色んな艦娘達は提督が好きなようです   作:綾凪九尾

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年末年始(特別編)

「あー寒!誰だよこんな戦時中に初詣とか言って…それにさ。まさかの艦内神社なんだよ。」

 

俺は寒い信濃の甲板で叫ぶ。それを聞いていた天津風が答える。

 

「それはあれよ。私たち艦娘でしょ?」

 

「そうだな。んで、わざわざ沖まで出てきた意味は?」

 

「それはね?空砲を108回撃つのよ。」

 

「初耳なんですけど?」

 

「そりゃそうよ。だって言ってないもの。」

 

俺は天津風に衝撃発言を聞き艦橋へ走った。艦橋には副艦長が指揮を執っていた。

 

「これは艦長。初詣はよろしいのですか?」

 

「そんなことより!108回空砲撃つのか?」

 

「えっと…そうですよ?皆さんからの熱い要望で…。」

 

「そう…なのか?」

 

「まあ、空砲ぐらいいいと思いますよ?」

 

「そうか…?」

 

「はい。空に探照灯照らして。周りの人達にこの戦艦の位置を知らせてあげて!」

 

副艦長は大声でそう言って、信濃に装備されている探照灯が全て上を向き空を照らした。空には何個空を照らす一筋の光がある。

 

「機関停止。艦長ご指示を!」

 

「ん。主砲右側回せ。1発1発撃つ。回数は12回。甲板に出てる艦娘たちは海上もしくは艦内へ入るように通達。探照灯照らしたまま、艦娘たちの情報を待つ。」

 

俺は覚悟を決め、艦長としての指示を遂行する。艦娘たちからの情報がどんどん集まり、全艦娘たちは海上に移動したとの事だったので砲次長に指示をした。

 

「交互撃ち方で1発1発で108回撃ちます。砲撃開始!」

 

信濃から1発1発雷が落ちたような音が周りに響く。和歌山から見てる人、徳島から見てる人に見えるように探照灯は空を照らす。人間の煩悩を払うために信濃は108回空砲を撃ち続ける。艦娘たちからも歓声が上がる。数十分後信濃は108回空砲をうち終わると探照灯を消し、艦娘たちも信濃に戻ってきた。

鎮守府に戻るまでに甲板で用意されていたのは艦内神社だった。艦娘たちやご近所の人達にも来てもらうらしい。どうしてそうなったのかは分からない。俺の知らないうちに決まっていたことらしいが一言あってもいいと思う。

信濃が鎮守府のドックに入るのではなく港に入ると階段が近づいてきた。俺は艦橋から降りて乗ってきた大淀と話す。

 

「大淀さん。これはどうゆうことで?」

 

「すみません、提督。提督にお話したはずなんですが多分伝達ミスですね。急の信濃の指揮お疲れ様でした。このあとも仕事があるので信濃に残っててくださいね?」

 

「はい?」

 

「じゃあ、この服着替えて艦長室で待っててください。北上さんに呼んでもらいますから。」

 

「えっと…?は?」

 

「いいから行ってください。」

 

俺は押し切られる感じに艦長室に入れられた。艦長室で大淀から渡された紙袋の中を見ると、神主の服が入っていた。つまり大淀は俺に神主として艦内神社の大和神社に居ろって言う仕事を押し付けられた。文句は言えず、俺は神主の服に着替えるが初めてなのでなかなか着れない。すると、ノックしている音が聞こえた。

 

「提督?いる〜?入るよ〜。」

 

北上の声だ。こっちに返事を言わせない姿に焦った。そして、着替えてる時に北上は入ってきた。

 

「ありゃ?提督着替え終わってなかった?」

 

北上はそう言って近づいてきた。俺は何するのか恐ろしくなり後ずさりする。

 

「提督。ここはこう結ばなきゃダメでしょ。ここをこうしてっと。はいできたよ〜。」

 

「えっと…ありがとう?」

 

「どういたしまして。さ、行こ?巫女役として頑張らなくちゃいけないからさ。」

 

北上の姿を見ると巫女服姿だった。意外と似合っていて見とれてしまう。

 

「提督?あっまさか北上様の魅力に気づいたのですな?」

 

「北上が可愛いのは元からだ。さてと、艦内神社設置したところは?」

 

北上は俯き、指を指して教えてくれた。俺はその方角に向かって歩いていく。信濃の外は参拝者の長蛇の列になっていた。艦娘たちが誘導したりと、バタバタ動いていた。本部にいるのは大淀と長門で、列の先頭で入口を監視してるのは武蔵だった。

 

「すごい人だ…。」

 

「ですね〜。提督写真1枚お願いします!」

 

「ハイハイ。」

 

「いいですよ!これはいい記事が出来そうです!」

 

「青葉、あまり調子乗ってたら大淀にどやされるからな。」

 

「わかってます!それじゃ、列に並んでる人達にインタビューしてきますね。」

 

「迷惑にならないようにな。」

 

青葉は走って参拝者の列に向かった。少し遅れて北上が付いてきた。

 

「全く、提督が変なこと言うから遅れちゃったじゃん。この詫びは間宮さんだよ〜?」

 

「まあ…いいだろう。ついでに間宮さんは三が日まで休みだ。残念だったな。」

 

「ぐぬぬ…何を!」

 

2人で楽しく話していると大淀がスピーカーで「もうそろそろ参拝者が入るのでしっかりしてください!」と怒鳴ってきた。俺らはシャキッと立ち、艦内神社の隣に置かれた大幣を持って艦内神社の隣に立った。北上は艦内神社の近くに作られたテントでお守りなどを売る。

どうやら、入場時間となり大淀が「お待たせしました。参拝時刻となりましたので、参拝者の皆様は列を守って参拝してください。」とスピーカーが流れた。

俺はついに始まると思い大幣を左右に振る。近所の人達に厄がないようにしっかりと祓うつもりでシャンシャンと振る。近所の人達は「ありがとうございます。」や「いつも守ってもらって助かってます。」と言って信濃の観光に行った。北上の方は大繁盛しており、信濃の使わない資材を砕いて粉末にし、お守りの中に入れた「信濃守」や「勝守り」が1番売れているようで在庫を足しに来る時雨と夕立がパタパタとダンボールを持って行き来してる。俺は変わらず、大幣を左右に振る。すると、呼ばれた気がした。俺はその呼ばれた方角を見るとどこかで見た事のある高身長の女の人がいた。俺はその人に近づいて話しかけた。

 

「今、俺の事呼びました?」

 

女の人はクスクスと笑い、俺の顔を見た。綺麗で髪の毛はストレートの茶色だった。こんな女の人知り合いに居たか?と思っていた。すると、高身長の女の人は口を開いた。

 

「お疲れ様です。今葉提督、呉の大和です。」

 

俺は驚いた。呉の方は休みがないと聞いていたのに、大和が紀伊に来ていたからだ。俺は「ええ!?」と声を出す。大和はクスクスと笑い、封筒を渡してきた。

 

「今葉提督。この行事が終わりましたら、執務室に来てください。その封筒の中身を説明します。」

 

大和は笑顔でそう言って、また列の中に入っていった。俺は封筒を無くさないようした。

俺はさっき居た位置に戻り大幣をまた左右に振る。すると、時雨がこっちに走ってきた。

 

「提督!大変だよ!」

 

「どうした?北上に何かあったか?」

 

「違うけど、信濃守りがもうないんだ!」

 

「それなら売り切れって出せばいいだろう?」

 

「そうなんだけど…。その紙がないんだ。」

 

「えっと…どうしようか。本部に行ったら紙あるかもしれないから本部に行ってきてくれ。」

 

「わかったよ!」

 

時雨は本部の方へ走っていった。信濃の甲板では参拝者の列が出来ていた。また1人また1人と参拝して信濃の第1主砲から第3主砲のところまで歩いて信濃の甲板を一周するコースを取っていた。時雨が帰ってきて、紙をお守りコーナーの所に置き売り切れが参拝者達に報告された。

数時間後、やっと長蛇の列にも終わりが見え始め最後の人が参拝が終わり、信濃からの下船を確認すると艦娘たちが信濃の階段前に集まった。大淀がなにか指示をしている。俺はそれを聞きに行った。

 

「大淀?今何してるんだ?」

 

「提督お疲れ様です。今から皆さんにも初詣です。紀伊鎮守府組、外国艦組、横須賀鎮守府組に別れて初詣をする予定です。そのための組み分けですね。」

 

「なるほど。」

 

「提督は少しゆっくりしててください。そういえば大和さんには会いましたか?」

 

「ああ。封筒渡してきたが…。」

 

「封筒ですか?」

 

「ああ。」

 

「そういえば…大本営が…。まあ、後で執務室に行ってくださいね。」

 

「わかってる。」

 

大淀はまた指示をし出した。俺はやることもないので船内の乗組員達を労うために艦内に入ると、食堂から騒がしい声が聞こえる。俺は食堂を覗くと艦内にいた乗組員全員が食堂で新年会をしていた。酒を飲んでいる人やおせちを食べている人、かくし芸をする人など色んなことをしていた。すると、俺が覗いていることが見つかった。

 

「艦長!神主役お疲れ様でした!」

 

「あ…ああ。」

 

「そしてあけましておめでとうございます!」

 

「「「「「あけましておめでとうございます!!」」」」」

 

「ああ。あけましておめでとう。今年もよろしくな。」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

また、食堂内は騒がしくなった。たまの休みのため俺は注意せず、艦内から出た。すると、艦娘たちが艦内神社にお参りをしていた。俺は艦長室でいつもの制服に着替えて、執務室に入った。大和は先のほどの私服ではなく、制服に着替えていた。

 

「寒くないか?その姿は。」

 

「はい。大丈夫です。」

 

「そうか。さて、この封筒の中身は何かな?」

 

「提督がご確認ください。」

 

「わかった。」

 

俺は封筒をあけ、中に入っていた紙を取り出す。そして広げて、書かれている内容を読む。

 

「『異動令。大和型1番艦大和を呉鎮守府から紀伊鎮守府へ異動をここに命ず。』だと!?」

 

「はい。これからよろしくお願いします!提督!」

 

「いやいや!そうなると呉の戦力が下がるだろう!」

 

「どうやら、これからは航空戦とかで…空母を多く保有する予定らしいです。」

 

「なるほど…?さっぱりわからん。」

 

「大丈夫です。提督、私も分かりません。」

 

「とりあえず、わかった。大和歓迎しよう。」

 

「ありがとうございます。」

 

俺は大和を紀伊鎮守府の一員として受け入れた。この後の集会で【大和の加入】により、大波乱になることも知らずに…




新年!あけましておめでとうございます!
どもども綾凪九尾です。
前年はお世話になりました!今年もよろしくお願いします。
さて、今回は信濃の艦内神社で参拝ができるイベントの話を主にしていきました。大和の異動などイベントが起こりすぎの紀伊鎮守府。え?響とかタシュケントとかは?って?えっと、横須賀にいますよ。横須賀復興でそっちに…。まあ、とりあえず…はい。今年もどうぞよろしくお願いします。何度も言います、よろしくお願いします。
これからも応援お願いします。

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