Silver Lining ~ BanG Dream Story~   作:おたか丸

44 / 76
 
 少し前の話になるのですが、ついにお気に入り登録者数が200を超えました! 皆様本当にありがとうございます! 亀更新ではありますが、これからも頑張って参ります。

 お待たせしました。今回からキャラクターエピソードです。1番手はパスパレ編のメインヒロイン、彩ちゃんです。タイトル通りのことします。途中の彩ちゃんの服装や髪型は、ガルパの「初めてのラテアート」を参考にさせていただきました。

 それではどうぞ!


【追記】
 ラテアートの描き方に関しましてはネットで調べただけで、作者は未経験なので一切描けません。おかしな描写もあるかと思いますが、ご了承ください。


第40話 SNS映えラテアートに挑戦ですっ♪

 

 

 

 左手に淹れたてのコーヒーを入れたカップ、右手にホットミルクの入った容器を持つ。左手のカップを傾け、ホットミルクを少しずつ入れる。白い丸ができたらカップを水平に戻し、ミルクの容器を左右に大きく揺らす。手前まで来てから奥に動かすと……。

 

 

「はいっ。リーフのラテアート、完成です」

「すごいっ! ラテアートってこんな風につくるんだ! お洒落だなぁ~……♪」

 

 

 カウンター席に座っている少女――バイト先と学校の先輩件現役アイドルである丸山彩さんは、興奮してそう感想を述べた。そしてすかさずスマホを取り出し、パシャパシャと数枚写真を撮った。

 

 

「おっ、またSNSに投稿するんですか?」

「そうだよっ! これは映え映えだからねっ!」

 

 

 素早く指を動かし、SNS(多分Twit〇erとInstag〇am)に今撮った写真を投稿する彩さん。鼻歌を歌いながら器用にスマホを操作している。

 

 とても楽しそうな彩さんを見て、うちの店の手伝い中の俺は店内を見渡す。お客さん達は皆楽しそうにお喋りをしている、これなら彩さんと少し話しても大丈夫だろうと判断して、彩さんに話しかけた。

 

 

「彩さんって色々SNSに投稿してますよね。練習風景とか」

「うん! あっ、もしかしたら貴嗣君も見てくれてたり?」

「はい。全部チェックしてますよ」

「ほんと!?」

 

 

 はいと答えてから、俺はスマホでアプリを開く。グッドボタンを押した投稿を表示してから、彩さんにスマホを渡す。

 

 

「彩さんの投稿、自分全部いいね! してますよ~」

「ほんとに!? 嬉しいなぁ~♪ ありがとう! …………あっ」

 

 

 彩さんは機嫌よく指をスワイプして、俺がいいね! を押した投稿を見ていたのだが、突然声を出して指を止めてしまった。表情も少し複雑なものに変わり、どうかしましたか? と聞くと、彩さんは困り顔を見せながらも答えてくれた。

 

 

「いや……貴嗣君って日菜ちゃんやイヴちゃん達のアカウントもフォローしてるんだなーって……皆の投稿にもいいね! してるし……」

「ああ、それですか。俺Pastel*Palettesの皆さんのアカウントは全員フォローしてるんですよ。1ファンとして、投稿も全員分チェックしてます」

「あー……う、うん……そうだよね……! 貴嗣君はファンだもんね……! あはは……はぁ……」

 

 

 俺の答えを聞くと、彩さんは見るからに落ち込んだ。

 

 

「……なんかすみません。俺嫌な事しちゃいましたよね」

「えっ!? う、ううん! 貴嗣君は全く悪くないよ! ただその……」

「……その?」

 

 

 彩さんは何か言いたげな様子で、手に持っているスマホと俺の顔を交互に見た。何度か視線を往復させた後に、遠慮がちにこちらに話しかけた。

 

 

「……あのね、貴嗣君……ちょっと私の話……聞いてもらってもいいかな……?」

 

 

 十中八九原因は俺だろう。それなのに何もしないというのは、全く無責任な話だ。話を聞いてほしいという彩さんのお願いに対する答えなど、1つしかなかった。

 

 

「もちろんです。俺でよければ、どんな話でもお聞きします」

「……うん!」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

「自分の注目度を高めたい?」

「……ハイ……そうなんです……」

 

 

 時間が進み、先程よりもお客さんが少なくなった店の中で、俺は彩さんの話を聞いていた。彩さんは俺が淹れたコーヒーをちょっとずつ飲みながら、自身が今抱えている悩みを打ち明けていた。

 

 

「私ってよく……その……エゴサしてるんだ。自分の投稿にファンの人達がどんな反応をしてくれてるのか気になって、ついつい見ちゃうんだ」

 

 

 最近彩さんはよくスマホを見ている。バイトの休憩時間でも控室でずーっとSNSを見ている彩さんをよく目にするのだが、どうやらそれは所謂“エゴサーチ”だったそうだ。

 

 

「なるほど。そこでいいね! の数をチェックしたりってことですか?」

「……その通りです……」

「でも彩さんの投稿、結構色んな人からいいね! 貰ってません? 一般人の感覚からしたら、かなりの高評価が付けられてるような……」

「うん。それはそうなんだけど……ほら、SNSに投稿してるのは私だけじゃないでしょ……?」

「そうですね。千聖さんとか大和さんも…………あっ」

 

 

 そこまで言ってから、頭の中でピコーン! とある考えが浮かんだ。自分のスマホでSNSを開いて、たまたま検索履歴の上に出ていた(多分さっき彩さんが調べたものだろう)千聖さんのアカウントを開く。

 

 千聖さんの投稿をいくつか見てみる。そしてそのいいね! の数は……――

 

 

「めっちゃ高評価付けられてますね。しかもどの投稿も」

「……そうなのです」

「……彩さんが言いたいこと、分かった気がします」

 

 

 スマホの画面から、彩さんに視線を移す。

 

 

「他の皆さんみたいに、自分ももっと注目度を高めたいってことですかね」

「うん……やっぱり他の皆って、個性が強いでしょ? 私はほら……光る長所みたいなのって無いし、まだデビューして間もないから、皆より注目度が低いのは当然っていうのは分かってるけど……私も皆みたいになりたいなって思っちゃって……」

 

 

 頭では分かっていても、それをどう思うかは別問題ということか。彩さんの話を聞いて、改めてPastel*Palettesのメンバーを思い出す。

 

 

 一度見たものはすぐに出来るようになる、天才少女氷川日菜さん。

 

 眼鏡を外した際のビジュアルギャップが凄まじい、機械マニア大和麻弥さん。

 

 ブシドー大好きでフィンランドからやって来た、ハーフ美少女モデル若宮イヴちゃん。

 

 言わずと知れた元子役、輝かしいキャリアは他の追随を許さない、女優白鷺千聖さん。

 

 

「(他のメンバーの個性が強いなぁ……)」

 

 

 思わず心の中で呟いてしまう。

 強烈なキャラクター性は、やはり見てくれる人達の印象に残りやすい。勿論個性なんて地球上の誰もが持っているものだが、その中でも「注目をより集めやすいもの」は確かにあると思う。

 

 

「貴嗣君こんなこと聞くのもオカシイかもだけど……もっと色んな人達に見てもらえるようになるために、何かいいアイデアはないかな……?」

「ははっ、そんなに遠慮しなくてもいいですよ。ちょっと考えてみますね」

「……! うんっ!」

 

 

 腕を組んで考える。こういう時は下手に自分の頭だけで考えるのではなく、上手な人のやり方を思い出してみよう。

 

 

「もっと注目を集めるためには……う~む……」

 

 

 そうだな……ここはやはり、パスパレの皆さんの投稿を分析することにしよう。

 

 大和さんは自身の知識を活かした楽器のメンテナンス動画や、音楽機材の解説に関する投稿が多い。俺も結構参考にさせてもらっている。

 

 イヴちゃんはモデルの撮影で来た服や、お洒落なコーデの投稿をよくしている。マジでお洒落すぎてビックリする。

 

 日菜さんの投稿は……何と言うか、色んなことにチャレンジしてそれを全部完璧にこなす“神業動画”みたいなものが多い。この前は目隠ししてバランスボールの上に立ちながらけん玉をする(!?)とかいうスゲぇ投稿をしていた。

 

 千聖さんは……やはり女優としてずっと活動してきたからか、出演するドラマや舞台に関する投稿が殆どだ。

 

 

「……あっ、閃いた」

「うそっ!? 早い!?」

 

 

 自然と口が動いた。日菜さん達の投稿を考えていると、1つアイデアが浮かんだ。

 

 

「彩さんが何か頑張っている姿を投稿する、ってやつです」

「私が頑張っている姿?」

「はい。やっぱり彩さんの1番の魅力は、何かに一生懸命取り組む姿。彩さんのこの長所を生かして、何でもいいから新しいことに挑戦している姿を見せるというのはどうでしょうか?」

 

 

 大和さんにイヴちゃん、日菜さんに千聖さんは、自分の長所を生かした投稿を多くしているように感じられた。高い評価が付けられているのは、その人の個性や特長がプッシュされていて、ファンの人達がより魅力を感じたからだろう。

 

 

「何かに挑戦する姿……うん……うん! それいいかも!」

 

 

 彩さんも気に入ってくれたみたいだ。さっきまでのしょんぼりした姿は何処へ、活力に満ち元気一杯な、いつもの彩さんが戻って来た。

 

 

「挑戦、挑戦……うーん……例えば何だろ?」

「いいものがありますよ。SNS映えする、とっておきのネタが」

「えっ!? ほんと!? なになに!?」

 

 

 興奮してグイグイとテーブル越しにこちらに迫って来る彩さん。その必死な様子が無邪気な子どもみたいに見えて、思わず頬が緩む。

 

 

「これです」

 

 

 俺はテーブルの上にあったメニューを開いて、ある写真を指差す。その写真を見た彩さんは一瞬驚いたが、すぐにドキドキとワクワクに満ちた笑顔を見せてくれた。

 

 

「うん! 私、これやってみたい! 貴嗣君が教えてくれるの?」

「もちろんです。彩さんが出来るようになるまで、何度でも教えます」

「ありがとう! 私、頑張ってみるね!」

「はい。やってやりましょう」

 

 

 

 

 

 

 ――ラテアートを!

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 日は変わって、とある休日。今うちの店の厨房に、駆け出しアイドルさんがいます。

 

 

「よし。それじゃあ、やっていきますか」

「はい! 貴嗣先生、お願いしまーす!」

 

 

 目の前にいるのは、Sterne Hafenの文字が入ったエプロンを着け、下ろした髪を2つに束ねて、三つ編みにしている彩さんだ。いつもの可愛らしい服装とは違い、白のブラウスにチェック柄のブラウンスカートという清楚な組み合わせだ。カフェの店員さんっぽくしたくて、服装と髪を変えてみたそうだ。

 

 

「今日彩さんに挑戦してもらうのは、ハートのラテアートです。最初は難しいし、自分の思うように描けないと思います。焦らずゆっくりとやっていきましょう」

「うん! 可愛いハート、作れるように頑張るね!」

「はい。まずは俺が手本を見せますね」

 

 

 事前に用意しておいたコーヒーとホットミルクを手元に持ってくる。この前と同じように、利き手にホットミルクの入った容器を、そして左手にコーヒーを入れたカップを持つ。

 

 

「ハートを作る時は、こうやって取っ手を持って傾けるとやりやすいです。そしてこっからミルクを入れるんですけど……」

 

 

 右手の容器を傾け、ミルクを入れていく。どうやって入れていくのか彩さんが見えるように、出来るだけゆっくりと。

 

 

「円ができたらカップを水平に戻しつつ……左右にこうフワフワとミルクを動かしてハートみたいな円形を作れたら……割れ目にそって注いで……」

「わあっ、ハートだ!」

 

 

 コーヒーの表面に、丸々とした白いハートができた。何とか出来て一安心だ。

 

 

「……とまあこんな感じで、作業自体はそこまで複雑ではないです。ただ難しいのは力加減。こればっかりは実際にやって感覚を掴むしかないですね」

「分かった。じゃあ私もやってみるね」

「はい。じゃあまずは俺の真似をしてみてください。左手にカップを持って傾ける……そうそう、そんな感じです――」

 

 

 やる気に満ちた真剣な眼差しで、彩さんは隣に立つ俺の動作を真似する。

 

 こうして彩さんのラテアートへの挑戦が始まった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 彩さんがラテアートを描くのは、今回が初めて。だから簡単にはいかないということは彩さんも理解していたはずだし、俺からも事前に伝えていた。

 

 

「あうっ……またフニャフニャの丸になっちゃった……」

 

 

 そして予想していた通り、彩さんはかなり苦戦していた。

 

 別に彩さんが不器用だとか下手だとか、そういう話ではない。ミルクを入れる時の力加減、これが冗談抜きで難しいのだ。

 

 力を入れ過ぎると、手を左右に動かしてハートを作る際に、今のように形が崩れてしまう。逆に力を抜きすぎると、手を動かす前にミルクを入れ過ぎてしまい、すぐにコーヒーの表面は真っ白になる。滑らかに腕を動かせる程度の力というものは、相当に難易度が高いものだった。

 

 

「でもこれも、成功のための一歩だもんね……! 失敗しちゃったけど、写真撮っておこうっと……」

 

 

 すぐに気持ちを切り替えて、失敗してしまったラテアートの写真を撮る彩さん。

 

 これまでの失敗作も全部、彩さんは写真に収めている。成功した写真と一緒に載せることで、成長の過程……彩さんの長所である“頑張ってきた姿”をファンの人達に知ってもらうためだ。

 

 実際に苦戦はしているものの、最初と比べると確実に上達している。というより大まかなハートの形は出来ているので、あともう一息だ。

 

 

 

 

 

 

 

「うーん……ふぁあ~……」

「ふふっ、大きな欠伸ですね。ちょっと休憩しましょうか」

 

 

 だがぶっ通しで練習しているのもあって、流石の彩さんも疲れたみたいだ。

 

 一旦練習は止めて、休憩室に行く(休憩室と言うより、お洒落な机やソファが置いてあったりと、まるで家みたいな部屋だが)。母さんが置いてあったであろうクッキーを持ってきて、コーヒーと一緒にいただく。

 

 

「やっぱりクッキーとコーヒーって合うよね」

「安定の組み合わせですからねー……って、彩さん、結構疲れてます? 声がすごい眠たそうです」

「うん……実は今日がすごく楽しみで、昨日夜あんまり寝付けなくて……あはは……」

「小学校の時の遠足的なアレですね。寝不足は体に悪いですし、仮眠でもしますか? 俺起こしますよ?」

「……じゃあ……お願いしようかな?」

「了解です。ちょっと待っててくださいね。毛布取って来ます」

 

 

 ふかふかのソファから立って、押入れに入っていた毛布と枕を取って、彩さんの元に戻る。かなり睡魔が来ているのか、隣に座っている彩さんは目を擦っている。

 

 

「はい。毛布と枕です」

「ありがとう……それじゃあ30分後に起こしてもらってもいいかな……?」

「了解です。30分後ですね。さあ、お昼寝しましょう」

「うん……それじゃあおやすみ、貴嗣君……」

 

 

 彩さんはそう言ってから毛布を羽織り、目を瞑った。すぐに規則正しい寝息が聞こえた。

 

 

「はい、おやすみなさ――」

 

 

 おやすみなさいと言い終わる前に、ポスっと膝に重さが来た。彩さんの小さな頭が、俺の膝の上に来ていた。

 

 

「すーっ……すーっ……」

「(……膝枕ですか)」

 

 

 膝枕はたまに真優貴にねだられてするのだが、妹以外の人に膝を貸したのは今回が初めてだった。予想していなかった展開だが、下手に動けば彩さんを起こしてしまうので、焦る気持ちを何とか抑える。

 

 

「んっ……すぅ……」

「これじゃあ枕要らなかったな……って、持ってきた枕抱きしめてるし」

 

 

 彩さんは枕をぬいぐるみのように両手で抱きしめていた。やはり何かを抱きしめておくと、人は眠りやすくなるのだろうか。

 

 

「(……ぐっすりだな)」

 

 

 パスパレのライブイベントから、彩さん達の仕事は少しずつ増えていった。勿論それは喜ばしいことだが、仕事をすれば人間は疲労する。楽しそうに仕事をこなす彩さんだが、本人も知らない内に疲れが溜まっていたんだろう。

 

 膝の上で寝息を立てている彩さんを見る。整った顔立ちに、艶のあるピンクの髪。前から可愛い人だと知っていたが、こんなに近くで見るのは初めだった。そんな美人さんに膝枕をしているという事実に、バチが当たりそうだと思ってしまう。

 

 

「いつも頑張ってますもんね。本当にお疲れ様です、彩さん」

 

 

 労わりの気持ちを込めて、少しだけ彩さんの頭を撫でる。

 

 30分後にアラームが鳴るように設定してから、俺はSNSでも見て時間を潰すことにした。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 30分のお昼寝をした後、私はラテアートへの挑戦を再開した。仮眠を取って体を休めたからか、私はさっきよりも調子が良くなったように感じた。

 

 やっぱり何度も失敗しちゃったけど、自分でも上手くなっているのが分かった。貴嗣君も私がミスをする度にアドバイスをくれた。そしてついに――

 

 

「これで……えいっ!」

「おおっ! できた!」

「ほんと!? ……あっ、ハートになってる……!」

 

 

 何十回目かの挑戦。私の左手に持っているカップに入っているコーヒーに、可愛らしいハートが描かれていた。

 

 

「やった! やったよ貴嗣君! 私、ラテアート描けたよ!」

「おめでとうございます彩さん! 俺も嬉しいです!」

 

 

 貴嗣君と笑顔でハイタッチをする。嬉しすぎてピョンピョンと跳ねる私に合わせて、貴嗣君も体を揺らしてくれている。

 

 

 

 

「それじゃあラテアートと一緒に写真、撮りますか」

「うん! えっと、どういう感じでポーズしようかな? こう?」

「おっ、良い感じです。それじゃあ……はい、チーズ」

 

 

 貴嗣君のスマホと私のスマホの両方で写真を撮ってもらう。私からのお願いで、色んなポーズで写真を撮ってもらった。

 

 貴嗣君からスマホを受け取って、私は早速写真のファイルを開く。なんて言えば分からないようなヘンテコな形ばっかり……私、こんなに失敗してたんだ。

 

 

「本当に上手にできてますよ、彩さん。綺麗なハートです」

「ありがとう! ……でも沢山失敗しちゃったなぁ。変な形のラテアートの写真がいっぱいだね」

「ええ。でもこの失敗した写真達こそ、今日の彩さんが歩いてきた道です。彩さんが努力して、1つのことを成し遂げたっていう何よりの証拠です」

「うん。私が自分の一番魅力を伝えらえる『何かに一生懸命取り組む姿』が、この写真なんだよね」

「はい。これはかなり良い投稿、できるんじゃないですか?」

「うんうん! ちょっと待っててね、今から投稿してみる!」

 

 

 写真を追うにつれて「成長しているなー」と分かるように、慎重に写真を選ぶ。そして最後に貴嗣君に撮ってもらった私の写真を載せて、コメントを書く。

 

 

「……」

「彩さん? どうかしました?」

「ううん。写真を眺めて……今日のこと思い出してたんだ」

 

 

 今日貴嗣君は私に付きっきりで教えてくれた。何回も失敗しちゃったけど、その度に貴嗣君は私を励ましてくれた。

 

 

 初めにこの優しい男の子に出会ったのは、バイト先だった。私よりも背がうんと高くて、言葉使いも丁寧、それに顔もキリッとした感じで大人っぽかったから、どこか別の高校の先輩だと思った。私の後輩だって知った時はビックリしちゃったなぁ。

 

 

 あの頃はまだ「真面目で親切な後輩君」だったけれど、私がアイドルデビューするんだって伝えてからは、色んな形で彼と関わるようになった。そうして貴嗣君がどんな人なのかを、沢山知ることができた。

 

 

 レッスンの時も、雨の日にチケットを売っていた時も、それに今日も。私が辛いときや不安な時、そして何かに挑戦している時、貴嗣君はいつも傍に来て支えてくれた。

 

 

 貴嗣君が私を常に応援し続けてくれたから、私は前に進み続けられた。そして今、私はPastel*Palettesのボーカルとして、皆と一緒にアイドルとして活動している。

 

 

 私にとって貴嗣君は、憧れの人。

 

 彼が私に寄り添って、前へ進む力をくれたように、私もファンの人達に、夢や目標に向かって突き進む勇気を与えられるアイドルになりたい。

 

 頑張っている人に寄り添って、背中を押せる貴嗣君みたいな人に、私もなりたい。

 

 

 

 

 

「ねえ、貴嗣君」

「なんですか?」

「私、これからも頑張るね。ファンの人達に夢を与えられるように、一生懸命頑張る。でももし私が挫けそうになったら……」

「はい。俺が彩さんの助けになります」

「――ありがとう」

 

 

 うん。大丈夫。私ならできる。

 

 貴嗣君(ファン)がいるから、私は自分を信じ続けられる(アイドルでいられる)

 

 

 

「彩さん」

「何?」

「今日は楽しかったですか?」

「うん! 難しかったけど、すっごく楽しかった!」

「なら良かったです。……さあ、投稿しちゃいましょう。後はタイトルをつけるだけですね。どんなタイトルにするんですか?」

「実はもう考えてあるんだー♪」

「わおっ、早い。流石です」

「えへへっ♪ ありがとう!」

 

 

 2人でスマホの画面を見る。私がタイトルを入力すると、私達は自然とお互いを見つめて――一緒に笑った。

 

 

 

 

 

 

 ――〈SNS映えラテアートに挑戦ですっ♪〉

 




 
 ありがとうございました。パスパレ編メインヒロイン、彩ちゃんとのお話でした。

 今までのメインヒロインである沙綾やひまりとは違い、『主人公への信頼の気持ちが強いヒロイン』を意識して、今回の彩ちゃんを描かせていただきました。今までのヒロインとは少し違う関係性、如何でしたでしょうか?

 次回も頑張って来週の土日には投稿したいと思っています。完全に1週間に1本ペースになっていますね……早めの更新頑張ります。

 それでは次回もよろしくお願いいたします。


【追記】
 前回お伝えした通り、アンケートの締め切りを、本日23:59までとさせていただきます。沢山のご回答、本当にありがとうございました。

ハロハピでのあなたの推しは?

  • 弦巻こころ
  • 瀬田薫
  • 北沢はぐみ
  • 松原花音
  • 奥沢美咲
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。