Silver Lining ~ BanG Dream Story~   作:おたか丸

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 今回は友希那のお話です。猫と触れ合います。キャラ崩壊注意です。

 それではどうぞー。


第64話 にゃーんちゃんと戯れてリラックス

 

 

 

 

 

 とある平日の放課後、俺はCiRCLEで自主練習を終えた後、外のカフェでホットココアを飲みながら読書をして休憩していた。

 

 

「あー……すっごいあったまるなぁ……」

 

 

 この間白金さんに勧められたSF小説を読んでいる。温かいココアを飲みながら本の世界を体験するこのゆったりとした時間は、最高のリラックスタイムだった。この小説はとても話が長い、今読んでいる章も終わったしそろそろ帰ろうかと思ったところで、声を掛けられた。

 

 

「あら? 山城君?」

「あっ、友希那さん。お疲れ様です」

 

 

 Roseliaのボーカル、湊友希那先輩だった。彼女も羽丘の制服を着ていて、俺と同じく学校が終わってから直接自主練に来たのだと分かった。

 

 

「お疲れ様。そのギターケース……山城君も自主練を?」

「はい。ついさっき終わって、今は休憩していたところです。友希那さんも?」

「ええ。私も今終わったところよ。帰ろうと思ったら偶然あなたを見つけて、声を掛けたの。よければ相席してもいいかしら?」

「もちろん」

 

 

 友希那さんはありがとう、と言ってから、前の席に座った。俺も友希那さんと話すため、本をパタンと閉じた。

 

 

「もしかしたら読書を邪魔してしまったかしら?」

「大丈夫ですよ。丁度キリが良いところまで読み終えたので」

「なら良いのだけれど。分厚い本ね。もしかしたら、燐子から勧められた小説かしら?」

「その通りです。よく分かりましたね」

「この間燐子が話していたわ。山城君と高野さんの3人で、一緒に図書館に行ったのよね」

 

 

 友希那さん達は白金さんからあの日のことを聞いたらしい。とても楽しそうに3人でのお出かけのことを話してくれていたそうだ。

 

 

「あなた達と本の話が出来て、燐子は嬉しかったみたい。あなた達と楽しく話せた経験のおかげで、以前よりも積極的に他のメンバーと話そうとしているわ。燐子のきっかけを作ってくれて、ありがとう」

「あははっ……そんな大袈裟なこと言われると何だか気後れしちゃいますね……でも、ありがとうございます」

 

 

 そう言って、俺は学校の鞄に分厚い小説を入れようとした。だが、

 

 

「……ん? ねえ山城君、そのチラシは……?」

「チラシ? ああ、これですか」

 

 

 友希那さんの言葉が俺の手を止めた。鞄から、今日ある人物から受け取ったチラシが顔を出していた。そのカラフルなチラシを取り出して、テーブルの上に置いた。

 

 

「猫カフェのチラシです」

「ね、猫カフェ……!?」

 

 

 友希那さんは大きく目を開いて驚いた。こんな友希那さんを見たのは初めてだ。

 

 

「大河がここでバイト始めたらしくて、1枚貰ったんです。『猫ちゃん達がマジで可愛いから是非来てくれ~』って。今度の休みにでも行こうかなーと思っていて——」

「……にゃ、にゃーんちゃん……」

 

 

 ……ん?

 

 

「にゃーんちゃん……か、可愛い……///」

「(おうっと、この反応は予想できなかったぜい)」

 

 

 この人、目をキラキラさせながら“にゃーんちゃん”って言ってるよ。猫ちゃんじゃなくて、にゃーんちゃん。

 

 予想外の反応すぎて一瞬頭が追い付かなかったけど、この友希那さんの様子、どこからどう見ても、猫が大好きな人のものだった。

 

 

「友希那さん、猫好きなんですね」

「っ!? わ、わけの分からないことを言わないでくれるかしら……? べ、別に私は猫に特別な感情なんて抱いてないわ」

「(そこまで聞いてないんだけどなぁ……)」

「……にゃーんちゃん……///」

「いや隠す気ないでしょ友希那さん」

「……っ!?」

 

 

 しまった、という顔の友希那さん。心の声までは誤魔化せなかったみたいだ。

 

 

「そんなキラッキラな目でチラシの猫見てて誤魔化すのは流石に無理がありますって……」

「……わ、私は別に猫が好きなんかじゃ……」

 

 

 友希那さんは中々認めようとしない。そんな彼女を見て、ふと悪戯心が働いた。

 

 苦い顔でそわそわしている友希那さんを他所に、俺はチラシを手に取る。そのまま自分の顔の前に持ってきて、

 

 

「にゃ~~~ん♪(渾身のモノマネ)」

「はうっ……!?///」

 

 

 猫の鳴き声のモノマネをしてみた。それを聞いた友希那さんは、頬を染めて悶絶している。

 

 

「猫好きなこと、誰にも言いませんから安心してください」

「……私をからかったわね?」

「あははっ、そんな怖い顔しないでくださいよ。……まあ、からかったのは事実ですけど、別に猫好きでいいじゃないですか。俺も好きですし」

 

 

 そう言って、俺はチラシを鞄に入れようとした。

 

 

「ま、待って……!」

 

 

 ガシッ! っとチラシを持つ手を掴まれた。

 

 

「こ、今度の休みに……そのカフェに行くのよね?」

「はい。折角大河が教えてくれたので、行きたいなーと」

「……そ、その……」

 

 

 両手で俺の右手をガッシリと掴んでいる友希那さん。顔を赤らめながら、上目遣いでこちらを見る。

 

 

私も……その……一緒に……

「声が小さくてよく聞こえないですよ~」

「……っ……いつもはすぐこっちの言いたいことを先読みする癖に……!///」

 

 

 本当は私の言いたいこと、分かっているんでしょう? 鋭く睨んでくる視線がそう言っていた。

 

 

「はいはい、分かりましたよ。謝りますから、そんな睨まないでください」

「……あなたが他人をからかうなんて思ってもみなかったわ」

「隙を見せた友希那さんが悪いですよ~……なんて冗談は置いといて」

 

 

 右手を動かして、鞄に仕舞いかけていたチラシを友希那さんに見せる。

 

 

「にゃーんちゃんと戯れて、リラックスしに行きませんか?」

 

 

 真っ赤になっている友希那さんの顔が、ほんの少し縦に揺れた。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 数日後。猫カフェに到着した俺と友希那を出迎えてくれたのは、他でもない大河だった。

 

 

「いらっしゃい貴嗣……ありゃ? 友希那さん?」

「こ、こんにちは……須賀君……」

「なんでまた友希那さんが……意外ですねぇ」

「大河」

「ん? ……おお、そういうことね」

「そう。そういうこと」

「(な、何なのこの2人……? テレパシーか何かで会話してるの……?)」

 

 

 友希那さんには若干怪しまれたが、まあ問題はないだろう。友希那さんが実は猫好きだったということが、大河にも伝わったみたいだ。子猫たちと戯れることによってマイナスイオン的な癒しエネルギーを摂取するために、俺達は大河に案内された席へと座った。

 

 

「そう言えば、大河はどうしてここでバイト始めようって思ったんだ?」

「ああ、ここの店長さんが俺の同級生のお父さんでさ。ホールの仕事ってのをやってみたくて色々バイトを探してたところで、店長さんが俺に声を掛けてくれたってわけ」

「流石の人脈だなー」

「あと俺、猫好きだしな」

 

 

 そんな俺にとってここは天職だぜー、と楽しそうに話す大河。この後注文を取ってもらい、一旦大河は厨房に戻ることになった。

 

 

「友希那さん、そんなにソワソワしなくても大丈夫、すぐに猫ちゃん達が来ますからね~」

「……! べ、別にソワソワなんてしてないわよ……」

「あははっ、了解っす。ではこれで俺は失礼しますね」

 

 

 ペコリと一礼して、大河は注文を持って行った。そしてほどなくして、可愛らしい鳴き声が聞こえてきた。

 

 

「にゃ~ん♪」

「!?」

「おおっ、早速来てくれましたね。ほら、おいで~」

 

 

 2匹の可愛い子猫が俺達の元に来てくれた。人に慣れているのか、しなやかな動きでヒョイっと飛び、俺達の座っている席に来た。

 

 

「にゃ~ん♪」

「あははっ、初めまして。えっと、君は……マンチカンのシロウ君っていうのか」

 

 

 俺の元に来てくれたのは、短い脚が特徴のマンチカン、シロウ君という子だった。ベージュ色の毛に灰色の目の彼を怯えさせないようにゆっくりと手を伸ばすと、甘えるように頬を擦りつけてきた。

 

 

「君は甘え上手で可愛い子だなぁ。見てください友希那さん、この子、俺の膝の上で丸まって——」

「や、山城君……」

 

 

 シロウ君可愛いでしょ~と言おうとしたのだが、友希那さんの声で遮られた。声が震えていたのでどうしたのかと思い正面を向くと……うるうるとした目で友希那さんが俺を見つめていた。

 

 

「にゃ~ん♪ にゃ~ん♪」

「友希那さん? そんなに固まってどうしたんですか?」

「か、かわっ……」

 

 

 ん? “かわ”?

 

 

「かっ……可愛いすぎる……///」

「(デレッデレじゃないか)」

 

 

 友希那さんの腕に収まっているのは、真っ黒い毛の丸々にゃーんちゃん(名札を見ると、クロちゃんと書いていた)。赤ん坊のように自分の腕の中で丸まっているクロちゃんが可愛すぎるのか、友希那さんは今まで見せたことないくらいフニャフニャな顔になっていた。

 

 

「おい、貴嗣」

「おお、大河か。注文持ってきてくれたんだな。サンキュ」

「おうよ。……なあ貴嗣、友希那さんのそっくりさん連れてきたとかじゃないよな?」

「違う違う。本物の友希那さんだよ」

「……あんなデレデレしてんのに?」

「おう。あんなデレデレしてるけど」

「人って分からないもんだなー」

「だなー」

 

 

 注文を持ってきてくれた大河との会話も、友希那さんには聞こえていないみたいだった。

 

 

「にゃにゃ♪」

「はっ……!///」

「にゃんにゃん♪」

「はうっ……!///」

 

 

 何だこの可愛い先輩は。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

「ほーら、おたべ」

「にゃ~にゃ~♪」

「ふふっ、本当にかわいいわね……///」

「猫たち、友希那さんに懐いたみたいですねー。この子達が初対面の人にここまで甘えるのはあまりないですよ~」

「そう、なのね……それはとても嬉しいわ」

 

 

 休憩に入った須賀君の言葉に、私は自分の頬が緩むのを感じた。

 

 カフェに来て約1時間、私は猫たちと沢山触れ合うことができた。甘えて来てくれる子達を撫でて、おもちゃで遊んで、餌やりをさせてもらった。そして最初に私の元に来てくれた真っ黒い毛に覆われたこの子——クロちゃんは、今私にお腹を見せてくれている。

 

 

「お腹を見せるのは信頼の証……よかったですね、友希那さん」

「ええ。信頼されるというのは、とても心地よいものね」

 

 

 お腹を撫でると、可愛く鳴いて反応してくれる。私もあなたを、あなた達を信頼しているわよ。そんな気持ちで、膝の上にいるこの子に触れる。

 

 

「山城君も、その子に懐かれたみたいね」

「そうかもですね。お腹を見せてくれてるってことは……シロウ君も俺を信頼してくれてるのかなー?」

「にゃ~♪」

「あははっ、そうかそうか。ありがとうな」

 

 

 向かいの席に座る山城君も、満面の笑みでマンチカンのシロウ君と触れ合っている。家で犬を飼っているということもあるのか、猫たちとの距離の縮め方がとても上手だった。

 

 

「友希那さん」

「ん?」

「今日はどうでした? 楽しかったですか?」

 

 

 猫を撫でながら、山城君はそう聞いてきた。私は膝の上で丸まっているクロちゃんを見て、顔を上げた。

 

 

「ええ。とても楽しかった」

「それはよかった」

 

 

 そう言う山城君は、とても嬉しそうだった。笑顔の彼を見て、ふと思った。

 

 やっぱり彼はリサとどこか似ている。身にまとっている柔らかい雰囲気や、人の喜びを喜べるところがそっくり。だからなのか——

 

 

「——あなたとは話しやすいわね」

「ん? 何か言いましたか友希那さん?」

「ふふっ。いいえ。何でもないわよ。……山城君」

「はい?」

 

 

 猫を撫でながら、山城君に言葉を掛ける。

 

 

「今日は連れて来てくれてありがとう。いい息抜きになったわ。リラックスできた分、また明日から練習に励むわ」

「どういたしまして。友希那さんが癒されたみたいで良かったです」

「次は是非Roseliaの5人で来てください。色々サービスを用意しておきますから」

「ええ。そうさせてもらうわ。須賀君も今日はありがとう」

 

 

 3人で話していると、「にゃ~~♪」と可愛らしい声が膝から聞こえた。クロちゃんが鳴きながら私の目をじっと見つめていた。あまりにも可愛すぎて、思わず表情が緩んだ。

 

 

「ふふっ、クロちゃんもありがとう。また来るから、次も沢山遊びましょうね」

「にゃにゃにゃ~♪♪」

「? どうしたの?」

 

 

 クロちゃんは私の顔に近づいてきて、そして、

 

 

「ペロッ♪」

「!?!?///」

 

 

 私の頬をペロリと舐めた。

 

 

「(だ、だめよそれは……そんな可愛いの……反則よ……///)」

「あれ、ちょ、友希那さん? 友希那さーん?」

「……きゅう」

「「オーバーヒートしちゃったじゃねえか」」

 

 

 後から聞いた話だけれど、私が意識を戻すまで数分かかったそう。その間の私は、湯気が出るんじゃないかというくらい顔を真っ赤にしていたらしい。

 

 リラックスどころじゃなかった。

 

 

 




 
 読んでいただき、ありがとうございました。友希那のお話でした。

 次回はRoselia編最後のメンバー、リサ姉のお話です。次回もよろしくお願いします。

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