異星の神 vs 上弦の鬼   作:オノゴロ島出身

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第2話

第二戦

 

蘆屋道満vs玉壺+堕姫+妓太郎

 

舞台:平安京 ??界曼??

 

ーーーーーー

 

 

道満「では!参りまするよ」

 

玉壺「それならば、私の作品をご覧にいれましょう。」

 

玉壺「『鬼金魚 召喚』」

 

体長三メートル程の胸ビレの替わりに筋骨隆々の人の腕が生えた、金魚の鬼を二体召喚して、玉壺は巨大な二匹の金魚を何処からともなく呼び出して、口より毒針を吐かせた。

 

玉壺「『千本針 魚殺』」

 

その様な珍妙極まる術を見た道満は、

 

道満「ンンン〜、いいですねぇ。魚と呼ぶにしてはなんとも珍妙な!」

 

と言い放ち、右腕を円を描く様にクルクルと回すと、そこから発生した黒い渦により二匹の金魚鬼も二匹の金魚とそれらの吐いた毒針はその渦に絡め取られて動けなくなった。

 

そして、道満が指を鳴らすと渦が一瞬で地獄の炎へと変化した。

 

コッ、コッ、と言いながらビチビチと渦の中で、動けないのに跳ね回ろうとしながら炎にて一瞬で塵に還った。

 

玉壺「な、、な、、、何という事を」

 

それを見た玉壺は、深い悲しみに包まれた。

 

それを見た道満は、とても嬉しそうに玉壺へ話しかけた

 

道満「おや?これは失敬。美味しそうな魚がいたもので焼いて喰らおうと思っていましたが、火が強過ぎた様子で。すみません。」

 

と、薄ら笑いを浮かべ続けた。

 

道満「斯様な児戯で、この拙僧を討ち取れると?ンンンン〜。甘いですねぇ

〜甘過ぎです。」

 

更には煽った。

 

すると、

 

玉壺「児戯?児戯ですと?私の芸術を品を子供のお遊びであると?」

 

怒りにワナワナと震えながら、道満へ向き直り、殺意を露わにした。

 

玉壺「『水獄鉢』」

 

玉壺がいた壺から大量の水が排出されて、道満を完全に水で覆った。

 

道満「(ほう、溺死ですか。面白い技ですが、さてどうして笑ってやりましょうか)」

 

しかし道満の余裕は崩れなかった。

 

これで終いだと考えていた玉壺は、それを見て驚いた。

肺にまで水が到達しているはずなのに何故か、死なない。

寧ろ、不気味に嗤っている。

 

玉壺は、何とも言えない悪寒に呑まれていた。

 

玉壺「(何だ、何だ、何だ、この不安感は。悍ましい、汚らしい、だと言うのに、奴は何故か美し過ぎる。だからこそ恐ろしいのだ。)」

 

そう、綺麗過ぎる。まるで人ではないように。

 

そう思っていた時、突然、水が道満から離れていった。

 

玉壺「!、何?!」

 

代わりに何やら目の様な紋様が描かれた紙切れが5枚ほど玉壺に向けて飛んできたと思うと、突然それが白く尾の長い大鳥へと変化した。

 

驚いた玉壺は、それを道満の攻撃と思い、その鳥を殺そうとしたが、その鳥は玉壺の攻撃をスルリと躱し、上空へと昇っていった。

 

玉壺「あれは、、、一体なんだ?」

 

すると、その鳥は玉壺の真上で円を描く様に飛び回り始めた。その鳥が尾から深緑色の線の様なものが噴出して、円を玉壺の真上で描いたと思ったら、

 

玉壺「!!!!!」

 

突如として真上の円より、何発もの雷撃が降ってきた。

いきなりの事に玉壺は対応し切れずにそれのみでかなりの重症を負った。

直前に水没攻撃を放っていた故に、壺にはあまり通りはしなかったが、肉体にはあっさりと通ってしまった。

 

そして感電して一時的に動けなくなった玉壺へ道満がトドメの一撃を与えようとした刹那。

 

妓太郎「『飛び血鎌』!」

 

堕姫「『八重帯斬り』!」

 

血染めの斬撃と、帯による斬撃が飛んできた。

 

それにワザと対応しなかった道満は、放たれた連撃をあっさりと喰らった。

 

道満「ギガッ!(おや、斬撃ですか?それに薄っすらとですが、毒素が混じっておりますねぇ。これは面白くなりそうです。)」

 

と呻き、その上半身は横に裂かれ、頭部はいとも簡単に潰され、死体は塵へと還った。

 

妓太郎「おおぃ大丈夫だったかぁ?」

 

堕姫「何してんのよ、あんな奴に殺されそうになるなんて」

 

と近づいてきた二人を見て、玉壺は漸く安心出来た。

 

玉壺「ヒョッ、ぎ、妓太郎殿、堕姫殿ですが?」

 

妓太郎「アイツは誰なんだ?鬼殺隊にしちゃあ不気味な気配だったが」

 

と、続ける妓太郎に対し、玉壺は

 

玉壺「わ、私も全くわかりませぬ。

化外の類ではなかったとは思うのですが、、、、」

 

自分も全くわからない、と当たり前の答え方をした。

 

堕姫「そうね、何だか見てて気持ち悪かったし。」

 

と堕姫も続けた。

 

妓太郎「それにしても、此処は何処なんだ?」

 

そう、其処は在りし日の平安京。

しかし何故か、陽は昏く。人は居らず。魔もいない。

完全に三人のみが孤立していた。

 

玉壺「な、鳴女殿への伝達も阻害されております。気付いたら、此処にいたという有様で」

 

つまりは、いきなりこの場所に転移させられあの悪魔と戦う事になってしまった。と、言葉にすれば単純だが、戻る方法が解らぬ以上は下手に行動も出来ないでいた。

 

すると、側から突然

 

???「ンンンン〜。拙僧ならば、案内も可能ですがね?」

 

背後より何者かの声が聞こえた。

 

三人「!!!」

 

其処に居たのは先程殺したはずの長身の男であった。

 

道満?「導く先は、一つのみでありましょうぞ。即ち、この都の中心部。異変の核心で御座います」

 

それを見た三人は即座に警戒態勢をとった。

 

妓太郎「テメェ!何で生きてやがる」

 

玉壺「ヒョッ!な、何故生きて?」

 

堕姫「あ、アンタさっき殺したヤツ!」

 

血鎌を構え、後ろに引き、帯を操り出した。

 

が、対する男には殺意がなく。

 

道満?「おやおや、物騒ですねぇ。拙僧は毛頭、戦う気など御座いません。拙僧、この都で魔を祓う陰陽師というしがない呪術師でありますれば、戦いなどは以ての外。進んで戦うなどは致しません。」

 

逆に、戦意などは全く無いと言い、誤解を解こうとしてきた。

 

玉壺「し、しかし先程は、私を殺そうと、、」

 

妓太郎「オィ、それを信じろって方が無理あるだろぉ」

 

と、この目で敵のお前を見たと言われた道満?は、

 

道満?「ほう、ソレに遭遇したのですか。しかし残念。祓いそびれてしまうとは、拙僧残念に他ありません。」

 

そして、アレは自身ではないような発言をしてきた。

 

堕姫「嘘よ!アンタさっきまで玉壺を襲ってたじゃない!」

 

道満?「あぁ、ソレは拙僧の祓うはずだった魔物であります故、拙僧では御座らぬ。様々な生物に姿を変え、人を騙しては喰らうという、言うなれば妖の類に御座いまする。

 

その妖が自身の姿を真似たと言い

 

道満「先ほどまでその後を追っていたのですが、途中で撒かれてしまいまして、その姿を探していた途中だったのですよ。しかし、祓われたと言う点については、御礼を申し上げまする。

大変、ご迷惑をお掛けしました。そして、ありがとうございます。と云う事で、この拙僧が貴方様方に献上できるお礼としましては、この都の案内などが相応かと存じ上げますが、如何ですかな?」

 

と言う弁明に対し三人は、危なくなったらまた殺せばいいし、今はとにかく此処から脱出することが目的なので、取り敢えず此処は、信じることにした。

 

妓太郎「、、、わかったぜえ、此処はお前を信じて、道案内を頼もう。」

 

残りの二人も、声には出さぬが、殆ど同じ考えであった。

 

それを見た道満?は、

 

道満?「それはそれは、ご理解頂き誠にありがとうございます。されば、皆様、拙僧について来て下され。」

 

自分について来い、と言った。

 

そして三人は仕方なく道満?についていった。

 

辻を曲がり、大道路を通り、再び辻を曲がる。

 

複雑怪奇な道を進んでく内に、道満?が話しかけてきた。

 

道満?「ところで皆様は、何処から来られたのでしょうか?差し支えなければ、教えて頂きたく存じ上げますが」

 

と、都人としては当然の質問をされた。

 

それを聞いた妓太郎は、

 

妓太郎「それを答える前に、此処は何処なんだ?お前は先程、都や陰陽師とか言ってたが、そりゃ一体いつの時代だ?」

 

と、返した。

 

道満?「おや、これは失礼。時は平安。此処は、美しき都。即ち、京の平安京にて御座います。」

 

妓太郎「平安?そりゃ大分と前じゃねぇか」

 

自身は場所のみでなく、時間すらも異なる地へ来てしまったと理解した。

 

道満?「おや、その反応。あなた方は此処より異なる時から来なさったので?もしや、所謂サーヴァントと呼ばれる何某か、でありまするか?」

 

サーヴァントと聞き慣れぬ単語を耳にした妓太郎は、質問を返した。

 

妓太郎「さーゔぁんと?何だぁソレは。俺たちは、ただ此処に迷い込んだだけの人間であって、それとは関係ねぇぞ」

 

そんなことは知らぬと返した。

 

道満?「おや、では貴方がたは何者かによりこの刻へ呼ばれてしまったと。

成る程、これは奇怪でありまするなぁ

。しかし、この陰陽師にお任せあれ、必ずや皆様を元の場所へと送り届けて差し上げましょう。」

 

そして、もう少しばかり歩くと、かなり広い内裏へと出た。

 

妓太郎「、、、何だぁ?、、ありゃ」

 

堕姫「、、、何よ、アレ」

 

玉壺「ギョ、何とおぞましい」

 

その広さにも驚くが、より気味が悪いモノが眼前に広がっていた。

 

それは、天辺近くに巨大な虚空が空いている信じられないほど大きな樹木であった。

その色は、まるで地獄絵巻きに出てくるような血のような、そして地底深くに存在するマグマのような赤色と黒曜石のような黒色でのみ構成されていた。

それは、果てなく空へと伸びており、端まではとても、見えなかった。

 

言葉を失っている三人に対して道満?は言葉をかけた。

 

道満?「如何ですかな?拙僧の創り出した空想樹は?とても美しいでしょう?」

 

更には、自身こそがこの異常の元凶であると言わんばかりに。

 

道満?「これぞ正に!!私だけの異星の神!【地獄界曼荼羅】!!!」

 

これぞ、我の世界である。

そう堂々と叫んでいる男へと、再び警戒が向けられた。

 

妓太郎「てめぇ!何なんだ?!」

 

当然のように問いてきた妓太郎へ道満?は、答えた。

 

道満?「では!上弦の鬼の皆々様方!先ずは自己紹介と参りましょう。

拙僧は平安の法師陰陽師、蘆屋道満!そして、人、神、獣をも超えた究極の存在。髑髏烏帽子!羅刹王蘆屋道満でありまする!!!」

 

自身は羅刹の王であり、人と神と獣を超えた上位存在であると。

 

すると、蘆屋道満の姿が先ほどと比べ大きく変わったものになっていた。

 

緑色の法衣は、瞬く間に黒曜石のような黒へ。

白と黒に分かれていた頭髪は、左右が入れ替わり、完全な黒と銀に近い白へと。

真っ黒な烏帽子を被り、ギラギラと、黒く煌めく妖眼へ。

全身に濃く纏っている昏き炎が、不気味さを一層引き立てていた。

 

その変容ぶりに、流石の玉壺も声が出なかった。

 

堕姫と妓太郎は、鬼として多くの人を喰らってきた自分たちでさえ霞んで見えるような邪悪さに、完全に気圧されていた。

 

羅刹王「ンンンン!ハッハッハハ!さア、皆様方、この私めを殺してみなされ。貴方がたを此処へと呼んだのは、他でもないこの拙僧でありまする故。

帰り道を知っているのも、また拙僧のみでありますれば。」

 

と、三人へと宣戦布告をした。

 

それでも三人は、何とか恐怖を押し込めて、戦う事を決意した。

 

妓太郎「喰らえ!『大血鎌・螺旋』」

 

そうして放たれた、幾つもの血の大鎌の嵐は羅刹王に当たるかに見えたが

 

羅刹王「ハッ!痒いわ。この程度!」

 

と言い、飛んできた斬撃へと手を翳した。

 

すると斬撃が止まり、次の瞬間には毒血に戻っていた。

 

妓太郎「何?!」

 

血鬼術を無効化させたと知った妓太郎は、開いて余りある実力差に絶望した。

 

羅刹王「血鬼術と?斯様な術、一切効かぬは、愚か者め!貴様には、下らぬ術を放った罪に相応する罰を与えるとしようぞ。」

 

と言うと、虚空へと手を伸ばし

何かを叫んだ。

 

羅刹王「来たれ!暗黒の黒神よ、愚神の鎖より解き放たれよ!『チェルノボグ』!!!」

 

昏き天より、甲冑を纏った黒き軍神が現れた。

 

妓太郎「こ、、、、こりゃ」

 

絶句している妓太郎へ、黒神の絶槍が放たれた。

 

チェルノボーグ「ーーー!!!!」

 

赤黒い槍撃が妓太郎を襲った。

そしてそのまま内裏の端まで吹き飛ばされた。

 

堕姫「お兄ちゃん!!!」

 

吹き飛ばされた妓太郎をよそに、玉壺は、壺から出ていた。その姿は半魚人と何かが合わさった不気味な姿であったが、それを以ってしてもあの羅刹王には遠く及ばなかった。

そして、何とか対抗すべく、全力の血鬼術を放った。

 

玉壺「き、消え去れ、化物!『大蛸壺地獄・八戒』」

 

玉壺の身長の6倍ほどの大きさを持つ壺が、二十程現れた。

そして、壺の中から大ダコの足が何本も出現し、羅刹王を潰すべく動いたが

 

羅刹王「ハハハハハハ!!!聞いておられなかったので?!血鬼術などという鬼が扱う下法などは、五行を読み祓う陰陽師の前では、取るに足らん俗物よ!!!」

 

腕の一振りで全ての蛸壺が破壊され、蛸の足は、虚空へと消え去った。

 

しかし玉壺は未だ諦めていなかった。

 

そして、続け様に血鬼術を放った。

 

玉壺「『一万滑空粘魚』!!!」

 

空を飛び、毒を撒き散らす魚を一万匹ほど十個の壺から放出させた。

 

が、

 

羅刹王「ふふふふふふ。往ね」

 

羅刹王が叫んだ直後、一万匹にも及ぶ毒魚が一瞬にして塵へと還った。

 

玉壺「ーーーーは?ーーー」

 

絶句の先に何も出なかった。

開きすぎている。

届かない。

殺される。

そんな思いが頭を巡った刹那。

 

妓太郎「玉壺!梅ェ!来い!!」

 

と妓太郎に呼ばれ、側に駆け寄ると

 

玉壺「!」

 

驚くべきと言うか、当たり前とも言えることに玉壺は気がついた。

 

妓太郎の傷が再生していないのだ。

 

血は流れ続け、被弾箇所は腐り始め、血鬼術は効いていない。

 

そんな妓太郎は、まだ諦めていなかった。そして

 

妓太郎「玉壺、【神の手】は、使えるか?」

 

と、必殺とも言える一撃について聞いてきた。

 

玉壺「ヒョッ、ま、まだ使えますが」

 

それに玉壺はオドオドと答えた。

 

すると妓太郎は、それならば行けると言って、作戦を話した。

 

それは、妓太郎と堕姫が決死の覚悟でヤツ本体への血路を開き、ヤツの本体に【神の手】で触れ、魚に変える。と言った酷く単調なものだった。

しかし、他に手はなく三人はその作戦に賭けることにした。

 

羅刹王「、、、、別れの挨拶はお済みになりましたので?」

 

妓太郎「あぁ、心配すんなよぉ。」

 

堕姫「アンタなんかには、お兄ちゃんを殺させないわ!」

 

玉壺「では、行きますよ」

 

直後、三人は一切の躊躇いなく、羅刹王へと走り出した。

 

羅刹王「(、、、このままただ殺すだけならば獣にも出来ましょう。何か、羅刹王に相応き何かを。、、そうですねぇ、、、、試してみましょうか』」

 

すると、羅刹王はチェルノボーグを消し、自身の術のみで攻撃を始めた。

 

羅刹王「さあ!これで!」

 

黒色の瘴風が吹き荒れ、呪詛の籠った炎が噴き出す血の骸の道を、ただひたすらに駆け抜ける。遥か先に見える、羅刹王を目指して。

 

妓太郎「(イケる!これなら)」

 

堕姫「(あと少し、もう少し!)」

 

すると妓太郎へと、黒死の光柱が何本も放たれた。

 

それを跳ねて躱し、走って躱し。

 

妓太郎「『跋扈跳梁』!!!」

 

躱せないものは、術で防ぐ。

 

その瞬間、完全に勝利の方程式は嵌った。

 

羅刹王まであと数歩となったところで

 

羅刹王「来れ!地獄の番人!我は汝の父祖!御許へ集え!『ゴグ・マゴグ』

!!」

 

黒い巨人が現れ、妓太郎を殺そうと迫ったが、

 

堕姫「お兄ちゃん!!!危ない!!」

 

堕姫が巨人へ向かって攻撃をして、妓太郎の代わりに攻撃を貰って吹き飛ばされた。

 

そして、妓太郎を再び攻撃しようとしてきた巨人を易々と飛び越えた。

 

すると、巨人のすぐ先に羅刹王が立っていた。

 

羅刹王「なッ、バカな!!」

 

これには驚いた様で、素早く後ろへ引こうとした。

 

しかし、それを妓太郎が許すはずはなく、足止め代わりの血鬼術を放った。

 

妓太郎「『円斬旋回・飛び血鎌』!」

 

周囲一帯を更地に変えるには十分過ぎる威力を持つ全力の斬撃乱舞を行った。

 

それは、羅刹王の放った式神をいとも簡単に破り去り、あと一歩というところで。

 

羅刹王「ーーふふふ。血鬼術。『六芒催眠・五色のまどろみ』」

 

一瞬視界が暗転しかけたが、体に喝を入れて目覚めて、羅刹王に向けて放った斬撃はヤツを切り裂ーー

 

羅刹王「このようなお遊びでは、この拙僧に触れもしませんぞ?」

 

けずに、防がれた。

 

しかし、計画は成功した。

 

妓太郎「ハッ!そうだなぁ、《俺の》じゃ通らねぇよな。」

 

妓太郎「ーーだが、ソイツのソレはどうかな?」

 

羅刹王「ーー?!」

 

瞬間、背後に回っていた何者かにより、首筋を触れられた羅刹王は、即座に振り向いた。

 

羅刹王「貴様は!」

 

そこいにたのは、

 

玉壺「ヒョッ、私めを忘れておいででしたねぇ」

 

玉壺ーーー。そして、何だーー?

 

その鱗の生えた手は?

 

瞬間、鈍い閃光が辺りを包んだ。

 

ーーーーー

 

 

妓太郎が気付いた時、目の前には半魚人となった羅刹王が這々の態でその場から逃げようとしていた。

 

自身の作戦の成功を理解した妓太郎は、迷わずに羅刹王へ歩んだ。

 

羅刹王「ハァーーッ、ハァーーッ、く、、、、まだぁ、、、まだだぁーーッ、」

 

神より先に至った身でありながら、無理やり魚に姿を変えられたせいで自己構成術式の反駁により、余りにも弱っているのか攻撃すらも出来なくなっていた。

 

羅刹王「ーーバ、バカなーーー。そんな事が、、、、そんなことがあって良いものかァァァーー???」

 

しかし「まだだ」などと言いながら必死の抵抗で、魚化を半分で食い止めたが、這って行く羅刹王には最早何の力も残されていなかった。

 

羅刹王「待て!!ーーく、来るなァ!

ーーーーた、、、頼む!!!来ないでくれェ!!!」

 

しかし妓太郎が足を止める事は無い。

 

羅刹王「嫌だ、、、嫌だ、、」

 

そして追いついた妓太郎は、最後にこう言った。

 

妓太郎「俺の血鬼術が、下らぬ一撃とか言ってやがったよなぁ?なら、喰らってみろや!この一撃を!!」

 

もはや、その様は羅刹王などという強大な神霊ではなく、法師陰陽師、蘆屋道満の怨念の成れの果てであった。

 

蘆屋道満の残滓「や、やめてくれ。ど、どうか。頼む!元の時代に返してやる。無傷でだ!頼む!殺さないでくれ!見逃してくれ!!!!」

 

と、宣っている愚物の残滓に対し妓太郎は正しく無情に

 

妓太郎「、、喰らえ『血鎖大鎌・血染火舞』」

 

蘆屋道満の残滓「お、お願いだ、、、

、、、頼む!!!どうか、、、どうか

、、や、、、や、やめろおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

二振りの大型鎌を毒血の鎖で繋ぎ、空中へと跳ね、地面を削りながら摩擦熱で鎌に火をつけ、周辺を細切れにまで斬り刻むという神業を放った。

 

蘆屋道満の残滓「ギャアアアァァァァァァァ!!!!ーーーーー。」

 

弱り切った体では耐えきれない斬撃と熱量を前に、蘆屋道満の残滓は、なす術もなく燃え尽きた。

 

蘆屋道満の残滓「ーーーーーそーーーーーそんな。ーー身体が?ーーーーお

、お、おおおおおおお!!!」

 

恨みと嘆きの叫びは、何処にも届く筈は無く。ゆっくりと塵へ還った。

 

妓太郎「、、、終わったか」

 

と、安堵の息を漏らした。

 

第二戦。

 

勝者 妓太郎、堕姫、玉壺

 

 

 

 

試合終了、、、、?

 

 

 

???「えぇ、貴方の大事な妹が。ですけどねぇ」

 

突如として耳元で聞こえた耳障りな声、何処か聞き覚えのあるその声が何故かまだ聞こえている。

 

妓太郎「!!!!!」

 

何処から?そう、耳元から。

 

しかし何故だ?アレは確実に燃やし、細切れにした筈。

 

すると、それをも読んでいたとばかりに???が答えた。

 

???「拙僧を細切れにして、焼き尽くした。ーーーーーー果たしてそうなのでしょうか?自身が何を攻撃していたが、よく考えましたか?」

 

そして、血鎌の先を見るとーー。

 

???「『六芒催眠・色の目覚め』」

 

 

そこにいたのは幾度も燃やされ、切られ続けた、堕姫の躯体であった。

 

 

 

妓太郎「ーーーーーはーー?」

 

即座に駆け寄り抱きかかえたが。

 

深過ぎる傷は、回復する事無く。

 

抱きかかえた瞬間に、塵へと還って行ってしまった。

 

 

 

空白。

 

 

 

 

呆然。

 

 

 

 

 

茫然。

 

 

 

 

 

 

そして、

 

 

妓太郎「ぁ、、、、ぁ、、、、う、、梅、、、、う、、あ、、、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

絶叫と悔恨の涙を無視して、羅刹王は続ける。

 

羅刹王「拙僧、先刻申し上げましたよねぇ?下らぬ術であると。五行を読み解き、悪鬼を祓うのが法師陰陽師である、と。」

 

そして、薄ら笑いを浮かべ

 

羅刹王「ならば、拙僧がその手の術を使えぬ道理などは、この世の何処にもありはしないのです。拙僧、多才なれば。」

 

と、軽い口調で更に続ける

 

羅刹王「貴方に使った術は、所謂洗脳系統の咒でありまする。不吉な印、西洋では、古き印《エルダーサイン》などと呼称される事により『六芒星』。

相手を操り、騙す事により『催眠』。

視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚、これらを以っての『五色』。

眠りに入る故の、『まどろみ』。

と、言ったところですかね。」

 

羅刹王「如何ですか?拙僧、あまり得意ではない洒落、というものにも手を出してみたのですが。なかなか如何やら、満足な出来に仕上がったようで。拙僧、大満足にて御座います。」

 

妓太郎はもう何も出来なかった。

 

既に梅は、自身の技と羅刹王の呪いにより再生どころか塵へと還ってしまった。

 

俺が灼いた。俺が殺した。

 

焼死寸前だった彼女を助けて貰ったのに、結局最後は自分が灼き殺した。

 

何が何でも護るべき、長男としての役目すら果たせずに、あってはならない事をした。

 

自分が殺した。俺が殺した。妹を殺した。梅を殺した。

 

懺悔と悔恨と慟哭は、まさに留まるところを知らなかった。

 

最早彼は、一歩も動けやしなかった。

 

涙も枯れ果て、喉も潰れたが、まだ泣き叫び続ける。

 

鬼の再生力に掛かっていた羅刹王の呪いが解かれたのか、潰れた喉は再生し、切れた涙は、また流れる。

 

繰り返し繰り返し、飽き果てるまで泣き叫んだ後に、羅刹王は追い打ちをした

 

羅刹王「あぁ、最後に。その残骸。最後にこう言い残しておりましたぞ、

《お兄ちゃん。ごめんね。目を覚ましたら、次は必ず幸せになろうね》とか何とか。」

 

更に。

 

羅刹王「人殺しの冥府魔道を歩んでいる化物の鬼風情が、まァ何とも都合のいい綺麗事を並べるものでして、拙僧は呆れ果ててしまいましたぞ。」

 

羅刹王「いや、、然し、これも兄弟の大切な絆と考えると、、、ンンンンん〜ん。やはり拙僧、泣けてきてしまいましたぞ。その無念、その願い。何とも儚げな事やら。胸に響くものがありますねェ。」

 

と、下手な演技をしている羅刹王を尻目に、妓太郎は最後の決意をした。

 

妓太郎「(もう、終わりにしよう。なぁ、梅。俺も、すぐソッチに行くよ。最後の力を振り絞ってな。)」

 

そうして立ち上がり、血鎌と帯を構え

 

妓太郎「、、、これで最後だ」

 

羅刹王へと飛び掛った。

 

 

そして、瀕死の玉壺も、それに合わせるようにして羅刹王へと飛び掛った。

 

 

妓太郎・玉壺『血鬼術』!!!!

 

 

そして、羅刹王は再び天へと昇り

 

 

妓太郎『血風毒帯・嶽千刃踊 !!

血鎖大鎌・血染焔舞』!!

 

梅の最後の血鬼術と自身の最後の血鬼術を放った。

 

そして玉壺も、

 

玉壺『極仙希元億万魚群』!!!

 

然し、結末は非情であった。

 

羅刹王「光の時、此れまで!」

 

昏き陽が再び昇り。

 

 

羅刹王「擬似神格並列接続」

 

本物の呪いが目を覚ます

 

 

羅刹王「暗黒太陽臨界」

 

そして迫って来る鬼共を睥睨して

 

 

羅刹王『狂瀾怒濤・悪霊左府』!!

 

 

昏き陽の口が開いた。

 

 

魑魅魍魎。悪鬼羅刹。冥府魔道。

 

百鬼夜行。異類異形。妖怪変化。

 

どの言葉も生温いほどの悪意と怨念が二人の小さき鬼を襲った。

 

その魔業を前に、鬼などが用いる血鬼術など無いものも等しく。

 

あっさりと押しつぶされた。

 

 

そして、計三匹の鬼の魂の残骸へ向け大口を開き

 

羅刹王「ンンンンンン〜〜。ご馳走様あああぁぁぁぁ!!!!」

 

一瞬で全て喰らい尽くした。

 

羅刹王「満足な頂けましたかな?主殿?」

 

第二戦ーーー終了。

 

 

勝者 髑髏烏帽子羅刹王蘆屋道満

 




ウチの妖術師がすみませんでした!
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