私が貴女を守るから……(本編完結)   作:タク-F

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鏡香の覚悟はどうあっても受け入れ難いモノである。


衝突

「じゃあ……お願いします……」

 

 響は2人の前で検査を受けに弦十郎に連れられて行ってしまった。

 

「「響……どうして……」」

 

 残された2人は自分の無力さを呪っていた。そして……響がこのまま遠くに行ってしまうような……そんな不安が拭えずにいた。故に鏡香は決意した。

 

「未来……私の決意を……聞いてくれる?」

 

「お姉ちゃんの……決意?」

 

 困惑する未来に対して鏡香の瞳には確かな意思があった。そして続く言葉は、めまぐるしく変化する状況に混乱する未来にとっては……それは最悪とも言える答えだった。

 

「私……響の側で支えるよ? 何があっても……()()()()()()()()……ね?」

 

ダメだよお姉ちゃん! お姉ちゃんまで危険になるよ! 

 

 未来は鏡香の左腕を掴むと……自分の身体を震わせていた。しかし……鏡香の決意は恐ろしい程に強固になっていた。

 

「どうせ私は来年まで高校生活を過ごす事すら出来ないよ? 勉強やリハビリもあるし……何よりも響が心配なの! 

 

「お姉……ちゃん……なんで……」

 

 瞳に涙を浮かべた未来の心は張り裂けそうな程の痛みに襲われた。しかし……そんな未来を包んだのもまた鏡香だった。

 

「何も今直ぐに行動する訳じゃあ無いよ? まずは私自身のリハビリを終わらせて動けるようにする。その間は2人の勉強を教えるよ。どこまで出来るかはわからないけど……」

 

 幸いにも鏡香は在学期間には、クラスで上から数えた方が早い程の成績は残していた。その為に昨年の授業範囲なら教える事は可能だっただろう。……響がそれなりの成績であれば。

 

「……弦十郎さん達にも助けて貰おう……」

 

 鏡香は決意したものの、早くも妹に対して不安を拭えずにいた。そして悶々としていた時、未来も意を決して鏡香の手を握った。

 

「未来? どうしたの?」

 

「響も……お姉ちゃんも……私を置いて行きそうな気がしたの。だから……私も決意したよ!」

 

「何を……するつもり?」

 

 初めての妹分の決意に鏡香は驚きを隠せずに聞き返してしまった。そして同時に鏡香は……()()()()()()()()を思い知る事になった。

 

()()()()()()()()()()()()()()……かな? 私……お姉ちゃんがやろうとしてる事には見当がついてるから! 

 

「ッ! ……絶対にダメ! 響は私が守る! 未来の事だって守る! 私は2人のお姉ちゃんだから! 絶対に2人を守る義務があるから! そもそも未来を巻き込んだのは私! だったらこのぐらいの責任は取らせてよ! 

 

 鏡香は自分でも驚く程激情に任せて未来を怒鳴った。しかし……それで未来を退かせる事は不可能であり、余計に彼女の意思を固める事になる。

 

巫山戯ないでよ! いくら大好きなお姉ちゃんでもそんな事は絶対に許さないから! 

 

バチイィィィン! 

 

「あぁ!」

 

 乾いた音が部屋に響き……1拍遅れて鏡香の左頬に熱と痛みが籠もり始めた。そしてそれは……事態をより大きなモノへと変えていった。

 

バチイィイィィン! 

 

「きゃあ!」

 

 鏡香も負けじと左手で未来の右頬を叩いた。当然……未来の右頬には痛みが走る事となる。

 

未来のわからず屋! 私は2人よりもお姉ちゃんなの! 響は恐怖と戦う事になるかもしれなくて! 未来は関係無かった筈なのに命を狙われるかもしれない! そんな2人を私が守ると決めて何か悪いっていうのよ! 

 

お姉ちゃんの言う()()の中にお姉ちゃんは入っているの? 私にはわかる! 絶対に入ってない! 響と私を守る為なら命さえも捨てるつもりだよね! そんなの私が認める訳無いじゃない! 大好きなお姉ちゃんがそんな危ない事をしようとしてるのに! 止めない訳にはいかないの! 

 

ゴツン! 

 

 鏡香は未来を……未来は鏡香を掴みながらお互いの想いをぶつけ合う。腕力な体格なら鏡香が有利だが、体力は現役陸上部の未来の方が軍配が上がる。何せ年上とはいえ、ほぼ1月寝ていた人間とのケンカだ。そしてお互いの頬を掴みあっていた時……当然周囲の状況等考えてはいない。故に2人とも背後から落とされた拳に気付く事は出来無かった。

 

「きゃあ!」

 

「痛い!」

 

 頭を殴られた痛みに堪えて2人が背後を振り返ると……そこには〈櫻井 了子〉が立っていた。

 

「盗み聞きをした事については謝るわ。だけどね……ここは政府でも重要な場所よ? ケンカなら他所でしてくれるかしら? 

 

「「ッ! すみませんでした! 」」

 

 了子から漏れる殺気に2人は喧嘩していた事すらも忘れて謝罪を始めた。それには了子も驚きを隠せなかった。

 

「素直な娘達なのね。良いわ……今回の事は秘密にしてあげるわ。お姉さんとの約束よ?」

 

「ッ! はい! ありがとうございます! 櫻井教授!」

 

「了子て良いわよ鏡香ちゃん♪ ()()()()()()()()()()()()()()()()……そんな気がしたからね♪」

 

 それだけ話すと了子は部屋を後にした。しかし……鏡香はふと疑問を感じた。

 

「政府の病室に出入りするような人だから政府の支援する学校にいるのはわかるけど……なんで私達の事を覚えているの? 一度しか……会って無い筈なのに……」

 

「お姉ちゃんが変に大人びてるからじゃないかな? だって明らかに中3……いや高1には見えないよ?」

 

「そうかな? それでも何か違和感を感じるんだよね……」

 

「私とのケンカでピリピリしてたからじゃないかな? 多分そのせいだよ……」

 

「そう……だよね。きっと……そうだよね?」

 

(とはいえ……夢の中でのヒビキからの忠告は……忘れないでおこう……)

 

 鏡香は未来の妹からの言葉を思い出しつつ、響の戻りを未来と2人で待つ事にした。

 




未来からすれば関係性を壊す致命的な一撃となったでしょう。しかし……ケンカした場所が悪かった。奇しくも2人は……フィーネに少なからず印象を残してしまった。この行動が……後に3人を苦しめるとしらずに……

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鏡香ちゃんのメインヒロイン(恋人)誰にしよう……

  • キャロル
  • クリス
  • マリア
  • きりしら
  • 未来
  • パヴァリア
  • シェム・ハ
  • 緒川さん
  • 弦十郎司令
  • あおいさん
  • 藤崇さん
  • エルフナイン
  • ノブレ
  • 自動人形
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