東方万事屋録 The Fantasm of Silver soul   作:曙光

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「泣き叫べ劣等──今夜ここに、神はいない」
Dies irae ヴォルフガング・シュライバー

レミリア「泣き叫べ、ここに神はいないわ」
銀時「いやだからごめんって、勝てると思ったから全額つぎ込んだ俺も悪いってーー」
アリス「問答無用!」
銀時「ぎゃああああああああ!」




第十二訓 物語に必要なのは明確な敵

その男は、一見すると満身創痍だ。

傷だらけで今にも倒れそうな程ボロボロだった。

だが、男の眼は死んでいない。

手に持った魔槍を携え、最後の魔石を飲み込む。

眼前の敵に立ち向かう雄々しきその姿。

まさに───威風堂々。

 

「ウオォォォォッ!」

 

その姿を捉えて吠えるは魂魄妖夢。

手に持つ二刀を構え、一足のもとに銀時に詰め寄り、斬り伏せんと凶器を振るう。

 

「……」

 

その一撃を柄で受け止めた銀時は槍を回転させて流し、

加速させた石突きを妖夢の鳩尾に叩き込む。

 

「カ──────!」

 

肺に溜められた空気が一気に外に出る。

むせかえるように呼吸する隙を銀時は見逃さなかった。

 

「シイィ───!」

 

渾身の力で魔槍を薙払う。

遠心力も加わった一撃。当たれば必倒は確実。

 

「ヂィッ!!」

 

危機を察知した妖夢は二刀を持ってこれを防ぐ。

凄まじい衝撃を歯を食いしばり脚部に力を込めて踏みとどまる。

次の瞬間、槍に意識を向けた妖夢の顔に銀時は蹴りを叩き込んだ。

 

「グゥッ!」

 

衝撃で後ろに飛ぶ。再び距離が開いた。

 

「おおォォォォォッ!」

 

雄叫びを上げながら銀時は走る。

携えた槍を振り上げ妖夢に叩きつけた。

 

「ッ!」

 

防いだ。

間一髪に白楼剣をぶつけて槍を弾く。

銀時は弾かれた衝撃をそのままに、返す力で柄をぶつけるも、再び妖夢はこれを捌く。

 

線の攻撃が通じないと見るや、魔槍を諸手に握り本来の使い方で応対する。

最速最短に標的の急所を突く点の軌道。

ゼロモーションから放たれる突きの応酬。

懐に入り込もうとする妖夢を悉く制した。

 

「アアァァァァァァァァッ!」

 

ならば速度だとばかりに半人半霊の剣士は回転率を上げる。

先ほど飲み込んだ魔石で地力を高めた銀時も妖夢の速度に応えようと突きの速度を速める。

 

「はぁ───ははっ!」

 

銀時は自分でも信じられない程に昂ぶっていた。

見える。読める。感じる。

まるで未来予知のように妖夢の攻撃が解る。

 

敗ける訳には、いかねぇ!

 

レミリアが、咲夜が、幽ヶ子が、銀時に勝って欲しいと願った。

ならば己はそれに応える。

その思いが、銀時の力となって振るわれる。

 

 

 

 

 

 

 

「凄い…」

 

口にすれば陳腐だが、レミリアはそう言わざるを得なかった。

眼前に繰り広げられるのはまさに神話の闘争。

 

ただ速い。ただ力強い。ただただ雄々しかった。

究極に近づけば近づく程に評価も陳腐になるとはこの事だと実感する。

加速する双方の剣戟はまるで出来の良い芝居を観ているようだ。

 

突く、薙払う、斬り伏せる、叩きつける。

躱す、弾く、逸らす、捌く。

 

矢継ぎ早に繋がる凶器の旋律。

そこは、もはや常人が入る余地の無い狂騒曲。

たった二人で奏でられる二重奏。

 

「妖夢の速度に銀時がついていけてる…。まさか成長しているの?この局面で?」

「いえ、そうじゃないわ。"戻ってきている"と言うべきよ」

 

咲夜が呟いた言葉に幽ヶ子は否と告げる。

どういう事、と咲夜は問い返した。

 

「極限の命のやり取り───生と死の刹那に活を求める為に、本来持っていた実力を手繰り寄せたのよ」

 

打ち合う剣戟は、鋼の鍛錬を彷彿させる。

火花が散る様は、重い鎚を打ち下ろすかの如く。

赤銅の錆を剥がすように銀時の(たましい)が錬磨していく。

徐々に見え始める純度の高い鉄の輝き(つよさ)に磨かれる。

その姿はまさに───

 

「あれが、白夜叉…」

 

 

キイィィィィィィィィィン!

 

一際甲高い鉄の音が響く。

弾かれた武器の衝撃で双方が一歩二歩と後退った。

 

「ハァッ───!!」

 

地を穿つように踏み込んだ妖夢の魔剣が銀時の脚を狙う。

 

乾坤一擲。

渾身の力を込めた妖夢の一撃を……銀時は、グングニルの穂先を地面に突き刺して防いだ。

 

「!?」

 

驚愕の妖夢を尻目に、銀時は突き刺したグングニルを支点に熟練の軽業師のように飛び上がる。

着地したのは妖夢の背後。

腰に手を回し逃れられないようホールドすると───

 

「俺のォォッ───勝ちだァァァァァァァァァァッ!!」

 

後ろに向けてジャーマンスープレックスを掛けた。

 

「コ───フ…」

 

呼吸が途切れた妖夢は水を求める魚のように口を開閉する。

すぐにホールドを解くと、銀時は馬乗りになり白楼剣と楼観剣を奪い投げ捨てる。

そして懐に入れていた、西行寺幽ヶ子から渡された赤い玉を、

 

「アウフ・ヴィーダーゼーン…てか!」

 

間髪入れず妖夢の口に放り込む───!

 

「グゥッ───オオオオオオオオオオオ!!」

 

尚も暴れる妖夢に銀時は弾くように離れた。

ゆらりと立ち上がった妖夢は銀時を睨む。

銀時もまた妖夢を見た。

睨み合うこと数瞬。

その時事態が一変した。

 

「カッ…アア…アガアアアアアアアアア!!」

 

突如、妖夢が喉元を押さえつけながら転がり回る。

懸命に何かを吐き出そうとダラダラと唾液が溢れた。

 

「ハ…?」

 

銀時の口から漏れたのは拍子が抜けたような間抜けな声。

銀時は妖夢の口にあの赤色の玉を放り込んだだけだ。

それだけで如何なる攻撃も怯まなかったあの妖夢が突然もがき苦しみだす。

違う意味で度肝を抜かれたように体の力が抜けた。

 

 

 

「何を渡したの?」

 

もがき苦しむ妖夢を見てレミリアが幽ヶ子に聞く。

それに対して幽ヶ子はああ、と返した。

 

「妖夢に食べさせようとしたジョークグッズよ。唐辛子をベースに刺激臭のある薬草を混ぜて作ったの。いやぁ上手くいって良かったわ~」

「いやそれ殆ど博打に近いじゃない!効かなかったらどうしてたのよ!?」

「結果オーライよ。ほらほらそろそろ終わりじゃない?」

 

 

 

 

 

 

「……」

「ア……ガ…グ…」

 

這い蹲る妖夢を銀時は見下ろしていた。

呆気ない幕切れだったが、妖夢の戦意は喪失した。

この勝負は銀時の勝ちだが、まだやる事は残っている。

 

"――どうすれば元に戻るんだ?"

 

妖夢からまだ狂化が抜けていない。

このまま放っておけばいずれ復活する。

取りあえず縛り上げてパチュリーに相談するかと思っていると───

 

「…ん?」

 

ふと、妖夢の首の後ろに黒い何かが見えた。

ホクロかと思ったが大きさが違う。

脈打つそれを銀時は摘み取った。

 

「……」

 

物体の正体は黒い虫だった。

一センチ程度の大きさのそれがキイキイ鳴きながら蠢く。

ああなるほどこいつが原因かと、突き刺したグングニルを引き抜き虫を宙に放り───

 

「フンッ!」

 

一閃の下に斬り伏せた。

 

 

 

 

「…………」

 

気絶したのか、妖夢の動きが止まる。

仰向けに向けると、安らかな寝息をたてる憑き物が落ちた顔。

身体を見回すと、左肩からの出血はすでに止まっていた。

他には打撲痕、擦過傷の痣が見て取れるが命に別状は無い。

 

「……ふぅ」

 

女の子相手に随分手荒い事もしたが、自分もそれ以上の傷を負った。

ならおあいこだと一息入れた時、

 

「銀時ィィィィィィィィィッ!!」

「ゴブフッ!?」

 

横合いから何かが銀時の腹めがけてのタックルに思わず倒れ込んだ。

正体はもちろんレミリアだ。

 

「心配したわよコノヤロー!本当に死ぬかと思っちゃったじゃない!」

「て…め…!血が止まりかけてたのにまた開いたじゃねぇか!」

 

先程の妖夢の白楼剣の傷は、飲み込んだ魔石の効果で代謝が活性化され、傷口は薄い瘡蓋が覆われ始めた。

しかしレミリアのタックルのせいでまた傷口が開いてしまう。

それに対して怒鳴るが、

 

「……」

「レミリア?」

 

何も言わないレミリアに不審に思った銀時が覗き込む。

銀時にしがみつくレミリアの顔が赤く高揚し、若干ながら鼻息も荒かった。

 

「あ、マズい。お嬢様、血の臭いを嗅いで興奮気味ね」

 

いつの間にか横にいた咲夜の淡々と説明し、それを聞いた銀時はまさかの吸血フラグと顔を青くした。

 

「ちょっ、剥がせェェェェ!これ以上血を失いたくねぇェェェェ!」

「はいはい。ほらお嬢様。銀時から離れましょうね」

「ふうゥゥ!ふうゥゥ!」

「イテテテテ!猫かテメーはァァァァァ!」

 

咲夜がレミリアを剥がそうとするが、爪を立てたレミリアが銀時の服に引っかかる。

服と肌に食い込む爪の痛みに銀時の怒号が響いた。

 

 

 

 

 

 

西行寺幽ヶ子は倒れ伏した魂魄妖夢の傍らに座り込んでいた。

銀時たちのドタバタを横で聞きながら妖夢の頭を優しく撫でる。

 

「…あ…幽ヶ子…様…」

 

やがて目を覚ました妖夢のか細い声がこぼれる。

 

「おはよう妖夢。気分はどうかしら?」

「体中と口の中が痛いです」

「うがいでも中々とれないように粘り気をつけたからね」

「何の話ですか…?」

 

何でもないわと笑う幽ヶ子。

主の笑顔に、妖夢は沈んだ顔で空を見た。

 

「すみません…」

 

己の不甲斐なさに後悔と懺悔の謝罪。

知らず、眼から零れる涙。

 

「みすみす騙された挙げ句、色んな人に迷惑をかけてしまって…」

「……」

「私は…自分が情けなくて…このまま消えてしまいたい…」

 

嗚咽混じりの涙声。

己への悲憤と自責が妖夢を締め付ける。

だが――

 

「消えちゃ駄目よ。あなたが居なかったら、誰がご飯作るの?幽霊達のご飯は淡白だから飽き飽きなのよ」

 

それを否と幽ヶ子は告げる。

 

「妖夢、あなたは馬鹿よ。物事を深く考えずに単純な答えに踊らされて、斬れば万事解決?ちゃんちゃら可笑しいわ未熟者」

 

ボロクソに言われるがこうなった幽ヶ子は止められない。

妖夢は黙って聞くしかなかった。

 

「今回学ぶ事も多かったでしょう。次はそれを活かしなさい。剣よりも精神を鍛えるのよ」

「幽ヶ子様…」

 

起き上がった妖夢は幽ヶ子を見る。

幽ヶ子は妖夢の頭を優しく撫で、不出来な子を見る目で笑う。

そこに───

 

「どっせい!」

「みょん!?」

 

突如横合いから何かが乱入し、妖夢は奇声を上げて吹っ飛んだ。

そこにいたのは傲岸不遜の吸血鬼。

 

「いい流れに持って行こうとしないで早く呪符を剥がしなさい。さもないと私の聖約・運命の神槍(グングニルランゼ・テスタメント)が火を吹くわよ!」

「…結局血ぃ吸われちまったよ…。なぁ大丈夫かこれ?俺も吸血鬼に成ったりしない?」

「本人が眷属にしようとする意思が無いから大丈夫よ多分」

 

レミリアの後ろに咲夜に肩を担がれた銀時がやってくる。

若干ながら顔が青いのでおそらく貧血だろうか。

 

「ほら早く剥がしなさい。私の堪忍袋(ディエス・イレ)が溢れかえる前に」

「そこまで言われたら逆に剥がしたくなくなるわよ。もうそのままで良いんじゃないの?大人しくて清々するわよ」

「何だとォォォォォォォッ!それは普段私が五月蝿いってことか!?」

そのとおりだよ(Exactly)

「うわぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

全員からの満場一致にレミリアが地団駄を踏む。

ああうるせぇなと思いながらも銀時は笑った。

 

ああ──やっぱおもしれぇわ。

 

そう思いながら一眠りしようとした時。

 

 

 

 

 

 

 

 

パチパチパチパチ

 

ふと、少し離れた場所から響く拍手の音。

素晴らしい演劇だ、賞賛すると意味合いを込めたその音に全員がそちらを向く。

 

「中々出来のいい見せ物じゃねぇか。俺も十分楽しませて貰ったぞ」

 

そこに立つ男は、奇妙な風貌をしていた。

蝶の絵が入った紫色の着物。

派手さがあるが、違和感ないほど自然に着こなしている。

一見するとかぶき者だが、特出するのは――――その目。

包帯で左目を覆い隠し、その下はどうなっているか解らない。

しかしもう片方は違う。

獣染みたその眼は、見る者の背筋を凍らせる危険性を孕んでいた。

そしてその表情は、人としてどこか壊れた印象を与える「狂」の笑み。

 

「ねぇ妖夢、あんたに銀時の事を教えたのはあいつ?」

「…違う」

 

警戒を強めたレミリアの問いに妖夢は否と首を横に振る。

 

「私が見たのは影法師の姿よ。あんなにはっきりした姿じゃないわ」

「あれが正体…でもなさそうね」

 

レミリアの推測をよそに、

男の目にレミリア達は映っていない。

その目に映るのは、坂田銀時だけだった。

 

「よぉ久しぶりだな銀時───」

 

口を開いた瞬間に返ってきたのは斬撃。

咲夜の肩から離れた銀時は、回復に回していた魔力を一滴も残さず絞り出し、グングニルに載せて射出。

 

一閃の下に断たんと放たれた斬撃を、男は体を捻って躱す。

後に残ったのは、地形が変わるほどに抉られた地面。

 

「随分なご挨拶じゃねぇか」

「今度会ったらぶった斬るつったろ───高杉ィ!」

 

高杉と呼ばれた男は銀時の殺意を涼しく流し、懐から出した煙管を吸い始めた。

 

「手酷くやられたじゃねぇか。相変わらずバカやってるみたいだな」

 

紫煙を吐きながら高杉は言う。

その顔は、旧友と宿敵が同時に現れたような表情。

 

「ちょっといいかしら?」

 

そこに割り込んだのはレミリア。

ずいと前に出て銀時の隣に立つ。

 

「お前は、銀時の知り合いなのか?」

 

いの一番にレミリアが聞きたかったこと、

それは銀時との関係。

明らかに危険な高杉と銀時は一体どのような関係なのか、

好奇心と情報の為に知りたかった。

 

「知り合い…で済むほど単純な仲じゃねえよ。お嬢ちゃん」

「……」

 

紫煙を吐きながら言う高杉にレミリアの顔が険しくなる。

子供とあしらわれた事もあるが、

それだけでは不十分だと詰め寄ろうとしたが───

 

「なんでテメーが此処にいるんだ?」

 

それより先に一歩出た銀時に遮られる。

手に持つグングニルの力を込めて、何時でも飛びかかれるように身構えていた。

それを見た高杉は薄ら笑う。

 

「まぁ落ち着けよ。此処でテメーとコトを起こそうって訳じゃねぇ。俺はいるのはビジネスのついでだ」

「ビジネス?」

「お前、平行世界って知ってるか?」

 

高杉の口から出た単語に銀時は眉をひそめる。

 

己の生まれた世界とは異なる歴史を歩む可能性の世界。

些細な選択肢や出来事で百八十度異なる事など銀時は承知している。

なぜ今それが出てくるのか。

 

「最近な、春雨が面白いもん作ったんだ。無限に存在する平行世界を観測し、行き来するって機械だ。そこから平行世界の地球に行って、豊富な資源を独占しようって話だ。そこにな、俺たちがいた地球には無い結界があった。そこが幻想郷(ここ)だよ」

「……」

「人間と妖怪が共存する世界、まるで出来の良い箱庭だ。どことなく天人が来る前の日本を思わせて気に入ったぜ。そこにな、最近鬼兵隊に入った奴が言ったのよ。「この世界の資源を全部くれてやるからこの幻想郷は貰う」ってな」

「それで?」

「夜王鳳仙の件は知ってるだろう。上の奴らは危険だと判断したが、そいつは力づくで押し通した。卓越した法力と身体能力で春雨の幹部連中を半殺しにしやがった。神威の奴は喜々としてたが───今はいいだろう」

「あいつと知り合いかよ、面倒くせぇなぁ」

 

二人の会話が進む。

レミリア達は話の半分は理解出来なかったが、言えることは一つ。

 

この高杉という男が語るヤツは幻想郷を乗っ取ろうと画策していると。

 

「妖夢に接触したのは?」

「そこの嬢ちゃんもさっき言った奴がやった事だ。何でも、ここを手に入れる為には銀時(おまえ)が邪魔だとさ。曰わくイレギュラー。しかし準備やらで忙しくて来れない。代理(使い魔)を使って決闘のお膳立てをしたって訳さ。俺はお前がいるって知ってよ、無理言って見学に来たって所さ」

 

チラリと高杉は妖夢を見る。

見られた妖夢は背筋が凍る錯覚を感じ、一瞬息するのを忘れてしまう。

だが同時に確信できる情報を知る。

影法師はその男が遣わした存在であると。

 

そうして高杉は興味を無くしたように再び銀時を見る。

 

「仮に──俺を排除してもここにはやべぇ奴らがゴロゴロいんぞ。やすやすと手に入らねぇよ」

「その心配はいらねぇよ」

 

言って、高杉は煙管の灰を落とした。

懐に煙管をしまうとまた笑う。

 

「そいつは、ここの奴らが全員かかって来ても勝てると豪語してたぜ」

「聞き捨てならないわね」

 

レミリアが口を出し、銀時と高杉は小柄な少女を見る。

態度こそは平静だが、雰囲気が怒りのそれだ。

 

幻想郷(わたしたち)相手に勝つ?自惚れも甚だしいわ。そいつは何?神か何か?」

「それに親しいと本人は言ってたがな。大した大法螺吹くから気に入ってんだ。…っと、そろそろ帰らねえとあいつがうるせぇ。ここらで失礼するぞ」

 

そうして懐から取り出したのは手に収まる程の筒。

例えるなら小型のスイッチか。

手の中で転がしながら高杉は銀時とその周りを見渡した。

 

「じゃあな銀時、精々殺されねぇよう気をつけな」

「高杉」

 

スイッチを押す直前───銀時は最後にどうしても聞いておきたい事があった。

それは───

 

「ここを乗っ取ろうて言うバカ野郎の名前は何だ?」

 

一連の黒幕、幻想郷を我が物にしようとする男の名だった。

 

「…奴の名は、神坐零雄(かむくられお)だ」

 

言って高杉は光の粒子になって消えた。

前述した転移装置。

高杉晋助という男の存在を幻想郷から本来の地球に戻した。

 

 

 

 

静寂が流れる。

元の静けさになった無縁塚に残された五人は暫く何も言わなかった。

 

「まぁ取りあえず」

 

やがて口を開いたのは幽ヶ子だ。

三人は声の主に目を向ける。

 

「終わったんだから戻りましょう。妖夢の傷の手当がしたいし」

「そうね。こっちもボロボロよ。行くわよ……銀時?」

 

銀時に呼び掛けるレミリア。

しかし返事は返って来ない。

 

「銀時?」

 

不振に思って触ってみると───銀時は崩れるように倒れた。

 

「ちょっと銀時!?」

 

長時間に渡る死闘。

負った傷から流れた血。

そして高杉との再開。

度重なる出来事に銀時の疲労はピークに達していた。

高杉が消えた事で緊張の糸が切れたのか、死んだように眠る。

銀時が最後に聞いたのは、レミリア達の慌てる声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その場所はなんと形容すべきか。

 

カラスが舞う夕焼けの空。

いずれ日も沈む黄昏時。

人によっては美しいと感じるだろうが、

如何せん風流とは程遠いモノが地表にあった───死体だ。

 

大きな戦争があったのだろうか。

何百何千の敵も味方も解らない程入り乱れ野晒しにされた亡骸。

 

墓地と呼べば良いが、生憎と墓は無い。

突き刺された武具が彼らの墓標となる。

 

逢魔が時という表現がしっくり来る惨状。 

昼と夜の境界。

最も異界と繋がりやすい時間帯。

なるほどこの様は良くない者が溢れて来そうだ。

 

事実、屍肉が貪る者達がいた。

しかしそれは比喩表現。

彼らはれっきとした人間。

 

屍肉を啄むカラスに紛れ、

死体の持ち物、武具の類を剥ぎ取り生活の糧とする戦争難民達だ。

彼らは巻き込まれた被害者。

住む所を失い、明日も知れない。

生きる為に死者を喰らうその光景は、さながら餓鬼道や畜生道を思わせる。

 

死体に腰掛けた者がいる。

年格好は10に届くかくらいの子供か。

刀を携え、死体が持っていたであろう握り飯を頬張りながら空を見る。

戦災孤児と言う事か。

彼もまた、生きるために死者を糧にする餓鬼。

その目に映る夕焼けに、幼子は何を想うのか。

 

ふと、頭の上に温かいモノの感触が乗る。

手のひらだ。

横に向くといつの間に立っていたのだろうか。

一人の男がそこにいた。

 

「屍を食らう鬼が出るときいて来てみれば………君がそう?」

 

ひどく穏やかな声。

咎める訳でも蔑む訳でもない、慈愛に満ちた声が男から出る。

 

「またずい分とカワイイ鬼がいたものですね」

「ッ!」

 

子供は男の手を振り払い、距離を置いて刀を抜く。

刀身は刃こぼれが酷く、血にまみれていた。

まるで子供の今の心を現したかのように。

 

(それ)も屍からはぎとったんですか」

 

抜き身の刀を突きつけられても男は動じない。

それどころか関心したかのように笑っていた。

 

「童一人で屍の身ぐるみをはぎ、そうして自分の身を護ってきたんですか。たいしたもんじゃないですか」

 

子供にとって初めての事だった。

大抵の相手ならこれだけで何らかの反応を示す筈。

子供はこの男に得体の知れない恐怖を感じた。

 

「だけど」

 

男の口が開く。

 

「そんな剣、もういりませんよ。他人(ひと)におびえ、自分を護るためだけにふるう剣なんてもう捨てちゃいなさい」

 

言って腰に下げた刀を───子供に向けて無造作に投げ渡した。

 

「!?」

 

呆気に取られながらも刀を受け取る。

これで男は丸腰になった。

得物を持つ相手に自殺行為ともとれない行動に困惑した。

 

「くれてあげますよ、私の剣。(そいつ)の本当の使い方をしりたきゃ付いてくるといい。これからは剣(そいつ)をふるいなさい」

 

やがて、男は踵を返しながら立ち去ろうとする。

死体に溢れた餓鬼道を行く男はやがて口を開いた。

 

「敵を斬るためためではない。弱き己を斬るために。己を護るのではない」

 

己の魂を護るために

 

そう言った男の華奢な背は、雄々しいとは程遠い。

しかし何故だろうか。

その背中はひどく優しく暖かかった。

やがて子供はボロボロの刀を捨て、受け取った刀を握りしめながらその背を追った。

 

彼の記憶の中で最も古い。

そして最も大切な記憶。

たとえ魂が摩耗しようとも───この出会いだけは寸分違わぬままに刻み込まれた。

 

その人は───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

目を覚まして最初に嗅いだのはむせかえるような薬品の匂い。

まるで保健室だなと思いながら起き上がる。

周りを見渡す。

内装的には病室か。なら保健室でもあながち間違いでは無い。

布団じゃなくベッドで寝てたっぽいし。

 

窓から外を見ると、すでに夜だ。

風に乗って揺れる竹が見える。

ここは竹林か?

でも何でこんなとこ…。

 

頭が冴えて来ると徐々に思い出してくる。

妖夢との決闘。

高杉の登場と春雨の目的。

バラバラだった情報が纏まってようやく今の状況を把握した。

 

「ああ、起きましたか?」

 

ふと入口の方から誰か入ってくる。

女子高生のブレザーを着た女だ。

違う所があるとするなら、その女の頭に兎の耳があることか。

見たことがあるぞ。

確か宴会の時、女医の八意先生と一緒にいた…。

 

「あんたは…そばんげだったっけ?」

「うどんげです。いや、それも違いますけど」

 

うどんげと名乗った女は俺のボケを返してくれる。

ふむ。うちのツッコミ役に勝るとも劣らない才を感じるな。

 

「鈴仙・優曇華院・イナバです。気分はどうですか?」

「寝過ぎて頭が痛い」

「それだけ言えれば充分ですね。師匠を呼んできますね」

「なぁ」

 

部屋から出て行こうとする鈴仙を呼び止める。

鈴仙は顔だけをこちらに向けた。

 

「俺はどんだけ寝てたよ」

「…二日ってとこですね。あれだけの怪我を負って二日で目を覚ますのは驚きですよ」

 

言って鈴仙は部屋から出て行く。

静かになった病室で俺は身体の状態を確かめる。

体の節々が痛いが動く分に問題なし。

ベッドの腰掛けるように座ると傍らに置いてあった水を飲む。

久しぶりに飲んだ水は体に染み渡るように冷たい。

 

「───ああ」

 

ほんとに色々あったよ。

高杉との再開。

そして幻想郷を手に入れようと目論む男。

神坐零雄とは、一体何者なんだ?

 

ドドド………

 

そもそも何で俺が邪魔者なんだ?

高杉は俺の事をイレギュラーと呼んでいたがどういう意味なのか。

 

ドドドドドド…………

 

妖夢を操ってまで消したいのか?全く持って解らん。

 

ドドドドドドドドドドドド!

 

さっきからうるせぇな!

人がシリアスに考え事してんのに何の音だよ!

顔を上げて前を向くと、

 

「銀時ィィィィィィッ!」

 

扉をブチ破ったレミリアが真っ向から突っ込んで来た。

あれこれ既知感?

 

「マキナッ!?」

 

腹に飛び込むように抱きついて来たレミリアにそのまま仰向けに倒れ込む。

痛ぇ……。

 

「あんたはどんだけ心配かけるのよコノヤロー!気絶した時はどうしようかと思ったわ!」

「だから痛ぇんだよテメェわ!何ですぐに抱きつくんだよ甘えん坊かコラァ!」

 

何度も頭突きしながら喋るレミリア。

いい具合に鳩尾に当たってるから苦しい。

 

「ほらお嬢様、一旦離れましょう」

 

いつの間にかいた咲夜がレミリアを引き剥がす。

レミリアはまだ不満だと言いたげだが素直に咲夜に従った。

 

「ごめんなさいね。お嬢様心配でずっと起きてたからテンションマックスなの」

「それなら壊した扉の修理費も診察費に上乗せしとくわよ」

 

やがて入口からまた誰か入ってくる。

赤と青。動脈と静脈を表したかのようなツートンカラーの看護服。

所々星座のような模様があり、長い銀の髪を三つ編みにした女だ。

宴会で会った竹林に住む医者、八意永琳。

俺の好みではぶっちぎりの美人だ。

 

「調子はどうかしらお侍さん」

「いや絶好調っすよ。バリバリ最強ナンバーワンですよ」

「なら御鬼輪を嵌めて弱体化させても問題ないわね?」

 

いい声と顔で話したがレミリアが指をボキボキ鳴らして邪魔してくる。

全く大人の会話を邪魔するたぁうるせぇ奴だ。

 

「あれだけの傷を負って、普通なら一週間は寝込むと踏んでたけど存外元気そうね」

「いやいやあなたの処置がパーペキだったからすよ。どうすか今度美味しい茶店でも?」

「咲夜ァ!こいつを無間地獄に叩き落とせぇッ!」

終曲(フィナーレ)超越(ツァラストラ)、どっちにします?」

「何で嬉しそうなの!?」

 

くそう。こいつが邪魔で口説けねぇ。

まぁいいか今回は。機会があればチャンスはあるさ。

 

「ちょっと困ります!面会には受付を!ていうか面会時間過ぎてるわよ!」

「うるさい!んなもん後よ!ガタガタ抜かすと皮剥いで白兎海岸に晒すわよ!」

 

ドタドタと音がする。

足音からして四人くらいか?

聞き覚えある声が聞こえ始めてきた。

 

「銀時!」

「銀さん無事ですか!?」

「生きてますか銀さん?」

 

扉が壊れた入口から顔を出したのはアリス、早苗、文の三人。

少し遅れて鈴仙も入って来た。

 

「すみません師匠…止めたんですが無理矢理入って来まして…」

「まぁ仕方がないわ。今日は特別に許可しといて」

 

鈴仙からの報告に諦めた顔をする永琳先生。

医者としてどうかと思うけど細かい事はいいか。

 

「銀さん大丈夫何ですよね!?」

「ああ大丈夫だよ。つか病室で騒ぐなや」

「……」

 

するとここでつかつかと入って来る奴がいる。

アリスだ。

顔は無表情。

俺の前まで歩いて来ると───

 

「そいやぁッ!!」

「バビロン!?」

 

かぶりをつけた回し蹴りを叩き込んできたァァァァァッ!

 

「この大バカヤロォォッ!妖夢と決闘して大怪我して入院したって聞いた時は新手の冗談かと思ったわ!子供が出かけで事故ったのを聞いた母親の気分よ!どんだけトラブルメーカーなのよアンタわよォォ!」

「あばばばばばばば!」

 

そのあと胸ぐらを掴んでぐわんぐわんと前後に揺り動かす。

怪我人は丁重に扱えよ!

つかお前は俺の母親じゃねえだろ!

やがてアリスは疲れたのか手を話荒く呼吸をする。

そしてキッ!と睨んできた。

 

「私はあんたに借りがあるのよ…こんな事で死なないでよ…!バカ…」

 

消沈したように呟くとアリスは近場にあった椅子に腰掛ける。

借りってそんな大したもんじゃねえのにーー本当に律儀なやつ。

 

「銀さん、私も心配したんですよ。このまま死ぬんじゃないかって…」

「わたしもですよ。今回の一連の事を記事にしないで駆けつけたんです。あなたは面白いですからね、まだまだ死んで欲しくありません」

 

──────たくよぉ。んな顔すんじゃねえつの。

こっちまで気まずいじゃねえか。

まぁでもあれだな。

 

「悪かったよ。心配かけて」

 

心配してくれるって、やっぱありがてぇ事何だな。

 

 

 

「ふふふ。随分と慕われてるじゃない。やはりあなたは面白いわね」

 

突如聞こえ始めた声。

この場にいる奴らでは無い。

俺はこの声を聞いた事があった。

 

空間に一筋の線が現れる。

両端にリボンの付いたそれは、袋を開けるように開かれた。

 

「一月ぶりね銀時さん」

 

妖怪の賢者八雲紫。

そいつがスキマの中から現れた。

開かれた空間からすたりと飛び出して俺の前に立つ。

相変わらず胡散臭い笑み浮かべてんなぁ。

 

「おお、久しぶりだな。相変わらずドモホルンリンクル愛用してんの?」

「あなたとは一回拳で語り合う必要があるわね」

 

両の拳をガンガンぶつけながら笑うその様は人によっちゃゾッとするが、

俺からしたら、わぁなんか怒ってるわ。しか感じねぇな。

 

「幽ヶ子から事情は聞いたから作業を中断して来たのに余計な心配だったわね」

「ああそうだ、妖夢はどうなったよ?」

「あの子なら今朝方帰ったわよ」

 

疑問だった事を聞くと永琳先生が教えてくれる。

 

「半分人外だから傷の治りも早いからね。一日休んでから帰ったわよ。女の子相手にあそこまで怪我を負わすなんて酷い人ねぇ」

「向こうが殺す気だったからこっちも殺すつもりでやっただけっすよ。俺は女相手でも容赦するつもりないんで」

「嫌な男女平等ね」

 

くすりと笑う永琳先生。

それを聞いて紫が口を開いた。

 

「今回は完全にこっちのミスね。あなたの世界を探してる時とはいえ、結界に何の反応も見せなかった。向こうの科学を侮っていたわ」

「そういや見つかったのか?俺の世界は」

「ごめんなさい、まだ見つからないのよ。相当捻れた世界線にあるみたいなのよ」

 

…難航してるようだな。

簡単に行き来が出来ないのに俺を召喚したレミリアは余程幸運なんだろうな。

 

「ねぇ銀時…」

 

ここで口を開くのはレミリア。

どこか申し訳無さそうに、何かを聞こうとしようとしていた。

 

「俺が攘夷戦争に参加してたって事だろ?」

 

何となく聞こうとしてた事は察せたのでこっちから言うと、

レミリアはコクリと頷いた。

永琳先生と鈴仙以外は驚いた顔をする。

あっちは事情が解らないからだ。

いや、紫は最初から分かってた顔をしている。

 

「何となくだったけどね」

 

そう言う紫はニヤリと笑う。

人が悪い、いや妖怪か。

最初からお見通しで知らんぷりしてたのかよ。

 

「まぁあれだ。俺にとっちゃガキの喧嘩みたいなもんだよ───あれは」

 

 

 

 

最初に天人が来た頃は毛も生えてねぇようなガキンチョだった。

参加したのは後期の頃。

止むに止まれぬ事情があったから。

主にゲリラを主軸とした戦いだった。

がむしゃらに敵を斬っていくうちに、白夜叉なんて大層な二つ名で呼ばれたりしたさ。

 

「仲間を護れないで何が白夜叉だよ」

 

敵を一人斬れば仲間が一人死に、

二人斬れば二人死ぬ。

抗っても、時代の波ってやつには勝てない。

高杉と離別したのは終戦頃だ。

あいつはこんな結末を認めないなんて、今でも幕府潰そうと考えてやがる、

大馬鹿野郎だよ。

俺達の戦は終わったのによ。

 

 

 

「あなたは、失うモノの重さの痛みを知っている。拾う石ころにどんな価値があろうとも、取りこぼさないように必死に護る防人のそれ」

 

一通り語り終わると口を開く紫。

他は何も言わない。

この空気に誰も何も言えなかった。

ただ一人を除いては。

 

「男なら大切な者を護ってなんぼよ。もう二度と取りこぼさないように抗い戦う。ああ───ちっぽけな人間だからこそその思いは力になる。あなたがその能力に目覚めたのもある意味必然かもね」

「は───?」

 

能力ってなんだ?

いつ俺が目覚めたってんだよ。

あれか?かめはめ波撃った時か。

 

「いや知らないけど。そうねぇ、育んだ絆と護る事への渇望、それらがあなたの力になる。さしずめ、「絆を力に変える程度の能力」かしら」

「そんなペルソナみたいな能力なんかに目覚めてもな…」

「あら。これは結構凄いわよ」

 

扇を開いて笑う紫は、セリフ回しも相まってひどく胡散臭い。

 

「能力とは、その人の本質よ。気を照らう異能よりそっちの方が単純で強い。人なら誰しも持っている当たり前の力よ。今後も、その絆を大事にしなさい」

 

言うやスキマを開きその中に入る紫は最後にこちらを向いた。

 

「それともう一つ、あなたにまだ可能性があるわ。今後、それがどのような能力に成るかわあなた次第、精々前を進みなさい。銀色の侍よ」

 

言ってスキマを閉じて紫は帰って行く。

今度こそ静かになった病室に俺はベッドに寝転んだ。

 

「余計なお世話だババア」

 

言った直後に頭の上にスキマが開き、落ちてきた石が顔面に直撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戻ったぞ」

 

高杉晋助が転送装置から出ると、

周りの部下達はお帰りなさいと挨拶すると直ぐに機械の整備に入る。

春雨から無理を言って借りてきた転送装置。

まだ試作の段階ゆえに一人程度しか送れないが、

研究と実験を兼ねて拝借した。

 

「お帰りなさいッス!晋助様!」

 

高杉を迎えたのは露出の多い赤い服と、二丁のホルスターを下げた女性。

後ろに続く男二人も高杉を出迎える。

 

「また子、変平太、万斉。俺の留守中に変わりは無いか」

「問題ありません。ここはそうそう何か起こる訳ではありませんからね」

 

答えたのは和服の男性。

体格が良いが、見開いた目は存在感があり、

ある種の不気味さがあった。

 

「あいつはどこだ?」

「神坐ならいつも通り部屋に籠もってるでござる」

 

革ジャンとサングラスを付け、三味線を背負った男が高杉の問いに答える。

高杉はなるほどと頷く。

 

紅い弾丸 木島また子。

鬼兵隊参謀 武市変平太。

鬼兵隊No.2して人斬り 河上万斉。

彼らこそが鬼兵隊幹部。

 

「晋助様…私どうもあいつが苦手ッス…。なんか、鬼兵隊(わたしたち)を見下してるというか」

「また子の言う通りでござるよ。神坐はどうも拙者らを己の駒のように見ているような」

「良いじゃねぇか」

 

また子と万斉の言に高杉は大した事など無いと笑う。

 

「それだけテメーの力を自負してるって事だ。好きにやらせておけ」

「晋助殿は随分と彼を買っているようですねぇ。なぜそこまで?」

 

武市が問いかけると高杉は───

 

「あいつが大法螺吹きだからだよ」

 

笑いながらそう答えた。

 

「…解りました。では何も言いません。ところで晋助殿。幻想郷は如何でしたか?」

「ああ、良いところだったぜ」

「では麗しい女性はおりましたかな」

「……ガキ二人と女が二人。大層な美人だったな。あとは妖精とやらもちらほら見たぞ」

「ほう素晴らしい!まさしく理想郷(アヴァロン)ですね!これはぜひ私も行って見ないとなりませんなぁ」 

「ロリコンも大概にしてくださいよ先輩」

 

また子の蔑んだ目を受けて武市は否と断言する。

 

「私はフェミニストです。永遠の幼さとあどけなさを持つ実りきらない果実が好きなだけの」

「それがロリコンなんスよ武市変態!」

「死ねよ年増…」

「だとコラァァァァァァァァァ!!」

「落ち着くでござるまた子殿!」

「離して下さい河上先輩イィィィ!」

 

ぼそりと呟く武市の言にキレたまた子は、

腰の銃を引き抜くと武市に向ける。

それを後ろから羽交い締めにしながら万斉はまた子を止めた。

ギャーギャーとはしゃぐ三人を見て高杉は、

 

「──────ふん....」

 

つまらなそうに吐き捨てて通路の奥へと消えて行ったのだった。 

 

 

 

 

 

 

 




グダグダ座談会 地球最大の決戦

銀八「今期見るアニメはテラフォーマーズ、Fate、psycho passか。作者はドラマ性のあるアニメが好きだなぁ」
アリス「開始早々がアニメの話か。私は魔法が出てくるのが好きね」
早苗「私はロボット物全般です」
レミリア「私は吸血鬼物よ。ヘルシングのOVAは最高だったわ。ロザリオとバンパイアはアニメより漫画の方が好きね」
銀八「ロザバンで思い出したけど、この作品は最初学園物を考えてたのよ」
早苗「そうなんですか?」
アリス「外の世界で暮らせるための教育をする学園都市みたいな構想があったけど、大元の作品と被るから普通の幻想入りにしたのよね」
銀八「他にも幻想郷と転生者が聖杯大戦するもあったがボツにして今にいたるわけさ」
レミリア「その名残が随所に表れてるのよ」
銀八「アニメの他にも最近ゴジラ映画にハマったぜ。モスラをモフりたいと常に渇望してるわ」
アリス「一番最初に見たゴジラ映画が「モスラ」なのよね?」
早苗「あれ?「ゴジラ×メカゴジラ」じゃなかったですか?」
銀八「正確には映画館でみたのがメカゴジラだな。ビデオがあったから見てモスラの可愛さに惚れたのが作者の幼少期の思い出さ。東京SOSと繋がってる時は感動したなぁ。特に親モスラの最期が…」
レミリア「泣けたわねあれ…」
銀八「取りあえずモスラが出てる作品は全て見たぞ。平成シリーズが格好良かったし、チビモスラのフェアリーが可愛いな」
アリス「最近特撮扱ってるTSUTAYAが少ないわねぇ」
早苗「戦隊物や仮面ライダーは充実してるのに」
レミリア「時代は怪獣よりイケメン俳優なのかしら」
銀八「まあ仮面ライダーも面白いしな。……仮面ライダーと言えばさ、次始まるドライブだよ」
早苗「ああ、車に乗るって言う…」
レミリア「「何で仮面ライダーが車!?バイクじゃねぇのかよ!」って作者がツッコんでたわね」
アリス「意外性を狙うにしても、車はねぇ」
銀八「まぁどうなるか見て見ようぜ。案外車がバイクに変形するかもよ」
アリス「いやそれなら最初からバイク出せばいいわよ」
早苗「確か二号ポジションがバイクでしたよね?」
銀八「その人が真の意味で仮面ライダーに成れることを祈ろう。今回はここまでだな。質問感想募集中。それでは皆さん、アウフ・ヴィーダーゼーン!」
三人「ジークハイル・ヴィクトーリア!」
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