Silver Lining ~ BanG Dream Story~ 作:おたか丸
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Afterglowのキャラエピソードの3人目は、巴です! 色々作者の趣味が入った結果、8000字を超えてしまいました……読みづらかったら申し訳ないです。
それではどうぞ!
キッチン。料理を作るものにとってのキッチンは、いわば剣道を嗜む者にとっての竹刀と同じ神聖なもの――自分達のイメージを具現化するための聖域だ。手荒に扱うなど論外。
仮にそんなことをした者には手痛い仕打ちが待っている。上手く作れなかったり、作れたとしてもマズかったり、といった具合にだ。
料理をするときは、常に誰かに見られているつもりで、常に礼儀正しくしていなさい。自分達の作った料理で誰かを幸せすることを心掛けなさい。そして誰かを幸せにできる自分に誇りを持ちなさい――俺達兄妹は、両親からそう教えられてきた。
まあ実際にはこんな師匠口調じゃなかったし、もっと優しく教えてもらったけど、自分に言い聞かせるときには厳しくいかないとな。
「お兄ちゃ~ん! スープ作る準備はできたよ!」
「サンキュー真優貴。巴はどう?」
「こっちも準備オッケーだ!」
「……よし」
目の前には美しいキッチン。綺麗に掃除されており、ここの家の人が丁寧に使っているのが良く分かる。
目の前にはネギやニンニク、玉ねぎに生姜、そして忘れてはいけないチャーシューもある。さあ、準備は整った。
「これよりラーメン好きによる『ないなら自分で作ればいいじゃない。世界で1つだけのうますぎラーメン』計画を始動する。ラーメン作るぞー」
「「おー!!」」
なに言ってるんだこいつと思った方、ちょっと待ってほしい。ちゃんと説明するから。
事の発端はこの前の休みの日にさかのぼる。
◇◆◇◆
コツンコツンと、自分の履いているブーツの音が鳴る。今隣を歩いている私の大好きな人に、2か月くらい前に買ってもらったオシャレなブーツだ。
「真優貴、歩くのしんどないか?」
「大丈夫! これでもお兄ちゃんと一緒で鍛えてるんやから、舐めてもらったら困るなあ~?」
「ふふっ。そやな。女優には体力が不可欠、やろ?」
「そういうこと!」
皆さん初めまして&お久しぶりです! 山城真優貴です! こうやって挨拶するのは初めてですね!
今日は日曜日。ちょっと久しぶりに2人きりで外食に来てます♪ だから私は上機嫌なのです♪
「……えいっ♪」
「おいおい。ちょっとくっつきすぎちゃうか? 俺は別にええけど、ネットに色々書かれたら困るのは真優貴やぞ」
「別に私は気にせえへんもーん。てか変装してるし」
「それに真優貴のファンから襲われそうで怖い」
「その時はお兄ちゃんが守ってくれるやろ?」
「もちろん」
やっぱりお兄ちゃんは優しいなあ。今私が腕に抱き着いてるけど、絶対振りほどこうとしないしさ。それにさっきから私の歩幅に合わせてくれてるのもポイント高い!
「ほら、着いたで。ここがこの前大河と行ったラーメン屋さん」
「わーお! いい匂いする~! 早くいこっ!」
「その前に、流石に手は放しとき。変な噂立っちゃうかもやし」
「はーい」
ちょっと残念だけど、お兄ちゃんにも変な噂立っちゃったら嫌だし、ここは我慢しないと。切り替え大事。
美味しそうな匂いのするラーメン屋さんのドアを開けて、2人でカウンター席に向かう。すると――
「……あれっ!? 貴嗣じゃん!」
「おおー巴じゃん」
お兄ちゃんがカウンター席の端っこに座ってる女の人に声を掛けられた。綺麗なワインレッドの髪で、身長もお兄ちゃんよりちょっと低いくらいかな?
「貴嗣もラーメン食べに来たのか?」
「おう。妹と一緒にね」
「妹?」
「紹介するよ。妹の山城真優貴だ。真優貴、この人は宇田川巴。この前話したAfterglowのドラマーさんだ」
「真優貴……って、女優の……!?」
私は変装用(?)に掛けていた眼鏡を外して、宇田川さんの方を向いた。
「初めまして。貴嗣の妹の山城真優貴です。よろしくね!」
「あっ…………は、はいっ! よ、よよよろしくです!」
「同い年なんだからタメ口でいいよ! 気軽に真優貴って呼んでくれる?」
「いいんですか!? あっ……」
「あははっ! 私も巴ちゃんって呼んでいいかな?」
「はい、もちr……ああ! よろしく、真優貴!」
そうして巴ちゃんと握手。やった! 友達増えました!
ふむふむ……イケメン系女子ってやつですなあ~。男装させたら似合いそう!
「そうだ! ねえねえ巴ちゃん、イ〇スタフォローしてもいい?」
「!? でも、アタシは真優貴のアカウントフォローしてるぞ?」
「あれはオフィシャルアカウント! こっちは個人のやつ。他の人には内緒だよ?」
「や、やったあ……!」
「仲良くしてね~! お兄ちゃん、私巴ちゃんの隣座ってもいい?」
「いいよ。巴もいいかな?」
「あ、ああ! もちろん! (ヤバい……今をときめく女優が私の隣に……!)」
巴ちゃん、私、お兄ちゃんの順番でカウンター席に座る。どうやら巴ちゃんも今来たばっかりだったらしく、私達兄妹は巴ちゃんにこの店のおすすめを聞くことにした。
お兄ちゃんと2人でメニューを共有する。塩、しょうゆ、豚骨……美味しそうなラーメンがいっぱいだ。
「お兄ちゃんは前大河君としょうゆラーメン食べたんだっけ?」
「そうそう。めっちゃうまかった」
「えっ? 貴嗣、ここに来たことあるのか?」
「ああ。ほら、初めて俺達が会った日、俺羽沢珈琲店行く前にここでラーメン食べたんだよ」
「まじか。ラーメン好きなのか?」
「俺達兄妹は大好きだぞ」
「ねー」
目を大きく開いて驚いたような顔をする巴ちゃん。でもこれは私達2人にとっては慣れた反応だ。
私は女優、それに上品な女優として世間一般に認知されている。先輩である千聖さんと同じ感じって言ったら分かりやすいかな? もちろんこれはテレビが勝手に言ってるだけで、私は一切そんな気は無いんだけど。
そしてお兄ちゃん。皆さん知っての通り……かは分からないけど、10人いれば10人が「上品、真面目」って答えるであろう外見や身振り。店の手伝いやアルバイトもしているだけあって言葉遣いも丁寧だ。
私達の礼儀作法はお父さんお母さんから教えられてきただけなんだけど、そのおかげで私達は道行く人に「上品」と言われることがほとんど。どうやら「イタリアンとかフレンチを毎日食べてそう」って思われてるらしい。
ちょっと偏見が過ぎるよっ! 私達だってラーメン食べるよ! だって美味しいんだもん!
「ムフーッ!!」
「おいおい真優貴。なにそんなに怒ってるねん?」
「何って……私らやってラーメン食べてええやん! イタリアンとかも好きやけど、別に毎日食べてるわけちゃうよっ!」
「(か、関西弁で怒ってる……)」
もうっ! 「えっ……ラーメンとか食べるんだ……」みたいな反応は良くないと思います!
「ほら。今巴におすすめのラーメン聞くんやろ?」
「……はっ! そうだった! 巴ちゃんはどのラーメンが好きなの?」
「ア、アタシ? アタシは断然、豚骨ラーメンだな(切り替え早っ!)」
「「おお~豚骨ラーメン」」
「(シンクロ!?)」
「うーん……決めた! 私豚骨ラーメンにする! お兄ちゃんは?」
「しょうゆは大河と食べたし、塩はバンドの皆と食べる約束してるから、俺も豚骨で。巴は?」
「アタシも同じだな」
「じゃあ頼もうか。すみませーん」
お兄ちゃんが店長に注文してくれました。3人そろって豚骨ラーメンだ。丁度お腹も減ってきたし、早く食べたいな~。
*
そして待つこと数分。厨房から漂ってくるいい匂いを満喫していると、店長がお皿を3つ持ってきてくれた。
「はい! 豚骨ラーメンお待ち!」
「「おお~!」」
「2人とも、ここの豚骨は絶品だぜ! さあ、食べてみてくれ!」
「うん! それじゃあ……」
「「「いただきます!」」」
お箸を持って、麵を掴んで口に運ぶ。
「どうだ2人とも?」
「「……めっちゃうまい……」」(フニャフニャヤマシロブラザーズ)
なにこれ! すっごく美味しい! 私ラーメンは塩が好きだったけど、豚骨ってこんなに美味しかったんだ!
「これめっちゃ美味しい! 私ハマるかも!」
「やばいなこれ……。腹減ってるから余計にうまい」
「あっはは! それは良かった! いや~、いつ食べてもうまいなぁ」
巴ちゃんも美味しそうに食べている。巴ちゃんが豚骨ラーメン好きっていうの、なんだか分かるなぁ。話し方とかさっぱりしてて、頼りになる姉貴! って感じだからピッタリだね。
それにしてもこのラーメン、美味しすぎる。これだけ美味しかったら……。
「家でも食べたくなるね!」
「だな! こんだけうまいラーメン自分でも作ってみたいぜ」
「じゃあ作るか」
「えっ?」
「作ろうぜ。豚骨ラーメン」
黙々と食べてたお兄ちゃんがすごいことを言い始めました! お兄ちゃん、飲んでたスープがヒゲみたいになっててなんか仙人っぽい!
「作るって……自分達でか!?」
「そうそう。レシピはネットにあるし、材料は商店街でいくらでも揃えられるはずだ。スープから作って、自分達好みの味を研究するんだ」
「スープから……!! ゴクリ……」
「私はさんせーい! 絶対楽しいし! 巴ちゃんはどうする?」
「アタシもやってみたい!! 何なら今すぐにでもっ!」
おおー、巴ちゃんもやる気満々だね!
それにしてもこんな発想できるなんて、やっぱりお兄ちゃんはアイデアマンですなー。
よし、そうと決まれば準備だよね。まずはどこでするかだよね? 1から作るつもりだから時間もかかるだろうし……。
「なあ2人とも。よかったらラーメン作るの、うちでやらないか?」
「巴の家で? いいのか?」
「実は次の日曜日、両親が用事で家にいないんだ。妹と外食するつもりだったんだけど、その日にラーメン作って皆で食べるっていうのはどうだ?」
「わあ~最高じゃん! 私達もその日空いてるし!」
「じゃあお邪魔させてもらってもいいか?」
「おう! ぜひ来てくれ!」
「サンキュー。じゃあどのレシピで作るか決めようか」
「「おー!!」」
その後はお兄ちゃんのスマホで調べながら、スープの作り方とか必要な材料を決めていった。調べてみたら結構色んなレシピがあってビックリ。豚骨ラーメンだけでもこんなにあるなんて……やっぱり料理は楽しいね!
スープは時間をかけて煮込まなくちゃいけないし、本人の強い要望もあって巴ちゃんに準備してもらうことに。そして私達山城兄妹は当日、その他の足りない材料を買ってから巴ちゃんの家に向かうことになりました!
◇◆◇◆
「というわけで、今俺達は宇田川家にお邪魔させてもらってるわけなのだ」
「なのだー♪」
だらだらと説明して申し訳ない。要は妹とラーメンを食べに行ったら巴がいて、たまたま皆ラーメン好きで、どうせなら皆で1回作ってみようってことになった、てわけだ
ちなみに今の俺達の格好は黒シャツにエプロン、頭に鉢巻のラーメン職人状態だ。この姿になることで、より一層やる気を出すことができるのだ。
「スープのほうは、まず叩いたゲンコツを鍋に入れて、水を注いで火にかける、か」
「さっき金槌で叩いたから、あとは入れるだけだね」
今回は俺と真優貴、巴に巴の妹さんの4人分だ。調べたところ5kgのゲンコツで大体10~15杯くらいのスープができるそうだ。今回はそんなに要らないので、使わない分は冷凍しておく。
「んで、こっからが長いんだな。とりあえず交代で混ぜていくか。じゃあ最初は巴、頼む」
「おう! この時を待ってたんだ……!」
目を輝かせながら近くのホームセンターで買ってきたという棒を使い、鍋の下からゆっくり混ぜていく。根気のいる作業ではあるものの、巴曰く3人で喋りながらやるので退屈じゃないし、むしろ結構楽しいそうだ。
数時間かけて煮込むので、リビングのテレビで映画を見つつ、3人で交代しながら混ぜていく。スープの準備が出来次第、ネギやチャーシュー等の準備をするので、それまではあんまりやることがない。
なので……。
「ああ……やっぱりエピソードⅣはたまらねえなぁ」
「そうやね……もちろん全部好きだけど、どの映画も最初の作品は別格やんな……」
「スターウ〇ーズ……初めて見たけど面白い……」
俺達が家から持ってきた映画を見ることに。やっぱり映画好きにこの作品は外せないよなぁ?
CGじゃなくて、特殊撮影技術を使いまくってる昔の映画って重厚感があるから大好き。今のCG使ってる映画も好き。つまり全部好き。
手元にエピソードⅠ~Ⅵ全部あるから、これで時間をつぶそうではないか。
*
そして不朽の名作であるエピソードⅤを見終わったのと同じタイミングで準備を再開した。
チャーシューを鍋に入れて茹でた後、歯ごたえがある固さにしてから醤油漬けにする。麵は自作のものではなくデパートで買った市販のものだ。細いストレート麵で、ラーメン屋の店長も安くて美味いとおススメしてくれた。
麵を茹でながらネギや卵の準備をする。包丁を使う時は慎重にね。
「よーし、スープ入れるか。巴やるか?」
「いいのか?」
「おう。一番楽しみにしてただろ?」
「サンキュー貴嗣!! じゃあ……いくぞっ……」
丼を用意し、そこに巴がスープを入れていく。キラキラとリビングの照明に照らされて輝く様は、まさしく黄金スープと言ったところだろう。もう見ているだけで食欲がそそられる。
「「おお~……」」
「……よし! こんなもんだろっ」
「じゃあ次は麵だな。次は俺の番だな」
良い感じに茹で上がった麵を入れていく。モワッと湯気が立ち込めて、美味しそうな匂いが部屋中に広がる。もう最高や。
「で、最後にトッピングだね! まっかせてー!」
真優貴に丁寧にトッピングしてもらう。さすが真優貴だ、どこからどう見ても美味しそうな仕上げをしてくれた。
「つ、ついに……」
「ああ、やっとだな……」
「だね。ようやく……」
「「「完成だー!」」」
ここまで数時間。本当に長い道のりだった……。
「うわっ、もうこんな時間か。スープから作ったから時間かかったな」
「そうだな。でもその甲斐はあった! これがアタシ達オリジナルの豚骨ラーメンだ!」
予定通り夕食の時間に待ち合わすことができた。
大きなトラブルもなく、中々いい具合にできたのではないのだろうか。
さあ、あとは巴の妹さんが帰ってくるのを待つだけ――
「ただいまー!」
おっ、丁度いいタイミングで来てくれたみたいだ。
バタバタと廊下を走る音が聞こえたかと思えば、バンっと勢いよくリビングのドアが開かれた。
小柄な体に紫色の髪、そして力強そうな紅の瞳。ゴシック調のデザインの服装はこの子の趣味なのだろう。
その子が俺達兄妹を見て、目をパチクリさせる。そりゃあ初対面だから、そんな反応になるわな。
「おかえり、あこ。紹介するよ。山城貴嗣さんと、その妹の真優貴さんだ」
「「はじめまして~!」」
「えっ、うそ……! Silver Liningの山城貴嗣さんと……女優の真優貴ちゃんが……今日のお客さんなのーっ!?」
その可愛らしい女の子――宇田川あこちゃんとのファーストコンタクトは、自分の家にテレビでよく見る女優と、SNSで最近よく見かけるその兄がいるという、驚かざるを得ない意味不明な形で迎えることになった。
◇◆◇◆
とりあえずあこちゃんに事情を説明してから落ち着かせて、4人でテーブルに着く。麵が伸びちゃったら美味しくないからね。まずは熱いうちにいただこう。
「わあ~……これ、お姉ちゃん達が作ったの!?」
「そうだぞ! おいしそうだろ?」
「うん! いい匂い……ジュルリ……」
「あこちゃんよだれ出てるよ~。さあ、お腹も減ってることだし、食べようか!」
「「「いただきまーす!」」」
俺に真優貴、巴にあこちゃんの4人で自家製(宇田川家だけど)豚骨ラーメンをいただく。
おおっ! このスープ、自分達で作ったにしては美味いんとちゃいますか!? お腹が減ってるのもあって涙が出るほど美味い……!
「あこちゃん美味しいか?」
「うん! すっごく美味しい! ――そうだ! 山城さんのライブ映像見たよ! 最高だった!」
「貴嗣でいいよ。ライブ見てくれてありがとうな」
「ほんと!? それじゃあ……たか兄!」
「おっほい妹が1人増えたぜ」
「やったー私に妹ができたー! あこちゃん、私のことも好きに呼んでくれていいよ!」
「じゃあ……まゆ姉!」
「キャー! サイコー! 可愛いー!」
「あははっ! よかったなあこ!」
元気一杯で可愛いあこちゃんにお姉ちゃん認定をされて喜ぶ真優貴。山城家の長女で弟妹がいないので、可愛がれる妹(仮)ができて嬉しいのだろう。
「あこは今日の練習どうだった?」
「今日も絶好調だったよ! こう、ダダダーンって叩いて、バーン! って感じで!」
「練習? あこちゃん、習い事か何かしてるの?」
「ううん! あこはバンドでドラムやってるんだ! Roseliaっていう凄いバンド!」
なんとこの子もドラムとな。お姉さんと一緒なんだな。
それにしても……聞きなれない名前が出てきた。
「ほえ~ドラムとな。そのRoseliaっていうのもガールズバンドなの?」
「そうだ……って、貴嗣、Roselia知らないのか?」
「……今まで知らなかったでごぜーます」
「お兄ちゃん、あんまりネットとか見ないもんね~」
隣に座っている真優貴に横腹をツンツン突かれる。
前にも言ったけど、真優貴はよくこうやって家族や仲の良い友達(まあほとんど俺なんだが)をからかう癖がある。
くそう、清楚な見た目をして小悪魔系とは、お兄ちゃんはそんな子に育てた覚えはありませんぞ。
あと横腹はダメだ、耳と同じで俺の弱点なのだよ。
「Roseliaっていうのは、全国的に見てもトップクラスのガールズバンドだ。プロレベルの演奏技術が魅力だな」
「ほほ~プロですか。んでその凄いバンドのドラマーがあこちゃんってわけか。えっ、すごくねそれ」
「ふっふっふ……我には堕天使の加護と寵……えっと……何だっけ……なんか、愛情みたいなのがついてるからね! 怖いものなしだよ!」
「「(寵愛って言いたかったのかな) なんか……すごい」」
「あっ、またシンクロしてる」
あこちゃんが手を大きく開いて顔の前にかざしてカッコいい(?)言葉を連発しようと頑張る姿を微笑ましく思いながら、巴が教えてくれた“Roselia”という単語を頭に思い浮かべる。
英語にそんな単語はないからおそらく造語。もとになった単語は……薔薇のRoseと……あっ、椿のCamelliaか。すごいネーミングセンス。かっちょええな。
だがこの前明日香ちゃんにも話したとおり、俺は情報弱者的な部分がある。あまり自分から積極的に情報を仕入れようとはしないのは確かだ。全くしないわけじゃないけど。
「たか兄はさ、なんであんなにギター上手いの? あと歌もすごいし」
「それはアタシも聞きたいな。アタシ達の練習はずっと見てもらってたけど、アタシ達がSilver Liningの練習をじっくり見たことは無いしさ」
「俺がやってることは蘭やモカとそんなに変わらないぞ」
「「えっ?」」
宇田川姉妹は「マジで?」といった顔をしている。最近CiRCLEのスタッフさんやまりなさんに同じ質問をされた時もこう答えて、同じような反応されたっけ。
「だって、演奏する予定の曲があって、それをひたすら練習するだけだよ。皆と一緒。なにも特別なこととかしてない。ただ1つあるとしたら……」
「「あるとしたら……?」」
「……楽しむことかなあ。どれだけ上手くいかなくても、どれだけストレスがたまっても、とにかくその状況を楽しむ。これを乗り越えた自分は成長できるんだって信じてね」
「それが山城家のルールだもんねー!」
「「ルール?」」
そう。山城家にはいくつかのルールがある。このルールはどんな時でも頭に入れておくようにしている、俺達の行動規範みたいなものだ。
「「その一 何事も楽しむ。困難な状況でも笑える者は必ず成長する」」
「「おお~……!!」」
「カ……カッコいい! なんか、ゲームで出てくる強キャラの台詞みたい!」
「必ず成長する、か……。でも貴嗣、どれだけ練習しても上手くいかないと、やっぱりしんどくならないか? それを楽しむってのは難しい気がするんだけど……」
ラーメンをお替りした巴がそう質問してくる。とてもいい質問だ。
「そうだな。でも大体の物事って、捉え方や見方次第では、『しんどくても楽しめる』ものなんだ。だから色んな視野で物事を考えられるように、常日頃訓練をするんだ。ゲームで言う経験値稼ぎみたいにね」
「経験値!? ってことは……レベルアップだね!!」
「そーいうこと!」
やっぱりあこちゃんはゲームに例えると分かりやすいようだ。確かに哲学的というか、抽象的な話だから、中学3年生には少し難しいだろう。
「訓練って、具体的にどうするんだ?」
「おお、よくぞ聞いてくれましたぞ巴さん。それじゃあ豚骨ラーメン食べながら、俺達兄妹がやってる訓練なるものを教えようじゃないか」
「2人ともついてきてね~!」
「うん!」
「おう!」
4人でラーメンのおかわりをした後、俺達は補導されるギリギリの時間まで皆で仲良く雑談した。
警察にバレない様に忍者のごとく抜き足差し足で家に帰ったのは内緒。
読んでいただき、ありがとうございました。ラーメン大好き巴のお話でした。
作者はラーメンを作ったことが無かったので、スマホ片手に豚骨ラーメンの作り方を調べながら下書きしていました……なので色々間違っている部分もあるかと思いますが、そこは温かい目で見てスルーしていただけるとありがたいです<(_ _)>
最後のほうでチラッとあこちゃんとRoseliaの名前が出せたのが、個人的には嬉しかったりします。あぁ~早くRoselia編に行きたいなぁ~……(下書き済み)
残るは蘭とモカ。どちらも魅力的で人気キャラなので、皆様の期待に添えられるよう頑張って参ります。それではまた次回もよろしくお願いいたします。
ハロハピでのあなたの推しは?
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弦巻こころ
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瀬田薫
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北沢はぐみ
-
松原花音
-
奥沢美咲