東方万事屋録 The Fantasm of Silver soul   作:曙光

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「時間が止まればいいと思っていた。今が永遠に続けばいいと思っていた」
Dies irae 藤井蓮

咲夜「時間が止まればいいと思っていた」
アリス「あんたならガチで止めれるじゃん」



第十三訓 兎と侍と姫

迷いの竹林。

人間の里から見て、妖怪の山の正反対にある場所。

豊富な竹とタケノコが採れるこの場所がなぜ迷いの竹林と呼ばれるのか。

絶妙な高低差のある地面。そして同じような景色が続く獣道。

方向感覚を狂わせ、同じ場所を何度も回るそこは、妖精でも迷ってしまう。

ゆえに迷いの竹林と呼ばれる。

 

その竹林の奥にある屋敷、永遠亭。

人里でも治せない病気は、ここを訪ねればよいと評判である。

 

名乗り遅れたけど私の名前は鈴仙・優曇華院・イナバ。

ここ永遠亭に住む薬師見習いだ。

 

私は今、ささやかな悩みを抱えている。

先日、夜中に患者が来たという知らせを受け、

眠い眼をこすりながら応対すると、運ばれてきた患者が意外な人物だったので眠気なんて吹っ飛んでしまった。

噂のサムライ、坂田銀時と友人の魂魄妖夢。

二人は酷い怪我を負っていたからだ。

一緒に来た吸血鬼は切迫した顔で師匠にしがみつき、早く治療してと懇願する。

高慢チキを体現した吸血鬼の意外な一面を見た気がするがこれは置いとこう。

妖夢は怪我こそ酷いが意識はハッキリしていたので、私が治療する事になる。

 

話を聞くと、あの男と殺し合いを演じていたそうだ。

これには唖然とする。

スペルカードルールは遊びであっても殺し合いでは断じて無い。

なぜそんな事をしたのかを聞くと、

 

「私が不甲斐なかったから…」

 

呟くようにそう言った。

これ以上聞いても教えてくれそうにない。

これは後日聞くとして、妖夢には一日入院する事になった。

坂田銀時の方も重傷だが命に別状はない。

まだ眠っているのでこのまま入院する事になるだろう。

 

坂田銀時に対する私の第一印象は嘘臭いだった。

見た目も相まってとても強そうには見えない。

サムライと嘯くチンピラの類だろうと思っていた。

その後、天狗の新聞で人里に万事屋を開いたと知る。

薬の配達のついでに遠くから見ると、レミリアと咲夜の他にアリスと早苗の姿があった。

端から見れば女を侍らして悦に入る軽率な男にしか見えない。

早苗はともかくとして、独りを好むアリスも関わっているのが驚きだった。

一体どんな手を使ったのだろうか。

 

一日たった朝、妖夢は主人に連れらて帰って行った。

去り際にどちらが勝ったのか聞くと、

 

「あの人が勝ちました。私では何もかも及びません」

 

笑いながらそう答えて帰っていく妖夢の顔は、憑き物が落ちたかのように爽やかだった。

私には到底信じられなかった。

妖夢は強い。自他共に半人前だと言われるが、その剣技は並みの人間では太刀打ち出来ない。

ましてや殺し合いにおいて負けるなんて思わなかった。

呆然としながら私は妖夢の背を見送った。

 

坂田銀時が目を覚ましたのはその日の夜。

様子を見に行ったらすでに起き上がっていた。

師匠の見立てでは一週間は寝込むと言っていたが、

二日で目を覚ますとは思わなかった。

よほど生命力が高いのだろうか?

 

起きた事を師匠に伝えると、真っ先に駆けだしたのはレミリアだ。

目を覚ますまでここで待つと部屋の隅っこに座り続けていた。

そこまで大事な男なのかと思いながら、まぁ私には関係無いと残った仕事を片付けにいった。

 

しばらくすると早苗、アリス、文の三人が息を切らしながら駆け込んで、

銀時に会わせてと受け付けを無視して中に押し入って来た。

止めようとしても鬼気迫る顔をして進む三人を止める事なんて出来ない。

結局病室まで突破してしまった。

 

 

銀時さんに会った三人は心配したと蹴り飛ばしたり笑ったりして無事を祝う。

あれは心から無事を祈った人の目だ。

そこまで彼が大事なのかと思っていたら、意外な来客があった。

スキマを開いて現れた妖怪の賢者、八雲紫。

意味不明を形にしたこの妖怪の存在に場の空気が張り詰める。

しかし銀時さんは変わらずに話しかける。

どういう神経をしているんだろう。

 

ここまでが前回(きのう)までの出来事だ。

長々と話してきたが本題はここからだ。

その後、坂田銀時から語られたのは、彼の過去の話。

地球にやってきて開国を迫った宇宙人と戦い、白夜叉なんて大層な名前で呼ばれていた。

それでも勝てなくて、結果サムライは衰退。彼の友人は宇宙人───天人と政府を潰す為に活動している。

 

纏めるとこんな感じかな?

何で私が悩んでいるかというと、私もその天人とやらに入るからだ。

私の生まれは地球では無い。

月の兎───玉兎だ。

とある事情で地上にいるが、まぁ宇宙人と言っても間違いではないだろう。

私はあの男に少なからず恐怖を抱いている。

天人が原因でサムライたちは衰退した。

ならもし───その怒りを永遠亭(わたしたち)にぶつけてきたら?

そんな事を考えてしまう。

 

ふと時計を見る。

現在午前九時の少し前、もっと正確に言えば五十五分。

そろそろ銀時さんの回診の時間だ。

机から立ち上がりカルテを持って病室に向かう。

昨日、スキマ妖怪が帰ってから、銀時さんは三日ほど入院する事になった。

師匠は検査の為に療養しなさいと言っていたが、おそらくはあの男の話を色々聞きたいからだろう。

 

「……まぁ大丈夫でしょう」

 

何かあっても師匠なら何とか出来る。

私は普段通りに接すればよいだけだ。そう思いながらカルテを抱え直した。

病室に向かう廊下を渡っている時、遠くの方でクシャクシャの天然パーマの姿が見えた。

 

「ちょっとあなた!何やってんですか!?」

 

慌てて声をかけると男がくるりとこちらを向く。

坂田銀時は生気の無い目で私を見るとああ、と呟いた。

 

「なんだソバンゲか」

「ウドンゲです!いやそれも違う!なるべく安静にしてなきゃ駄目じゃないですか!」

「そうは言っても実際暇なんだよねぇ。ぶらぶら動きたいんだよラアメンさん」

「もとの名前と一ミリも被ってない!」

 

やっぱり苦手だこの人…。

このおちょくるような話かけ方が師匠や姫様を彷彿させる。

診察を受けに来る人里の男の人たちとは違ったパターンがどうも馴染めない。

知らずに溜め息をついてしまう。

 

「とにかく戻りますよ。回診の時間ですから」

「へいへい」

 

ぼりぼりと頭を掻きながら私の後についてくるが、

このままでは気が済まない。

少しとっちめてやろう。

 

「…………」

「……ん……あれ……?」

 

突然銀時さんは頭を抑えてふらつきだす。

まるで酔ったような――いや実際に酔っているのだ。

私の能力で平衡感覚を狂わせてやったわ。

おそらく船酔いと同じ症状になっているだろう。

私をおちょくった報いよ。とくと味わうがいいわ。

 

「大丈夫ですか?ほらいきますよ」

 

素知らぬ顔で部屋まで誘導しようと顔を見る。

そこには顔が青くなっていた銀時さんが───

 

「オボロシャアアアアッ!」

 

おそらく、今朝食べた朝食の吐瀉物を私の顔面にぶちまけて来た。

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウドンゲ、医者の役割とは何かしら?」

「……病気や怪我をした患者を治す事です……」

「その通り。あなたも医者の端くれ、そんなあなたが患者の怪我を増やしてどうするのかしら?」

「すみません……」

 

あの後、反射的にボッコボコにしてしまった私はこれではまずいと、

目も当てられない惨状になった銀時さんを急いで病室に戻し、

大急ぎでシャワーと着替えを済ませた。

しかし戻ってみれば、すごい笑顔の師匠がそこに立っていた。

で、現在叱られています。

 

「ごめんなさいね銀時さん。うちの子が失礼して」

「いやいいっすよ。俺も悪かったし、誰だってゲロぶちまけられたらそうなりますよ」

 

さっきボコボコにしたせいか銀時さんは顔を包帯塗れにしてまるでミイラ男のような有り様だ。

それでも元気なのはよほど頑丈なのだろう。

 

「せっかく怪我も治ってきたのに新しい怪我が出来たわね」

「ああ、ギャグパートで負ったやつなら次のシーンで全快するんで大丈夫っすよ」

「それが当てはまるなら医者なんていらないわね」

 

二人の会話が弾む。

多分だが、銀時さんは師匠に惚れてるっぽい。

師匠もまんざらでもなさそうだが、若い男になに自惚れているのやら。

……これ口に出したらしばき回されるよね?

 

「では診察を始めますんで上着を脱いでください」

「ああはいはい」

 

まずは脈拍や傷の様子を診る為に回転椅子に座らす。

師匠に言われて銀時さんは上着を脱ぎ出した。

 

「──────」

 

不覚にも、私は息を飲んでしまった。

診察の為に男の人の裸は見慣れている方だ。

畑仕事や重い荷物を運ぶ仕事をする人はガッシリとした体付きをする場合が多い。

だがこの男の体は違う。

この引き締まった体は、鍛えた云々で付いた筋肉では断じて無い。

 

「銀時さんはいい体してるわねぇ」

「そっすか?自分鍛えてますから」

「いえ、これは鍛えた体では無いわね」

 

師匠は耳に付けた補聴器で脈を取りながらカルテに記入しながら、

背中や正面から銀時さんの体を診る。

まるで新しい研究素材を見つけたように楽しそうだった。

 

「これは戦いで磨かれたと言うべきかしら。長らく戦場の中にいるとね、体がそうなるように適応するのよ。力強く、速く、効率良く敵を倒す。そうして鍛えられた───言わば戦いに特化した体と言うべきかしら」

「そんな事意識してなかったすね。俺は敵を倒すために戦場駆け回っただけだし」

「意識してない事も体に出るものよ。……よく見るとうっすらと傷跡もあるわね。ぱっと見わからない位薄いけど」

 

言われて私も体を見てみる。

なるほど、よくよく見れば確かに傷跡が見て取れる。

おそらく体中にこんな感じの傷があるのだろう。

診察が終わったのか、銀時さんは上着を羽織り直して向き合う形になった。

 

「基礎代謝が高いからかしら?普通ならもっとハッキリと残るのだけど」

「まぁ腹ぶっ刺されたり銃で撃たれたりしましたが大して跡も残って無いっすね」

 

いや流石にそれは死ぬんじゃないの?

なんか化け物染みてるわね。ほんとに人間かしら?

 

「そういえば、あなたの世界の医療ってどれほどのものかしら?」

永遠亭(ここ)と大して変わらない設備っすよ。なんか懐かしくなってきましたし」

「ふーむ。たった二十年でそこまで発展するものなのね。宇宙人…天人だったかしら?彼らのおかげかしらね」

「まぁ天人(奴ら)にゃそこんとこは感謝してますよ」

 

聞いた話だと、天人との戦争に平行するように地球も発展したそうだ。

技術、価値観、文化、その他諸々も多分外の世界を凌駕しているだろう。

個人で宇宙旅行できるようだし。

 

「聞けば聞くほど面白い世界ね。一度行ってみたいわ」

「良かったら案内しますよ。美味い茶店を知ってますんで」

「まぁそれは楽しみね。……ああそうだ、茶店で思い出したわ」

 

言ってカルテのページをめくる師匠。

その顔は少し険しい。

 

「血糖値がやたら高いけど大丈夫なのこれ?普通なら何らかの病状が出てるわよ?」

「まぁそこんとこは割り切ってますんで、どうせなら糖尿病で死にたいっすね」

「そんな死に方は、医者として許しませんよ」

 

そう言って師匠は銀時さんに糖尿病の危険性を一から教え始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

師匠の講義(せっきょう)も終わった後、

 

「無茶しないなら散歩くらいは構わないわよ。ウドンゲの同行付きで」

 

と言ってたので銀時さんは中庭を散策したいと言い出した。

私もそれに同行している。立ち入り禁止のエリアに入らないようにするための見張りも兼ねている。

銀時さんはキョロキョロと当たりを見回しながら散策を楽しんでいる。

二人きりにはなるべくなりたくなかった。

さっきの事もあるし、苦手意識を持っているから積極的に話しかけれない。

 

「───そういやさ、さっきは悪かったよ。いきなりゲロぶちまけちまってさ」

「ふぇいっ!?」

 

急に話しかけて来たので意表を突かれたが、すぐに持ち直して平常心になる。

 

「ああ、いいですよ。いきなり能力使った事もありますし、気にしてませんよ」

「そう言ってくれるとありがてぇな。───ところでおまえさんの能力って何なの?」

「ああ私は、狂気を操る程度の能力です」

「狂気?」

「正確には波長を操る能力ですね」

 

全てのモノには波長が存在する。

これは大なり小なり必ず存在するモノだ。

例えば波長を長くすれば陽気になり、短くすれば短期になりやがて狂気に堕ちる。

光の波長を弄れば見えるモノを見えなくする。

音の波長を弄れば聞こえるモノを聞こえなくする。

逆も然り。これで患者の容態を診たり、幻覚を見せたりする事もお手の物だ。

銀時さんにしたのは、音の周波数を弄って三半規管を狂わせ酔いやすいようにしたのだ。

 

「つまりあれか、「錯覚だ」や月島さんのおかげと同じような事が出来るって訳か」

「ざっくばらんと言えばそうですかね」

 

変な例えをするわね。

まぁその認識で合ってるちゃあ合ってるけども。

 

そうこうしている内に永遠亭の裏庭につく。

この辺りは私たちの生活圏内。

屋敷の中に入る訳では無いので庭を彷徨くだけ。

 

ふと、銀時さんは何か見つけたように歩き出す。

慌てて後を追いかけると、銀時さんの視線の先には植木を置く棚があった。

私にはよく解らないが、恐らく価値があるだろうと思われる盆栽が多数ある。

その中で一際異彩を放つ植木鉢があった。

黄金の枝、その枝に実を付けるように煌びやかな宝石が生っていた。

あまりに美しかったのか、銀時さんは食い入るように見つめている。

 

「これってもしかして?」

「そう、それこそが伝説の蓬莱の玉の枝よ」

 

後ろから声をかけられたので私たちは後ろを振り向く。

そこにいたのはこの屋敷の主、蓬莱山輝夜様だった。

 

「別名は優曇華。地上の穢れを栄養源に実を付ける植物。本来なら三千年に一度の割合だけど、地上(ここ)に来てからよく実を付けるわ」

 

そう言って姫様はコロコロと笑う。

因みに私のミドルネームもコレからつけられたらしい。

私としては変な名前だけど。

 

「お久しぶりね、異界の侍殿」

「おお、宴会の時いた姫様だったか?」

「蓬莱山輝夜よ。また会えて嬉しいわ」

 

一応ここの主だが、銀時さんは気にせずにフランクに話しかける。

この脳天気さはどこから来るんだろう。

 

「一度話たかったの。これから座敷でお茶はどう?お茶菓子もあるわよ」

「あ、ゴチになりま~す」

「………」

 

果たしてこの男に遠慮という言葉はあるのだろうか。

そう思いながら、私たちは姫様に誘われるままに私たちは座敷に上がるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは客人は滅多に来ないから暇なのよ。何でもいいからあなたの世界の話をしてちょうだい」

 

用意したお茶と茶菓子を出しながら言う姫様。

そこから先は銀時さんが答えられる範囲の雑談だった。

どんな天人がいるのか、流行りの物、組織や政府、銀時さんが体験した出来事。

姫様は興味津々に聞いている。

私には入る余地が無いので、一緒に出された茶菓子を頬張るだけだ。

てかこのきんつばめちゃくちゃ美味しい!

 

「自分達を貶めた幕府と天人たちに反旗する侍たち。中々バイオレンスじゃないの」

「一部だけだよ。これに便乗して強盗やらかしたりするバカたちもいるし」

「もう踊るしかないわね、ええじゃないかって」 

「踊りに夢中になりすぎて死んだ事も気付かないってか?」

「違いないわね」

 

ハハハと二人は笑う。

似たシンパシーがあるのか、二人の会話は良好だ。

 

「そう言えばさ、あなたも攘夷戦争ってのに参加してたんでしょう?」

「ブフゥッ!?」

 

啜っていたお茶を噴き出すほどの唐突な発言。

この人はいきなり人の琴線に触れる事を言ってしまうんですか!?

 

「……俺あんたに話したっけか?」

 

ほらぁ!ちょっと怒ってるぽいし!

謝って!姫様早く謝ってください!

 

「昨日さ、部屋の外にいたけど私も話を聞いてたのよ。それで是非とも話を聞きたいなって」

「ふーん…」

 

なるほどと頷いて銀時さんは再びお茶を啜る。

…なんかお腹痛くなってきた…。

 

「ていうかソバンゲ、お前噴き出した茶は拭いとけよな」

「イナバ、お客様の前で粗相しないように。それだから何時までたってもうどんのままでつけ麺に成れないのよ」

「どんな罵倒の仕方ですか!?」

 

なんか無駄に仲良いよこの二人…。

変わり者同士気が合うのだろうかな…。

横にあった布巾で拭いながらそう思った。

 

「そこでさ、一つあなたと問答をしたいのよ」

「問答?」

「生と死に携わった侍との問答。これほど面白い事はないわ」

「暇なんだなあんた…」

「常に暇を持つのも生き物の嗜みよ」

 

姫様は唐突に妙な事をやる事がある。

暇潰しと称してどこかに出かけたり何かを始めたり。

師匠は好きにやらせなさいって言うけど、付き合わされる私の身になって欲しい。

姫様は口元に袖を持っていきふむと考え始める。

 

「そうねお題は──────不老不死について」

「……」

 

ニヤリと笑う姫様。

銀時さんは要領を得ないような顔をしているが、分かったと了承。

……大事にならなきゃいいけどなぁ。

 

「まずは、不老不死についてどう思う?老いる事も死ぬ事も無い、無限の時間を手に入れる。戦さに出れば死する事の無い、恐怖になるでしょうね」

「そうさな、確かに人間なら誰もが憧れるもんだが、俺は別に不死に興味無いな。死なんと言ってもさ、ジリ貧の生活が続くなら御免被るわ」

「そうね、不死を求めるのは何時の世も権力者たちよ。己が地位を不変の物にしたい。愚かしい願いよ。ならもしあなたが権力を手に入れたらどうする?」

「確かに魅力的だな。でも自分だけ死ななくなるのは嫌だから、やっぱりいらないよな」

「それが妥当な考えね。不死に堕ち輪廻から外れ、生を謳歌しようとも、時代や友や愛する異性。みんなみんな逝ってしまう。その孤独、その虚無感、ああ、なんて儚いことか。老いて死ぬ事こそが人間の義務であり幸福であると、全て無くしてからようやっと悟るものよ。無限を手に入れても希望が無くては生きていけない。不老不死なんてね、生死の境目が無い怪物に他なら無いのよ」

「そのうち考える事を止めるってか?」

「思考を停止すれば、それこそ死ぬ事に等しいからある意味幸福かしらね」

 

またハハハと笑う二人。

不老不死の問答は今までよりも盛り上がっていた。

私だったらどうするか。

死ななくなるなら死の恐怖も無い。

死後の世界に縁は無い。

かなり幸福と呼べるのではないだろうか?

 

「不老不死を望む者は三ついる。死後を恐れる者、不死になって叶えたい願いがある者、そしてただの興味。好奇心は猫を殺すと言うように人間も興味で不死に手を出す。覚悟も無いから癌細胞のように自壊の念が高まりやがてそれすらも朦朧とする。そうやって後悔したバカを、私は一人知ってるわ」

「友達か?」

「というより好敵手?いや遊び相手かしらね」

 

恐らく竹林のあの人だろうがここで語るという必要も無い。

さて、と膝をポンと叩く姫様。

 

「では最後の問答よ。仮にあなたが不死の薬を持っていたとする。あなたは戦場で親しい人が正に死に瀕する時に、あなたは薬を使う?」

 

なんとも意地悪い笑みを浮かべた姫様に対し、銀時さんは腕を組み考える。

仮に私ならどうするか。

迷わず使うかもしれないが、相手はこんなものを望んじゃないと怒るかもしれない。

十数秒くらい考えた銀時さんは───

 

「使わないな」

 

 

はっきりとそう答えた。

 

「なぜ?仲間が死ぬかもしれないのにそう言えるの?」

「育ちの良いお姫様には解らん事さ。そいつは戦う事を選んだ。死ぬかもしれないなんて百も承知さね。俺は、そんな美しく戦った相手の最期を、テメー勝手の都合で救いたくないだけさ。それよりも、その薬を売っぱらって宴会の酒に変えた方がよっぽど経済的だからな」

 

ニヤリと口角を釣り上げ笑う。

さも当然のように銀時さんは言い放った。

──────この時、私の中にあったのは言い知れぬ恐怖。

サムライの死生観。

戦って死ぬ事こそが我らの誉れと言うこの思想。

この人に、死ぬという恐怖はあるのだろうか。

 

「何もかも型破りね。あなたの武士道は」

「御膳立てされたもんより、俺なりの武士道を貫く方がマシだからさ」

「それは何時まで?」

「死ぬまでだ」

 

また二人は笑った。

姫様は心底楽しそうに笑う。

私は───こんな風に笑えなかった。

坂田銀時というこの男の思考が怖い。

私には理解出来ない。

私には───

 

「どうしたのイナバ?ぼ~として」

 

姫様に呼ばれてハッとする。

しまった、少し呆けてしまった。

慌てて「何でもありませんよ」と言っておく。

 

「構って貰えないから拗ねたんじゃねぇの?」

「ああそうか。兎は寂しいと死んじゃうもんね」

「違いますよ!」

 

こうして、姫様の唐突な問答は、私のツッコミで終わるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ姫様がそんな事をねぇ」

 

その日の夜。

後片付けの合間に昼間の事を師匠に話した。

師匠は姫様のやる事には基本的に何も言わない。

本人の意志を尊重させるスタンスでいっている。

やりたい事は率先しろが師匠の言葉だ。

 

「──────私には、あの男の考えがよく分かりません」

「怖いの?」

「有り体に言えば」

 

人はもっと自分という存在を大事にするものだ。 

命を粗末にするような行動原理のあの思想が理解出来ない。

理解出来ないから───恐ろしい。

そんな私に対して師匠はフフッと笑う。

 

「ウドンゲ、あなたは男の何たるかを解って無いわね」

「えっ?」

「世間一般の認識では、女は面倒くさいなんて言うけどね、男だって相当面倒くさいわよ。野心とプライドの奴隷と言うべきね。女は怒った時に子供になるけど、男は、何かに夢中になってる時に子供になるの」

「……それが戦いですか?」

「人によってまちまちよ。───でもそうね、彼の場合は戦う事がそれかも。戦争に敗けた。肩を並べて戦った戦友たちは殆が死に、その時何を思ったのか」

 

後悔か、それとも罪悪感か。

英雄と敵味方に恐れながらも、護れない、救えなかった己に対する憤りと虚無感。

はたしてあの男に有るのは何だろうか───

 

「だからそう、子供のように泣き叫びながら今あるものを護る。それが彼のわがまま(ぎむ)かしらね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

朝食の後に竹林の方を散策してみたいという銀時さんの要望で屋敷から少し離れた竹林に向かう。

朝とはいえ背の高い竹は日光を遮り薄暗い。

ここに暮らす兎たちで無ければ迷ってしまいそうだ。

 

銀時さんはキョロキョロと周りを伺いながら歩く。

地を踏みしめ、地形を確かめながら進むが、少し気を離せば方角が狂うこの竹林は安々と看破出来ない。

 

「柳生の竹林も立派なもんだが、ここはそれ以上だな」

「やっぱり規模が違いますか?」

「ああ、どこ向いても竹林ばかり。迷っちまいそうだぜ」

 

銀時さんはまるで未知に挑む冒険者のような心待ちでズンズンと奥に進む。

私は後を追いながら昨日、師匠に言われた事を思い出していた。

 

”無理に理解しろとは言わないけどね、もっと積極的に人と関わりを持ったら?”

 

「………」

 

正直、余計なお世話だと思った。

里の人間たちは、「なんか訳わからん事言ってる薬売りの人」と認識をされてるが知ったこっちゃ無い。

私は私の仕事をしている。

繋がりなんて最低限で充分だ。

そんな私が唯一深い関わりが深い友人が妖夢だ。

主に振り回されるという点で息が合ったのか、里や宴会で会うと決まって一緒に談笑をする。

別に私は同性愛者では無い。妖夢だってそうだ。

互いに愚痴をこぼせる仲と言えば良いか。

手合わせをしても妖夢は私と引けを取らない程に強い。

だからこそ───ルールを無視した戦いで妖夢が負けたことが未だに信じられない。

あの涼やかな顔から卑怯な手を使われた事はまず無いだろう。

 

試してみたい…

 

私の一点はそれに尽きる。

私ならどこまで通じるか、確かめたかった。

 

指先に意識を集める。

私の弾幕は銃弾を表している。

銃を模した指先から弾幕を射出する。

同時に私の能力で幻覚を見せる。

本物と幻覚を織り交ぜた弾幕(スペル)が鈴仙・優曇華院・イナバの得意とするもの。

 

勝負しようなんて思っていない。ほんの少し当てるだけ。

避けれたらそれで良いし、当たったらそれでも良い。

気付かれないように当てる為に歩きながらだが、この距離なら当てられる。

途中ひらりとジャンプしたような動きに焦ったが問題ない。

落ち着いて照準を頭に合わせる。

頭の中で数を数えながら息を整える。

 

三、二、一。今───!

 

引き金を引くイメージを描きながら撃ち出した銃弾は——踏み抜いた地面の感触で明後日の方角に飛び出した。

 

「は───ああああああああ!?」

 

浮遊する落下感に我ながら間抜けな声を上げる。

底に落ちた衝撃で一瞬頭が真っ白になるが大事は無い。

お尻を思いっきり打っただけだ。

問題ない。問題ないが痛い……。

 

「おーい大丈夫か?」

 

上の方から銀時さんの声がする。

上を見ると穴の上からこちらを伺っていた。

 

「なんとか───」

 

そこではたと思い出す。

今の私は穴の底でひっくり返った状態だ。

この態勢なら、あの上から私の下着が───

 

「───ッ!何見てるのよスケベ!変態!」

 

慌ててスカートを抑えて罵倒するが、銀時さんはあっそうと聞き流した。

 

「助けようと思ったけどその様子なら大丈夫そうだな。俺は先に戻ってるから頑張って登って来いよ」

「は?」

 

そういって穴の上から姿を消した。

ザッザッと穴から遠ざかる音が私の耳に届く。

穴の高さは大体十メートル。

私なら登れる高さだが、いかんせん腰から嵌まった状態なので起き上がれない。

必然的に誰かの助けが必要となった。

 

「ちょっ!すみません図に乗ってました!だから助けて下さいごめんなさいィィィィィィィィ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最初から助けて欲しいって言えよな。恥なんて捨てちまえ、一人じゃどうしようも無いことだってあんだよ」

「………」

 

あの後どこからか持ってきたロープを降ろして貰い自力で上がってきた。

下着を見られた上に借りまで作ってしまった……。

死にたいと思いつつ体育座りで俯く。

 

「下着の一つや二つで何落ち込んでるんだよ。俺なんて元いた世界じゃ何度も股間見られたりしてんだ。お前のに比べたら軽い軽い」

「一緒にしないで下さい!」

 

最悪だ……絶対領域と定評のあるスカートの中を見られた。

やり場の無い憤りをこの落とし穴を作ったヤツに向けるしかない。

立ち上がり息を吸い込む。

 

「てゐ!出て来なさい!」

 

叫ぶ刹那、奥の竹林から人影が飛び出して来た。

私より小柄な少女。

大きな耳を頭に乗せたこの悪童はニヤニヤと笑いながら姿を表す。

 

「おやおや。どったの鈴仙?」

「白々しい!あんたでしょうこの穴を掘ったの!」

 

ビッと指差した先にある穴を見て、てゐはああと頷いた。

 

「そっちの彼を落とそうとしたけど、感づくかれちゃった」

「お前かこれ掘ったの。直前で気付けて良かったわ」

「参考までに、どうして気づいたのか教えて欲しいな」

 

すると銀時さんは地面に指差した。

よく見ると、落ちた竹の葉の上に僅かに土が乗っていた。

 

「急拵えだから掘った土を遠くに隠す暇が無かったんだろう?だからバレないように土をバラまいた。けど地面に新しく落ちた竹の葉の上に土が乗っかっていた。加えて穴の上が綺麗すぎだ。これなら穴の上にも土をバラまいた方が良かったな」

 

この竹林は日が出ている時間でも、背の高い竹が日光を遮って薄暗い所がある。

こんな環境下で見分けたって言うのか。

 

「ちぇー、落っこちたとこ助けて借りを作ってやろうとしたのに」

「残念だったな。つかお前誰?ここでちらほら見た人型兎たちとは違うみたいだが」

「おおうこれは失礼。私は因幡てゐ。とってもカワイイウサギちゃんで~す」

「テメーでテメーの事をカワイイって言う奴の事は信用ならねぇよ」

 

二人は私の事を放っておいてザッザッと先に進む。

──────って!私の事は無視か!

先に進んだ二人を慌てて追いかける。

 

「へぇ、永琳先生に薬習ってんだ」

「兎と薬は縁が深くてね。昔人間に化けた神様に食事を出すために、自ら火の中に飛び込んだ兎がいたんだよ」

「なんか聞いたことあんな、それに感服した神様がその兎を天に連れて行ったんだよな?」

「そうそう。月に登った兎はそこで薬を搗いてるんだ。日本では餅を搗いてるけど、餅搗きと満月の望月を掛けたシャレで広まったのよ」

「きのこと言い西尾と言い、日本人は言葉遊びが好きだよなぁ」

 

笑う二人。

意外な事にすぐ仲良くなっていた。

しかしこの人、自分と近い人と仲良くなる才能でもあるのだろうか?

 

「お師匠様も凄いけど、やっぱり薬なら大国主命様だよね」

「因幡の白兎のか?あいつってさ、日本最古のラノベ主人公って言われてるよな」

「人望だって主人公に必要な要素さ。出逢った人に助けて貰って前に進む。分かりやすい王道だよ」

「神話の頃から発想が未来に生きてるよな日本人」

「お前たちの萌えなど、我々が数億年前に通って来た道だってね」

 

会話が進む。

盛り上がっている二人に私が入る余地は無い。

まぁ二人きりじゃ会話が持たないのでここはてゐに任せよう。

 

「そういやお侍さん。うちの鈴仙の下着はどうだった?」

 

と思ってたらこっちに振ってきたァァァァ!?

よりにもよってその話!?

 

「縞パンはあざといけど良いんじゃね?俺的にゃ白が良いな」

 

そこっ!真面目に答えんでいい!

 

「今なら鈴仙の秘蔵写真があるんだけどいかが?」

 

あんたも何売ってんのよ!てかいつの間に撮った!?

 

「いやいいわ。それより永琳先生の秘蔵写真は無いの?」

 

アンタもアンタで失礼だな!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝の散歩から帰って数時間後。

昼頃に来客があった。

 

「は~い銀時。見舞いに来たわよ」

 

レミリア、咲夜、パチュリー、アリス、早苗、文の六人。

大人数でやってきた彼女らは私の案内で銀時さんの病室に入っていく。

 

「おお、来たか。こちとら暇してたんだ。存分に俺を楽しませろよ」

「それだけ言えれば元気ね。心配して損したわ」

「はいお土産よ。ケーキ焼いてきたわ」

「私もクッキー焼いてきました」

「私は山で採れた果物の詰め合わせです」

「おおありがてぇな。病院食もうまいけど濃い味が恋しくなるぜ」

 

差し出された見舞い品を嬉々として受け取る。

昨日糖尿病で怒られたのに欲が深いとしか言えないわね。

 

改めて面子を見渡す。

みんな彼を心配したように談笑をする。

いない間に来た依頼、最近こんな事があったなど、他愛の無い会話で盛り上がっていた。

そこには男女の関係など感じられない、

対等な仲間と接しているような雰囲気があった。

 

妖怪に対して、普通の人間なら何かしら抵抗感があると思うが、彼はそういう者だと割り切った印象が見て取れる。

元から変人だからだろうか。

 

「明後日には退院するんでしょう?早く帰って来なさいよ。修理関係の依頼が来てんだから」

「わ~てるよ。しかし動かない事に定評がある大図書館が来るとは意外だったな」

「私だって動く時はあるわよ。使用した魔石はどうだった?」

「ああ良かったぜ。おかげでかめはめ波撃てたし」

「即席だから不安だったけど大丈夫そうね。次はもう少し時間を長くするわ。そんで私からお土産よ」

 

言ってポーンと渡したのは棒を入れる袋。

銀時さんが中から取り出すと、出てきたのは木刀だった。

洞爺湖と彫られたそれは、一見すると安物みたいだ。

 

「直ったのか?」

「出来る限り破片を集めて復元したのよ。繋ぎは粘土を錬金で補強したから」

「私と文さんが集めたんですよ。ゴブリンさんたちにも手伝って貰いました」

「私はあんたの服を修繕したわ。裏側に魔力を仕込んだから結構頑丈になってるわよ」

 

アリスが渡したの風呂敷。

中にインナーと着物が入っていた。

こっそり能力で見てみると、確かに魔力よる加護がかかっているのが分かる。

 

「やっぱ装備が一式あると安心するな」

「その木刀に面白い仕掛けがあるのよ」

 

ニヤリとパチュリーは笑う。

なんか師匠と同じような顔をしていた。

 

「それを外に向けて柄の部分を押してみなさい」

「?」

 

立ち上がり窓を開けて構える。

銀時さんが柄の部分を押すと──────

 

ピュウッ!

 

何か黒い液体が飛び出した。

 

「なんと醤油が出るわ」

「わ~い卵掛けご飯が美味しくなるぞ~。───ってふざけんなァァァァァ!」

 

そしてノリツッコミで返すと銀時さんはパチュリーのもとに向かう。

 

「テメーよりにもよってなんつう改造しちゃってんの!?どこで使えばいいんだよこんなの!」

「醤油をさしてトドメをさすのよ」

「うまい!パチェに座布団一枚!」

「うるせえよ!ならテメェが喰らいやがれプシュー!」

「むきゅううう!目が!目があァァァァ!」

 

なんかどんどんカオスになって来たわ。

騒がしくも楽しそうな雰囲気だ。

けど病室では静かにして欲しい。

 

「ハァ…ハァ…。冗談よ。柄の方に何か窪みが有るでしょう?」

 

醤油が付いた顔を拭いながらパチュリーは言う。

銀時さんが確認すると、確かに小石程度の窪みがあった。

 

「そこに魔石をはめ込むと、より木刀が頑丈になるようにしといたわ」

「じゃあこれだけでもいいじゃねぇかよ」

「お遊びも入れたかったの」

 

言ってパチュリーは椅子に腰掛ける。

しかし無愛想なあの魔女が良くここまでしてくれるものね。

なんか他に対しては冷たい印象があったのに。

 

「早く退院してぇなぁ。暇で暇でしゃあねぇぜ」

「よく言いますよ。さっきまで師匠を口説いてた癖に」

 

実際師匠の仕事場に行ってダベってた所を連れ戻したし。

みんなが一瞬だけ私をみた後、今度は銀時さんを見出す。

それぞれジト目だったりニヤニヤしたりしていた。

 

「おやおや、お盛んじゃありませんか銀さん」

「うるせぇよ。まぁ確かに永琳先生は魅力的だがな」

「銀さんってもしかしてナース萌えだったりします?」

「男はみんなナースが好きなんだよ。ナース服はな、十点中七点の子を満点に出来る聖遺物なんだよ」

「つまり私が着れば十三点になるって事ね」

「お前の場合は血で染まった服がお似合いだろ。口から薬品出して患者を恐怖に陥れるだけだ」

「私はジェットジャガーか!ゴジラと一緒にパンチすんぞ!」

 

ついで言うと薬品を出すのは白いボディのメディカルジェットジャガーね。

……どうでもいいか。

 

「ところで銀時、あんた神坐について何か思い当たった?」

 

レミリアが言うや、場の空気が静まり返る。

いや重くなったと言うべきか。

神坐と言う名は確か、スキマ妖怪が帰った後の話し合いで出てきた名前。

幻想郷を征服しようなんて馬鹿な考えをする謎の人物。

 

「……いや、全く思い出せん。変な名字だから覚えてる筈──つまり俺が知らない奴だな」

「妖夢に接触してきたのも神坐なのよね?」

「高杉はそう言っていた。分身でお膳立てしたとか」

「なら、里で魔道具の横流しをしてきたのも…」

「神坐かもしれないわ。何の魂胆か知らないけど、神坐はかなりの使い手かもしれない。回収してくれた奴を見ると、こと妖怪を封じるのに優れているわ」

「あながち嘘でも無いって訳か」

「幻想郷相手に勝つってやつ?私は疑わしいわね」

 

さっきまでの馴れ合いから一変してみんな真剣な面持ちで話を始める。

もう私が入る余地は無い。

残った仕事を片付けるために私は病室から出る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜。

仕事も終わり、私は自室の布団の上に寝転ぶ。

なんか色々あって疲れたわ。

主に精神的に。

 

「………」

 

昼間の事を振り返る。

坂田銀時という男は、どうやら人を惹きつける才能があるみたいだ

見舞いの帰り際、みんなに何であの男に関わるのと聞いた。

 

「ちょっとした借りがあるからよ」

「信仰集めの傍らですが、私が自分からお願いしたんです」

「あいつが面白いから。咲夜も同じよ」

「彼の周りはおもしろい事でいっぱいですからね」

 

四者四様。

理由が違えどもみなあの男に関わる。

従う訳では無い。従えている訳では無い。

対等の───それこそ家族みたいに接する。

 

あれは一種のカリスマか。

魔性のような人望では無く、我らは個にして群であるという絆の集団。

 

絆を力に変える程度の能力。

 

紫は彼の能力をそう言った。

個の力では限界がある。限界があるなら力を合わせる。

そうした思い、祈りが彼の力になる。

結局一人じゃ何も出来ない、弱い力ではないか。

何であの人がそんな力を手に入れたのか。

 

師匠は言った。もう亡くさないように狂い泣き叫びながら戦っていると。

姫様は言った。あなたの武士道は型破りだと。

銀時さんは言った。死ぬまで意地を通すと。

 

何がそこまで彼を動かすのか。

 

「………」

 

気がつくと聞こえる音色。

満月が近づくと、決まって姫様は琴を弾く。

物思いに耽りたくなると弾きたくなるが姫様の弁。

私は静かで、どこか幽玄な音を聞きながら目蓋を───

 

「…?」

 

唐突に音が止んだ。

途中で止めるなんて何かあったのか?

私は気だるげな体を覚醒させながら部屋の外に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい皆さんこんばんは~!

みんな大好き銀さんだよ~!

14500文字過ぎでようやっと俺のターンだ!

ふははははははは!

あ?何でそんなにテンションが高いかって?

ふふふそれはな──────夜 這 い だよ。

俺も男だからさ、溜まるんだよね色々と。

だからこの思い、永琳先生にぶつけて来ます!

唸るぜ俺の股間の魔導書(ブレイブルー)

ディストーションどころかアストラルフィニッシュ決めてやるよ!

もう蒼どころか白に染めるつもりなんで。

お子様はこのままゴーバック。ここからは大人の時間だぜ?

そういや曙光(さくしゃ)がR18書いてみたいとか言ってたな~。

見たい人は感想に書き込めよ。十通くらい来たら書くってさ。

しかし、ここまで来て問題が一つある。

 

「迷ったよ……」

 

居住区まで来たはいいけどさ、どこが永琳先生の部屋か分からん。

ヘタに入っても間違えて騒ぎになるって目に見えてるし。

 

どうしたもんかと途方に暮れて空を見る。

空に浮かぶ光久々とした月。

そういや明日は満月か。早いもんだな。

幻想郷(ここ)に来て二度目の満月。

色々あったよな。 

仲間が出来た。万事屋を作った。依頼をこなした。

そして───妖夢と戦い、高杉と再会した。

 

神坐零雄。

高杉から聞かされたそいつは、俺を殺そうとしている。 

幻想郷を手に入れるなんてふざけた事を抜かしたそいつは俺が邪魔だと言った。

昼間の会話を思い出す。

帰り際にパチュリーは言った。

 

"神坐はあなたを狙っている。今後も何かして来るなら、こっちも準備しなきゃね"

 

「───なんでそこまで俺を排そうとするのかね...」

 

分からない。分からないから不安になる。

柄にもなく悩んでしまうなと内心頭を掻きながら歩こうとすると───

 

「………?」

 

ふと、足を止める。

風に乗ってどこからか音が聞こえ始める。

琵琶?いや琴の音か。

こんな満月の晩に風流なこった。

少し気になったので誘われるように音の方へ向かった。

 

これは俺の持論だが、音楽はテメーの心を外に表すと思う。

何時だったか源外のジジイが言っていた。

物を造るってのはテメーの魂を現世に具現すると。

物作りならそうかもしれないが、音楽は違う。

テメーの心を現世に表していると俺は思う。

怒る時、泣いてる時、笑っている時、楽しい時など、

同じ曲でも気分によって違う印象を受ける。

ではこの曲はどんな気分だ? 

泣いてるような楽しいような、第一印象としてはそんな感じ。

音のする方庭に面した廊下の方に向かってみる。

そこには───

 

「あら?夜中に笛を吹けば蛇が来るように、琴を弾いたら侍がやってきたわ」

 

輝夜の姫さんがいた。

廊下に琴を出し、月明かりをスポットライトに独り演奏する。

まるで絵本のような幻想的な場面。

思わず見入ったが気持ちを切り替えた。

 

「おうこんばんは、元気してたか?」

「見たとおり元気よ。こんな夜中にどうしたの?まさか夜這いかしら、お目当ては永琳?」

「そのつもりなんだが、部屋が分からなくてな。性欲を持て余してたらここに来たんだ」

「清々しくなるほどはっきり言うわね。ふふふ、夜這いは男のロマンだけど、永琳は手強いわよ」

「いや俺は山は困難なほど燃えるタイプなんで」

「私も同じよ」

 

クスクスと笑いながら隣にどうぞと手を差し出す。

断る理由も無いので取りあえず縁側に腰掛けた。

改めて姫さんを見ると、なるほどこれは美しい。

艶のある黒い髪。僅かに漂う香の匂いが鼻孔をくすぐる。

立ち振る舞いや雰囲気が一線を画していた。

そよ姫さんも綺麗だが、こいつは別格だ。

流石は幻想郷だと一人納得してしまう。

 

二人して月を見る。

俺から特に話す事もないからただただ黙っていた。

やがて───

 

「明日は例月祭ね」

 

姫さんから話題を切り出した。

 

「例月祭?」

永遠亭(うち)で月一にやってるお祭りよ。まぁ兎たちがお餅を搗くだけだけど」

「そりゃ楽しそうだ。その後は餅を食うのか?」

「永琳特性の薬草入りだから食べたらえらい事になるわよ」

 

そりゃあ尚更食べてみたいね。

そう言いながら苦笑する。

 

「そういやさ、聞きたかった事があるんだが、どうして昨日、不老不死について問答したんだ?」

「何故そう思うの?」

「不老不死なんて人間に問うもんじゃねえだからさ。そういうもんは妖怪とかにすればいいのによ」

「ならもし目の前に不老不死がいたら?」

「──────は………?」

 

唐突な告白に一瞬頭が真っ白になる。

不老不死ってまさか……。

 

「そうよ。私と───そして永琳は不老不死なのよ。永遠と須臾の時を生きる存在(とがびと)なのよ」

 

 

 




ちょこっと!銀八先生のコーナー。

銀八「ペンネーム「銀魂大好き」さんからの質問、「デート・ア・シルバーソウルの作者とは知り合い何ですか?」…はいズバリそうです。彼とうちの作者とは覇道神と自滅因子のような切っても切れぬ関係です。設定と本文は向こうと協力して書いています。いわば第七天のようなものです。向こうの折紙に星野郎と罵倒された時には爆笑と同時に泣いてましたよ作者。そんな訳でデート・ア・シルバーソウルの方もよろしくお願いしまーす」









グダグダ座談会 夢の泉の物語

早苗「こたつ最強の組み合わせと言えば猫とミカンですね。猫を愛でながら食べるミカンは格別ですよ」
レミリア「これだから庶民は。こたつにはワインでしょう。チーズも外せないわ」
アリス「日本文化を間違えた外国人じゃあるまいし、こたつにゲームよ」
銀八「こたつの話題から始まった訳だが、最近どうよ?何か変わった事無いか?」
早苗「Fate/ホロウが楽しみですね」
アリス「絶対絶望少女が先でしょう?」
レミリア「何言ってるのよ。相州戦神館學園 八命陣でしょうが」
銀八「やるとしたら絶望少女が先かな。ノベルゲーは時間かかるし。そういや上の方で銀八先生のコーナーやったけどすげー久し振りだよ。もっと質問送ってもいいんだぜ?例えば銀さんがよく行く甘味屋に名前あるのかとか」
アリス「で、結局名前あるの?」
銀八「ツィベリアダ」
アリス「それ11eyesの喫茶店でしょうが!」
銀八「だって白神さんに勧められてやってんのよ。予想以上に長くてビックリだよ。取りあえずリーゼロッテってやつを倒すとこまで進めないと」
早苗「後は龍が如く5もクリアしてませんよね。品田編で止まってますよ」
銀八「やる時間が無くってさ。早めにクリアしねぇとな」
レミリア「私、劫(アイオン)の眼が欲しいんだけどサンタさんくれないかしら?」
アリス「あんたがアレ持ったらガチでチート過ぎるわよ。草壁五宝で我慢しなさい」
銀八「それも無理じゃね?こんな感じの質問募集中だ。感想くるとさ、どんな罵倒がくるかドキドキするんだよね」
アリス「どんだけ自意識過剰?予想以上に銀魂らしくて面白いって感想が多かったわね」
銀八「これを励みに頑張っていこう。それでは皆さん」
三人「友と、明日の為に!」
アリス「ジークハ……あれ?」
銀八「何やってんだよお前……」
アリス「Dies iraeじゃないんかいィィィィィィィィ!?」
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