Silver Lining ~ BanG Dream Story~ 作:おたか丸
文化祭準備がメイン(?)の話です。それではどうぞ!
ワイワイガヤガヤという擬音語がぴったりなほど賑やかな教室。今俺達は来週に控える文化祭の準備をしている。俺たちのクラスはカフェをやることになって、メニューや当日のシフトについて考えていたのだが……。
「――じゃあ、午前までのホールは俺と大河と穂乃花で回すとして……って、山吹さん?」
「えっ? ……ご、ごめん、聞いてなかった……」
俺と山吹さんが副実行委員で、細かい部分を俺達が主体となって決めているのだが、数日前からずっとこんな状態なのだ。多分香澄達がバンドに誘ったのが関係してるんだろう。
「山吹さん疲れてるでしょ? まあ長時間ぶっ通しで考えてたし、休憩しようか」
「わ、私は大丈夫だよ……?」
そうは言うが、今の山吹さんを見て大丈夫だとは思えない。
「ごめんね、山城君にばっかり考えてもらって……せめて何かするよ……」
「うーん、そこまでいうなら……そうだ、じゃあ大河と穂乃花呼んできてくれる? ホールの件で打ち合わせしたいからさ」
わかった、と言って山吹さんは席を立つ。何もしなくてもいいよ、と言っても多分聞かなさそうだから、こういう時は簡単な依頼をするのがベターだ。それに体を動かしたほうが気分転換になる。
「(……最近の山吹さん、いつもあんな感じだな)」
彼女は無理をしている。絶対に。その原因が何なのかまでは分からないけど。以前と比べて店でも上の空なことが多い。
そして何より、彼女の笑顔が明らかに減った。家族の前では笑っているが、無理やり作っている仮面だ。その優しい性格故に自分を抑えているんだろう。
「おっす貴嗣。来たぜ」
「お呼びに答えて穂乃花ちゃんが参上いたしましたよ~! んで、話って何~?」
……あんまり暗い方向に考えすぎるのもあれだな。2人も来てくれたし、切り替えていこう。
◇◆◇◆
「貴兄ちゃんすっげー! 折り紙上手!」
「ありがと、純。さあ、これは純、こっちは紗南ちゃんのだよ」
「わあ~かわいい……ありがとう、お兄ちゃん!」
夕食を作る1時間ほど前、今日は純と紗南ちゃんに折り紙を教えていた。やまぶきベーカリーにお手伝いに来て2週間ほど経ち、2人とも仲良くなれた。
「お兄ちゃんってほんとうに何でもできるよね。かっこいい」
「そう? 何でもできるってわけじゃないよ?」
「でも貴兄ちゃん、料理も美味しいし、色んな事教えてくれるし、ゲームも上手じゃん!」
確かに夕食を作らせてもらったり、一緒に宿題をしたり、ゲームをすることは多い。この前なんかは、あやとりとポーカーのやり方を教えたりした。
「俺、お姉ちゃんに鶴折りたい……! 最近お姉ちゃん、元気ないから……」
「うん……お姉ちゃん、この前香澄さんとケンカしてから、元気ない気がする……」
どうやら2人の話を聞く限りでは、香澄がこの前山吹さんをバンドに誘ったそうなんだが、それが原因で言い合いになってしまったらしい。
「お母さんも疲れてそうだよね……」
「そうだね……お母さんにも、鶴折ってあげたいな」
2人とも本当に優しいな。お姉ちゃんと一緒だな。その心を大切にしてほしい。
「でも俺、お姉ちゃんに
「さーなも……」
山吹さんの優しい性格、家の手伝い、頑なにバンド参加を断る姿勢……
そして千紘さんの体調……といえば貧血……
貧血の症状と言えば、疲れ、めまいや立ち眩み、そして最悪の場合……
『……沙綾が中学生の時に、
……!! そういうことか……!!
「純、紗南ちゃん、ありがとう。おかげで全部繋がった」
「つながった……?」
「お兄ちゃん……? きゅ、急にどうしたの……?」
俺は両隣に座っている純と紗南ちゃんを交互に見て、話を続ける。
「2人に頼みたいことがある。お母さんを元気にするために……お姉ちゃんにもう一度ドラムをやってもらうために、お願いがあるんだ」
困惑していた2人だったが、俺がそう言うと、すぐさましっかり俺の話を聞こうとしてくれた。
「俺も千紘さんと、お姉ちゃんを助けたい。そのために、2人の手を貸してほしい……いいかな?」
「う、うん! 俺、頑張る!」
「さーなも、が、頑張る……!」
やるべきことが分かったら、後は簡単だ。
最悪を想定し、最善を尽くすだけだ。
◇◆◇◆
それから時は進んで、文化祭が明後日というところまで来ていた。文化祭の準備を終えた後、俺達Silver Liningは、とある用事でショッピングモールへ行ってきた。今はその帰り道だ。
「いやー、1回やってみたかったんだよね、皆でお揃いの買うっていうの!」
「穂乃花ちゃん、前から言ってたもんね。皆で買った
俺達が買ったのはネックレス。穂乃花の提案で、バンド名にちなんで、銀色のアクセを皆で付けようとなったのだ。
皆で買ったのは、綺麗な菱形のネックレス。菱形が4つの辺で形作られるように、4人で1つという意味を込めて、この形にした。ライブ当日は、皆でお揃いのネックレスをつけるつもりだ。
「明後日が本番なんだよなー。実感ねえな」
「間違いない、この2週間忙しかったし、一瞬だったな」
本格的に文化祭の準備に入ったのは、2週間前だ。バンドの練習に加えてクラスの準備もあったので忙しかったものの、皆で1つのものを作っていく、楽しい準備期間だった。
「しかも明後日、俺達がバンド発表のラストだぜ? その次には皆お待ちかねのフォークダンスだ。俺達の責任重大だな」
「それについては心配ない。しっかり練習したし、演出も皆でじっくり考えたし。後は俺達が楽しむだけだろ?」
大河の言う通り、俺達は有志発表の〆に選ばれた。その勢いのままフォークダンスということなので、出来る限り盛り上げたい。
「そういや貴嗣、穂乃花と花蓮とは踊るとしてさ、フォークダンス誰かと踊るのか?」
「ん? 今のところ予定はないな。……なんか忙しくて、そのこと頭になかったわ」
クラスの準備、バンドの練習、そしてやまぶきベーカリーの手伝い。それぞれに集中しすぎて、意外にもフォークダンスのことは頭になかった。
それに……最近はずっと山吹さんのことが気がかりだ。明らかに無理をしている山吹さんを見ると、他のことなんて考えられなかった。
「あれ? 貴嗣、沙綾ちゃんと踊るんじゃないの?」
「むむ? なんで山吹さん?」
突然一緒に歩いていた穂乃花にそう言われた。
「だって、同じ副実行委員だし、沙綾ちゃん家のお手伝いに行ってるし、いつもよく話してるからさ。最近ずっと一緒にいるじゃん?」
「なるほどねえ。言われてみれば確かに……でも別に約束はしてないぞ」
「ありゃ、てっきりもう付き合ってるのかと」
いやいやないない、と言いながら、山吹さんは誰かと踊るのかと考える。
山吹さんは可愛いし、性格もいい。もし誰かと踊るにしても、俺以外の人が誘う可能性も高い。
「誘ってあげたら? 多分沙綾ちゃんも喜ぶよ?」
「うん。それだけ一緒にいるんだから、貴嗣君から誘ってもいいと思う」
穂乃花だけじゃなく、花蓮からもそう勧められる。2人も山吹さんがしんどそうにしているのを分かっている上での言葉だ。
そんな信頼できる2人からの勧めを、無下には出来ない。
「……考えとくわ」
「おぉ? これはうちのクラス初のカップル誕生か?? おぉ?」
「楽しみですなあ~ニヤニヤがとまりませんなあ~」
「あはは……頑張ってね、貴嗣君」
どうやら3人は乗り気らしい。
正直、山吹さんみたいな可愛い女の子と踊るなんて嫌じゃないし、むしろ嬉しすぎる。
でもそれは、今穂乃花や花蓮から言われて「それもありだな」と考えているだけで、俺が心から山吹さんと踊りたいと思っているのか……それがイマイチ分からない。
「貴嗣も実は踊りたいんじゃねえの? もう誘っちまえよ。あんだけ仲良く話せてるんだし、山吹さんに断られるってことは無いって思うぞ?」
「……もちろん山吹さんと踊れるのは嬉しい。でもその気持ちが、今皆に勧められたからそう思うのか、俺が本当に山吹さんと踊りたいと思っているのか……今日は家に帰ってから、ちょい気持ちを整理してみるよ」
“山吹さんと踊りたい”というのが本心なのか、確かめる必要がある。
「うん。それがいいと思う。……なんだか貴嗣君らしいね」
「俺らしい?」
「うん。だって、軽い気持ちで踊るんじゃなくて、しっかりと沙綾ちゃんのことを考えて踊りたいってことでしょ? そうやって誠実に誰かのことを想えるのって、貴嗣君らしい」
「女の子的にはポイント高いよー! これ沙綾ちゃんもドキドキって来るんじゃない!?」
「……山吹さんには言わないでくれよ?」
冗談交じりにそう答え、皆で笑う。皆と一緒に笑ったおかげで、ちょっと気持ちが楽になる。
「あんま期待しすぎんなよ。……それよりも、明日は本番だ。練習はしっかりやったから、あとは俺達が全力でエンジョイする気で演奏するだけだ」
「おう! 会場を沸かせてやるぜ!」
「ラストにあたしたちを持ってきてくれた運営の人たちに答えなきゃね!」
「そうだね。自分達の全力を出し切れるように、頑張ろう」
いよいよ明日が本番だ。皆で楽しい文化祭にしよう。
読んでいただき、ありがとうございました!
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文化祭で主人公がどんな行動をするのか……それではまた次回もよろしくお願いいたします。
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