど欠伸が出そうな速度でニードルの散弾銃が迫っている訳でもなく、かなりマズい。
こいし「来るよッ!?どうするのお兄さん!?」
譲信「騒ぐなッ!!問題ねぇぜ!!
ドォーーーーーーーーーン!!
世界の時は停止する…!!
譲信「俺だけの時間だぜ……5秒前…!!」
七部のザ・ワールド。
今までは舐めプぐらいでしか使わないと思っていた譲信だったが、実は三部ザ・ワールドよりも優れている点が一つあった。
それは停止時間が短い代わりに、再時間停止までのクールタイムが圧倒的に短いという点だ。
今の状況のように連続して止めたいような時には、非常に便利な使い分けが出来るのだ。
譲信「しかし…距離までは詰めれそうにねぇな……仕方ねぇ……ザ・ワールド!!」
譲信はザ・ワールドの拳でニードルを弾かせつつ、安全なルートを通って攻撃を突破する。
譲信「時は動き出す!!」
改の放った攻撃はそのまま誰に当たる事も無く、地面に突き刺った。
改「何だと!?」
一瞬で移動し、攻撃を躱した譲信達に改は驚きを隠せないでいた。
だが驚いているのは、別に改だけではない。
藍「…まただ!!これは一体…!?」
こいし「あれぇ~?何か移動してる?」
藍とこいしも、改と同様に驚いていた。
譲信「そう驚くなよ。こいしはもう知ってるかもだが…これが“
藍「“時を止める”だとっ!?本当に何なんだスタンドというのは……何でもありじゃないか……」
次から次へと色々な能力を使っていく譲信に、藍はもう警戒するのも疲れた…とため息を吐く。
というか、時まで止めるなんてされたら、もう何しても勝てる訳ないだろっ!!と、諦めの気持ちが強かった。
こういのはやはり、主人に何とかして貰うのが一番だと、藍はスタンドについて…考えるのをやめた。
こいし「全然気付かなかったよ!」
譲信「そりゃあそうだろうさ。同じ時間干渉系能力者か、能力干渉無効化の能力者でもない限り、まず止まった時の中を認識する事は不可能だからな。それよりも………また来るぜッ!!」
藍&こいし「え?」
譲信は前を睨む。
すると、今度は巨大な岩の球体が迫ってきていた。
譲信「こいつは七部のザ・ワールドのパワーじゃ少ししんどいか……かといって下手に砕くと周りへの被害がある……か……」
藍「どうするつもりだ?…言っておくが粉砕はするんじゃないぞ?」
譲信「分かってるて!!依然問題無し…スタープラチナ・ザ・ワールド!!」
ドォーーーーーーーーーン!!
譲信は、今度はスタープラチナで時を停止させた。
譲信「砕いても駄目ってなら…俺は砕かねぇぜ~?」
譲信はスタープラチナを動かす。
スタープラチナは巨大な岩石ボールを掴むと、それを持ち上げる。
そして、それを譲信達の後方の地面にめり込ませるように落とす。
スタプラ「オラァッ!!」
ズズーンッ!!
譲信「よし!こうすれば砕けず、さらにはこれ以上転がらないから被害が広がる心配はねぇ…時は動き出す」
そして世界の時は再び動き出した。
藍「!!……なるほど考えたな」
譲信「まぁな…やれやれ…パワーが無けりゃあ詰んでたぜ…」
譲信はすかさず、ザ・ワールドにスタンドを切り替える。
同じ5秒でもザ・ワールドの方がクールタイムは短いのだ。
藍「しかし…奴は一体何処へ向かっているんだ…?さっきから直線にしか進んでいないが…」
譲信「そういや…確かにそうだな」
こいし「この方向って、特に何も無いよね?」
藍「あ、あぁ…曲がり角も狭くなって、このスピードだと真っ直ぐにしか進めなくなるが……」
何故改は直線にしか逃げていないのか…その疑問に三人とも頭を悩ませる。
譲信「もしかすると…外に向かってんのか?」
その時、譲信は口を開いた。
藍「外……か。確かに、それしか考えられないな」
譲信「あぁ。俺らに見つかった以上、野郎はもう人里内にいることは出来ねぇ……それに、奴の能力…見た感じ人里の外で使った方が強いんじゃねーか?」
藍「自分のフィールドに私達を誘い込んで…始末しようという訳か。随分と甘く見られたものだな…」
譲信「俺としてはそれで助かるがな…逃げ続けられるよりかは、ケリをつけやすくて助かるぜ」
これ以上攻撃をしても無駄だと思ったのか、改からの攻撃はもう無かった。
ただ真っ直ぐ逃げ続ける改を譲信達は追う。
改「良いぞ…付いてこい……ハナから人里の中で仕留めれるとは思ってはないからな……ケリをつけるのは…外だ…!!」
譲信達の予想通り改は人里の外に向かっていた。
改「あの中の誰かは既に、俺の能力に勘づき始めているだろう……しかし奴等は俺を追うしかない……それで良い…」
静かに殺気の籠もった瞳で、改は三人を睨みつける。
譲信「奴が外に出て、俺達と対面してやり合う状況になった時の作戦を伝えておくぜ……こいし!お前に懸かっているからよく聞いてくれ…」
こいし「?」
譲信は走りながら、作戦を藍とこいしの二人に伝える。
それは、空条譲信が人生で初のちゃんとした策であり、渾身の策であった。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
魔理沙「おーい霊~夢~!!」
その頃、博麗神社には普通の魔法使いこと、霧雨魔理沙が霊夢を訪ねに訪れていた。
霊夢「何よ魔理沙?今、神社の掃き掃除で忙しいんだけど?」
霊夢は面倒くさそうに、肩を叩きながら振り返る。
魔理沙「掃除なんてしてる場合じゃないぜ!今人里内で異変が起きてるんだぜ!!」
霊夢「はぁ!?人里内で異変?」
魔理沙「おう!何でも子供が行方不明になったり、地面が盛り上がったり、飛び出たりでもう散々な事になってるらしいぜ!!」
霊夢「何処のバカよ!!人里内でそんな巫山戯た真似をするのは…!!」
人里内で暴れるのは御法度。
ましてや異変となると、絶対に許されるべき事では無い。
博麗の巫女として、そんな巫山戯た輩には夢想封印をたっぷり叩き込んでボコボコにしてやらねばならない!
霊夢は掃除そっちのけで、すぐに宙へ浮かび上がる。
霊夢「行くわよ魔理沙!!そんなバカな奴はフルボッコよ!!」
魔理沙「そうこなくっちゃな!!行くんだぜ!!」
霊夢と魔理沙は異変解決に向け、人里に向かって全速力で飛んでいった。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
ドォォォォォォ………………!!
譲信「やっぱこうなったか!!」
譲信達は、改を追ってついに人里の外へと飛び出していた。
そして、改はそんな譲信達を待ち伏せるかのように、少し出た所で立っていた。
改「よく俺を追って来たな…八雲の式まで引き連れて…随分と御大層なもんだ…」
少年「ンー!!ンーー!!」
ふん縛られている少年は、必死な顔で譲信達に助けを求めていた。
譲信「悪いことは言わねーよ。すぐにそこのガキんちょを引き渡しな…そうすりゃオメーを痛めつけるなんてことはしねーよ」
まずは交渉。
下手な争いを避けるために、譲信は改と話し合いで事を収めようとしていた。
しかし
改「それはNO!だ…ここに来たからにはお前達を皆殺しにする事は既に決定している。」
藍「ほう…?私を前にそんな言葉が吐けるとは…相当自惚れが過ぎないか?」
交渉は不可能。
そう判断した藍は、遠慮無く殺気を放つ。
藍の放った殺気は凄まじく、思わず譲信もブルッとしてしまった。
改の手も僅かに震える。
藍「口ほどにも無いな…この程度の殺気で怖じ気づくとは…」
改「………そうだな。八雲の式よ……確かに俺は今、震えが止まらない…見るがいい…止めようと思って必死に言い聞かせても、この手の震えはちっとも収まってくれない……しかし、これが良いのだ。今感じるこの恐怖こそが、俺を更なる高みへと導いてくれる試練となる…」
改は震える手を押さえながら、藍を睨み続ける。
譲信「聞くが………何でお前、その子を誘拐しちまったんだ?」
そんな改に、藍の隣に立っている譲信が訪ねる。
改「ふむ……俺の夢は、人外共を絶滅させ、この幻想郷を人間だけの自由な楽園に作り変える事だ……この小僧はその計画の障害となり得る…だから連れ去り、手元に置いておくことにしたのだ…なに…殺しはしない…まだな……」
藍「人間だけの楽園…だと!?巫山戯るなッ!!そんな事が許されると思っているのか!!自惚れるのも大概にしろッ!!」
改が語った身勝手な計画に、藍は一気に怒りの頂点に達する。
青筋を浮かべ、尻尾の毛を逆立てさせ、恐ろしい殺気と威圧を放った。
改「怖い怖い……巫山戯るな……?自惚れる……?それは、俺の台詞だよ……生まれた時から探究心を押さえつけられ、自由を奪われてきた俺は…今お前が言った台詞をお前にそっくりそのまま返してやるよ…巫山戯るな!自惚れるのも大概にしろ…!……とね」
改は震えながらも、口調や態度は全く変わらずに藍に向かって言い放つ。
藍「貴様ァ………!!」
既に怒りの限界に達していた藍。
そんな藍を譲信は何とか押しとどめる。
譲信「我慢してるのはお前だけじゃあ無ぇだろ…幽香さんも、紫さんも、藍さんも、人里のおっちゃんらも、みんなそれぞれ譲り合って、時には我慢しあって…それでも何処かで手を取り合って生きている。短ぇ間だが、俺はこの目で見てたから…それだけはハッキリ分かんだよ。綺麗事を言うつもりは無ぇ…お前の意見もそりゃ確かに一部の正論だ…尊重されて良いと思うぜ?でもな、そんな極端なやり方は、認められねぇ…俺は同じ人として恥ずかしいぜ…スッパリ言ってやるがお前は…俺より幻想郷を知らねぇ!!」
藍「譲信……」
改「…小僧……」
譲信は幻想郷に来てから、僅か3日。
それでも色んな妖怪や人に出会ってきた中で、少しだけ大切な事を学んだ。
時には喧嘩をふっかけられ、時には殺されかけ、時には優しくされ、時にはカモられ、時には懐かれ、時には助けられ…人間も妖怪も大差ない。
それぞれが今日を懸命に生きている。
それが幻想郷なのだ…と譲信は解釈していたのだ。
改「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れッ!!お前のようなチッポケなクソガキに何が分かるッ!!この俺に説教してるんじゃ無いぞ!!」
改は逆上し、一気に感情を爆発させて譲信に向かって怒鳴る。
しかし譲信は涼しい顔でそれを受け止めていた。
譲信「だ~か~ら!テメーは何も見えちゃいねぇんだよ…今もだ。気付かねぇのか~?もうテメーの隣にガキんちょはいねぇぜ?」
改「なん………だとッ!?」
改は慌てて横を見る。
すると、いつの間にか子供の姿は消えていた。
改「何処へ行ったぁぁぁぁぁ!!?」
譲信はしてやったり…とニヤリと笑った。
譲信「よくやったこいし!」
こいし「いえーい♪」
いつの間にか、譲信の隣に子供を担いだこいしが立っていた。
そう!!譲信の立てた作戦とは!!
譲信と藍で改の気を引いてる隙に、能力で姿を消したこいしが、少年を助け出す。
シンプルかつ、最善な揺動作戦だった。
藍「これで貴様は人質を失った!観念するんだな!もうこれで終わりだ!!」
改「ぐっ…………!!」
改は藍の言うとおり、最後の切り札さえ失ってしまった。
もう後が無かった。
改「あぁ…人質も無くなったか………俺は今追い詰められているのか……直に正体もバレる……だが……計画だけは終わらせんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
そう叫んだ改は、両腕を地面に突っ込む。
すると、改の身体はみるみる地面と同化していく。
まるで、超巨大なゴーレムのようだった。
改「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!今の俺は“陸”だ!!お前ら全員ただの虫ィ!!キメ細かな大根おろしのようにすり潰して圧死させてくれるッ!!」
改は胸部と頭部だけを露出させ、後は全て大陸と同化させていた。
超巨大なゴーレム体となった改は目視だけでも80mはあった。
いくら藍といえど、このサイズの岩の塊を相手にするとなると、相当苦労することになる。
藍「なんてヤツだ!!こんな執念の塊のような人間は見たことが無いッ!!」
こいし「わ~!!おっきいな~!!」
譲信「こいし!藍さんは、そのガキんちょを連れ人里へ向かって全速力で逃げてくれ!!」
譲信はすぐに、二人に向かって指示を出す。
藍「譲信!お前はどうするつもりだ!?」
譲信「どうするも何も…誰かが足止めしなきゃあいけねーでしょ?野郎は俺に対しキレてんだから俺がやりますよ!!」
譲信は訳ない…といった表情で答える。
藍は譲信の襟を掴んで声を荒げた。
藍「駄目だ!!私がやる!!お前を助けてやることが私の受けた命令だ!!」
藍にとって紫の命令は絶対だ。
もし譲信をここで死なせてしまっては、主の期待に応えられなかった事になる。
譲信「……藍さん………この空条譲信には…夢がある!!正しいと信じる夢がッ!!そしてこれは…俺が乗り越えなければいけない試練なんだ…!!野郎は敵ながら…覚悟を決めた“夢追う者”だ……俺も覚悟を決めなければいけない…!!真の夢を叶える為には…魂を賭けなければ試練に打ち勝つことはできない!!これは俺の闘いだ!!だから俺がやるんだッ!!あんたには譲れねぇッ!!ハッキリ言う!!引っ込んでなッ!!お呼びじゃあねぇんだぜ!!」
今の譲信には、とても高校生の出す物とは思えない“凄味”があった。
藍は思わず、襟から手を離してしまう。
譲信「それで良いんだぜ!」
もう藍は何も言わず、その場から立ち去ろうとする。
そして最後に去り際に譲信の方を振り向いた。
藍「お前に死なれては…私が怒られるんだ…分かってるな?」
譲信「要は負けなきゃあ良いんだぜ?余裕余裕♪…数学の試験より遥かに単純で楽ちんだぜッ!!」
譲信は、ニヤリとして悪戯っぽく笑って答えた。
それを聞いて藍も、緊張の糸が解けたようにフッ…と笑う。
藍「それなら良い…」
そう言い残して、藍もこの場から去って行った。
そして残ったのは譲信と、改の二人だけになった。
ドドドドドドドドド……
譲信「とまぁ…映画のラストシーンみたいな別れ方をした訳だが…別にテメー相手は苦戦する事はねぇ。テメーはただデケェだけだからな」
改「減らず口叩いてんじゃ無ぇぞ!?俺はそーいうガキが一番嫌いなんだよ!!見てて…ムシャクシャするからなぁ……それが今のお前だ!!ぶっ殺してやる!!」
改は、超巨大な岩の拳を譲信目掛けて振り下ろす。
譲信「フン…もう時は止めねぇ…決着は時が止まるよりも早くにつくからな………!」
改「だから減らず口を叩いてんじゃあ無ぇぞぉぉぉぉ!!」
ゴォォォォォォォォォォォォォォ!!
くらえば即死!!
時を止めなければ絶対に避けられない広範囲の破壊力!!
しかしこの空条譲信は!!あろうことかもう決して時を止めよう…などと考えていなかった!!
それだけではない!!
ここから一歩も動かない所か、今からスタンドを出して何かしようとさえ、考えていなかったのだ!!
しかし、まるで空条譲信は勝ったような笑みを浮かべている!!
一体何が起ころうと言うのかッ!!
それはもう起こってからでないと誰にも知ることは出来ないッ!!
譲信「ところで…“ぶっ殺す”って台詞だがよ……そいつはダセぇぜ…。良いか?そういうのはな、そこら辺のナンパストリートや仲良しクラブで“ぶっ殺す”“ぶっ殺す”って大口叩いて仲間と心を慰めあってるような負け犬共の台詞だぜ。……ぶっ殺すと心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているんだッ!覚えとけ!!………そして俺の作戦は既に完了している…」
改「何言ってやがぁんだぁぁ~!?」
…………コッチヲミロ……………
改「んあ?」
改が何かの声が聞こえた方を見ると、そこには緑色の玩具のようなドクロ型の戦車が、胸元の岩盤にめり込んでいた。
そして
コッチヲミロ…
オイ、コッチヲミロッテイッテンダゼ…
と、呟いていた。
改「何なんだコレはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
改は、いつの間にかそこにいる謎の何かに、怒り紛れの発狂をする。
そんな改の様子を為たから面白そうに譲信は眺めていた。
譲信「キラークイーン…“第二の爆弾 シアーハートアタック”…!!そいつは目立ちたがり屋なんだ…しっかり見てやれよ?刺激的なモノをくれるぜ………」
シアハ「コッチヲミロォ!!」
改「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
カチッ…ボゴォォン!!
凄まじい爆発が起こり、改が吹き飛ばされ超巨大ゴーレムの身体はボロボロと崩れ去る。
崩れ落ちる破片の中に、ボロボロになったまるで、ボロ雑巾の改の姿が混じっていた。
改を吹き飛ばしたシアーハートアタックは、キラークイーンの手甲に再び収納された。
それを確認して、譲信はゆっくりと改に近寄る。
改「ガッフ……バカ……な……」
改は奇跡的に意識を保っていた。
それについては、譲信は少しだけ驚いた。
譲信「さて…これからお前には
死刑宣告。
それを聞いた改はすぐに青ざめて慌てふためく。
改「ま、待ってく……くださいッ!!俺が…俺が…間違ってた!!認めるよ!!もうしない!!ちゃんと自首だってする!!謝罪だって迷惑かけた人全員にする!!だからもう苦しいのは勘弁してくださいッ!!」
痛む体に鞭打って、改は譲信に土下座をする。
額から血が出るほど、地面にこすりつけて土下座する改に譲信は驚いていた。
譲信「お…おい待ちなッ!!テメー何勝手な事を…!!」
改「お願いします!!許してください!!許してください!!」
改は何度も頭を地面に打ち付けて許しを必死に乞う。
譲信「あ…あーもう!!分かった!!スタプラの処刑は勘弁してやるよ!!俺が悪者みたいじゃあねぇか!!…ったく…ほれさっさと自首に行くぞ!!」
改「あ…ありがとうございます!!ありがとうございます!!」
改は再び、何度も頭を地面に打ちつける。
譲信はもはや呆れて、逃げるように人里に向かって歩き出した。
改に…背を…向けてしまった…。
改(バカがぁ~…これだからガキは詰めが甘ぇんだ……クククククク………これで終わりだ……!!最後に勝つのはこの俺なんだッ!!)
改は懐に忍ばせておいたナイフを抜き取り、譲信に向かって襲いかかる。
譲信「な!?や…野郎っ!?なんてゲスな!!」
改「ハーハハハハハハハッ!!これで俺の勝ちだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
夢想封印!!
改「ぐぅおおおおおおおおぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
しかし、突如飛んできた攻撃に改は吹き飛ばされる。
何が起こったのか…改は全く理解出来てなかった。
譲信「聞き覚えのある声だ……やれやれ…」
譲信は、声のした報へと振り返る。
そこには
霊夢「まったく…そいつが今回の異変の主犯格だったという訳ね?」
魔理沙「あちゃー……一足遅れたんだぜ…!」
霊夢と魔理沙が宙に浮かんでいた。
譲信「よう。お二人さん元気ぃ~?」
譲信はお気楽な雰囲気で二人に語りかける。
しかし、どこかぎこちなかった。
魔理沙「よ!結構頑張ってたみたいだな!」
譲信「まぁな♪」
霊夢「何であんたがいるかはともかく…問題はコイツね…人の背後を襲おうなんて良い度胸してるじゃない?」
霊夢は地に降り立つと、改にトドメを刺そうとゆっくりと近付いていく。
改「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!冗談なんですよ!!本当に軽い冗談!!本気でそんなことする訳無いじゃないですか~!!ね?ね?怒ってませんよね?」
霊夢「あんたねぇ………!」
なんて性格の腐った男だろうか。
手加減なんてしてやるもんか!と霊夢は札を構える。
しかしその時、譲信が霊夢の肩を掴んで霊夢の動きを止めた。
霊夢「ちょっと?何止めてんのよ?まだこんなクズ男に情けをかける気?」
しかし、魔理沙だけは見てしまっていた。
一瞬だけ物凄い青筋を浮かべ、完全にぷっつんしていた譲信の表情を。
それは、般若顔負けな程恐ろしい物だった。
改「ほ、ほら!!譲信さんは分かってくれますよね?ね?流石は譲信さん!!ハ…ハハハ…ハハ!!」
譲信「………………もうテメーには何も言う事はねぇ…」
ゆっくりと譲信の背後から
結末を理解した魔理沙は「オウ…」と両手で顔を覆い、霊夢も流石に見てられないと顔を背けた。
譲信「とてもアワれすぎて………」
何も言えねぇ
スタプラ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァッ!!」
改「ぐばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
“大陸と同化する男”…改。
空条譲信の裁きの怒りにより…
誘拐された少年は無事人里の両親の元まで帰る事が出来た。
今回、博麗の巫女は出番無し。
ヘソを曲げて不機嫌なまま帰っていった。
その後、改の姿を見た者はいない。
TO BE CONTINUE…………
答え スピードキング
これは答え辛い問題だったのでは?
勿論、分かった人は流石ジョジョラーです!