Silver Lining ~ BanG Dream Story~ 作:おたか丸
新たにお気に入り登録をしてくださった皆様、そして☆9評価をくださったスーパー1様、ft.優士様、ありがとうございます! そして皆様のおかげで、3/29時点でバンドリ日間総合評価1位となっております! 本当にありがとうございます!!
さて、前回の後書きでお伝えした通り、今回から5話、本編から少し離れた日常回を投稿させていただきます。
そして今回はタイトルの通り……沙綾とのデート回です! 前編、中編、後編と3つに分けて、デート回を投稿させていただきます。
それではどうぞ!
【Information】後書きの方に、ちょっとしたアンケートを設けさせていただきました。ポチっと押していただけると嬉しいです<(_ _)>
第27話 パン屋なあの子とお買い物デート(1)
業務用の巨大なパン焼き機から慎重にプレートを取り出す。ミトンを装着しているから大丈夫なのだが、熱いものを触るというのはどうも慣れない。特にこういうでっかいやつ。
「うん! うまくできてるじゃないか! 流石だね」
「本当ですか? ありがとうございます!」
今日は久しぶりにやまぶきベーカリーの手伝いに来て、亘史さんにパンの焼き方をレクチャーしてもらっている。文化祭の時も教えてもらっていたが、その後もこんな感じでちょくちょく練習させてもらっている。
流石に亘史さんレベルには程遠いけど、少しずつ上達していると思う。
「本当によくできてるね。今回は店に出してみようか」
「えっ? 俺みたいな初心者のパンでいいんですか?」
「問題ないよ。なんたってこんなに美味しそうなんだから」
亘史さんは笑顔でそう言ってくれた。ずっとパンを作って来た亘史さんに認められたことが、とても嬉しかった。
「いやはや、まさかここまで上達するとは。才能あるんじゃないかい?」
「亘史さんの教え方が上手なんですよ。でも、もっと上手くなりたいです」
「さすが向上心の塊だねー」
「これならいつ婿に来てくれても安心だね」
「いや~ありがとうごz……んんん?」
……ムコ? ムコムッコ??
「はははっ! いやなに、貴嗣君なら沙綾を任せられると思ってね」
「は、ははは……ありがとう……ございます(?)」
ひきつった笑顔で答える。亘史さんに認められていることに対する嬉しさと、「婿」というパワーワード――それも父親から放たれたそれに対する動揺で、多分今俺の顔は変な表情になっている。
「沙綾をいつも大事にしてくれてありがとうね。今の沙綾は君のおかげで、自分の好きなことができて毎日楽しそうだから」
「……それなら良かったです。今の沙綾の笑ってる顔見ると、こっちも嬉しい気分になりますから」
俺が笑ってそう答えると、亘史さんも嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
「やっぱり今すぐ婿に来ないかい?」
「いやほんとその類の話やめてください反応に困るんですあと僕まだ15です」
*
焼き立てのパンを載せたプレートを店内に持っていく。店の中には千紘さんと沙綾がいた。今日も沙綾は店のお手伝いだそうだ。
俺を見つけるや否や、沙綾は嬉しそうに笑いながらこちらに来てくれた。
「お帰り貴嗣! って、わあ~……それ、貴嗣が焼いたパン?」
「おう。運よく良い感じにできたから、店に並べようと思って」
「美味しそう~! ほんと上手にできてるね!」
「いや~それほどでも~」
沙綾からベタ褒めされ、嬉しいのと同時にちょっと恥ずかしくなる。ずっと店の手伝いをしてきている沙綾がそう言うのだから、自信をもっていいだろう。
「沙綾の言う通り、本当によくできてるわね~。……そうだ、貴嗣君、写真撮っていいかしら? 真愛ちゃんに送りたいのだけれど」
「母さんにですか? もちろんいいですよ」
千紘さんの提案で、焼き立てのパンと一緒に写真を撮ることになった。
「ほら、沙綾も一緒に!」
「わ、私? いいよ、貴嗣のお母さんに送る写真でしょ? それに私は焼いてないし……」
「もう、細かいことはいいの! ほーら、並んで!」
千紘さんに催促され、俺の隣に半ば強引に立たされる沙綾。
「貴嗣君もいい?」
「ええ、もちろん。ほら、沙綾。カモン」
「貴嗣まで……もう、しょうがないなあ……(貴嗣……近い……///)」
「ほら、2人とも笑ってー。はい、チーズ!」
スマホでパシャリ。
写真を見ると、沙綾も優しそうに笑っている。中々いい写真じゃないか?
「あらあら、沙綾ったら~ちょっと顔赤いじゃない?」
「え、ええっ!? べ、別にそんなことないって……///」
写真を見ながら指摘され、沙綾の顔がほんのり赤くなっていく。俺の方をチラッと見て目が合うと、また赤くなって目を逸らす。めっちゃ可愛いのだが、そんな反応をしたらバレるのでは……。
4人で話していると、勢いよくドアが開けられた。
「「ただいまー!」」
「おかえり~、純、紗南」
純と紗南ちゃんが学校から帰ってきたようだ。背中に背負っているランドセルを見て、どこか懐かしさを感じる。
そして2人は俺目がけて飛んできた。
「貴兄ちゃん!」
「お兄ちゃん!」
「2人ともー久しぶり! 元気だったかー?」
「うん! ……あっ、そのパン、もしかして貴兄ちゃんが焼いたやつ?」
純が早速気づいてくれたみたいだ。俺はしゃがんで2人にパンが見えるようにする。
「お兄ちゃんのパンすっごくおいしそー!」
「食べてもいいー!?」
「おおっと純、まだ熱いから危ないぞ。これは店に並べるから食べられないけど、裏に余ったのがあるから、それなら食べていいよ」
「「やったー!!」」
純と紗南ちゃんはその場でぴょんぴょんと跳ねる。ほんと子どもって純粋で可愛いよな。
「こーら2人とも! お店の中で騒いじゃダメ!」
「はーい! ……あれ? お母さん、その写真何ー?」
紗南ちゃんがスマホの画面に気づいたようだ。それを見て沙綾はビクっとする。
「これはね、貴嗣君と沙綾のツーショット写真よ~」
「「ええー!?!?」」
「そうだ。ねえ2人とも。この写真のお姉ちゃん、顔赤いわよね?」
そう言ってスマホの画面を純と紗南ちゃんに見せる千紘さん。その写真を見るや否や、2人の顔はみるみるうちに
「やーいお姉ちゃん、貴兄ちゃんと写真撮って照れてるやー!!」
「お姉ちゃん顔真っ赤ー!」
「~~!!/// 純! 紗南!」
「「わーいおこったーにげろー!」」
「こ、こら2人とも! 待ちなさーい!」
店を飛び出した純と紗南ちゃんを追いかけて、沙綾も出ていってしまった。店の前で追いかけっこをしているようだ。
「……お客さんいなくてよかったですね」
「そうだね。ほんと貴嗣君は人気者だねえ」
「喜ばしい限りです。皆さんと仲良くさせてもらって、僕も嬉しいです」
「ふふっ。2人ともお兄ちゃんが大好きなのね~……貴嗣君が婿に来てくれたら、正真正銘のお兄ちゃんね」
「楽しみだな!」
「(は……反応しづれえええええ!!)」
千紘さんはともかく亘史さんがノリノリなのが驚きでしかない。俺の中では「父親=娘はそう易々と渡さない!」なんだけどなあ……先入観にとらわれずに、思考を柔軟にしなければ。
「俺、パン並べますねっ……!」
「ああ、そうだね。そろそろお客さんが来る時間だしね」
「そうね。今日も頑張りましょうか。貴嗣君、お手伝いお願いね」
「まかせてください! ……沙綾ー! 純ー! 紗南ちゃーん! お客さん来るから戻っておいでー!」
パンを並べて準備完了。
さあ、久しぶりのお手伝い頑張りましょ。
◇◆◇◆
「貴嗣君。今日は手伝いに来てくれてありがとう」
「こちらこそありがとうございます。やっぱりここは居心地良いので、お手伝いも楽しかったです。またいつでも呼んでください」
「そう言ってくれると嬉しいよ。いつでも遊びに来てくれていいからね」
今日のお手伝いも無事終わった。
貴嗣はそのまま帰ろうとしたけど、母さんの提案で、久しぶりに皆一緒に夕食を食べることに。相変わらず貴嗣は小食で、純と紗南にご飯を分けてあげてた。2人とも貴嗣とご飯食べられて、すっごく嬉しそうだった。
体が大きいから、小食なんだって聞いた時はビックリしたなー。確か身長175㎝だっけ。
「貴嗣。玄関まで送っていくよ」
「ありがとう沙綾。純、紗南ちゃん。また来るね」
「ばいばい貴兄ちゃん!」
「また来てね、お兄ちゃん!」
貴嗣と一緒に玄関へと向かう。こうやって一緒に下まで行って彼を見送るのも久しぶりだ。玄関でお話をしてから貴嗣を見送るのが、貴嗣がうちに来てくれた時のちょっとしたお楽しみ。
靴を履いてドアを開けると、あたりはもう真っ暗だ。
「いつも見送ってもらってありがとな」
「ううん。私がやりたいからやってるんだから、大丈夫だよ」
「ははっ、そっか」
「うん♪」
貴嗣は本当によく「ありがとう」って言う。この前学校で聞いてみたんだけど、やっぱり感謝の言葉を言うようにいつも意識しているみたい。
「感謝とか賞賛の言葉はすぐに言うようにしてる。皆が幸せな気持ちになれるから」って教えてくれたっけ。なんだか、貴嗣らしいよね。
「ん? どうしたの? そんなにジーって見て」
「いやさ、いい笑顔だなって思って」
「も、もうっ……またそうやって……///」
ストレートに言われて一気に顔が熱くなる。貴嗣は時々こうやって自分の気持ちを真っ直ぐ伝えてくる。おたえみたいだよね。
「褒め言葉はすぐに言うように心掛けてるからねー。……じゃあ、そろそろ帰るわ」
そう言って帰ろうとする貴嗣。
普段ならこのままバイバイって言うんだけれど、今日は違う。
今日貴嗣と一緒に玄関まで来たのには理由がある。
「あっ、ちょっと待って……!」
「どした?」
「あのさ、貴嗣……今週の休みって空いてる?」
「休み? 今週は土日どっちも空いてるよー」
「ほ、ほんと!? ……じゃあさ、良かったら夏服見に行かない?」
覚えてくれてるかな……。貴嗣が香澄とショッピングモールでお昼ご飯を食べてた時にL〇NEで約束したんだけど……。
「ああ、行こっか。この前約束したもんな」
「ほ、ほんと!? やった!」
ちゃんと覚えてくれてた! えへへ……嬉しい♪
「どこ行こっか。沙綾の行きたい所とかある? 電車使ってちょっと遠くに出かけてもいいし」
「あっ、それじゃあ2駅先の町にアウトレットあるからさ、そこに行くってのはどうかな?」
「おお、アウトレット! 行きたい行きたい! そうしよう!」
ふふっ、なんだか子どもみたい。
いつもすっごく落ち着いてて大人っぽいのに、興奮すると急に子どもっぽくなる。こんなこと言ったら嫌がるかもだけど、可愛いなって思う。
「決まりだねっ! 時間はどうしよっか?」
「お昼前とかでいいんじゃないか? ちょっと早めに行って、ゆっくりお昼ご飯食べられるしさ。10時に駅集合とかどう?」
「……あっ……駅集合か……」
「ん? どうかした?」
もちろん隣の町に行くには電車かバスだ。そしてそれらの交通機関を使おうと思ったら、とりあえず駅に一旦集まるのが一番だ。バス乗り場もあるし。
それでも私がすぐに首を縦に振らなかったのは――
「あ、あのさっ!」
「ん?」
「もしよかったら…………駅まで、一緒に行かない?」
少しでも貴嗣と一緒にいたいって思っちゃったから、かな……///
「ああ、全然大丈夫だよ。話ながら駅まで行くのも楽しそうだしな。そうしよう」
「!! うん!!」
貴嗣はいつもの笑顔でオッケーしてくれた! やった!
ふふっ……一緒にお話ししながら駅まで……楽しみだなあ♪
「じゃあ、細かいことはまたLIN〇で決めようか」
「うん! 引き留めてごめんね?」
「気にしなくていいよ。遠慮しなくていいって、文化祭の時言っただろ?」
「あはは、そうだった」
「そうそう。……じゃあ帰るわ。バイバイ、沙綾。また学校でな」
「うん! バイバイ、貴嗣!」
手を振って彼の背中を見送る。
やった……! デートに誘えた……!!
心の中でグッとガッツポーズをする。
実は……って言うのはちょっと変だけど、私は貴嗣と2人きりでどこかに遊びに行ったことがない。アミューズメント施設に行った時は、純と紗南も一緒だった。
貴嗣と一緒にお買い物……楽しみだなあ~!
◇◆◇◆
鏡の前に立ち、自分の服装をチェックする。
鏡に映るのは、普段あまり着ないカジュアルコーデをしている自分だ。ベージュのVネックに紺色の開襟シャツ、グレーのワイドパンツだ。
靴はモノトーンのキャンバスシューズだ。カジュアルファッションなので、靴もキレイめよりもカジュアルの方がよく合う。
「あっ、お兄ちゃん……おはよ~」
「おはよう真優貴。いつも休みの日はもうちょっと寝てるのにどうした?」
「うん……なんか起きちゃって……」
整髪料で髪をセットしていると真優貴が起きてきた。やはり血のつながった兄妹、さっきまでの俺のように、真優貴も寝癖が中々にひどい。
「……そっか。お兄ちゃん、今日デートやもんね」
「まあ間違ってはないな」
「だからそんな気合入れてるんやね~。沙綾ちゃんと楽しんできてな」
「おう。ありがとな。じゃあ行ってくるわ」
「あっ、ちょっと待ってお兄ちゃん」
出かけようとしたら真優貴に止められた。少ししゃがんでとお願いされたのでその通りにすると、真優貴は唐突に俺の髪を触り始めた。
「……うん。こっちの方がいいかも。ちょっとパーマっぽくしてみたで」
「おおっ、ええ感じやな。ありがとな真優貴」
「いえいえ~。じゃあ行ってらっしゃーい」
「いってきまーす」
真優貴の気遣いに感謝しつつ、眠たそうな声に返事をする。サンキュー真優貴。
さあ、時間は予定通りだ。今から沙綾の家に行こう。彼女が待って――
「……あれ? 沙綾?」
「お、おはよう! 貴嗣!」
――なんで俺の家の前に沙綾がいるんだ? 俺が迎えに行くって約束だったはず……。
……あっ。
「……じつはここは山吹家??」
「ち、違うから~!」
「あははっ、冗談だよ。それにしてもなんでうちに?」
「えっとね、その……」
……ん?
「早く貴嗣に会いたいなーって思って……早く起きて来ちゃった……///」
沙綾は腕を後ろでモジモジさせながら、うちに来てくれた理由を教えてくれた。
いつもと違う雰囲気を纏っている沙綾。髪型はいつものポニーテールではなく、ルーズサイドテール。そこに伊達眼鏡を掛けており、清楚な印象が強まっている。
白のシャツの上に、沙綾らしい黄色のカーディガンを羽織っている。下は楽そうな黒のワイドパンツだ。そしてそれらをベージュのパンプスがまとめており、とてもお洒落だ。
なんかもう、あれですわ――
「……めっちゃ可愛い」
これしか出てこないんですわ。
「えっ……可愛い……?」
「……あっ、すまん。口に出てたか。服、似合ってるなって」
「そ、そうかな? えへへ……ありがと……/// (……やった!!)」
ほらまたこうやって顔赤くする。こんなの可愛い以外ないだろ。
「じゃあ、そろそろ行こ――ムムッ!?」
「た、貴嗣?」
背後から視線を感じるッ!!
後ろは俺の家……そして今家にいるのは一人しかいない……ッ!
「……真優貴。ドアちょっと開いてんぞ」
「ぐっ……やはりバレたか……」
振り向くとほんの少しだけドアが開いていた。観念したのか、盗み聞きしていた真優貴がドアを開けて出てきた。
「ま、真優貴ちゃん!?」
「おはよー沙綾ちゃん! いつもお兄ちゃんがお世話になってまーす!」
やはりさっきの視線は真優貴だったようだ。まだ寝癖もひどいのに、そんな状態で女の子が外に出ちゃあダメだろ。
「……いつから見てた?」
「へっ? そりゃあ沙綾ちゃんが顔赤くして『……来ちゃった♪』って言ってた時から!」
「ええっ!? ほとんど最初からじゃん!」
「もちのろんだよ~! 沙綾ちゃん、通い妻みたいで可愛かったよ~?」
「か、かよっ……!?!?///」
ああ、また真優貴の可愛い人弄りが始まったよ。早く止めないと。
「はい真優貴そこまでー。あんま沙綾困らせないの」
「ええ~ケチー。でも沙綾ちゃんも満更じゃないっぽいよ~?」
「うう……///」
「はいはい分かったよ。ほら、そろそろ俺達行くから、真優貴は家に入っとき」
「はーい。行ってらっしゃい2人とも! デート楽しんできてねー!」
バタンとドアが閉まった。仮にも女優なんだから、こんなに寝癖がヤバいのを誰かに見られたらたまったもんじゃない。
「ごめんな沙綾。待たせちまった」
「ううん! 私も真優貴ちゃんと久しぶりに話せて楽しかったから(通い妻……デート……///)」
「そっか。妹と仲良くしてくれてありがとな……って言っても同い年だけど」
「どういたしまして! それじゃあ、行こっか!」
「おう。行こうか」
本当に久しぶりの、沙綾との外出。2人きりでは初めてだ。
折角誘ってくれたんだ、今日は思う存分楽しもう。
読んでいただき、ありがとうございました。
沙綾の私服は、ガルパとW〇GOさんのコラボ第1弾での沙綾のコーデをイメージして書かせていただきました。伊達眼鏡でティンと来た方もいらっしゃるかも……?
次回はデート回中編。イチャイチャさせます。そして沙綾と関わりのある、意外なあのキャラが登場します。
それでは次回もよろしくお願いいたします。
【Information】アンケートのお願い
今回から第3章が始まるまで、読者の皆様が好きなバンドについてお聞きしたいと思っております。この小説ではどのバンドの需要が高いのかを調べるという意図もありますが、シンプルに皆様がどのバンド好きなのかなーという興味があります。今後の展開に全く影響はないので、気軽に答えてくださると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
ハロハピでのあなたの推しは?
-
弦巻こころ
-
瀬田薫
-
北沢はぐみ
-
松原花音
-
奥沢美咲