Silver Lining ~ BanG Dream Story~ 作:おたか丸
前回の投稿より2週間空けてしまい申し訳ありませんでした……。
今回はリサ姉とのお話です。口調がおかしいところもあるかもしれませんが、読んでいただけると幸いです。
ある日の放課後、俺は1人でショッピングモールへ買い物に来ていた。今度クッキーを作ろうと思っていて、その材料を購入するためだ。ブースを行き来して材料をかごに入れていく。
「よし、薄力粉はゲット。あとは主役のハチミツだけど……」
蜂蜜はどこに置いているんだ? と思い周りを見渡す。今いるブースには置いていないことが分かり移動しようとした時だった。
「あれ? 貴嗣じゃん!」
後ろから声を掛けられた。その声で誰だか分かった。
「おっ、リサさん。お疲れ様です」
Roseliaのベーシストであるリサさんだった。リサさんは「ヤッホー☆」と言った後、腰まで届くふんわりとした茶髪を揺らしてこちらに来た。
「こんなところで会うなんて奇遇だね。買い物?」
「はい。クッキーの材料を買いに来たんです。あとハチミツが欲しいんですけど、どこにあるのかなーって探してたところです」
「そうなんだ! ハチミツならアタシどこに置いてるか知ってるよ。ほら、案内するからついてきて」
リサさんはそう言うと、元気よく歩き始めた。
「ありがとうございます」と伝えてリサさんについていくと、2つ隣のブースに到着した。
「はい、とうちゃーく♪ ここだよー」
「ありがとうございます。……わーお、色んな種類のハチミツが置かれてますね」
リサさんが教えてくれた場所には、たくさんのハチミツが置かれていた。
「うーん、どれを選べばいいのか……」
「クッキー作るんだよね? それだったらこれとこれがおススメかなー」
そう言って、リサさんはサッと棚から2つ商品を手に取って、俺に見せてくれた。折角おススメを教えてくれたのだし、この2つのどちらかにしよう。
「右の方は美味しいのにすっごく安くてコスパが良いんだ! 左の方はちょーっと高いんだけど、味がすごくまろやか! さあ、どっちにする?」
「そうですねー、それじゃあ……」
これにします、と言って、左のハチミツを選んだ。確かに値段は高いが、今回クッキーを作る目的のことを考えれば、こちらの方が良いだろう。
「おっ、いいチョイスだね~♪ これホント美味しいから、良いクッキーが作れると思うよ☆」
「はい。選んでくれてありがとうございます」
「うん、どういたしまして!」
リサさんから商品を受け取って、かごに入れる。するとリサさんは「そういえば……」と聞いてきた。
「貴嗣ってこの後予定ある?」
「いえ、別に予定はないですよ。買い物したらゆっくり帰ろうかなーって思ってましたけど、どうかしましたか?」
「この前の練習でさ、貴嗣抹茶クッキー差し入れで持ってきてくれたでしょ? あれの作り方、教えてほしいんだ」
つい最近料理アプリを見ていたところ、おススメで抹茶クッキーのレシピが表示された。それを見てリサさんは「今度抹茶クッキー作ってみよう! 上手く出来たらRoseliaの皆にもあげようっと!」と思い立ったそう。
「でもアタシ、抹茶クッキー作ったことないんだ。それで経験者の貴嗣に、コツとか注意点とか色々教えてほしいんだけど……いいかな?」
「もちろんですよ。それじゃあ上の階のス〇バに行きませんか? ちょうど新作出ましたし」
「あっ、それいい! うんうん、行こう! ありがとうね、貴嗣!」
俺の提案に、リサさんは嬉しそうに頷いた。
◇◆◇◆
スーパーで買い物を終えて、俺はリサさんとスタ〇に来ていた。新商品のスムージーを買ってから、奥の方の2人席に座った。荷物を足元のかごに置かせてもらって一息ついていると、リサさんが話しかけてきた。
「そういえばさ、どうしてハチミツ入りクッキーを作ろうとしてるの? シンプルに趣味?」
「趣味もありますけど、今回はちゃんと目的があるんです。リサさんみたいに、バンドメンバーに差し入れをしたいなーって思っているんです」
「そうなんだ! さっすが貴嗣、優しいリーダーだねぇ。他のメンバーもすごく喜ぶと思うよ♪ ……けどなんで差し入れ? 何か記念日的な?」
「ああ、そうではないんです。ただその……皆にありがとうを伝えたくて」
「ありがとう……?」
首を傾げているリサさんに、俺は説明する。
「この間のコンテスト事前審査で、改めて自分はバンドメンバーに支えられてるんだなーって実感したんです。素敵な舞台に立ててしかも合格できた……こんな素晴らしい経験が出来たのは、大河に穂乃花、花蓮が傍で俺を支えてくれたからなんだって」
そう。今回クッキーを作るのは、いつも俺を支えてくれているバンドメンバーに感謝を伝えるため。いつも俺を支えてくれてありがとう、これからもよろしく。1次審査が終わった今、改めて皆に感謝の気持ちを伝えたいと思った。
「うんうん。アタシ、貴嗣のそういう気持ち、すっごく良いと思う! なんだか尊敬するなぁ~。クッキー作るの頑張ってね!」
「あははっ、ありがとうございます。……それじゃあ俺の話はここまでとして、抹茶クッキーの作り方、注意点やコツも含めて伝授しましょうか」
「はーい! お願いします♪」
リサさんの明るい声で答えながら、スマホのメモアプリを開いた。
*
30分後。
「——それで180℃のオーブンで15分くらい焼くんですけど、これが結構焦げやすいんです。焦げちゃうと抹茶の風味がダメになってしまうので、『あっ、焦げそう……!』って時は途中からアルミホイルを被せるといいですよ」
「ふむふむ、なるほど~! 焦げやすいから注意、だね」
俺が話す注意点だったりコツだったりを、リサさんはスマホにメモをしている。丁寧にまとめているところがリサさんらしい。
「とまあ、こんなものですかねー。あとはレシピ通りに作っていけば大丈夫です」
「オッケー☆ う~ん、やっぱり作り慣れてる人の意見はすごく参考になるよ。ありがとね、貴嗣♪」
「いえいえ。リサさんの助けになれたなら嬉しいです。リサさんお菓子作り上手だし、今回も絶対上手く作れますよ」
「あははっ、皆の為に頑張って作っちゃうよ~☆ そうだ、美味しく作れたら連絡するからさ、貴嗣にも食べてもらいたいな」
リサさんの言葉に、俺は少し驚いた。
「いいんですか? Roseliaの皆さんの為のクッキーじゃ?」
「まあそれはそうだけど……ほら、今日色々教えてくれたでしょ? それのお礼がしたいんだ」
リサさんはバンドメンバーだけではなく色んな人達から慕われている。こうやって感謝の気持ちを伝えるところが、皆から好かれる理由なのだろう。自分としては何も特別なことはしていないつもりなのだが、リサさんの言葉を聞いて、とても嬉しくなった。
「そういうことなら……ぜひお願いします」
「うんっ! 楽しみにしててね☆」
リサさんのクッキーが食べられるなんて、楽しみすぎる。そんなことを考えながら新商品のスムージーを味わっていると、先にストローから口を外したリサさんがこちらの顔を覗き込んでいることに気付いた。
「リサさん、俺の顔に何か付いてますか?」
「あっ、ううん、そういうことじゃくてね……」
「?」
首を傾げる俺に、リサさんは言った。
「今の貴嗣、何だか練習の時よりも表情が柔らかいなーって」
「表情が……柔らかい?」
「うん。これ、アタシの気のせいかもだけど、練習の時の貴嗣って、ものすごーく真面目な表情してるんだ。一切気を緩めないって言うか、隙が無いって言うか……とにかく緊張してるような印象が、アタシの中にはあるんだ」
けど、と言って、リサさんは話を続ける。
「今の貴嗣はそんな感じじゃないんだ。リラックスしてるように見える。貴嗣って結構キリッとしてるようなイメージがあったんだけど、こんな柔らかい表情もするんだなーって」
「……」
「あっ、その、貴嗣ってよく笑ってくれるし、ずっと固い表情って訳じゃないよ! でもこう、何気ない場面でこんな優しい表情見るの、アタシ初めてでさ……変なこと言ってごめんね?」
「いえいえ、大丈夫ですよ。でもそうだな……リサさんの言うこと、あながち間違っていないかもしれないです」
「えっ? そうなの?」
リサさんの話には心当たりがあった。というのも、この1カ月間の間——Roseliaの皆さんと合同練習をしていた期間は、コンテストの事前審査のことで頭が一杯だった。
自分は他のメンバーと違う。大河や穂乃花、花蓮のように、音楽や楽器に対する才能というものがない。俺が皆の足を引っ張ってはいけない、自分についてきてくれる皆の期待を裏切ることはできない——練習中は常にそう考えていたし、自分に厳しくするという意味でも、皆の前で気を緩めることはなかった。
いいや、違う。
「なかった」というより、「できなかった」の方が正しいのかもしれない。
「リサさんの言う通り、最近の練習ではずーっと緊張していたのかもしれません。審査でよい結果を出せるだろうか? って思っていたところもありますけど……本当に自分はメンバーの期待に応えられるのか……凄く不安でした」
そりゃあそんなことを考えていたら、練習中は表情が固くなってしまうはずだ。そんなことにも気付けないなんて……今後はもっと自分を客観的に見つめるよう気を付けないと。皆を心配させては元も子もない。
「そっか。貴嗣も実は不安だったんだね。……『皆の為に頑張りたい』っていう貴嗣の気持ち、アタシは凄く分かる」
リサさんは共感を示してくれた。それだけでとても嬉しくなった。
「でもアタシ的には、貴嗣はちょっと自分に厳しすぎかな? 皆の為に頑張ろうって思う気持ちは分かるけど、ストイックすぎるのも良くないよ。今のリラックスしてる貴嗣の方がアタシは好きだし、皆も好きだと思う」
「……はい。そうですね。力を抜くというのは昔からどうも苦手で……」
不器用ですよね、と言うと、リサさんはそんなことないよ、と答えてくれた。
「ねえ貴嗣、もうこの後予定は無いって言ってたよね? だったらさ、折角だしもう少しここで遊んでいこうよ」
「えっ、いいんですか?」
「もちろん! 遊べば貴嗣も息抜きできるだろうし、アタシももっと貴嗣とお話ししたいんだ」
ただ不器用な俺のことを考えて、リサさんはもう少し遊ぼうと提案してくれた。リサさんはこちらのペースに合わせてくれるので、とても話しやすいし気持ちが落ち着く。
だから俺も同じ。リサさんともっと話をしたい。
「それじゃあ……お願いします」
「うんっ! アタシにまかせといて~☆」
胸の前でグッとガッツポーズをするリサさんを見て、俺も自然と笑顔になった。
◇◆◇◆
数分後、〇タバを後にした俺達は、別の階のアパレルショップに来ていた。お互い冬物のアイテムが見たいということで、すぐに移動先が一致した。
だが1つ予想外だったことがあって、
「ねえ貴嗣、この紺ニットはどうかな? さっきの白Tをチラ見せしたら着こなし感UPだと思うんだー♪」
「あっ、このベージュのチノパンもいいなぁ! 貴嗣がこんなワイドシルエットのチノパン着てるの見てみたいかも☆」
「テーラードジャケットも外せないよね~♪ メンズなら必需品的な? 色は黒、グレーに……わっ、ワインレッドとかもあるんだ! 派手な色だけど組み合わせが楽しそう♪」
リサさんがコーデを選んでくれているのだが、相当ファッションが好きなのか、テンションMaxで次から次へと俺に服を持ってきてくれるのだ。冬物だから生地が分厚かったり発熱素材が入っていたり……要するに結構重い。
「わあっ、このダッフルコートも可愛い~! 白とか貴嗣に似合いそう! ねえ貴嗣! このダッフルコートも……あっ……」
「あ、ああ……リサさん……服を持ってきてくれるのはちょー嬉しいんですけど……この量はちょっと多すぎかもです……」
両手いっぱいに服を抱えてリサさんと話す。かなりの重さになっていて若干震え声だ。色んな服を重ねすぎて正面が見えていない。
「わわっ、ご、ごめん貴嗣! アタシ楽しくなっちゃって服渡し過ぎだよね……い、いくつか戻してくるよ!」
「だ、大丈夫ですよリサさん! これくらいの重さどうってことないです……! よいしょっと……!」
「うわっ、すごい力……!」
崩れそうな体勢を支えるため、腰に力を入れて服を持ち直す。これで更衣室までは無事行けそうだ。
「よーし、それじゃあ全部試着しますよー!」
「ぜ、全部!?」
「もちのろんです! 折角リサさんが選んでくれたんですから!」
「……っ!」
その言葉に、リサさんは少し驚いているみたいだった。そんなリサさんに俺は笑いかけて、そのままゆっくりと更衣室へ向かった。
服の山を抱えてゆっくりと運んでいる姿を見られて、店員さんに「だ、大丈夫ですか……?」とガチトーンで心配されたのはまた別の話。
*
「わあっ、すっごく似合ってるよ貴嗣! 貴嗣って紗夜と同じでキレイめコーデが似合うけど、ストリートファッションもアタシ的にはありかな~♪」
「そ、そうですかね……個人的には着こなせていない感じがあるんですが……てかこのチノパンデカすぎじゃないですか……?」
リサさんに褒められたのは凄く嬉しいが、鏡に映る自分を見ると、どうにも今のコーデに慣れていない感が否めなかった。普段着るものよりワンサイズ上の白パーカーに黒ジージャン、そしてカーキ色のチノパン……所謂ストリート系に挑戦するのは今回が初めてだった。
「清楚で真面目な人がワイルドな感じのコーデをしてるのって、何だかギャップがあって良くない?」
「あー、何だか言われてみれば分かる気がしますね」
「でしょ~? 今の貴嗣がそんな感じなんだよ。全然変じゃないから、自信持って♪」
「リサさんがそう言ってくれるのなら……」
もう一度、鏡に映る自分を見つめる。
……なんだかこれはこれでアリな気がしてきた。
「次のライブはこのコーデでお願いね☆」
「ええっ……!?」
「あははっ! 焦ってる焦ってる~♪ 結構表情豊かなんだね~」
「あ、あはは……でも、それはリサさんが楽しませてくれるからですよ」
「じゃあ、貴嗣は今楽しんでくれてるってこと?」
リサさんは期待しているような声でそう聞いてきた。
もちろん、答えは決まっている。
「はい。楽しませてもらってます」
「ふふ~ん、やった☆」
リサさんは嬉しそうに笑ってくれた。この人の優しさが伝わってくる、そんな温かい笑顔だった。
「じゃあ、今度は俺の番ですね」
「ん?」
はてなマークを浮かべているリサさんに俺は言った。
「リサさんに合いそうな冬物アイテム、俺も選ばせてもらっていいですか?」
リサさんは一生懸命俺のコーデを選んでくれた。だから今度は、俺の番だ。
「うんっ! お願いするね♪」
俺の言葉に、リサさんは満面の笑みを見せてくれた。
◇◆◇◆
「リサさん、今日は色々ありがとうございました。なんだかすごくリラックスできました」
「ほんとに? ならよかった♪ アタシも貴嗣といっぱい話せて、楽しかったよ☆」
すっかり暗くなった道を、アタシは貴嗣と一緒に歩いている。家まで送ると言ってくれてよかった。外はもう真っ暗で、1人で帰るのは、やっぱり少し怖かったりする。
「貴嗣ってオバケとか全然平気な方?」
「全然平気な方ですね。ホラー映画とかホラーゲームも大丈夫ですし。リサさんは苦手なんでしたっけ?」
「あはは……恥ずかしい話だけど、アタシはそういうの大の苦手でさ……ホラー映画とかゼッタイ無理! って感じだよ~」
「ふむ……実はさっき通った曲がり角から女の子の霊がついてきて——」
えっ……?
「……冗談です」
「えっ、冗談!? もう、ひどいよ貴嗣~!」
「あははっ、ごめんなさいリサさん、謝りますからそんな叩かないでください」
「もうーっ!」
両手で落ち着いてーのジェスチャーをする貴嗣。でもそんなの関係ないよ、これはアタシを怖がらせたバツだよ。
でもちょっと意外。
貴嗣も冗談を言ったり、人をからかったりするんだ。
「(最初出会った時のイメージからは想像できないな~、なんて)」
真面目そうな子というのが第一印象だった。Silver Liningのリーダーを務めている彼は、それに相応しい振る舞いを見せていた。貴嗣はとても真面目で真剣、でもメンバーへの気遣いも忘れない、理想的なリーダーだった。少なくとも合同練習中、アタシの目にはそう映っていた。
それと同時に、とてもメンタルが強い子だなとも思った。彼は常に周りを、メンバーのことを気に掛けていた。そうやって自分以外の人のことをずっと考えられる貴嗣に、アタシは内心憧れていた。
「アタシさ」
「ん?」
「今日貴嗣と話せてよかったなーって思うんだ。貴嗣の色々な一面が知れて、なんだか嬉しかった」
今日偶然ショッピングモールで出会い、貴嗣と話すことができた。練習中ではない貴嗣は、素顔をアタシに見せてくれた。リーダーとしてしっかりできているだろうか? メンバーの期待に応えられているだろうか? それが本当はとても不安なんですと、貴嗣はアタシに教えてくれた。
そんな貴嗣の言葉を聞いてアタシは思った。
そっか。この子は真面目過ぎるんだ。皆の役に立ちたいという気持ちが強すぎて、つい疲れちゃう子なんだ。でも皆を心配させたくないから、皆の前では弱音は吐かない、疲れている様子も見せない。不安な気持ちを隠して、堂々と振舞おうとしていたんだって。
アタシが今日まで見ていた貴嗣は、皆の為に必死に頑張っているリーダーだったんだ。
「皆の為に一生懸命な貴嗣に、何かしてあげたいなーって思ったんだ。これってもしかしたらお節介かな?」
「いいえ。お節介なんかじゃないですよ。リサさんがいてくれたから、良い感じに息抜きが出来ました。本当にありがとうございます」
でも本当の貴嗣は、不安にもなるし、疲れるし、緊張もするし、弱気にもなる。確かに物凄く強いところもあるんだけど、完全無欠のスーパーヒーローとかじゃなくて、脆い部分もちゃんとある。そんな一面を見せてくれたことが、アタシは嬉しかった。
「送ってくれてありがとうね。もう家着いたよ」
「あっ、ほんとだ。知らない間にここまで来てたのか……」
「話してると時間はあっという間だよね。……ねえ、貴嗣」
アタシは少し前に出て、貴嗣と向き合う。
「皆の為に頑張ろうっていう気持ち、アタシはすっごく分かる。でも時には休憩して欲しいな。話し相手が欲しかったら、アタシはいつでもオッケーだよ」
「……ありがとうございます。もし疲れた時は……お願いします」
貴嗣はニコッと笑ってくれた。普段の真面目さから想像できないような、でも優しい貴嗣らしい、ふんわりとした笑顔だった。
「はい、よろしい♪ じゃあそんな素直な貴嗣には……はい、これ! 貴嗣、キャッチして!」
「うおっと……! あっ、あったかい……これって……」
貴嗣は首を傾げながら言った。
「缶コーヒー?」
「そう! 貴嗣が好きなコーヒー! おねーさんからのプレゼントだよ☆」
モールを出る前にこっそり買っておいた、貴嗣がいつも買っているホットコーヒー。今日はありがとうという、アタシからのささやかな気持ち。
「ふふっ、お気遣いありがとうございます。それじゃあ、また今度の練習で」
「うんっ! また今度の練習でね!」
ペコリと礼をして、貴嗣はアタシの家の前を後にした。
街灯に照らされた大きな道を進む貴嗣の足取りは、心なしか軽やかだった。
読んでいただき、ありがとうございました。リサ姉のお話でした。
亀更新になってしまい申し訳ないです。10月はかなり忙しいので、次の更新は2週間後になるかもしれません……10月中には更新できるように頑張ります。次回でRoselia編は終了、次の章に入っていく予定です。
それでは次回もよろしくお願いします。
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