バチイィィン!
乾いた音が本部に響いた。
「いつまでもウジウジしない! 私は言った筈だよ!」
「お姉ちゃんだって急過ぎるよ! なんで今なの! 私達にだってやるべき事はあるんだよ!」
「落ち着けよ2人共……確かにいても立ってもいられねぇのはわかるけどな……」
クリスが2人の間に割って入り、翼・マリアが鏡香を羽交い締めにした。そして響は翼に支えられている。
「まさか私達の持ち帰った結晶が……」
「2人の父君の現在の所在地のデータとはな……」
嘗てロンドンでファラが投げ渡した結晶に記された情報をエルフナインが然るべき手順を以て端末に入力した結果……そこには2人の父親である【立花 洸の現在の住所】の情報が纏められていた。しかしあくまでも……
「示されたのは住所のみ。故にそこから先には……」
「本人の意思で踏み出すしか無いわね。そして2人の方針が……」
「こうも食い違うとはな……。確かに父君の件を二課の時代に叔父様が教えてくれた事があってな……」
「あたし達には踏み込めない話題だった。だけどその時から誓ったんだよ……」
翼とクリスは嘗て立花家の間に何が起こっていたのかを弦十郎によって内密に聞かされていた。いずれ2人が父親と再会できる日に支える事ができるように……と。
「鏡香は私とお父様との関係を改善するきっかけを作ってくれた。そのおかげで嘗てスカイタワーで未来が攫われた日に言葉を交わす事が出来たのだ……」
「そもそもあたしはパパとママに会う事すらできない。家族を捨ててたとは言え、一応は生きてるならまだ選択肢はあるんだよ……」
2人の話を聞いていないマリアは改めて鏡香へと断言した。
「鏡香は急ぎ過ぎているわ。どう考えても頭に血が昇っているわね。そしてその焦りの原因も想像はついているけどね……」
マリアの言う心当たり……それは【木原 由紀】と言う少女だ。その実力とエレクライトの性能を以て仲間を戦闘で守り続けた鏡香は初めて……
【勝てない】
と直感で感じる事となっていた。確かに鏡香は手の内の中でと切り札は隠していたが、由紀もまだ奥の手を隠していたのは明白だった。
「確かにな。今の鏡香はやれる事へ取り組もうとする意思こそ感じるが、それは空回りする者の眼をしている。嘗てフロンティア事変の時に行動したマリアや、奏を失った頃の私。何ならフィーネの袂を別った直後の雪音とも言えるだろうな……」
「もちろん鏡香の考えている事全てが不正解とは私達も思っていないわ。これからの戦いに備えて不安要素を事前に取り除きたい気持ちは重要だと思うから……。でもね? それでも
本部の年長者達は鏡香の焦りをよく知っている。故に無理矢理止める事は無く、あくまでも落ち着けるように説得を続けていた。
「から……まわ……り……ですか? 私……が?」
「あぁ……。鏡香は父君の所在地が判明したから会いに行こうとしたのだろう? 嘗てお父様が父君の胸中で後悔している可能性を示唆したと聞いた。ならば……手順を踏むべきだ。今の私とお父様が和解出来たのは手順を踏んだからに他ならないのでな……」
「そもそも……鏡香はパパと話し合おうとすれば機会を作る事はできるんだ。だから響の言う通り
クリスも鏡香を抱きしめ……言葉を続けた。
「あたしは……そんな鏡香を見たくねぇ……。確かに頼りがいがある鏡香は大好きだ。だけど……
その囁きは……日頃から鏡香がクリスに行う囁きとは大きく意味合いが異なるが、それでも今のクリスにできる精一杯の訴えだった。
「お姉ちゃん……私だってお父さんに会いたいよ。住んでる場所がわかってたら……
【最速で・最短で・真っ直ぐに・一直線に】
会いに行きたいよ。でも……私達だって心の整理ができていないよ? そんな時に会いに行ったら……」
響は瞳に涙を浮かべて鏡香へと語りかけた。そして鏡香は……
「あ…………あ……ぁ…………ひ……び……き………………わ……たし…………わ……た……し……」
「大丈夫だよお姉ちゃん。私達は1人じゃないから。師匠や翼さん……マリアさんが私達のお姉ちゃんみたいなものだし……。未来や切歌ちゃん……調ちゃんにクリスちゃんだって「オイコラ響! あたしは後輩達と同じ扱いかぁ!」……ね?」
「落ち着け雪音。今は話の腰を折ってやるな……」
ガルルル……
そう擬音語が聞こえそうな程クリスが犬歯を剥いて威嚇していたが、翼が静止した。そして響は言葉をつづける。
「それに……了子さんがいるんだよ! なんたって私達の中で1番頼りになるんだもん! まずは了子さんに相談しよう! そもそも……お母さんやおばあちゃんにも報告できるよ!」
「ッ! そう……だね。お母さん達にも……伝える必要が……あるよね……」
「だからお姉ちゃん!
響の言葉は……今までの鏡香にとっては衝撃的で……最も頼りになる言葉だった。
「…………ありがとうね響。私も焦ってたみたいだから……これからも私を支えてね?」
「何言ってるの! いつもお姉ちゃんに支えてもらってるのは私だもん! たまには私だってお姉ちゃんを支えるよ!」
鏡香にとっての響は……自分が守らなければならない程大きな事態に巻き込まれる存在だった。しかし……
「近くに居すぎて妹の成長を……気づけ無かったなぁ……」
その成長を実感した瞬間……鏡香には響の姿が今までの背丈よりも大きく見えていた。
鏡香の【暴走&説得回】でした!たまには鏡香が説得される側にもなります!だって少々アブナイ娘なので!
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鏡香ちゃんのメインヒロイン(恋人)誰にしよう……
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キャロル
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クリス
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響
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翼
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マリア
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きりしら
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未来
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パヴァリア
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シェム・ハ
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緒川さん
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弦十郎司令
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あおいさん
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藤崇さん
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エルフナイン
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ノブレ
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自動人形