私が貴女を守るから……(本編完結)   作:タク-F

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仲間を傷つけられ……捕らえられたマリア達、妹の左腕を食い千切られた二課の装者達、それぞれが互いへ向けてその怒りを爆発させる……


怒りの爆発

「お前は……死ねよ……」

 

 鏡香はそう呟くとネフェリムへと距離を詰める。

 

ハアァァァァァ!!! 

 

ドライリングシュヴェルト! 

 

「左腕は貰った! 次は右脚!」

 

NIRVANA GEDON! 

 

「ゴアァァアァァ!!」

 

 初撃で左腕を、追撃で右脚を失ったネフェリムは身体のバランスを維持できずに転倒した。しかし……それで鏡香の追撃は終わる事は無い。

 

「左脚! 右腕! そして何よりもその頭アァァ!!」

 

 怒りを抱きながらも正確にネフェリムの四肢を……そして頭部を分断した鏡香だが、その四肢はそれぞれが惹かれ合うように互いの距離を僅かずつ詰めようとしていた。

 

「あぁ……そっか……お前は生物型の聖遺物だよね? ならしかたないよね? なら肉片を残らず滅するしか無いか……」

 

 鏡香は拳にエネルギーを貯めると引き千切った左腕へと放ち消滅させた。

 

「ひぃ……僕の……ネフェリムが……」

 

「次……右脚…………」

 

 更に近い順に転がるネフェリムの右脚を踏み潰した鏡香は残る右腕と左脚にも注目した。当然だが再生を始めようとしたのを確認した時点で頭部は蛇腹剣が上から刺されて口を開けることすらままならない状態となっていた。

 

お前が! 響の! 左腕を! 喰い! 千切った! 私は! お前を! 許さない! 絶対に! お前を! 許さない! 

 

 執拗なまでに右拳を振り下ろしていた鏡香はネフェリムの返り血で紅く汚れていた。いや……その拳のプロテクターに罅が僅かに入っており、そこから血が滲んでいたことすら確認出来た。

 

「あぁ……僕の……僕のネフェリムが……こんなにも……無惨に……」

 

あ? そんな事で終わる訳無いから……肉片残さずに破壊してやるから……

 

 蛇腹剣を引き抜いた鏡香はネフシュタンの加護で傷の修復と同時に身体への激痛が走る。しかし……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ちょっとまっててね響。今お姉ちゃんが報いておくから……」

 

落ち着け鏡香! 響はそんな事望んでねぇよ! 

 

冷静になれ! お前が落ち着かねば響は誰が守るんだ! 

 

 翼とクリスも必死にモニター越しに鏡香へと呼びかけた。しかし……僅かに動きが止まったのみだった。

 

 

 


 

 

 

 鏡香の様子はマリアと切歌の目にも触れる事となる。

 

「マリア……あたし……アイツが……」

 

「…………無理をしないで。切歌まで倒れたら……私達はどうする事も出来ないわ……」

 

(今フロンティアを制御できるネフェリムを失う訳には……でもどうやってあの化け物を!)

 

 マリアは先日の戦いで翼と鏡香を相手に大立ちまわりを果たしたが、今の鏡香はその状態でも勝てないと悟れる程の怒りを顕にしていた。

 

「せめて神獣鏡が起動できれば……神獣鏡……そうよ! 神獣鏡よ! 

 

「マリア……どうしたんデスか……何だか……怖いデスよ……」

 

 切歌はマリアの様子が徐々におかしくなりつつある事に気付いていた。きっかけはこの直前に米軍の工作員をマリアが殺害したと聞かされた時からだ。

 

私達は世界を救う義務があるの。ここで倒れる訳にはいかないの! マムと調を救いだして! 世界を救わないといけないの! 

 

 マリアはそう告げるとモニタールームを後にして神獣鏡の保管場所へと向かう。そしてウェルの準備していた資料の閲覧を始めた。

 

「リディアンの生徒は聖遺物との適合する素質を秘めた者達ばかり。なら……この力に適合する人物だって……」

 

 機械的な増幅では解けなかったフロンティアへの道筋…それを【()()()()()()()()()()扱わせれば封印は解ける】……ウェルは確信したが為に切歌の持ち帰ったリディアンの資料に該当者がいないかを探し始めた。

 

「いえ……そもそも〈Linker〉を使えば事足りるじゃない……。そうね……彼女達にも私達の気持ちを味わって貰わないと……いけないわよね?」

 

 マリアが手に持つ資料には……小日向 未来の名前と写真が写っていた。

 

マリア! 落ち着くデス! マムも調も悪いようにはされて無かったデス! あたし……この眼で見てきたデス! 

 

「ちょうど良いわ切歌……()()()()()()()()()()()()わよ? 二課の協力者……彼女を捕えるわ。向こうだって調やマムを人質にしたのだから問題無い筈よ?」

 

「マリア……そんな事……調もマムも望んで無いデスよぉ……。フィーネも調の中にいるデス……だから……」

 

「機会があれは直ぐに捕らえてね? じゃないと……月の落下まで時間が無いのよ?」

 

 マリアはそう告げるとコントロールルームへと戻って行った。

 

「なんで……なんでこんなにもバラバラになるのデスか……。あたし……達は……どこで間違ってしまったのデスか……」

 

 切歌はその場に崩れ落ちると……泣き崩れてしまった。

 

 

 

 


 

 

 

 

「ハァッ! ハァッ! ハァッ……後……少し……心臓を……潰せば……どんな……生物でも……」

 

 鏡香は残るネフェリムの心臓を砕こうと脚を進めた。しかし……その動きを阻む者がいた。

 

「やめてよ……お姉ちゃん。私……そんな事……望んで無いよぅ……了子さんと戦うお姉ちゃん……凄く怖かった。私の為に怒ってたけど……凄く怖かった……」

 

「響……ごめん。私は……アイツが……許せない……そこを……どいて……」

 

「行かせないよ。私の大好きなお姉ちゃんに……そんな顔をして欲しく無いから……」

 

 響は隻腕で鏡香の前に立つとその両手を広げていた。

 

「もうすぐ……終わるから……」

 

 俯いたまま通り抜けようとした鏡香は……響に肩を掴まれて……足を払われた。

 

「あれ……? なんで……力が……?」

 

 地に押し倒された鏡香は()()()()()()()()

 

「ごめんねお姉ちゃん……私……そんなお姉ちゃんの事……見たく無いの……」

 

「ひ……び……き?」

 

 そして響も……鏡香も……互いに涙目だった。

 

クソっ! クソっクソっクソオォォォォォォ!! 僕は英雄なんだ! お前達なんかぁ! 

 

 ウェルがソロモンの杖に手を掛けようとした時……翼とクリスが辿り着いた。

 

「止めておけ。そして今すぐここから立ち去れ……」

 

「今なら見逃してやるよ。だけど……」

 

うあぁァァァァ!! 

 

 ウェルは残されたネフェリムの心臓を抱えると一目散にこの場を後にした。そして翼とクリスは……倒れている2人を回収する事に成功した。しかし…………

 

 

 


 

 

 

 

「厄介な事になったな……」

 

「どうしたんだ了子君……?」

 

「弦十郎……お前は気づかないのか? ()()()()()()()()()()()()ガングニールか……ネフシュタンか……どちらにしても融合症例としてまた侵食されたのは言うまでもないだろうな……」

 

「そんな……響……」

 

 司令室で今回の顛末を見届けていた4人は……響の様子の変化に気づいてしまった。そして……それが良くない影響であると理解してしまった。

 

「何とか……何とかならないんですか了子さん!」

 

「…………方法ならば存在する。しかし……今のままでは……」

 

「どういう事だ?」

 

 するとナスターシャが口を開いた。

 

神獣鏡ですねフィーネ……。確かにあれならば……。しかし……適合者が存在しない聖遺物では……」

 

「この際Linkerを過剰投与して一時的にでも装者と仕立てあげるしかあるまい? でなければ遅かれ早かれ……」

 

 しかし……()()()()()()()()()()()()()()

 

こうなったら……私が……

 

 未来が司令室を飛び出した事に気づくのは……それから5分後の事だった。

 




本作品ではアニメ第7話の【響ときりしらの絶唱】回は発生しません。よってその日の出来事をスキップしてスカイタワー回へと進みます。

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鏡香ちゃんのメインヒロイン(恋人)誰にしよう……

  • キャロル
  • クリス
  • マリア
  • きりしら
  • 未来
  • パヴァリア
  • シェム・ハ
  • 緒川さん
  • 弦十郎司令
  • あおいさん
  • 藤崇さん
  • エルフナイン
  • ノブレ
  • 自動人形
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