Silver Lining ~ BanG Dream Story~   作:おたか丸

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 皆様はじめまして。おたか丸と申します。

 今回からバンドリの小説を書かせていただきます。初投稿作品ですが、1人でも多くの方に楽しんでもらえると幸いです。

 それではどうぞ!


Chapter 0 Overture
第0話 もし毎日を幸せに生きたいなら、まず早起きをすることから始めよう


 

 

 早起きは三文の徳、ということわざがある。早起きすると良いことが起こりますよ、といった意味だが、これはあながち科学的にも間違っていない。

 

 人間の体とは不思議なもので、早朝に日光を浴びながら軽い運動をすると、それだけでドーパミンと呼ばれるホルモンが分泌され、それによって幸福度がアップし、交感神経が活性化し体のスイッチが入り、1日の活動の準備ができるそうだ。

 

 

「よし、散歩いこっか」

「♪♪」

 

 

 目の前の小っちゃな家族にそう語りかける。彼は嬉しそうな顔をしながら、長い尻尾をブンブン振っている。動きやすい服装に着替えてから、彼の長い胴体に散歩用のハーネスをつけて準備完了。

 

 ミニチュアダックスフンドは本当に胴体が長いなと思いながら、玄関で運動用のシューズを履き、靴紐をしっかりと結んで立ち上がる。

 

 

「いってきます」

 

 

 現在早朝5時過ぎ。家族を起こさないように、1人でぼそっとそう言って散歩に出かけた。

 

 そんなに朝早くから大変だなと思うかもしれないが、慣れてしまえばどうってことない。むしろ逆にスッキリして体の調子が良いのだ。

 

 

 実際、早起きを習慣にしている有名人や成功者は数多い。アッ〇ルの現CEOは毎朝4時半くらいから社員にメールを送るらしい。また英国初の女性首相であるマーガ〇ット・サッ〇ャーは毎朝5時に起きていたそうな。

 

 

「♪♪」テクテクッ

「ははっ。朝から元気やな」

 

 

 最近引っ越してきたばかりの町を、うちの愛犬“ホープ”と一緒に散歩する。どこに何があるのかが全く頭に入ってないが、逆に目に入るもの全てが新鮮で、自然とワクワクしてくる。まるで未開の地を冒険しているみたいで結構楽しい。なんなら一緒に探検する可愛らしい相棒もいる。

 

 

 またお気に入りのコース見つけようと考えながら、30分ほど散歩してから戻ってきた。

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

 

 俺達が帰ったことを伝えると、リビングの方から足音が近づいてきた。

 

 

「あっ、おかえりお兄ちゃん! ホープもおかえり!」

「ワン♪」

「いつも散歩ありがとお兄ちゃん。夕方は私行ってくるね~」

「サンキュ。もし予定とか入ったら連絡してな」

「うんっ!」

 

 

 帰ると妹が出迎えてくれた。ふと妹の方を見ると、今日から通う新しい高校の制服をすでに着ていた。俺が散歩に行っている間にしっかりと準備していたみたいだ。

 

 ホープの足をしっかりと拭いてからリビングに向かうと、母さんが美味しそうな朝食を作ってくれていた。

 

 

「あら、おかえり貴嗣(たかつぐ)。いつも散歩ありがとうね~」

「どういたしまして。母さんも毎日朝ご飯ありがとう」

「は~い。朝ごはんもうちょっとで作れるから、先に着替えておいで」

「はいよ~」

 

 

 

 そう母さんに声を掛けてから、自分も制服に着替えに部屋に戻った。

 

 

 

 

 

 

                                         

 

 

 

「……やっぱちょいタイトか?」

 

 

 自分の部屋の鏡の前でそう呟く。少し生地が固い気もするが、着ていく内に慣れていくだろう。長方形型の鏡には、柔らかなベージュ色が印象的な、“花咲川学園”の制服を着ている自分が映っていた。

 

 

 花咲川学園。今日から俺と双子の妹の真優貴(まゆき)が通うことになる高校だ。

 去年まで女子高だったが、少子高齢化の影響を受けて今年から共学になった。ということで先輩方は全員女子、1年生は男女比が約3割が男子と聞いている。

 

 

 制服に着替えた後、朝食を取りにリビングへ。丁度朝食が出来上がり、真優貴と一緒にテーブルの上にお皿を運んだ後、母さんを合わせた3人で朝食を食べる。

 

 

「二人とも高校は楽しみ?」

「もちろん」「うんっ!」

 

 

 母さんの質問に、俺達2人は元気よく答える。

 

 

「あっ、でもお兄ちゃんが楽しみなのは女の子ばっかりやからやろ?」

「なんやねんその下心丸出しなやつ……男もちゃんとおるで」

「それでも周り女の子ばっかやん? いや~これは楽しみやなぁ~お兄ちゃんはどんなハーレム作るんやろなぁ~」

 

 

 体をクネクネさせながらそう言う真優貴。何故かトリップしているように見える真優貴に、さらに母さんが追い打ちをかける。

 

 

「気が付いたら家に10人くらい女の子呼んでるかもしれへんで?」

「キャー! お母さん大胆っ♪」

「貴嗣、楽しみにしてるで~」

「してるでっ♪」

「……2人とも一体何を期待してるねん」

 

 

 地元の和歌山県から引っ越してきた俺達山城家。家での会話は関西弁(紀州弁)だ。もちろん学校では標準語を使うつもりだが、慣れていないのもあり最初はうっかり方言が出てしまいそうだ。

 

 山城家の朝はいつもこんな感じ。皆で会話を楽しみながら朝食をいただく。この何気ない時間が一番幸せを感じるときだったりする。

 

 

 

「そういえば母さん、今日の入学式午前中で終わるから、店の手伝いしよか?」

「ええよ~大丈夫。せっかく午前中までなんやから、友達と遊びにいっておいで」

「んーそっか。分かった。じゃあお言葉に甘えるとしますわ」

 

 

 母さんの優しさに感謝しつつ、朝食を口に運ぶ。

 

 

「「ごちそうさまでした~」」

 

 

 そんなこんなで朝食を食べ終わり、真優貴と一緒に学校に行く準備をする。ローファーを履いて、2人で母さんの方を向く。

 

 

「「いってきます!」」

「はーい、いってらっしゃい~。楽しんでくるんやで~」

 

 

 今度は2人で元気よく、いってきますの挨拶。

 

 

 ガチャッとドアを開け、俺と真優貴は入学式に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

「お兄ちゃん、緊張してる?」

「んー……まあ、緊張してへんって言ったら嘘やな。なんかちょっとな」

「そっか~。お兄ちゃんにとったら、めっちゃ環境変わった感じやもんね」

「そうそう。どうもこういう環境の変化って、変に緊張してまうもんでな~」

 

 

 真優貴の言う通り、今日からの高校生活は、俺が以前いた生活とは大きく異なる。

 

 友達ができなかったらどうしよう、といった人間関係の不安はないのだが、これからの高校生活に順応できるか、少しだけ不安なのだ。

 

 

「ていっ♪」

「真優貴?」

 

 

 俺の顔を見てその心配を感じ取ったのか、隣で一緒に歩いていた真優貴がいきなりピョンと前に出た。

 

 

 そしてとびっきりの笑顔を俺に見せて―― 

 

 

「お兄ちゃん!」

「ん?」

「楽しい高校生活にしよな!」

「……ああ。そやな。ありがとな」

 

 

 ――前言撤回。これから楽しくなりそうだ。

 

 

 そう確かな自信をもって、俺は一歩踏み出し、また真優貴と並んで歩き始めた。

 

 

 




 読んでいただき、ありがとうございました。

 これから貴嗣は色んな形でガールズバンドと関わっていくので、その様子を楽しんでもらえると嬉しいです。

 それではまた次回お会いしましょう!

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