私が貴女を守るから……(本編完結)   作:タク-F

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手痛いダメージを負ったのは装者のみては無かった。しかし……呪いの魔剣を無力化する賢者の石の力は……恐ろしい程に強力だった。


次なる1手と……超えるべき壁

 ラピス・フィロソフィカスによるイグナイトギアの無効化……それは【S.O.N.G】の戦士達に少なくない動揺を与えていた。

 

「やはりこの事態に至ったか。予想通りと言えばその限りだが……手痛いダメージを負ったな?」

 

「賢者の石って……ヤバいね。ネフシュタンの力が無かったらあっという間に動け無かったよ」

 

「イグナイトのコーティングがいともたやすく剥がされるとは……。これが嘗てキャロルの告げていた弱点なのよね?」

 

「決戦仕様が逆にこっちの泣き所になるとはな……」

 

「サンジェルマンさんの表情が……なんであんなにも悲しそうなんだろう……」

 

 4人それぞれに思うところが存在したが、答えを告げる者は存在しない。しかし現状は好転し得る要素が存在した。

 

「嘗て話したイグナイトの弱点とはまさに()()()()()()()()()()()()()()だ。アレは呪いの魔剣であるダイン=スレイヴを浄化する力が存在する。そしてその力を失った状況でギアのバックファイアが発生した。これがあの戦闘の全てだ」

 

「キャロルは識っていたんだよね? ()()()()()()その弱点を残していた。それには複数の理由があると見ているけど……違うかな?」

 

「弱点を……放置する理由? お姉ちゃん……私にはちんぷんかんぷんだよ?」

 

「あ〜……あたしにも弱点を放置する理由がわからねぇ。そんなもんがわかっているならあたし達は克服する努力を怠る程抜けてる自覚は無いんだけどな?」

 

 鏡香以外の3人はキャロルが理由を秘匿した事そのものが疑問だった。しかし鏡香はその理由を推測混じりに語り出した。

 

「なら私の解釈込みで言ってみるけど……答え合わせはお願いしても良いよね?」

 

「無論だ。存分に語ってくれるな?」

 

「お言葉に甘えて。それじゃあ1つ目だけど、()()()()()()()を待ったでしょ? イグナイトの対抗手段を錬金術師達に確立させる為にね?」

 

「そうだな。奴等がラピスを完成させる事を確かに待っていた。イグナイトの攻略法があると……()()()()()()()にな?」

 

「思い……込ませる? その理由は……何故?」

 

 翼は鏡香が語った1つ目の理由を尚更意味不明という表情で聞き返す。しかし鏡香は構わずに理由を述べる。

 

「そこで2つ目の理由だと思うよ? だってキャロルは……深淵の竜宮にレイアさんを遣わせた。あの時に()()()()()()()()()()を回収させていたけど……それが必要なんでしょ? イグナイトのさらなる改修の為にね?」

 

「流石鏡香だ! オレが弱点をいつまでも放置しないと信じてくれているから今回は伝える事が無かったが……それでも理解しているとは嬉しい限りだ!」

 

「だが……肝心の改修方法をあたし達は知らねぇ。その為にどうすれば良いのかを……教えて欲しい」

 

 クリスの頼みと他の2人の意見は同じだ。しかしキャロルは動じる事無くその答えを告げる。

 

「響から錬成された結晶を愚者の石と仮称するが、愚者の石は賢者の石と()()()()()()が存在する。賢者の石は叡智の結晶だが……愚者の石は()()()()()()だ。イグナイトの呪いを剥がす性質に相反する性質がジャミングをする事で呪いを維持する事ができるのさ……」

 

「つまり……どういう事?」

 

「賢者の石がイグナイトを無力化できるのは、呪いが人類にとっての悪だから。だけど愚者の石は人類そのものだから、無力化する理由が無いの。だって()()()()()()が機能してないんだからね?」  

 

 鏡香は自身の推論混じりとはいえその説明をしたが、キャロルはその推論を否定しなかった。

 

「まぁ……愚者の石を組み込む事自体は容易い事だ。しかし戦力の関係上順次ローテーションで行うかな?」

 

「わかっているよ。ひとまずはイグナイトは禁止。この際ダイン=スレイヴはキャロルに預けて行くよ? 邪魔にしかならないからね?」

 

「済まないな……。だが返還する時には勝利を約束しよう!」

 

「まぁ……打開できるなら文句はねぇよ。じゃあ任せるからな?」

 

 4人の装者は躊躇い無くダイン=スレイヴをキャロルへと託した。そしてキャロルもその期待に応える事を約束した。

 

「それじゃあ私達やマリアさん達もイグナイトを回収しないとね。ひとまず私から3人に話すから響達は無理をしないでね?」

 

 そうして鏡香はマリア達【F.I.S】の装者達にもイグナイトの改修の為に使用中止を通達した。これにマリア達は驚いたものの直ぐに事態を受け入れた。

 

『了解したわ。ひとまず前線はイグナイト無しでガリィ達との連携で当座は凌ぐとしましょう……』

 

「キャロルが打開できると断言していますからね。私達は私達にできる事をしていきましょう!」

 

『それなら僕達がその穴を埋めますよ? 元々そのつもりでいましたから……』

 

「助かるよ勇。それじゃあアルカ・ノイズは受け持つから大幹部達は任せたよ?」

 

 続いて来訪者達も前線の維持に助力を宣言した。これでひとまずの安定は得られるが……

 

「次に何をされるのかわからないのはあまり嬉しく無いかもね……」

 

 鏡香は一抹の不安を抱えて過ごす事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 結社本部に於いて……アダムはサンジェルマンに糾弾されていた。

 

局長! 何故前線に出て来られたのですか! 私達を巻き込む程の規模で黄金錬成を行う理由がどこにあるというのですか! 

 

「済まなかったね……さっきのは。仕方が無かったのさ……退屈でね」

 

 糾弾されて尚も悪びれないアダムにサンジェルマンは怒りを通り越して呆れていた。そんな彼女を知ってか知らずか……アダムは言葉を続ける。

 

「任せようじゃあないか……シンフォギアは。見えているんだろう……勝算がね?」

 

「…………確かにイグナイトを打倒する手立ては完成したと言えるでしょう。しかし……問題は彼等の存在です!」

 

「見てきたよ……彼等をね。潰そうじゃないか……脅威をね!」

 

 無能と呼ばれた結社の統制局長は勇を敵として見据えていた。そしてその伴侶たるシェム・ハとの因縁もまた……彼の中では精算するに足る事象と言えた。

 

「次は無いよ……君達にね。本気を出そうか……こうなったらね……」

 

 アダムの矛先である勇達との戦いがこの事変を加速させるのは言うまでもない事だろう……

 

 

 




これがキャロルの掌の上だと……大幹部達はまだ知りません。そして最初からイグナイト無しで戦う事を了承した装者達はダイン=スレイヴをあっさりと引き渡せます!


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鏡香ちゃんのメインヒロイン(恋人)誰にしよう……

  • キャロル
  • クリス
  • マリア
  • きりしら
  • 未来
  • パヴァリア
  • シェム・ハ
  • 緒川さん
  • 弦十郎司令
  • あおいさん
  • 藤崇さん
  • エルフナイン
  • ノブレ
  • 自動人形

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