Silver Lining ~ BanG Dream Story~   作:おたか丸

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 この小説のあらすじの所にも書かせていただいたのですが、元々あった33話と34話の書き直しをいたしました。物語も描写について、数名の読者の方々からありがたいご意見、ご指摘をいただき、より良い作品にするためには一度書き直した方が良いと判断しました。

 物語の大筋は変わっていませんが、元々の話から大きく変えた部分もいくつかありますので、読んでいて混乱させてしまうかもしれません。もし気になる部分がございましたら、ご感想やメッセージでお伝えいただけると幸いです。

 それではよろしくお願いいたします。


第33話 突然の依頼

 

 

 

 

 

 日直が授業終わりの号令を告げる。先生にありがとうございましたと言ったタイミングで、教室内に昼休憩の始まりを告げるチャイムが鳴った。

 

 キーンコーンカーンコーンというお馴染みの音を皮切りに、クラスメイトの皆は一斉に弁当や財布を持ち、昼食を食べる準備を始めた。俺も手作りの弁当を鞄から出そうと手を入れたのだが、どうもその動きは鈍いものだった。

 

 

「(……やっぱ頭から離れないなぁ)」

 

 

 数日前――Pastel*Palettesのデビューライブの日から、どうも俺は本調子では無くなっていた。

 

 彩さんの、そしてPastel*Palettesの、待ちに待ったアイドルデビュー。華々しく迎えられるはずであった初ライブは、「音響機材のトラブル」によって、一瞬でブーイングの嵐となった。トラブルによって音楽が消えてしまい、口パク、アテフリがバレてしまったのだ。

 

 ネット上では、これ見よがしに彼女達の失敗について書いた記事が多数掲載されることになった。そしてそれに便乗して、SNSユーザーは言いたい放題、誹謗中傷のコメントを書きまくっている。

 

 

 

『デビューライブでまさかの口パク!! ファンを裏切ったPastel*Palettesに未来はあるのか!?』

 

『ボーカルの丸山彩って経験者なのかと思いきや、研修生だったのね 実績もないのにボーカルとかww』

 

『ベースって元子役の白鷺千聖だろ? やっぱ噂通りの演技派女優だなww』

 

 

 

 まるで失敗を面白がるかのようなネット記事を見て、いい気分になるはずがない。だがそう思う一方で、このような意見が出るのも仕方がないという気持ちもあった。

 

 芸能界では、こういった出来事は当たり前のこと、日常茶飯事だ。多くの人が注目している分、一度ミスをしてしまえば、今回のような批判の嵐は避けられない。俺のような一般人が住んでいる世界とは違う、非常に厳しい世界だということは理解していた。

 

 

「(……彩さんは……大丈夫だろうか?)」

 

 

 数週間前、バイト終わりに笑顔を見せてくれた先輩のことを考える。

 

 あんなに嬉しそうに「デビューするんだよ!」と言ってくれた彩さんは、今頃どうしているのだろうか? 学年が違うので教室の階も違うし、最近はバイト先でも会っていないから、かなり心配だ。

 

 

「(……って、俺が悩んでても仕方ないだろ)」

 

 

 やめだやめだ。悩むのはやめだ。

 

 そうやってネガティブに考えるんじゃなくて、前向きに、彩さんならきっと大丈夫だって、彩さんを信じることの方が良いに決まってる。

 

 

「――貴嗣くーん」

「……!」

 

 

 すぐ傍で名前を呼ばれたことで、俺の意識はパッと現実に戻された。声のした方を向くと、弁当箱を持った美咲ちゃんが立っていた。

 

 

「あっ……美咲ちゃん……って、ご、ごめん! 待たせちまったよな……?」

「ううん、そんなに慌てなくても大丈夫だよ。……何か考え事してたの?」

「……まあそんなとこ。ごめんごめん、すぐ準備するわ」

「……何か悩み的な?」

「へっ? いやいや、そんなのじゃないよ。ほんと、ただ考え事してただけ」

「……そっか」

 

 

 今日は美咲ちゃん(結構一緒にお昼を食べて前より親しくなったので、お互い名前呼びになった)と真優貴と俺の3人で、昼食を食べる約束をしていた。昼休憩になっても来ない俺を呼びに来てくれたみたいだ。

 

 

「あれ? 弁当箱、いつもと違うね」

「そうそう。今日はミニそぼろ丼に挑戦してみたんだよ」

「そぼろ丼……! 美味しそうだね」

「後でちょっとあげようか? 俺小食だしさ」

「いいの? じゃあ……お言葉に甘えて」

 

 

 美咲ちゃんはニコッと笑う。さっきまで悩んでいたモヤモヤが、美咲ちゃんの笑顔のおかげで少し和らいだ。

 

 こうして俺達は弁当メニューについて話しながら、真優貴が待っている中庭へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 時は進み、放課後のCiRCLE。先日演奏する曲が決まった俺達は、次のミニライブに向けて練習をしていた。信頼できる皆が傍にいるのと、演奏する楽しさもあって、大分気が楽になっていた。

 

 

「――よーし! 良い感じだったし、予定通り休憩入れようか!」

「だな! ……あ゛あ゛ぁ~やっぱベース弾くの気持ちえぇ~……」

「ふふっ。大河君、すごい声出てるよ」

 

 

 穂乃花の声をきっかけに、俺達は休憩に入った。

 

 ギターをスタンドにゆっくりと置いてから、近くの椅子にゆっくりと座る。CiRCLEに来る途中に買っておいたスポドリを喉に流し込む。

 

 片手でスマホを操作して、SNSのアプリを起動すると、案の定パスパレに関する記事が出てきた。それによってまた昼休憩の時のようなモヤモヤが、ゆっくりと心に戻って来た。

 

 

「(……アプリ開かなきゃよかったかもな……)」

 

 

 この間楽器屋さんで蘭にも指摘されたように、俺は元来周りの人や環境の影響を受けやすい。ポジティブなモノに触れれば自然と自分も嬉しくなるし、それとは逆に、ネガティブなモノに触れると気分が沈んでしまう。

 

 今自分が見ているスマホには、多くのネガティブな記事や意見が表示されている。このような意見が出ることは仕方がないこととはいえ、やはり気持ちのいいものではなかった。

 

 

「貴嗣~」

「ん? どうした穂乃花?」

「……大丈夫? 最近ちょっと疲れてるでしょ?」

「まあ……それは否定しない。でも大丈夫だ」

 

 

 いつの間にか近くに座っていた穂乃花が、心配そうに声を掛けてくれた。茶髪のポニーテールを揺らして、心配そうにソワソワしている。

 

 俺は笑顔を作って穂乃花に応える。そんな俺を見て穂乃花は、どこか納得していないような声色で「……そっか」と言って、また隣にチョコンと座った。

 

 

「貴嗣ってさ」

「ん?」

「いつもあたし達より落ち着いてて、すっごい頼りになるけど……結構顔に出るよね」

「「うんうん」」

「……えっ?」

 

 

 突然の穂乃花の発言に、俺は少し驚いてしまった。大河と花蓮も頷いている。

 

 

「何か我慢してない? 今の貴嗣、そんな顔してるよ?」

「我慢っていうとちょっと違うかもだけど……ほら、この前皆にも言っただろ? 俺って見たものとか触れたものの影響を受けやすいってさ。今偶然パスパレのライブの事件の記事見ちゃってさ……ちょーっとネガティブな気持ちを浴びて疲れただけ」

 

 

 スマホをツンツンと叩いて、皆にそう説明する。

 

 

「でも本当に大丈夫だよ。確かに疲れてはいるけど、皆とこうやって話したり、演奏したりすれば楽しくなって、すぐに元通りになるし」

「そっか。……ねえ貴嗣君」

「ん?」

 

 

 大丈夫だと皆に伝えると、今度は花蓮が俺に話しかけてくれた。心配そうに俺の顔を、そのブルーの瞳で覗き込んできた。

 

 

「我慢は体にも、心にも毒だよ。辛いときは辛いって言ってくれたらいいから、そういう時は1人で悩まないで、私達を頼ってほしいな」

「……ああ。善処するよ。ありがとな、花蓮」

「うん」

 

 

 感謝の言葉を伝えると、花蓮はいつものように優しく笑ってくれた。かなり心配してくれていたみたいだ。

 

 

「皆心配してくれてありがとな。ほんと、皆がいてくれて助かるよ」

「良いってことよ。親友を助けるのは当たり前だろ? 何なら俺達の方がいつも助けてもらってるんだぜ? 俺達は4人で1つのチームだ。遠慮は無しで行こうぜ」

「大河良いこと言うじゃ~ん!」

「だろぉ~?」

 

 

 そんな大河と穂乃花の軽いやり取りに、俺は少し笑ってしまった。そして俺が笑ったことで、皆も笑顔に――いつもの楽しい雰囲気が戻って来た。

 

 

「――しっかしまあ、今回のパスパレのデビューライブがこんなに大事になるとはなぁ。音響のトラブルで口パクアテフリがバレるってのは、運が悪かったとしか言いようがないな」

「新人の子をデビューさせるときは、今回みたいな手法を取るって話は昔からよくある話だ。トラブルさえなければ確実に成功するし、最初の一歩としては、ある意味正解に近い選択肢だとは思う」

「……詳しいな」

「そりゃあうちには真優貴がいるし、それに……」

「それに……?」

「……芸能界は恐ろしく厳しい世界だ。そんな世界では、例え見てくれる人を騙してでも、失敗しない道を選ぶことが正しい時もある」

「「「……」」」

 

 

 俺の発言に、3人は黙り込んでしまった。

 

 しまった。ネガティブなことを言ってしまった――そう咄嗟に感じて、すぐに俺は皆に話しかける。

 

 

「ああ、すまん! 後ろ向きなこと言っちまったな……あはは……」

「ううん、貴嗣の言ってることは分かるよ。ただ……貴嗣がそんなドライな事言うのが新鮮で、ちょっとビックリしちゃっただけ」

「それなら良いんだが……」

 

 

 

 

 

prrr!  prrr!

 

 

 

 

 

「ん? 電話?」

 

 

 

 すぐに取り出して画面を確認すると、なんと真優貴からだった。

 

 

「真優貴ちゃんから……? 珍しいな、しかもこんな夕方に……」

「ああ。どうかしたのか……もしもし、真優貴?」

 

 

 俺は通話ボタンを押して、真優貴からの電話に出た。

 

 

『もしもし、お兄ちゃん? 今大丈夫?』

 

 

「ああ。今休憩中やから、大丈夫やで。どないした?」

 

 

『良かった! じゃあ今CiRCLEにおるってことやんな? ちょっとスピーカーにしてもらってもええ? 皆にも関係あることなんよ』

 

 

 

 真優貴から俺達全員に関係があることというのが全く想像できず、不思議に思いながらも俺はスピーカーをオンにした。

 

 

 

『もしもーし? 皆聞こえてる~?』

 

 

「聞こえてるよ~! どうしたの真優貴?」

 

 

『ちょっと皆にお願いがあって電話させてもらったんよ。今からお兄ちゃんのスマホに1つ動画送るねー』

 

 

 

 小さなテーブルの上に置いたスマホから、すぐに通知音がピロン♪ と鳴った。

 

 そしてその動画を開いて、俺達4人は目を大きく見開いた。

 

 

 

「これは……」

 

「パスパレの練習風景? でも皆楽器持って演奏してる……?」

 

『ちゃんと説明するね。――皆も知ってると思うんやけど、パスパレのデビューライブ、凄い問題になってるよね。あの後事務所のスタッフさん達が、今後の方針を変えたの』

 

 

「……練習をして実際に演奏をするって方針か」

 

 

『お兄ちゃんの言う通り。私は別の部署だから、直接その場にいたわけじゃないから詳しいことは分からないんだけど、数日前にパスパレの人達が集められて、持ち曲をすべて弾けるように練習するように言われたらしいの』

 

 

「ぜ、全部……!? こりゃまた急だなおい……」

 

 

「だけど今後パスパレが生き残っていくためには、まずは信頼を回復させる必要がある。そのためには……やっぱり練習するしかないんじゃないかな?」

 

 

 

 花蓮の言う通りだった。もし次があるとしても、口パクで行くのは論外だ。

 

 信頼とは行動によって勝ち取るものだ。練習を重ね、実際にお客さんの前で演奏することができれば……もう一度スタートできるかもしれない。

 

 

 

「それで真優貴、お願いっていうのは?」

 

 

『うん。皆へのお願いっていうのがね……練習動画を見て、パスパレの人達にアドバイスを送ってほしいの』

 

 

「アドバイス……? でも真優貴、これ守秘義務に引っかかるんちゃうんか?」

 

 

『それについては大丈夫。私がパスパレの部署から許可貰ってるから』

 

 

「……いつになくガチだな」

 

 

 

 どうやら今回は真優貴から動いてくれているみたいだ。相変わらず凄い行動力だ。

 

 

 

「ねえ真優貴、別にあたし達はアドバイスするのは良いけど、なんであたし達なの? こういうのってレッスンの先生がついてるんじゃないの?」

 

 

『それなんやけど……レッスンの先生は毎日来られるわけじゃないらしいんよ。でも楽器の練習はほぼ毎日する必要があるし、誰かに見てもらわなキツイやろ? 皆は腕前が良いから、1回見てもらうのもありなんじゃないかーってことで言うたら、スタッフの人らもOKしてくれたねん』

 

 

「スタッフの人らも必死だな。……真優貴はパスパレの人達を助けたいってこと?」

 

 

『うん……何とかして助けたい。皆を利用する形になっちゃうけど……お願い! 1回だけでいいから、動画見てアドバイス送ってくれへんかな……?』

 

 

 

 画面から聞こえる、真優貴の依頼。顔は見えないものの、画面の向こうでは、真剣な表情をした真優貴がいることが良く分かる。

 

 俺達はお互いに目を合わせて……頷いた。

 

 

 

「分かった。その依頼、引き受けるよ」

 

『ほんと!?』

 

 

「ああ。俺達にできることがあるんだったら、断る理由はないしな」

 

 

「なーんか色々複雑だけど、あたし達も真優貴と一緒で、彩さん達を助けたいし!」

 

 

「ほんの少しでもパスパレの人達の助けになるのなら、絶対にするべきだと思う。でしょ、貴嗣君?」

 

 

「ああ。俺達なりにアドバイス、やってみるよ」

 

 

『うんっ! ありがとう、皆!』

 

 

 

 その後はいくつか打ち合わせをして、真優貴との通話は終わった。俺はスマホを操作して、さっき真優貴から送られた、パスパレの練習動画を開く。

 

 画面の下のシークバーの右端には、約4分の動画時間、画面の上には「しゅわりん☆どり~みん」の文字が。

 

 全員が見られるようにスマホを撮影用のスタンドにセットしてから、俺は皆の方を向いた。

 

 

「――よし、いっちょやるか」

「おう!」「「うん!」」

 

 

 ライブの練習は一時中断。俺達はスタジオの使用時間の許す限り、何度も何度も動画を見直し、意見を出し合い、全員でアドバイスを考え出していった。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 そして2日後。俺達はいつものように4人で、放課後に制服のまま寄り道をしていた。

 

 

「――はい、ちょうどいただきました! 今日も買いに来てくれてありがとね!」

「おう。いつもありがとな、沙綾」

「うん! ふふっ、今日もたまご蒸しパンだね」

「ああ。大好物だからな。……それじゃあ皆待たせてるから、行くわ。お手伝い頑張ってな」

「ありがと! ……あっ、ねえ貴嗣? 今日もし夜時間あったらさ、久しぶりに電話しない?」

「ああ、いいよ。また電話できそうになったら連絡するわ」

「やった! ありがとね!」

 

 

 そんな会話を沙綾と交わした後、俺はやまぶきベーカリーの外に出た。

 

 

「皆またせた~」

「おーっす。もうイチャイチャしなくていいのか~?」

「あたし達はこっからジーって見とくから、まだ沙綾と話してていいよ~ん♪」

「そんなんじゃないって……ほら、ゲーセン行こうぜ」

「そうだね。じゃあ行こっか」

 

 

 大河と穂乃花にいじられながら、また4人で歩き始める。ジリジリと太陽に熱せられながら、俺達はさっき買ったパンを食べながら歩く。

 

 

「あんな仲良しで付き合ってないのが不思議だね~」

「おいおい、またその話か? これで何回目だよ……」

「実際のところどうなの? 沙綾ちゃんのことどう思ってるのか、私は気になるな」

「……嬉しそうだな」

「うん。だって恋バナだもん♪」

 

 

 隣を歩いている花蓮はとても楽しそうだ。恋バナ……なのかはちょっと微妙だが、お淑やかな雰囲気を纏っている花蓮もやはりJK、こういった類の話には興味津々だ。

 

 

「……大事な友達かな。文化祭の時からすっごい仲良くしてくれてるし」

「あの距離感で友達なのか……」

「むっ……なんだよ大河」

「いやぁ~べつにぃ~?」

 

 

 大河はニヤニヤしながら俺を見ている。

 

 

「俺は2人ともお似合いだと思うけどな~」

「大河まで……急にどうした?」

「別にどうもしてないさ。2人とも『相手を気遣えるタイプ』だろ? そりゃあお互い遠慮しあって逆効果……ってのもあり得るけど、貴嗣は人のこと引っ張っていける所もあるし、相性は良いと思うってだけだよ」

「大河の言う通りだよ。ってか早く付き合って、花咲川1年生最初のカップル目指しなって!」

「だからそんなのじゃないって……」

 

 

 穂乃花の発言に少しばかり呆れながらも、“カップル”の言葉に無意識に反応してしまった。

 

 もし俺が沙綾と付き合うことになったら……どうなるんだろうか? 沙綾って優しいし、面倒見良いし、それに可愛いし……あれ? そんな子が俺と仲良くしてくれてるって……めっちゃ幸運なことなのでは?

 

 ってか俺、沙綾と(わざとじゃないけど)添い寝しちまったんだよな……えっ、それってよくよく考えたら凄いことしてしまったのでは……。

 

 

 

 

 

『ね、ねえ貴嗣……このまま……寝ちゃう……?///』

 

『……このままでいたい……だめ、かな……?』

 

 

 

 

「……///」

「貴嗣君、顔真っ赤ー♪」

「なっ、花蓮……!」

「ホントだー! 何々~? 沙綾のこと考えちゃった~?」

「別にそんなのじゃないって……」

「そんな顔赤くしても説得力ねぇぞー」

「う、うっせえな……」

「ほんと貴嗣君は顔に出るね~♪」

「……もう勝手にしてくれ……///」

「「「あははっ!」」」

 

 

 3人に良いように弄られてしまった。

 

 だがこうやって弄られるのは嫌ではないし、むしろ嬉しいと感じた。別にドMということではなく、こういう何気ない会話が出来る友達が傍にいてくれることは、とても幸運なことだからだ。

 

 

 

 

 

prrr!  prrr!

 

 

 

 

 

「……ん? 電話……真優貴からだ」

「真優貴ちゃん? この前のアドバイスの件かな?」

「それかホープのご飯買ってきてーっていうおつかいの依頼かだな。すまん、ちょっと電話出るわ」

 

 

 俺は皆に断りを入れてから、真優貴からの電話に答えた。恐らくこの前送ったアドバイスの件だろうなと思って電話に出た。

 

 

「もしもしー真優貴? どないしたー?」

「もしもしお兄ちゃん? 今大丈夫?」

「大丈夫やけど……どうした真優貴? 声に元気ないぞ?」

「……あのねお兄ちゃん……1つお願い聞いてもらってもいい?」

「なんやそんな急に畏まって……遠慮なんかせんと言うてみ」

「……うん……この間のアドバイスの件なんやけど――」

 

 

 いつもより覇気のない真優貴に違和感を覚えながらも、俺は話を聞くことにした。

 

 だがその内容は……俺の想像を軽く超えるものだった。

 

 

 

 

「――分かった。今から向かうわ」

「うん……ありがとうお兄ちゃん。それと……」

「どうした?」

「……ごめんね」

「……謝んなって。俺は気にせーへんから。ほら、切るで」

「分かった……じゃあ着いたらLIN〇入れて。それじゃあまた後でね」

「おう」

 

 

 3分程話した後、俺は通話を切った。

 

 

「……」

「どうした貴嗣? 真優貴ちゃんから何か連絡あったんだろ? あれか、また動画送るからアドバイス送ってねー的なやつか?」

「……いや、違う」

「……貴嗣君?」

 

 

 大きく深呼吸した後、俺は皆の方を向いた。

 

 

「……この前のアドバイスの件だよね?」

「ああ。……すまん皆、俺今日はゲーセン行けないわ」

「えっ? な、なんだよ急に……真優貴ちゃんに呼ばれたのか?」

「……真優貴に呼ばれたんじゃない」

 

 

 大河の問いに答えてから、俺は電話の内容を皆に伝えた。

 

 

「芸能事務所だ」

 

「「「……えっ?」」」

 

「Pastel*Palettesが所属している芸能事務所に、Silver Liningが呼ばれた」

 

「「「げ、芸能事務所……!?」」」

 

「この前のアドバイスの件について、スタッフさんが話をしたいそうだ。リーダーの俺が1人だけ行っても良いし、全員で行っても良いらしいが……どうする?」

 

 

 俺がそう問いかけるが、皆は困惑したままだった。

 

 無理もないだろう。芸能事務所に呼ばれるなんて、普通の生活をしていたらあり得ないことだ。

 

 

「……いきなりこんなこと聞いても難しいよな。やっぱり俺が1人で行ってくるわ」

「……待ってくれ貴嗣。俺も行く」

「大河?」

 

 

 歩き出そうとした俺を、大河が引き留めた。

 

 

「話を聞きに行くだけだぞ? 俺1人だけ行って、後で情報を共有すればいいし。皆も放課後の時間急に潰されるのも嫌だろ?」

「別にゲーセンなんていつでも行けるし。あんな大きな芸能事務所に呼ばれたってことは、大事な話なんだろ? 俺も行くよ」

「あたしも行く。別に貴嗣だけ行っても良いんだろうけど、なんだかあたし達も行った方が良い気がする」

「私も2人と同意見かな。一緒に行こう、貴嗣君」

「……分かった。ありがとな、皆」

 

 

 皆に感謝の気持ちを伝える。

 

 芸能事務所に向かうために、俺達4人は駅へと歩き始めた。

 





 読んでいただき、ありがとうございました。

 33話、34話の突然の削除及び書き直し、失礼いたしました。前書きにも書いた通り、以前から物凄くしっかりこの小説を読んでくださっている方々から、元々の物語の描写に関して様々なご意見を頂きました。本当にありがたいご指摘を受けて、自分でもどうするべきか考えた結果、もう一度書き直しをするべきだと考え、勝手ながら再投稿をさせていただきました。

 自身の原作に対する理解の浅さを痛感すると共に、より良い作品を描いていきたい、より自身の描写力を高めたいと思う気持ちが一層強くなりました。感想やメッセージ等でご意見をくださった皆様、本当にありがとうございました。まだまだ浅学非才の身ですので、皆様ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。

 次回(書き直した34話)は早くて明日中、最悪でも来週の土曜日までには投稿いたします。それでは次回もよろしくお願いいたします。

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