「出掛けるわよ。」
俺は叢雲に呼ばれて「わかった」と返事をする。そして、2人で車を取りに行く。
「あんたの愛車…ってわけじゃなさそうね。」
「愛車?HAHAHA!そんなものねぇよ。」
「そ。とりあえず行きましょ?」
そう言って叢雲は車の助手席に座る。俺はそんな叢雲を見ながら、運転席に座る。
「どこに行くんですか?お客さん」
「そうね…。適当に走ってちょうだい。」
「お金大丈夫ですか?」
「なりきらないでよ。それに久しぶりに2人じゃない。このネックレスの意味聞いてもいいのよね?」
「ふむ。そう来るとは叢雲…ずる賢いな。」
俺は車のエンジンをかけ、紀伊鎮守府から出る。もう空は夜に傾き初めていた。
「ちょっと山に行きましょ。」
「ああ。どこに行くんかは知らんがそっち方面に走るからな。」
山の方に車を進めていると看板に『雨の森展望台』があるらしい。俺はそっちの方に車を進めた。
「どこに向かってるのよ。ドライブしなさいよ。」
「この先に展望台があるらしいんだ。その後からでも文句ないだろ?」
「そうだけど…。」
叢雲はドライブがしたかったらしく、ちょっと不機嫌そうだったが俺の提案に乗ってくれた。そして、険しい道を車は上り、駐車場があったので車を止める。
「ここから歩くの…?」
「もちろんさー。」
「移動とかで足疲れてるのに…。」
「はいはい。調べたら綺麗な夜景らしいぞ。」
「行くしかないわね!行くわよ!」
「わぁ、気分の上がり下がりがすごーい。」
叢雲は少し上機嫌になり、俺の先を歩く。看板を見つけてはそれを読み「こっちね!」と言いながら山道を進む。
そして展望台に到着した。
「ふん。あんたにしては上出来じゃない。」
「俺だからこそできる技だ。失礼な。」
「私は響みたいに優しくないからね。」
「知ってる。」
「響からも許可は出てるの。この意味わかる?」
「早く本物の指輪渡せと?」
「そう言うこと。いつまで私の事放置する気よ。呉の1件からそう。横須賀って…あれは荒潮と時雨が悪いわね…。とりあえず!早く渡しなさい。」
「持ってねぇよ?」
「はい?あんた絶対に今渡すべきタイミングでしょ!」
「持ってねぇもんは持ってねぇ。」
「はぁぁ…。どうしてこんな提督好きになったのよ…私…。」
「俺が持ってないって意味なんだがな。」
「これ失敗作じゃなかったの?」
「失敗作だ。」
「でも、その言い方的にこれの事じゃない。」
「そうそれだ。」
「何言ってるの…?」
「失敗作だとして能力はあるぞ。効果もある。」
「ふーん。それを隠して私に持たせてたってわけねぇ。あんたにしてはやるじゃない。」
「まあ、書類がないから意味が無いんですが。」
「聞いて呆れた。そんなことする人なら好きにならなかったわよ。」
「あれ?どんどん叢雲の好感度下がってる気がするなぁ?」
「絶賛下がってるわよ。ばーか。」
「夜景スポットで罵られる謎〜。」
「ふん。あんたからしたら嬉しいんでしょ?」
「いや、ドMじゃねぇから。」
「そ。んで?書類がなくてもあれはできるでしょ?」
「あれって?」
「あれって言うのはあれよ。」
「ほう?」
「言わせんな!」
「急にキレられたんだが?」
「それはテイトクが悪いヨ。」
「そうか?金剛…?え?」
「私達も夜景を見に来てたネ。」
「はい!司令こんばんは!」
「榛名はいつでも大丈夫です!」
「司令がここに来るのは予想してました!」
「金剛型四姉妹が居たのか…。」
「とりあえず!今のはテイトクが悪いヨ。」
「あれって何かわかるか?金剛」
「もちろんデース!でも、やっぱりテイトクの口から出させた方が良さそうネ。さて、私たちは戻ろうカナ!」
「わかりました!お姉様!」
金剛達は「また後で〜」と言って暗い闇に消えていった。俺と叢雲は2人の時間になった。
「それで?金剛さんと話して何かわかった?」
「ふむ…。そうだな。」
「それでわかんなかったら、酸素魚雷よ?」
「へいへい。」
俺は夜景を見て心を落ち着かせる。そして、叢雲が今欲しがっている言葉を探す。俺は1つの答えに行き着いき、叢雲の方を向く。
「ほら、言ってみなさい。答えによってはここに置いていくから。」
「それは困るな。」
叢雲は少し顔を隠してこっちを見ていた。なぜだ?喉が渇く。まるで響の時のように…。2回目になるのだから渡せば終わりなのに…。
「叢雲。俺とケッコンカッコカリをしてくれ。」
「ふん。あんたがそこまでって言うのならしてあげてもいいわ。ほら、薬指に入れなさい。」
「言われなくても。」
叢雲の薬指に光る指輪が付けられた。そして、叢雲は俺に抱きつく。
「本当に待ってたんだから…。」
「わかってる。すまなかった。」
「じゃあ、ケッコンカッコカリした後の初デート行きましょ。」
「なんなりと。」
「そうね…。山を降りてちょうだい。」
「わかった。」
俺らは車に戻り、俺は車を走らせた。夜ってこともあり、あまり車が走っておらず暗い道を進む車。遠くには街の灯りが見える。叢雲はその灯りに指輪を当てて光るのを見ていた。そして、心做しか笑っていたようだ。俺は運転中なので確認はあまり出来てないが、後でドライブレコーダーを確認しておこう。こうして、海南市街地に戻って来た。鎮守府にあるクレーンが綺麗に光っていた。
「こうやって鎮守府を見ると、普通の工場に見えるわね。」
「まあ、工廠とかあるから工場ではあるかな。」
「そうね。にしても、周りからよく見えるけど大丈夫なの?」
「紀伊鎮守府は本体は地下だからな。地上は建物とかが中心で、寮とかも本当は地下にあったりする。まあ、使われてないけどな?」
「ふーん。めんどくさいことしてるのね。」
「深海棲艦に攻め込まれても大丈夫のようにだ。簡単に死にたくもないし、みんなを殺したくないからな。 」
「あら、かっこいいこと言うのね。」
「もちろん。提督ですから。」
「そ。なら、私と響のことは人一倍大事にされるってことかしら。」
「まあそうなりますな。」
「ふーん。それはそれでめんどくさいわね。自由にできないのは不便でしかないわ。」
「自分から言っておいて何言ってんだこいつ。」
「夜だからどこも行くところないわね。」
「そうだな。ないな。」
「それなら、戻りましょ。」
「どこに?」
「山。」
「はぁ〜?」
「善は急げよ!ほら乗って乗って!」
「運転するのは俺なのに…?」
「そうよ。」
「はいはい。山ですね。」
俺は車をまた山に向かわせた。まさかの一日の内に山を2回行くとは思わなかった。そして、また展望台に戻ってきた。
「うん。ここなら、本心出しても問題ないと思うの。」
「そうだな。」
「前の横須賀の件あったじゃない?」
「そうだな。」
「あれは時雨と荒潮が悪いのよ。」
「だろうな。」
「私がプレゼント悩み続けた結果なのよ…。」
「そっか。えっ!?叢雲が俺にプレゼント!?んな、可愛いことするわけないだろ!」
「やっぱり、私あなたのこと嫌いかも。」
「嘘だ嘘!」
「ふん。別に怒ってないからいいけど。」
「いや、その頭のやつは赤く光ってますよ?」
「知らないから。」
「あー…怒ってますな。」
俺は叢雲を怒らせてしまい、叢雲はぷんすかぷんすか怒っている。俺は謝るが、許してくれる気配がない。どうしたものか。
「明日、ケーキ買ってくるこれでどうだ?」
「えっ…。そんな贅沢ゆるさ…いや、そんなものでは許さないんだから!」
「なら、そこにチョコレートケーキも入れよう!」
「そんな!ぐぬぬ…!」
「さぁどうする!」
「ぐぬぬ…許してあげる…。仕方なくよ!別にケーキで買収されたわけじゃないんだから!」
「へいへい。」
「あれよね。私ケッコンカッコカリしても側室でしょ?」
「えっ…えっと…?」
「ちゃんと答えなさい。」
「いや、でもその…えー。」
「何よ。言えないの?私の目を見て言いなさいよ。」
「それは…言えない!」
「あらそう。なら、ここで既成事実でも作ろうかしら。」
「やめろ!それだけはやめろ!駆逐艦との子供なんて憲兵通報レベルだから!」
「そのまま鎮守府追放で、私も追放ね。そうなった方が平和に暮らせれるけど?」
「ダメだ。俺は提督として、日本を守らないといけないんだ。」
「残念ね。あんたなら乗ってくれるって信じてたのに。」
「まあ、そのうちな。嫁艦達と生きていくのも悪くない。」
「でしょ?ほら、それなら早く深海棲艦倒しなさいよ。」
「おっと…急に無茶ぶりか。」
「じゃあ鎮守府戻りましょ。車の中であとは本心出してあげる。」
「せっかく登ってきたのに…また下るのか…。」
叢雲はルンルンで車に乗り「早くなさい。」と言ってきた。俺はため息をつきながら車に乗った。
「何、ため息なんか吐いてるのよ。私が居る前でため息なんて許さないわよ?」
「鬼嫁だ…鬼嫁…。」
「何?」
「いえ!何も!」
「そ。じゃあ、鎮守府に戻って頂戴。書類が来てるかもしれないから。」
「わかりましたよーだ。」
こうしてまた俺は鎮守府まで車を進める。暗い山道を通りながら。
お久しぶりです。
1ヶ月ぶりの艦これ投稿。綾凪九尾です。
いやぁ、ここまで書いてないとさすがに怒られると思い、書かせてもらいましたけど…かなり短いです。
理由…ですか?
それは…あれですよ。仕事の休憩中や電車の待ち時間で書いてるからですよ。本当に大変なんですから。
とにかく、1ヶ月ぶりです。待ってた方々すみません。
今月いっぱいは艦これ出せればいいなぁと思ってますし、次は大井か金剛の話にしようかなって。
それと新小説も考えが出てしまって、もしかしたらその小説をここに感想目的で出すかもしれません。その辺は気分で決めますね。
それでは!次回は1週間後に…多分。