Silver Lining ~ BanG Dream Story~ 作:おたか丸
新しくお気に入り登録をしてくださった皆様、ありがとうございます! 最近ここすき(仮)が増えていてすっごく嬉しくなっております。
気づけば第30話、話数的には33話まで来ました。これもいつもこの小説を読んでくださっている読者の皆様のおかげです。以前のように頻繁に投稿するのは難しくなりますが、自分のペースで頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。
4/1という新たな月始めの日に投稿させていただく30話(10の倍数でキリ良くて好き)は、明るい雰囲気の日常回でございます。今回は三人称視点で書かせていただきました。
それではどうぞ!
晴天。雲一つない青々とした空。どこまで見ても同じ色をしているそれは、今日はお出かけ日和ですよと教えてくれているみたいだ。
家族で遊園地に行ったり、友達と映画を観に行ったり、好きな人とデートしたり、はたまたカップルで思い出作りをしたり。色んな形があるだろう。
そしてここにも、そんな“お出かけ”を楽しんでいる女子高生5人組が。
「やったー! ついた~ついた~ショッピングモールについた~♪」
「はあ……たかがショッピングモールではしゃぎすぎだろ」
「ふふっ。香澄ちゃん楽しそうだね」
「こうやってポピパの皆で遊びに行く機会ってあんまりなかったからね。私も楽しみ」
「私も~! あっ、香澄ー! ちょっと先行き過ぎだよ~!」
花咲川学園の生徒で結成されたPoppin’Partyの5人だ。今日は祝日だから学校は休み。折角だから皆で予定を合わせて、この大型モールで遊ぶことになったそうだ。
「えへへ~ごめんさーや♪ でもでも、今日が楽しみすぎてさ! だって映画でしょ? それにショッピングに、ご飯に、やっぱりカラオケ!」
「香澄ちゃん、前から皆でカラオケに行きたいって言ってたもんね」
「うん! ずっと皆で行きたいって思ってたんだー! 有咲も一緒に歌おうね!」
「はあ? い、いいよ別に……私あんまり歌うの得意じゃないし」
「……有咲?」
涙目と撫で声のダブルコンボで、大好きな友達の名前を呼ぶ。たったそれだけだが、口は悪いが友達想いの有咲の意志を折るには十分だった。
「……だあーっ! わかったよ! 歌えばいいんだろ!?」
「やったー! 有咲大好きー!」
「だいッ……!?/// って、ちょ、まてまて! 抱き着くなー!」
「「「有咲(ちゃん)……かわいいなあ」」」
「お前らも見てないで助けろよー!!///」
大衆の中でも好意を示すことを躊躇わない香澄と、それが恥ずかしくてたまらないが満更でもない有咲、そしてそれを見守る3人。大の仲良し、青春を楽しんでいる華の女子高生達だ。
「ほら2人とも。そろそろ行こう? ここにいたら他の人の迷惑になっちゃうよ?」
「はっ! それは良くないよね。よし、それじゃあレッツゴー!」
「元はといえば香澄が抱き着いてきたからだろ……!」
「ま、まあまあ有咲ちゃん……」
5人はショッピングモールに入ろうとした。だが――
「……あれ、おたえ? どうしたの?」
天然クールビューティーの花園たえだけが、その場に立ち止まっていたのだ。それも、ある方向を向いたまま。
「皆。あそこ見て」
「「「?」」」
たえが指をさした先にいたのは――例のあの男だった。
「あれって……貴嗣くん!?」
入り口付近の壁にもたれながらスマホを触っているその男は、Silver Liningのギターボーカルである山城貴嗣だった。貴嗣は彼女達の存在に気づいていないようだ。
「貴嗣だ……声かけてみる?」
「いいのかな? 貴嗣君、誰か待ってるみたいだけど」
「ちょっと話すくらいにしておこうか」
「ええ……なんか迷惑じゃないかな……」
有咲の心配をよそに、他の4人はたえの提案に賛成だった。
しょうがねえなと言いながら、有咲も渋々ついていくことに。香澄が一歩先を進み、彼女が声を掛けようとしたその時だった。
「たーかー!!」
突然声が響いた。声の方を向くと、セミロングの茶髪を揺らしながら、貴嗣に走ってくる女性の姿が。
そしてそのまま――
「えーい!!」
「「「!?」」」
――その女性は貴嗣に抱き着いた。
「はあ……危ないっていつも言うてるやろ?」
「久しぶり! 元気やった!?」
「人の話を聞かへんのは相変わらずやな……。まあ元気やで。そっちは……昨日電話で話したから聞くまでもないか。元気そうやな」
「ふふーん! 私はいつも以上に元気やで! 久しぶりに貴と会えたんやからね!」
(た、貴……?)
「そりゃあよかったよ。さあ、ここにいたら邪魔になるし、いこか」
「そうやね! それじゃあエスコートよろしく!」
そう言ってその女性は貴嗣の左腕に抱き着いた。所謂「腕組み」というやつだ。
「また腕組んで……別にええけど」
「あれあれ~? なにか不満でもあるんか~? あっ、私がスタイル良いからドキドキしてもてうまくエスk――」
「ほっていくでー」
「わわわっ、ちょっと待ってー!」
貴嗣はシュルリと器用に腕組みを解除し、スタスタと入り口に行こうとする。
「……ほら。はい」
だがそこは貴嗣。本気でほっていくようなことはせず、入り口の近くで彼女に手を差し伸べた。
「ありがと! 大好き!」
(だ、大好き!?)
再度、彼の左腕に抱き着く女性。貴嗣から来てくれたのが相当嬉しかったみたいだ。
「はいはい。俺も好きですよー」
「『大』が抜けてるっ!」
「…………大好きですよー」
「むふふ~♪」
甘々砂糖を周りにまき散らしながら、2人はショッピングモールの中へと入っていった。
*
「……今の……誰……?」
茫然自失。呆気に取られている中、山吹沙綾が口を開いた。
「……彼女さんなんじゃねえの?」
「えっ……でもこの前貴嗣くんに聞いたら、彼女いないよって言ってたよね?」
「うん……貴嗣君が嘘つくような人じゃないと思うし……」
「……愛人?」
「なっ……!?/// お、おたえ……! それ使い方間違ってるぞ……!」
「……有咲、顔赤いよ?」
「は、はあ!? あ、赤くなってねえ!///」
「熱あるの? 病院ついていってあげるよ」
「だからちげー!」
たえの天然発言に、有咲のツッコミが刺さる。
「論点ずらすなって! あの女の人が貴嗣の彼女さんかどうかって話だろ!?」
傍からみれば、あれは紛れもないカップルだろう。あの距離感は友情関係のそれではなかった。
だが彼が「彼女はいない」と公言していることも事実。それに彼の性格上、嘘をつくとは考えられない。誠実な人物だということは、ここにいる5人全員が知っていることだ。
いくら悩んでも答えはでない。判断材料が少なすぎるのだ。
この謎を解く方法は1つしかない。
「2人についていってみようよ」
「お、おたえ!?」
そう。追跡だ。たえのその発言に沙綾は驚いた。
「私は気になるな。貴嗣とあの人がどういう関係か」
「おいおたえ、マジで言ってるのか? 私達だって一応遊びに来たんだぞ?」
「でも有咲だって気になるでしょ?」
「まあ……それは……そうだけど……」
有咲も貴嗣に悪い印象は抱いていない。というより、1度2人で遊びに行ったこともあるのだ。好意……とまではいかないが、たえの言う通り、あの女性と貴嗣の関係は気になるところであった。
「もちろん私達も遊びにきたし、もし何も分からなさそうだったら、キリの良いところで切り上げようよ」
「うん! 私もおたえに賛成! りみりんは?」
「ええっ!? わ、私は……その……気にはなる、かな……?」
「私もりみりんと同じかなー……やっぱり彼女かどうか知りたいし」
「はあ……じゃあ私も賛成で」
「決まりだね。それじゃあ、スニーキングミッション、スタートー」
「おー!」
当初からの予定変更。5人でのお出かけは、貴嗣と、彼と一緒にいる女性の関係を調べ上げる諜報活動になった。
好奇心によって動かされた彼女達の後を、これから追っていくとしよう。
◇◆◇◆
さて、とりあえず彼らにバレないように一般客(彼女達も一般客だが)の中に紛れ込み、程よい距離を保ちつつ後をつけていたのだが……。
「あっ! 映画館に行っちゃうよ!」
「中に入られたらどの映画見てるか分からねえぞ。どうすんだ?」
「大丈夫。この時間帯は映画1本しかやってないから」
「えっ? なんで分かるの、おたえちゃん?」
「だって、元々私達が見に行く予定の映画だもん。スケジュールは調べてるよ」
「「「あ……」」」
どうやら貴嗣達のことに気を取られすぎて、そもそも自分達がここに来た目的を忘れてしまっていたようだ。集中とは恐ろしいものだ。
「じゃあもう映画見に行こうよ!」
「いいけど……貴嗣のことはどうするの?」
「それは…………どうしよ??」
「じゃあ映画は私達も見ようよ。また追いかけたらいいんだし」
「おたえちゃん……なんかすごいこと言ってるよ……」
結局自分達も映画を見ることに。そもそも映画館は喋る場所ではないし、何も情報を得ることはできない。妥当な判断だ。
遊びに来たのか、それとも貴嗣のことを追いかけているのか。5人とも分からないまま、チケットを購入し映画館へと入っていった。
*
「なんなんだ……さっきの映画といい、行く場所被りすぎじゃね……?」
「でも、そのおかげで今度は話聞こえそうだよ。近くの席に座れたし」
「おたえちゃん……なんだか楽しそうだね」
「うん。この前皆で見たスパイ映画っぽくて、楽しい」
映画館を出て、今度はレストランだ。
またもや行き先が被ったポピパと貴嗣達。このモールの中にはレストランなんていくらでもあるのに、まさか同じ店を選ぶとは誰が想像できただろうか。
「しーっ。皆、耳を澄ませて。何か話してるよ」
「……なんでこんなことしてるんだろな……」
「お待たせしました。ハンバーグステーキのお客様?」
「はい。私です」
「静かにするんじゃねえのかよ……」
いつものように有咲はたえのマイペースな性格に振り回されながら、向こうのテーブルで行われている会話を聞こうと集中した。
「やっぱ東京のレストランはおいしいなあ!」
「別にご飯なんてどこも変われへんと思うけどなー。このハンバーグは美味しいけど」
「じゃああれやな、貴と一緒に来てるからやな~」
「またそうやって……」
「あっ、照れてる」
「照れてへん」
「照れてる!」
「照れてへん」
「照れてるって言うたら照れてるっ!」
「ガキ大将か…………まあ、俺も久しぶりに一緒にご飯食べれて嬉しいよ」
「うっふふ~♪ よろしい♪」
「あはは……なんだかすごいね……」
「長年付き合ってきたカップル感がすごい」
「……やっぱり彼女なのかな……」
「? 沙綾ちゃん、どうかした?」
「う、ううん! なんでもないよ」
楽しそうに見ているたえ。その雰囲気に圧倒されているりみ。そして恋しているが故の痛みに耐えている沙綾。こんなに健気に想ってくれる子がいるのに、罪な男である。
「なんかあれだな。貴嗣、私達の時と口調違うよな。方言が出てるってのもあるんだろうけど……なんていうの、砕けてるよな」
「うんうん。それに貴嗣くんのことを『貴』って呼んでるの、なんだかいいよね!」
「いつもと雰囲気が違うよね。そういえばあの女の人って……年上なのかな?」
「どうなんだろ……? でも、同い年って言われても違和感ないよね」
各々が考えを述べるが、はっきりとした答えは出てこない。分かっていることと言えば、あの女性は貴嗣と相当親しい仲だということくらいだ。
結局、そのイチャイチャ空間を味わっただけで大きな収穫を得ることは出来なかった。だがまだまだ時間はある。彼女達の奮闘を、引き続き見ていこう。
「貴嗣出たし、あたし達も……」
「待って……もぐもぐ……まだ食べ終わってない」
「早く食べろー!」
「……ふふっ♪ 皆かわいいなあ♪」
「どしたー?」
「なんでもなーい。気にせんといてー♪」
「はいよー」
◇◆◇◆
「(うぅ……腕組みながら服屋さんに入っていっちゃった……)」
「沙綾……さっきからすげえ顔してるぞ……」
腕を組み、楽しそうに会話している2人。次にたどり着いたのは大きな服屋さんだった。人が多く、しっかり見ておかないと見失ってしまいそうだ。
「Wow……こんな大っきい店があるとか……! さすが都会!」
「もうちょっと声抑えな。周りの人に迷惑やで」
「はーい。貴がそう言うならしゃーないな~」
「俺ちょっとお手洗い行ってくるから、先に服見といて」
「おっけーい!」
「どうする? 貴嗣くん出ていっちゃったけど」
「じゃああの女の人を観察してようよ」
「もうストーカーじゃねぇか……」
有咲の言うことはごもっともだ。香澄とたえは楽しそうだが、他の3人は罪悪感もあって、なんともいえない気持ちになっていた。
貴嗣がいない中どうしようかと考えていた、その時だった。
「……あれ?」
「どうしたの、りみりん?」
「……あの女の人……どこ?」
「「「えっ……?」」」
店の中で彼女を見失ってしまったのだ。人混みが多いせいで、見つけることも難しそうだ。
「おいおいどうすんだよ!? この中から探すのキツいぞ」
「うーん…………あっ」
「おたえ、何か思いついた?」
「この中から頑張って探す」
「だからー!! それがキツいって言ってるだろ!!」
「あ、あはは……。でも、おたえの言う通り、手当たり次第探すしかなくない?」
「その必要はないんじゃないかな~?」
「「「…………えっ?」」」
突然、後ろから声がした。
標準語ではなく、少しなまった言い方。そんな話し方をするのは
では、自分達の後ろにいるのは誰なのだろうか?
ホラー映画で幽霊に後ろから声を掛けられた登場人物のように、5人はぎこちない動きで、ゆっくりと後ろを向いた。
「――ハーイ♪」
「「「わあっっ!?!?」」」
そこには貴嗣の隣にいた、彼女と思わしき人物その人が立っていた。一番見つかってはいけない人物に見つかってしまい、5人は驚きの声を上げた。
「ちょっとー、私は幽霊ちゃうで~。そんなビックリされたら悲しいなあ~」
「え、あ、いや、その……!」
「そんな慌てやんでもええよー。ほら皆、まずは深呼吸~深呼吸~」
その女性はパニック状態に陥っている5人に深呼吸をするよう促す。香澄達は言われるがまま深く息を吸って吐く。
「うん! 皆落ち着いたっぽいね! それで……お昼前からずーっと私達の後からついてきてたけど、皆は貴のお友達さんかな?」
「い、いや……! 別にお二人のことをつけてたわけじゃ……」
「んー? 私は『ついてきた』とは言ったけど、『つけてきた』とは言ってないよー?」
「あっ……(やべえ……やべえよこの人!)」
「その顔は図星だな~? ……まあそれはいいとして、私が誰か気になるんでしょ? 貴と一緒に遊んでるこの人は誰なんだ!? って」
5人は何も言えなくなった。完全にこちらの意図がバレてしまっていたのだ。自分達がつけてきたことも、その理由も……この目の前にいる女性には、何もかもお見通しだった。
「……あれ、ポピパの皆さんじゃん」
「「「た、貴嗣(君)!?」」」
「お疲れー……って、なになに、この状況」
「ちょっと貴ー! おそいー!」
「ごめんって。あと友達の前で抱き着かんといて」
「なんでー?」
「周りがなんて声かけていいか分からんくなるから」
まさかのタイミングで貴嗣降臨。そして流れるような動作で腕組みをする2人に、5人はどう声をかけていいのか分からなくなった。
恥ずかしがらずに恋人のように振舞うその女性に、ついに沙綾は我慢することができなくなり口を開いた。
「あ、あの……!」
「ん? どうしたのー?」
「あの……た、貴嗣と……つ、付き合ってるんですか!?」
「「「沙綾(ちゃん)!?」」」
勇気を振り絞った、渾身の一声。
ギュッと胸に両手を当てているその姿は、恋する乙女そのものだ。
だがその健気な姿が、この女性の悪戯心に火をつけた。
「……だってさ。ねえ貴、私達の関係、この可愛いお友達に教えてあげなよ~」
「面白がってるやろ」
「ふふーん♪」
「サイテーやな」
楽しそうにしている女性と、呆れ顔の貴嗣。自分達に見せたことのない姿に、やはりこの女性とは特別な関係なのでは? と思ってしまい、更に沙綾の胸を締め付ける。
無言で貴嗣を凝視している沙綾。教えて、と訴えかけているのを感じ、貴嗣は呆れ顔のまま沙綾達に話し始めた。
「はあ……なあ皆、なんか勘違いしてないか?」
「勘違い……?」
「そう。沙綾、俺の瞳の色は?」
「えっ? えっと……銀色?」
「そう。じゃあこの人の瞳の色は?」
「……銀色?」
「「「…………あれ?」」」
貴嗣の外見的特徴の1つである、珍しい銀色の瞳。その女性の瞳は、貴嗣のもつそれと全く同じ色だったのだ。
「同じ瞳……ってことは……!?」
「もうー! みんな分かってもうたやん! ネタバレサイテーだぞ~!」
「サイテーはそっちやし、ヒントやし。ほら、自己紹介」
「はーい」
不満そうに答えたその女性は、表情を正し、沙綾達の方を向いてこう言った。
「はじめまして! 貴嗣の
「「「えっ…………えええーーーっ!?!?」」」
読んでいただき、ありがとうございました。
なんの予告も無しに、また新しいオリキャラが登場いたしました。主人公&妹ちゃんの双子とはまた違った、テンション高めのお姉ちゃんです。
「またオリキャラかよ……」って方もいるかと思います……ですが愛嬌のあるキャラにする予定なので、好きになってくれると嬉しいです(小声)
さて、ここで2点お知らせです。 ①次回31話は4/3(土)21:00に投稿する予定です。 ②「一番好きなバンド・この小説でストーリーを見てみたいバンドは?」のアンケートを、4/4(日)23:59で締め切らせていただきます。沢山のデータが集まりました。ご協力ありがとうございます。
次回はサイドストーリーpart 1の最終話、お姉ちゃんが(貴嗣を巻き込んで)ポピパのメンバーと楽しく交流します。それでは次回もよろしくお願いいたします。
ハロハピでのあなたの推しは?
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