Silver Lining ~ BanG Dream Story~   作:おたか丸

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 朝起きてマイページ見たら、赤色の評価バーがニュっと伸びててびっくりしました……! お気に入り登録をしてくださった皆様、そして☆10評価をくださった佐介様、ありがとうございます!! これからも頑張ります!

 さて、デート回後編、ラストでございます。サイドストーリーではありますが、今回は本編に繋がる、ちょっと大事な話です。

 それではどうぞ!


第29話 パン屋なあの子とお買い物デート(3)

 

 

 あれから色んな店を回った俺達は今、休憩も兼ねてアウトレットの中にあるカフェに来ていた。結構長い時間立ちっぱなしだったから、沙綾が疲れていないか心配だったけど、そこはポピパのドラマーだ、体力は俺の想像以上だったようだ。

 

 

「そういえばさ」

「どした?」

「貴嗣ってお店の手伝いしてるでしょ? やっぱり外のお店でコーヒー飲んだら、どの豆を使ってるかとか分かっちゃうの?」

「ああ。大体だけどな」

 

 

 2人でゆっくりコーヒーを飲んでいると、前に座っている沙綾がそう聞いてきた。

 

 改めて見ると……ほんと今日お洒落してんな。すっげえ可愛いんですけど。

 

 

「やっぱりそうなんだ。ちなみに今飲んでるコーヒーは分かったり?」

「これはブラジルとコロンビアだと思う。6:4くらいの配合じゃないかな」

「わ、割合まで分かるの!? すごいね……」

「俺も店でブレンドコーヒー淹れるしな。母さんには及ばないけど」

「そうなんだ。貴嗣のお母さんって私の母さんと同級生なんだよね? 会ってみたいかも」

「そういや会ったことなかったっけ。っていうか、沙綾うちの店来たことないんじゃない?」

「確かに! 来週にでも行こうかな?」

「是非来てくれよ。もし俺が手伝い入ってたらコーヒー淹れるよ」

「ほんと? やった! それじゃあ貴嗣がいる日に行かないとだね」

 

 

 意外や意外、沙綾がうちのお店に来たことが無かったという事実が明らかに。沙綾も店の手伝いがあるし、バンド活動もあるしで忙しいもんな。

 

 ニコニコ笑ってくれる沙綾を見て、ふとこの前の文化祭を思い出す。あの頃の沙綾は……まあ原因は色々あるけど、辛かったと思う。優しすぎるが故に、他の人のために自分を追い詰めてしまっていた当時と比べて、本当によく笑うようになった。

 

 

「……貴嗣?」

「ん? ああ、ごめん。ちょっと考え事してた」

「考え事?」

「そう。沙綾がいっぱい笑ってくれるようになったなーって」

「も、もう……///」

 

 

 くさいことを言ってるなと自分でも思う。でも、こういう気持ちはすぐに言うようにしている。あの時言っておけばよかったと後悔するのが、絶対に嫌だからだ。

 

 

「私が香澄達とバンドをして、お店の手伝いも出来て、今日みたいにお出かけを楽しめるのは、全部貴嗣のおかげなんだよ? 貴嗣がいなかったら……どうなってたか分からないや」

「おいおい。ちょっと言いすぎじゃなのか? 千紘さんが沙綾の背中を押してくれただろうし、俺がいなくても沙綾は大丈夫だったと思うぞ?」

「それでも……私は貴嗣に助けてもらって嬉しかったの」

「ははっ。そっか」

 

 

 ジッとこちらを見つめて感謝の言葉を伝えてくる。こんなにグイグイ言ってくるのは初めてで、内心ちょっと驚いている。

 

 

「でも時々思うんだよな。沙綾と出会って数カ月も経っていない俺が、こんなに干渉していいのかなってさ。俺は沙綾の中学生の頃のことを聞いただけで、実際に見たわけじゃないし。沙綾のことを何にも知らない俺が、沙綾のことに首突っ込んでいいのかどうか……今でも時々考えるんだ」

 

 

 考えるように、窓から見える景色に目を移す。

 

 信頼してくれるのはもちろん嬉しい。嫌なわけがない。でも他人の事情に突っ込んだ結果信用を得るっていうのは……違う気がする。

 

 困っている人がいたら助けたい(want to)

 

 いや、助けなければならない(must)

 

 でもその過程で大なり小なり、その人の事情に干渉するわけだ。そのせいでその人を傷つけてしまったら?

 

 人を助けようとする善意が逆に人を傷つける――この矛盾したロジックがあるからこそ、俺は沙綾にしたことが本当に正しかったのかと、時々分からなくなる。

 

 

「もしかしたら俺が沙綾のことに首を突っ込まなくて、そのおかげでうまくいった世界もあるのかなーって」

「……」

「いやーすまんな。湿っぽい話し――」

「……嫌」

 

 

 ……えっ?

 

 

「……沙綾?」

「……私、貴嗣と仲良くなれなかった世界なんて……嫌……だから」

「……!」

「だから……そんなこと言わないで……」

 

 

 初めての、沙綾からの拒絶。

 

 それに対する驚きと、目の前の親しい女の子を悲しませてしまったことに対する罪悪感で、俺は何も言えなくなった。

 

 

「貴嗣の言ってることは分かるよ? それでも私は……貴嗣と一緒じゃない世界なんて……考えたくないよ……」

「沙綾……」

「少なくとも私は……貴嗣に事情を知られて嫌だとは一切思わなかったよ。だって、そのおかげで今がこんなに楽しいんだもん」

 

 

 ほんの少しだけ笑顔を取り戻した沙綾は、その綺麗なアクアマリンの瞳で俺の目をのぞき込む。

 

 

「貴嗣はいいことをしてる。だから自信を持って」

「……沙綾がそういうなら」

「そこはいつもみたいに『ああ』って言ってくれないの?」

「……沙綾ってこんなにグイグイ来るんだな」

「ふふっ、誰かさんが寂しいこと言い始めたからかな?」

「……ああ。こりゃあ俺の負けだな」

 

 

 今までみたことのないような積極的な姿に押されてしまい、完全に言い包められてしまった。

 

 これは言い返す言葉が思いつかないなと、彼女につられて俺の口角も上がった。

 

 

「あっ、やっと笑ってくれた♪」

 

 

 ああ、そうか。

 

 俺は沙綾のこの笑顔を見たかったから、あんなに必死になってたんだな。

 

 この優しすぎる女の子に、笑顔になって欲しかったから。

 

 

「ねえ貴嗣」

「?」

「あんまり1人で悩まないでね? 私も力になるからさ」

「ああ。周りの人に頼ることは大切だって、今までの経験で分かってるつもり」

「……さっきは私に頼ってくれずに1人で悩んでたのに?」

「……今日はいじわるだな」

「誰のせいなのかな~?」

 

 

 沙綾は小悪魔的な笑みを浮かべながらそう聞いてくる。会話の主導権を握っているからか、とても楽しそうだ。

 

 

「……ふふっ!」

「……あははっ!」

 

 

 さっきの会話と同じ流れ。俺が言い返せなくなるオチまでもだ。

 

 その既視感に、思わず2人とも同じタイミングで笑ってしまう。

 

 

「分かった分かった。さっきも負け認めたんだから、もう勘弁してくれ」

「あははっ! あーおもしろい! ……そんなに勘弁してほしいなら、1つ質問に答えてほしいな」

「いいよ。かかってこい」

 

 

 質問? なんだろうか?

 

 

「さっきナツが『ミニライブの後も――』って言ってでしょ?」

「ああ。言ってたな」

「……具体的に何してたの?」

「その言い方なんか変な意味入ってないか?」

「へ、変な意味!? な、何言ってるの貴嗣!?」

「おうおう、そんな慌てなくても」

「だ、だって変な意味って……その……///」

「その何?」

「~~!!///」

「はは、いたいいたい。ごめんって。分かったから叩かないでくれよ」

 

 

 ありゃりゃ、沙綾がそんなことを考えてたなんて。

 しかも恥ずかしくなって小さなテーブル越しに俺の体をポコポコと叩いてくるなんて……可愛いじゃないか。

 

 

「別に特別なことしてないよ。ただライブハウス近くのファミレスの打ち上げにご一緒させてもらっただけ」

「あ、ああ……そうなんだ……」

「一体何を想像してたのかな~?」

「も、もう~! 貴嗣のいじわるー!」

「因果応報ってやつだよ」

 

 

 自分のやったことはいつか返ってくるってことだ。沙綾が色んな表情を見せてくれるので、少しからかってしまった。

 

 

「ライブの感想と、俺から見た改善点と……あとは雑談と」

「雑談って?」

 

 

 おやおや沙綾さんや、今日はやけに食い気味ですな。

 

 

「まずは自己紹介だわな。そのあとはそうだなー……楽器を始めた経緯とか、うちのバンドの練習のこととか。音楽関連の話ばっかりだよ」

「やっぱり音楽の話かー。だからあんなに仲良くなってたんだね」

「そういうこと。これが質問の答えってことでオッケーかな?」

「うん。満足です♪」

 

 

 よかった。満足してくれたようだ。

 

 

「ふーっ、もうコーヒー飲んじゃったね。もう夕方だけど、貴嗣が行きたいところある? もう私は行きたいところ回ってもらったからさ」

 

 

 どうやら長い間話を楽しんでいたみたいだ。外を見ると、橙色に染まった夕日が顔を出している。会話が楽しいとつい時間を忘れてしまう。

 

 さっきまでは沙綾の行きたい店をずっと回っていた。なのでこのカフェに入る前に「次は貴嗣の行きたいところね」と約束していたのだ。

 

 

 折角だ。お言葉に甘えさせてもらおう。

 

 

「いいのか? それじゃあ――」

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

「すごい……ねえすごいよ、貴嗣!」

「だな……! これは絶景だ……」

 

 

 エレベーターのドアが開くと、私達の目には開かれた空間と、綺麗に染まった夕日が入ってきた。

 

 アウトレットに隣接しているビルにある展望台が、貴嗣の行きたかった場所だった。床は落ち着きのある木目、壁は大きなガラス張りだ。

 

 

「うわっ、エレベーターに乗ってた時も思ってたけど……結構高いね」

「間違いない。高所恐怖症じゃなくても、下見るとビビっちまうな」

 

 

 普段の生活では下から見上げている建物も、ここから見るとおもちゃの積木くらいの大きさに見える。見渡す限りのビル群で、貴嗣にとってはこれがとても新鮮なんだろうね。手すりに手を置いて、目を輝かせてながら景色を見ている。

 

 

「よし。写真撮ろっと」

「おっ、いいね! ……って、スマホで取らないの?」

 

 

 貴嗣はスマホをポケットに入れて、代わりにショルダーバッグの中を探し始めた。

 

 

「じゃじゃーん」

「それって……カメラ?」

「そう。一眼カメラだよ」

 

 

 そう言って取り出したのは、小さめの一眼カメラだった。持ち運びが楽そうなサイズだけど、そのレンズは結構大きい。

 

 貴嗣は電源を入れ、ボタンを押していくつか操作をした後、カメラを構えシャッターを切った。

 

 

「……おっ。良い感じ」

「私も見てもいい?」

「もちろん。はい、どうぞ」

 

 

 画面に映し出された写真を見る。夕日の光が町を照らしていて、思わずうっとりしてしまう写真だ。

 

 景色がいいのか、それとも貴嗣の撮り方が上手なのか、どっちだろう?

 

 

「すごい綺麗な写真だね!」

「やっぱり沙綾もそう思う? とりあえず撮ってみたけど、ここからなら結構いいのが撮れそう」

「そういえば貴嗣って、カメラ持ってたんだね」

「ああ。趣味なんだよ。カメラで写真を撮るの」

 

 

 カメラをツンツンと指で叩いてそう楽しそうに話してくれる。

 

 

「やっぱり一眼カメラって本当に綺麗に撮れるんだね。でも今時珍しいね?」

「確かに今はスマホのカメラも性能良くなってるし、何よりこういうカメラって高いからな」

「高いらしいよね。ちなみにそれはいくらしたの?」

「5万ちょい」

「た、高い……!」

「アルバイトと、やまぶきベーカリーの手伝いとでね。やっと新しいの買えたよ~」

 

 

 確かにバイトじゃない日は大体うちに来てくれてたけど……コツコツお金貯めてたんだろうなぁ。

 

 スッと構えたかと思えば、パシャパシャとリズムよくシャッターを切る貴嗣。まるでプロの写真家みたいだ。

 

 

「オッケー。こんなもんかな」

「えっ、もういいの?」

「うん。自分では満足したし、それに……」

「それに?」

「女の子と来てるのに、その子をほったらかしっていうのは良くない」

 

 

 女の子として大事にしてくれている――そんな気がして、胸が高鳴ってくる。

 

 貴嗣はこんな風に女の子が喜ぶ言葉をさらっと、さも当然のように言う。そういうところ、ちょっとズルいと思う。

 

 

「撮る動きがスムーズだったけど……勉強したりしたの?」

「もちろん。ネットとか雑誌とかで色々とね……って言っても、独学の素人だけど」

「すごいね……」

「自分の好きなことには全力を注ぎたいからさ」

 

 

 真っ直ぐな銀色の瞳が、貴嗣の持つ自信を表しているみたい。こういうストイックなところ、やっぱりカッコいいなあって思う。

 

 

「沙綾もどう? カメラやってみない?」

「カメラかー。やってみたいけど、費用が高いかな~……」

「ネックはそこだよな。でもそれだけの価値はあるよ。それに、沙綾にとっていい機会になると思う」

「いい機会?」

「そう。新しい何かを始める、いい機会にね。沙綾って今までお店の手伝いで、自分の時間ってあんまりなかっただろ? これからの高校生活を彩るために、新しい趣味を始めたら、毎日がもっと楽しくなるよ」

 

 

 そう言いながら彼は私にカメラを渡してきた。手に持つと、レンズが大きいせいか、意外にもズッシリくる。

 

 

「カメラは自分が撮りたいって感じたその瞬間を残してくれる。過去から切り取られたその思い出って、もう2度と手に入れることができない宝物みたいなものだって思うんだ」

「宝物……」

「そんなすごいことができる機械だけど、やることはボタンを押すだけ。簡単だろ? これだったら、忙しい沙綾でもできるかなーって思って。ほら、ポピパの皆と練習終わりにパシャリ、とか」

「わあ……楽しそう……!」

 

 

 他にもライブだったり、皆で遊びに行った時だったり……それをこんなに綺麗な思い出に収めることができるんだ。その光景を想像するだけでワクワクしてくる。

 

 

「……やってみようかな?」

「おっ! いいね! 一眼カメラって言っても、型落ちしたのは安かったりするから、もし本当に買いたいって思ったら言ってくれ。いいの教えるよ」

「やった! そうだ、じゃあまた今度一緒にお店に行って選んでくれないかな?」

「もちろんいいよ」

「やった! ありがとう!」

 

 

 なんとなく話の流れで次のデートの約束をすることができた。心の中でガッツポーズ。

 

 

「じゃあ試しに、何か撮ってみなよ」

「いいの?」

「おう。空でも町でも、好きなものを撮ってみて」

 

 

 操作方法を教えてもらい、さあ何を撮ろうか決めようとしたその時だった。

 

 

「むむ。電話か……って、ああ……」

 

 

 貴嗣の携帯が震えだした。画面を見た彼は……なんとも言えないような顔をしている。

 

 

「電話、出てあげてよ。私は時間潰しとくからさ」

「ありがとな。1分だけ待っててくれ」

 

 

 オッケーと私が言うのを確認してから、貴嗣は通話ボタンを押して電話にでた。

 

 

 景色はさっき貴嗣が撮ったもので堪能したから、あえてのここは貴嗣を撮ったり? ……いやいや、今は電話中なんだし、それは迷惑だよね。

 

 

 そうだ、アルバムがあるんだった。自由に見ていいよって言ってくれたし、ちょっと見てみようかな。確か写真データを前のカメラから移したみたい。

 

 

「これ……文化祭の時のSilver Liningの皆だ」

 

 

 Silver Liningと書かれたアルバムを開くと、大河君や穂乃花ちゃん、それに花蓮ちゃんの写真がいっぱい出てきた。

 

 練習風景から……これは舞台裏で……あっ、これはライブ終わってすぐ後かな? みんな良い顔してるね。

 

 

 あとは……あっ、これツーショットだ。皆と撮ってたんだね。

 

 大河君とは肩組んで……ふふっ、やっぱり仲良しだね。それに穂乃花ちゃんも花蓮ちゃんも可愛い。穂乃花ちゃんとの写真だとニコーって笑い方だけど、花蓮ちゃんとは微笑んでる感じだ。相手に合わせてるのかな?

 

 

 

 

 

「(ツーショット……いいなあ……)」

 

 

 

 

 

 ……あっ、ツーショット……!!

 

 

 

 

 

 

 

「(…………あれ?)」

 

 

 沢山あるファイルをスクロールしていくと、とあるアルバムを見つけた。

 

 

「(……『希望』?)」

 

 

 私が見つけたのは、「希望」という名前のアルバムだった。

 

 

「(“きぼう”って……何の写真なんだろ……?)」

 

 

 他は「留学」とか「文化祭」とか、分かりやすい名前ばかりなのに……なんだろ、この名前……。

 

 私は好奇心に背中を押され、そのアルバムを開いた。

 

 

 

 

 

「……? これ……貴嗣と……女の子?」

 

 

 開いてみると、さっきまでの写真とは違い、子ども――多分小学生くらいの貴嗣と、お人形さんみたいに可愛い女の子が映っていた。

 

 

 2人が公園で話している写真で、2人とも楽しそうに笑っている。

 

 

 幼馴染さんかな? ちょっと気になるけど、そろそろ電話終わりそうだし、聞くのはまた別の機会にしようかな。

 

 

 

 

「じゃあ明日な――ごめん沙綾。お待たせ」

「ううん! 大丈夫だよ」

「ならよかった。さあ、撮りたいものは決まった?」

「……うん。決まったよ」

「マジか早いな。何を撮るんだ……って、沙綾?」

 

 

 綺麗な景色を後ろに、私は左手でカメラをこちらに向け、そのまま貴嗣に体を近づけた。

 

 私達以外にもお客さんはいる。恥ずかしいし、ドキドキもするけれど、私は勢いに乗せて貴嗣に密着した。

 

 

「……ツーショットってことか」

「そういうこと♪」

 

 

 カメラに収まるように、貴嗣がちょっとかがんでくれる。そのせいでさっきより顔が近くなって顔がカアーっと熱くなるけど、気にしない。

 

 

「ねえ、貴嗣。今日は一緒に遊んでくれてありがとう。久しぶりに貴嗣とこんなに長い間一緒にいて、たくさんお話しできて、本当に楽しかった」

「ならよかった。こちらこそありがとな。俺も久しぶりに沙綾と遊べて楽しかったよ」

「ふふっ、ありがと♪ またこうやって、2人で遊びに行きたいな」

「ああ。行こう。カメラの件もあるし、そうだな~、次はランチでもどう?」

「うん! 美味しいご飯、食べにいこ! 約束だよ?」

「ああ。約束だ」

 

 

 貴嗣といっぱい遊べたこと、貴嗣が楽しかったって言ってくれたこと、そして次のデートの約束ができたこと……これ以上望んだらバチがあたりそう。

 

 

 好きな人との初デート。男の子と、それも好きな人のデートなんて、今までしたことなかったから、初めはどうすればいいのか分からなかったけど……そんな心配なんて忘れちゃうくらい楽しかった!

 

 

「ポーズはどうする?」

「ここは無難にピースかな!」

「だな」

 

 

 多分まだ貴嗣にとっては、私は仲の良い友達。そう思うと胸がズキズキって痛くなるけど……それが恋なんだと思う。

 

 

 仲の良い友達でも……それでも今日1日一緒に遊んで、貴嗣はたくさん笑ってくれた。

 

 

 だから――

 

 

「じゃあ、いくよ?」

「ああ」

「せーの」

 

 

「「はい! チーズ!」」

 

 

 この最高に楽しかった時間を、いつでも思い出せるように――かけがえのない宝物にするために、私はパシャリとシャッターを切った。

 

 




 
 読んでいただき、ありがとうございました。個人的に数ある下書きの中でも、この3話はトップクラスに書いていて楽しかった話なのですが、皆様も楽しんでいただけたでしょうか? 今後はサイドストーリーをあと2話投稿した後、Chapter 3に進みます。


 そしてお知らせというか、完全な私事なのですが……明日の4/1から、私おたか丸は新社会人として働き始めます。その影響で投稿頻度が落ちる可能性が高いということをお知らせいたします(下書きの時間を頂いているのは、働き始めてもある程度のテンポで投稿できるように準備をするためです)。

 以前のように頻繁に投稿というのは難しくなりますが、これからも精一杯頑張りますので、ご理解の程よろしくお願いいたします。

 それでは次回もよろしくお願いいたします。

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