東方万事屋録 The Fantasm of Silver soul   作:曙光

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「女の方が、血に耐性があるんだよ。あと、いざという時の度胸もね」
Dies irae 氷室玲愛

銀時「血って要するに……」
咲夜「それ以上はいけない」



第二訓 神社に行ったら賽銭は基本。えっ違う?

「ん……」

 

目を覚ました。

知らない天井だとお決まりのことを思いながら起き上がる。

ここどこ?と思ったが、頭が冴えてくると昨日のことを思い出した。

確かレミリアとかいうチビが俺を召喚したんだったな。

某ツンデレ魔法使いではないが色々衝撃的だったぜ。

壁の時計をみれば現在午前8時。

ソファーから立ち上がり窓まで歩いていく。

昨日は暗くてよく見えなかったけど、今なら景色がよく見える。

 

「へぇ、これはまた....」

 

窓から見える景色はなかなかの眺めだ。

大きな湖と森がよく見える。

そう言えば、ここは文化や歴史から必要とされなくなったり、忘れ去られた奴が来るんだったな。

この自然の多さもそれに比例してんのかねぇ?

皮肉な話だ。

下を向くと噴水付きの立派な中庭。

花壇には薔薇の花が所せましと群生している。

あと花壇の陰になんか黒い影が見えるが、ここからじゃ遠くてわからん。

 

コンコン

 

と、ここでドアがノックされる。

次いで入ってきたのはメイド長の十六夜咲夜。

 

「おはよう。よく眠れたかしら」

「おお、おかげさまで」

 

朝の挨拶もそこそこに咲夜が、

 

「朝食が出来たからついてらっしゃい」

 

と言ってきた。

ありがたい。昨日からメシ食ってねぇし腹ペコだ。

さっそく案内され部屋を出る。

 

 

紅魔館の廊下は床や壁が目に痛いほど紅で構成されている。

視力が落ちそうだが、窓の景色のお陰でなんとかなりそうだ。

ふと前を見ると、4、5人ほどの集団が歩いてくる。

咲夜と同じメイド服を着た少女達。

俺と咲夜に挨拶すると直ぐに通り抜けていった。

背中に昆虫を思わせる羽が見えたが、

あれはなんだ?

 

「ここで働いてる妖精メイド達よ」

 

疑問に思っていると咲夜が教えてくれた。

しかし妖精か。

しかもメイドとはますますファンタジーだな。

 

「まぁ実際、働いてるのは一割くらいで残りは遊んでたりするけど」

「それ雇ってる意味あるの?」

 

意味ねぇだろそれ....。

そういや昨日レミリアが咲夜がこの館の管理してるって言ってたが、

まさか一人で?

 

「最近来たゴブリン達がよく働くからある程度楽に出来るようになったけど」

 

ゴブリンってあれか?ポッターさんに出てくる。

頭はいいが愛想の無いやつだって言う。

じゃあさっき見た黒い影はゴブリン達か。

 

 

そうこうしてる内に食堂につく。

中に入ると、美鈴以外の全員が揃っていた。

レミリアは不機嫌な顔してるけど。

 

「遅い」

 

開口一番は文句。

というか、吸血鬼なのに朝起きていいのかよ?

 

「私をまたすなんていい度胸してるじゃない」

「起きたばっかで無茶言うなよ。てかお前吸血鬼なのに朝起きて大丈夫なのか?」

「日に当たらなきゃ大丈夫よ。それと、昨日私の誘いを断るとはどういう了見よ」

「いやレミィ。あなた500歳以上だけど見た目が10代ぐらいだから彼の範囲外何じゃないの?」

「そーだそーだ。牛乳飲んで背ぇ伸ばしてこいちび助」

「なんだとぉぉぉぉぉ!!」

 

キレるレミリア。

それでもあんまし怖くねぇな。

 

「そういや、昨日大変だったんじゃねぇか?こいつ寝かすの」

「そうねぇ。なかなか寝てくれないから首を絞めて落としたわ」

「こいつホントに従者!?」

 

怖ぇよこの人!なんでこんなさらりと言えんの!?

 

「さぁさ。御飯にしましょう」

 

次の瞬間現れる料理。パン食か...。

米が食いたかったがハラ減ってるからいいか。

 

「....もういいわ。それより今日の予定よ」

 

諦めたのかレミリアが席に着く。

 

「昨日宴会がどうの言ってたよな?」

「そうよ。神社で花見をするの。霊夢と紫に話を聞きにいくの」

 

昨日のゴタゴタで聞きそびれたが、その二人について聞かないといけないな。

 

「その霊夢と紫って誰だ?」

「そうね。簡潔に言えば....」

 

レミリアの話を纏めるとこうだ。

 

この幻想郷の東に博麗神社という施設があり、

結界の管理や調整が行われている。

霊夢とはその神社の巫女で歴代の中でも群を抜いた才能を持っている。

彼女は主に妖怪達が起こす異変の解決を担当し、妖怪達から畏怖の念を抱かれていた。

そして幻想郷の闘い、「スペルカードルール」を設けたのも霊夢である。

 

また新しい単語が出てきたので「なにそれ?」と聞く。

 

「要するに、制限を掛けた模擬戦よ」

 

ここでパチュリーがバトンタッチ。 

 

「妖怪の中にはね、危険過ぎる能力や力を持ったやつらが大勢いるの。それらがぶつかり合うと周りに被害が出る。そこで本人達と周りが楽しめるように弾幕という形で、美しさと華麗さを競い合うの。初めは驚くけど少し落ち着いてみれば、結構避けられるわ。夜だと花火みたいで綺麗だし」

「要はスポーツか。でも俺弾幕は出せねぇぞ。かめはめ波は出したいけど」

「最近は格闘を交えたルールもあるわ。命名決闘法。弾幕ごっこ。呼び方は幾つもあるけど、これのお陰で妖怪と人間の差は大幅に縮まったわ。避けるだけだしね。幻想郷の揉め事も大体これで解決するわ」

 

成る程ね。

幻想郷の事が大体分かってきたな。

後は...。

 

「その霊夢ってやつはどんな奴だ?」

 

すると、みんな顔を合わせて話始めた。

なに?一言じゃ纏まらない奴なの? 

 

「なんて言うか、脇巫女よね」

「やたら賽銭入れてけって言うし」

「なんやかんやで面倒見が良いわよ」

「そうそう。おかんて感じで」

「そして怒らすと怖いです」

 

全員の意見聞いてもよく分からなくなっていた。

とりあえずすげぇ奴って事が分かったわ。

さて次は...。

 

「紫って奴は?」

「八雲紫ね。この幻想郷を作った妖怪の賢者よ」

 

ここで口を開くのはレミリア。

やけに真剣な顔で八雲紫について語り出した。

 

曰わく妖怪の賢者。

曰わく神隠しの主犯。

少女に見えれば美女に見えるとも。

ある意味妖怪らしい妖怪。

摩訶不思議にして複雑怪奇。

神出鬼没の大妖怪。

それが八雲紫。

 

「紫は、境界を操る能力を持ってるの。万象、概念、物質の境界を操り意のままに世界を作ることも出来るとさえ言われるわ。そして何より...」

 

ここでレミリアがまた口を閉じた。なんだ?まだ何かあんのか?

 

「胡散臭い」

 

........。えっ?

 

「胡散臭いのよね。よくわからない言い回しとか」

「ふらりと現れては掻き乱して悠々と去っていくし」

「たまにメルクリウス並みにウザく感じるのよね」

「そのくせ面倒事は丸投げしたり」

「起きてる時間より寝てる時間の方が長いし」

 

.....おう.....。

散々な言われようだが、めちゃくちゃな奴って事がよく分かったわ。

 

「しっかし、普通に妖怪がいるなんてやべぇよな。ここにゃアーカードの旦那みてぇな怖~奴もいんのか?」

「その怖い妖怪なら目の前にいるわよ。ふふふ.....」

「おいやべぇぞフラン。こいつ自分のこと怖い妖怪だって言ってるぜ。痛々しい、痛々しいよ」

「お姉様は怖いよりかわいいがお似合いなのにね」

「だからあんたら何でそんな仲良いの!?そしてフラン!あなた後で褒めてあげるわ!」

 

かわいいは嬉しいのかよ......。

 

 

 

時刻は夕方頃。

そろそろ神社に向かう時間となり、俺達は門の前に集まっていた。

門番である美鈴も行くみたいだが泥棒とか大丈夫なのか?

 

するとパチュリーが、

 

「いつも来る泥棒は宴会に行くから大丈夫よ。何かあってもゴブリン達が対処するから」

 

とのこと。

いつも来るのか泥棒よ。

ここで咲夜が、

 

「先に行って話をつけてきます」

 

といってまた姿を消した。

便利だよねぇ、ザ・ワールド。

俺も欲しいなぁ。

 

「さぁ。出発するわよ」

 

レミリアの号令で俺達は博麗神社に向けて歩を進めた。

因みに吸血鬼姉妹は日傘を持っている。

まだ日が出てる時間帯だからか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なに?レミリアが異世界から侍を召喚した?何やってんのかしらあの吸血鬼は....。ちょっと大丈夫なのそいつ?なんか投影魔術使うとか、全てを殺す眼を持ってるとか訳わかんない能力とか持って無いわよね?」

「大丈夫よ。持ち物は小汚い木刀と小銭しか入っていない財布だけだし。危険とは思わないわ」

「いや別の意味で危険だと思うけど」

 

博麗神社。幻想郷の東に位置する神社である。

ここで春の宴会が行われると、神社に多くの人が集まっていた。

各々酒と肴を用いて今か今かと待っている。

人では無い者もチラホラいるが便宜上人としておく。

 

悪魔のメイド十六夜咲夜はレミリアたちより早く到着し、女性に昨日主が起こした出来事を話していた。

それを聞くや女性は、呆れるやら心配やらな感じでいる。

少女とも見えるし妙齢の女性とも見える。

かと思えば、存在が希薄だったり密度が詰まっているように思えたりと、雲を掴むように思える存在感。

妖怪の中の妖怪の賢者。

八雲紫。

 

「幕末で侍対宇宙人かぁ。まるで映画ね。それだと探すのに時間が掛かるわよ。歴史から違うからすぐには無理だし。普通に外の世界なら霊夢に任せるのにね」

「そう言えば霊夢は?」

「裏の物置から宴会用の道具を出してるとこ」

 

取りあえず戻れる保証は出来たので咲夜は安堵する。

時間は掛かるが、必ず帰れると聞けたのは収穫だ。

あとはこれを主に知らせなければならない。

すると階段のあたりから聞きかじった声が聞こえてきた。

 

「件のお侍様がお付きのようね」

 

 

 

 

 

 

「いやぁ驚いたぜ。木陰からいきなり飛び出してくるから普通にびっくりしたぞ」

 

神社までの道中。

木陰から舌の付いた唐傘を持った少女がいきなり、

うらめしやーと脅かして来た。

するとレミリアが「表は蕎麦屋」といってデコピンかまして追い払う。

すごい泣いてたけど大丈夫なのか?

パチュリーによるとあれは傘の付喪神らしい。

俺には傘持った女の子にしかみえねぇが。

 

「見た目に騙されちゃダメよ。人間にしか見えなくても、本質は妖怪だから気をつけないと喰われるわよ」

「そうは言ってもさぁ、道中妖精やら見てきたけど遠目は人間にしか見えねぇぞ。知らねぇ奴はコスプレとしか思えないだろ」

 

世の中には、

喰われる事がご褒美だっつー業の深い輩もいるわけよ。

まぁ美少女に喰われる最期なら嬉しいだろうけど。

 

「見えてきたわ。あれが博麗神社よ」

 

レミリアに言われて前を向く。

少し先に小高い丘の上に立つ鳥居が見えた。

ようやくついたか....。

出発して一時間ちょいくらいか?

 

 

石段を登る。

少しキツく感じるからもう少し斜度を低くした方がよくないかと思う。

 

「毎度この階段が辛いのよね」

「丘の上だからね。上からの景色は見ものだけど」

「美鈴。そのカバンの中なに?」

「お酒とお弁当ですよ」

 

皆が会話する中お先にと境内に到着した。

石畳の参道と両端にあるのは灯籠。

奥には本殿がある。

なかなか広いな。

すでに境内には人が集まっている。

これ殆ど妖怪なのかね?

全く見えねぇ奴が多くて分かり辛いな。

 

本殿の方に目を向けると咲夜を発見。

隣に誰かいるがもしかしてあれが...。

 

「八雲紫よ」

 

言うや咲夜の所へ向かうレミリア。

俺も後に続く。

 

「お姉様。お待ちしてました」

「いらっしゃい。また面倒を起こしてくれたわね。初めまして坂田銀時さん。私が八雲紫よ」

 

咲夜の隣の女性。

八雲紫はまさに不思議としか思え無かった。

見る度に姿が変わりそうな不安定さ。

なるほど確かに...

 

「胡散臭いな」

「えっ?」

「確かにお前の言うとおり胡散臭いを人型にしたような感じだわ」

「いきなり失礼な事言うわね。そしてあなた達は普段私の事をどう思ってるのかしら?」

 

じろりとレミリアと咲夜に目を向ける。二人は速攻で目を逸らす。というか顔を逸らした。

 

「まあいいわよ。で、事情は咲夜から聞いたわ。結論から言えば、時間は掛かるけど帰すことは出来るわよ」

「マジか。いやぁよかったぜ~。このまま帰れねぇとか嫌だったし。ありがとうババア」

「うん。取りあえず一発殴らせて」

 

拳をググッと握る八雲さんを無視する。

気分いいから賽銭入れるかと賽銭箱の前に立つ。

すると周りからざわりと声がしたが気のせいだろう。

 

「ちょっと銀時。なにしてんの?」

「何って賽銭に決まってんじゃん。神社来たら賽銭は当然だろうよ。少なくとも作者は常にしてるぞ」

「言っとくけどこの神社、祭神が不明だからどんな願いが範囲なのか分からないわよ」

「良いんだよ。こういうのは気持ちが肝心よ。え~と確か....」

 

頭の中で賽銭の作法を反芻する。財布の中身は567円。500円は残して67円を入れるか。

賽銭を入れる。鈴を鳴らす。二礼二拍手一礼。

 

よし終わりと顔を上げた瞬間。

こちらに向かって走って来る足音。

ザザーと砂埃を上げながら現れたのは巫女だ。

紅白の巫女服、

しかし脇の部分が空いているというへんてこなファッション。

大きなリボンをした少女が、もしかしてこいつが件の博麗霊夢か?

 

「いま賽銭入れたの誰!?」

 

すると皆一斉に俺を指差した。

ちょっとなにこの悪いことの擦り付け合いみたいな空気?!

すると、

つかつかとやってきたと思ったらいきなり手を掴んでくる。

 

「ありがとう!よかったら中でお茶飲んでいって!」  

 

すごい笑顔で言われたので、

少し戸惑いながら俺達は神社の中に案内された。

 

 

 

 




銀八「おまけの銀八先生のコーナーだよ~。今回もご覧くださってありがとうございます。今回は区切りの良いとこで終わったけど、ほんとなら次回の話も含めたかったんだけど、長くなるので今回はここまでです。原作タグが東方に変わってたけど、なんかホーム画面から銀魂タグが消えて一発で行けなくなったので東方にしました。ご迷惑をお掛けします。あと、皆さんに質問何ですが、多機能フォームのルビタグってやつがいまいち使い方が分からなく困ってます。よろしければ、うちのダメ作者にご教授お願いします。今回はここまで。さようなら~。
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