東方万事屋録 The Fantasm of Silver soul   作:曙光

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「人生には…大嫌いなものを黙って食べなきゃならない時もある。だけど、人が嫌がるものを無理やり食わせる権利は誰にも無い」
孤独のグルメ 井之頭五郎

レミリア「そういう訳で食事に野菜はいれないでくれる?」
咲夜「黙って食べるかお尻を真っ赤にするか、どちらがよろしいですか?」
レミリア「ごめんなさい!ちゃんと食べます!!」
アリス「単純ねぇ…」



第十七訓 身近な人の評価より知らない他人の評価が気になる

「アリスってさ、最近綺麗になった?」

 

唐突に訊かれた質問に、紅茶を飲む手を止めた。

 

魔法の森にある私の家。

客人はいつもの白黒魔法使い、霧雨魔理沙。

たまにやってきてお茶を飲みながら、面白い素材を見つけたの研究成果の報告だのを肴に会話する。

ネタが切れたのかしばしの沈黙の後、ふとそんなことを訊かれた。

 

「……いきなり何いってんのよ」

「だってさ、最近のお前なんか明るくなったっていうか、そんな感じ」

「それは普段の私が根暗だっていいたいの?」

「え、違うのか?」

「………」

 

さも不思議そうに答える魔理沙に苛立ちを覚え

ながら紅茶を飲む。

魔法使いと言うのは大抵引きこもって研究しているので外に出ることは少ない。

私は精々買い物か、人形劇に出張るくらいだ。

人と関わること自体が稀なのだが……。

 

「最近活躍してるそうじゃないか。新聞読んだぞ。繁盛しているようで羨ましいなぁ」

「あんたの場合は立地的な問題でしょう?妖精

や妖怪くらいよあんたの店に近づくのは」

「うるせぇやい」

 

魔理沙は自宅で何でも屋を営んでいる。

店名は「霧雨魔法店」

立地としては魔法の森の奥なので、人が訪れる事態が稀なのだ。

しばしふてくされたようにガーと紅茶を呷っていたが、あぁそうだと言わんばかりに目線をこちらに向けてきた。

 

「そうか、アリスが綺麗になったのって銀時の影響か」

「ブゥッ!?」

「おわ!?汚ねぇなオイ!」

 

いきなり、トチ狂った発言に、口に含んでいた紅茶を吹き出すというあるまじきことをしてしまった。

 

「あぁごめん。……ていうか、何言ってんのよあんた!」

「だってさ、女が綺麗になるって大体男じゃん?そりゃ知り合いの男って言ったら、今までは香霖くらいだけどあいつそんなに外に出ないじゃん?いつも一緒にいるっつうんなら銀時くらいだろ。そりゃ綺麗にならざるを得ないわあっはっはっはっはっは……ぶぅ!?」

 

怒涛のようなマシンガントークを、身を乗り出し頬を掴んで無理矢理止めた。

魔理沙は何かもごもご言ってるが無視する。

 

「あのね、あいつは仕事する上での上司。私は雇われ従業員。借りを返し給料貰う為なの。あまり出過ぎたこと言うと、グラズヘイムの心臓部に差し出すわよ?ちょうど金髪だし」

「わはっはわはっは!ほのへをははへ!」

「まったく……」

 

手を離し解放すると、魔理沙は痛ましそうに頬をさする。

座り直した私は新たに紅茶をカップに注いだ。

 

「まぁぶっちゃけた話───」

 

再び口を開いた魔理沙の次の発言はいたくシンプルだった。

 

「アリスってさ、銀時のことをどう思ってんだよ?」

「───」

 

──その答えを、私はとっさに返すことは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

万事屋の営業時間は朝の九時から夕方十六時。

時間外の依頼は若干料金を上乗せ。

週休二日。給金は五円。(物価が安い幻想郷ならこれだけで二月暮らせる)

主な依頼は店の呼び込み、運び出し、妖怪退治、相談etc etc……。

万の事をする、とはよく言ったものだわ。

ただの何でも屋より、こっちの方が何でもしてくれそうな感じがするわ。

 

午前八時。

開店一時間前くらいに里に到着し、店の準備、農場に向かう人達を横目に万事屋へと歩く。

 

「あらアリスさん、おはよう」

「あぁ、おはようございます」

 

途中、八百屋の奥さんが挨拶してきたので挨拶仕返した。

 

「これから万事屋に向かうのね?これ、銀さんに渡しといて。今朝の採れたてよ」

「いつもありがとうございます」

 

手渡して来たのは瑞々しい大根だ。

よくお裾分けとして畑で採れた野菜をくれたりするのよね。

 

……思えば、変わったものね。

魔法使いと言うのは人と関わらない人種だ。(魔理沙は例外とするけど)

大体里に来てもどこか怯えたような感じがしていた。

それが本来なら当たり前だった。 

けど銀時にはそんなことはお構いなしだ。

独特過ぎる価値観を持って人と妖怪に接する。

あれに感化されたかは知らないけど、住人に気さくに話しかけ掛けてくれるようになった。

………こんな感じで人と関わっているから、変わったなんて言われるのかしらね。

 

 

 

 

そうこうしている内に「万事屋銀ちゃん 幻想郷支店」に辿り着く。

関係ないが家賃は三円。

ここの大家は、裏では相当あくどいことをしてたそうだが、アレ(第七訓参照)以降、真っ当に商売をしている。

アレを他人に喋れば頭が四散する呪いを掛けたと言ったが、あれは殆ど嘘だ。

実際はその時の記憶が曖昧になるという記憶操作の類なのだが、銀時が必要以上に脅した結果だ。

……まぁ、やり過ぎ感も否めないけど。

 

鍵穴に触れ、開錠したのを確認してから日本家屋らしい引き戸を引いて中に入る。

貴重品があるので関係者しか開けられない魔術的施錠を施してみたが、銀時と早苗から指紋認証だなと言われたわ。

外の世界も貴重品を預ける銀行や質屋で使われているそうだ。

幻想郷の魔法、魔術は外の世界では機械や薬で再現可能と聞いたことがある。

外の世界も便利なのが多いのね。

 

中に入って最初に目に入るのはでかでかと「糖分」と書かれた額縁。

本家の万事屋にも同じものだそうだが、なんで「糖分」なのか分からないけどね。

 

「………はぁ」

 

手荷物を置いてソファーに腰掛ける。

今日も一番乗り。

健康優良魔法使いってね。

 

「みんなが集まるまでに時間もあるし、日課をこなしますか」

 

よし、と立ち上がって棚から裁縫道具と適当な布地を持ち出す。

手持ちの人形に紅茶を淹れるように指示を出しながら型紙を布にあてて裁断する。

ここから細かい作業なので眼鏡を着用。

別に目が悪いという訳ではないが、本を読んだり作業に集中する為に掛けている。

前に銀時から、「おお、眼鏡掛けたのか。これで名実共に二代目新八だな」と言われた時はしばき回したわ。

 

弾幕ごっこに使う人形には、中に火薬を仕込んでいる。

人形は人型だ。

人の形をした物は幽霊、妖精の類が入りやすい。

取り憑く前に爆弾として使えば、供養も兼ねて一石二鳥。

ただ消耗が激しいので毎日少しずつ作り置きをしておく必要があった。

簡単な人形なら五分で一個のペースで造れる。

それを一日三十個。

火薬を詰めるなどの仕上げは家でやるとして、さっさとやりますか。

 

 

 

 

 

「うぃ~す」

 

半分過ぎた辺りでやっとこさオーナーが到着した。

 

「おはよう」

「おう。今日も一番乗りか」

「朝が早いからね。───レミリア達は?」

「あいつ今日は寝坊だよ。少し遅れるとさ」

 

相変わらずの重役出勤ね。 

全くいい身分よ。

銀時は部屋の奥側に置かれた椅子に腰掛け、デスクに足を乗せると机に置かれた本を読み出した。

鈴奈庵で借りてきた雑誌や早苗が持ち込んだ漫画だ。

他にもゲーム機を持ち込んだりして、来客がない時はみんなで遊んだりする。

どうもネスが上手く使えないのよね。

もっと練習しなきゃならないわ。

まぁ、溜まった鬱憤は私が操るノエルさんでフルボッコにするだけよ。

 

「…………」

 

ふと、手元を止めて銀時を見る。

雑誌を読みながらアホ面晒して鼻をほじっていた。

……銀時は、このように普段の姿はダメ人間だが、仕事に関しては真摯的だ。

結構器用だし、広く浅くと言った具合に様々な技能を持っている。

万に通ずると言えば聞こえが良いが、要するに器用貧乏ね。

 

「あぁ、駄目だ。先の展開が分かるジャンプなんて苦痛だわ。既知に悩まされたメルクリウスの気持ちがよく解るわ」

 

バサッと雑誌を放り、次にパチュリーが持ってきた妖怪関連の書籍を読み始めた。

妖怪に関して勉強しとけと、レミリア達がやらせてると聞いたが、黙々と学習している。

覚えておいて損は無い、と割り切ってる感もあるだろう。

 

「…………」

 

ふと、昨日の魔理沙の言葉を思い出す。

 

"お前は銀時のことをどう思っているのか"

 

上司と部下と答えたが、実際それ抜きで自分はこいつの事をどう思っているのか。

助けられた借りがある……だけでは無い。

何か、この男の生き様というのに興味があるっていうか、よく分からないものだ。

 

そう言えば、コイツは私達をどう思っているのか。

女だらけだし、そう言った感情とか無いのか。

………少し訊いてみるか。

 

「ねぇ銀時」

「んあ?」

 

読んでた本から顔を上げ、私の方に気怠げな声で答えた。

 

「あんたってさ、私達の事をどう思ってるの?」

「───いきなり何いってんだか。んなもん上司と従業員だろ」

 

───そうきたか。

"達"ではそう言っても仕方がない。

もっと個人を対象にしないと駄目ね。

 

「じゃあさ、レミリアをどう思ってるの?」

「お前な、あいつはスポンサーと家主だよ。それ以上はねぇよ」

「でも深い仲とか言ってたよね?」

「あれはあいつの思い違いです~。基本あいつは虚言癖あるから無視していけ」

「ふーん。じゃあ早苗はどう思ってるのよ?」

「いい加減にしろよお前。早苗は部下、俺は上司。それ以外のなんでもねぇよ」

「ならさ、あんたは"それ以上"になりたいとは思わないの?」

「…………」

 

パタン、と本を畳んだ音が聞こえたと思ったら、銀時は机から立ち上がる。

つかつかと私のそばまで来ると、

 

「このばかちんが!」

「アタぁっ!?」

 

本で頭を思いっきり殴って来たァァァ!?

ていうか、女の頭をおもっくそど突くってどんな神経!?

頭を抑えてうずくまるが、銀時は構わず攻め立てる。

 

「しつけぇんだよお前は!何で好き好んで従業員に手ぇ出すって思ってんだよ!!」

「ちょっ、痛い痛いから───きゃあ!」

 

アイアンクローを振り解こうと暴れるが、バランスを崩してソファから転げ落ちた。

しかし銀時は馬乗りになって私の頭を押さえつけて来た。

 

「一回で理解出来る事を何度も訊いてくるやつはバカだって三連コロネも言ってたぞ!日本語解る?ヴァッセンズィーヤーパニッシェ!?」

「何でドイツ語!?分かった分かったから!!」

「………ったく」

 

おさえてた手をどけて、銀時は額の汗を拭う。

───だが、ここで一つ問題が出来た。

 

「ねぇ銀時」

「あ?まだあんのか?」

「いや、そうじゃ無くて───私らの体勢、やばくない?」

 

そう、今の体勢は銀時が私の上に馬乗りになっている状況。

端から見たら襲われているとしか思えなかった。

もう良いから、誰か来ない内に早くどいてもらわないと───

 

ガラララ。

 

「すみません遅れました。神奈子様と諏訪子様が朝食のおかずの取り合いでケンカし……てまして……」

 

───刮目せよ。

これが、無間大紅蓮地獄(せかいがせいしする)というものだ。

 

「「「…………………………」」」

 

時よ止まれ。時よ止まれ。時よ止まれ。

この刹那よ永遠となってくださいお願いします!

止まっている間にこの体勢をなんとかしたい!

誰かァァァ!私らを赤い夜に封印してぇぇぇぇ!

 

「あの、早苗……」

「違うからな、これは違うよ?なんか、突然黒甲冑の六人組が襲撃してきたんだ。俺達は死闘の末撃退に成功したんだ。だから───」

「銀さんなんて……銀さんなんて、皐月駆と一緒ですよォォォ!!」

 

誤解を解こうにも、説得にも応じず早苗は外に駆け出した。

 

「何でアイツを罵倒の文句に使った!?俺幼なじみを下着姿で外に連れ回してないから!!───憧れはあるけど」

「あるんかい!いいから早く追い掛けて誤解を解くわよ!!」

 

急いで立ち上がり外に出る。

早苗はすでに遥か遠くを走っていた。

 

「早苗ぇぇぇぇ!俺はコイツと何にもありませぇぇぇぇん!」

「大声出すなァァァ!余計な誤解が生まれるからァァァァァァ!!」

 

───結局、三十分掛けて早苗を捕縛。

その途中で色んな人から奇異な眼で見られたことが恥ずかしかったわ………。

 

 

 

 

「じゃあなんでもないんですね?」

「だからそう言ってるでしょう」

「あぁ良かった。このまま昼ドラテイストな話になるのかと想いましたよ」

「どんな心配よ……」

 

なんとか説得は出来た。

銀時は後は任すわ、と行った具合に静観してるから私が頑張ったわよちくしょう。

───まぁいいか。

この際だから意見を訊かせてもらおうかしら。

 

「早苗ちょっと……」

「はい?」

 

外に出るように促して、私達は立ち上がった。

早苗は不思議そうな顔をしているが、二つ返事ついてきてもらう。

外に出た私達はドアの横に立ち、私は壁にもたれるように寄りかかる。

 

「どうしたんですか?」

「いや、ちょっとした意見というか、……あんたは銀時の事をどう思ってるの?」

「え?」

 

問われ、目をパチクリさせる早苗。

突然こんな事を訊かれたらそうなるわよね。

 

「どうしてそんな事を?」

「いや、なんとなくというか。こんな事を一緒にしてるんだから何かあるのかなってね」

 

言うや早苗はそうですねぇと顎に手を当てた。

 

「私は銀さんの事をお父さんみたいだなって思ってます」

「お父さん?」

「私、小さい頃に両親を亡くしたんですよ」

 

───失言だったか?

予想以上に重い話になってしまった。

 

「私の家はみんな女性でした。だからか、銀さんをお父さんみたいだなって」

「あんなのが父親なら私は速攻でグレてるわよ」

 

言うと早苗はクスクスと笑った。

確かに、銀時はなんだかんだ言っても面倒見がよい。

父性的、と言えば聞こえは良いが、おっさんくさいとも言えた。

 

「アリスさんはどう思ってるんですか?」

「私?」

 

訊かれ、髪を弄りながら宙を仰ぐ。

 

「……恩人よ。命の、なんて厄介なもんだけど。その借りを返すためにスカウトに応じた。それだけよ」

「そうなんですか?私はてっきり、銀さんが好きだからと思ってました」

「なぁっ!?」

 

突如トチ狂った発言に、思わず早苗の方に顔を向ける。

 

「そんなわけないじゃん!私があいつの事好きとか、獣殿が座を握るくらいあり得ないわ!」

「そこまでボロクソに言わなくても……」

「大体、それ言ったらレミリアはどうなのよ。絶対あいつに好意を持ってるわよ。あのなんちゃってギルガメッシュみたいなヤツが」

 

レミリアはかなり銀時に協力的だ。

あの高慢ちきに翼が生えたやつは、端から見ても分かるくらいあいつに好意を抱いている。

アイツを知っているやつなら、なんの前触れかと言うほどに。

 

「あぁ確かに、あのお子ちゃま吸血鬼は銀さんの事を好いてますよね。背丈と胸と器が小さいのに───」

「それは関係ないでしょう東風谷早苗。あまり舐めた事言ってると、気化冷凍法で氷漬けにして、オブジェとして飾ってあげようか?あーん?」

「お嬢様は氷の魔術って使えましたっけ?炎を出す印象しかないですけど」

 

声のする方に顔を向けると、いつの間にかレミリアと咲夜が到着していた。

もうそんな時間なのね。

 

「出ましたねかりちゅま吸血鬼」

「出てきたわよスイーツ巫女。あんたらこんなとこで何してんのよ?銀時は?」

「中にいるわ。……そうだ、あんたにも訊きたいことがあるわ」

「何よ?」

「あんたって、銀時の事をどう思ってるのよ」

 

こいつが一人の人間に入れ込む事態が異変に等しい。

霊夢は……お気に入りだけど銀時とは少し違うか。

 

「ん?また妙な事を訊くわね。私はあいつの事が好きよ」

「………」

 

しかし、この吸血鬼はあっけらかんとそう答えた。

 

「あいつさ、昔惚れた男にそっくりなのよ。性格とか」

「ていうかレミリアさんに男がいたこと自体が驚きですよ。そのロリ体型で」

「しばき回されたいのかあんたわ。まぁ、告白する前に死んじゃったけど」

 

──少し、空気が重くなるのを感じた。

それを察してか、レミリアが口を開いた。

 

「そんな訳であいつに入れ込むのはそういう事情よ」

「──それって、昔の男と重ねてるって事?」

「前まではね。でも今は違うわ。銀時はゲオルグ(あいつ)じゃない。色々あって吹っ切れたから、今好きなのは銀時(あいつ)よ」

 

そう苦笑するレミリアの横顔は、女の私ですら見惚れるほど綺麗だった。

吸血鬼ゆえか、たまに妖艶な雰囲気を出すから困るのよね。

 

「けどあいつ、それ言っても「ハイハイワロスワロス」って相手にしてくれないのよね。全く困った奴よ」

「そりゃロリコンでも無い限りそんなお子ちゃま体型を相手にしないですよ。なんでいけると思ったんですか?」

「お前ホント私を怒らすのが好きだな!その身長とオッパイ(ちにく)を根刮ぎ剥ぎ取ってやろうかァァッ!!」

 

ついにキレたレミリアは早苗に掴み掛かろうと詰め寄った。

しかし早苗はレミリアの頭を押さえつけホホホと笑っていた。

 

「じゃあ咲夜は銀時をどう思ってるの?」

「私?」

 

じゃれあう主を微笑ましく見守る咲夜に声を掛けると、従者は少し考えるように首を傾げた。

 

「そうね、飲み仲間かしら。晩酌がてら話をしたりするの。新作のお菓子の審査もしてもらってるし、アイデアを貰ったりするわ」

「ふーん……」

 

銀時は自他共に認める甘党だ。

年がら年中甘味を食べてると思っている。

紅茶にドバトバに砂糖を入れる様は、少し胸焼けがしてしまう。

それでいて太らないんだから、ちょっと羨ましいと思ったけど。

 

「おやおや、賑やかですね。お祭りでも始まるんですか?」

 

ふと声を掛けられたのでそっちに向けると、うちの広報兼情報担当、射名丸文がやってきた。

文が出現しても、早苗とレミリアはじゃれあうのを止めないけど。

 

「あら、どうしたのよ?基本こっちから呼ばない限り自由行動なのに」

「この間の新聞のネタ代を持ってきましたよ」

 

あぁ、確か発行部数の四割だったかしら。

ここは会計担当として貰っておかないと。

 

「確かに受け取ったわ」

「それにしても何を騒いでるんですか?」

「ああ……」

事の経緯を話すと、文はほほうといやらしく笑った。

 

「それはなかなか興味深いですね」

「これを記事にしたら、あんたの羽根を手羽先にしてゴミ箱に棄てるわよ」

「せめて食べてください!いやそれもおかしいか。大丈夫ですよ、こんな面白い事は私だけの物です」

「──じゃああんたはどう思ってるのよ」

 

この空飛ぶパパラッチがそんな事言うなんて、何か裏があるとしか思えないが、しかし文は違うとかぶりを振った。

 

「そうですね、私は単純に面白いと。彼の生き方を見守って楽しむことですかね」

「ふーん………」

 

偽り無くそう答えたが、恐らく観衆的な立ち位置だろう。

煽るだけ煽ってその様を堪能する、厄介な位置ね。

 

「それにしても……」

 

ふと、文が口を開いた。

 

「なんて言うか、皆さんが長い時間一緒にいるなんて珍しいですね」

「そう言えば…」

 

言われるまで意識してなかったが、少し前までは一緒に行動するなんてなかった。

用事がある時や宴会以外の事で長くつるむこと自体がまれなのだ。

 

「これも銀さんの影響ですかねぇ。あの人は自然と周りに人を集める天性がありますよ」

「厄介事に巻き込まれやすい……とも言えるわよ」

「アハハ、それは仕方がない──伏せてェェェェェェ!!」

 

突如、怒号を上げながら文は私達の前に立つように躍り出て、腰から取り出した天狗の証である楓葉の扇子を振り払った。

逆巻く風が、こちらに向かって飛んできた"何か"を空高く舞上げる。

 

あれは、大砲の弾?

目を覆う私達が微かに見えたソレは、空中高く飛び立つと、花火のように炸裂した。

 

「いったい何が」

 

起こったのかと、文を除いて誰もが思ったが、通りの向こうから誰かが歩いてきた。

 

「防がれたか。まぁあなたならそれくらい出来なくては面白くないですよね」

 

やってきた誰か、白い髪と耳を持つ少女が小型の大砲を抱えてやってくる。

やがて、大砲を地面に置き、両手を合わせてお辞儀を一つ。

 

「どーも万事屋さん。射名丸スレイヤーです」

「えらく限定的なスレイヤーだなおい!」

 

文の声が、静まり返った里に響き渡った。

 

 

 

 

 

「ほんとにあんた何考えてるの!?ここでんなもんぶっ放して、里と山の関係にひびが入ったらどうするのよ!!」

「その時は、「森羅万象の遍く出来事は、射名丸文のせいだ」って言えば万事解決ですよ」

「なんで私がアンリマユみたいな扱い!?」

 

騒ぎになりかけたのを、私が意識を操る魔術で収めた。

周りにいる人間は、花火が上がったか?程度の認識で済んだけど、本当に何考えてるだろうこの天狗は……。

 

「てかあんた、今日は非番だからにとりのとこに行くとか言ってなかった?」

「そのつもりだったんですけど、工房の整理が忙しいとかで相手にしてくれませんでした。良い機会だから、噂の万事屋を見に行こうかなって。文さんを撃ったのは──日課みたいなものですよ」

「それだけで撃たれたら堪らないわよ……」

 

憔悴するようにうなだれる文の姿は、見ているこちらも哀れに感じてしまう。

いつもこんな感じなのかしら?

 

「お~い、さっきから騒がしいんだけどなんかあったのか?」

 

騒ぎを聞きつけたのか、銀時がひょいと顔を出す。

ていうか今まで寝ていたのか全然出て来なかったわね。

 

「お、全員揃ってるか。……一人知らんヤツがいるけど、白狼天狗だっけ?」

「おおこれはこれは。あなたが噂の坂田銀時さんですね。白狼天狗の犬走椛と申します」

 

すると、椛はススっと前に出て自分の名前を明かした。

 

「あぁどうも。とりあえず全員中に入れ。咲夜ぁ、茶を入れてくれ」

「ええ……」

 

指で中に促す銀時に従い、私達は中に入る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「この間山に来たとき、うちの部隊と戦りあったそうですね。その時負った怪我が数日治らないって言ってましたよ」

「あぁそりゃあお気の毒に」

「おもっくそ他人ごとですね。あなた、うちらから恨まれてますよ?」

「こっちは急ぎの用事なのに通さなかった向こうが悪い」

「まぁ確かに天狗は融通が利きませんから」

 

出されたお茶を飲みつつ会話する二人。

山に行った際の小競り合いについて話し合っていた。

私らは特に何も言わずに二人の会話を傍観するだけだ。

 

「噂以上に剛毅なお方ですね。白狼天狗の隊を退けるなんて」

「過大評価だろ。あの時は奇策が通じたからな、まともにやってたら苦戦してたわ」

「ご謙遜を……と言いたいですが、天狗は基本慢心の塊。それでいて頭が固いときましたよ」

「──椛さんって性格変わりました?」

「ん?」

 

と、ここで割り込んだのは早苗だ。

椛と銀時はそちらに顔を向ける。

 

「いや、前に会ったときはもっとこう……堅物な印象がありましたから。こんなフレンドリーな姿では無かったような」

「ほう、私の黒歴史を持ち出すとは、神をも恐れぬ行為ね」

 

どんな行為よ……。

私はそんなに会話する機会がないから分からないが、山に住んでる早苗なら会う機会も多いだろう。

椛はふぅ、と湯のみを机に置いて楽な姿勢になった。

 

「いやぁ、文さんがあまりにも自由過ぎてね。懲らしめる意味で暗さ……験比べを仕掛けたのがきっかけでした」

「今暗殺って言いかけた?」

「なんかもう、新しい自分を開拓した気分よ。今までの私は、仕事に邁進する頭でっかちだって事を身に染みたわ。これからは真面目に不真面目に生きていく事にしたの」

「──俺さ、あんたに似たヤツ一人知ってるぞ。既知感ってやつだ」

「へぇ、その人と友達になれますかね?」

「Zeroのキャスターと龍之介みたいな感じだな」

「ふーん、表面上の付き合いだけにしておけって事か…」

 

納得したように椛は再びお茶を飲む。

……銀時の交友関係は興味あるが、とりあえずロクなやつがいないってことが分かったわ。

 

「こっちは毎度毎度、危険に晒されて困ってんだけど」

 

頃合いをみたのか、文が眉を細めて口を開く。

そりゃ堂々と嫌がらせしてくるなんて誰だって嫌だろうけどね。

 

「大丈夫ですって。文さんならあれくらい軽いでしょう。まぁ一種の信頼表現みたいなものです」

「そんな表現いらねぇぇぇ!!」

 

カンラカンラと椛は笑う。

あれは他人をおちょくって楽しむタイプね。

まぁ文以外に向かないのが救いだろうけど。

 

「それにしても、いきなり押し掛けたのに手土産一つ無いのは無粋でしたね」

「いいよんな気ぃ使わなくても」

「いえいえこれは天狗の沽券に関わります。そこで土産話を一つ。──あなた、山の上層部から目を付けられてますよ」

 

……不意に、空気が重くなるのを感じた。

椛が語る話は、それほどの重量あるものだった。

 

「……どういう事だ?」

「あなたが幻想郷に来てから大体数ヶ月くらいですよね?あなたはその間に、紅魔館、守矢神社といった勢力と手を取り、あまつさえ妖怪の山(うち)で結構な地位にある文さんまで抱え込んでいます。もうあなたは、万事屋という他勢力を纏めた一つの勢力という認識がひろまっていますよ」

 

それを聞いて一つ思い出したのはこの間の幽香の話だ。

 

"あなたに挑みたいという妖怪達がいる"

 

つまり、坂田銀時という人間を強者として認められていると同時に、幻想郷のバランスに携わり始めたという事だ。

 

「上層部もね、出る杭は打つべきだって主張すれば、関わらずに現状維持すべきだって言う派閥が出来始めている。あなたはもう、危険視されているに等しいわ」

「…………」

「これに関したら文さんが詳しいと思いますよ」

「文が?」

 

文を見ると、バツが悪そうに顔を背けている。

まるで隠しておきたい事をバラされた子供のような印象を受けた。

 

「大天狗様から命令で、坂田銀時について報告しろって言われたそうじゃないですか。それについて何か言うべきことがあるんでしょう?」

「───。ほんとに質悪いわねあんた」

 

観念したように文がこちらに顔を向け、深々と頭を下げた。

 

「まず最初に謝ります。新聞であなたの事を取り上げた日、大天狗様から呼び出されました。さっき椛が言ったとおり、私は山ではそれなりの地位にいます。曰わく、短期間で様々な勢力を抱え込み、手足の如く使う人間に興味があると。だから──」

「それを利用して情報を得ようと、お前さんに命じたって訳か?」

「………はい」

 

深く、うなだれるように文が呟いた。

理屈は分かる。

来てすぐの外来人がどこかの勢力に属するという訳ではなく、それを取り込み、一勢力として立ち上がった。

他の勢力からすれば脅威に映っただろう。

だから文の肩書き──情報兼広報担当という地位を利用して動向を見張ろうという魂胆って訳か。

 

「ふーん。まぁ別に構わねぇけどな」

 

しかし、銀時は文を咎めるという訳ではなく、ただそうなのかという感じにだらけだした。

 

「……私は結果的に裏切り行為に等しい事をしましたよ。何か言うべきことがあるでしょう」

「いやだってさ、俺は勢力とかそんなのに興味無いし、向こうが勝手にそう思ってるだけだろう。それに俺は、こいつらを道具とかそんな風に思っちゃねぇよ」

「じゃあどう思ってるの?」

 

やっと口を開いたレミリアの問い掛けに銀時は気恥ずかしそうにお茶を飲みつつ、

 

「──仲間だよ」

 

ポツリと呟いた。

 

「ふふふ…」

 

静寂を破るような含み笑いが響き渡る──椛だ。

 

「なるほどなるほど、面白いですね。文さんが肩入れするのが解りますよ。この人は面白い」

 

心底楽しそうに笑う椛に、多少不気味さを感じたが、本人はそんな空気もなんのそのといった感じで姿勢を正し、口を開いた。

 

「あなたにとって武士道とはなんですか?」

「……我を貫く事だよ」

「その我とは?」

「護ることだ」

「その護るものとは?」

「身近なヤツだな。仲間、知人、家族、知ってるヤツがピンチなら駆け付ける」

「もし裏切られたら?」

「そいつごとぶっ飛ばす」

 

唐突に始まった問答。

椛と銀時は淡々と繰り返すように語り合う。

……これを聞いていると、こと銀時は"護る"というものに拘りがあるように感じた。

そう言えば銀時って戦争経験者だったわね。

後学の為に聞いてみたいが、訊いても適当にはぐらかす。

まぁ、本人にとって話したく無いのだろうけど。

 

「自分が傷だらけになってもそれを貫けるの?」

「護れたなら安いもんさ。傷は男の勲章って言うだろ?弱いとか軟弱だから付くんだって言う輩は、相手の痛みを知ろうとしない臆病者の戯れ言だと思うね」

「たとえ生きたとしても、大切な人からしたらどう思われますか?」

「……殴り飛ばされることは覚悟しなきゃな」

 

しかし、銀時の答えは……なんというか自分を疎かにしているように感じる。

サバイバーズギルト……に近いモノかしら?

人としては自分を大事にするが、侍としては、捨て身になってるような……そんな感じ。

 

「最後です。──もし、山の妖怪達があなたの命を狙うとしたら、あなたはどうしますか?」

 

椛の最後の質問は、銀時の命を狙われたらどうするか。

絶対に無いとは言えない。

可能性としては十分にある。

出る杭は打たれると、椛は遠巻きながら警告を出していた。

 

「売られた喧嘩は買うだけさ」

 

……それを銀時は、笑いながら答えた。

上等だやってやると、本気でそう言ったのだ。

 

「正気ですか?山の妖怪達と戦争ですよ?」

「戦争ってさ、要は喧嘩だろう?相手に不満があるから起こすんだ。そこらのガキの喧嘩と大差無いさね。俺はちょっと前に、だった五人で国一つ相手に喧嘩したんだぜ。大したもんじゃねぇさ」

「………」

 

国一つ、と言うのが気になるところだが、銀時の答えははっきり言って無謀だ。

あそこは文字通りの人外魔境。

とても一人で相手出来る訳が無い。

 

「その時は、私も加勢するわよ」

 

そこに、割り込んできたのは紅い吸血鬼。

立ち上がり、血が凍る程の冷たい眼で椛を睨み付けていた。

 

「コイツの身の上は紅魔館(うち)が預かっているのよ。ちょっかい出すというなら、私らも黙ってないわよ。そうよね咲夜?」

「……まぁ、お嬢様がそう仰るなら。私も個人的に天狗(あなたたち)の親玉に文句があるの。天魔って名乗るなら、時を止めるなり死の世界を展開するなり異能を封殺するなりしなさいってね」

「いや、あんただけ論点違くね?」

 

……咲夜のおかげで幾ばくか軽くなったが、緊張状態はいまだに続く。

 

「あの~、私も参加します」

 

──が、ここで意外な人物が手を挙げた。 

……早苗だ。

 

「早苗、あんたはどちらかと言えば山側でしょう?」

「ですよねぇ、神奈子様に怒られますよねぇ……でも、銀さんがピンチなら、私は駆けつけますよ」

 

むむむと頭を抱えていたが、意を決したように答えた。

……時々銀時を恐ろしく感じるのは、こういったように多くの心を動かすことだ。

幻想郷に住まう者は、基本自分達に関わらないことなら無視をする。

それが、一個人の為に協力を惜しまないようにするカリスマ性が、銀時の才能なのかもしれない。

 

「………じゃあ私も参加するわよ」

 

そして、かくいう私もそれに魅せられた馬鹿なのかしらね。

 

「アリスさん………」

「ああ勘違いしないで、私は義理を果たすために参加するのよ。碌に返していないのに死なれたりしたら困るだけよ」

 

──昔の私なら、こんな事は言わなかった。

他人が何しようと、自分に関わりなければ無関心だったのに、銀時と関わりだしてから日に日に変わっていく自分がいる。

……なんでだろう?

よく解らない感情が胸に渦巻く。

コイツ一人の問題なのに、関わらないといけない気持ちが大きくなっていく。

 

「……たく、頼んでも無いのにゾロゾロと……」

「あら、こんな美少女が助けてあげるってのに素っ気ないわね」

「どこに美少女がいるんだよ。俺には南海の孤島で守護神を讃える歌を歌っていそうなチビしか見えねぇが」

「波のようにやって来て殴るぞコノヤロー!」

 

波のようにやってくるのは守護神の方なんだけどね。

……いや、今はどうでもいいことよ。

これって明らかな宣戦布告よね?

こうなったら妖怪の山に目をつけられるかも。

あ~あ、早急過ぎたかなぁ。

 

「………はは、はははははは」

 

だが、椛は怒るのでは無く笑った。

 

「いやいや面白い、やはり来て良かったですよ。ご安心下さい、今日の事は報告はしませんよ」

「椛……あんた」

「文さんだけずるいですよ、こんな面白い人間を一人占めしようなんて。それに、あなた大天狗様への報告を偽ってますよね?」

「え…?」

 

報告を偽った?

ちょっと待って、それじゃあ文は……。

 

「この人に危害がいかないようにワザと過小評価で報告してたんですよ。大天狗様は出不精だから騙せても、この私の耳と鼻は誤魔化せませんよ。まぁ、バレたらエラい事になるでしょうが」

「……見返りは?」

「高級吟醸酒「血染花」で」

 

……………………………。

よく分からないけど、とりあえず戦争は回避出来たってことよね?

……まぁたとえ発端しても、霊夢や紫辺りが出張って来そうだけどさ。

 

「しかしいきなり問答を仕掛けて来て驚いたぞ。最近多いんだよなぁ」

「そりゃ妖怪、こと天狗は元々、仏教徒や修験者を堕落させようとする悪魔の類ですからね。生きのよい人間を見るとちょっかいを掛けたくなるんですよ」

「………その割には子供を攫う逸話が多いよな。だからロリコンやショタコンなんて呼ばれるんだろ」

「見込みある子供を鍛えるのが好きですからね。かの義経公もそんな経緯で鞍馬天狗が師事してましたし、昔は気に入った人間を嫁や婿にしてたそうですが」

「は~、光源氏計画ってやつか」

「あ~あ、私も生きのよいショタっ子を調きょ……鍛えてみたいなぁ」

「うん、お前もかなりやばいって事がよく分かったわ」

 

不穏な事は残るけど、とりあえずなんとかなったってことかしらね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ今日はこんなもので、私は帰ります」

「まぁしばらくは大丈夫でしょうが、その時が来たら手加減してお相手しますよ」

 

昼過ぎくらいに、文は別の所でネタ集め、椛は河童の所に行くからと言って帰って行った。

 

「ところで文さん、今夜飲みに行きません?」

「いいけど、あんたへの見返りを買うから金欠よ」

「じゃあはたてさんも誘いましょうよ。ベロベロに酔わせて全額奢って貰いましょうや」

「………あんたって臆面も無く外道な事が出来るわよね」

「天狗ですからね」

 

姿が見えなくなるまでそんな会話をしていたが、なんやかんやで仲が良いわよねあの二人。

 

「あれ?まだ昼前か。もっと長い時間話してた気分だわ」

「でも小腹が空いたからお昼にする?」

「あぁ今朝大根貰ったわよ」

「じゃあ大根おろしとあと一品くらい作れそうね」

「私ご飯炊きますよ」

 

ゾロゾロと中に入る私達。

昼ご飯の支度に掛かる早苗と咲夜。

ソファーに座って待つ私と銀時とレミリア。

香霖堂で貰ってきた、炊飯器って言う機械で炊くならあと三十分てところかしら。

………え?電気はどうしたって?

そういうことはパチュリーの管轄よ。

 

「にしてもあれよね。あんたって知らない内に敵を作ってない?」

「向こうが勝手に言い掛かりを付けて来ただけだろ。俺は何にも悪くありませ~ん」

「そんな脳天気な事を……」

「それでも売られたなら買うまでさ。今までもこれからもな」

 

楽しそうに銀時は笑った。

……この男の根幹は無鉄砲さで構成されてるのかしら。

 

……ふと、銀時が私達をどう思っているかを思い出した。

"仲間"と銀時は答えた。

さっきは従業員だの部下だのと答えていたが、多分本人に面と向かって言うのが恥ずかしいからそう答えたのだろう。

……男のツンデレなんて流行らないわよまったく。

 

「そう言えばさ、あんたはアリス(わたし)の事をどう思っているの?」

 

訊きそびれた事を尋ねてみた。

銀時は息を吐きながら宙を見て一言。

 

「ツッコミ役だよ。お前いなかったら多分飽和状態になってると思うからな。これから頼んだぞ二代目新八」

「だからなんで新八!?」

 

結局、そう言う役回りか。

思わずツッコんでしまったが、私は別にこの空気が嫌いでは無くなってきている。

変わっていく自分に不安はあるが、まぁなんとかなるのが人生だ。

私が万事屋(ここ)にいるのも人生経験の一環。

……それだけよ、と聞こえないように呟き、昼食が出来上がるまで人形作りを再開するのだった。

 




グダグダ座談会 烈火の剣

銀八「先月さ、ゴジラとるろうに剣心の実写を借りてみたんだよ。面白かったなぁ、士々雄さんがハマり役だったし」
レミリア「恐ろしいけど魅力的な風貌だったわね。ゴジラも迫力満点で最高だったわぁ。やっぱりマグロ食ってるやつとは大違いよ」
アリス「あれに怒りを覚えるのは仕方がないけど、あまり批判的な事はよしなさい」
銀八「あとさ、「結界師」読みながら「Tiger&Bunny」見て、「ゴッドイーター2 レイジバースト」しながら艦これ、ガルパン、暗殺教室、Dog Days見てネタ集めの時間を短縮してた」
早苗「ちゃんと頭に入ってますか?」
銀八「ぶっちゃけ結界師が怪しい。まぁ後はWiki見ておさらいすれば大丈夫だろ。あぁそうだ、最近艦これにハマってんだよ」
アリス「とうとう手を出したか。まぁ軍艦×美少女に食い付かん男もいないでしょうね」
銀八「と言ってもブラウザ版はプレイしていない。五月に出る「艦これ改」をプレイしようと思ってるのさ」
早苗「初期艦は誰にするんですか?」
銀八「吹雪にしようと思ってるが、お前ら気に入った艦娘っている?」
レミリア「私はビスマルク」
早苗「響ちゃんですかね」
アリス「大和かな」
銀八「俺は間宮さんだなぁ。あのあんみつを一回食ってみてぇな」
レミリア「そして、私は新たなジャンルを身に付けるわ!」
銀八「なんだよ突然」
レミリア「雷から誕生した新ジャンル「ロリおかん」!これを身に付け、私は東方二次創作に新たな風を吹かすのよ!」
銀八「お前がおかんを名乗るのに圧倒的に母性が足りねぇ。せめて胸部装甲を身に付けてからにしろ」
レミリア「何だとぉぉ!?暁の水平線に沈めてやろうかぁ!?」
銀八「あぁん!?工廠に連れ込んで2ー4ー11にしてやろうかぁ!」
早苗「止めて下さい二人とも!喧嘩するなら、私は那珂ちゃんのファンを止めます!」
アリス「何でよ!那珂ちゃん関係無いでしょう!?」
銀八「あいつはファン一人減ったら三人増えるから大丈夫だろ。とりあえず今回はここまでだ。質問、感想お待ちしてます」
早苗「それでは皆さん、アウフ・ヴィーダーゼーン!」
三人「ジークハイル・ヴィクトーリア!」


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