Silver Lining ~ BanG Dream Story~   作:おたか丸

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 先日UAが10000を超えました!! 皆様本当にありがとうございます!!

 新しくお気に入り登録をしてくださった皆様、☆9評価をくださったシルスキー様、ありがとうございます!

 今回はAfterglowメインストーリーの最後、後日談的なものとなっております。前回もお伝えした通り、次回からはメンバーとのエピソードになります。

 タイトルの花は「ナスタチウム」。赤や黄の花びらが綺麗な、初夏~秋の花です。

 それではどうぞ!


第20話 Nasturtium

 

 

「それじゃあ、ガルジャム出場&ライブ成功を祝って……かんぱーい!」

「「「かんぱーい!」」」

 

 

 お互い持ったグラスをカンッと優しく当て合い、ライブ成功の喜びを全員で分かち合う。キンキンに冷えたジュースがたまらなく美味しい。

 

 羽沢喫茶店にて打ち上げをしているAfterglowとSilver Lining。俺達は手伝っただけで出場はしていないのだが、今まで練習を見てくれたことやトラブル解決を手伝ってくれたこと等の感謝をさせてほしいと言ってくれたので、こうして俺達も参加させてもらっている。

 

 大きなテーブルに9人の男女。テーブルの上には大量のお菓子と飲み物。おおよそ普通の喫茶店では見られない光景だ。今日は店が休みだそうだが、打ち上げのために貸し切りにさせてもらっている。快く受け入れてくれたAfterglowの皆に、そして羽沢家の皆さんに感謝だ。

 

 

「そういえば俺達文化祭の打ち上げしてないよな?」

「確かに。文化祭終わってから皆で集まれる時間が無かったもんね」

「じゃああたし達も打ち上げしよう! どこでしよっか?」

「うちの店はどうだ? 定休日に貸し切ってさ」

「いいね! 迷惑じゃなかったらお店でやりたい!」

 

 

 お菓子を片手に、俺は皆にうちの店で打ち上げを行うことを提案する。

 

 

「お店? 貴嗣君の家って料理屋さんとかなの?」

 

 

 4人で文化祭ライブの打ち上げの話をしていると、そこにひまりちゃんが入ってきた。隣にはリンゴジュースの入ったグラスをもったつぐみちゃんもいる。

 

 

「実は俺の家も喫茶店なんだ。Sterne Hafenっていう店」

「「えっ!?」」

「今女子高生の間で話題沸騰中のあの……!?」

「コーヒーが本当に美味しいって言われてるお店だよね……!?」

「(……この流れ、松原さんの時と一緒だな)」

 

 

 そんなにうちの店は人気なのだろうか。だが言われてみれば、花咲川の人達も学校終わりに来てくれることが多くなったような気がする。母さんがイン〇タで宣伝している効果かもしれない。

 

 

「たまに俺も店の手伝いするんだ。よかったら時間があるときにでも寄ってみて。サービスするよ」

「えっ!? 貴嗣君が働いてるの!? 行く! わたし絶対行く!」

「私も行きたいって思ってたんだ。またAfterglowの皆で行くっていうのはどう?」

「それいい! さっすがつぐ!」

 

 

 よし、お客様5名確保でございます。母さんの喜ぶ顔が目に浮かぶ。ここから羽丘学園にも進出するとしよう。

 

 

「貴さーん。モカちゃんのためにどうかテーブルの上のお菓子をお恵みくだされ~」

「お菓子か? じゃあ……これでいいか? はい、どうぞ」

「むむっー手が届かない……。こうなったら仕方ない、貴さーん、あーん」

「「「……モカ(ちゃん)!?」」」

 

 

 丁度テーブルをはさんで向かい側にいるモカから指令が来る。

 

 俺は適当にチョコスティックを手に取って渡そうとしたのだが、どうやら手に取るのが面倒くさくなったらしい。マ〇オギャラクシーに出てくる星型の食いしん坊のように口を開け、食べさせてくださいとお願いをしてきた。

 

 どう見ても手は届くのだが、その気分じゃないのだろう。この前ポピパの皆と弁当を食べているとき、おたえにお願いされてハンバーグをあーんした記憶が甦る。こういったシチュで「自分で食べられるだろ?」と言うのは、不適切な対応なのだ。

 

 

「いいよ。はい、あーん」

「あーん……もぐもぐ……。んん~おいひぃ~……。貴さーん、次はそのクッキーを~」

「はいよ。はい、あーん」

「あーん……。んん~さいこう~……♪ もっとちょうだ~い」

「はいはい。どうぞ~」

 

 

 どうやら喜んでくれているようだ。俺が口に運ぶお菓子をもきゅもきゅと食べるモカ……まるで小動物みたいだぁ。

 

 

 

 

 

「モカのペースに流されないなんて……。アタシ達でも振り回されるのに、すごいな……」

「うちの貴嗣はあの程度で狼狽えないよー。あれくらい慣れっこだよ。……あれ? 巴、なんか顔赤くな~い?」

「へっ!? 穂乃花? い、いやっ、何でもない……! (なんか今のモカと貴嗣、カップルみたいで見ててドキドキするな……///)」

「あれれ~? いつも堂々としてるのに顔赤くしちゃって~。さてはあんな光景見るのに慣れてないな~ウリウリ~」

「……ッ!? か、勘弁してくれ……///」

 

 

 横を見ると巴をからかっている穂乃花の姿が。同じドラマーとしてシンパシーを感じる部分もあるのか、出会ってそんなに経っていないし、俺みたいに頻繁にアフグロの手伝いに来ていたわけではないが、ご覧の通りすっかり仲良しだ。

 

 

 ……穂乃花が一方的に巴をいじっているだけに見えるが。

 

 

 

 

 

「2人とも、モカちゃんが羨ましい?」

「「ひゃあっ!?……花蓮ちゃん!?」」

「つぐみちゃんもひまりちゃんも、貴嗣君のこと狙わないの?」

「「へっ……!?///」」

「あははっ、2人とも顔真っ赤にして、可愛いなあ。色々貴嗣君頑張ってたし、ちょっと気になるんじゃない?」

 

 

 せっせとモカにお菓子を食べさせていると、今度は花蓮とひまりちゃん、つぐみちゃんの声が耳に入ってきた。

 

 

「分かるよー。貴嗣君、顔は整ってて高身長、体格も良いしギターも上手、そして何より優しいし。狙うなら早く動かないと。花咲川(うち)にはライバル多いよー?」

「ね、狙うなんて……私はただカッコいいなって思ってるだけで、それで……ううっ……///」

「(ライバル……? 誰なんだろ……?)」

「つぐみちゃん、誰が貴嗣君を狙ってるか気になるの?」

「えっ!? な、なんで分かるの……?」

「ふふっ、顔に出てるよー。そうだね~……少なくとも1人は確実だね。怪しいのも含めるとあと4人ってところかな?」

「「お、多い……っ!」」

 

 

 店内にBGMをかけているのに加え、皆あちこちで話しているので正確には聞き取れないが……花蓮と話している2人が驚いているのだけは聞こえた。

 

 

「あははっ。折角仲良くなれたんだし、遊びに誘ってみたら? 貴嗣君遊ぶの大好きだし。思い切ってデートしちゃえっ」

「貴嗣君と……デ、デート……ううっ///」

「……///(なんか変に意識しちゃうな……。でも、多分ひまりちゃんは貴嗣君と遊びに行きたいだろうし、あんまり私が邪魔しないほうが良いよね……?)」

 

 

 花蓮もアフグロのメンバーとしっかり打ち解けたようだ。俺がモカにお菓子を食べさせている傍ら、少し離れたところでこちらを見ながら雑談をしている。

 

 

 ……あっ、目が合った。空いている方の手を振ろう。……ありゃ、つぐみちゃんと花蓮は振り返してくれたけど、ひまりちゃんは俯いてしまった。

 

 

 

 

 

「美竹さんもお願いしてみたら?」

「えっ? す、須賀君……? お願いって……何を?」

「大河でいいよ。同い年なんだし。――何って、モカちゃんと同じことをさ」

「い、いいよ別に……。恥ずかしいし……」

「まあ恥ずかしいのは間違いないわな。でも美竹さんも頑張ったんだしさ、ちょっとくらいモカちゃんみたいに甘えてもいいんじゃない? 貴嗣は嫌な顔しないぜ?」

「あたしも蘭でいいよ。――今の2人の間に入るのはちょっと……。大河こそ、あたしなんかと話してていいの?」

「もちのろん。気になる男子に話しかけたくてモジモジしてる子の甘酸っぱい気持ちが伝わってくるし、俺そういうの好きだし」

「は、はあ……!? ベ、別に山城君はそんなんじゃないし……!」

「俺は男子って言っただけで貴嗣とは言ってないぞ~?」

「……ッ!///」

「あははっ! ごめんごめん! からかいすぎた! 謝るからそんな睨まないでくれよ?」

 

 

 そしてモカの隣にいる美竹さんと、Silver Liningのベーシストである大河というレア(?)な組み合わせ。練習でアドバイスを伝える時に話していたのを見たくらいだが、さすがコミュ力の塊だ、この打ち上げではさっきから仲良く話している。控えめすぎず攻めすぎずという絶妙な距離感を取るのが上手な大河に、美竹さんも心を許しているようだ。

 

 

 ……さっきからモカが止まらない。このままだと全部食べちまうぞ。

 

 

「大河? あんま美竹さんをからかうなよ? ……モカ、ちょっと食べすぎだからストップ」

「えぇ~そんなあ~。貴さんがお菓子をくれないと、モカちゃんは滅せられてしまいます~」

「お菓子ならいくらでも食べさせてあげるから。ほら、今我慢したらうちの店で美味しいパンケーキごちそうするから。皆の分のお菓子を残しといてやってくれないか?」

「パンケーキ……!」

 

 

 俺がそうお願いすると、モカの目は、喜びと期待に満ちたものとなった。

 

 

「わかったー。みんなー残り食べていいよ~」

「「「モカ(ちゃん)がお菓子を我慢した……!?」」」

 

 

 流石にテーブルの上にあるお菓子の数が見るからに減ってきていたので、うちのパンケーキで手を打った。うむ、言い方は悪いかもだけど、モカの扱いが大分分かってきたぞ。

 

 

「いやーすまんな。反応が面白くて、ついやっちまった。ごめんな蘭?」

「別に。そんなに気にしてないよ」

「ならよかった。じゃあ俺は他の子と話してこようかな。蘭は貴嗣と話しときな。じゃあの~」

 

 

 大河はそう言ってコップを持ったまま席を立ち、穂乃花と巴の元に行った。多分2人で巴をからかうつもりなのだろう。エスカレートして花蓮がヘルプに入るまで予想できた。

 

 

 

 

 

「美竹さん。隣行ってもいい?」

「うん。いいよ」

 

 

 オレンジジュースとお菓子を持って席を移動する。

 

 

「さっきは大河がすまんな。悪いやつじゃないから安心して」

「うん。それは大丈夫。すごく話しやすいし」

「それが大河の長所だからねー。お互い名前で呼んでたし、仲良くなったみたいで何より」

「あれは大河が名前でいいって言ってきたからさ。お互い名前呼びじゃないと違和感あるじゃん」

「確かにね」

 

 

 オレンジジュースが無くなったので入れようと思ったのだが、ボトルが空になっている。ほぼ満タンに近い麦茶のペットボトルを持って、自分のコップに注ぐ。

 

 美竹さんのコップも空になっている。何が欲しいか聞いてみよう。

 

 

「美竹さん。何か飲み物入れ――」

「蘭」

「えっ?」

「名前で……呼んでほしい」

 

 

 手に持っているコップをモジモジと触りながら、チラッチラッと横目でこちらを見ながらお願いされた。さっきからこんな感じだったからどうかしたのかと思っていたが、なるほど、名前で呼んで欲しかったのか。

 

 

「――蘭。飲み物入れようか?」

「……うん。――貴嗣と同じので」

 

 

 コップに麦茶を入れる。蘭はそれを嬉しそうに受け取った。

 

 

「ガルジャム、楽しかった?」

「うん。最高だった。父さんにもバンド活動認めてもらえたし」

 

 

 蘭はそう言って、コップに注がれたお茶の水面を見る。彼女にとって、父親に認められたというのは感慨深いものだろう。少し俯いているその顔には、自分の想いを受け入れてくれたことによる喜び――彼女のお父様そっくりの優しい笑顔があった。

 

 

「頑張ってよかったな」

「本当にね。皆も、こんなあたしに着いてきてくれた」

 

 

 蘭は顔を上げ、自分に手を差し伸べてくれたAfterglowのメンバーを見つめる。穂乃花と大河に弄られて顔を真っ赤にしている巴、花蓮に翻弄されているひまりちゃんとつぐみちゃんに、それに便乗して2人をからかっているモカ。最高のメンバーだ。

 

 

「喧嘩も衝突もしたけど、だからこそ今があるんだよね。辛かった時期があったから……こんな素敵な景色を見られるんだよね」

「その通り。その感じだと、この前の言葉の意味、理解してくれたみたいだな」

「うん。……ほんと色々知ってるね。同い年っていうのが嘘みたい」

「正真正銘同い年だよ。色々知ってるってのは……まあ、俺読書大好きだからさ。読んでいく内に自然とそういう言葉を覚えていったかなー」

「読書か……確かに、貴嗣って難しい本とか読んでそう。じゃあ他にも、なんかいい言葉知ってたりするの?」

 

 

 蘭にそう聞かれ、俺は上を見上げる。記憶の引き出しから、今の蘭達に合っている言葉を探し出す。

 

 

「……『人間は不遇になった時、初めて友情の何たるかを知る』」

「へえ~……何それ?」

「昔の武将の言葉。自分に不幸が降りかかった時にこそ、人は初めて友情の意味を知るってこと」

「そうなんだ。……なんか、今のあたし達にピッタリな言葉だね」

 

 

 揺らぐ、傷つく、失う――そういう局面に陥った時に、人は初めて友情という貴い言葉の意味に気づく。そしてそれらを乗り越えた絆はより強固になり、試練を乗り越える力になる。

 

 これは蘭達が一番分かっていることだろう。多分、これからも皆には壁が立ちはだかる。それは避けられない。それが人生というものだ。

 

 

 でも大丈夫。

 

 

「2人ともー! 皆で集合写真撮るから、こっち来てー!」

「……だってさ。ひまりちゃんが呼んでるし、行こうか、蘭」

「うん。行こう、貴嗣」

 

 

 

 

 

 だって彼女達はAfterglow。

 

 断ち切れることのない絆で結ばれ、困難に打ち()った、幼馴染5人組なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

【おまけ】

 

 

 同日打ち上げ終わり。帰り道にて。

 

 

「(貴嗣君と2人っきり……。誘うなら今、だよね……?)」

「あっ、もうここか。ひまりちゃんはあっちの道だったよね?じゃあここでバイバイかな」

「えっ!? ああ、うん! そうだね! (あっ……ど、どう誘えば……)」

「今日は一杯話してくれてありがとう。また練習誘ってもらえると嬉しい」

「うんっ! ……また誘うね!(だめだ、このままだと帰っちゃう……声かけなきゃ……)」

「じゃあ俺はここで。じゃあn」

「た、貴嗣君!!」

「お、おう。どうした?」

 

 

 ひまり、何とか勇気を出して貴嗣を呼び止める。

 

 

「えっと……その……あのっ!」

「うん。どうした?」

「よかったらその……つ……次の休みの日……私とどこかに遊びに行きませんか……!///」

 

 

 顔を真っ赤にして、ブンッ! と勢いよく頭を下げるひまり。

 

 

「ああ。俺でいいのなら、ぜひ」

「え……いいの……!?」

「もちろん。遊ぶの大好きだし。細かい日程とかはまた家に帰ってからでもいいかな?」

「……っ! うんっ! 私からも連絡するね!」

「オッケー。夜の9時くらいにL〇NE送るね」

「うん! 私もそれくらいにメッセージ送るね!」

「サンキュー。――じゃあ、俺はこの辺で。またうちの店にも来てね。バイバイ」

「うんっ!! バイバイ!!」

 

 

 次の日、あまりにも高いテンションに違和感を感じたバンドメンバーから学校で尋問を受け、ソッコーで事情を吐いてしまい顔から湯気が出るまで弄られるひまりであった。

 




 
 読んでいただき、ありがとうございました。

 ナスタチウムの花言葉は「困難に打ち克つ」です。本文の最後の方にもチラッと出させていだたきました。色々調べてみて、この花言葉が一番しっくり来ました。

 今朝マイページを開いたらUAが10000を超えていて……本当にびっくりしました。こんなにたくさんの方々に読んでもらっているんだなと思うと、とても幸せな気持ちになります。皆様本当にいつもありがとうございます!

 次回はAfterglow編でのメインヒロインとのお話です。さて誰なのか……?

 それでは次回もよろしくお願いいたします。

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