東方万事屋録 The Fantasm of Silver soul   作:曙光

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「真実はたった一つ。亡くしてはならない光(ひかり)があるから。ここに生き恥晒してんだよ。もう誰もいなくなってしまったこの宇宙でな!俺の女神に捧ぐ愛だ。他は何も見えない。聞こえない。ただ忘れないだけだ。俺は彼女を愛している!来るがいい第六天ーー貴様の宇宙に俺が亀裂を刻んでやる」
神咒神威神楽 天魔・夜刀

咲夜「蓮……」
レミリア「前作知ってると泣けるわねこのセリフ」
銀時「やつは漢の中の漢だよ…」




第六訓 頼れる男に憧れるのが女の子

私の名前は東風谷早苗。

ここ守矢神社で巫女をしてます。

 

正確に言えば風祝。

風の神を奉る人だけど仕事は巫女と同じなので同一視しても問題なし。

外の世界から幻想郷に引っ越してからはや数年。

慣れない事もありましたが元気にやっています。

 

私の家系は代々二柱の神様に仕える一族。

現人神の末裔がこの私。

秘術を用いて人々を救っていったら、いつの間にか神様と同じ扱いを受けていた。

神に仕える巫女なのに神様として崇められるなんておかしな話ですけど。

 

外の世界、つまり私の故郷は今は科学の時代。

災害も農耕も科学の力で賄えるから、今の時代は神様なんて必要がない。

今でも人気ある神様は学業、恋愛、IT関係などでしょうか。

まぁIT系は最近できた神様ですけど。

日本の神様は人々の信仰があって存在できる。

どれだけ強い神様も信仰されなかったら死ぬことと同じ。

私は信仰が無くても人間として生きていけますが、仕えてる神様は違う。

 

神奈子様と諏訪子様は神様だから、このままではいずれ消えてしまう。

そして神奈子様は決断した。

新天地で新しい信仰を得るため神社と湖ごと引っ越そうと。

つまり外との決別。

友達や馴染んだ文化との永遠の別れ。

怖くもあったけど幻想の世界に行けるという楽しみがあった。

それから色々あったけど、今はとても楽しい。

新しい友達もできたし、妖怪退治という楽しみも出来ました。

そういう事もあり私は悟った。

この幻想郷では、常識にとらわれてはいけない、と。

 

「早苗~。ちょっといい?」

 

あっ、いけないいけない。

つい夢中になっていた。

二柱の一人、諏訪子様が声を掛けてくるまで気付かなかった。

特徴的な蛙の帽子を被った童女姿の神様は子ども頃からの遊び相手。

里ではあの帽子が本体だとか自立出来るとか言われたりします。

私も最初はそう思っていましたし、

ケンカした時によく帽子の方を攻撃したなぁ。

 

「なんでしょうか?」

「もうすぐさ、麓から使いの人がくるみたいだから出迎えといて」

「分かりました」

 

守矢の信仰は主に山の妖怪を中心に集めているが、麓にも分社を作って信仰を集めようという神奈子様の意向もあり、

こまめに里の情報を流して貰っている。

私が営業の時に直接集めて来るのに神奈子様は、

 

「お前だけだと何かと不安だからね。信用できる人からのやつと照らし合わせたいの」

ですって。ひどいと思いません?

それはともかく、私は部屋から出て表に向かった。

 

 

 

 

時刻は昼過ぎくらい。

待つついでに参道の掃除をしていると、使いの人らしき影が見えてきた。

急いで箒を直し出迎える用意をする。

階段を登る音と共に男女の声が聞こえてきた。

....あれ?あの人たちは…。

 

「ここまで急いで約ニ十分か、思ったよりかかったな」

「それだけあれば追っ手が来てもいいのに結局来なかったわね。何かあったのかしら?」

 

間違いない。

この間から幻想郷に来た侍の坂田銀時さんとアリスさんだ。

なんでここに?そしてなんで一緒に?

 

「こんちわ~。宴会以来だな」

 

片手を上げて気さくに挨拶する銀時さん。

私もつられてこんにちはと挨拶する。

 

「慧音先生に頼まれてた物を届けに来だぜ。後はお願いするわ」

 

渡されたのはA4の冊子。

里の情報が書かれたそれを軽く目を通す。

 

「はい受け取りました。ここまでご苦労様です」

「あと早苗。あなたの神様に相談があるんだけどいい?」

 

アリスさんからの申し入れに私は二人を伴って案内した。

 

 

 

 

 

 

 

「天狗の警備隊とやり合ったから仲介して欲しい?噂以上に剛毅な男じゃないか。相分かった。この件は私から言っておくよ」

 

客間に案内された二人を出迎えたのはいかにも神と呼べる風格の女性だった。

守矢神社の神の一柱、八坂神奈子。

女性しては大柄な体格はまさしく軍神。

神威と呼ぶべきオーラが滲み出ている。

山岳と武威、技術革命を司るこの神格は、坂田銀時に大いに興味を抱いた。

 

「早苗から聞いてたけどさ、侍も幻想入りか…。あれは日本のイメージが詰まった重要なものなのに、世知辛いねぇ…」

 

出された緑茶を啜りながら溜め息をつく。

武士と関わりが深い彼女からすれば一抹の寂しさがあるのだろう。

 

「まぁうちとこっちじゃ歴史から違うけど」

 

同じように緑茶を啜るのは坂田銀時。

神を前にしてもこの男は畏まったことはせずにいつも通り楽なスタンスでいた。

 

「それについて色々聞きたいけどいいかな?」

 

廊下から部屋に入って来たのは洩矢諏訪子。

神奈子の隣に座り早苗に茶を入れてもらう。

 

「その帽子って自立したりすんの?」

 

ふと思った疑問を口にすると、諏訪子は苦笑する。

 

「よく聞かれるけど無いからね。てか神相手に馴れ馴れしいね」 

「だってさ、いかにも本体だとかクリーチャーって呼ばれそうな形してるし、なんかあんのかと思うじゃん?」

「その帽子は、昔私と大喧嘩した時に「この神は蛇に敗れた蛙なり」という意味合いを込めて私が送った物だよ」

「そうなのか。てっきり蛙の神様だからかと思ってたわ」

「私が束ねるミシャクジサマは蛇の祟り神なのに、神奈子に負けてからこれ被らせられてんの」

 

思った以上に話が弾んだ所で早苗が動いた。

 

「銀時さん。あなたの世界についての話を聞いてもいいですか?」

「別に面白くねぇと思うぞ?それよりこの間見たザミエル卿に追いかけられる夢の話でもしようか?」

「いやそういうのはいいですから。てか何したんですか?」

 

 

天人の襲来、攘夷戦争、侍の衰退、急発展する江戸。

粗方の歴史を語れば各々の反応は分かれた。

早苗は目を輝かせながら聞き、アリスと神奈子は真剣に聞き、諏訪子は聞いてるのだろうと思うが茶菓子に夢中。

 

「一般人が気軽に宇宙旅行できるほどの発展が20年足らずで実現か…。妖怪や神には酷な話じゃない」

「いや、今でも陰陽師や妖怪は健在だし、神様を信じる人も普通にいるぞ」

「ふむ。急な発展のせいでそのあたりが曖昧なのかも。妖怪の正体は宇宙人で通るみたいだし」

「まぁ明らかに河童な天人もいたしな」

 

その後は文化や政治、万事屋などについての話をして過ごす。

生活水準は外界とほぼ同じやら。

早苗が、

 

「ロボットはあるんですか!?」

 

と暴走気味になりかけたので神奈子にしばかれたなどの他愛のない話をして過ごした。

 

 

 

 

 

銀時さんの面白い話は私たちの上を行くものでした。

宇宙人がやってくる。

外界ではSFのジャンルが実在するなんてワクワクじゃないですか!

やっぱりガ○ダムみたいなロボットあるのでしょうか。

それとさっきは暴走してました。

うう…頭が痛い…。

 

「そろそろ昼餉の時間かな?どう?せっかくだから食べてく?」

「マジで?じゃあお言葉に甘えさせてもらいま~す」

「あんたもう少し遠慮ってものを…もういいわ」

 

神奈子様の提案に銀時さんは喜んで受ける。

その図々しさに呆れるアリスさんでした。

 

 

昼食の準備中、天狗のところに行ってきた神奈子様によると、

 

「天狗たちは距離を置いて彼らをみている。余計な事をしなきゃ大丈夫さ」

 

らしい。

まぁこれで帰りの心配はありませんよね。

昼食が出来上がるとテーブルに運んで食事をする。

今日は少し奮発して山菜の天ぷらと鹿の燻製を使った野菜炒めだ。

銀時さんはよく食べる。

やはり男の人ですね。

 

「さすが自然が豊富だからか山菜が旨いわ~。この肉は鹿か?やべぇよむっちゃ旨いんですけど」

「あ~ほら、口にもの入れながら喋らない!それと食事は静粛にしなさい!」

「いやあなたもうるさいですけど。そして神奈子様も食事中に報告書読まないでください」

「人里の若者が出所不明のマジックアイテムを使用しているので、横流しをしてる者がいるかもしれない?やれやれ」

 

一通り読み終えたのか冊子をしまう。

全くもう。食事中に新聞読んだりするのも止めてくださいよね。

 

「なんかおっさんみてぇだな」

 

銀時さんが言った次の瞬間、

卒業証書を入れる筒くらいの御柱が彼の額にクリーンヒット!

 

「ガンキャノン!」

 

変な声を上げて吹っ飛ばされる銀時さん。

大事には至ってないが相当なダメージだろう。

 

「何か言ったかな?」

「いえ、何も…」

 

銀時さんはふらふら起きながら座り直す。

あれを食らってもほぼ平気なのが逆に凄い…。

 

「そういえば、二人はいつ頃山を降りるの?」

「あ~。日が出てる時までに山を降りたいな」

「山の妖怪が活性化しないうちにね」

 

日没まで後3時間くらいだからまだ余裕がありますね。

さて私も、食休みしたらいつもの日課をやりますか。

 

 

 

 

開始3200文字でようやく俺サイドだよ…。

途中から三人称視点入ったから訳分からん人もいんじゃねえ?

てかこんなにコロコロ視点変えて大丈夫か作者よ。

口調とかごちゃごちゃしてないよな?

まぁそんなこんなで神社について届け物を渡してメシをご馳走してもらえてラッキーだった。

しかしこの神社、結構敷地面積が広いよな。博麗神社の何倍あんだろ?

昔は名のある神社みたいだしそれに反映してんのかね。

 

帰る時間まで余裕あるから境内の散策をする。

アリスは諏訪子さんとなんか新しい人形のコンセプトについて話し合ってるし正直暇だ。

賽銭入れてぶらぶら歩くが一つ問題がある。

天狗たちが遠くからこちらをずっと監視する視線。

これがうっとおしい。

神奈子さんは何もしなけりゃ大丈夫って言ってたけど、こう見られちゃ落ち着かない。

仲間意識が強いらしいし、隙あらば仇討ちでも考えてんのかね~。

 

建物の中に入ってやり過ごすことにして軽く探索する。

神社ごと引っ越したみたいだけど電気はあるのかと思ってたけど、どうやら発電所があるらしく山がエネルギーを独占してるらしい。

麓は未だに蝋燭やランプを使っている。

電気の文明に慣れたせいか最初は暗く感じたが、人間は慣れる生物だ。

もう気にもならない。

しばらく庭を眺めながら歩いていると離れの方に建物を見つけた。

道場か?

興味本位で渡り廊下を通り中を覗く。

そこにいたのは、巫女さんがよく持つお祓い棒...あの形は大幣(おおぬさ)だったか?

それを片手に舞いを演じてる早苗さんの姿があった。

 

 

 

 

片足を軸に回転。

一回転したところですぐに足を揃える。

腕を交互に上げたところで左足を後ろに置き、両腕を広げる。

……駄目だ。ここから先が繋がらない。

半身に回転して摺り足で前に行くか歩き足で行くか迷いが出てくる。

このあたり考え直してみようかな。

 

キシ…

 

音がしたので入り口を見ると、

いつの間にか銀時さんがいた。

 

「すみません。気付きませんでした」

「いいよ。俺も暇だったし。今のは神楽舞いってやつ?」

 

神楽とは、日本神話において天の岩戸にお隠れになった天照大神を誘い出すために、天宇受女命が神懸かった踊りをして八百万の神々を楽しませ、気になった天照大神を出す話から来ている芸能。

…ストリップって言われるのは間違っていないはず…。

それから神に捧げる舞いや、神託を受ける儀式を担う重要な役割がある。

 

「私のこれはオリジナルなんです。まだ開発中で人に見せるようなものではないので」

「それは悪かったな。でもなんでオリジナル?神社ごとの神楽舞いがあるはずだろ?」

「弾幕ごっこ用の繋ぎに使うやつなんです。色々工夫してまして」

 

弾幕ごっこ。

美しさと華麗さを表現する幻想郷の勝負方法。

純粋に弾幕をぶつけ合ったり、華麗に避けたりと周りも自分たちも楽しむのが前提条件。

周りが楽しむならば神楽舞いがうってつけではないかと思い、

日々試行錯誤してるわけです。

 

「なるほどね。ここは道場かと思ったけど、神楽殿ってやつか」

「そうなんですよ。ボタン一つで一瞬に神楽殿に変形する河童の改造済みです」

「便利すぎんぞ河童たち…」

 

それは確かにと苦笑する。

私も最初は驚きましたし。

 

「ところでさ」

 

ここで銀時さんが道場の真ん中あたりまで行ったときに口を開く。

 

「早苗さんの親御さんはいないのか?」

「え?」

 

一瞬、彼の言葉で頭が白くなった。

 

「いやさ。家ごと引っ越したって言ってたけど、ここまで会ったのは2人の神様だけだし。他に人が住んでる感じがしなかったからさ」

 

そう思っただけと銀時さんが言う。

鈍そうに見えて意外と勘が鋭い人ですね…。

そう。この神社は三人しか住んでいない。

神奈子様と諏訪子様と私だけ。

 

「両親は私が小さい頃、事故で亡くなりました」

 

 

 

私が1歳の頃だったか、両親が交通事故で亡くなった。

私はまだ幼かったから死について解らなくて、

「お母さんがいない、お父さんがいない」と泣いていたのは覚えてる。

その後は神奈子様と諏訪子様、

お祖母ちゃんが私の親代わり。

お祖父ちゃんは生まれる前に亡くなっている。

愛情持って育てられる傍ら、二柱の巫女として研鑽を積み重ね日々を過ごした。

 

転機が訪れたのは16歳の夏だったか。

お祖母ちゃんが亡くなったからだ。

事故ではなく寿命。

唐突ではなかったから覚悟は出来ていた。

けど、親しい人が亡くなるのは悲しい。

両親とお祖母ちゃん。

二度目になって私は死を理解した。

もう戻らない。やり直せない絶対の終わり。

それでもお祖母ちゃんは、最期の時に私の手を握って、

 

「早苗ちゃんにも、素敵な旦那さんと出会えますように」

 

そう笑いながら言ってくれた。

亡くなったのはその数日後。

最後に見せた笑顔は、

私の未来を願っての思い。

 

神奈子様が幻想郷に行かないかと言ったのはお葬式の数日後だった。

お祖母ちゃんからの遺言で、自分が亡くなったら神社と湖を幻想郷に移して欲しいといったそうだ。

多分お祖母ちゃんは知ってたのかもしれない。

このまま信仰が少なくなれば、御二方が消えてしまうと。

お墓を残していくのは心残りだったけど、お祖母ちゃんは私の幸せを願った。

ならば私は御二方と生きていくと誓い、幻想郷に行くことを決意したのだ。

 

 

 

「…悪かった。余計な事聞いて」

「いえいえ!そんな気を使わなくても!」

 

空気が重くなってしまった。

銀時さんは顔を逸らして悪びれる。

自分が勝手に話しただけなのに謝らないで欲しい。

 

「…でも、時々思うんです。幻想郷に来たのは本当に正しかったのかって。外の世界で生きていく選択もあったんじゃないかって」

 

人生は選択肢の連続。

なんてマンガでよく使われたりするが実際そうだ。

街角でどのアイスにするかの他愛の無いものから、将来何をしたいかの大事な決断も、

選択を決める時は多々ある。

はたしてこれが正しかったのかと、ふと思ってしまったり。

 

「間違っちゃねぇだろう」

 

不意に、頭の上に大きく温かいものが乗せられた。

上を向くと銀時さんが手を乗せている。

その顔はとても優しく、温かな笑顔だった。

 

「お前が決めたことだろ?それが正しいか間違ってるかはともかく今が楽しいなら、少なくとも間違っていないだろう」

 

穏やかな声。

その声に、私は一つの姿が重なった。

幼い頃なくなった、お父さんの影と…。

 

「―――っ!」

 

ほぼ衝動的に、

私は銀時さんに抱きついていた。

 

「はっ!?ちょっと、どうした!?」

 

驚いた声をあげるのは当然だろう。

いきなり抱きつかれたら。

 

「ごめんなさい…。もう少しだけこのままで…」

 

自分でも何してるのか解らない。

別人の筈なのに、

どうしてこうも重なってしまうのか。

 

…ああそうか。

私は、お父さんを無意識に求めてたのか。

神奈子様が母親代わり。

では父親は?

神奈子様は男らしいとこもあるけれど、女性だから父親役が出来ない。

―――だからかな。

テレビや雑誌のタレントや芸能人で年上の男性に惹かれるのはお父さんに甘えたい無意識の欲求。

自覚してしまったからか、知らずに涙が零れ落ちる。

泣いてるのを知られたくないから声は出せない。

銀時さんは何も言わない。

多分空気を読んでくれたのだろう。

その優しさに、抱きつく力を強める。

温かいぬくもりを感じていると、

 

 

「銀時どこ~。そろそろ山を降りないと日が暮れるわ…よ…」

 

声に反応して離れ入り口を見ると、

道場にやって来たアリスさんが固まっていた。

ああこれ誤解してるだろうなぁ。

私泣き顔だし。

 

「ごめんなさいね~。邪魔だったみたいね~。銀時~、先行くから早く来なさいよ~」

「いやなんか言えよぉぉぉぉぉぉ!」

 

銀時さんのシャウトが道場に響き渡る。

 

「何その無駄な優しさ!?違うからね!?俺早苗さんとはそういう仲じゃないからね!?」

「はいはい解ってますよ~神奈子さんと諏訪子さんとレミリアには言わないから~」

「なんでそこでレミリアが出た!?おい待てよぉぉぉぉぉぉ!」

 

去っていくアリスさんを追って銀時さんも後を追いかける。

私も涙を拭いてその後に続いた。

 

 

鳥居の前に集まって別れの挨拶。

神奈子様は何かあったら頼っていいと言う。

諏訪子様も同じ事を言ってたけど、

玩具を見つけたと言わんばかりの笑顔だった。

 

「今日はなんかごめんなさい」

「いいって。色々吹っ切れたんじゃねぇの?」

「おかげさまで」

 

泣いたのは久しぶりだったから心が軽く感じる。

視界が晴れた気分だった。

 

「銀時さん。今日はありがとうございました」

「あ~早苗さん。やっぱさ、銀さんでいいよ。試しに一日中呼ばれたけど、やっぱこそばゆいし」

 

今更かと思いますけどね。

 

「私も早苗でいいですよ。その方が気楽ですし」

 

そうかと言って銀さんは軽く笑う。

 

「銀さんは人里で万事屋をやるんでしたよね?」

「ああ。丁度いい物件があったら」

「よろしかったら、私もお手伝いさせてくれませんか?」

 

驚いた顔をする銀さんとアリスさん。

お願いしますと頭を下げて懇願する。

銀さんはあわてた声で言う。

 

「いや頭上げろって。手伝いたって給料出ねぇかもしれねぇぞ」

「いえ、お給料はいいですよ。その傍らで信仰集めをしますので」

 

やがて銀さんは観念したのか溜め息をつく。

 

「まっ、人手も欲しかったしな。これから宜しく頼むわ」

「はい!」

 

 

やがて、銀さんとアリスさんが見えなくなる頃に神奈子様が口を開く。

 

「まったく勝手に決めて…」

「すみません…」

「まぁ早苗が自主的に決めた事だし、やるならちゃんとしなさいよ」

「はい!」

 

神奈子様のお許しもでて、私は山の空を見た。

日が傾きだした茜色の空の下で、私はさっきの事を思い返す。

私が万事屋の一員を申し出たのは、詰まるところあの人ともっと一緒にいたいと思ったからだ。

信仰集めは建て前かもしれないけどやるからにはしっかりやろう。

春の暖かい風を肌に感じながら私はこれからの事に想いを馳せたのだった。

 

 

 

 

 




教えて!パッチェ先生のコーナー
パチュリー「ようこそ。ここは紅魔館の魔法使い、パチュリー・ノーレッジの解説コーナーよ。質問が溜まってない時だけに開幕する、東方万事屋録の世界観や設定について解説する摩訶不思議なアヴァロン。さぁ、今宵のグランギニョルを始めましょう。というわけで、ゲストの人カモ~ン」
銀時「始まってからロクなバトルをしてない銀さんで~す。最近ハマってんのは龍が如く5。秋山も良いけど、冴島の豪快なアクションも良いなぁって思ってま~す」
パチュリー「はいありがとう。さて今回は本作に置ける吸血鬼についての設定を話していくわ。銀時、吸血鬼ってなにを想像する?」
銀時「時間止めてWRYYYYYってする人?」
パチュリー「まぁいいでしょう。吸血鬼は、最も知名度が高いモンスター。血を啜り、闇夜を駆け、眷属を従える化け物。今もなお愛されるわね」
銀時「解説たって何すんだよ?色々説があるようだし」
パチュリー「あくまでも作者の独自解釈だから本気にしなくてもいいわよ。こんな解釈もありじゃね?って読んでくれたらいいし。さて、まずは吸血鬼とは何かについて話して、最後は弱点について話して行きますか」
銀時「宜しくお願いしま~す」
パチュリー「吸血鬼とは、生命の源である血液を糧に存在する人成らざる超越者。人の道を外れた行いをした人が成る化け物。国を守る為に多くの人を虐殺したヴラド三世。美の為に少女の血を浴び続けたエリザベード・バートリー。人肉を食べる、神を冒涜するなどの所業を行ったから死後吸血鬼に成った奴もいれば、後世の創作で吸血鬼として扱われたりする人とか。ヴラドがいい例ね。ドラキュラ伯爵のイメージが強すぎて本来の伝承が思い浮かばなかったり。最近はそうでもないかも」
銀時「多分Fateの影響だよな」
パチュリー「血を吸われたらその人も吸血鬼に成るっていうのは、モデルの一つに感染症があるからなの。1人感染したら倍々に増えていく様が吸血鬼の影響力を想像したのかもね」
動物に変身する能力も、それを媒介に感染範囲が広まった事から付けられた説と考えられるわ」
銀時「やっぱり蝙蝠のイメージ強いよな」
パチュリー「他にも犬、ネズミ、鳥。中世ヨーロッパで猛威を振るったペスト菌の感染源ね。蝙蝠は血を吸うからってあてがわれただけよ。霧に変身するのも、どこにでも入れる万能性ね」
銀時「ほんとチートだよねぇ吸血鬼は」
パチュリー「それ故に弱点も多いのよ。最強であっても無敵ではないのが吸血鬼たらしめるものよ。以下のは本作に置ける弱点の設定。独自解釈塗れだけど、頭に入れておいてね」

日光:最も基本の弱点。一部ならともかく、全身に浴びれば蒸発する。
銀 :魔除けの効果があると信じられ、銀で塗装した多くの武器が登場する。
腐食の毒:腐らない死体は吸血鬼という説があり、なら腐らせればいいんじゃね?という解釈。
流水:日本の禊ぎのように、不浄を洗い流す考えから。死ぬ訳では無いが、かなり弱体化する。川に近づけないのは拒絶反応。因みに湯浴みの際は溜めてあるバスタブを使う。あくまで効果があるのは流れる水だけ。因みにカナヅチ。
炎 :火は全てを浄化するという考えから。
十字架:元が敬虔なキリスト教徒の人の弱点。レミリアとフランには効かない。弾幕で使うのは自分には効かないという皮肉。
棺桶を破壊される:吸血鬼の安息の寝床。別に無くても寝れるが、回復量が段違い。
炒り豆:本来は日本の鬼の弱点だが、日本の鬼も病魔の原因である伝承から、モデルが病魔の吸血鬼にも効果がある。同じ理由でニンニクも苦手。けど納豆は大好き。
鏡に映らない:ヴラムストーカーが考案した説。吸血鬼を見破る方法だが、見た目で人外と分かる上に、ちょっと頑張れば映るようになる。
心臓を潰される:命の象徴である心臓を潰す。よく杭を使う話もあるが、潰すだけなら何でもよい。

パチュリー「今挙げたのは本作品における設定。過度に信じなくてもいいわ」
銀時「しかしこうしてみるとほんと弱点多いな」
パチュリー「だからこそのあの強さよ。あるチンピラ吸血鬼は「弱点を受け入れての最強」って言ってたし」
銀時「てか今回なんで吸血鬼の解説なんだ?」
パチュリー「次回のための大事な設定よ。今回はここまで。質問ご感想お待ちしてます。さようなら~」
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