世間では響達4人が月の欠片を破壊してから2週間が経過していた。
「はい響! あ〜ん……」
「もう! 鏡香さんダメですよ! 今度は私の番なんですから!」
「うえええ!!! ちょっと待ってよ2人共! 私は昔みたいに仲良くして欲しいだけなんだよ!」
「諦めなさい響……鏡香はそう簡単に退かないでしょう?」
「それに……コイツもすっかりあたし達の連れになっただろ? もう民間協力者という立場どころか非戦闘員と遜色ねぇレベルだし……」
「そうだな雪音。確かに小日向は芯が強い。私達をも上回るかもしれない程に……な?」
「も〜! 翼さんったら褒めすぎですよ〜!」
正史では二課が情報規制期間限定で装者達を軟禁していた。しかし……この世界では未来も同様に軟禁されていた。
「今回のフィーネが起こした一連の事変をルナ・アタックと呼称する事になったわ。恐らく後1〜2週間で解除されると思うわよ?」
「そうすれば君達の活動も再開できるぞ? とは言っても……立花姉妹は二課に所属したままになるとは思うけどね?」
「逆に給料の支払いが発生しますので、正式な書類を作成しておきました。遡って響さんの場合はガングニールを顕現させた4月からの給料となります……」
軟禁生活の間に二課へ正式に所属する事になった響・クリス・未来だが、ここで響が口を挟んでしまった。
「あれ? お姉ちゃんは良いの?」
「あぁ……鏡香さんは元々民間協力者なので、別の手続きが必要ですから。とはいえ響さんと大差は無いのでご安心ください……」
「鏡香さんの無茶は響以上だもんね……」
「アイツ……組織所属のガラか?」
「言うねぇクリス。まぁ……私自身も確かに自由な方が性に合っているとは思うけどね?」
軽口を叩きながらも鏡香は書類に署名と捺印を済ませた。
「それじゃあクリス……あの話を聞かせてね?」
「わかってるよ。そんじゃ全員の書類が終わったらな……」
そうして関係者の書類への記入が終了するまで1時間が経過した。
「そんじゃあ話すぜ? あたしが帰国してから……このバカに会うまでの日々をな……」
全ての書類への記入が終了した後、新設された本部ではクリスのへの聞き取りが開始された。
「空港で待ち構えていたのがフィーネだった。お前達も黒服連中を見た事あるだろ? 当時はあんな感じの服装をしてあたしを引き取りに来たんだ……」
「なるほどな。確かに当時は了子君の所在自体を大して問題視していなかったな。故に黒服スタッフに紛れ込んでいたのか……」
「そして連れて行かれたのがオッサンの知る館だよ。あたしはあそこで2年を過ごす事になるとは思えなかったけどな……」
「フィーネの館……か。司令……ちょっとその辺りの解説をお願いして貰えますか?」
「そうだな。クリス君の知らない事がある可能性も捨てきれまい?」
弦十郎は促されるままにフィーネの館を捜査した時の話を始めた。しかし……クリスの反応はそこまで変化してはいなかった。
「あ〜……あたしが近づけなかったのは多分表向きのフロアだな。それ以外はオッサンの話した内容は大体把握してたわ……」
「了子さん……そんな頃から……」
「響は覚えていないかもしれないが、あの時のフィーネはこう言っていたぞ?
〈櫻井了子の肉体は先立って食いつくされた。精神も十年程前に……〉
とな。そうなればこの資料の時系列で活動していたとしても不思議では無いだろう?」
「確かにね。それほど前から周到な準備をしていたらあのカ・ディンギルも完成するよね……」
「そういえば鏡香に聞きたい事があってな……」
翼はあの質問を鏡香へと投げかけた。
「カ・ディンギルは1度目の砲撃の後……2撃目を発射できずに崩れていたらしい。心当たりはあるか?」
あの時翼は響の暴走を抑え込む事に成功したが、同時にそこで力尽きていた。そして響はカ・ディンギルの崩壊を見たものの、フィーネとの戦闘中故に原因を知る事は出来無かったのだ。
「それ……ね。あの時エレベーターシャフトが落とされていたの。多分フィーネが足止めか……偽装の必要が無くなったか……そんな理由で落としたんだと思う……」
「あぁ……俺が了子君でもシャフトは落としただろうな。だが……鏡香君は二課の通路以外にどうやって外に出たんだ?」
「あ〜…………実は……カ・ディンギルを……少しずつネフシュタンで……砕いて……足場にして……」
『は………………? 』
本部の空気が完全に凍った。
「いやその……カ・ディンギルの一部をエレクライトで砕く→ネフシュタン蛇腹剣を砕いた場所に刺す→上を目指す……そんな感じで繰り返して地道にコツコツと……」
「……………………あ〜…………」
「藤尭……どうして溜息を?」
「鏡香さんのエレクライトの出力が高いのは司令もご存知ですよね? 想像してみてください。鏡香さんの剣で内側が穴だらけになった砲身が、高出力のエネルギーにどれほど耐えられると思いますか?」
「あたし……絶唱の使用中にイチイバルが砕けてた……ぞ?」
クリスは実体験を元にカ・ディンギルのエネルギーがどれほどの規模のものかを説明した。実際にカ・ディンギルと張り合ったのはクリスだけしかいないのだ。
「カ・ディンギルを一時でも押し留めたクリス君のギアでさえ自身の出力に耐えられ無かった。そしてそんな砲撃を放つ砲身がボロボロなら……自壊は避けられ無い……という事だったのか。つまりはクリス君は本当に地球を救っていたのだな!」
「うん! ありがとうクリス。クリスが身体を張ったからカ・ディンギルは止められた。だから間違い無くクリスは地球を救ってたんだよ?」
「……やめろよ……恥ずかしいだろ……」
「話が脱線しましたが今はクリスの2年間の話の途中ですよ?」
クリスは下を向いて赤面させていた。しかし……クリスは話の続きをしなければならなかった。
「あ……ああ。あたしはその後ソロモンの杖を半年かけて起動して……ライブ会場で使うように指示されたんだ……」
「じゃあ……あの……ノイズは……クリスちゃんが……」
「響を傷つけて奏さんの命を奪ったのは……クリスだったんだね……」
「すまねぇ……すまねぇ……あたしは……なんて事を……」
ポンッ!
しかし……クリスの頭に弦十郎の手が置かれた。そして鏡香達もまた……クリスに憎しみをぶつけようとする表面では無かった。
「結論から言えばクリス君に罪は問えないだろうな。理由はわかるだろう? 殺人教唆……それも超常の力を用いた……な?」
「家族を失って帰国して……その先で拉致監禁を受け、所要で連れ出された先でノイズを使役させられただけですからね。叔父様の言う事は良くわかります……」
翼でさえも……クリスの想像程憎んではいなかった。
「なんで……責めないんだ?」
「奏の命を間接的に奪ったのは雪音かもしれないが、雪音はそれ以前に命を握られていたんだ。選択の余地が無かった雪音を責める権利を私は持っていないさ……」
「だけどクリスがどうしても許せないと言うなら……」
鏡香はクリスを抱き寄せて頭を撫でた。
「あっ! クリスちゃんず「やめなさい響」むがぁ!」
翼は響を拘束すると口を塞いだ。そして鏡香がやろうとしてる事を後押しした。
「ありがとう翼。流石私の親友だね。それじゃあクリス……私達はクリスを全く恨まない訳じゃあ無いけど……クリスが自分を罰し続ける必要も無いと思ってる。だから……泣いても……良いんだよ?」
そう語りかけてクリスの頭を撫でると……心のダムが決壊を始めた。
「う……うぅ……うわあぁぁぁぁん!!! きょうあぁ!! ごめんなさあぁぁい!! ごめんなさあぁぁい!! 」
そして本部のスタッフも……クリスの事を誰1人として責めようと思う人間はいなかった。
「翼さん良いなぁ……あんなに響に密着して……」
しかし……
響と過度な密着をすれば〈公式の嫁〉こと393が暴れることでしょう。この日から翼さんすらも目の敵に……あれ?G編が偉い事に……
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鏡香ちゃんのメインヒロイン(恋人)誰にしよう……
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キャロル
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クリス
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響
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翼
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マリア
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きりしら
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未来
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パヴァリア
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シェム・ハ
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緒川さん
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弦十郎司令
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あおいさん
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藤崇さん
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エルフナイン
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ノブレ
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自動人形