東方万事屋録 The Fantasm of Silver soul   作:曙光

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「女の影でバトルの解説でもしてろってか、ンな男は死んでもいいだろ」
Dies irae 遊佐 司狼

アリス「まぁうちは九割九分女性だけどね」
咲夜「だから男には肩身が狭い世界観なのよ」



第五訓 山で人に会ったら挨拶がマナー

紅魔館の大図書館。

迷宮と形容できる程の広さと蔵書量は幻想郷だからこそのスケールと呼べる。

よくここの名前はヴワル魔法図書館と言われてるが、あれはあくまで紅魔郷4面道中の曲名であり、図書館の名前では無い。

そんなメタな話題から始まったわけだが、今俺はその図書館の中にいた。

読めない本や見たことある雑誌が並び立ち、どこ向いても本しかない。

 

巨人の身長のごとく巨大な本棚が無数に乱立する通路を歩く。

壁まで本棚だからここの本を把握するのは至難だろう。

小悪魔の指示の下、蔵書チェックと整理に奔走するゴブリンたちを横目にここの主を探す。

 

今朝方、パチュリーから話があるから来て欲しいと言われたので来たわけだが、ここは広すぎてどこにいるのかわからん。

しばらく歩くと開けたスペースに着く。

そこでようやく見つけることができた。

 

「いらっしゃい。よく来たわね」

 

読んでいた本から顔をあげる紅魔館の魔女パチュリー・ノーレッジ。

こんな本まみれの場所だと精神的にキそうなものが無いのだろうか。

読書家の考えることはわからん。

 

「用事ってなに?俺これから二度寝しようと思ってんだけど」

「もっと起きてる時間を大事にしたら?やれることが無くなってくるわよ」

「寝ずに本を読み続けるなんてしたくないね」

 

魔法使いに寿命は無い。

───いや、正確には"無くした"と呼ぶべきか。

魔法使いには二種類ある。

生まれながらに魔法が使える者と、努力して魔法を会得した者。

前者はパチュリー、後者はアリスと魔理沙だ。

魔法を習う過程で、寿命を捨てる捨虫か、食事と睡眠を捨てる捨食の魔法。

このどちらかを修得して魔法使いとなれる。

だが体の強さは人間と同じで、殴られたら普通に死ぬこともある。

命に関わらないからとメシと睡眠も娯楽感覚になってるそうだ。

便利に見えるけど、俺にはごめんだわ。

ちなみに魔理沙は捨虫も捨食も修めずに魔法使いを名乗ってるらしい。

パチュリーから言わせれば、"人間と魔道の真ん中を歩く半端もの"だとさ。

 

「貴方の木刀、ちょっと見せて欲しいのだけど」

「木刀を?」

 

俺の愛刀、洞爺湖と彫られたこの木刀はやたら頑丈なのが売りで、色んなとこで活躍してくれる。

あとなんか変な精霊みたいなのが憑いてるからお祓いでもしてもらおうかな。

 

「何で木刀なんかに興味あんだよ。大したもんじゃねぇぞ」

「侍の武器って言うと刀なのに何で木刀なのか興味があるだけよ。研究者の暇つぶしみたいなものね」

「…………」

 

な~んか怪しいな。

まぁ俺が困る訳でもあるまい。

 

ほれと木刀を渡す。

パチュリーがそれを受け取ると念入りに観察しだした。

柄を握り、軽く振ったりしては色々試している。

大したもんでも無いのに何を真剣になってんだろ。

やがてパチュリーは木刀を置くと手を額に当て考え出す。

少ししてこちらに顔を向ける。

 

「この木刀、どこで手にいれたの?」

「え?そりゃ洞爺湖の仙人から頂戴したありがたい木刀だよ」

「嘘ね」

 

....あっさりと看過されたよ…。

江戸の奴らはこれで通せたのに。

一応なんでそう思うのか聞く。

 

「仙人から貰ったならもっと神性さが有るはずなのにこれには感じられない。俗世を離れて己を高める求道者である仙人が作ったなら、加護や霊気が付く筈なのに。だから嘘と思ったの」

 

うーん。ここまで言われちゃぐうの音も出ない。

仕方ないので本当のことを話そう。

 

「通販で買った安物だよ。頑丈だから使ってるだけ。柄はサービスで彫ってくれたやつ。なんで洞爺湖かはなんとなくだよ」

「通販で?買うときに何か言ってなかった?」

「セールス文句か?確か辺境の星にある樹齢一万年の樹から作られたとか何とか」

 

それを聞いて、なるほどと頷くパチュリー。

 

「で、結局何なんだよ」

「樹齢一万年...なるほどそういうことか。時間的概念なら神代に匹敵するわね。でも木刀としては作られて精々数年くらい、それだと矛盾が...」

 

だめだ聞いてない。自分の世界に入り込んでブツブツと口を高速で動かしてる。

 

「いや、元が一万年の樹ならそれなりに引き継ぐ筈。根本的な概念?元の道具の一部から作られたものなら能力もある程度受け継ぐパターンもあるから...」

 

........................................。

 

「おい聞いてんのか紫もやし───」

 

瞬間、俺は宙を浮いた。

 

「プゲラ!!」

 

なんてことはない。

ただ手に持ってた辞書サイズの本で思いっきり殴られただけだ。

2メートルちょい吹っ飛ばされて床に落ちる。

幸い鼻血だけで済んだ。

てか魔法使いはみんな軟弱って絶対嘘だろ...。

普通に魔法(ぶつり)使ってくるし...。

 

「あっごめん。つい夢中になって」

 

いや、絶対紫もやしで反応しただろ...。

迷いなくぶっこんできたし。

そんなことは知らぬ存ぜぬ聞こえんわと言った具合にパチュリーは、

 

「で、私なりに考えた結果何だけど」

 

木刀についての説明を始める。

 

 

「結論から言うと、その木刀は妖怪や魔に対して効力を発揮するの」 

 

パチュリーから言われた言葉は一周回って意味が分からない。

いきなりそう言われてもいまいちピンと来ねぇな。

大体それはやたら頑丈な木刀なのになんで妖怪に効くわけ?

 

「ねぇ銀時。妖怪を倒す武器って何を想像する?」

 

妖怪を倒す武器っつたらそりゃ.....。

 

「伝説の武器とか?ロトやDMCみたいな」

「まぁそれも一つね。要するに曰く付きよ。妖怪に傷をつけたとか、特殊な製法で造られたとか。妖怪は肉体は強いけど精神的な攻撃に弱い。つまり、思いを込めて造ったり、信仰がある武器は妖怪、ひいては魔を打倒する力があるってこと」

 

なるほど。

要はこの剣は魔を打ち倒したって広めれば、実際に魔を倒す力を持つってことか。

 

「そしてもう一つは時間、歴史の積み重ねによる武器よ」

 

指立てながらずいっと近づいてくる。

なまじ美人なだけに顔を近づけてくると緊張するな...。

 

「時間という歴史を積み重ねた道具は、それだけで魔に対する力を持つわ。普通の武器でも数百年立てば立派な対魔刀になる。他にも加護を付ける方法があるけど、単純な強さならやはり歴史が長い方が強い。──で」

 

席に座り直したパチュリーはちらっと木刀を見る。

 

「樹齢一万年。神代に値する樹から造られたこの木刀は、単純な歴史の長さから対魔刀の側面があるわけよ」

 

そうして、パチュリーは区切りをつけて紅茶を飲み始めた。

専門的なことは分からんがつまり、この木刀は妖怪退治にゃもってこいってわけか。

 

「ちなみに、これで殴られたらどうなるんだ?」

「恐らくは数日は癒えない傷を負うわね。じわじわと追い詰める感じで使えば」

 

つまり必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)みたいな戦法をとれってか。

まぁこの木刀の効果は分かったし、これからも重宝するな。

 

「で、もう一つ用事があるのよ」

 

話はこれで終わったかと思ったらまだあるのか。

勘弁してくれよ。

この時点で2500文字は越えてるぞ。

 

「すぐに済ますわよ。....銀時。貴方モニターやってみない?」

「モニター?」

 

確か新商品の試作品をテストするやつだよな。

何でまた?

 

「私は趣味と研究を兼ねて魔法具を作ったりするんだけど、使う機会が無くて効果を試せないの。そこで貴方にテストをしてもらいたいわけ。ちゃんとお礼はするわよ」

 

...まぁ。面白そうだし、やってみっか。

 

「いいぜ。ちゃんと礼は弾めよ」

「ありがとう。じゃあまずこれをあげるわ」

 

パチュリーは机の引き出しからごそごそと何かを探す。

やがて取り出したのはポーチだ。

ウエストタイプではなく、レッグタイプのポーチを渡してくる。

 

「私が作った道具を入れる収納ポーチよ。見た目小さいけどかなりの収納量がある魔法のポーチ。取り出したい物を思い浮かべればすぐに取り出せるから便利よ。ごちゃごちゃしないし」

 

ドラえもんの四次元ポケットかと思いきやポケモンのリュックか。

あれも結構物入るよな。

自転車からモンスターボール99個まで。

付ける脚はどちらにしようか迷ったが、利き腕の反対側の方が取り出しやすいと思い左足につけることにした。

 

しかしなんだな。

これドラクエみたいでワクワクするな。

 

「で、使って欲しい道具なんだけど....」

 

この後、パチュリーから道具の説明で30分の時間を使った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後二度寝する気も失せたので人里にやってきた。

ここで万事屋を開く為に地理の把握がてらぶらぶらと歩く。

最初は紅魔館に構えようと思ったが、聞くと道中危ない上に不気味だって近寄る人が少ないそうだ。

美鈴相手に試合を申し込む物好きくらいしかやってこない。

ならば里に構えた方がいいと思ったからだ。

 

ちなみに今バイクはない。

前回壊れた上、ブレーキをつけて貰いたいからと修理に出した。

早く店開いて稼がないと取り立ててもらった利子が高く付く。

その前に店となる家はどうするかな....。

 

「ああ、坂田さん。ちょうどよいところに」

 

ぼんやり思案してると寺子屋の教師、上白沢慧音さんが声を掛けてきた。

いつの間にか寺子屋近くまで来たようだ。

 

「なんですか?帰ったらなのポやりたいと思ってたんですけど」

「それいつでもできませんか?」

「先生、プレシアが紙装甲すぎるわFDB当てにくいわで使いにくいんですけどどう思います?」

「そこはロング主体に臨機応変で....。いやそうじゃなくて」

 

ペースが乱されたようでコホンと仕切り直す慧音さん。

 

「実は頼みがありましては、守矢神社に届け物をお願いしたいのですけど」

「守矢?」

 

確か山の上の神社だったけか。

 

「最近の里の近況を纏めた冊子を今日中に届けたいのですが、別の用事がありまして.....。お願いできるでしょうか?」

 

妖怪の山か...。

まだ入ったことないしちょっと面白そうだな。

───あっそれなら...。

 

「慧音先生。この辺で空き家とか有りませんか?」

「空き家ですか?」

「店を構えたいんですけど、紅魔館じゃ客も来ないだろうし、人が多い里に出したいんですよ」

「分かりました。私から聞いておきますので、この冊子をお願いします」

 

言って渡してきたのは大体A4くらいの紙が数枚纏めてある冊子。

軽く目を通すと里の流行りや需要があるもの、たわいのない噂話が書かれていた。

 

「頼んでおいてなんですが、お一人で大丈夫でしょうか?山の天狗たちは排他的で苦労すると思いますが....」

「それなら私がついていくわよ」

 

振り返るとそこにいたのは先日知り合ったアリス・マーガトロイド。

手に大きめなバックを持ってるから人形劇の帰りだろうな。

 

「珍しいわね。あなたが名乗りをあげるなんて」

「別に。そこの男に借りがあるし。こいつが一人でいったら大事になるでしょうから」

「おいそれどういう意味だコラ。俺の顔は変質者に等しいことか?」

 

青筋を立てながら睨むが、こいつはフンと華麗にスルーしやがったよ。

 

「まあまあ。それならお願いしますね。私の方で物件を探してみますから」

 

慧音先生が宥めてきたので気を取り直す。

ここで言っても無駄だしさっさと行くか。

 

「じゃあいくぞ」

「はいはい」

 

アリスを伴い、俺達は妖怪の山に向かうのだった。

 

 

 

 

妖怪の山。

幻想郷で山と言えばここを指すと言われている。

険しい山道、美しい滝や渓谷。

実りの良い木々があり、秋になれば紅葉を観るついでに採取する人も多くいる。

しかし、山の奥には妖怪たちや八百万の神々が跋扈する屈指の危険地帯と言われる。

他とは違う独自の社会を築き、非常に仲間意識が高く余所者には排他的なので山の全貌は明らかになっていない。

昔は鬼を頂点とし、天狗と河童を従えた社会があったが、

山から鬼たちが去り、変わりに天狗たちが引き継いで山を治めている。

近代的な生活をしてるだとか外の世界に行ける方法があるとさえ言われ、謎の多い所となっている。

 

俺が聞いた妖怪の山についてはこんなものだ。

憶測やら想像が多くどれが本当か分からない。

しかし、宴会で会ったブーメラン幼女、伊吹萃香の言っていたことと山の歴史は合っている。

今この山を支配してる天狗たちは相当人見知りが激しいようだ。

自分たちの領土に入ってきたら問答無用。

なるほどこれは厳しそうだ。

 

守矢神社に近い山の入り口にある「いつまでたっても入山禁止」の看板をスルーして俺たちは山道を歩く。

それなりに道は整備されてるから歩きにくい訳ではない。

入り口近くだからか勾配もきつくないし、またまだ余裕はある。

 

「目的の神社はどんくらいで着くんだ?」

「何もなければ一時間ちょっとね」

 

横にいたアリスに聞くとすぐに帰ってくる返事。

一時間も登り続けるのか。

こりゃ明日は筋肉痛かもな。

 

「──────」

 

それからはしばらく終始無言。

黙々と山道を歩く。

たまに後ろを振り返って付いてきてるか見るくらい。

 

しばらくして湧き水が出る場所を見つけたので一旦休憩をとる。

山の冷たい水が乾いた喉に心地いい。

一息つくと、同じように水を飲むアリスにあとどれくらいだ?と聞く。

帰ってきた返事はここまでくれば後少しよだった。

 

「しかしお前も物好きだな。ここまでついてくるなんて」

「別に暇つぶしよ。あんたが何するのか見届けるだけだしね」

「ただの使いじゃねぇか。そんな大層じゃねぇよ」

 

.....会話がつながらねぇ.....。

ぶっちゃけこんな山道で女と二人で何話せばいいのか分からん。

しかしいつまでもこんなんじゃ駄目だ。

何か話題を───

 

「そういやさ。これから行く神社の神様ってどんなんだ?」

 

今出来る話題って言えばこれしかない。

まずは情報が大事だし。

 

「守矢神社には三柱の神様がいるの。山の神の八坂神奈子、湖の神の洩矢諏訪子、現人神の東風谷早苗の三人が神社にいるわ」

「あれ?早苗って緑の髪した人だよな?あの子神様なのか?」

「人間であり神様よ。偉業を成した人間は、生きながら祀られるの。英雄とは違う、神様としてね」

 

───神様ねぇ。

あの子にはそんな感じしなかったけど。

人に近しい神様ならそうでもないか。

現人神って要は、「俺らに出来ないことを平然とやってのける。そこに痺れる憧れるぅ!」な人がなるってことか。

あれ?ちょっと違う?

 

「最初は幻想郷の信仰を自分たちのものにしようと山の奴らと揉めてたらしいわ。その後霊夢と魔理沙がやってきて解決したみたいだけど。要するに、新しい信仰を集めるための大々的なパフォーマンスね。今は持ちつ持たれつの関係のようよ」

「色々めんどくさいな」

「山の政策に守矢神社は干渉出来ないし、麓から神社までのロープウェイ計画も天狗たちと今も揉めてるそうよ。つまり頭が堅いのよ天狗たちは」

 

閉鎖的だから外と交流を持つことを頑なに断ってる訳か。

それでいて外に干渉しまくる。

めんどくさいことこの上ないな。

 

「天狗たちに見つかったら厄介だな。そろそろ行くか」

 

もう十分休んだしさっさと用事を済ませよう。

よいしょと立ち上がり進もうとした瞬間───

「.......」

 

空気が変わる。

今まで弛緩した神経が一気に研ぎ澄まされる。

5...8...9...10人か...。

巧妙に気配隠してるようだけど、こうも敵意を向けちゃばればれだわ。

 

「どうかした?」

 

アリスが心配そうに聞いてくる。

気づいてないのかよ甘ちゃんめ。

 

「どうやら奴さんに気づかれたようだぞ。おい出てこいよ!隠れてんのばればれだぞ!」

 

瞬間───俺たちの前方に飛び出してきたのは、白い髪の少女たち。

その頭には犬の耳、腰には尻尾が付いていた。

それぞれが剣と盾を持ち、中には槍と弓を持っている奴もいやがる。

その中で前に一歩進んで来たのは、この集団隊長とおぼしき女天狗。

 

「我々は白狼天狗の哨戒組である!山への侵入者よ。即刻に立ち去れ!この警告を聞かぬ場合は、力づくで排除する!」

 

凛としたよく通る声が山道に響く。

だがここで一つ疑問ができた。

 

「白狼天狗ってなに?」

「年老いた狼が変化した天狗よ。狗賓、木の葉天狗とも呼ばれたりするの」

 

ちょっとした疑問を横にいたアリスに聞くと、帰ってきた答えで納得する。

天狗といえば鴉天狗や大天狗が有名すぎて他の天狗なんて知らなかったな。

 

「あーあ、もたもたしてるから見つかったじゃない」

「お前の話が長かったせいじゃねぇの?」

「ハァ!?あんたが聞いてきたんでしょ!?」

「説明は3行で簡潔に述べろって、ハンムラビ法典にも書かれてんだよ。魔法使いなのに勉強不足だね~」

「いやそんなこと書かれてないわァァァァ!」

「貴様ら私を無視するなァァァァ!」

 

いい感じの漫才を邪魔したのはさっきの隊長さん。

空気読めねぇな。

 

「すんませ~ん。守矢神社に向かいたいんですけど、通してくれませんかね?」

 

とりあえず説得してみるが...。

 

「駄目だ。侵入者は何人も通さない。それが我々の役目だ」

 

やっぱり無理か。

通るだけなのにお堅い奴らだね~。

さてどうしようか。

このまま揉めてちゃ時間食うし、早く帰らねぇとレミリアがうるさいし...。

 

「あっ…そうだ」

 

レミリアから連想して思い出した。

アレ使えんじゃね?

 

「よしアリス。下がってろ」

「銀時?」

 

一歩前に出ながら左足のポーチに手を入れる。

手のひらくらいの大きさだが中は千尋の谷のように深い。

パチュリーは取り出したいものを頭に浮かべれば取り出せると言っていたな。

そうなると取り出すのはあの道具....。

 

「警告無視。総員構ぇ!」

 

号令に従い、一斉に構え出す白狼天狗たち。

狙うなら攻撃の瞬間。

そこで勝負は決まる───

 

「掛かれぇぇぇ!!」

 

突撃の合図の瞬間───

 

「ほらよ」

 

ポーチから取り出して投げた物体が連中の足下に着弾する。

次の瞬間───

 

ボオオオオン!

 

白い煙が一面に広がった。

 

なによこれ!?前が見えないわ!鼻が痛いよぉ!ゴホッゴホッ!皆落ち着いて!列を乱さないで!

 

 

十分効果はあったみたいだな。

パチュリーから渡されたのは特殊な爆弾。

ただの爆弾ではなく、着弾したら様々な効果を発揮する代物だ。

今投げたのは単純に煙幕弾。

しかも妖怪が嫌いな薬草を使ってるので動物の妖怪には高い効果を発揮する。

他にも火炎弾、大風弾、流水弾、閃光弾がある。

 

さて敵は総崩れ。畳み掛けるなら今だな。

愛刀洞爺湖を抜き、連中に一気に躍り掛かかる───!

 

えっなに?ぐふぅ!あっ貴様!がはっ!おのれ人間の分z...いぎぃ!いっ、一旦退け!大天狗様に報告を!椛はどうしたの!?あの子は今日休みよ!

 

不利とみるやすぐさま撤退を始める天狗たち。

いい判断だぜ隊長さんよ。

士気がダダ下がりじゃまともに連携もとれまい。

撤退する天狗たちを見送ってから木刀を収め、後にいるアリスの方を向く。

 

「終わったぜ。増援が来ない内に早く行こうや」

 

アリスは呆気にとられた顔をしていたが直ぐに呆れるやら感心やらな顔になった。

 

「あれだけの数相手によくやるわね」

「馬鹿言うな。不意打ちだから良かったけど、まともにやり合ったらこっちが危なかったわ」

 

山に住む天狗とは戦い方が違うし、山道じゃこちらが不利と判断したから不意打ちで対処した。

相手が只の人間と油断したおかげもあるだろうけど。

 

「色々面倒くさい事になるかもだし、早く神社に言って事情を説明しましょう」

 

まぁ確かに哨戒の奴ら追い払っちゃったから、今度は話し合いじゃ済まなさそうだよな。

神社まで後少しなので、俺たちは急ぎ気味で山道を進んで行った。

 

 




教えて!銀八先生のコーナー
銀八「なんやかんやで第五訓まできたし、今回から質問コーナーを始めます。別に餃子が付くわけでもねぇから期待はするなよ」
アリス「中華屋さんか!てかこれ始まって1ヶ月経つけど感想10で質問3なのよね…」
銀八「銀魂タグから東方タグに変えたせいかね~。東方タグは修羅の巣窟だよほんと。更新して30分で10こくらい更新してたし埋もれやすいわけよ。グラズヘイムより地獄だよあそこは」
アリス「またDies iraeネタ?好きよねほんとに…」
銀八「作者が好きだからね。じゃあやるか。
記念すべき一通目。零ミアさんからの質問。
「銀さんの能力はどうするのですか?」
この話では二つの能力が目覚める予定です。一つはある意味主人公らしい能力。二つはこの物語を通じて覚醒する能力です」
アリス「返信欄で既に答えちゃったけどね。てか二つも?」
銀八「そうだよ。霊夢も霊気を操るのと空飛ぶってあるじゃん。お前も魔法使うのと人形操る能力だし」
アリス「まぁ能力は自己申告だし、言い方変えただけで元が同じなのもあるからね」
銀八「次は☆SAKA☆さんの質問。
「銀さんVS幻想郷はやるのか」
やると言っちゃやるけど、最終的に共通の敵を一緒に倒すみたいな感じで行きます」
アリス「軽くネタバレをしたわね」
銀八「あと幽香についてですが、宴会の時挨拶しようとしたけどレミリアが、「関わると厄介よ」と言ってくるので話さなっただけです。今後何らかの形で話すかも。
最後の質問はうーばーさんから。
「ヒロインは誰ですか?」
ズバリ3人予定してます。増えることは有りません。興味持ったり関わってくる程度です」
アリス「名前答えて無くない?」
銀八「そこは察して下さい。感想質問ありがとうございました。ほんとは六訓の話まで入れたかったけど、パチュリーのくだり入れたせいで次回に持ち越しです。作者も無計画なとこあるよな~。足下お留守状態だよ」
アリス「まぁまぁ、彼も頑張ってんだし。そういえばレミリアがいないけどどこ行ったのよ?」
銀八「出番ねぇからってふて寝してる」
アリス「子供か…。随時ご感想お待ちしてます。今回はこの辺りで、さようなら~」
銀八「早く帰って寝るか」
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